JPH0551259A - 工具用窒化ケイ素焼結体及び工具用被覆窒化ケイ素焼結体 - Google Patents
工具用窒化ケイ素焼結体及び工具用被覆窒化ケイ素焼結体Info
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- JPH0551259A JPH0551259A JP3237227A JP23722791A JPH0551259A JP H0551259 A JPH0551259 A JP H0551259A JP 3237227 A JP3237227 A JP 3237227A JP 23722791 A JP23722791 A JP 23722791A JP H0551259 A JPH0551259 A JP H0551259A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 窒化ケイ素焼結体の表面を改質し、鉄族金属
との親和性を小さくし、高温における強度及び耐摩耗性
に優れる窒化ケイ素焼結体、並びにこの焼結体の表面に
被膜を形成し、被膜の密着性を高め、耐摩耗性及び耐欠
損性に優れる被覆窒化ケイ素焼結体を目的とする。 【構成】 焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの
平均的元素量が焼結体の表面から２００μｍ以上の内部
におけるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量に比べて増
加させた窒化ケイ素焼結体、並びにこの焼結体の表面に
硬質被膜を形成した被覆窒化ケイ素焼結体。 【効果】 切削工具として用いた場合、従来品又は本発
明品を外れた比較品に比べて、耐欠損性が同等で、耐摩
耗性が約４５〜６２％も向上する窒化ケイ素焼結体、並
びに耐欠損性が約３９〜５２％向上し、耐摩耗性が約４
３〜９７％も向上する被覆窒化ケイ素焼結体。
との親和性を小さくし、高温における強度及び耐摩耗性
に優れる窒化ケイ素焼結体、並びにこの焼結体の表面に
被膜を形成し、被膜の密着性を高め、耐摩耗性及び耐欠
損性に優れる被覆窒化ケイ素焼結体を目的とする。 【構成】 焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの
平均的元素量が焼結体の表面から２００μｍ以上の内部
におけるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量に比べて増
加させた窒化ケイ素焼結体、並びにこの焼結体の表面に
硬質被膜を形成した被覆窒化ケイ素焼結体。 【効果】 切削工具として用いた場合、従来品又は本発
明品を外れた比較品に比べて、耐欠損性が同等で、耐摩
耗性が約４５〜６２％も向上する窒化ケイ素焼結体、並
びに耐欠損性が約３９〜５２％向上し、耐摩耗性が約４
３〜９７％も向上する被覆窒化ケイ素焼結体。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、旋削工具，フライス工
具，ドリル，エンドミル等の切削工具又はスリッター，
ブッシュ，ワイヤカッター，ガイド，ノズル，バルブ，
ボール等の耐摩耐食用工具として適し、特にスローアウ
ェイチップとして用いる切削工具に最適な工具用窒化ケ
イ素焼結体及びその表面に被膜を形成した工具用被覆窒
化ケイ素焼結体に関するものである。
具，ドリル，エンドミル等の切削工具又はスリッター，
ブッシュ，ワイヤカッター，ガイド，ノズル，バルブ，
ボール等の耐摩耐食用工具として適し、特にスローアウ
ェイチップとして用いる切削工具に最適な工具用窒化ケ
イ素焼結体及びその表面に被膜を形成した工具用被覆窒
化ケイ素焼結体に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】窒化ケイ素焼結体は、機械的強度，耐熱
性，耐熱衝撃性に優れていることから、切削工具等の工
具材料へ用いることが試みられている。しかしながら、
窒化ケイ素自体が鉄族金属との親和性に富むために、窒
化ケイ素焼結体の切削工具でもって鉄系材料を切削した
場合、耐摩耗性が極端に劣化し、実用できないという問
題がある。
性，耐熱衝撃性に優れていることから、切削工具等の工
具材料へ用いることが試みられている。しかしながら、
窒化ケイ素自体が鉄族金属との親和性に富むために、窒
