JPH0549744B2 - - Google Patents
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- JPH0549744B2 JPH0549744B2 JP61071484A JP7148486A JPH0549744B2 JP H0549744 B2 JPH0549744 B2 JP H0549744B2 JP 61071484 A JP61071484 A JP 61071484A JP 7148486 A JP7148486 A JP 7148486A JP H0549744 B2 JPH0549744 B2 JP H0549744B2
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Description
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は化学気相蒸着(以下、CVDと称す)
法による高周波磁気特性に優れた高珪素鋼材の製
造方法に関する。
法による高周波磁気特性に優れた高珪素鋼材の製
造方法に関する。
[従来の技術及びその問題点]
電磁鋼板として高珪素鋼板が用いられている。
この種の鋼板はSiの含有量が増すほど鉄損が低減
され、Si:6.5%では、磁歪が0となり、最大透
磁率もピークとなる等最も優れた磁気特性を呈す
ることが知られている。
この種の鋼板はSiの含有量が増すほど鉄損が低減
され、Si:6.5%では、磁歪が0となり、最大透
磁率もピークとなる等最も優れた磁気特性を呈す
ることが知られている。
従来、高珪素鋼板を製造する方法として、圧延
法、直接鋳造法及び滲珪法があるが、このうち圧
延法はSi含有量4%程度までは製造可能である
が、それ以上のSi含有量では加工性が著しく悪く
なるため冷間加工は困難である。また直接鋳造
法、所謂ストリツプキヤステイングは圧延法のよ
うな加工性の問題は生じないが、未だ開発途上の
技術であり、形状不良を起し易く、特に高珪素鋼
板の製造は困難である。
法、直接鋳造法及び滲珪法があるが、このうち圧
延法はSi含有量4%程度までは製造可能である
が、それ以上のSi含有量では加工性が著しく悪く
なるため冷間加工は困難である。また直接鋳造
法、所謂ストリツプキヤステイングは圧延法のよ
うな加工性の問題は生じないが、未だ開発途上の
技術であり、形状不良を起し易く、特に高珪素鋼
板の製造は困難である。
これに対し、滲珪法は低珪素鋼を溶製して圧延
により薄板とした後、表面からSiを浸透させるこ
とにより高珪素鋼板を製造するもので、これによ
れば加工性や形状不良の問題を生じることなく高
珪素鋼板を得ることができる。
により薄板とした後、表面からSiを浸透させるこ
とにより高珪素鋼板を製造するもので、これによ
れば加工性や形状不良の問題を生じることなく高
珪素鋼板を得ることができる。
従来この種の方法では、鋼板をSiCl4を含む無
酸化性ガス雰囲気中でCVD処理し、次いで無酸
化性ガス雰囲気中で拡散熱処理を施し、鋼材表層
に蒸着したSiを鋼板内部に均一に拡散させるとい
う方法が採られている。
酸化性ガス雰囲気中でCVD処理し、次いで無酸
化性ガス雰囲気中で拡散熱処理を施し、鋼材表層
に蒸着したSiを鋼板内部に均一に拡散させるとい
う方法が採られている。
しかし、上記拡散熱処理は鋼板を高温状態に比
較的長い時間保持する必要があり、これが処理設
備の連続ライン化を阻害する一因となつている。
較的長い時間保持する必要があり、これが処理設
備の連続ライン化を阻害する一因となつている。
また、Si含有量が4.0%以上の高珪素鋼材は脆
性であり、処理後鋼板をコイルに捲取る場合破断
を生じ易い等の問題を有している。
性であり、処理後鋼板をコイルに捲取る場合破断
を生じ易い等の問題を有している。
[問題を解決するための手段]
本発明者等はこのような事情に鑑み、CVD処
理鋼材のSi濃度分布と磁気特性との関係等につい
て検討を重ねたものであり、この結果、高珪素鋼
材の磁気特性は鋼材表層部の結晶粒径とSi濃度に
大きく支配され、表層部を所定の粒度とSi濃度に
調整することにより、Si濃度を板厚方向で均一と
しなくとも十分な磁気特性が得られることを見い
出した。そして、このような傾向は特に高周波磁
気特性において顕著であることも判つた。
理鋼材のSi濃度分布と磁気特性との関係等につい
