JPH055008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はグラビア印刷機の印刷ユニツトにおい
て、インキパンの洗浄時にインキパンを密閉する
装置に関する。

従来の技術 一般にグラビア印刷機に使用されるインキパン
は印刷終了後のインキ色替の際に、印刷ユニツト
から外して外部に運び出し、手洗浄或いは別置の
洗浄装置での洗浄を行つている。これらの洗浄作
業は印刷準備作業中において時間的、労力的に大
きなウエイトを占めており、この作業の短縮化、
簡単化が望まれている。

考案が解決しようとする問題点 インキパン洗浄作業を短縮化、簡単化するに
は、インキパンを印刷ユニツトから取り外すこと
なく、印刷ユニツト内で洗浄することが考えら
れ、且つその方法としては洗浄液をインキパン内
面に噴射する方法が考えられる。ところが、従来
のインキパンではインキパン上面が開口している
ので、このような洗浄液噴射を行うと、洗浄液の
蒸発や飛散、インキ汚れの周囲への飛散等が生
じ、環境を汚染するという致命的に問題点があ
る。この問題点を解決するには、インキパン上面
の開口面を適当なカバーで密閉する必要がある
が、この密閉用のカバーは印刷時には印刷操作に
支障の無い位置に退避できなければならない。

本考案はかかる事情に鑑みなされたもので、イ
ンキパンの印刷ユニツト内での洗浄液噴射による
洗浄を可能にするインキパン密閉装置を提供する
ことを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成すべくなされた本考案のインキ
パン密閉装置は、グラビア印刷機の印刷ユニツト
において、インキパンの長手方向に平行な軸線を
中心として旋回可能な２枚のカバーを設け、該カ
バーをインキパン上面を覆う密閉位置とインキパ
ン下方の収納位置とに移動可能とし、前記２枚の
カバーに、カバー開閉用のアクチユエータを連結
し、更に、前記カバーをインキパン上面を覆う密
閉位置とした状態において前記インキパンに洗浄
液を噴射しうるよう洗浄噴射用ノズルを設けたこ
とを特徴とするものである。

作 用 上記構成になるインキパン密閉装置では、通常
の印刷動作中には、カバーを収納位置とすること
により、印刷に支障を与えることがなく、印刷終
了後のインキパン洗浄時には、アクチユエータに
よつてそのカバーを密閉位置に移動させることに
よつてインキパンを密閉でき、その状態で洗浄液
噴射用ノズルで洗浄液を噴射することにより、イ
ンキパンを取り外すことなく、印刷ユニツト内で
洗浄することができる。

実施例 以下、図面に示す本考案の好適な実施例を説明
する。

第１図は本考案の一実施例のインキパン密閉装
置を、開状態で示す斜視図である。同図におい
て、半円筒形をなしたインキパン１はその両端外
面にピン２を有し、ピン２には回転自在に２枚の
密閉用カバー３，４が保持されている。ピン２は
インキパン１の軸線方向（長手方向）に平行に配
置されており、従つて密閉用カバー３，４はイン
キパン１の長手方向に平行な軸線を中心として回
転可能である。密閉用カバー３，４は両端の扇状
の端板３Ａ，４Ａと、端板間の胴板３Ｂ，４Ｂと
からなり、胴板３Ｂ，４Ｂはインキパン１の外面
の半径より若干大きな半径を有した円弧状断面を
なし、開時、インキパン下方の格納位置に収納し
うるようになしている。この密閉用カバー３，４
は図示のようにインキパン１下方に収納した時に
おいても、インキパン１の最底部は覆わないよう
な寸法であり、インキパン１の密閉用カバーで覆
われていない最低部に、排出弁を備えたドレイン
管５が接続されている。

更に、密閉用カバー３，４は第２図に示すよう
に、ピン２を中心としてインキパン上方に回転さ
せた時、インキパン１の上面の開口を密閉しうる
寸法に形成されている。また、この時カバー３，
４の内面がインキパン１上端のエツジ６に良好に
圧着するように、カバー３，４を位置調整するた
め、ピン２の取付位置は調整可能としている。イ
ンキパン１端面とカバー３，４の端面との間に
は、カバー３，４を回転させるアクチユエータ７
が連結されている。アクチユエータ７としては、
エアシリンダが好適である。カバー３，４の端板
３Ａ，４Ａにはそれぞれ半円状の凹所９が形成さ
れている。この凹所９は第２図に示すようにカバ
ー３，４を閉じた時、インキパン１の上方に配置
されている版胴（図示せず）のシヤフト（チヤツ
キングコーン）を貫通させる穴を形成するもの
で、この凹所９を設けたことによりカバー３，４
は版胴を取付けた状態でインキパンを閉じること
ができる。

