JPH055221A - コイル状炭素繊維束の製造方法 - Google Patents

コイル状炭素繊維束の製造方法

Info

Publication number
JPH055221A
JPH055221A JP29521291A JP29521291A JPH055221A JP H055221 A JPH055221 A JP H055221A JP 29521291 A JP29521291 A JP 29521291A JP 29521291 A JP29521291 A JP 29521291A JP H055221 A JPH055221 A JP H055221A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitch
fiber bundle
fiber
spinning
spun
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP29521291A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2951079B2 (ja
Inventor
Eiji Kitajima
嶋 栄 二 北
Takashi Oyama
山 隆 大
Eiji Maruden
伝 英 次 丸
Hiroichi Teraoka
岡 博 一 寺
Haruki Yamazaki
嵜 春 樹 山
Susumu Shimizu
水 進 清
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koa Oil Co Ltd
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Original Assignee
Koa Oil Co Ltd
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Koa Oil Co Ltd, Tanaka Kikinzoku Kogyo KK filed Critical Koa Oil Co Ltd
Priority to JP29521291A priority Critical patent/JP2951079B2/ja
Publication of JPH055221A publication Critical patent/JPH055221A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2951079B2 publication Critical patent/JP2951079B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Fibers (AREA)
  • Chemical Treatment Of Fibers During Manufacturing Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 規則的なコイル状の繊維束からなり、伸縮特
性にすぐれた炭素繊維束を得ること。 【構成】 本発明によるコイル状炭素繊維束の製造方法
は、特定の性状を有する2種以上のピッチを複合化させ
て単繊維として紡糸し、このようにして紡糸された単繊
維を集束して繊維束とし、次いで得られた繊維束を緊張
下で不融化し、さらに炭化することを特徴とするもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素繊維に関し、特にコ
イル状に調整したピッチ系炭素繊維束の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】一般
に炭素繊維はPAN系とピッチ系に大別され、PAN系
炭素繊維はポリアクリルニトリル繊維を特定条件で焼成
して製造され、ピッチ系炭素繊維は異方性ピッチまたは
等方性ピッチを溶融紡糸した後、不融化・炭化すること
により製造されている。これらの炭素繊維は、原料や特
性の違いに応じた夫々の特徴に適合した製品応用が進め
られ、宇宙・航空用、産業用、スポーツ・レジャー用製
品などの材料として広く利用されている。従来製造され
ている炭素繊維は軽量、高強度、耐熱性、耐薬品性など
にすぐれた物性を有している半面、一般に脆性材料とし
