JPH0550779A - 平版印刷版用支持体及びその製造方法 - Google Patents

平版印刷版用支持体及びその製造方法

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JPH0550779A
JPH0550779A JP21504891A JP21504891A JPH0550779A JP H0550779 A JPH0550779 A JP H0550779A JP 21504891 A JP21504891 A JP 21504891A JP 21504891 A JP21504891 A JP 21504891A JP H0550779 A JPH0550779 A JP H0550779A
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久 堀田
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博和 榊
Nobuyuki Nishinomiya
伸幸 西宮
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 陽極酸化皮膜の孔中に水酸基を持つ無機粒子
を含有することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム
支持体及び有機金属化合物あるいは無機金属化合物を液
中で加水分解及び重縮合させて得られる無機粒子を陽極
酸化皮膜上に施こし、陽極酸化皮膜の孔中に無機粒子を
含有させることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造
方法。 【効果】 非画像部が傷つきにくく、摩耗しにくく、汚
れにくい。耐刷力が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平版印刷版用アルミニ
ウムまたはその合金支持体に関するものであり、特に陽
極酸化皮膜を改質し、非画像部の汚れにくさ、傷つきに
くさ、消耗しにくさ、耐刷力に優れた平版印刷版用支持
体並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム板上に感光性組成物
を薄層状に塗布した感光性平版印刷版(PS版)がある
が、上記のアルミニウム板は通常ブラシグレイン法やボ
ールグレイン法の如き機械的な方法や電解グレイン法の
如き電気化学的方法あるいは両者を組み合わせた方法な
どの粗面化処理に付され、その表面が梨地状にされた
後、酸またはアルカリ等の水溶液によりエッチングさ
れ、さらに陽極酸化処理を得たのち所望により親水化処
理が施されて、この支持体上に感光層が設けられてPS
版とされる。このPS版は通常、像露光、現像、修正、
ガム引き工程を施して平版印刷版とされ、これを印刷機
に取り付けて印刷する。
【0003】しかしながら、従来より知られている平版
印刷版用支持体にポジ作用の感光層を設けたポジ型PS
版を像露光、現像して得られた平版印刷版の非画像部に
は、感光層中に含まれる物質が不可逆的に吸着し、非画
像部を汚染するため、修正工程で画像部と非画像部の識
別が困難であったり、修正跡が明瞭に残り、不均一な版
面となり、その程度がひどくなると汚れとなる為、印刷
版として使用できなくなるという問題点があった。
【0004】また、特公昭46−35685号公報には
陽極酸化されたアルミニウム版をポリビニルホスホン酸
で処理することが提案されているが、この処理を施して
も、上述した非画像部の汚染は充分には防止できなかっ
た。また、従来の平版印刷版は、非画像部に付着したイ
ンキが迅速に除去されないために、汚れを生じるという
問題点があった。そして従来の平版印刷版の非画像部の
傷つき難さを向上させるために陽極酸化皮膜の厚さを増
やすと非画像部の汚染がますますひどくなり、この汚染
は上記の方法では十分に防止できないという欠点もあっ
た。
【0005】電気化学的処理によって非画像部の汚染を
防止する方法として、アルミニウム支持体表面に特開昭
53−2103号公報に記載のバリア型陽極酸化処理及
び多孔性陽極酸化皮膜形成後、バリア型陽極酸化処理す
る方法が知られている。また、そのほかに多孔性陽極酸
化処理後、ホウ酸等のオキソ酸イオン存在下、100V
以下で再陽極酸化処理する方法が特開昭58−1536
99号公報に開示されている。
【0006】しかし、これらの方法ではバリア型陽極酸
化処理や再陽極酸化処理の電圧が100V以下であり、
多孔性陽極酸化皮膜を封孔するのに充分な電圧がかかっ
ておらず、したがって、非画像部の汚染防止効果が不十
分であった。また多孔性陽極酸化皮膜が比較的薄い場合
には、これらの方法で封孔できるが皮膜が薄いと機械的
強度が弱く、非画像部に傷がつきやすいという欠点もあ
った。さらに砂目立てした表面にバリア型陽極酸化処理
を行うと、耐刷力が低下するという欠点もあった。また
厚い皮膜(1g/m2 以上)を充分に封孔して使用する
ためには、非常に高い電圧が必要である。ところが高い
電圧で封孔処理を行うと皮膜が絶縁破壊を起こしてしま
うという欠点があり、この方法に代わる厚い皮膜を処理
する方法が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、非画像部に汚染を生じ難く、非画像部が傷つきに
くく、摩耗しにくく、汚れにくく、水とインキのバラン
スがとり易く、優れた性能を有し、しかも耐刷力の高い
平版印刷版用支持体及びその製造方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明を為すに到っ
たものであり、本発明は、陽極酸化皮膜の孔中に水酸基
を持つ無機粒子を有することを特徴とする平版印刷版用
アルミニウム支持体である。以下本発明について順を追
って説明する。
【0009】<アルミニウム板>本発明に於て用いられ
るアルミニウム板は、純アルミニウムやアルミニウムを
主成分とし、微量の異原子を含むアルミニウム合金など
の板状体である。このような異原子には珪素、鉄、マン
ガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニ
ッケル、チタンなどがある。これらの異原子の含有率は
一般的には10重量%以下である。本発明の支持体に好
適なアルミニウムは純アルミニウムであるが、完全に純
粋なアルミニウムは、製錬技術上製造が困難であるの
で、できるだけ異原子を含まないものがよい。このよう
に本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特
定されるものでなく従来公知、公用の素材のものを適宜
利用することができる。本発明に用いられるアルミニウ
ム板の厚さは0.1−0.5mm程度が適当である。
【0010】<粗面化処理>アルミニウム板を陽極酸化
する方法するに先立ち、表面の圧延油を除去するため
の、例えば界面活性剤またはアルカリ性水溶液による脱
脂処理、及び砂目立て処理が所望により行われる。砂目
立て処理方法には、機械的に表面を粗面化する方法、電
気化学的に表面を選択溶解する方法がある。機械的に表
面を粗面化する方法としては、ボール研磨法、ブラシ研
磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法と称される公知の方
法を用いることができる。また電気化学的な粗面化法と
しては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により
行う方法がある。また特開昭58−63902号公報に
開示されているように両者を組み合わせた方法も利用す
ることができる。
【0011】<多孔性陽極酸化皮膜>アルミニウム版の
多孔性陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔性
酸化皮膜を形成するものならば如何なるものでも使用す
ることができ、一般的には硫酸、燐酸、蓚酸、クロム
酸、あるいはそれらの混酸または水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムあるいはそれらの混合液やフッ化アンモニ
ウム添加浴等が用いられ、その濃度は電解質の種類によ
って適宜決められる。多孔性陽極酸化の処理条件は用い
る電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、
一般的には電解質の濃度は1−80重量%、液温は5−
80℃、電流密度は1−80A/dm2 、電圧は1−15
0V、電解時間は5秒−20分の範囲が適当である。多
孔性陽極酸化皮膜の量は0.1−10g/m2 が好適であ
るが、より好ましくは1−6g/m2の範囲である。
【0012】本発明で特に好ましい陽極酸化皮膜は、硫
酸を電解質として直流で形成されたものである。この陽
極酸化に用いる硫酸電解液は、硫酸濃度が50〜300
g/リットルであり、かつ、Al3-イオンとして、3〜1
5g/リットルを含むことが好ましい。また、20〜7
0℃の温度で陽極酸化を行うことが好ましく、電流密度
は3〜20A/dm2 が好ましく、電解時間は、所望の厚
みの酸化皮膜を得るため、5秒〜300秒が好ましい。
【0013】<充填処理>このようにして作成したアル
ミニウム板の陽極酸化皮膜の孔中に、水酸基を持つ無機
粒子が充填される。充填率は10%以上が適当であり、
25%以上が好ましい。本発明で使用する水酸基を持つ
無機粒子はゾル−ゲル法を利用して合成したものを使用
するのが好ましいので、以下、この方法を詳しく説明す
る。
【0014】ゾル−ゲル法は、金属アルコキシドなどの
金属原料を水および有機溶媒中に溶解し、酸、又はアル
カリなどの触媒、添加剤(多座配位子)を添加して加水
分解、重縮合反応を起こさせて金属化合物のゾルを形成
し、これを熱処理してゲルとする反応であるが、このゾ
ル−ゲル反応の途中の段階で得られる金属化合物のゾル
が本発明で使用される水酸基を有する無機粒子として好
ましい。この金属化合物のゾルの粒径は陽極酸化皮膜の
孔径より小さければよい。一般的には1000オングス
トローム以下であり、好ましくは10−500オングス
トローム、特に好ましくは20−200オングストロー
ムである。
【0015】このような粒径に調節する最も簡便な方法
は、加水分解、重縮合反応時の反応温度と反応時間を制
御することである。一般に反応温度は10℃〜80℃の
範囲から、また時間は10分間から5時間の範囲から選
ばれるが、反応温度が低いほど、また反応時間が短かい
ほど、粒径は小さくなる。ここで用いる金属原料とし
て、例えば、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネ
ート、金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属硝酸塩、金属
硫酸塩、金属炭酸塩、オキシ塩化物、塩化物を用いるこ
とができる。
【0016】金属アルコキシドの例としては、LiOCH3,
NaOCH3, B(OCH3)3, Al(OC3H7 i)3,Al(OCH3)3, Al(OC2H5)
3, Al(OC4H9)3, Si(OCH3)4, Si(OC2H5)4,Si(OC3H7 i)4,S
i(OC4H9 t)4,Ca(OCH3)2, Ti(OCH3)4,Ti(OC2H5)4, Ti(OC3
H7 i)4,Ti(OC4H9)4,V(OC2H5)3, Cu(OCH3)2, Sr(OC
2H5)2, Ba(OC2H5)2, Zn(OC2H5)2, Ga(OC2H5)3,Y(OC
4H9)3, Ge(OC2H5)4, Pb(OC4H9)4, Sb(OC2H5)5, Ta(OC3H
7)5, W(OC2H5)6,La(OC3H7)3, Nd(OC2H5)3, P(OCH3)3,
Zr(OCH3)4, Zr(OC2H5)4, Zr(OC3H7)4,Zr(OC4H9)4, La[A
l(OC3H7 i)4]3, Mg[Al(OC3H7)4]2, Mg[Al(OC
4H9 sec)4]2,Ni[Al(OC3H7)4]2, (C3H7O)2Zr[Al(OC3H7)4]
2, Ba[Zr2(OC2H5)9]2 などが含まれる。
【0017】金属アセチルアセトネートの例としては、
Ir(CH3COCH(OCH3),Mn(CH3COCHCH3)2Zn(CH3COCHCOCH3)2,