第３図は上記インキパン密閉装置を閉状態で示
す断面図であり、密閉用カバー３，４の内面に
は、版胴及びインキパン内面洗浄用のノズル８が
カバー開閉に支障のないよう、カバー内面と同一
面になるよう、且つ洗浄必要域に洗浄液を噴射で
きる位置と取付角度をもつて、複数個配置されて
いる。

上記構造になるインキパン密閉装置は、通常の
印刷時には、第１図に示すように、密閉用カバー
３，４はインキパン下方に収納され、印刷に何等
支障を生じない。印刷終了後、版胴及びインキパ
ン洗浄時には、版胴及びインキパンを取り外すこ
となく、アクチユエータ７を作動させて、密閉用
カバー３，４を第１図の収納位置から版胴及びイ
ンキパン上面を覆う密閉位置に移動させる。この
位置で版胴及びインキパン１を密閉した状態で、
ノズル８から洗浄液を版胴及びインキパン内面に
噴射し、版胴及びインキパンの洗浄を行う。噴射
された洗浄液はドレイン管５から排出される。か
くして、版胴及びインキパンを印刷ユニツトから
外す必要なく、インキパンの洗浄が可能となる。
また、アクチユエータ７の作動、洗浄液噴射動作
等を自動化することにより、版胴及びインキパン
の自動洗浄も可能となる。

上記実施例では、密閉用カバー３，４をインキ
パン１端面のピン２に保持させたが、密閉用カバ
ーの保持機構は種々変更可能である。第４図は本
考案の他の実施例を示すもので、本実施例では密
閉用カバー３，４を印刷機フレーム１０に回転自
在に保持されたシヤフト１１Ａ，１１Ｂに保持さ
せている。このシヤフト１１Ａ，１１Ｂはそれぞ
れカバー３，４の一方に固定され、他方には回転
可能である。また、各シヤフトにはそれぞれエア
モーター等のアクチユエータ１２が取付けられて
いる。かくして、アクチユエータ１２により各シ
ヤフトを反対方向に回転させて、カバー３，４の
開閉を行うことができる。インキパンとしては、
通常の皿状のものを使用できる。

なお、上記実施例ではカバー３，４の端板に版
胴のシヤフトを貫通させる凹所９を設け、カバー
３，４で版胴をも包囲し版胴の洗浄をも行い得る
うに構成したが、本考案はこの構成に限定され
ず、端板の凹所を省略し、版胴を取り外した後の
インキパンのみを密閉し、インキパンの洗浄のみ
を行うようにしてもよい。更に、上記実施例では
密閉用カバー３，４に洗浄用ノズルを取付けたも
のを示したが、ノズルは必ずしもカバーに備える
必要はなく、インキパン自体に設けるとか、カバ
ーで密閉後、適当なところから、インキパンとカ
バーとで囲まれた空間内に挿入するようにしても
よい。

考案の効果 以上の如く、本考案のインキパン密閉装置は、
通常の印刷に支障を生じない収納位置とインキパ
ンを密閉しうる密閉位置とに移動可能なカバーを
用いたものであるので、印刷終了後に敏速にイン
キパンを密閉し、印刷ユニツト内で洗浄液噴射に
よる洗浄を可能にする。このため、印刷準備時間
の短縮が図れるとともに、インキパン洗浄の自動
化を容易ならしめる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例をなすインキパン密
閉装置を、開状態で示す斜視図、第２図は上記イ
ンキパン密閉装置を閉状態で示す側面図、第３図
はその断面図、第４図は他の実施例の斜視図であ
る。 １……インキパン、２……ピン、３，４……密
閉用カバー、７，１２……アクチユエータ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) グラビア印刷機の印刷ユニツトにおいて、イ
   ンキパンの長手方向に平行な軸線を中心として
   旋回可能な２枚のカバーを設け、該カバーをイ
   ンキパン上面を覆う密閉位置とインキパン下方
   の収納位置とに移動可能とし、前記２枚のカバ
   ーに、カバー開閉用のアクチユエータを連結
   し、更に、前記カバーをインキパン上面を覆う
   密閉位置とした状態において前記インキパンに
   洗浄液を噴射しうるよう洗浄液噴射用ノズルを
   設けたことを特徴とするインキパン密閉装置。 (2) 前記２枚のカバーが円弧状断面を有すること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のインキパン密閉装置。