ての挙動を示し、伸びが低く柔軟性に劣るため、これら
の特性が要求される材料としては、従来の炭素繊維は必
ずしも適当ではない。また、従来の炭素繊維の製造方法
においては、伸びや弾性にすぐれた繊維ないし繊維束を
製造することは困難であった。
【0003】このような従来技術に鑑みて、既に本発明
者は、等方性ピッチと異方性ピッチを別々に供給し、紡
糸孔からこれらを一緒に紡糸することにより等方性組織
と異方性組織からなる弾性にすぐれたカール状繊維の製
造方法を提案している(特開平3−90626号明細
書)。この方法によれば、比較的低コストで弾性にすぐ
れた炭素繊維材料を得ることができるが、通常等方性ピ
ッチと異方性ピッチはその軟化点が異なるため、さらに
は吐出後の細化挙動が異なるために一緒に紡糸すること
は必ずしも容易ではなく、また、単に異方性組織と等方
性組織を混在させただけ、またはこの混在した繊維を単
に不融化・炭化しただけでは、得られた繊維は単糸毎に
ランダムにカールするだけなので、かさ高くウェーブし
た繊維はえられるものの、良好な伸縮性を示すまでには
いたらず、必ずしも満足のいくものではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した点に鑑
みてなされたものであり、規則的な繊維束からなり伸縮
性、弾性にすぐれた炭素繊維束を得るための効率的な方
法を提供することを目的としている。本発明者は、伸縮
性の優れた炭素繊維を得るために鋭意研究した結果、特
定の性状を有する2種以上のピッチを複合化させて単繊
維として紡糸し、この単繊維を集束させて特定条件下で
不融化し、さらに炭化させることによって、コイル方向
の揃った伸縮性にすぐれたコイル状繊維束が得られるこ
とを見出した。
【0005】本発明によるコイル状炭素繊維束の製造方
法は、上述した知見に基づいて完成されたものであり、
より詳しくは、紡糸されたピッチの炭化時における繊維
軸方向の線収縮率の最大差が5%以上であり、かつ、各
ピッチの軟化点の差が10℃以内である2種以上のピッ
チを複合化させて単繊維として紡糸し、このようにして
紡糸された単繊維を集束して繊維束とし、次いで得られ
た繊維束を緊張下で不融化し、さらに炭化することを特
徴とするものである。さらに本発明の他の態様に係るコ
イル状炭素繊維束の製造方法は、紡糸されたピッチの炭
化時における繊維軸方向の線収縮率の最大差が1〜5%
であり、かつ、各ピッチの軟化点の差が10℃以内であ
る2種以上のピッチを複合化させて単繊維として紡糸
し、このようにして紡糸された単繊維を集束して繊維束
とし、次いで得られた繊維束に捩れを付与した後、およ
び/または捩れを与えながら緊張下で不融化し、さらに
炭化することを特徴とするものである。このようにして
得られた炭化繊維は、第1図に示すように個々の単繊維
のコイル方向がきれいに揃った伸縮性にすぐれたコイル
状繊維束からなる。
【0006】本発明において紡糸原料となるピッチは、
炭化時における繊維軸方向の線収縮率の最大差が5%以
上であり、かつ、各ピッチの軟化点の差が10℃以内と
なる性状を有する限りにおいて、その由来、材料組成は
制限されず、従来公知の石油系あるいは石炭系紡糸ピッ
チが広く用いられ得る。さらに本発明の第2の態様によ
る方法においては、炭化時における繊維軸方向の線収縮
率の最大差が1〜5%であり、かつ、各ピッチの軟化点
の差が10℃以内となる性状を有するピッチを用いるこ
とができる。この場合においては、前述したように得ら
れた繊維束に捩れを付与した後、および/または捩れを
与えながら緊張下で不融化する必要がある。本発明にお
いて使用し得るピッチは、具体的には、たとえば光学的
等方性ピッチ、光学的異方性ピッチ、等方性と異方性成
分混合ピッチあるいはこれらの組合せから選択すること
ができる。複数種類の紡糸ピッチを複合化させて単繊維
として紡糸する方法としては、たとえば2種以上のピッ
チを非混合状態で紡糸装置に供給し複合ノズルにより一
緒に溶融紡糸することによりピッチの複合化を行うこと
ができ、このような複合化単繊維の紡糸装置としては、
特開平3−90626号明細書に記載されたものを用い
ることができる。
【0007】本発明における繊維のねじれは複合化繊維
を構成するピッチの炭化時における収縮率差によって発
現する。収縮率の差が5%未満では、繊維は軽くウェー
