JP3422029B2 - 窒化ホウ素被覆硬質材料およびその製造法 - Google Patents

窒化ホウ素被覆硬質材料およびその製造法

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JP3422029B2
JP3422029B2 JP18900592A JP18900592A JP3422029B2 JP 3422029 B2 JP3422029 B2 JP 3422029B2 JP 18900592 A JP18900592 A JP 18900592A JP 18900592 A JP18900592 A JP 18900592A JP 3422029 B2 JP3422029 B2 JP 3422029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて高い耐磨耗性を
もつ窒化ホウ素被覆硬質材料およびその製造法に関する
ものであり、本発明品は切削工具、耐摩工具、鉱山工
具、電子部品、機械部品、砥石などに利用して好適であ
る。特に被加工材や被削材が鋼あるいは鋳鉄であるロー
ル、ガイドローラー、シールリング、ロッカーアームチ
ップ、ノズル類およびダイス等の耐摩工具や、切削工具
として用いるのに適した窒化ホウ素硬質材料およびその
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化ホウ素は、六方晶窒化ホウ素(h−
BN)、ウルツ鉱型窒化ホウ素(w−BN)、立方晶窒
化ホウ素(以下「c−BN」とも略記する)、非晶質型
窒化ホウ素等の結晶構造を持つことが知られており、そ
のうちc−BNはダイヤモンドに次ぐ常温硬度を持ち、
またダイヤモンドに比べて高温で安定であり、このため
ダイヤモンドが鉄類金属と反応しやすいのに対して高い
温度でも反応せず、高温強度も高いことが知られてい
る。このため、c−BNまたはc−BNを含む被覆層を
切削工具、耐摩工具その他の機械部品の表面に被覆した
場合、良好な耐磨耗性が期待できる。特に、被加工物や
被削材が、鋼および鋳鉄であるロール、ガイドローラ
ー、シールリング、ロッカーアーム、チップ、ノズル
類、およびダイス、金型類などの耐摩工具、切削工具の
表面に設けた場合、良好な耐磨耗性が期待できる。
【0003】近年焼き入れ鋼、ダクタイル鋳鉄等の極め
て難加工性、難削性の材質の加工需要が高まり、またこ
れらの加工条件の高能率化の要求が強く、ますます過酷
なものとなってきている。このような市場の重要に応じ
るため、特公昭57−49621号公報、特公昭58−
19737号公報、特公昭58−55111号公報、特
公昭57−3631号公報、特公昭52−17519号
公報、特公昭50−39444号公報、特公昭52−1
7838号公報を始めとする多くの特許公報にて開示さ
れている方法にて、c−BN粒状結晶と特殊セラミック
ス結合材を超高圧下に焼結して製造したc−BN焼結体
を用いた切削工具、耐摩工具が実用されている。
【0004】この他に、基材の表面に窒化ホウ素被覆層
を形成し、基材の耐磨耗性を大幅に向上させる試みも行
われている。人工窒化ホウ素被覆層の製造法としては、
特公昭60−181262号公報をはじめとする多くの
特許公報にて開示されている熱CVD法、マイクロ波プ
ラズマCVD法、RFプラズマCVD法、イオンプレー
ティング法、スパッタ法、イオンビーム支援真空蒸着法
等の種々の方法およびこれらの組合せが知られており、
これらは窒化ホウ素被覆硬質材料製造の有力な方法であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、c−BN焼
結体を台金にロウ付けして作成できる各種工具等には形
状に制約がある。具体的には、4枚刃エンドミルのよう
な形状のすべての刃部に優れた精度で窒化ホウ素焼結体
をロウ付けするのは、現状の技術では困難である。この
ため、丸棒形状のc−BN焼結体を作成し、これを放電
加工して目的形状を得なければならず、実際に耐摩耗性
向上に要求される部分以外もc−BN焼結体にて構成さ
れるため非常に高価となり、かつ生産性、形状自由度も
低い。逆に、窒化ホウ素被覆硬質材料は形状自由度、生
産性は非常に高い。ところが、窒化ホウ素被覆硬質材料
の多くは、基材と窒化ホウ素被覆層との密着力が不足し
ている。特に、切削工具などの過酷な条件下での使用に
適用した場合、窒化ホウ素被覆層が剥離することにより
寿命にいたる場合が多い。
【0006】この点を改良するため、基材と窒化ホウ素
被覆層との間に中間層を設けるといった試みが多くの機
関にて行われている。例えば特開昭60−204687
号公報、特開昭60−152677号公報、特開昭63
−35774号公報、特開昭63−239103号公
報、特開昭64−28358号公報等に提案されてい
る。基材材質としてセラミックスを使用した場合、窒化
ホウ素被覆層と基材との密着力が高まる、といった技術
も開示されている(特開昭60−204686号公報、
特公昭60−59085号公報)。また、ArやH2
どのプラズマで基板を処理し、表面の不純物を除去し、
これにより得られた清浄表面上に窒化ホウ素被覆層を成