Al(CH3COCHCOCH3)3,Cu(CH3COCHCOCH3)2,Cr(CH3COCHCOCH
3)3,Ce(CH3COCHCOCH3)3 などがある。金属酢酸塩の例と
しては、Zn(CH3COO)2・2H2O, Cd(CH3COO)2・2H2O,CH3COO
K, Ca(CH3COO)2・H2O, CH3COOAg, Cr(CH3COO)3, Co(CH
3COO)2・4H2O,Sr(CH3COO)2, Y2H2O・, CH3COOCs, Ce(CH
3COO)3・H2O, Cu(CH3COO)2,Cu(CH3COO)2・ H2O, CH3COON
a, CH3COONa・3H2O, Mg(CH3COO)2・4H2O,Mn(CH3COO)2・4
H2O, Mn(CH3COO)3・2H2O, CH3COOLi, CH3COOLi・2H2O
などがある。
【0018】金属シュウ酸塩の例としては、KOCOCOOK・
H2O, SnC2O4, K2TiO(C2O4)2・2H2O,FeC2O4・2H2O, BaC2O
4・H2O など。金属硝酸塩の例としては、Zn(NO3)2・6H2
O, Al(NO3)3・9H2O, Y(NO3)3・6H2O,Ca(NO3)2・4H2O, Cr
(NO3)3・9H2O, Co(NO3)2・6H2O, ZrO(NO3)2・2H2O,Fe(NO
3)3・9H2O, Ni(NO3)2・6H2O, Nd(NO3)3・6H2O, Ba(NO3)
2,Mg(NO3)2・6H2O,Mn(NO3)2・6H2O, La(NO3)3・6H2O, Li
NO3 などがある。
【0019】金属硫酸塩の例としてAl2(SO4)3, (NH4)Al
(SO4)2, KAl(SO4)2, CsAl(SO4)2,TlAl(SO4)2, NaAl(S
O4)2, Sb2(SO4)3, Y2(SO4)3, K3Y(SO4)3, In2(SO4)
3,CaSO4, Na2Ca(SO4)2, CrSO4, CoSO4, KHSO4, NaHSO
4, Ba(HSO4)2, Mg(HSO4)2,LiHSO4, FeSO4, (NH4)2Fe(S
O4)2, Cu2SO4, CuSO4, NiSO4, VSO4, BaSO4,MgS
O4, MnSO4, La2(SO4)3, Li2SO4などがある。
【0020】金属炭酸塩の例として ZnCO3, Y2(CO3)3,
In2(CO3)3, CaCO3, CrCO3, CoCO3,Co2(CO3)3, Ca(HC
O3)2, KCoH(CO3)2, Ni(HCO3)2, Mg(HCO3)2, LiHCO3, Sr
CO3,FeCO3, Cu2CO3, NiCO3, BaCO3, BaCO3, MgCO3,
(NH4)2CO3・ MgCO3, CaCO3・MgCO3, MnCO3, La2(C
O3)3, Li2CO3などがある。オキシ塩化物の例として、Sb
OCl, CrO2Cl2, Si2OCl6,ZrOCl2, WOCl4, FeOCl,CuCl2・
2CuO・4H2O, CuCl2・Cu(OH)2NbOCl3, VOCl, BiOCl, M
oCl, POCl3 などがある。
【0021】塩化物の例として、ZnCl2, AlCl3, SbCl
3, CaCl2, CrCl2, SiCl4, CoCl2,ZrCl2, SrCl2, WC
l4, TaCl5, TiCl4, FeCl2, Cu2Cl2, CuCl2, NbCl
5,BaCl, BiCl, MgCl2, MnCl2, MoCl2, LaCl3, Li
Clなどがある。他方、触媒として一般的な酸・アルカリ
なら何でも良い。好ましくは、硫酸・塩酸・硝酸・水酸
化ナトリウム・水酸化カリウムなどがある。
【0022】添加剤にはエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコー
ル、アセチルアセトン・エタノールアミン、ジエタノー
ルアミントリエタノールアミン、シュウ酸、酒石酸、ク
エン酸、トリポリリン酸、ピロリン酸、テトラメタリン
酸、亜リン酸、次リン酸、メタ亜リン酸など多座配位子
を有するものなら何でも良く、加水分解、重縮合反応の
際に形成される金属の水酸化物などが沈降するのを防止
する作用を有する。
【0023】溶媒は金属原料を溶解させるためのもので
あって、溶剤として機能するものであれば特に限定する
ものではなく、何を用いても良い。具体例として、メタ
ノール、エタノール等の低級アルコール、アセトン、メ
チルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類が挙げ
られる。以上のようにして得られた水酸基を有する無機
粒子を陽極酸化皮膜の孔中に充填する方法としては、次
のものものがある。
【0024】(1) 粒径を充分に制御した水酸基を有する
無機粒子を含有する溶液中に陽極酸化処理を施したアル
ミニウム板を浸漬することにより、陽極酸化皮膜の孔中
に水酸基を有する無機粒子を充てんする。浸漬条件とし
ては、浸漬時間10秒−2時間、浸漬温度10℃−90
℃。好ましくは浸漬時間30秒−30分、浸漬温度20
℃−60℃。
【0025】又は陽極酸化皮膜上に水酸基を有する無機
粒子を陽極酸化皮膜上に塗布することにより陽極酸化皮
膜の孔中に充てんする。塗布方式としては、バーコー
ト、ホイラー塗布、カーテン塗布などの方式を用いるこ
とができる。こゝで形成した水酸基を有する無機粒子中
には、有機金属化合物を用いた場合には、有機金属化合
物中の加水分解されていないアルキル基、触媒として用
いた酸、又はアルカリ、溶媒等が残留した状態で存在し
ている。この残留物が多量に存在していると印刷時に汚
れにつながるので好ましくない。残留アルキル基を10
%以下にすることが重要である。また、水酸基を有する
無機粒子を含有する溶液中への陽極酸化したアルミニウ
ム板の浸漬処理、あるいは水酸基を有する無機粒子を含
有する溶液を陽極酸化したアルミニウム板上への塗布処
理だけでは、陽極酸化皮膜の孔中に、堅固に充てんする
ことはできない。従って、陽極酸化皮膜の孔中への充て
ん処理後に、印刷時の汚れを向上する為に、水酸基を含
有する無機粒子中の残留物(アルキル基、触媒、溶媒)
