JPH054969B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、優れた機械的強度と耐熱性及び速硬
化性を有し、とくに耐衝撃性の改良された成形用
反応性組成物に関する。 〔従来の技術〕 エポキシ樹脂は機械的強度、耐熱性、電気的特
性などに優れているところから、各種の電気部品
や強化プラスチツクのマトリツクス樹脂の分野で
広く用いられている。用いられるエポキシ樹脂と
しては、ビスフエノールＡジグリシジルエーテル
型やフエノールノボラツク型が一般的である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、とくに高い耐熱性が要求される
航空機の用途には前記ビスフエノールＡ型やフエ
ノールノボラツク型では充分にその要求を満足し
えない。またエポキシ樹脂の欠点として耐衝撃性
の劣ることがあげられる。また近年成形サイクル
の短縮が要求されてきており、速硬化性の組成物
が望まれている。 〔問題点を解決するための手段及び作用効果〕 本発明者らは、優れた機械的強度と耐熱性およ
び耐衝撃性を有し、かつ速硬化性の成形用反応性
樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結果、本発
明に到達した。 すなわち本発明は、一般式（） （式中、Arはグリシジルオキシ基を少くとも
１つ以上有するC₆〜C₂₀の芳香族炭化水素を表わ
し、Ｒは水素原子またはメチル基であり、ｎは１
〜４の整数である）で表わされるグリシジル化合
物ａ、上記一般式（）で表わされるグリシジル
化合物とカルボキシル未満ブタジエンニトリルゴ
ムとのエステル化反応物(b)、脂肪族ポリアミンｃ
及びラジカル重合開始剤ｄを含有する反応性樹脂
組成物に関する。 本発明のグリシジル化合物（）は、一般式
（） （式中、Ar′は水酸基を少くとも１つ以上有す
るC₆〜C₂₀の芳香族炭化水素を表わし、Ｒ，ｎは
前記に同じ）で表わされる化合物とエピハロヒド
リンを付加させたのち、アルカリで脱ハロゲン化
水素反応を行なうことにより製造される。 一般式（）で表わされる化合物は、たとえば
フエノール性水酸基を少くとも１つ以上有する芳
香族炭化水素とＮ−メチロールアクリルアミドま
たはＮ−メチロールメタアクリルアミド、あるい
はＮ−メチロールアクリルアミドまたはＮ−メチ
ロールメタアクリルアミドのアルキルエーテル誘
導体（以下、これらをＮ−メチロールアクリルア
ミド類という）を酸触媒で縮合させることにより
容易にえられる。たとえば出発物質として２，６
キシレノールとＮ−メチロールアクリルアミド類
を用いた場合、下記構造式（）で表わされるグ
リシジル化合物をうることができる。 （式中、Ｒは前記に同じ） また出発物質としてオルトクレゾールとＮ−メ
チロールアクリルアミドを用いた場合、下記構造
式（）で表わされるグリシジル化合物をうるこ
とが出来る。 （式中、Ｒは前記に同じ、ｍは１または２であ
る。） さらに出発物質としてビスフエノールＡとＮ−
メチロールアクリルアミド類を用いた場合、下記
構造式（）で表わされるグリシジル化合物をう
ることが出来る。 （式中、Ｒは前記に同じ、ｌ，l′は０または１
〜２の整数を表わし、ｌ，l′の少くとも１つは１
以上である。） 本発明において用いられる、一般式（）で表
わされるグリシジル化合物とカルボキシル未満ブ
タジエンニトリルゴムのエステル化反応物は、一
般式（）で表わされるグリシジル化合物と市販
の液状ゴムとして容易に入手することが出来るカ
ルボキシル未満ブタジエンニトリルゴム（たとえ
ば、宇部興産(株)の商品名ハイカーCTBN）をラ
ジカル重合禁止剤の存在下でエステル化反応触媒
（たとえば、塩化ベンジルトリエチルアンモニウ
ム）を用いて反応させることにより容易に得るこ
とが出来る。カルボキシル未満ブタジエンニトリ
ルゴム中に含まれるアクリロニトリル含量は、用
いるリジジル化合物の溶解度係数に応じて10〜26
％の範囲で選択することが望ましい。また配合量
は、えられる成形体の機械的強度や耐熱性とのか
ねあいから５〜40％の範囲とするのが殊に適当で
ある。 本発明において用いられる脂肪族ポリアミンと
しては、ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジ
アミン、分岐ポリメチレンジアミンのごとき脂肪
族ジアミン；ジエチレントリアミン、イミノビス
プピルアミン、ビス（ヘキサメチレン）トリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペ
ンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチル
アミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピル
アミン、アミノエチルエタノールアミン、メチル
イミノプロピルアミンのごとき脂肪族ポリアミ
ン；メンタンジアミン、Ｎ−アミノエチルピペラ
ジン、１，３−ジアミノシクロヘキサン、イソホ
ロンジアミンのごとき脂肪族ポリアミンおよびｍ
−キシリレンジアミン、テトラクロル−パラ−キ
シリレンジアミンのごとき芳香環をもつ脂肪族ア
ミンがあげられる。前記グリシジル化合物に対す
る脂肪族ポリアミンの配合割合は、前者のエポキ
シ基１個に対し、後者のアミノ基を0.5〜２個と
するのが好ましい。 また、これら脂肪族ポリアミンに対して必要に
応じてフエノール、トリフエニルフオスフアイ
ト、アルコール、有機酸、無機酸、第３級アミ
ン、ポリメルカプタン類などの硬化促進剤を併用