ブするにとどまり、コイル状とはならない。2種以上の
ピッチを複合紡糸する際においては、夫々のピッチの最
適紡糸温度が一致していることが好ましい。通常、紡糸
ピッチは温度による粘度の変化が大きいため最適紡糸温
度範囲が狭い。従って良好に紡糸するためには紡糸温度
においてピッチの粘度がほぼ近似していることが好まし
い条件であり、そのためにはピッチの軟化点の差が、1
0℃以下であることが肝要である。
【0008】複数種類のピッチを複合化する際の各ピッ
チの繊維断面にしめる割合は得られる炭素繊維のコイル
化特性にも影響し、炭化時における線収縮率の大きなピ
ッチの割合が多い程ねじれの度合が大きくなり、良好な
コイル状の繊維束が得られる。本発明においては、線収
縮率の大きなピッチの複合割合は特に限定されるもので
はないが、約5〜約95%の範囲が好ましく、さらに好
ましくは20〜90%であり、最も好ましくは30〜8
0%である。炭化時の線収縮率の大なるピッチの割合が
約5%以下ではコイル状の程度がやや劣り、伸縮性が低
下する傾向がみられる。一方、95%を越えると逆に良
好なコイル状とはならなくなる場合があるので好ましく
ない。
【0009】複合化ピッチ繊維をストランドする場合、
繊維内の各ピッチの存在位置が揃ったものでないとコイ
ル化の方向が不揃いになる場合があるが、このような場
合においては、紡糸ピッチを集束剤で処理し、繊維の横
方向に向きを固定することが好ましい。このような目的
で使用する集束剤としては、たとえばエチルアルコー
ル、エチルアルコールと水との混合物、およびエチルア
ルコールとシリコン油−水エマルジョンの混合物などが
挙げられる。
【0010】繊維の集束はフィラメント数が10000
以下であること好ましい。ピッチ繊維はその不融化工程
で僅かに縮れる傾向があるため、集束した繊維束が乱
れ、このまま炭化するとねじれの方向が乱れ、良好なコ
イル状とはならない。本発明者は、上記のような条件で
得られた繊維の集束物を緊張下において不融化し、さら
に炭化することによって、コイル方向がきれいに揃った
伸縮性にすぐれたコイル状繊維束が得られることを見出
している。この場合の不融化工程は、使用する紡糸ピッ
チ種類ならびに組み合わせに応じて適宜調整され得る
が、通常、フィラメント1本当たり、0.0001g以
上の緊張下で行うことが好ましく、さらに好ましくは、
0.0004g程度以上が望ましい。
【0011】炭化工程は、実質的に非緊張下で行うこと
が望ましいが、フィラメント1本当たり0.05g未満
の緊張力が存在していてもよい。炭化時にフィラメント
1本当たり0.05g以上の大きな緊張をかけると複合
化した各ピッチの線収縮率の差が少なくなるため良好な
コイル状のものが得られなくなるので好ましくない。炭
素繊維束の不融化の際の温度条件は特に制限されるもの
ではないが、通常、220〜300℃の温度範囲で行う
ことができ、さらに炭化は、700〜3000℃の温度
範囲で実施され得る。また、本発明の第2の態様におい
ては、前述したように得られた繊維束に捩れを付与した
後、および/または捩れを与えながら緊張下で不融化す
ることによって、良好なコイル形状と伸縮特性を有する
炭素繊維束を得ることができる。この場合の捩れの回数
としては、10回転/m以上であることが好ましい。
【0012】上記のようにして製造したピッチ系炭素繊
維束は第1図に示すようにコイル状に各単繊維が揃った
状態のきれいなコイル形態を有しており、荷重をかける
と容易に10%〜100%の伸びを示し、さらに加重を
解除した瞬間に元の長さに復元するあたかもゴム紐に近
似した挙動を示す。また、この伸縮特性は、後述する実
施例に示されているように一万回伸縮を繰り返した後も
維持されている。
【0013】さらにまた、後述する実施例に示されてい
るように、紡糸ピッチの複合割合、繊維径の大きさ、繊
維束の本数などを適宜調整することによって任意の伸縮
特性を有するコイル状炭素繊維束を製造することができ
る。
【0014】
【実施例】石油系重質油を原料として、表1に示すよう
な炭化時の線収縮率の異なる紡糸ピッチA〜Fを調整し
た。
【0015】(実施例1)内側ノズルの径が0.2mm、
外側ノズルの径が0.5mmであるシースコア型複合ノズ
ルの内側に表1に示す紡糸ピッチBを、外側に紡糸ピッ
チAを別々に供給して吐出孔より一緒に紡糸して、紡糸
ピッチA,Bの複合ピッチ繊維を得た。この時、A,B
