JPH055441Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は原子燃料ペレツトの端面直角度を精度
よく測定するために用いられる原子燃料ペレツト
の回転装置に関する。

［従来の技術］ 一般に、軽水炉用原子炉の燃料要素としては、
二酸化ウラン粉末（UO₂）の圧粉成形物を高温焼
結することにより円柱形状の原子燃料ペレツトを
つくり、これをジルカロイ製の燃料被覆管の中に
多数挿入したものが用いられている。

上述した燃料要素（燃料棒）の場合、FPガス
ごときガスの燃料被覆管内への放出をできるだけ
少なくするために、原子燃料ペレツトが多孔質に
仕上げられている。

このような原子燃料ペレツトは、セラミツク一
般の特徴である脆性破壊を生じやすく、第５図に
示すごとき端面直角度に不良のある欠陥ペレツト
が形成されることがある。

この種の欠陥をもつ原子燃料ペレツトが燃料被
覆管内に挿入された場合、ペレツトと被覆管との
機械的相互作用（PCI）が促進されて被覆管が損
傷を受けるので、燃料棒の性能に重大な悪影響を
与える。

かかる問題の発生を阻止するため、燃料被覆管
に挿入する前の原子燃料ペレツトについて、その
両端面の直角度をダイヤルゲージにより測定し、
不良のある原子燃料ペレツトを選別除去する抜き
取り検査が行なわれている。

ちなみに、端面直角度測定手段としては、第４
図に示すごとく、Ｖ字角90°の横型Ｖ字面ｂを基
準面とするＶブロツクａを図示しない水平台上に
載置し、そのＶブロツクａの側端面に端面支持板
ｄを備えつけたものが広く用いられている。

第４図に示す端面直角度測定手段の場合、以下
に述べる操作で原子燃料ペレツトｃの端面直角度
を求めている。

はじめ、ＶブロツクａのＶ字面ｂ内に原子燃料
ペレツトｃを水平に嵌めこみ、その外側端面c₁を
Ｖブロツクａの端面支持板ｄに当接させて、当該
ペレツトｃを所定の状態に保持し、つぎに、固定
状態にあるダイヤルゲージｅの測定子ｆを前記外
側端面c₁の周辺部c₂に接触させ、その後、端面支
持板ｄとの当接を保持したまま、作業員がＶ字面
ｂ内の原子燃料ペレツトｃを約30°度回転させる
ごとに測定子ｆの振幅を測定し、各点における原
子燃料ペレツトｃの高さを求める。

かくて得られた測定値のうち、最大値から最小
値を減じ、その差（最大振れ幅値）を二分するこ
とにより、原子燃料ペレツトｃの端面直角度が求
まる。

［考案が解決しようとする課題］ 上述した端面直角度測定手段の場合、原子燃料
ペレツトｃよりも硬度の低いＶブロツクａのＶ字
面Ｂ内において、作業員が原子燃料ペレツトｃを
回転させる。

このような手作業に依存して所要の端面直角度
を測定するとき、測定そのものに難度がともなう
ほか、相対的に硬度の低いＶブロツクが原子燃料
ペレツトｃにより削られてしまうので、測定精度
が低下する。

しかも、作業員が原子燃料ペレツトに直接触れ
るので、この者の放射線被爆量が大となり、安全
面への配慮が十分でない。

その他、手作業であるために作業員の熟練度が
要求され、測定に要する労力、時間も多くなる。

本考案はこのような技術的課題に鑑み、測定精
度の向上、測定難度と測定労力の緩和、作業員の
安全性を確保することのできる原子燃料ペレツト
の端面直角度測定用回転装置を提供しようとする
ものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は所期の目的を達成するため、円柱形状
を有する原子燃料ペレツトの端面直角度を測定す
るにあたり、その原子燃料ペレツトを垂直に保持
して回転させるための回転装置において、水平回
転自在に支持されたターンテーブルの回転中心か
らそのターンテーブル上に、前記原子燃料ペレツ
トと同径の位置決めピンが垂直に突出しており、
Ｖ字形に凹んだ立面状のＶ字面を有するＶブロツ
クが前記ターンテーブル上に載置されて、そのＶ
ブロツクのＶ字面と位置決めピンの外周面とが互
いに当接しており、前記Ｖブロツクの上部と着脱
自在に対応するペレツト固定具が、そのＶブロツ
ク外周に嵌めつけられる枠体と、該枠体の一部に
保持されて前記原子燃料ペレツトの外周面をＶブ
ロツクのＶ字面に押しつけるための押止体とを備
えていることを特徴とする。

［作用］ 本考案に係る回転装置の場合、ペレツト固定具
を介して原子燃料ペレツトをＶブロツクのｖ字面
内に固定することができ、原子燃料ペレツト付き
のＶブロツクをターンテーブル上に載置し、その
Ｖ字面の角部を位置決めピンに当接させることに
より、原子燃料ペレツトの軸心とターンテーブル
の回転中心とを一致させることができ、かかる状
態でターンテーブルを回転させ、かつ、測定機の
測定子を原子燃料ペレツトの端面に当接させるこ
とにより、原子燃料ペレツトの端面直角度を測定
することができる。

［実施例］ 本考案に係る回転装置の一実施例について、図
面を参照して説明する。

第１図、第２図に例示された原子燃料ペレツト
の端面直角度測定用回転装置１は、円柱状の原子
燃料ペレツト２を支持するためにＶ字角90°のＶ
字面３ａを有するＶブロツク３と、Ｖブロツク３
のＶ字面３ａ内に原子燃料ペレツト２の外周面を
押しつけて当該ペレツト２を固定するためのペレ
ツト固定具４と、Ｖ字面３ａが立面状となるよう
にＶブロツク３を載置するためのターンテーブル
５とからなる。

ペレツト固定具４は、原子燃料ペレツト２をＶ
ブロツク３のＶ字面３ａ内に押しつけた状態に保
持するため、四本の枠材１１，１１′にて四角形
に組み立てられた枠体１２と、枠体１２の各コー
ナー部上面に取りつけられた各止材１３と、一つ
の枠材１１′に備えつけられたネジ棒構造の押止
体１４とで構成されている。

かかるペレツト固定具４の場合、これを構成し
ている各部が、原子燃料ペレツト２、Ｖブロツク
３と、つぎのように対応する。

枠体１２は、Ｖブロツク３の外形と嵌脱自在に
対応する内形を有する。

各止材１３は、枠体１２がＶブロツク３の上部
外周に嵌めこまれた際、そのＶブロツク３の上面
に当接して枠体１２が脱落するのを防止する。

押止体１４は、枠材１１′に捩こまれたネジ棒
１４ａを主体にしていて、原子燃料ペレツト２に
当接させるための押当部材１４ｂがネジ棒１４ａ
の先端に設けられ、回転操作用のノブ１４ｃがネ
ジ棒１４ａの後端に設けられたものであるため、
第１図、第２図のごとくペレツト固定具４をＶブ
ロツク３に装着した際、原子燃料ペレツト２をＶ
ブロツク３のＶ字面３ａ内に押しつけることがで
きる。

ターンテーブル５は、円板状のテーブル材１５
を主たる構成部材としており、テーブル材１５の
回転中心に軸孔２４が形成されている。

テーブル材１５の軸孔２４内に嵌めつけられる
ピン軸２３には、その上端に位置決めピン２３ａ
が一体形成されており、当該ピン軸２３がテーブ
ル材１５の軸孔２４に嵌めつけられて、位置決め
ピン２３ａがテーブル材１５上に突出している。

この位置決めピン２３ａは、原子燃料ペレツト
２と同径である。

ターンテーブル５を回転自在に支持するための
手段は、上端に軸受穴２５を有する回転軸１６、
皿形の予圧バネ１７、ロツクナツト１８，１９、
下端外周に取付孔２０ａを有するベアリングケー
ス２０、ベアリング２１，２２、操作ノブ２６な
どを介してつぎのように構成されている。

ベアリングケース２０は、固定体３２上に立て
られ、かつ、取付孔２０ａより捩こまれたビスを
介して固定体３２に固定されている。

回転軸１６は、ベアリングケース２０内に内装
されて上下のベアリング２１，２２により回転自
在に支持されているとともに、回転軸１６の下端
部には、ベアリング２２の下側に予圧バネ１７が
嵌めこまれ、ロツクナツト１８，１９、操作ノブ
２６が順次捩こまれている。

この回転軸１６は、操作ノブ２６を手動または
電動で回すことにより回転させることができる。

前述したターンテーブル５は、そのテーブル材
１５の回転中心にあるピン軸２３が回転軸１６の
軸受穴２５内に装着され、かくて、水平に支持さ
れたターンテーブル５は、回転軸１６と共に回転
するようになつている。

上記において、ベアリング２１，２２は、通常
のベアリングでもよいが、アンギユラーベアリン
グがより望ましい。

上記において、回転軸１６側に備えられた予圧
バネ１７は、回転系統のガタツキを防止する。

原子燃料ペレツト用の測定機６としては、原子
燃料ペレツト２の端面２ａに接触して伸縮する構
造を備えたものが用いられる。

一例として第３図に示した測定機６は、表示部
３１を有する本体３０下に突出したステム２９に
スピンドル２８が伸縮自在に組み合わされ、スピ
ンドル２８の先端の測定子２７が取りつけられた
ものであり、本体３０の表示部３１には、スピン
ドル２８の伸縮量がデジタル表示（アナログ表示
でもよい）されるようになつている。

かかる測定機６は、原子燃料ペレツト２端面直
角度が測定できるように、前記回転装置１の近傍
に配置されて定位置に固定される。

本考案に係る回転装置１の具体的用法について
説明する。

はじめ、第２図を参照して明らかなように、ペ
レツト固定具４をＶブロツク３の上面に被せてＶ
字面３ａの角部と押止体１４の押当部材１４ｂと
を互いに対向させ、これらの対向部間に原子燃料
ペレツト２を介在させた後、押止体１４を締めつ
けて原子燃料ペレツト２の外周面をＶ字面３ａに
押しつける。

こうしてＶブロツク３に取りつけられた原子燃
料ペレツト２の端面２ａは、Ｖブロツク３の上端
面より突出している。

上記の作業と並行または前後して、ターンテー
ブル５側では、位置決めピン２３ａが原子燃料ペ
レツト２と同径であるピン軸２３を選定し、その
ピン軸２３をテーブル材１５の軸孔２４、回転軸
１６の軸受穴２５に嵌めつけておく。

つぎに、原子燃料ペレツト２が取りつけられた
Ｖブロツク３を、これのＶ字面３ａが立面状とな
るようにターンテーブル５上に載せ、かつ、当該
Ｖ字面３ａの角部を位置決めピン２３ａの外周面
に当接させる。

かくて、原子燃料ペレツト２の軸心とテーブル
材１５の回転中心（＝回転軸１６の回転中心）と
が、Ｖブロツク３のＶ字面３ａと位置決めピン２
３ａとを介して互いに一致する。

なお、Ｖブロツク３は、これの自重が大である
ので、単にテーブル材１５上に載置するだけでも
よく、あるいは、ボルト、ナツトのごとき止具を
介してテーブル材１５に固定してもよい。

しかる後、第３図に示すように、ターンテーブ
ル５の近傍に配置かつ固定されいる測定機６の測
定子２７を、燃料ペレツト２の端面２ａに接触さ
せる。

以下、操作ノブ２６を手動回転または電動回転
させてテーブル材１５を水平回転させると、これ
にともなつて原子燃料ペレツト２が回転し、原子
燃料ペレツト２の端面２ａに接触している測定子
２７の振幅が表示部３１に表示される。

したがつて、表示部３１に表示されたペレツト
端面２ａの測定値について、既述のとおり、最大
値と最小値との差を求めてその差を1/2とするこ
とにより、ペレツト端面２ａの直角度を知ること
ができる。

かかる直角度測定に基づき、ペレツト端面２ａ
について良否判別し、不良の原子燃料ペレツト２
を排除する。

［考案の効果］ 本考案に係る原子燃料ペレツトの端面直角度測
定用回転装置は、つぎのような効果を有する。

原子燃料ペレツトをターンテーブル上にセツ
トして、当該テーブルを回転させるので、端面
測定のためのペレツト回転に際し、作業員が原
子燃料ペレツトに直接触れることがなくなる。

したがつて、原子燃料ペレツトに触れない分
だけ、放射線被爆の危険性がなくなり、作業員
の安全性が高まる。

ターンテーブル上の位置決めピン、Ｖブロツ
クのＶ字面に依存して、原子燃料ペレツトの軸
心とターンテーブルの回転中心とを精密に一致
させることができるので、ターンテーブルを回
転させながら実施するペレツト端面の直角度測
定が精度よく行なえ、しかも、Ｖブロツクが原
子燃料ペレツトにより損傷されることがないの
で、かかる高精度を長期にわたり保持すること
ができる。

ペレツト固定具を介して原子燃料ペレツトを
Ｖブロツクに取りつけ、そのＶブロツクのＶ字
面をターンテーブル上の位置決めピンに当接さ
せるだけであるから、ペレツト端面の直角度測
定に際して労力、難度がともなわず、再現性も
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は本考案に係る回転装
置の一実施例を示した切欠正面図と平面図と要部
の斜視図、第４図は従来のペレツト端面測定手段
を略示した斜視図、第５図Ａ，Ｂは不良の燃料ペ
レツトを示した斜視図と正面図である。 １……回転装置、２……原子燃料ペレツト、３
……Ｖブロツク、３ａ……Ｖ字面、４……ペレツ
ト固定具、５……ターンテーブル、１２……枠
体、１４……押止体、１５……テーブル材、２３
……ピン軸、２３ａ……位置決めピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円柱形状を有する原子燃料ペレツトの端面直角
   度を測定するにあたり、その原子燃料ペレツトを
   垂直に保持して回転させるための回転装置におい
   て、水平回転自在に支持されたターンテーブルの
   回転中心からそのターンテーブル上に、前記原子
   燃料ペレツトと同径の位置決めピンが垂直に突出
   しており、Ｖ字形に凹んだ立面状のＶ字面を有す
   るＶブロツクが前記ターンテーブル上に載置され
   て、そのＶブロツクのＶ字面と位置決めピンの外
   周面とが互いに当接しており、前記Ｖブロツクの
   上部と着脱自在に対応するペレツト固定具が、そ
   のＶブロツク外周に嵌めつけられる枠体と、該枠
   体の一部に保持されて前記原子燃料ペレツトの外
   周面をＶブロツクのＶ字面に押しつけるための押
   止体とを備えていることを特徴とする原子燃料ペ
   レツトの端面直角度測定用回転装置。