してもよい。 本発明において用いられるラジカル重合開始剤
としては、通常ラジカル重合の開始に広く使用さ
れている有機過酸化物が適している。ただし、硬
化反応が行われる温度に於いて所望する時間内に
分解するものを選択する必要がある。具体的には
ｔ−ブチルハイドロパーオキサイド、キユメンハ
イドロパーオキサイド、ジ−ｔ−ブチルパーオキ
サイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ｔ−
ブチルパーオキシピバレート、ｔ−ブチルパーオ
キシベンゾエートなどを用いることが出来る。 本発明組成物はコーテイングおよび含浸組成
物、また補強された複合製品、たとえば積層品、
フイラメントワインデイング、ポツテイングに使
用することができる。とくに本発明組成物は反応
射出成形（RIM）への適用において適している。 本発明組成物の硬化反応は、通常、温度80〜
150℃で１〜30分程度加熱してゲル化し、ついで
温度130〜180℃で１〜５時間程度加熱することに
よつて行なわれる。 〔実施例〕 つぎに本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれら実施例のみに限定されるものではな
い。なお、以下の実施例において、部とあるのは
重量部である。 実施例 １ Ｎ−（４−グリシジルオキシ−３，５−ジメチ
ルフエニルメチル）アクリルアミド（前記構造式
（）で、Ｒが水素原子であるもの）51.8部、カ
ルボキシル未満ブタジエンニトリルゴム〔宇部興
産(株)製の商品名ハイカーCTBN1300×８（AN含
量18％）〕327部、塩化ベンジルトリエチルアンモ
ニウム0.163部、ハイドロキノン0.016部の混合物
を還流冷却器を取付けたフラスコ中で撹拌しなが
ら100℃で３時間反応させ、グリシジル化合物と
カルボキシル未満ブタジエンニトリルゴムのエス
テル化反応物をえた。なお反応の終点は1Rスペ
クトルにより1710cm^-1の−COOHの吸収が消減す
る点とした。 実施例 ２〜６ 第１表に示す組成の混合液を、140℃に予熱し
た縦300mm、横200mm、高さ３mmの金型に注入し
た。ゲル化時間は約３分であつた。型を15分放置
後、型から硬化物を取り出し、160℃のオーブン
中で１時間後硬化反応を行い、第１表に示す硬化
物を得た。 第１表中の略称はつぎの通りである。 AE ：Ｎ−（４−グリシジルオキシ−３，５−
ジメチルフエニルメチル）アクリルアミ
ド（構造式（）で、Ｒが水素原子であ
るもの） ACE：実施例１で作成した、Ｎ−（４−グリシ
ジルオキシ−３，５−ジメチルフエニル
メチル）アクリルアミドとカルボキシル
未端ブタジエンニトリルゴムのエステル
化反応物 IPD：イソホロンジアミン ｔ−BPB：ｔ−ブチルパーオキシベンゾエート

【表】

【表】 比較例 １ ビスフエノールＡグリシジルエーテル（油化シ
エルエポキシ(株)の商品名エピコート828）100部と
イソホロンジアミン22部を混合し、実施例２と同
様の方法で硬化物を得た。このばあい、第１表に
示す通り、機械的強度は優れたものがえられた
が、加熱変形歪温度は充分でなく、アイゾツト衝
撃強度は実施例２〜４のものに比べ劣るものであ
つた。 実施例 ５ 構造式 （前記構造式（）で、Ｒが水素原子、ｍが１
であるもの）で示されるグリシジル化合物49.4
部、カルボキシル未満ブタジエンニトリルゴム
（ハイカーCTBN1300×８）327部、塩化ベンジ
ルトリエチルフンモニウム0.16部、ハイドロキノ
ン0.016部の混合物を還流冷却器を取付けたフラ
スコ中で撹拌しながら100℃で３時間反応させ、
グリシジル化合物とカルボキシル未端ブタジエン
ニトリルゴムのエステル化反応物を得た。 このエステル化反応物5.8部、構造式 （前記構造式（）で、Ｒが水素原子、ｍが１
であるもの）で示されるグリシジル化合物94.2
部、イソホロンジアミン16.2部およびｔ−ブチル
パーオキシベンゾエート2.85部を混合し、実施例
２と同様の方法で第２表に示す通りの所望の硬化
物を得た。ゲル化時間は約３分であつた。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １(a) 一般式（） （式中、Arはグリシジルオキシ基を少くと
   も１つ以上有するC₆〜C₂₀の芳香族炭化水素を
   表わし、Ｒは水素原子またはメチル基であり、
   ｎは１〜４の整数である）で表わされるグリシ
   ジル化合物、 (b) 上記一般式（）で表わされるグリシジル化
   合物とカルボキシル未満ブタジエンニトリルゴ
   ムのエステル化反応物、 (c) 脂肪族ポリアミン、および (d) ラジカル重合開始剤 の４成分を含有し、且つ(a)成分／(b)成分が重量
   比で97.5／2.5〜30／70であること を特徴とする反応性樹脂組成物。 ２ 成分(a)が、構造式（） （式中、Ｒは水素原子またはメチル基である）
   で表わされる化合物である特許請求の範囲第１項
   記載の組成物。 ３ 成分(a)が、構造式（） （式中、Ｒは水素原子またはメチル基であり、
   ｍは１または２である）で表わされる化合物であ
   る特許請求の範囲第１項記載の組成物。 ４ 成分(a)が、構造式（） （式中、Ｒは水素原子またはメチル基であり、
   ｌ，l′は０または１〜２の整数を表わし、ｌ，
   l′の少くとも１つは１以上である）で表わされる
   化合物である特許請求の範囲第１項記載の組成
   物。 ５ 成分(c)が脂環族ジアミンである特許請求の範
   囲第１項記載の組成物。 ６ 脂環族ジアミンがイソホロンジアミンである
   特許請求の範囲第５項記載の組成物。