を除去する為、及び陽極酸化皮膜の孔中に堅固に充てん
する為に熱処理を施す。熱処理条件は大気中、或いは減
圧雰囲気下において、温度10℃−500℃で10秒−
2時間、望ましくは温度10℃−300℃で10秒−3
0分が適当である。
【0026】その後、浸漬処理あるいは塗布処理後に
は、陽極酸化皮膜の孔中だけでなく、陽極酸化皮膜の孔
外(表面)にも水酸基を有する無機粒子から形成した膜
が付着している。この膜は硬度が十分でないこと及び感
光層と陽極酸化皮膜とのWBL(Weak Baundary Layer)
として作用するので必要に応じて、酸・アルカリ等に浸
漬する化学的処理を施して、陽極酸化皮膜の孔外(表
面)の水酸基を有する無機粒子から形成した膜を溶解・
除去した後、水洗処理を行う。溶解・除去に用いる酸・
アルカリは水酸基を有する無機粒子から形成した膜を溶
解できるものであれば何を用いてもよい。例えば硫酸、
硝酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素カリウムなど使用される。濃度は1−80
重量%、液温は1−80℃、浸漬時間10秒−1時間が
好ましい。この条件では陽極酸化皮膜の孔中に充てんさ
れた水酸基を有する無機粒子はほとんど除去されない。
又、水酸基を有する無機粒子の形成を陽極酸化皮膜の孔
中で行うこともできる。
【0027】(2) 水酸基を有する無機粒子を含む溶液中
で陽極酸化されたアルミニウム板を1方の電極として電
解を行う事により充てんする。このばあい溶液中での無
機粒子の安定性を良くするために処理液中にクロム酸、
燐酸、硫酸、硝酸等の無機塩、酢酸、マレイン酸等の有
機酸あるいは界面活性剤を添加することができる。電解
条件は使用する無機粒子の種類によって異なるが、電流
密度は0.5−100A/dm2 、処理温度は5−90℃、処
理時間は1秒−1時間である。電解により充てんした
後、必要に応じて(1) と同様にして加熱処理し酸・アル
カリへの浸漬処理を施してもよい。 <親水層>このような親水性化合物を陽極酸化皮膜の孔
内に充填したアルミニウム表面に、特開昭60−149
491号公報、特開昭60−232998号公報、特開
昭62−19494号公報に記載されているような親水
層を設けることができる。
【0028】また、この親水層を設ける前または後に、
米国特許第3,181,461号に記載されているように、
アルカリ金属シリケート(珪酸ソーダ、珪酸カリウム)
の水溶液で処理することもできる。 <感光層>このようにして得られた平版印刷版用支持体
の上に従来より知られている感光層を設けて、感光性平
版印刷版を得ることができる。これを製版処理して得た
平版印刷版は優れた性能を有している。以下、感光性組
成物の代表的なものについて述べる。
【0029】(1) o−キノンジアジド化合物からなる感
光性組成物。 ポジ作用感光性ジアゾ化合物としては、特公昭43−2
8403号公報に記載されているベンゾキノン−1,2
−ジアジドスルホン酸クロリドとポリヒドロキシフェニ
ルとのエステルまたはナフトキノン−1,2−ジアジド
スルホン酸クロリドとピリガロール−アセトン樹脂きの
エステルが最も望ましい。その他の好適なo−キノンジ
アジド化合物としては、米国特許第3,046,120号及
び第3,188,210号の各明細書中に記載されているベ
ンゾキノン−1,2−ジアジドスルホン酸クロリドまた
はナフトキノン−1,2−ジアジドスルホン酸クロリド
とフェノールホルムアルデヒド樹脂とのエステルがあ
る。
【0030】o−キノンジアジド化合物は単独で感光層
を構成するが、アルカリ水に可溶な樹脂を結合剤(バイ
ンダー)として併用してもよい。このアルカリ水に可溶
性の樹脂としてはノボラック樹脂があり、例えばフェノ
ールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒ
ド樹脂、p−t−ブチルホルムアルデヒド樹脂、フェノ
ール変性キシレン樹脂、フェノール変性メシチレン樹脂
などがある。その他の有用なアルカリ水可溶性樹脂とし
てポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化アクリル酸
と他のビニル化合物とのコポリマーをあげることができ
る。o−キノンジアジド化合物からなる感光層及びその
現像液の更なる詳細は米国特許第4,259,434号に記
載されている。
【0031】(2) ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感
光性組成物 ネガ作用感光性ジアゾ化合物としては米国特許第2,06
3,631号及び同2,667,415号の各明細書に開示さ
れているジアゾニウム塩とアルドールやアセタールのよ
うな反応性カルボニル基を含有する有機縮合剤との反応
生成物であるジフェニルアミン−p−ジアゾニウム塩と
ホルムアルデヒドとの縮合生成物(感光性ジアゾ樹脂)
が好適に用いられる。その他の有用な縮合ジアゾ化合物
は米国特許第3,679,419号、特開昭60−8091
号、特開昭59−78340号、特開昭56−1210
31号、特開昭61−91654号、特開昭59−78
340号、特開昭62−59948号、英国特許第1,3
12,925号、同第1,312,926号の各明細書に開示
されている。これらの型の感光性ジアゾ化合物は、通常
水溶性無機塩の形で得られ、従って水溶液から塗布する
ことができる。またこれらの水溶性ジアゾ化合物を英国
特許第1,280,885号明細書に開示された方法により
1個またはそれ以上のフェノール性水酸基、スルホン酸
基またはその両者を有する芳香族または脂肪族化合物と
反応させ、その反応生成物である実質的に水不溶性の感
光性ジアゾ樹脂を使用することもできる。
【0032】また、特開昭56−121031号公報に
記載されているようにヘキサフルオロほう酸塩との反応
生成物として使用することもできる。そのほか、英国特
許第1,312,925号明細書に記載されているジアゾ樹
脂も好ましい。このようなジアゾ樹脂は、バインダーと
共に用いられる。好ましいバインダーは酸価10−20