の吐出割合が20:80になるように各ピッチの吐出圧
力を調整した。曳糸性は良好で1時間以上にわたって、
糸切れは発生しなかった。この複合ピッチ繊維1500
本をエチルアルコールを用いて集束させた後、繊維一本
当たり0.0004gの緊張下、空気中290℃で不融
化した後、緊張を解除し窒素雰囲気中1000℃で炭化
した。このようにして得られたピッチ系炭素繊維束は第
1図の顕微鏡写真に示すようにコイル状に各単繊維が揃
った状態のきれいなコイル形態であり、荷重をかけると
容易に100%以上の伸びを示し、さらに荷重を解除し
た瞬間に元の長さに復元するという、あたかもゴム紐と
同じ挙動を示した。また、この伸縮性は一万回伸縮を繰
り返した後も維持されていた。
【0016】(実施例2)実施例1と同様にして紡糸、
不融化した繊維束を繊維一本当たり0.01gの緊張下
で炭化してコイル状炭素繊維束を得た。ここで得られた
繊維束は実施例1と同様にコイル状にねじれ、荷重をか
けたときの伸びは65%であった。
【0017】(比較例1)実施例1と同様にして紡糸し
た複合ピッチ繊維束を無緊張下で不融化した後炭化し
た。不融化工程で繊維束が乱れたため、コイル状になっ
た部分とそうでない部分が存在し、伸縮性の劣ったもの
であった。
【0018】(比較例2)実施例1と同様にして紡糸、
不融化した繊維束を繊維一本当たり0.1gの緊張下で
炭化してコイル状炭素繊維束を得た。ここで得られた繊
維束は実施例1のようなコイル状とはならず、通常の炭
素繊維と同じく伸縮性は全く認められなかった。
【0019】(比較例3)紡糸ピッチDと紡糸ピッチA
を80:20の割合で、実施例1と同様に複合紡糸し、
不融化・炭化をおこなった。この場合、両ピッチの炭化
時の線収縮率の差が小さいため、コイル状繊維束は得ら
れなかった。
【0020】(比較例4)紡糸ピッチBと紡糸ピッチC
を80:20の割合で、実施例1と同様に複合紡糸した
が、両ピッチの軟化点の差が大きいため、それぞれの紡
糸可能温度領域が異なり、どの紡糸温度においても糸切
れが頻発し、複合繊維を得る事が出来なかった。
【0021】 表1(紡糸ピッチの物性) ピッチ 軟化点 異方性 トルエン キノリン 炭化時の 名称 割合 不溶分 不溶分 線収縮率 (℃) (%) (%) (%) (%) A 235 99 77 30 5.8 B 235 0 56 0 12.9 C 260 100 80 33 5.8 D 240 52 70 8 8.5 E 220 0 59 0 9.8 F 220 99 70 23 7.9 (実施例3)実施例1と同様のシースコア型複合ノズ
ルの内側に表1に示す紡糸ピッチB、外側に紡糸ピッチ
Aを各々別々に供給して、吐出孔より一緒に紡糸するこ
とにより紡糸ピッチAおよびBからなる複合ピッチ繊維
を得た。このとき、各ピッチの吐出圧力を調整すること
によって、吐出割合が異なる種々の複合ピッチ繊維を得
た。この場合、どの吐出割合においても曵糸性は良好で
1時間以上にわたって糸切れは発生しなかった。
【0022】このようにして得られた複合ピッチ繊維1
500本を、エチルアルコールを用いて収束させたの
ち、実施例1と同様の方法によって不融化と炭化を行っ
た。このようにして得られた種々の吐出割合が異なるコ
イル状炭素繊維束は、下記表2に示すように、紡糸ピッ
チBの吐出割合を調整することによって繊維束の伸縮特
性を任意に制御することができることが認められた。
【0023】(実施例4)実施例1と同様のシースコア
型複合ノズルの内側に表1に示す紡糸ピッチA、外側に
紡糸ピッチBを各々別々に供給した以外は、実施例3と
同様の方法によりコイル状炭素繊維束を得た。得られた
吐出割合が異なる種々のコイル状炭素繊維束は、表2に
示すように、紡糸ピッチBの吐出割合を調整することに
よって繊維束の伸縮特性を任意に制御することができる
ことが認められた。
【0024】 表2 繊維内の紡糸 荷重100gにおける 荷重1000g における ピッチBの 伸び率(%) 伸び率(%) 含有量(%) 実施例3 実施例4 実施例3 実施例4 20 30 40 − − 30 − − 100以上 100以上 50 45 47 100以上 100以上 90 65 58 100以上 100以上 (実施例5)ノズルの内側に紡糸ピッチA、外側に紡
糸ピッチBを供給し、さらに複合ピッチ繊維の繊維径ま
