JPH0551323B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は金属イオン捕捉機能を有する過筒に
関するものである。

従来技術とその問題点 水溶液などに含まれる重金属イオンの除去につ
いて、従来から用いられている方法としては主に
イオン交換樹脂を使用して吸着させる方法であつ
た。

しかしながらイオン交換樹脂には次の如き欠点
があつた。

(1) 大きなビーズ状となつているため表面積が小
さくｇ当りの交換容量が小さい。

(2) 従つて交換容量当りのvolumeが大きく設置
スペースが大きいことが必要であつた。

(3) ビーズが膨潤することにより、多孔性が得ら
れる複雑な構造であるため、比表面積が小さ
く、重金属イオンとの会合も悪くなるため吸、
脱着（再生）速度が遅くなる。

(4) 多孔性を有した複雑な構造であるため、再生
のための酸、アルカリ液を多量に要し、これを
処理する設備も大となる。

(5) 電子工業等で用いられる超純水製造用のポリ
シヤーは比抵抗を低下させる不純物の混入が問
題となつており、又volumeが大きいために水
が滞留する部分が増え、バクテリアの温床にな
る。

(6) イオン交換樹脂の重量が重く、交換時の取扱
いや運搬に労力を要す。

発明の目的 本発明は上記に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、単位重量、単位volume
当りの交換容量が大きく、且つ吸着性能が著しく
優れた、しかも再生が容易である簡易カートリツ
ジ式のイオン交換過筒を提供することにある。

発明の構成 本発明は上記の目的を達成するべく、イオン交
換基あるいはキレート官能基が付与された繊維よ
りなるシートを１層あるいは多層重ねてプリーツ
した過部を備えた過筒であり、更にプレフイ
ルターとなるシートやメンブレンフイルターと重
ねてプリーツした過部を備えた過筒である。

実施例 以下本発明の詳細について図面に基づき説明す
る。

第１図は本発明の一実施例を示すイオン交換
過筒の一部切欠き外観図である。１はイオン交換
過筒でそれぞれアニオン交換基及びカチオン交
換基が付与された繊維よりなるシート５及び６が
重ねてプリーツされるとともに、プレフイルター
となるシートやメンブレンフイルターが重ねてプ
リーツされて、キヤツプ２の内側において、両端
共エポキシ接着３にて固定されている。４はイン
ナーチユーブで液の通路を確保すると共にハウジ
ングにセツトされた時に加わる締付け圧に対する
強度を保持するものである。と同時に過筒の外
側から流入する原液の圧力に対して構造を維持す
る役目を有するものである。

第２図は第１図のＡ−A′断面であり、アニオ
ン及びカチオン交換基が付与されたシートが積層
されて、プリーツされた状態を示しプリーツの合
せ目７が接着剤により固定されている。

上記した実施例の説明に先立ち、以下の参考例
１〜３によつてイオン交換基あるいはキレート官
能基が付与されたシートの性能を調査する。

参考例 １ 官能基としてスルホン酸ナトリウムを有する強
酸性カチオン交換繊維よりなるシート及び４級ア
ンモニウム塩を有する強塩基性アニオン交換繊維
よりなるシートを250mm巾に切断して、これら２
層を重ねて折り高さ15mmでプリーツを行なつた。
次いで、これを山数75山で切断して、プリーツの
合わせ目をエポキシ樹脂により接着し、PPより
なるインナーチユーブを中央に配して、プリーツ
の両端部をキヤツプと共にエポキシ接着剤により
固定して、イオン交換カートリツジとした。この
ものは見掛表面積0.5m²／本を有し、カチオン及
びアニオンそれぞれ交換容量として約1800mg／本
吸着する能力のカートリツジとなつた。耐薬品性
はPH１〜14と優れている。

このイオン交換カートリツジをハウジングにセ
ツトし、金属イオンが数PPM溶解している原水
を５／分本以下の流速でカートリツジの外側よ
り通水し、液を内側より得た。このイオン捕捉
速度は通常のイオン交換樹脂の100〜1000倍の能
力を有していた。液の金属イオンを分析すると
螢光Ｘ線又は原子吸光分析の検出限界以下であつ
た。総交換容量に相当するイオンを吸着した後、
カートリツジを取外し新品カートリツジと交換す
ることにより、所定の液を安定連続して得るこ
とができた。

参考例 ２ 官能基としてスルホン酸ナトリウムを有する強
酸性カチオン交換繊維よりなるシート２層を実施
例１と同様にプリーツ加工して、イオン交換カー
トリツジとした。このカートリツジの交換容量
は、約3600mg／本の能力を有していた。

イオンを含む原液を通水し、総交換容量に相当
するイオンを吸着した後、2Nの塩酸にて脱着、
再生することによつて繰返し使用することができ
た。

参考例 ３ 官能基としてイミノジ酢酸ナトリウムを有する
キレート型の繊維よりなるシートを実施例１と同
様にプリーツ加工して、イオン交換カートリツジ
とした。このカートリツジは特にCu、Pb、Cd、
Zn、Fe、Ni、Mn、Bi等の重金属に対し、優れ
た選択性を有するイオン交換カートリツジとなつ
た。

上記した各参考例に基づいて以下実施例により
説明する。

実施例 プレフイルターとなる紙やポリエステル不織
布シートと、活性炭素繊維よりなるシートと官能
基として４級アンモニウム塩が付与された強塩基
性アニオン交換繊維よりなるシート及び実施例１
に示したカチオン交換繊維よりなるシートと
0.22μの孔径を有するポリサルフオン樹脂精密
過膜の５層を重ねてプリーツし、実施例１と同様
のカートリツジとした。

このカートリツジは、粗大粒子をプレフイルタ
ーで捕捉し、有機物を活性炭素繊維で捕捉する。
又水溶液中のイオンを２種類のイオン交換シート
で捕捉する。精密過膜は、0.22μ以上のバクテ
リアや微粒子を捕捉する。１本のカートリツジで
多くの機能を有する過筒とすることができた。
特にこの過筒は、不純物の溶出が少なく超純水
製造に使用するのに最適であつた。

本発明のブリーツ加工して過筒を製作する場
合の、プリーツの合わせ目やプリーツ両端の接着
は、ヒートセツトやポリエチレン、ポリプロピレ
ン等の板との融着やホツトメルト等も適用するこ
とができ、エポキシ接着と同様の効果を有する。

本発明の過筒に供給する水溶液などの流速
は、実施例に示す以外に各々が持つ機能を最大限
に発揮できる数値を選択すればよい。

又イオン交換繊維よりなるシートも実施例に示
す以外に弱塩基性アニオン、弱酸性カチオン型の
ものも使用できることは云うまでも無い。

発明の効果 本発明はイオン交換基あるいはキレート官能基
が付与された繊維よりなるシートを１層あるいは
多層重ねてプリーツするとともに、プレフイルタ
ーとなるシートやメンブレンフイルターを重ねて
プリーツした過部を備えた過筒とすることに
より、単位重量、単位volume当りの交換容量が
大きくなり、且つ吸着性能が著しく優れ、しかも
再生が容易であるイオン交換過筒が提供でき、
その工業的価値は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すイオン交換
過筒の一部切欠き外観図、第２図は第１図のＡ−
A′断面図である。 １……イオン交換過筒、２……キヤツプ、３
……エポキシ接着部、４……インナーチユーブ、
５……アニオン交換基シート、６……カチオン交
換基シート、７……合わせ目。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ イオン交換基あるいはキレート官能基が付与
   された繊維よりなるシートと、メンブレンフイル
   ターおよび／またはプレフイルターとなるシート
   とを重ねてプリーツして中央にインナーチユーブ
   を配し、前記各シートの上端および下端をキヤツ
   プの裏面に固定したことを特徴とする過筒。 ２ イオン交換基がアニオン交換基またはカチオ
   ン交換基であることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の過筒。 ３ メンブレンフイルターが活性炭繊維と精密
   過膜とからなることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の過筒。 ４ プレフイルターが紙、不織布またはガラス
   マツトからなることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の過筒。