化ケイ素焼結体の切削工具でもって鉄系材料を切削した
場合、耐摩耗性が極端に劣化し、実用できないという問
題がある。
【０００３】この問題を解決するために、窒化ケイ素焼
結体の表面部を改質すること、又は窒化ケイ素焼結体の
表面に鉄系材料との親和性に劣る硬質被膜を形成させる
という多数の提案が行われており、この代表的なものと
して、特開平２−１５３８６５号公報，特開平２−２７
５７６３号公報，特開平３−８７８５号公報，特開昭５
６−１６６６５号公報及び特許公表昭６０−５０２２４
４号公報がある。
結体の表面部を改質すること、又は窒化ケイ素焼結体の
表面に鉄系材料との親和性に劣る硬質被膜を形成させる
という多数の提案が行われており、この代表的なものと
して、特開平２−１５３８６５号公報，特開平２−２７
５７６３号公報，特開平３−８７８５号公報，特開昭５
６−１６６６５号公報及び特許公表昭６０−５０２２４
４号公報がある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】特開平２−１５３８６
５号公報及び特開平２−２７５７６３号公報には、窒化
ケイ素又はサイアロンの焼結体の表面部が内部に比べて
Ｓｉ含有量もしくは窒化ケイ素あるいはサイアロン結晶
粒子の含有量を少なくした組成構造の焼結体について記
載されている。
５号公報及び特開平２−２７５７６３号公報には、窒化
ケイ素又はサイアロンの焼結体の表面部が内部に比べて
Ｓｉ含有量もしくは窒化ケイ素あるいはサイアロン結晶
粒子の含有量を少なくした組成構造の焼結体について記
載されている。
【０００５】また、特開平３−８７８５号公報には、β
窒化ケイ素焼結体の１０〜１０００μｍの表面層が内部
から外部に向って連続的に酸化ジルコニウム含有率の増
加、及び窒化ジルコニウム含有率の減少という濃度変化
を有する焼結体について記載されている。
窒化ケイ素焼結体の１０〜１０００μｍの表面層が内部
から外部に向って連続的に酸化ジルコニウム含有率の増
加、及び窒化ジルコニウム含有率の減少という濃度変化
を有する焼結体について記載されている。
【０００６】これらの内、前者の２公報に記載されてい
る焼結体には、焼結体の表面におけるＳｉ含有量，又は
窒化ケイ素，サイアロンの含有量が内部に比べて減少し
ていることにより、鉄族金属との親和性の問題が解決さ
れたかのようであるが、Ｓｉ，窒化ケイ素，サイアロン
の減少した分に対し、鉄族金属との親和性の高い他物質
が増加すると、結局同じ問題が生じること、又仮にこの
問題を解決できたとしても、さらに耐摩耗性及び耐欠損
性を高める目的で、この焼結体の表面に被膜を形成する
場合、焼結体と被膜との密着性に対する配慮が行われて
ないことから被膜の剥離が生じやすいという問題があ
る。
る焼結体には、焼結体の表面におけるＳｉ含有量，又は
窒化ケイ素，サイアロンの含有量が内部に比べて減少し
ていることにより、鉄族金属との親和性の問題が解決さ
れたかのようであるが、Ｓｉ，窒化ケイ素，サイアロン
の減少した分に対し、鉄族金属との親和性の高い他物質
が増加すると、結局同じ問題が生じること、又仮にこの
問題を解決できたとしても、さらに耐摩耗性及び耐欠損
性を高める目的で、この焼結体の表面に被膜を形成する
場合、焼結体と被膜との密着性に対する配慮が行われて
ないことから被膜の剥離が生じやすいという問題があ
る。
【０００７】一方、後者の公報に記載されている焼結体
は、焼結体の表面における酸化ジルコニウムの含有率を
増加させることにより、強度及び靭性を高めることがで
きたというものであるが、高温における強度及び耐摩耗
性の低下が著しくなること、及び耐摩耗性を高めるため
にこの焼結体の表面に硬質な被膜を形成したとしても焼
結体の表面の酸化ジルコニウムが被膜との密着性を阻害
し、被膜が剥離し易いという問題がある。
は、焼結体の表面における酸化ジルコニウムの含有率を
増加させることにより、強度及び靭性を高めることがで
きたというものであるが、高温における強度及び耐摩耗
性の低下が著しくなること、及び耐摩耗性を高めるため
にこの焼結体の表面に硬質な被膜を形成したとしても焼
結体の表面の酸化ジルコニウムが被膜との密着性を阻害
し、被膜が剥離し易いという問題がある。
【０００８】本発明は、上述のような問題点を解決した
もので、具体的には、Ｔｉ及び／又はＨｆを少なくとも
含む化合物のスケルトンと窒化ケイ素焼結体を主成分と