膜することにより基材との密着強度を確保するという技
術は、出願人が特願平2−243859号明細書にて既
に出願している。さらにまた、基材表面に凹凸を付け、
これに窒化ホウ素被覆層を形成することにより、被覆層
と基材との機械的結合力を高める技術もある(特願平3
−41843号公報)。
【0007】上記従来技術の中で、中間層を設けた場
合、中間層と窒化ホウ素、窒化ホウ素と基材とを同時に
優れた密着力にて接合できる中間層材質の選定が困難で
あり、時には基材−中間層または中間層内部にて被覆層
の剥離が発生した。特願平3−41843号公報の技術
は効果があることは確認できたものの、しかし、この技
術を用いてもまだ、窒化ホウ素被覆層と基材の密着力の
向上には改善の余地がある。また、基材材質にセラミッ
クスを使用した場合、その密着力如何にかかわらず、基
材強度が低いため、例えば切削工具などに適用した場
合、破損、欠損する場合が多い。本発明はこれらの問題
点を解決し、優れた密着強度、強度と形状自由度をもつ
窒化ホウ素被覆硬質材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段
として本発明者等は、切削工具、耐摩工具の材質として
秘録用いられて、多くの優れた特性をもつ炭化チタン基
または炭窒化チタン基サーメットを選択し、且つ窒化ホ
ウ素被覆層を形成する基材の表面状態を改善することに
より被覆層の密着強度を高める方法が有効であること、
すなわち、下記(a)〜(l)の窒化ホウ素被覆硬質材
料および製造法により、前記目的を達成できることを見
いだした。 (a) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホウ素被
覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料におい
て、該基材の表面部における結合相の存在割合が該基材
内部に比べ少ないまたは該基材の表面部において結合相
が存在せず、かつ少なくとも基材表面の一部が焼結肌で
あり、少なくとも当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層
が形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質
材料。 (b) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホウ素被
覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料におい
て、該基材の表面部における結合相の存在割合が該基材
内部に比べ少ないまたは該基材の表面部において結合相
が存在せず、かつ少なくとも基材表面の一部が熱処理肌
であり、少なくとも当該熱処理肌の部分に窒化ホウ素被
覆層が形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆
硬質材料。 (c) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホウ素被
覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料におい
て、該基材最表面に内部より高硬度である表面改質層が
存在し、かつ少なくとも基材表面の一部が焼結肌であ
り、少なくとも当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層が
形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材
料。 (d) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ素被
覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料におい
て、該基材最表面に内部より高硬度である表面改質層が
存在し、かつ少なくとも基材表面の一部が熱処理肌であ
、少なくとも当該熱処理肌の部分に窒化ホウ素被覆層
が形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質
材料。 (e) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ素被
覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料におい
て、少なくとも基材表面の一部が焼結肌であり、少なく
とも当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層形成され
なることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料。 (f) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ素被覆
層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料において、
少なくとも基材表面の一部が焼結肌であり、該焼結肌
に存在する結合相および/または内部より結合相の割
合が高い表面層を除去した少なくとも当該焼結肌の部分
に窒化ホウ素被覆層が形成されてなることを特徴とする
窒化ホウ素被覆硬質材料。 (g) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ素被覆
層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料において、
基材を任意の形状に加工した後、当該基材を熱処理する
ことにより、基材表面性状の少なくとも一部は熱処理肌
とした基材の少なくとも一部表面または全表面上に窒化
ホウ素被覆層を形成してなることを特徴とする窒化ホウ
素被覆硬質材料。 (h) 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チタン基
サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ素被覆
層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料において、基材
を任意の形状に加工した後、当該基材を熱処理すること
により、基材表面性状の少なくとも一部は熱処理肌と
し、表面の結合相および/または内部より結合相の割合
が高い表面層を除去した該熱処理肌表面の少なくとも
部表面または全表面上に窒化ホウ素被覆層を形成してな
ることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料。 (i) 基材となるサーメットの焼結および/または冷
却を、N 2 および/またはCOおよび/またはCH 4
分圧が1Torr以上の雰囲気にて行い、得られた焼結
体の少なくとも一部表面を焼結肌とし、さらに少なくと
も該焼結肌の一部表面に窒化ホウ素被覆層を設けること
を特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。 (j) 基材となるサーメットの焼結および冷却を、1
Torr以上の窒素ガス雰囲気にて行い、この焼結体の
少なくとも一部表面について、表面に浸み出した金属成
分を酸および/またはアルカリによりエッチング除去し
た一部表面に窒化ホウ素被覆層を設けることを特徴とす
る窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。(k) 基材となるサーメットの焼結を行い、目的形状
に加工した後、基材の少なくとも一部表面を900〜1
600℃以上の温度で10分間〜5時間熱処理を行い、
次にCOの分圧が1Torr以上の雰囲気にて冷却する
ことにより該基材の少なくとも一部表面を熱処理肌と
し、さらに当該熱処理肌の少なくとも一部表面に窒化ホ
ウ素被覆層を設けることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬
質材料の製造法。 (l) 基材となるサーメットの焼結を行い、目的形状
に加工した後、1Torr以上のN 2 ガス中にて800
〜1600℃以上の温度で10分間〜5時間熱処理を行
い次に冷却することにより基材の少なくとも一部表面を
熱処理肌とし、さらに該熱処理肌表面に浸み出した金属
成分を酸および/またはアルカリによりエッチング除去
した一部表面に窒化ホウ素被覆層を設けることを特徴と
する窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。 本発明の「内部より結合相の存在割合が少ないまたは結
合相の存在しない表面部」の特に好ましい例としては、
基材内部とは組成および/または組織の異なる層、すな
わち本発明において「表面改質層」と呼称する層が基材
の表面部に存在するものが挙げられる。本発明の上記製
造法において、焼結または熱処理として、焼結圧力を1
0〜3000気圧の条件で熱間静水圧プレスを行なうこ
とが特に好ましく、また熱処理工程と窒化ホウ素被覆層
形成工程を連続処理することも特に好ましい。
【0009】
【作用】本発明者らは多くの試行錯誤の結果、前記
(a)のような内部より結合相の組成割合が少ないまた
は結合相の存在しない表面部を有する、あるいは(b)
〜(f)のような炭化チタン基サーメットまたは炭窒化
チタン基サーメットを基材とした場合、優れた密着力を
もつ窒化ホウ素被覆層を得ることができることを発見し
た。この原因は定かではないが、推測を以下に述べる。
一般に、ダイヤモンドがWC、金属W、Tiをはじめと
する周期律表の4A、5A、6A族元素(Wを除く)の
炭化物、窒化物、ホウ化物、酸化物、炭窒化物、ホウ窒
化物の炭化物、窒化物または炭窒化物上およびこれら固
溶体上には高い核発生密度を示し、このため良好な密着
強度を示すことが知られている。窒化ホウ素、特にc−
BNはダイヤモンドと結晶構造が似ていることから、同
様にこれらの物質上には良好な密着力をもち、逆に鉄系
金属の存在がその密着力を低下させているのではないか
と、本発明者等は考えついた。
【0010】本発明においては、基材として炭化チタン
基サーメットまたは炭窒化チタン基サーメットを用いる
ため、中間層を用いた技術のように中間層が剥離するよ
うな問題は発生せず、また基材中の結合相をエッチング
等にて除去した場合に生じる基材強度低下も起きない。
【0011】本発明において基材となる炭化チタン基ま
たは炭窒化チタン基のサーメットとは、硬質分散相が主
として、4A,5Aおよび6A族金属並びにSiの炭化
物、窒化物、炭窒化物およびホウ化物のうちの1種以上
で構成され、これらが炭化物,窒化物あるいは炭窒化物
換算で60重量%以上にて構成され、残りが結合相とし
て鉄系金属のうちの1種以上で構成される。
【0012】本発明の基材の表面を「結合相の存在割合
が内部に比べ少ない、または結合相が存在しない」状
態、具体的には表面改質層、焼結肌および/または熱処
理肌、として窒化ホウ素被覆硬質材料を製造する方法を
次に説明する。一つ方法として、炭化チタン基または炭
窒化チタン基サーメット原料粉末を混合、成型、焼結
し、冷却する際に、焼結中および/または冷却中雰囲気
を、前述の硬質相の平衡O2 および/またはN2 および
/またはCH4 分圧より大とした雰囲気ガスにて焼結
し、この焼結肌に対し窒化ホウ素被覆層を形成する方法
が挙げられる。O2 分圧を目的の分圧程度に調整するに
は、COガス雰囲気を用いれば良い。さらに、任意の焼
結を行い一度研削加工を行った基材に対しても、前述の
条件にて再度熱処理し、基材表面性状を焼結肌に近い状
態(以後「熱処理肌」と呼ぶ)にすることによっても、
同様に上記の状態とすることができるので、この熱処理
肌に対して窒化ホウ素被覆層を形成すればよい。なお、
表面に結合相成分により形成された表面層(結合相層と
呼ぶ)が存在する場合、窒化ホウ素被覆層を形成するた
めにこの結合相層を除去する必要がある。
【0013】本発明の製法において、焼結温度および時
間は、通常のサーメットの焼結に使用される条件でよ
い。具体的には、1300℃〜1500℃の温度にて、
30〜3時間が一般的である。また、前述のO2 および
/またはN2 ガス雰囲気にするのは、焼結初期からで
も、中期からでも、冷却段階でもよいが、800℃〜1
600℃の範囲で少なくとも10分以上保持しなけれ
ば、硬質相の界面への質量移動が十分ではなく、表面改
質層の発生が認められない。
【0014】本発明における熱処理条件も、焼結条件と
同様であり1300℃〜1600℃の温度にて、30〜
3時間が一般的である。CO雰囲気とするのは、熱処理
初期からでも、中期からでも、冷却段階でもよいが、8
00℃〜1600℃の範囲で少なくとも10分間以上保
持しなければ、硬質相の界面への移動が十分ではなく、
表面改質層の発生が認められないため、好ましくない。
また、1000分間を越える長時間に渡り熱処理を行っ
た場合、基材超硬合金の硬質相粒子の粗大化等により強
度劣化するため望ましくない。ここで基材表面への窒化
ホウ素被覆の工程を、基材を室温まで冷却しないで連続
的に実施することおよび/または同一の真空容器にて実
施することも可能であり、工業的には有効な手段であ
る。
【0015】表面の結合相が低下していることは、基材
表面部分が内部に較べて高硬度となっていることから検
出可能である。具体的には、基材内部のビッカース硬度
に対して5%以上高い硬度を示す。また、表面(窒化ホ
ウ素被覆層の形成面)にX線回折を行い、基材内部に対
してX線回折を実施した場合と比較して、硬質相の回折
強度が低くなっていることからも、検出可能である。上
記法本発明にて製造した焼結肌、熱処理肌の表面性状お
よび断面を観察、分析した結果、基材表面には内部と組
成および/または組織が異なっている表面改質層が存在
することを確認した。この表面改質層は、内部より少な
くとも5%以上の硬度上昇が認められる。
【0016】また、表面改質相の有無にかかわらず、焼
結肌または熱処理肌の上に窒化ホウ素被覆層を形成した
場合、良好な窒化ホウ素被覆層の密着強度が得られるこ
とも判った。この原因として、焼結肌または熱処理肌
は、ダイヤモンドホイール等により研削加工を行った表
面(以下研削肌と呼ぶ)と比較して、表面に巨視的凹凸
および/または微視的凹凸が存在し、これにより窒化ホ
ウ素被覆層とWC基超硬合金基材との幾何学的な絡み合
いが生じ、これにより双方の物理的結合力が高まったこ
とも推測できる。巨視的凹凸の大きさの指標とする巨視
的面粗度とは、一般に行われている触針法により面粗度
計にて検出できるレベルの凹凸による面粗度である(J
IS B 0601記載)。本発明者らは、この巨視的
面粗度よりも、微視的凹凸の存在による微視的面粗度
が、窒化ホウ素被覆層の密着力に大きく寄与することを
発見した。微視的面粗度とは、窒化ホウ素被覆層−基材
最表面の界面において、基準長さを50μmなどの微小
区間とした、この基準長さ内における面粗度のことであ
る。これは、窒化ホウ素被覆後の基材の断面をラッピン
グ観察し、写真撮影を行い、窒化ホウ素被覆層−基材の
境界線をもって被覆後の基材の表面面粗度計算を行っ
た。ここで、基準長さ内の境界線の最高高さと最低高さ
との差をもってRmax * と表現した。但し、この際、巨
視的なうねりは直線近似して計算した。
【0017】本発明において基材表面の表面面粗度は、
触針法にて測定した場合、JIS規格のRmax にて1.
5μm以上の場合、その密着力向上に大きく効果がある
ことを確認した。または、前述の断面観察による微視的
面粗度が、Rmax * にて2μm以上の場合にもその密着
力向上に大きく効果があることを確認した。
【0018】本発明による焼結肌および熱処理肌上に
は、焼結体中の炭素量、焼結方法等により、表面に結合
相の浸み出しが見られる場合もある。この場合には、本
結合相を除去しなければ、この結合相の表面に形成され
た窒化ホウ素被覆層は容易に剥離してしまうことが判明
した。この浸み出した結合相の除去方法として、エッチ
ング、ブラスト、バレル等の処理が挙げられる。ここ
で、ブラスト、バレル等の機械加工では、その表面面粗
度が向上してしまい、面粗度劣化による密着強度向上の
効果が薄くなってしまうため、エッチング除去が望まし
い。ここで言うエッチングとは、従来の技術を説明した
欄に述べた基材を腐食させる目的ではなく、浸み出した
結合相を除去するためであり、従って表面改質層が結合
相を含有しない場合、基材に腐食層は全く存在せず、結
合相が存在する場合もその成分割合が極めて小さいた
め、基材強度劣化は生じない程度の処理である。この浸
み出し結合相に対する除去処理は、熱処理肌に関しても
同様のことが言える。
【0019】本発明において、表面改質層中の結合相割
合の分布は、その焼結条件および熱処理条件により変わ
り、表面に向かって連続的に減少しても良いし、断続的
減少であってもよい。また、基材焼結および研削加工後
の基材の熱処理を行なう際、結晶粒粗大化による強度劣
化を少しでも低減させ、同時に基材内部の欠陥(ポア)
を減少させることにより強度向上も期待できる。焼結温
度と比較して低い温度、好ましくは1200℃〜155
0℃の温度で、熱間静水圧プレスを行なうことが望まし
い。このときの静水圧圧力は高圧のほうがより優れた効
果を期待できるが、工業的見地から10気圧〜3000
気圧が望ましい。
【0020】また、熱処理から窒化ホウ素被覆層を形成
するプロセスは、同一設備にて連続的に処理することが
工業的に望ましい。つまり、当該焼結および研削加工済
みの基材を、窒化ホウ素被覆設備に設置し、窒化ホウ素
被覆前にまず、前述の条件により熱処理を行い、このま
ま連続して窒化ホウ素被覆層形成プロセスに入る。
【0021】ここで、表面改質層の層厚に関しては、
0.01未満であれば、基材中の結合相成分の影響が強
くなり、窒化ホウ素被覆層の密着強度向上には寄与しな
くなる。この影響を完全に遮断するためには、0.1μ
m以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。ま
た、上限については、基材強度を維持するために100
0μm以下が望ましい。
【0022】なお、窒化ホウ素被覆層の層厚に関して
は、各々の用途に応じて必要な層厚とすればよい。但
し、耐摩耗性が要求される使用用途においては、層厚が
0.5μm未満では被覆層による耐摩耗性など諸性能の
向上が認められず、また300μmを越える被覆層を形
成した場合でも、もはや大きな性能の向上が認められな
いため、経済上の理由より、0.5μm〜300μmが
望ましい。
【0023】ここまで述べた窒化ホウ素被覆層は、、そ
の構成結晶のすべてがc−BNである必要はなく、少な
くとも5体積%以上c−BNを含有すれば、基材の耐摩
耗性向上に大きく寄与する。またh−BNその他の窒化
ホウ素を被覆した後、加熱などの処理を行い、これによ
りc−BNとしてもよい。また、被覆層がリン、酸素等
を含んだ場合でも本発明の最大の特徴である基材との高
い密着強度は損なわれない。また、窒化ホウ素の被覆方
法は、従来の技術の欄にて説明したいずれの方法及びこ
れらの組合せのいずれを用いてもよい。また、所定の面
粗度および/または寸法精度を得るために、窒化ホウ素
被覆層表面を砥石や熱処理等にて平滑化、鏡面化して
も、本発明の優秀性は損なわれない。また、所定の面粗
度および/または寸法精度を得るために、窒化ホウ素被
覆層表面を砥石や熱処理等にて平滑化、鏡面化しても、
本発明の優秀性は損なわれない。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例により、具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 〔実施例1〕本実施例では研削肌と焼結肌の比較を行な
う。母材として、平均粒径が0.8〜1.5μmの各種
粉末を準備し、表−1の組成に調合後、振動ミルを用い
て粉砕し、バインダーを添加したものを、プレス成形お
よび成形加工し、内接円:12.7mm、厚み:3.1
8mm、コーナーR:0.8mmのJIS B4103
に記載されているSPGN422形状のプレス成形体を
製造し、300℃にて脱バインダー後、表−2に記載し
た条件にて焼結を行なった。この焼結肌表面状態を表−
6に示した。そのうちいくつかには焼結体表面に金属成
分の浸み出しが発生していたため、これのエッチング除
去を行い、母材チップを製造した。エッチング方法、エ
ッチング後の表面面粗度Rmax (JIS B 0601
に準拠する通常の触針法にて測定)も併せて表−6に示
した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】これらの母材チップを表−3に示した内容
の方法にて加工した。なお、チップの刃先処理の概略例
を図1に示した。図1は、一般にチャンファーホーニン
グ加工と呼ばれている刃先処理で、図中αは25°、β
は20°、Lは0.05mmとした。なお、刃先処理面
加工、上下面研削加工および側面研削加工には、市販の
レジンボンド・ダイヤモンド砥石を用いた。
【0028】
【表3】
【0029】このようにして準備したチップの母材材
質、焼結条件、窒化ホウ素被覆層形成前の表面面粗度R
max 、Rmax * 、浸み出し結合相除去方法、チップ加工
方法(結合相除去後にチップを加工する)を併せて表−
6に示した。これらの準備チップを、公知のRFプラズ
マCVD法を用いて、基板温度を600℃とし、ジボラ
ンガス:N2 ガス=1:2の比にて1Torrまで導入
し、窒化ホウ素被覆層を形成することにより、本発明窒
化ホウ素被覆チップNo. 1 〜No.24 を製造した。各チッ
プの切れ刃近傍における窒化ホウ素被覆層厚も合わせて
表−6に示した。なお、本例において、基材の表面に析
出した被覆層は、赤外線吸収分析、オージェ分析、透過
電子線回折法によって、c−BNを1容量%以上含む窒
化ホウ素被覆層であることを確認した。
【0030】また、表−6に記入したRmax * とは、母
材チップ表面の微視的面粗度のことであり、母材−窒化
ホウ素被覆層界面において、基準長さを50μmとし
た、この微小区間内の面粗度のことで、これらのチップ
の断面をラッピング観察し、写真撮影を行い、窒化ホウ
素被覆層−母材の境界線をもって被覆後の基材の表面面
粗度とし、基準長さ内の最高高さと最低高さの差をもっ
てRmax * と表現した。なお、研削肌のRmax は0.6
μm、Rmax * は0.8μmで、表面に特異な層の存在
は認められなかった。表−6中のチップの試料番号の右
肩に*印がついているものは、本発明においてとりわけ
好ましいと推奨される範囲を越えるもの、または本発明
の範囲外のものである。
【0031】また、比較のため、全面研削肌で窒化ホウ
素被覆層を形成しなかった比較サーメットチップ(それ
ぞれ比較チップA、B、Cという)、および組成がSi
3 4 −3Al2 3 −5ZrO2 で同形状のチップを
準備し(全面研削肌、図1の刃先処理あり)、これを1
800℃、5atmにて1時間保持し、表面に長径8μ
m、短径1.5μmの自由成長したSi3 4 柱状晶を
析出させた母材チップに対して、上記と同様の方法にて
窒化ホウ素被覆層を形成した窒化ケイ素セラミック基材
窒化ホウ素被覆チップ(比較チップD)、および市販の
結合相を10体積%含有した窒化ホウ素焼結体を超硬合
金(組成がWC−6重量%Co)にロウ付けし、研削加
工および図1に示した刃先処理を施して製造した同形状
の窒化ホウ素焼結体チップ(比較チップE)を併せて準
備した。
【0032】なお、表−6中の結合相層除去処理の内容
は、下記のとおり。 *1 : 硝酸5%、30℃にて5分間洗浄。これによ
り結合相層は除去された。断面観察の結果、母材表面は
硬質相にて形成された表面改質層によりくまなく覆われ
ており、これにより母材内部に腐食層の存在は全く認め
られなかった。 *2 : ショットブラスト処理を15秒間行い、これ
により結合相層は除去された。
【0033】これらの切削チップを用いて、下記表−4
の条件にて湿式連続切削試験を行い、5分後および60
分後の逃げ面摩耗量、刃先状態を観察し、この結果を併
せて表−6に示した。
【0034】
【表4】
【0035】また、湿式断続切削試験として下記表−5
の条件にて、各々のチップについて16切れ刃切削し、
そのうち欠損が発生した切れ刃数を調べた結果も併せて
表−6に示した。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】また、本発明チップNo.1, No.4, No.11 に
関して、断面観察にて表面部と内部の硬度を、荷重20
0gにてビッカース硬度を測定したところ、これらは母
材表面部硬度が5〜15%向上していた。比較のためN
o.13 * 、No.14 * についても同様に測定を行った結
果、硬度上昇は認められなかった。
【0040】また、本発明チップNo.4とチップ No.14*
について、焼結肌上に窒化ホウ素被覆層を形成した表面
についてCu−Kα線で回折曲線を測定した結果、結合
相であるCo、Niの回折強度がNo.4の方が No.14*
り小さくなっていることを確認した。
【0041】これらの結果から、本発明チップの特に焼
結肌の面の窒化ホウ素被覆層の密着強度が優れることが
判る。また、本発明チップにおいては窒化ホウ素焼結体
ロウ付け工具とほぼ同等の耐摩耗性を示しつつ、基材に
強靱なサーメットを使用しており、Si3 4 焼結体を
母材とした比較チップと比較しても高い靱性を備えるこ
とが判る。
【0042】〔実施例2〕本実施例では、研削肌と熱処
理肌の比較を行なう。母材として、平均粒径が0.8〜
1.5μmの各種粉末を準備し、表−1の組成に調合
後、振動ミルを用いて粉砕し、バインダーを添加したも
のを、プレス成形および成形加工し、内接円:12.7
mm、厚み:3.18mm、コーナーR:0.8mmの
JIS B4103に記載されているSPGN422形
状のプレス成形体を製造し、300℃にて脱バインダー
後、N2 ・10Torrの雰囲気にて1500℃にて6
0分間保持して焼結を行った。本チップを全面研削加工
し、さらに表−2に示した条件にて熱処理を行い、全面
熱処理肌とした。尚、熱処理時間はいずれも60分間で
ある。これらのチップに必要に応じて結合相除去を行っ
た後、さらに表−7に示した加工を施すことにより本発
明母材チップを製造した。
【0043】
【表8】
【0044】これらの母材チップを、公知の高周波スパ
ッタリング装置を用いて、ターゲットにh−BNを用い
て、チップ加熱温度を500℃、雰囲気N2 /Ar比が
1/10、雰囲気圧力0.01Torr、バイアス電圧
100Vにて、表−8に示した層厚の窒化ホウ素被覆層
を形成することにより、本発明チップNo.17 〜No.38を
製造した。この中で、 No.22と No.37は熱処理と窒化ホ
ウ素被覆を同一真空容器にて行い、熱処理後、表中の冷
却条件にて窒化ホウ素被覆温度まで冷却し、連続して窒
化ホウ素被覆層を形成するという、熱処理〜窒化ホウ素
形成連続工程にて製造した。尚、表中のチップ番号の右
肩に*印がついているものは、本発明において取りわけ
推奨される範囲を越えるものである。また、表−8には
熱処理後の表面状態、結合相層除去方法及び窒化ホウ素
被覆面の表面面粗度Rmax 、Rmax * を併せて記した。
また、表−8中の*1の意味するところは実施例1にお
けると同様であり、Rmax 、Rmax * とは、実施例1と
同様の測定を行った結果である。
【0045】これらのチップを用いて、実施例1と同様
の連続切削試験および断続切削試験を行った。この結果
も併せて表−8に示した。本発明チップに関して、断面
観察にて表面部と内部の硬度を、荷重200gにてビッ
カース硬度を測定した結果、No.18、No.21 、No.32 は
実施例1同様、表面部の硬度が5〜15%向上してい
た。さらに、 No.18、 No.34の窒化ホウ素被覆層を形成
した表面についてCu−Kα線にて回折曲線を測定した
結果、実施例1の No.14* と比較して、Ni、Coの強
度比が低いことを確認した。表−8の結果から、熱処理
肌も、焼結肌同様に高い窒化ホウ素被覆層の密着強度を
持ち、同時に高い強度を示すことも判る。
【0046】
【表9】
【0047】
【表10】
【0048】
【発明の効果】本発明の窒化ホウ素被覆硬質材料におい
てはいずれも、従来の窒化ホウ素被覆硬質材料と比べる
と、良好な窒化ホウ素被覆層の耐剥離性を持ち、かつ窒
化ホウ素焼結体とほぼ同等の耐磨耗性を持ち、さらにま
た高い強度を持つことは明らかである。また、窒化ホウ
素焼結体を用いた場合と較べて、高い形状自由度を持
ち、かつ安価に、大量に製造できるという長所も備えて
いる。また、本発明の実施例として切削工具の場合を示
したが、この他各種切削工具、耐摩工具、各種機械部
品、砥石などに本発明を適用した場合も、良好な結果が
得られることは、十分予想できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるチップの刃先処理の
概略例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例1の湿式断続切削試験に用いた
被削材の断面形状の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−28854(JP,A) 特開 平3−10076(JP,A) 特開 平5−96401(JP,A) 特開 平5−320909(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 16/56 B23B 27/00 - 29/34 B23P 15/28

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホ
    ウ素被覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
    おいて、該基材の表面部における結合相の存在割合が該
    基材内部に比べ少ないまたは該基材の表面部において結
    合相が存在せず、かつ少なくとも基材表面の一部が焼結
    肌であり、少なくとも当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被
    覆層が形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆
    硬質材料。
  2. 【請求項2】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホ
    ウ素被覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
    おいて、該基材の表面部における結合相の存在割合が該
    基材内部に比べ少ないまたは該基材の表面部において結
    合相が存在せず、かつ少なくとも基材表面の一部が熱処
    理肌であり、少なくとも当該熱処理肌の部分に窒化ホウ
    素被覆層が形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素
    被覆硬質材料。
  3. 【請求項3】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホ
    ウ素被覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
    おいて、該基材最表面に内部より高硬度である表面改質
    層が存在し、かつ少なくとも基材表面の一部が焼結肌で
    あり、少なくとも当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層
    が形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質
    材料。
  4. 【請求項4】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホ
    ウ素被覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
    おいて、該基材最表面に内部より高硬度である表面改質
    層が存在し、かつ少なくとも基材表面の一部が熱処理
    であり、少なくとも当該熱処理肌の部分に窒化ホウ素被
    覆層が形成されてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆
    硬質材料。
  5. 【請求項5】 上記表面改質層の層厚が0.01〜50
    0μmであることを特徴とする請求項3又は4に記載の
    窒化ホウ素被覆硬質材料。
  6. 【請求項6】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、該基材表面に窒化ホ
    ウ素被覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
    おいて、少なくとも基材表面の一部が焼結肌であり、少
    なくとも当該 焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層が形成さ
    れてなることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料。
  7. 【請求項7】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ
    素被覆層設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料にお
    いて、少なくとも基材表面の一部が焼結肌であり、該焼
    結肌表面に存在する結合相および/または内部より結合
    相の割合が高い表面層を除去した少なくとも当該焼結肌
    の部分に窒化ホウ素被覆層が形成されてなることを特徴
    とする窒化ホウ素被覆硬質材料。
  8. 【請求項8】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ
    素被覆層が設けられてなる窒化ホウ素被覆硬質材料にお
    いて、基材を任意の形状に加工した後、当該基材を熱処
    理することにより、基材表面の少なくとも一部は熱処理
    肌とした基材の少なくとも一部表面または全表面上に窒
    化ホウ素被覆層を形成してなることを特徴とする窒化ホ
    ウ素被覆硬質材料。
  9. 【請求項9】 炭化チタン基サーメットまたは炭窒化チ
    タン基サーメットを基材材質とし、基材表面に窒化ホウ
    素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料におい
    て、基材を任意の形状に加工した後、当該基材を熱処理
    することにより、基材表面の少なくとも一部は熱処理肌
    とし、表面の結合相および/または内部より結合相の割
    合が高い表面層を除去した該熱処理肌表面の少なくとも
    一部表面または全表面上に窒化ホウ素被覆層を形成して
    ることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料。
  10. 【請求項10】 上記基材の内部から表面に向かって結
    合相がほぼ連続的または段階的に減少しているものであ
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか
    に記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  11. 【請求項11】 上記窒化ホウ素を被覆される基材表面
    の表面面粗度がRmax * で1.5μm以上であることを
    特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載
    窒化ホウ素被覆硬質材料。
  12. 【請求項12】 上記窒化ホウ素被覆層の層厚が0.5
    〜300μmであることを特徴とする請求項1ないし請
    求項11のいずれかに記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  13. 【請求項13】 基材となるサーメットの焼結および/
    または冷却を、N 2 および/またはCOおよび/または
    CH 4 の分圧が1Torr以上の雰囲気にて行い、得ら
    れた焼結体の少なくとも一部表面を焼結肌とし、さらに
    少なくとも該焼結肌の一部表面に窒化ホウ素被覆層を設
    けることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料の製造
    法。
  14. 【請求項14】 基材となるサーメットの焼結および冷
    却を、1Torr以上の窒素ガス雰囲気にて行い、この
    焼結体の少なくとも一部表面について、表面に浸み出し
    た金属成分を酸および/またはアルカリによりエッチン
    グ除去した一部表面に窒化ホウ素被覆層を設けることを
    特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。
  15. 【請求項15】 基材となるサーメットの焼結を行い、
    目的形状に加工した後、基材の少なくとも一部表面を9
    00〜1600℃以上の温度で10分間〜5時間熱処理
    を行い、次にCOの分圧が1Torr以上の雰囲気にて
    冷却することにより該基材の少なくとも一部表面を熱処
    理肌とし、さらに当該熱処理肌の少なくとも一部表面に
    窒化ホウ素被覆層を設けることを特徴とする窒化ホウ素
    被覆硬質材料の製造法。
  16. 【請求項16】 基材となるサーメットの焼結を行い、
    目的形状に加工した後、1Torr以上のN 2 ガス中に
    て800〜1600℃以上の温度で10分間〜5時間熱
    処理を行い次に冷却することにより基材の少なくとも一
    部表面を熱処理肌とし、さらに該熱処理肌表面に浸み出
    した金属成分を酸および/またはアルカリによりエッチ
    ング除去した一部表面に窒化ホウ素被覆層を設けること
    を特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。
  17. 【請求項17】 上記焼結または熱処理において、焼結
    圧力を10〜3000気圧の条件で熱間静水圧プレスを
    行なうことを特徴とする請求項15または請求項16の
    に記載の窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。
  18. 【請求項18】 上記熱処理において、該熱処理工程と
    窒化ホウ素被覆層形成の工程を、同一処理容器あるいは
    連続処理容器にて連続処理することを特徴とする請求項
    15ないし請求項17のいずれかに記載の窒化ホウ素被
    覆硬質材料の 製造法。
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