たは集束繊維数を変化させた以外は実施例1と同様にし
てコイル状炭素繊維束を得た。得られた種々のコイル状
炭素繊維束を、下記表3に示すように、単繊維の繊維径
または繊維の集束数を調整することによって伸縮特性を
任意に制御することができることが認められた。
【0025】 表3 集束繊維数 繊維径 伸び率(%) (本) (μm) 荷重20g 荷重50g 荷重80g 1000 15 23 38 44 1000 25 20 33 41 3000 15 9 18 24 (実施例6)内側ノズルの径が0.2mm、外側ノズル
の径が0.5mmであるシースコア型複合ノズルの内側に
表1に示す紡糸ピッチFを、外側に紡糸ピッチEを別々
に供給して吐出孔より一緒に紡糸して、紡糸ピッチE,
Fの複合ピッチ繊維を得た。この時、E,Fの吐出割合
が20:80になるように各ピッチの吐出圧力を調整し
た。曳糸性は良好で1時間以上にわたって、糸切れは発
生しなかった。この複合ピッチ繊維1500本をエチル
アルコールを用いて集束させた後、得られた繊維束に1
0回転/mの条件で捩れを付与し、この捩られた状態に
おいて、繊維一本当たり0.0004gの緊張下、空気
中290℃で不融化した後、緊張を解除し窒素雰囲気中
1000℃で炭化した。このようにして得られたピッチ
系炭素繊維束は第1図の顕微鏡写真に示すようにコイル
状に各単繊維が揃った状態のきれいなコイル形態であ
り、荷重をかけると容易に100%以上の伸びを示し、
さらに荷重を解除した瞬間に元の長さに復元するとい
う、あたかもゴム紐と同じ挙動を示した。また、この伸
縮性は一万回伸縮を繰り返した後も維持されていた。 (実施例7)ピッチAおよびピッチDを用いて、上記実
施例6と同様の方法によって、炭素繊維束を得た。得ら
れた炭素繊維束は、実施例6のものと同様の規則的なコ
イル形態ならびに伸縮特性を有していた。 (比較例5)ピッチEおよびFを用いて、実施例6と同
様の方法で紡糸、集束した繊維束を、この場合は捩れを
与えることなく、そのままの状態で繊維1本当り0.0
004gの緊張下、空気中290℃で不融化した後、緊
張を解除し窒素雰囲気中1000℃で炭化した。このよ
うにして得られた炭素繊維束は、軽くウェーブするに止
まり、コイル状の繊維束を得るには至らなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に記載された方法で得られたコ
イル状炭素繊維束の繊維の形状を示す顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺 岡 博 一 大阪府堺市石津町2−2−31 (72)発明者 山 嵜 春 樹 神奈川県伊勢原市鈴川26番地 田中貴金属 工業株式会社伊勢原工場内 (72)発明者 清 水 進 東京都中央区日本橋茅場町2丁目6番6号 田中貴金属工業株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】紡糸されたピッチの炭化時における繊維軸
    方向の線収縮率の最大差が5%以上であり、かつ、各ピ
    ッチの軟化点の差が10℃以内である2種以上のピッチ
    を複合化させて単繊維として紡糸し、このようにして紡
    糸された単繊維を集束して繊維束とし、次いで得られた
    繊維束を緊張下で不融化し、さらに炭化することを特徴
    とする、コイル状炭素繊維束の製造方法。 【請求項2】前記ピッチが、光学的等方性ピッチ、光学
    的異方性ピッチ、等方性と異方性成分混合ピッチあるい
    はこれらの組合せによって複合化される、請求項1に記
    載の方法。 【請求項3】2種以上のピッチを非混合状態で紡糸装置
    に供給し複合ノズルにより一緒に溶融紡糸することによ
    りピッチの複合化を行う、請求項1に記載の方法。 【請求項4】複合ノズルにより単繊維になるように紡糸
    するに際し、収縮率の最も大なるピッチの吐出割合が全
    体の約5〜約95%の範囲にした請求項3に記載の方
    法。 【請求項5】紡糸された単繊維のフィラメント数が10
    000以下であるような繊維束に集束する、請求項1に
    記載の方法。 【請求項6】繊維を集束するにあたり、エチルアルコー
    ル、エチルアルコールと水との混合物、およびエチルア
    ルコールとシリコン油−水エマルジョンの混合物からな