0を有する有機高分子重合体であり、具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン
酸を必須の重合成分として含む、例えば米国特許第4,1
23,276号に記載されているような2−ヒドロキシエ
チルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、またはメタクリロニトリル、アクリル酸または
メタクリル酸及び必要に応じてさらに他の共重合しうる
モノマーとの3元または4元共重合体、特開昭53−1
20903号公報に記載されているような末端がヒドロ
キシ基であり、かつジカルボン酸エステル残基を含む基
でエステル化されたアクリル酸またはメタクリル酸、及
び必要に応じてさらに他の共重合しうるモノマーとの共
重合体、特開昭54−98614号公報に記載されてい
るような芳香族性水酸基を末端に有する単量体(例えば
N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドな
ど)、アクリル酸またはメタクリル酸、及びさらに必要
に応じて他の共重合可能なモノマーの少なくとも1種と
の共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されて
いるようなアルキルアクリレートまたはメタクリレー
ト、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル、及び
不飽和カルボン酸よりなる共重合体が含まれる。また酸
性ポリマービニルアルコール誘導体、酸性セルロース誘
導体も有用である。更にまた、特開昭60−18243
7号、同61−281236号の各公報に記載されてい
るような、カルボキシル基を有するポリビニルブチラー
ル樹脂や英国特許第2,185,120号明細書に記載され
ているようなカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂
も好ましい一例である。
【0033】(3) 重合体の主鎖または側鎖に−CH=C
H−C=O基を含む高分子化合物からなる組成物 重合体の主鎖または側鎖に感光性基として−CH=CH
−C=O基を含むポリエステル類、ポリアミド類、ポリ
カーボネート類の様な感光性重合体を主成分とするもの
(例えば、米国特許第3,030,208号、同第3,707,
373号及び同第3,453,237号の各明細書に記載さ
れているような化合物)、シンナミリデンマロン酸等の
2−プロペニリデンマロン酸化合物及び感光性ポリエス
テル類を主成分としたもの(例えば、米国特許第2,95
6,878号及び同第3,173,787号の各明細書に記載
されているような感光性重合体)、ポリビニルアルコー
ル、澱粉、セルロース及びその類似物のような水酸基含
有重合体のケイ皮酸エステル類(例えば、米国特許第2,
690,966号、同第2,752,372号、同第2,732,
301号等の明細書に記載されているような感光性重合
体)等が包含される。これらの組成物中には他に増感
剤、安定化剤、可塑剤、顔料や染料等を含ませることが
できる。
【0034】(4) 活性光線の照射により重合反応を起こ
す共重合体組成物 例えば米国特許第2,760,863号及び同第3,060,0
23号明細書に記載の2個またはそれ以上の末端エチレ
ン基を有する付加重合性不飽和化合物と光重合開始剤よ
りなる組成物がある。上記活性光線の照射により二量化
する化合物及び重合反応する化合物にはさらにバインダ
ーとして樹脂、増感剤、熱重合防止剤、色素、可塑剤な
どを含有させることができる。
【0035】(5) 電子写真感光層 電子写真感光層は、主として光導電性化合物とバインダ
ーからなるが、感度向上、所望の感光波長域を得る等の
目的の為に、必要に応じて、公知の顔料、染料、化学増
感剤、そのほかの添加剤を使用することができ、感光層
は単層あるいは電荷発生と電荷輸送の機能を分離した複
数の層から構成することができる。公知の電子写真プロ
セスにより感光層上にトナー画像を形成し、これをレジ
スト層として、非画像部をデコーティングすることによ
り、平版印刷版を得ることができる。例えば、特公昭3
7−17162号、同38−6961号、特開昭56−
107246号、同60−254142号、特公昭59
−36259号、同59−25217号、特開昭56−
146145号、同62−194257号、同57−1
47656号、同58−100862号、同57−16
1863号を始めとして多数の刊行物に記載されてお
り、これらはいずれも使用することができる。
【0036】上記感光性組成物は通常、水、有機溶剤、
またはこれらの混合物の溶液として、本発明による支持
体上に塗布し、乾燥されて感光性平版印刷版が作成され
る。感光性組成物の塗布量は、一般的に約0.1−約5.0
g/m2 が適当であり、約0.5−約3.0g/m2 がより
好ましい。かくして得られる感光性平版印刷版はカーボ
ンアーク灯、キセノン灯、水銀灯、タングステン灯、メ
タルハライドランプなどのような活性光線を含む光源に
より画像露光し、現像して平版印刷版が得られる。
【0037】
【発明の効果】本発明の支持体を使用した感光性平版印
刷版を露光、現像して得られる平版印刷版はネガ型、ポ
ジ型のいずれの場合でも非画像部の汚染がなく、修正工
程で画像部の識別が容易である。また修正跡が生じるこ
とがなく、従って修正跡による印刷物の汚れが発生せ
ず、非画像部の傷つき難さ、耐摩耗性、汚れにくさに優
れている。しかも耐刷力が高い。また現像後に感光層が
残存しないので、水とインキのバランスがとりやすいな
どの特徴を有している。
【0038】
【実施例】以下本発明を実施例により、具体的に説明す
る。なお実施例中の(%)は、特に指定のない限り(重
量%)を示すものとする。 実施例1 JIS1050アルミニウムシートをパミスー水懸濁液
を研磨剤として、回転ナイロンブラシで表面を砂目立て
した。この時の表面粗さ(中心線平均粗さ)は0.5μで
あった。水洗後、70℃の10%水酸化ナトリウム水溶
液中に浸漬してアルミニウムの溶解量が6g/m2 にな
るようにエッチングした。水洗後、30%硝酸水溶液中
に1分間浸漬して中和し、充分水洗した。その後に、0.