て検討を重ねたものであり、この結果、高珪素鋼
材の磁気特性は鋼材表層部の結晶粒径とSi濃度に
大きく支配され、表層部を所定の粒度とSi濃度に
調整することにより、Si濃度を板厚方向で均一と
しなくとも十分な磁気特性が得られることを見い
出した。そして、このような傾向は特に高周波磁
気特性において顕著であることも判つた。
このため本発明では、CVD処理に続く拡散処
理を、表層Si濃度が鋼材厚み方向中心部のSi濃度
よりも高い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が
鋼材厚み方向で不均一な鋼材を得るようにしたも
のである。
理を、表層Si濃度が鋼材厚み方向中心部のSi濃度
よりも高い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が
鋼材厚み方向で不均一な鋼材を得るようにしたも
のである。
このような方法によれば短時間の拡散熱処理に
より高周波磁気特性が十分確保された鋼材を得る
ことができる。加えて、このようにして得られた
鋼材は、厚みの中心部が低Si濃度に維持されてい
るため、靭性が確保され、割れ等の発生も防ぐこ
とができる。
より高周波磁気特性が十分確保された鋼材を得る
ことができる。加えて、このようにして得られた
鋼材は、厚みの中心部が低Si濃度に維持されてい
るため、靭性が確保され、割れ等の発生も防ぐこ
とができる。
第1図は本発明法における鋼材板厚方向のSi濃
度分布の変化を示すものであり、3%Si添加鋼の
鋼板を母材とし、これをCVD処理−拡散処理し
た場合を示している。(A)はCVD処理直後の状態
を示しており、鋼板表面にはFe3Si相当(Si:
14.5%)のSiが蒸着している。本発明ではこのよ
うな鋼板を(B)の状態まで拡散熱処理し、板厚方向
でSi濃度が不均一な鋼板を得る。(B)に示す例では
表層のSi濃度が6.5%になるまで拡散熱処理が施
されたものであり、板厚中心部はほぼ母材Si濃度
たる3%に維持されている。
度分布の変化を示すものであり、3%Si添加鋼の
鋼板を母材とし、これをCVD処理−拡散処理し
た場合を示している。(A)はCVD処理直後の状態
を示しており、鋼板表面にはFe3Si相当(Si:
14.5%)のSiが蒸着している。本発明ではこのよ
うな鋼板を(B)の状態まで拡散熱処理し、板厚方向
でSi濃度が不均一な鋼板を得る。(B)に示す例では
表層のSi濃度が6.5%になるまで拡散熱処理が施
されたものであり、板厚中心部はほぼ母材Si濃度
たる3%に維持されている。
このようにして得られた鋼材は、拡散熱処理温
度と処理時間を選択して表層部を適当な粒径とSi
濃度に調整することにより、優れた磁気特性、特
に高周波磁気特性を確保することができる。
度と処理時間を選択して表層部を適当な粒径とSi
濃度に調整することにより、優れた磁気特性、特
に高周波磁気特性を確保することができる。
第2図は本発明法を実施するための連続ライン
を示すもので、1は加熱炉、2はCVD処理炉、
3は拡散処理炉、4は冷却炉である。このような
連続ラインでは、鋼帯Sは加熱炉1でCVD処理
温度またはその近傍まで無酸化加熱された後、
CVD処理炉2に導かれ、SiCl4を含む無酸化性ガ
ス雰囲気中でCVD法による滲珪処理が施される。
SiCl4を含む無酸化性ガスとは、中性或いは還元
性ガスを意味し、SiCl4のキヤリアガスとしては
Ar,N2,He,H2,CH4等を使用することがで
きる。これらキヤリアガスのうち、排ガスの処理
性を考慮した場合、H2,CH4等はHClを発生さ
せその処理の必要性が生じる難点があり、このよ
うな問題を生じないAr,He,N2が望ましく、さ
らに材料の窒化を防止するという観点からすれば
これらのうちでも特にAr,Heが最も好ましい。
を示すもので、1は加熱炉、2はCVD処理炉、
3は拡散処理炉、4は冷却炉である。このような
連続ラインでは、鋼帯Sは加熱炉1でCVD処理
温度またはその近傍まで無酸化加熱された後、
CVD処理炉2に導かれ、SiCl4を含む無酸化性ガ
ス雰囲気中でCVD法による滲珪処理が施される。
SiCl4を含む無酸化性ガスとは、中性或いは還元
性ガスを意味し、SiCl4のキヤリアガスとしては
Ar,N2,He,H2,CH4等を使用することがで
きる。これらキヤリアガスのうち、排ガスの処理
性を考慮した場合、H2,CH4等はHClを発生さ
せその処理の必要性が生じる難点があり、このよ