するマトリックスとからなる窒化ケイ素焼結体の表面に
おけるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量を高めること
により鉄族金属との親和性を小さくすると共に、高温に
おける強度及び耐摩耗性に優れるようにした工具用窒化
ケイ素焼結体、並びに被膜の密着性に優れた工具用被覆
窒化ケイ素焼結体の提供を目的とするものである。
もので、具体的には、Ｔｉ及び／又はＨｆを少なくとも
含む化合物のスケルトンと窒化ケイ素焼結体を主成分と
するマトリックスとからなる窒化ケイ素焼結体の表面に
おけるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量を高めること
により鉄族金属との親和性を小さくすると共に、高温に
おける強度及び耐摩耗性に優れるようにした工具用窒化
ケイ素焼結体、並びに被膜の密着性に優れた工具用被覆
窒化ケイ素焼結体の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の窒
化ケイ素焼結体の切削工具でもって鉄系材料からなる被
削材を切削した場合、耐摩耗性及び耐欠損性が急激に低
下すること、及び窒化ケイ素焼結体の表面に被膜を形成
した場合、被膜が容易に剥離することに対する対策を検
討していた所、第１に、窒化ケイ素焼結体中にＴｉ及び
／又はＨｆを少なくとも含む化合物を存在させて、かつ
焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素量を増
加させた焼結体は、鉄系材料を被削材としたときの切削
工具として実用し得るという知見を得た。
化ケイ素焼結体の切削工具でもって鉄系材料からなる被
削材を切削した場合、耐摩耗性及び耐欠損性が急激に低
下すること、及び窒化ケイ素焼結体の表面に被膜を形成
した場合、被膜が容易に剥離することに対する対策を検
討していた所、第１に、窒化ケイ素焼結体中にＴｉ及び
／又はＨｆを少なくとも含む化合物を存在させて、かつ
焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素量を増
加させた焼結体は、鉄系材料を被削材としたときの切削
工具として実用し得るという知見を得た。
【０００９】第２に、窒化ケイ素焼結体の表面にＴｉ及
び／又はＨｆの化合物からなる被膜を形成する場合、窒
化ケイ素焼結体中にＴｉ及び／又はＨｆの化合物が存在
していると、焼結体と被膜の密着性を高めることができ
るという知見を得た。
び／又はＨｆの化合物からなる被膜を形成する場合、窒
化ケイ素焼結体中にＴｉ及び／又はＨｆの化合物が存在
していると、焼結体と被膜の密着性を高めることができ
るという知見を得た。
【００１０】第３に、窒化ケイ素焼結体へのＴｉ及び／
又はＨｆの化合物の過度の含有は、窒化ケイ素焼結体の
強度，耐熱性及び耐熱衝撃性を損うものの、焼結体の表
面における含有量を多くし、焼結体の内部における含有
量を少なくすることにより解決すると共に、逆に焼結体
の表面に被膜を形成する場合には、これが焼結体と被膜
の密着性を高めるという知見を得た。
又はＨｆの化合物の過度の含有は、窒化ケイ素焼結体の
強度，耐熱性及び耐熱衝撃性を損うものの、焼結体の表
面における含有量を多くし、焼結体の内部における含有
量を少なくすることにより解決すると共に、逆に焼結体
の表面に被膜を形成する場合には、これが焼結体と被膜
の密着性を高めるという知見を得た。
【００１１】本発明は、上述の第１，第２及び第３の知
見に基づいて完成するに至ったものである。
見に基づいて完成するに至ったものである。
【００１２】本発明の工具用窒化ケイ素焼結体は、窒化
ケイ素を主成分とするマトリックス７０重量％以上と、
残部がＴｉ及び／又はＨｆを少なくとも含む化合物のス
ケルトンとからなる窒化ケイ素焼結体であって、該スケ
ルトン中のＴｉ及び／又はＨｆの元素量が１〜２０重量
％（焼結体全体の比）であり、かつ該窒化ケイ素焼結体
の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量が該
窒化ケイ素焼結体の表面から２００μｍ以上の内部にお
けるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量に比べて増加し
ていることを特徴とする工具用窒化ケイ素焼結体。
ケイ素を主成分とするマトリックス７０重量％以上と、