7%硝酸水溶液中で、陽極時電圧6ボルトの矩形波交番
波形を用いて(特公昭58−5795号公報実施例に記
載されている電源波形)20秒間電解粗面化を行い、2
0%硫酸の50℃溶液中に浸漬して表面を洗浄した後、
水洗した。
【0039】さらに5%リン酸水溶液中で直流を用いて
多孔性陽極酸化処理を行い基板1を準備した。この時の
陽極酸化皮膜重量は4g/m2 であった。次に下記に示
す水酸基を有する無機粒子Aを合成した。Aはアルミニ
ウムトリイソプロポキシド:トルエン:アセチルアセト
ンを重量比2:39:1に調整し、室温で1時間スター
ラーで攪拌して反応させ、水酸基を有する無機粒子の粒
子径を約50オングストローム以下に制御した。この溶
液を基板1に回転塗布法により陽極酸化皮膜表面に塗布
し、無機粒子を孔中に充填した。その後、温度100℃
で10分間熱処理を施し、ゾルをゲルに変えた。その
後、40℃の1mol%炭酸水素カリウム水溶液に3分間浸
漬して、陽極酸化皮膜上にある余分なゲル膜を除去し、
水洗して基板2を準備した。基板1及び2に下記組成の
感光液を乾燥後の塗布重量が2.0g/m2となるように塗
布して感光層を設けた。
【0040】組成 ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロ
ライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化合
物(米国特許第3,635,709号明細書実施例1記載の
もの) 0.75g クレゾールノボラック樹脂 2.00g オイルブルー#603 0.04g エチレンジクロライド 16g 2−メトキシエチルアセテート 12g このようにしてつくられた感光性平版印刷版を、真空焼
枠中で、透明ポジティブフィルムを通して1mの距離か
ら3kWのメタルハライドランプにより、50秒間露光を
行なった後、SiO2/Na2Oのモル比が1.74の珪酸ナ
トリウムの5.26%水溶液(pH=12.7)で現像した。
現像後、ハイデルベルグ社製印刷機SOR-KZにて印刷した
ところ、双方の印刷プレートは、10万枚の良好な印刷
物を与えた。しかし無機粒子を陽極酸化皮膜の孔中に含
有しないプレートは非画像部の汚染が激しく600nmで
の吸光度が0.08あり、検版性や水とインキのバランス
がとりにくく印刷適性が劣っていた。これに対して、水
酸基を有する無機粒子を陽極酸化皮膜の孔中に含有する
プレートには全く非画像部の汚染は生じなかった。 実施例2 JIS1050アルミニウムシートをパミスー水懸濁液
を研磨剤として、回転ナイロンブラシで表面を砂目立て
した。この時の表面粗さ(中心線平均粗さ)は0.5μで
あった。水洗後、70℃の10%水酸化ナトリウム水溶
液中に浸漬してアルミニウムの溶解量が6g/m2 にな
るようにエッチングした。水洗後、30%硝酸水溶液中
に1分間浸漬して中和し、充分水洗した。その後に、0.
7%硝酸水溶液中で、陽極時電圧6ボルトの矩形波交番
波形を用いて(特開昭58−5795号公報実施例に記
載されている電源波形)20秒間電解粗面化を行い、2
0%硫酸の50℃溶液中に浸漬して表面を洗浄した後、
水洗した。さらに20%硫酸水溶液中で直流を用いて多
孔性陽極酸化処理を行い、基板3を準備した。この時の
陽極酸化皮膜重量は4g/m2 であった。実施例1と同
様にして、下記に示す水酸基を有する無機粒子Bを合成
した。Bはエチルシリケート:エタノール:水:硝酸を
重量比10:73:2:0.1に調整し、室温で4時間ス
ターラーで攪拌して反応させることにより形成し、無機
粒子の粒子径を約30オングストローム以下に制御した
ものである。この溶液を基板3上に回転塗布法により陽
極酸化皮膜表面に塗布し、無機粒子を孔中に充填した。
100℃、10分熱処理することによりゾルをゲルに変
えた後、40℃の1mol%炭酸水素カリウム水溶液に60
分間浸漬して陽極酸化皮膜上にあるゲル膜を溶解し、水
洗し、基板4を準備した。このように孔中に無機粒子を
含むものと含まないものについて下記組成の感光液を乾
燥後の塗布重量が2.0g/m2 となるように塗布して感
光層を設けた。
【0041】組成 ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロ
ライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化合
物(米国特許第3,635,709号明細書実施例1記載の
もの) 0.75g クレゾールノボラック樹脂 2.00g オイルブルー#603 0.04g エチレンジクロライド 16g 2−メトキシエチルアセテート 12g このようにしてつくられた感光性平版印刷版を、真空焼
枠中で、透明ポジティブフィルムを通して1mの距離か
ら3kWのメタルハライドランプにより、50秒間露光を
行なった後、SiO2/Na2Oのモル比が1.74の珪酸ナ
トリウム5.26%水溶液(pH=12.7)で現像した。現
像後、ハイデルベルグ社製印刷機SOR-KZにて印刷したと
ころ、双方の印刷プレートは、10万枚の良好な印刷物
を与えた。しかし、無機粒子を陽極酸化皮膜の孔中に含
有しないプレートは非画像部の汚染が激しく600nmで
の吸光度が0.08あり、検版性や水とインキのバランス
がとり難く、印刷適性が劣っていた。これに対して陽極
酸化皮膜の孔中に無機粒子を含有するプレートには全く
非画像部の汚染を生じなかった。 実施例3 JIS1050アルミニウムシートをパミスー水懸濁液
を研磨剤として、回転ナイロンブラシで表面を砂目立て
した。この時の表面粗さ(中心線平均粗さ)は0.5μで
あった。水洗後、70℃の10%水酸化ナトリウム水溶
液中に浸漬してアルミニウムの溶解量が6g/m2 にな
るようにエッチングした。水洗後、3%硝酸水溶液中に
1分間浸漬して中和し、充分水洗した。その後に、0.7
%硝酸水溶液中で陽極時電圧6ボルトの矩形波交番波形
を用いて(特開昭58−5795号公報実施例に記載さ
れている電源波形)20秒間電解粗面化を行ない、50
℃の20%硫酸中に浸漬して表面を洗浄した後、水洗し
た。さらに20%硫酸水溶液中で直流を用いて多孔性陽
極酸化処理を行い、基板5を準備した。この時の陽極酸
化皮膜重量は2.5g/m2 であった。この後基板5を3