うな問題を生じないAr,He,N2が望ましく、さ
らに材料の窒化を防止するという観点からすれば
これらのうちでも特にAr,Heが最も好ましい。
CVD処理における鋼帯表面の主反応は、
5Fe+SiCl4→Fe3Si+2FeCl2↑
である。Si1原子が鋼帯面に蒸着してFe3Si層を形
成し、Fe2原子がFeCl2となり、FeCl2の沸点1023
℃以上の温度において気体状態で鋼帯表面から放
散される。したがつてSi厚子量が28.086、Fe原子
量が55.847であることから、鋼帯は質量減少し、
これに伴い板厚も減少することになる。ちなみ
に、Si3%鋼帯を母材とし、CVD処理でSi6.5%鋼
帯を製造すると、質量は8.7%減少し、板厚は約
7.1%減少する。
成し、Fe2原子がFeCl2となり、FeCl2の沸点1023
℃以上の温度において気体状態で鋼帯表面から放
散される。したがつてSi厚子量が28.086、Fe原子
量が55.847であることから、鋼帯は質量減少し、
これに伴い板厚も減少することになる。ちなみ
に、Si3%鋼帯を母材とし、CVD処理でSi6.5%鋼
帯を製造すると、質量は8.7%減少し、板厚は約
7.1%減少する。
以上のようにしてCVD処理された鋼帯Sは、
引き続き拡散炉3に導かれSiCl4を含まない無酸
化性ガス雰囲気中で上述したような拡散処理が施
される。このような拡散処理後、鋼帯Sは冷却炉
4で冷却され、しかる後捲取られる。
引き続き拡散炉3に導かれSiCl4を含まない無酸
化性ガス雰囲気中で上述したような拡散処理が施
される。このような拡散処理後、鋼帯Sは冷却炉
4で冷却され、しかる後捲取られる。
なお、本発明は鋼帯に限らず、切板やプレス成
品等の加工材をその製造対象とすることができ
る。
品等の加工材をその製造対象とすることができ
る。
また、拡散熱処理は連続焼鈍方式のほか、バツ
チ焼鈍方式で行うことができ、この場合には、真
空焼鈍、無酸性雰囲気焼鈍等(不活性雰囲気、還
元性雰囲気焼鈍)いずれの方法で行うこともでき
る。
チ焼鈍方式で行うことができ、この場合には、真
空焼鈍、無酸性雰囲気焼鈍等(不活性雰囲気、還
元性雰囲気焼鈍)いずれの方法で行うこともでき
る。
[実施例]
第2図に示す連続プロセスにより、それぞれ同
量のSi蒸着量で拡散処理時間を変えた鋼帯を製造
し、これらの鋼帯のSi拡散の度合い及び磁気特性
を調べた。
量のSi蒸着量で拡散処理時間を変えた鋼帯を製造
し、これらの鋼帯のSi拡散の度合い及び磁気特性
を調べた。
具体的には、板厚0.35mm、板幅900mmのSi3%含
有鋼帯を素材とし、ラインスピードを5〜
50mpmの範囲で変化させることにより拡散炉の
通過時間を変え、CVD処理を行つた。なお、ラ
インスピードの違いによつてSi蒸着量が変化しな
いようにするため、ラインスピードに応じCVD
雰囲気ガス中のSiCl4濃度、及びガス吹付ノズル
からの雰囲気ガス吹付量を変え、Siの蒸着量がラ
インスピードに関係なく一定となるよう調整し
た。本実施例では、母材を含めた平均Si濃度が
6.5wt%となるような蒸着量でSiを蒸着させ、ま
た一連の処理は第3図に示す熱サイクルで行つ
た。なお、拡散処理時間が短い鋼帯については、
表層部のSi量が非常に多いことから、表層のヒビ
割れを防止するため温間(250〜300℃)で捲取つ
た。
有鋼帯を素材とし、ラインスピードを5〜
50mpmの範囲で変化させることにより拡散炉の
通過時間を変え、CVD処理を行つた。なお、ラ
インスピードの違いによつてSi蒸着量が変化しな
いようにするため、ラインスピードに応じCVD
雰囲気ガス中のSiCl4濃度、及びガス吹付ノズル
からの雰囲気ガス吹付量を変え、Siの蒸着量がラ
インスピードに関係なく一定となるよう調整し
た。本実施例では、母材を含めた平均Si濃度が
6.5wt%となるような蒸着量でSiを蒸着させ、ま
た一連の処理は第3図に示す熱サイクルで行つ
た。なお、拡散処理時間が短い鋼帯については、
表層部のSi量が非常に多いことから、表層のヒビ
割れを防止するため温間(250〜300℃)で捲取つ
た。
第4図は、CVD処理ままの鋼帯、および拡散
時間が各5分、10分、20分、40分の上記鋼帯につ
いて、板厚方向断面のSi濃度およびFe濃度を、
XMAにより測定したもので、約40分の拡散処理
(1200℃)で、ほぼ均一にSiが拡散されている。
時間が各5分、10分、20分、40分の上記鋼帯につ