    る群から選択される集束剤を使用する、請求項1に記載
    の方法。 【請求項7】不融化の際の緊張を、繊維一本当たり0.
    0001g以上とする、請求項1に記載の方法。 【請求項8】炭化工程を、実質的に非緊張下で行う、請
    求項1に記載の方法。 【請求項9】炭化工程を、炭化時の緊張が繊維一本当た
    り0.05g以下となる条件で行う、請求項1に記載の
    方法。 【請求項10】複合化する紡糸ピッチの吐出割合、紡糸
    する繊維径の大きさ、ならびに集束する繊維の本数のう
    ちのいずれか少なくとも一つを調整することによって、
    得られるコイル状炭素繊維束の伸縮特性を制御する、請
    求項1に記載の方法。 【請求項11】コイル状に整然と調整した繊維束の形態
    からなりすぐれた伸縮性を有することを特徴とするコイ
    ル状炭素繊維束。 【請求項12】紡糸されたピッチの炭化時における繊維
    軸方向の線収縮率の最大差が1〜5%であり、かつ、各
    ピッチの軟化点の差が10℃以内である2種以上のピッ
    チを複合化させて単繊維として紡糸し、このようにして
    紡糸された単繊維を集束して繊維束とし、次いで得られ
    た繊維束に捩れを付与した後、および/または捩れを与
    えながら緊張下で不融化し、さらに炭化することを特徴
    とする、コイル状炭素繊維束の製造方法。 【請求項13】前記ピッチが、光学的等方性ピッチ、光
    学的異方性ピッチ、等方性と異方性成分混合ピッチある
    いはこれらの組合せによって複合化される、請求項12
    に記載の方法。 【請求項14】2種以上のピッチを非混合状態で紡糸装
    置に供給し複合ノズルにより一緒に溶融紡糸することに
    よりピッチの複合化を行う、請求項12に記載の方法。 【請求項15】複合ノズルにより単繊維になるように紡
    糸するに際し、収縮率の最も大なるピッチの吐出割合が
    全体の約5〜約95%の範囲にした請求項14に記載の
    方法。 【請求項16】紡糸された単繊維のフィラメント数が1
    0000以下であるような繊維束に集束する、請求項1
    2に記載の方法。 【請求項17】繊維を集束するにあたり、エチルアルコ
    ール、エチルアルコールと水との混合物、およびエチル
    アルコールとシリコン油−水エマルジョンの混合物から
    なる群から選択される集束剤を使用する、請求項12に
    記載の方法。 【請求項18】不融化の際の緊張を、繊維一本当たり
    0.0001g以上とする、請求項12に記載の方法。 【請求項19】炭化工程を、実質的に非緊張下で行う、
    請求項12に記載の方法。 【請求項20】炭化工程を、炭化時の緊張が繊維一本当
    たり0.05g以下となる条件で行う、請求項12に記
    載の方法。 【請求項21】複合化する紡糸ピッチの吐出割合、紡糸
    する繊維径の大きさ、ならびに集束する繊維の本数のう
    ちのいずれか少なくとも一つを調整することによって、
    得られるコイル状炭素繊維束の伸縮特性を制御する、請
    求項12に記載の方法。 【請求項22】繊維束に与える捩れを10回転/m以上
    とする、請求項12に記載の方法。
JP29521291A 1990-10-24 1991-10-15 コイル状炭素繊維束の製造方法 Expired - Lifetime JP2951079B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29521291A JP2951079B2 (ja) 1990-10-24 1991-10-15 コイル状炭素繊維束の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28632390 1990-10-24
JP3-60886 1991-02-07
JP6088691 1991-02-07
JP2-286323 1991-02-07
JP29521291A JP2951079B2 (ja) 1990-10-24 1991-10-15 コイル状炭素繊維束の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH055221A true JPH055221A (ja) 1993-01-14