号ケイ酸ソーダ2.5wt% 、70℃、14秒浸漬後水洗
し、基板6とした。実施例2と同様にして、次に示す水
酸基を有する無機粒子Bを合成した。Bはエチルシリケ
ート:エタノール:水:硝酸を重量比10:73:2:
0.1に調整し、室温で4時間反応させることにより形成
し、無機粒子の粒子径を約30オングストロームに制御
したものである。この溶液を基板5上に回転塗布法によ
り陽極酸化皮膜表面に塗布し、無機粒子を孔中に充填し
た。100℃、10分熱処理することによりゾルをゲル
に変えた後、40℃の1mol%炭酸水素カリウム水溶液に
60分間浸漬して陽極酸化皮膜上にあるゲル膜を溶解
し、水洗し、基板7を準備した。このように孔中に無機
粒子を含むものと含まないものについて下記組成の感光
液を乾燥後の塗布重量が2.0g/m2となるように塗布し
て感光層を設けた。
【0042】 ネガ感光層処方 親油性高分子化合物 (2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体) 5.0 g ジアゾ樹脂 (p−ジアゾジフェニルアミンとp−ホルムアルデヒド 0.5 g との縮合物) ビクトリアピュアブルーBOH 0.15g ジピコリン酸 0.15g 亜リン酸 0.1 g 水 5.0 g 1−メトキシ−2−プロパノール 45.0 g メチルエチルケトン 50.0 g 無機粒子を陽極酸化皮膜の孔中に含有しないプレート
は、非画像部の汚れが激しく、検版性や水とインキのバ
ランスがとり難く印刷しにくかった。しかしながら、陽
極酸化皮膜の孔中に無機粒子を含有するプレートには全
く非画像部の汚染を生じなかった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年10月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】(2)水酸基を有する無機粒子を含む溶液
中で陽極酸化されたアルミニウム板を一方の電極として
電解を行う事により充てんする。このばあい溶液中での
無機粒子の安定性を良くするために処理液中にクロム
酸、燐酸、硫酸、硝酸等の無機塩、酢酸、マレイン酸等
の有機酸あるいは界面活性剤を添加することができる。
電解条件は使用する無機粒子の種類によって異なるが、
電流密度は0.5−100A/dm、処理温度は5−
90℃、処理時間は1秒−1時間である。電解により充
てんした後、必要に応じて(1)と同様にして加熱処理
し酸・アルカリへの浸漬処理を施してもよい。 <親水層>このような親水性化合物を陽極酸化皮膜の孔
内に充填したアルミニウム表面に、特開昭60−149
491号公報、特開昭60−232998号公報、特開
昭62−19494号公報に記載されているような親水
層を設けることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】また、この親水層を設ける前または後に、
米国特許第3,181,461号に記載されているよう
に、アルカリ金属シリケート(珪酸ソーダ、珪酸カリウ
ム)の水溶液で処理することもできる。またポリビニル
ホスホン酸で処理することもできる。 <感光層>このようにして得られた平版印刷版用支持体
の上に従来より知られている感光層を設けて、感光性平
版印刷版を得ることができる。これを製版処理して得た
平版印刷版は優れた性能を有している。以下、感光性組
成物の代表的なものについて述べる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】(1)o−キノンジアジド化合物からなる
感光性組成物。 ポジ作用感光性ジアゾ化合物としては、特公昭43−2
8403号公報に記載されているベンゾキノン−1,2
−ジアジドスルホン酸クロリドとポリヒドロキシフェニ
ルとのエステルまたはナフトキノン−1,2−ジアジド
スルホン酸クロリドとピリガロール−アセトン樹脂
エステルが最も望ましい。その他の好適なo−キノンジ
アジド化合物としては、米国特許第3,046,120
号及び第3,188,210号の各明細書中に記載され
ているベンゾキノン−1,2−ジアジドスルホン酸クロ
リドまたはナフトキノン−1,2−ジアジドスルホン酸
クロリドとフェノールホルムアルデヒド樹脂とのエステ
ルがある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】さらに5%リン酸水溶液中で直流を用いて
多孔性陽極酸化処理を行い基板1を準備した。この時の
陽極酸化皮膜重量は4g/mであった。次に下記に示
す水酸基を有する無機粒子Aを合成した。Aはアルミニ
ウムトリイソプロポキシド:トルエン:アセチルアセト
ンを重量比2:39:1に調整し、室温で1時間スター
ラーで攪拌して反応させ、水酸基を有する無機粒子の粒
子径を約50オングストローム以下に制御した。この溶
液を基板1に回転塗布法により陽極酸化皮膜表面に塗布
し、無機粒子を孔中に充填した。その後、温度100℃
で10分間熱処理を施し、無機粒子を孔中に固着した。
その後、40℃の1mol%炭酸水素カリウム水溶液に
3分間浸漬して、陽極酸化皮膜上にある余分な無機粒子
から形成した膜を除去し、水洗して基板2を準備した。
基板1及び2に下記組成の感光液を乾燥後の塗布重量が
2.0g/mとなるように塗布して感光層を設けた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】組成 ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロ
ライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化合
物(米国特許第3,635,709号明細書実施例1記
載のもの) 0.75g クレゾールノボラック樹脂 2.00g オイルブルー#603 0.04g エチレンジクロライド 16g 2−メトキシエチルアセテート 12g このようにしてつくられた感光性平版印刷版を、真空焼
枠中で、透明ポジティブフィルムを通して1mの距離か
ら3kWのメタルハライドランプにより、50秒間露光
を行なった後、SiO/NaOのモル比が1.74
の珪酸ナトリウムの5.26%水溶液(pH=12.