いて、板厚方向断面のSi濃度およびFe濃度を、
XMAにより測定したもので、約40分の拡散処理
(1200℃)で、ほぼ均一にSiが拡散されている。
第5図は上記と同様条件により拡散時間を変え
て得られたサンプルについて、磁気特性たる鉄損
を測定した結果を示すもので、拡散処理時間10分
程度、すなわち第4図C程度のSi拡散状態でSiを
均一拡散させた場合とほぼ同等の十分に高い磁気
特性が得られていることが判る。
て得られたサンプルについて、磁気特性たる鉄損
を測定した結果を示すもので、拡散処理時間10分
程度、すなわち第4図C程度のSi拡散状態でSiを
均一拡散させた場合とほぼ同等の十分に高い磁気
特性が得られていることが判る。
第6図は、板厚0.3mmの3%珪素鋼板に上記と
同様に滲珪処理−拡散処理を施し、拡散処理開始
後の各段階でサンプルを取り出し、板厚方向のSi
濃度分布を求めたものである。この実施例では、
拡散処理によりSiを板厚方向で均一に拡散させた
場合のSi濃度が略6.5%となるように、鋼板を滲
珪処理した。
同様に滲珪処理−拡散処理を施し、拡散処理開始
後の各段階でサンプルを取り出し、板厚方向のSi
濃度分布を求めたものである。この実施例では、
拡散処理によりSiを板厚方向で均一に拡散させた
場合のSi濃度が略6.5%となるように、鋼板を滲
珪処理した。
同図によれば、拡散処理を開始してから10分後
では板厚方向で大きなSi濃度分布があるが、処理
開始後約30分で略均一な6.5%Siとなつている。
では板厚方向で大きなSi濃度分布があるが、処理
開始後約30分で略均一な6.5%Siとなつている。
第7図は、第6図の各拡散処理時間で得られた
サンプルから、拡散処理時間(=Si濃度分布)と
磁気特性との関係を調べたものである。これによ
れば、この種の材料の基本特性である磁歪は、15
分の処理、すなわち、板厚方向でまだ大きなSi濃
度分布がある段階で0となつている。また、最大
透磁率は直流性能を示すもので、略均一なSi濃度
分布となる30分の処理でようやく最大値となる。
しかし、本発明は高周波磁気特性を目的としてい
るため、30分もの処理は必要ではない。
サンプルから、拡散処理時間(=Si濃度分布)と
磁気特性との関係を調べたものである。これによ
れば、この種の材料の基本特性である磁歪は、15
分の処理、すなわち、板厚方向でまだ大きなSi濃
度分布がある段階で0となつている。また、最大
透磁率は直流性能を示すもので、略均一なSi濃度
分布となる30分の処理でようやく最大値となる。
しかし、本発明は高周波磁気特性を目的としてい
るため、30分もの処理は必要ではない。
一方、鉄損値については、商用周波数50Hzの
W10/50では、30分の処理で最低となる。これは、
この程度の周波数では値流性能の影響を受けるた
めである。また、400HzのW10/400では20分の処理
で最低となる。さらに、1KHzのW10/1kでは、15
分の処理で最低となる。
W10/50では、30分の処理で最低となる。これは、
この程度の周波数では値流性能の影響を受けるた
めである。また、400HzのW10/400では20分の処理
で最低となる。さらに、1KHzのW10/1kでは、15
分の処理で最低となる。
以上のように磁歪、高周波鉄損でみると、15分
程度では拡散処理を打ち切り、板厚方向で未だSi
濃度分布が存在する状態でも十分な性能が得られ
ることが判る。
程度では拡散処理を打ち切り、板厚方向で未だSi
濃度分布が存在する状態でも十分な性能が得られ
ることが判る。
次に、拡散処理によりSiを板厚方向に均一に拡
散させた場合のSi濃度が略4.5%となるように滲
珪処理したサンプルについて、拡散処理時間と高
周波鉄損との関係を調べた。その結果を第8図に
示す。なお、この実施例での拡散処理時間別によ
る 厚方向Si濃度分布は第6図に示す分布とほぼ
同様であつた。また、拡散処理開始から10分経過
後の鋼板表層Si濃度は約6.5%であつた。第8図
によれば、高周波鉄損値は、拡散処理を板厚方向
Si濃度分布が存在する状態で打ち切つた場合、特
に鋼板表層部Si濃度が6.5%前後となる処理時間
10分前後で打ち切つた場合に、最も低い値とな
る。これは高周波においては、渦電流が表層のみ
に流れる表皮効果があるためであると考えられ
る。
散させた場合のSi濃度が略4.5%となるように滲
珪処理したサンプルについて、拡散処理時間と高