残部がＴｉ及び／又はＨｆを少なくとも含む化合物のス
ケルトンとからなる窒化ケイ素焼結体であって、該スケ
ルトン中のＴｉ及び／又はＨｆの元素量が１〜２０重量
％（焼結体全体の比）であり、かつ該窒化ケイ素焼結体
の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量が該
窒化ケイ素焼結体の表面から２００μｍ以上の内部にお
けるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元素量に比べて増加し
ていることを特徴とする工具用窒化ケイ素焼結体。
【００１３】本発明の工具用窒化ケイ素焼結体における
マトリックスとは、α−Ｓｉ3Ｎ4（低温型），β−Ｓｉ
3Ｎ4 （高温型），Ｓｉ6−ｎＡｌｎＯｎ の固溶体でな
るβサイアロン（但し、ｎ＝０〜４．２）及びＭ（Ｓ
ｉ，Ａｌ）12（Ｏ，Ｎ）16の固溶体でなるαーサイアロ
ン（但し、Ｏ＜Ｘ＜Ｚで、Ｍ＝周期律表の２ａ，３ａ族
元素の１種以上でなる。）の中の１種以上でなり、この
マトリックスが焼結体全体の７０重量％以上含有してい
るものである。このマトリックスが７０重量％未満にな
ると、相対的にスケルトンが３０重量％を超えて多くな
り、窒化ケイ素自体が有している高硬度，高強度の特性
を引き出すことが困難になる。
マトリックスとは、α−Ｓｉ3Ｎ4（低温型），β−Ｓｉ
3Ｎ4 （高温型），Ｓｉ6−ｎＡｌｎＯｎ の固溶体でな
るβサイアロン（但し、ｎ＝０〜４．２）及びＭ（Ｓ
ｉ，Ａｌ）12（Ｏ，Ｎ）16の固溶体でなるαーサイアロ
ン（但し、Ｏ＜Ｘ＜Ｚで、Ｍ＝周期律表の２ａ，３ａ族
元素の１種以上でなる。）の中の１種以上でなり、この
マトリックスが焼結体全体の７０重量％以上含有してい
るものである。このマトリックスが７０重量％未満にな
ると、相対的にスケルトンが３０重量％を超えて多くな
り、窒化ケイ素自体が有している高硬度，高強度の特性
を引き出すことが困難になる。
【００１４】本発明の工具用窒化ケイ素焼結体における
スケルトンとは、Ｔｉ及び／又はＨｆの化合物、具体的
にはＴｉ，Ｈｆの酸化物，窒化物，炭化物，ホウ化物，
ケイ化物及びこれらの相互固溶体の中の１種以上でなる
場合、又はＴｉ及び／又はＨｆと他にＺｒ，Ｖ，Ｎｂ，
Ｔａ，Ｗ，Ｍｏ，Ｃｒ，Ｓｉ，Ａｌ，希土類元素の中の
１種以上とからなる酸化物，窒化物，炭化物，ホウ化
物，ケイ化物及びこれらの相互固溶体でなるものであ
る。このスケルトン中のＴｉ及び／又はＨｆの元素量が
焼結体全体の比で１重量％未満になると、焼結体の表面
にＴｉ及び／又はＨｆを含む化合物を富化させることが
困難になること、逆に２０重量％を超えて多く含有する
と、緻密な焼結体にするのが困難になる。
スケルトンとは、Ｔｉ及び／又はＨｆの化合物、具体的
にはＴｉ，Ｈｆの酸化物，窒化物，炭化物，ホウ化物，
ケイ化物及びこれらの相互固溶体の中の１種以上でなる
場合、又はＴｉ及び／又はＨｆと他にＺｒ，Ｖ，Ｎｂ，
Ｔａ，Ｗ，Ｍｏ，Ｃｒ，Ｓｉ，Ａｌ，希土類元素の中の
１種以上とからなる酸化物，窒化物，炭化物，ホウ化
物，ケイ化物及びこれらの相互固溶体でなるものであ
る。このスケルトン中のＴｉ及び／又はＨｆの元素量が
焼結体全体の比で１重量％未満になると、焼結体の表面
にＴｉ及び／又はＨｆを含む化合物を富化させることが
困難になること、逆に２０重量％を超えて多く含有する
と、緻密な焼結体にするのが困難になる。
【００１５】本発明の特徴の１つは、上述のマトリック
スとスケルトンとでなる焼結体の表面部が内部と異なっ
た組成成分からなっていること、具体的には、焼結体を
構成している各種の元素の内、焼結体の表面におけるＴ
ｉ及び／又はＨｆの平均的元素量が焼結体の表面から２
００μｍ以上の内部におけるＴｉ及び／又はＨｆの平均
的元素量に比べて増加しているもので、この増加率が５
％以上でなる場合が好ましく、さらに好ましくは、Ｔｉ
及び／又はＨｆの平均的元素量が焼結体の表面で最大と
なっていることである。
スとスケルトンとでなる焼結体の表面部が内部と異なっ
た組成成分からなっていること、具体的には、焼結体を
構成している各種の元素の内、焼結体の表面におけるＴ
ｉ及び／又はＨｆの平均的元素量が焼結体の表面から２
００μｍ以上の内部におけるＴｉ及び／又はＨｆの平均
的元素量に比べて増加しているもので、この増加率が５
％以上でなる場合が好ましく、さらに好ましくは、Ｔｉ
及び／又はＨｆの平均的元素量が焼結体の表面で最大と
なっていることである。
【００１６】この焼結体中のＴｉ及び／又はＨｆの元素
の変動について、例示すると、第１に焼結体の表面で最
大となった後、焼結体の内部に向って連続的に減少し、
内部の平均的元素量に達する場合、第２に焼結体の表面
で最大となり、その最大値の状態で焼結体の表面から１
０μｍ以下の内部までほぼ持続したあと、内部へ向って
連続的に減少し、内部の平均的元素量に達する場合等を
挙げることができる。
の変動について、例示すると、第１に焼結体の表面で最
大となった後、焼結体の内部に向って連続的に減少し、
内部の平均的元素量に達する場合、第２に焼結体の表面
で最大となり、その最大値の状態で焼結体の表面から１
０μｍ以下の内部までほぼ持続したあと、内部へ向って
連続的に減少し、内部の平均的元素量に達する場合等を
挙げることができる。
【００１７】以上述べた本発明の焼結体を基材とし、こ
の基材の表面にＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆの炭化物，窒化物，酸
化物，Ａｌの酸化物，窒酸化物及びこれらの相互固溶体
の中の少なくとも１種の単層又は多層からなる被膜を形
成して本発明の工具用被覆窒化ケイ素焼結体とすること
ができる。
の基材の表面にＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆの炭化物，窒化物，酸
化物，Ａｌの酸化物，窒酸化物及びこれらの相互固溶体
の中の少なくとも１種の単層又は多層からなる被膜を形
成して本発明の工具用被覆窒化ケイ素焼結体とすること
ができる。
【００１８】被膜の構成は、基材の表面に直接接触する
第１層がＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆの炭化物，窒化物，炭酸化
物，窒酸化物及びこれらの相互固溶体でなる場合、基材
との密着性の点から好ましく、この第１層のみでなる場
合、又は第１層の表面にさらに第２層，第３層と多層の
構成にする等、用途によって使い分けることも好ましい
ことである。
第１層がＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆの炭化物，窒化物，炭酸化
物，窒酸化物及びこれらの相互固溶体でなる場合、基材
との密着性の点から好ましく、この第１層のみでなる場
合、又は第１層の表面にさらに第２層，第３層と多層の
構成にする等、用途によって使い分けることも好ましい
ことである。
【００１９】被膜の厚さは、多層にする場合の第１層の
厚さは、０．５〜２μｍが好ましく、単層又は多層の場
合の総厚さは、工具形状，用途及び被膜の構成等で選択
すべきもので、例えば衝撃力がほとんど加わらない用途
の場合、総被膜厚さを厚く、例えば２〜１０μｍ程度と
し、切削工具のように熱的衝撃力が加わるような用途、
特にフライス切削工具，断続切削工具のような用途、又
はシャープな切刃を要求されるドリル等に応用する場
合、５μｍ以下の総被膜厚さ、より好ましくは０．５〜
３μｍである。
厚さは、０．５〜２μｍが好ましく、単層又は多層の場
合の総厚さは、工具形状，用途及び被膜の構成等で選択
すべきもので、例えば衝撃力がほとんど加わらない用途
の場合、総被膜厚さを厚く、例えば２〜１０μｍ程度と
し、切削工具のように熱的衝撃力が加わるような用途、
特にフライス切削工具，断続切削工具のような用途、又
はシャープな切刃を要求されるドリル等に応用する場
合、５μｍ以下の総被膜厚さ、より好ましくは０．５〜
３μｍである。
【００２０】本発明の工具用窒化ケイ素焼結体を作製す
る方法としては、具体的には、市販のできるだけ微細な
出発原料粉末を用いて、配合及び混合粉砕した後、粉末
圧粉体の成形時に、例えば内部と表面部の組成成分に変
化を与えて成形する方法、または従来のように均一組成
成分による粉末圧粉体とした後、焼結時にＴｉ及び／又
はＨｆの化合物を含む粉末中に埋設し、この埋設に用い
る粉末の元素を粉末圧粉体の表面部へ侵入拡散させる方
法、さらには焼結時の圧力、雰囲気の調整でもって粉末
圧粉体内に含有しているＴｉ及び／又はＨｆの化合物を
表面部に移動拡散させる方法、あるいはこれらを組合わ
せた方法を挙げることができる。
る方法としては、具体的には、市販のできるだけ微細な
出発原料粉末を用いて、配合及び混合粉砕した後、粉末
圧粉体の成形時に、例えば内部と表面部の組成成分に変
化を与えて成形する方法、または従来のように均一組成
成分による粉末圧粉体とした後、焼結時にＴｉ及び／又
はＨｆの化合物を含む粉末中に埋設し、この埋設に用い
る粉末の元素を粉末圧粉体の表面部へ侵入拡散させる方
法、さらには焼結時の圧力、雰囲気の調整でもって粉末
圧粉体内に含有しているＴｉ及び／又はＨｆの化合物を
表面部に移動拡散させる方法、あるいはこれらを組合わ
せた方法を挙げることができる。
【００２１】また、この焼結体の表面に被膜を形成する
には、従来から行われている化学蒸着法（ＣＶＤ法）や
物理蒸着法（ＰＶＤ法）でもって行うことができる。
には、従来から行われている化学蒸着法（ＣＶＤ法）や
物理蒸着法（ＰＶＤ法）でもって行うことができる。
【００２２】
【作用】本発明の工具用窒化ケイ素焼結体は、焼結体の
表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素含有量が相手
材、特に切削時の被削材としての鉄系材料との親和性を
貧化させる作用をし、Ｔｉ及び／又はＨｆの含有した化
合物が高温における焼結体の強度を向上させる作用を
し、焼結体の表面部におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素
の含有分布構成が焼結体の耐熱衝撃性を向上させる作用
をしているものである。
表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素含有量が相手
材、特に切削時の被削材としての鉄系材料との親和性を
貧化させる作用をし、Ｔｉ及び／又はＨｆの含有した化
合物が高温における焼結体の強度を向上させる作用を
し、焼結体の表面部におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素
の含有分布構成が焼結体の耐熱衝撃性を向上させる作用
をしているものである。
【００２３】また、本発明の工具用被覆窒化ケイ素焼結
体は、焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素
の存在が被膜との密着性を高める作用をしているもので
ある。
体は、焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆの元素
の存在が被膜との密着性を高める作用をしているもので
ある。
【００２４】
【実施例１】平均粒径０．５〜１．５μｍの市販されて
いるＳｉ3Ｎ4 粉末，Ａｌ2Ｏ3 粉末，Ｙ2Ｏ3 粉末，Ｔ
ｉＣ粉末，ＴｉＮ粉末，Ｔｉ（Ｃ，Ｎ）粉末，ＴｉＯ2
粉末，ＨｆＯ2 粉末，ＨｆＮ粉末を用いて、表１に示す
割合に配合し、ボールミルで粉砕混合後、加圧成形して
粉末圧粉体を得た。これらの粉末圧粉体を表１に併記し
たＴｉ及び／又はＨｆの元素拡散助剤としてのパッキン
グ材粉末に埋設し、窒素ガス雰囲気中、１７５０℃で１
時間常圧焼結し、次いで窒素ガス１０００気圧、１７０
０℃で１時間保持による熱間静水圧処理（ＨＩＰ処理）
を施して本発明の窒化ケイ素焼結体Ｎｏ１〜６を得た。
いるＳｉ3Ｎ4 粉末，Ａｌ2Ｏ3 粉末，Ｙ2Ｏ3 粉末，Ｔ
ｉＣ粉末，ＴｉＮ粉末，Ｔｉ（Ｃ，Ｎ）粉末，ＴｉＯ2
粉末，ＨｆＯ2 粉末，ＨｆＮ粉末を用いて、表１に示す
割合に配合し、ボールミルで粉砕混合後、加圧成形して
粉末圧粉体を得た。これらの粉末圧粉体を表１に併記し
たＴｉ及び／又はＨｆの元素拡散助剤としてのパッキン
グ材粉末に埋設し、窒素ガス雰囲気中、１７５０℃で１
時間常圧焼結し、次いで窒素ガス１０００気圧、１７０
０℃で１時間保持による熱間静水圧処理（ＨＩＰ処理）
を施して本発明の窒化ケイ素焼結体Ｎｏ１〜６を得た。
【００２５】比較として、表１に示す比較品１〜６の配
合組成成分に配合し、焼結時のパッキング材粉末に１０
０％Ｓｉ3Ｎ4 粉末を用いた以外は、上述の本発明品と
同様の製造方法でもって比較の窒化ケイ素焼結体Ｎｏ１
〜６を得た。
合組成成分に配合し、焼結時のパッキング材粉末に１０
０％Ｓｉ3Ｎ4 粉末を用いた以外は、上述の本発明品と
同様の製造方法でもって比較の窒化ケイ素焼結体Ｎｏ１
〜６を得た。
【００２６】
【表１】 こうして得た本発明品１〜６及び比較品１〜６の焼結体
の表面及びその表面から２００μｍ内部までにおけるＴ
ｉ及び／又はＨｆの元素量分析をＥＰＭＡ（電子ブロー
ブマイクロアナリシス）にて行い、表２にその結果を記
載した。
の表面及びその表面から２００μｍ内部までにおけるＴ
ｉ及び／又はＨｆの元素量分析をＥＰＭＡ（電子ブロー
ブマイクロアナリシス）にて行い、表２にその結果を記
載した。
【００２７】次いで、本発明品１〜６及び比較品１〜６
を用いて、下記（Ａ）条件による旋削試験と（Ｂ）条件
によるフライス切削試験を行い、表２にその結果を併記
した。 （Ａ）乾式による連続旋削試験条件 被削材 ：ＦＣ３５ 切削速度 ：５００ｍ／ｍｉｎ 切込み ：１．５ｍｍ 送り ：０．３ｍｍ／ｒｅｖ 切削時間 ：２ｍｉｎ チップ形状：ＳＮＭＮ１２０４０８ 評価 ：平均逃げ面摩耗量（ＶB ） （Ｂ）乾式によるフライス切削試験条件 被削材 ：ＦＣＤ６０（４５H ×２００l ） 切削速度 ：１５０ｍ／ｍｉｎ 切込み ：１．５ｍｍ 初期送り ：０．２０ｍｍ／ｒｅｖ チップ形状：ＳＮＭＮ１２０４０８ 評価 ：チップが欠損に至る最大送り（１Ｐａｓｓ
で欠損しない場合、０．０３ｍｍ／ｒｅｖ送り増加）
を用いて、下記（Ａ）条件による旋削試験と（Ｂ）条件
によるフライス切削試験を行い、表２にその結果を併記
した。 （Ａ）乾式による連続旋削試験条件 被削材 ：ＦＣ３５ 切削速度 ：５００ｍ／ｍｉｎ 切込み ：１．５ｍｍ 送り ：０．３ｍｍ／ｒｅｖ 切削時間 ：２ｍｉｎ チップ形状：ＳＮＭＮ１２０４０８ 評価 ：平均逃げ面摩耗量（ＶB ） （Ｂ）乾式によるフライス切削試験条件 被削材 ：ＦＣＤ６０（４５H ×２００l ） 切削速度 ：１５０ｍ／ｍｉｎ 切込み ：１．５ｍｍ 初期送り ：０．２０ｍｍ／ｒｅｖ チップ形状：ＳＮＭＮ１２０４０８ 評価 ：チップが欠損に至る最大送り（１Ｐａｓｓ
で欠損しない場合、０．０３ｍｍ／ｒｅｖ送り増加）
【００２８】
【表２】
【００２９】
【実施例２】実施例１で得た本発明品１〜６及び比較品
１〜６を用いて、それぞれの焼結体の表面にＣＶＤ法で
もって被膜を形成した。被膜は、焼結体の表面に形成さ
せた層を第１層、次が第２層、その次が第３層として、
表３に示したように、それぞれの焼結体の表面に形成し
て、本発明の被覆窒化ケイ素焼結体Ｎｏ７〜１２及び比
較の被覆窒化ケイ素焼結体Ｎｏ７〜１２を得た。
１〜６を用いて、それぞれの焼結体の表面にＣＶＤ法で
もって被膜を形成した。被膜は、焼結体の表面に形成さ
せた層を第１層、次が第２層、その次が第３層として、
表３に示したように、それぞれの焼結体の表面に形成し
て、本発明の被覆窒化ケイ素焼結体Ｎｏ７〜１２及び比
較の被覆窒化ケイ素焼結体Ｎｏ７〜１２を得た。
【００３０】こうして得た本発明品７〜１２及び比較品
７〜１２を用いて、実施例１の（Ａ）条件及び（Ｂ）条
件による切削試験を行い、表３にその結果を併記した。
７〜１２を用いて、実施例１の（Ａ）条件及び（Ｂ）条
件による切削試験を行い、表３にその結果を併記した。
【００３１】
【表３】
【００３２】
【発明の効果】本発明の窒化ケイ素焼結体は、比較品に
比べて切削試験における耐欠損性が同等であって、耐摩
耗性が約４５〜６２％も向上するという効果がある。
比べて切削試験における耐欠損性が同等であって、耐摩
耗性が約４５〜６２％も向上するという効果がある。
【００３３】また、本発明の被覆窒化ケイ素焼結体は、
比較の被覆窒化ケイ素焼結体に比べて、切削試験におけ
る耐摩耗性が約４３〜９７％向上し、耐欠損性が約３９
〜５２％向上するという顕著な効果がある。
比較の被覆窒化ケイ素焼結体に比べて、切削試験におけ
る耐摩耗性が約４３〜９７％向上し、耐欠損性が約３９
〜５２％向上するという顕著な効果がある。
Claims (6)
- 【請求項１】 窒化ケイ素を主成分とするマトリックス
７０重量％以上と、残部がＴｉ及び／又はＨｆを少なく
とも含む化合物のスケルトンとからなる窒化ケイ素焼結
体において、該スケルトン中のＴｉ及び／又はＨｆの元
素量が１〜２０重量％（焼結体全体の比）であり、かつ
該窒化ケイ素焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆ
の平均的元素量が該窒化ケイ素焼結体の表面から２００
μｍ以上の内部におけるＴｉ及び／又はＨｆの平均的元
素量に比べて増加していることを特徴とする工具用窒化
ケイ素焼結体。 - 【請求項２】 上記窒化ケイ素焼結体の表面におけるＴ
ｉ及び／又はＨｆの平均的元素量が該窒化ケイ素焼結体
の表面から２００μｍ以上の内部におけるＴｉ及び／又
はＨｆの平均的元素量に対して５％以上増加しているこ
とを特徴とする請求項１記載の工具用窒化ケイ素焼結
体。 - 【請求項３】 窒化ケイ素を主成分とするマトリックス
７０重量％以上と、残部がＴｉ及び／又はＨｆを少なく
とも含む化合物のスケルトンとからなる窒化ケイ素焼結
体において、該スケルトン中のＴｉ及び／又はＨｆの元
素量が１〜２０重量％（焼結体全体の比）であり、かつ
該窒化ケイ素焼結体の表面におけるＴｉ及び／又はＨｆ
の平均的元素量が該窒化ケイ素焼結体の表面で最大とな
っていることを特徴とする工具用窒化ケイ素焼結体。 - 【請求項４】 請求項１記載の窒化ケイ素焼結体の基材
表面にＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆの炭化物，窒化物，酸化物，Ａ
ｌの酸化物，窒酸化物及びこれらの相互固溶体の中の少
なくとも１種の単層又は多層からなる被膜を形成したこ
とを特徴とする工具用被覆窒化ケイ素焼結体。 - 【請求項５】 請求項２記載の窒化ケイ素焼結体の基材
表面にＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆの炭化物，窒化物，酸化物，Ａ
ｌの酸化物，窒酸化物及びこれらの相互固溶体の中の少
なくとも１種の単層又は多層からなる被膜を形成したこ
とを特徴とする工具用被覆窒化ケイ素焼結体。 - 【請求項６】 請求項３記載の窒化ケイ素焼結体の基材
表面にＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆの炭化物，窒化物，酸化物，Ａ
ｌの酸化物，窒酸化物及びこれらの相互固溶体の中の少
なくとも１種の単層又は多層からなる被膜を形成したこ
とを特徴とする工具用被覆窒化ケイ素焼結体。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3237227A JP2901102B2 (ja) | 1991-08-23 | 1991-08-23 | 工具用窒化ケイ素焼結体及び工具用被覆窒化ケイ素焼結体 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3237227A JP2901102B2 (ja) | 1991-08-23 | 1991-08-23 | 工具用窒化ケイ素焼結体及び工具用被覆窒化ケイ素焼結体 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0551259A true JPH0551259A (ja) | 1993-03-02 |
| JP2901102B2 JP2901102B2 (ja) | 1999-06-07 |
Family
ID=17012269
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3237227A Expired - Fee Related JP2901102B2 (ja) | 1991-08-23 | 1991-08-23 | 工具用窒化ケイ素焼結体及び工具用被覆窒化ケイ素焼結体 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2901102B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR19990010329A (ko) * | 1997-07-16 | 1999-02-18 | 레나르트 태퀴스트 | 실리콘 질화물 절삭 공구 재료 |
-
1991
- 1991-08-23 JP JP3237227A patent/JP2901102B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR19990010329A (ko) * | 1997-07-16 | 1999-02-18 | 레나르트 태퀴스트 | 실리콘 질화물 절삭 공구 재료 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2901102B2 (ja) | 1999-06-07 |
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