7)で現像した。現像後、ハイデルベルグ社製印刷機S
0R−KZにて印刷したところ、双方の印刷プレート
は、10万枚の良好な印刷物を与えた。しかし無機粒子
を陽極酸化皮膜の孔中に含有しないプレートは非画像部
の汚染が激しく600nmでの吸光度が0.08あり、
検版性や水とインキのバランスがとりにくく印刷適性が
劣っていた。これに対して、水酸基を有する無機粒子を
陽極酸化皮膜の孔中に含有するプレートには全く非画像
部の汚染は生じなかった。 実施例2 JIS1050アルミニウムシートをパミスー水懸濁液
を研磨剤として、回転ナイロンブラシで表面を砂目立て
した。この時の表面粗さ(中心線平均粗さ)は0.5μ
であった。水洗後、70℃の10%水酸化ナトリウム水
溶液中に浸漬してアルミニウムの溶解量が6g/m
なるようにエッチングした。水洗後、30%硝酸水溶液
中に1分間浸漬して中和し、充分水洗した。その後に、
0.7%硝酸水溶液中で、陽極時電圧6ボルトの矩形波
交番波形を用いて(特開昭58−5795号公報実施例
に記載されている電源波形)20秒間電解粗面化を行
い、20%硫酸の50℃溶液中に浸漬して表面を洗浄し
た後、水洗した。さらに20%硫酸水溶液中で直流を用
いて多孔性陽極酸化処理を行い、基板3を準備した。こ
の時の陽極酸化皮膜重量は4g/mであった。実施例
1と同様にして、下記に示す水酸基を有する無機粒子B
を合成した。Bはエチルシリケート:エタノール:水:
硝酸を重量比10:73:2:0.1に調整し、室温で
4時間スターラーで攪拌して反応させることにより形成
し、無機粒子の粒子径を約30オングストローム以下に
制御したものである。この溶液を基板3上に回転塗布法
により陽極酸化皮膜表面に塗布し、無機粒子を孔中に充
填した。100℃、10分熱処理することにより無機粒
子を孔中に固着した後、40℃の1mol%炭酸水素カ
リウム水溶液に60分間浸漬して陽極酸化皮膜上にある
ゲル膜を溶解し、水洗し、基板4を準備した。このよう
に孔中に無機粒子を含むものと含まないものについて下
記組成の感光液を乾燥後の塗布重量が2.0g/m
なるように塗布して感光層を設けた。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】組成 ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロ
ライドとピロガロールーアセトン樹脂とのエステル化合
物(米国特許第3,635,709号明細書実施例1記
載のもの) 0.75g クレゾールノボラック樹脂 2.00g オイルブルー#603 0.04g エチレンジクロライド 16g 2−メトキシエチルアセテート 12g このようにしてつくられた感光性平版印刷版を、真空焼
枠中で、透明ポジティブフィルムを通して1mの距離か
ら3kWのメタルハライドランプにより、50秒間露光
を行なった後、SiO/NaOのモル比が1.74
の珪酸ナトリウム5.26%水溶液(pH=12.7)
で現像した。現像後、ハイデルベルグ社製印刷機S0R
−KZにて印刷したところ、双方の印刷プレートは、1
0万枚の良好な印刷物を与えた。しかし、無機粒子を陽
極酸化皮膜の孔中に含有しないプレートは非画像部の汚
染が激しく600nmでの吸光度が0.08あり、検版
性や水とインキのバランスがとり難く、印刷適性が劣っ
ていた。これに対して陽極酸化皮膜の孔中に無機粒子を
含有するプレートには全く非画像部の汚染を生じなかっ
た。 実施例3 JIS1050アルミニウムシートをパミスー水懸濁液
を研磨剤として、回転ナイロンブラシで表面を砂目立て
した。この時の表面粗さ(中心線平均粗さ)は0.5μ
であった。水洗後、70℃の10%水酸化ナトリウム水
溶液中に浸漬してアルミニウムの溶解量が6g/m
なるようにエッチングした。水洗後、3%硝酸水溶液中
に1分間浸漬して中和し、充分水洗した。その後に、
0.7%硝酸水溶液中で陽極時電圧6ボルトの矩形波交
番波形を用いて(特開昭58−5795号公報実施例に
記載されている電源波形)20秒間電解粗面化を行な
い、50℃の20%硫酸中に浸漬して表面を洗浄した
後、水洗した。さらに20%硫酸水溶液中で直流を用い
て多孔性陽極酸化処理を行い、基板5を準備した。この
時の陽極酸化皮膜重量は2.5g/mであった。この
後基板5を3号ケイ酸ソーダ2.5wt%、70℃、1
4秒浸漬後水洗し、基板6とした。実施例2と同様にし
て、次に示す水酸基を有する無機粒子Bを合成した。B
はエチルシリケート:エタノール:水:硝酸を重量比1
0:73:2:0.1に調整し、室温で4時間反応させ
ることにより形成し、無機粒子の粒子径を約30オング
ストロームに制御したものである。この溶液を基板5上
に回転塗布法により陽極酸化皮膜表面に塗布し、無機粒
子を孔中に充填した。100℃、10分熱処理するこ
とにより無機粒子を孔中に固着した後、40℃の1mo
l%炭酸水素カリウム水溶液に60分間浸漬して陽極酸
化皮膜上にある無機粒子から形成した膜を溶解し、水洗
し、基板7を準備した。このように孔中に無機粒子を含
むものと含まないものについて下記組成の感光液を乾燥
後の塗布重量が2.0g/mとなるように塗布して感
光層を設けた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化皮膜の孔中に水酸基を持つ無機
    粒子を含有することを特徴とする平版印刷版用アルミニ
    ウム支持体。
  2. 【請求項2】 有機金属化合物あるいは無機金属化合物
    を液中で加水分解及び重縮合させて得られる無機粒子を
    陽極酸化皮膜上に施こし、陽極酸化皮膜の孔中に無機粒
    子を含有させることを特徴とする平版印刷版用アルミニ
    ウム支持体の製造方法。
JP3215048A 1991-08-27 1991-08-27 平版印刷版用支持体の製造方法 Expired - Fee Related JP2775534B2 (ja)

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