周波鉄損との関係を調べた。その結果を第8図に
示す。なお、この実施例での拡散処理時間別によ
る 厚方向Si濃度分布は第6図に示す分布とほぼ
同様であつた。また、拡散処理開始から10分経過
後の鋼板表層Si濃度は約6.5%であつた。第8図
によれば、高周波鉄損値は、拡散処理を板厚方向
Si濃度分布が存在する状態で打ち切つた場合、特
に鋼板表層部Si濃度が6.5%前後となる処理時間
10分前後で打ち切つた場合に、最も低い値とな
る。これは高周波においては、渦電流が表層のみ
に流れる表皮効果があるためであると考えられ
る。
次に、板厚0.3mm、0.1mmの鋼板について、拡散
処理時間を変えることで板厚方向で異なるSi濃度
分布を持つサンプルを作成し、それらについて3
点曲げ試験により曲げ強さを測定した。
処理時間を変えることで板厚方向で異なるSi濃度
分布を持つサンプルを作成し、それらについて3
点曲げ試験により曲げ強さを測定した。
その結果を第9図に示す。これによれば拡散処
理時間が極く短にサンプルでは、鋼板表層部のSi
濃度が10%以上あるためクラツクが入りやすく、
割れやすいが、拡散処理時間10〜15分程度のサン
プルでは表層Si濃度が下がり、且つこの段階では
鋼板内部はSiが十分に拡散されず靭性が保持され
た状態であるため、Siを板厚方向で完全に拡散さ
せるよりも、むしろ加工性は良くなつている。
理時間が極く短にサンプルでは、鋼板表層部のSi
濃度が10%以上あるためクラツクが入りやすく、
割れやすいが、拡散処理時間10〜15分程度のサン
プルでは表層Si濃度が下がり、且つこの段階では
鋼板内部はSiが十分に拡散されず靭性が保持され
た状態であるため、Siを板厚方向で完全に拡散さ
せるよりも、むしろ加工性は良くなつている。
[発明の効果]
以上述べた本発明によれば短い拡散処理時間で
優れた高周波磁気特性を有する高珪素鋼材を製造
することができ、しかも鋼材の靭性の改善を図る
ことができ、このため、連続ラインによる場合で
もラインの長大化を招くことなく高品質の高珪素
鋼板を能率的に製造することができる。
優れた高周波磁気特性を有する高珪素鋼材を製造
することができ、しかも鋼材の靭性の改善を図る
ことができ、このため、連続ラインによる場合で
もラインの長大化を招くことなく高品質の高珪素
鋼板を能率的に製造することができる。
第1図は本発明の拡散熱処理における鋼帯板厚
方向のSi濃度分布の変化を示すものである。第2
図は本発明法を実施するための連続処理ラインを
示す説明図である。第3図は実施例で採つた熱サ
イクルを示すものである。第4図a〜eは実施例
における各供試材のSi濃度分布を示すものであ
る。第5図は実施例における各供試材の磁気特性
を示すものである。第6図は拡散処理時間の異な
る鋼板の板厚方向Si濃度分布を示すものである。
第7図は拡散処理時間(板厚方向Si濃度分布)と
磁気特性との関係を示すものである。第8図は拡
散処理時間(板厚方向Si濃度分布)と高周波鉄損
との関係を示すものである。第9図は拡散処理時
間(板厚方向Si濃度分布)と3点曲げ試験による
鋼板の曲げ強さとの関係を示すものである。 図において、1は加熱炉、2はCVD処理炉、
3は拡散処理炉、Sは鋼帯である。
方向のSi濃度分布の変化を示すものである。第2
図は本発明法を実施するための連続処理ラインを
示す説明図である。第3図は実施例で採つた熱サ
イクルを示すものである。第4図a〜eは実施例
における各供試材のSi濃度分布を示すものであ
る。第5図は実施例における各供試材の磁気特性
を示すものである。第6図は拡散処理時間の異な
る鋼板の板厚方向Si濃度分布を示すものである。
第7図は拡散処理時間(板厚方向Si濃度分布)と
磁気特性との関係を示すものである。第8図は拡
散処理時間(板厚方向Si濃度分布)と高周波鉄損
との関係を示すものである。第9図は拡散処理時
間(板厚方向Si濃度分布)と3点曲げ試験による
鋼板の曲げ強さとの関係を示すものである。 図において、1は加熱炉、2はCVD処理炉、
3は拡散処理炉、Sは鋼帯である。
Claims (1)
- 1 鋼材を、SiCl4を含む無酸化性ガス雰囲気中
で、化学気相蒸着法により滲珪処理し、次いで、
SiCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiの拡
散処理を行う方法において、拡散処理を、表層Si
濃度が鋼材厚み方向中心部のSi濃度よりも高い状