JP2951079B2 JP2951079B2 (ja) 1999-09-20

Family

ID=27297323

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29521291A Expired - Lifetime JP2951079B2 (ja) 1990-10-24 1991-10-15 コイル状炭素繊維束の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2951079B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115369592A (zh) * 2022-08-31 2022-11-22 安徽天富环保科技材料有限公司 一种碳纤维布毡制备设备及制备工艺

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115369592A (zh) * 2022-08-31 2022-11-22 安徽天富环保科技材料有限公司 一种碳纤维布毡制备设备及制备工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2951079B2 (ja) 1999-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3702054A (en) Production of graphite fibers
EP0205960B1 (en) Very low creep, ultra high moduls, low shrink, high tenacity polyolefin fiber having good strength retention at high temperatures and method to produce such fiber
US10724162B2 (en) High strength small diameter fishing line
JPH0327122A (ja) 炭素質繊維の製造法
CN1228129A (zh) 自卷曲共轭长丝、用其制成的无缝带状物及其制法
WO2005059213A1 (ja) ピッチ系炭素繊維スライバー及び紡績糸の製造方法
EP0223199A2 (en) Process for producing high-strenght, high-modulus carbon fibers
US5277850A (en) Process for producing a coil-shaped carbon fiber bundle
JPH0370012B2 (ja)
JP2951079B2 (ja) コイル状炭素繊維束の製造方法
EP0958414A1 (en) Bicomponent fibers in a sheath-core structure comprising fluoropolymers and methods of making and using same
BE1000117A3 (fr) Structure de fil fascie obtenue par filage sous vide.
CN110144649B (zh) 一种电纺聚丙烯腈基纳米碳纤维连续长线纱及其制备方法
JPH0561367B2 (ja)
JP2003300717A (ja) カーボンナノチューブ前駆体繊維ならびにカーボンナノチューブおよびその製造方法
JPH04209841A (ja) スパイラル炭素繊維の製法
KR100490790B1 (ko) 모세관냉각장치를이용한단성분중공자발권축섬유의제조방법
JP2001355120A (ja) ラージトウプリカーサー、その製造方法及び炭素繊維の製造方法
JPH01239044A (ja) 炭素繊維およびその製造方法
KR102122101B1 (ko) 신축성이 우수한 잠재권축사 및 이의 제조방법
JPS58144123A (ja) ピツチ系炭素繊維の製造方法
JPH04209740A (ja) 炭素繊維複合材
JPS6269826A (ja) 高強度・高弾性炭素繊維の製造方法
JPS6147825A (ja) ピツチ系炭素繊維
JPS62177220A (ja) ピツチ系炭素繊維の製造方法