態にあるうちに打ち切り、Si濃度が鋼材厚み方向
で不均一な鋼材を得ることを特徴とする高周波磁
気特性に優れた高珪素鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7148486A JPS62227077A (ja) | 1986-03-28 | 1986-03-28 | 高周波磁気特性に優れた高珪素鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7148486A JPS62227077A (ja) | 1986-03-28 | 1986-03-28 | 高周波磁気特性に優れた高珪素鋼材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62227077A JPS62227077A (ja) | 1987-10-06 |
JPH0549744B2 true JPH0549744B2 (ja) | 1993-07-27 |
Family
ID=13461967
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7148486A Granted JPS62227077A (ja) | 1986-03-28 | 1986-03-28 | 高周波磁気特性に優れた高珪素鋼材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62227077A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5993568A (en) * | 1998-03-25 | 1999-11-30 | Nkk Corporation | Soft magnetic alloy sheet having low residual magnetic flux density |
EP0947596B1 (en) * | 1998-03-31 | 2003-12-17 | Nkk Corporation | Silicon steel having low residual magnetic flux density |
CN116904916B (zh) * | 2023-06-21 | 2024-01-02 | 武汉理工大学 | 一种高温液相渗硅制备高硅硅钢片的方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4893522A (ja) * | 1972-03-13 | 1973-12-04 | ||
JPS4974133A (ja) * | 1972-11-17 | 1974-07-17 | ||
JPS5011942A (ja) * | 1973-06-08 | 1975-02-06 | ||
JPS5017337A (ja) * | 1973-06-19 | 1975-02-24 | ||
JPS5342019A (en) * | 1976-09-29 | 1978-04-17 | Hitachi Ltd | Floating type magnetic head |
-
1986
- 1986-03-28 JP JP7148486A patent/JPS62227077A/ja active Granted
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4893522A (ja) * | 1972-03-13 | 1973-12-04 | ||
JPS4974133A (ja) * | 1972-11-17 | 1974-07-17 | ||
JPS5011942A (ja) * | 1973-06-08 | 1975-02-06 | ||
JPS5017337A (ja) * | 1973-06-19 | 1975-02-24 | ||
JPS5342019A (en) * | 1976-09-29 | 1978-04-17 | Hitachi Ltd | Floating type magnetic head |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62227077A (ja) | 1987-10-06 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |