JPH0549438A - 天然調味料の製造法 - Google Patents
天然調味料の製造法Info
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Abstract
質加水分解調味料の製造法を提供する。 【構成】動物由来の原料タンパク質溶液を微多孔膜で処
理することにより、該溶液から油分を除去し、該微多孔
膜透過液に、塩酸による加水分解、濃縮、脱塩の処理を
施す事によりモノクロロプロパンジオール類およびジク
ロロプロパノール類の含量を減少せしめ、あるいは、こ
れらを含有せず、かつ良好な呈味性とフレーバーを有す
る天然調味料を製造する事ができる。
Description
よりなる天然調味料の製造法に関し、詳しくは、鳥獣の
骨から抽出されたタンパク原料を、微多孔膜で濾過する
ことにより該抽出液から油分を除去し、該濾液を塩酸に
より加水分解することによって、ジクロロプロパノール
(DCP)、モノクロロプロパンジオール(MCP)類
の含量が低下した、又は、これらを含有しないタンパク
質加水分解物よりなる天然調味料の製造法に関する。
るのは不変ではあったが、特に最近は、食生活の向上、
嗜好の多様化及び高級化に伴いよりおいしいもの、本物
志向天然志向、健康志向は現代人の求める主流である。
このような需給動向にあって農、水、畜産物の風味をよ
り自然に近い形で保持した天然調味料が注目されてい
る。しかしながら、塩酸分解型天然調味料においては、
発ガン性物質であるジクロロプロパノール(DCP)、
精子の発育阻害物質であるモノクロロプロパンジオール
(MCP)のような望ましくない塩素化化合物が加水分
解反応の際に副生することが明らかとなり、食品の安全
性の見地から近年問題になりつつある。本発明は、これ
ら動物性タンパク質塩酸加水分解物よりなる天然調味料
を製造するに適した方法に関するものであり、本発明の
方法により製造された調味料は、ジクロロプロパノール
(DCP)、モノクロロプロパンジオール(MCP)類
の含量が低いか、もしくはこれらを含有していないた
め、健康志向の商品が求められる時代に良くマッチした
効果を示すものである。
からタンパク質分解物を製造する方法としては、先ず鳥
獣の骨ガラを加熱(必要に応じ加圧)してエキス分を抽
出し、靜置分離して骨ガラと油層を除いてタンパク質原
料とする。これに濃塩酸を加え110乃至120℃、1
0乃至20時間で反応を行い、反応終了後冷却し炭酸ナ
トリウム又は水酸化ナトリウムで中和し残留未加水分解
物質を濾別する。しかし塩酸を用いて製造したタンパク
質加水分解物が、特に、1,3ジクロロプロパン2オー
ルのようなジクロロプロパノール(DCP)類及びモノ
クロロプロパンジオール(MCP)類等の望ましくない
塩素化化合物を副反応で形成するため、それらの形成を
防ぐ問題が生じてきた。これを解決するため、塩酸で加
水分解したタンパク質から先ず不溶物を除いた後、存在
するジクロロプロパノール(DCP)、モノクロロプロ
パンジオール(MCP)を更に加水分解させて除去する
方法(特開平2−135056号公報、特開平2−15
0241号公報)、生成した塩素化化合物類をゲルパー
ミエーシヨンクロマトグラフイーにより除去する方法
(特開平2−135057号公報)、塩酸で加水分解反
応を行う操作として先ず反応を低温度で行い、その後昇
温プログラムを用いてジクロロプロパノール、モノクロ
ロプロパンジオールの発生を抑える方法(特開平2−1
35058号公報)等が記載されている。
プロパノール、モノクロロプロパンジオールを除去する
等の方法は操作が繁雑で、工業レベルで実施しようとし
てもコスト高になるという問題点があった。
しくない塩素化化合物の副生を容易に抑制しうる、タン
パク質加水分解物よりなる天然調味料の製造法を提供す
ることを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ジクロロプロパ
ノール(DCP)、モノクロロプロパンジオール(MC
P)を形成する前駆体の一つである脂肪に着眼し、鳥獣
の骨から抽出された原料タンパク質にわずかに混入する
油脂を可能な限り除去した後、塩酸加水分解を行うこと
によりジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオ
ールの副生を有意に減少できることを見い出し、本発明
を完成させるに至ったものである。
等で数時間静置して油層を除去する方法、ランタングラ
ス等を利用して油分と液とを分離する方法等が用いられ
ていたが、たとえ油層を完全に除去したとしても液中に
僅かに浮遊又は溶解している油分を完全に除去すること
は不可能であり、このような原料を用いて塩酸加水分解
を行った場合には、僅かに残存する油分が塩酸と反応し
てジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオール
等の有害物が生成する。油分の除去を確実に行う方法と
しては、従来より例えば超遠心分離機による方法が利用
されている。しかし、本発明に用いるようなタンパク質
原料を処理する場合、固形分(抽出粕)がボウルに付着
するため定期的に運転をやめ、ボウルの掃除が必要とな
り、それ故、複数の超遠心分離機の設置が必要となり、
設備費が高くなること等から未だ実用化されるには到っ
ていない。
骨より抽出されたタンパク質原料より有効に油分を除去
し、DCP、MCPを発生させず、呈味、フレーバーは
従来品と遜色のない天然調味料の開発を目的として種々
研究を行ってきた。その結果、従来法で油分離した液に
微多孔膜による濾過工程を組み合わせることにより、シ
ンプルな工程で、かつ簡便な手法で液中の油分が完全に
分離できることを見いだし、その微多孔膜透過液を原料
として塩酸加水分解を行い、ジクロロプロパノール、モ
ノクロロプロパンジオールの含量を有意に減少せしめ、
あるいは、それらを含有しない天然調味料が得られるこ
とを確認して本発明を完成させるに至ったものである。
なものとして牛、豚、鶏等の家畜の骨(クズ肉がついて
いてもいなくても良い)が用いられる。原料の骨から抽
出液を得る方法は、当分野で従来から行われている方法
を用いることができ、たとえば120乃至150℃、3
0分乃至3時間程度加熱加圧処理する方法などが挙げら
れる。抽出後靜置分離して骨ガラと油層を除き、タンパ
ク質の抽出液を得ることができる。
濃度は、特に限定されるものではないが通常5〜15重
量%の範囲が好適である。タンパク質濃度が15重量%
を越えるときは、液の粘性が上がり、微多孔膜の透過流
束を遅くさせる。他方、5重量%より小さいときは、塩
酸加水分解に用いるタンパク質濃度が低くなるためタン
パク質の濃縮に多大のエネルギーと時間を必要とする。
パク質が透過し、かつ油脂のエマルジョンが透過できな
いものであればいかなるものでも良い。上記の目的を達
するため、膜の孔径は0.01乃至1.0μmの範囲で
あることが好ましい。また、実質的に上記範囲の孔径を
もつものであればセラミックフィルター等の無機質素材
のものでも利用可能である。膜の形状はクロスフロー濾
過が可能な中空糸状であることが好ましく、内径0.1
〜10mm、膜厚0.05〜5mmの形状の中空糸膜よ
りなる膜モジュールを利用することが効率上及び操作性
においても好ましい。
タンパク質と油脂のエマルジョンを分離する。この場合
タンパク質及び油脂類が膜面に付着して、操作中に透過
能力が低下することを回避するため、膜素材は親水性で
あることが好ましい。ここでいう親水性の膜とは、乾燥
状態において膜の片側から水圧をかけ、膜のもう一方の
側へ透水の認められる所謂透水圧が0.8kg/cm2
以下であり、かつ乾燥膜における25℃、1kg/cm
2 での透水性能が、あらかじめ膜をエタノールで処理し
た膜の透水率と比較して15%以上の能力を保持してい
る膜である。このような性質を有する膜としては、セル
ロース系の親水性高分子からなる微多孔膜が有名である
が、耐酸、耐アルカリ性等の耐薬品性が悪く、また機械
的強度も弱いことから、耐薬品性、強度に優れた疎水性
基材膜の少なくとも表面に、中性ヒドロキシル基をもつ
グラフト鎖を結合させて親水性とした複合膜を使用する
ことが最も好ましい。このような目的に合致するものと
して、合成高分子複合膜よりなる中空糸微多孔膜モジュ
ールが既に市販されている。
方法について詳細に説明する。エマルジョンとして浮遊
している油を含むタンパク質原料を、微多孔膜を備えた
膜モジュールに供給し、タンパク質原料は膜透過液とし
て選択的に取り出し、他方、油分を含む膜保持液は循環
させる。いわゆるクロスフロー方式が最も効率的であ
る。濾過の平均圧力は0.1〜2.0kg/cm2 とす
ることが好ましい。尚、膜が目詰まりして透過流束が低
下したときは、水にて微多孔膜を逆洗することによって
透過流束をある程度回復させることもできる。
要に応じて適宜の濃縮手段にて濃縮することができる。
上記のようにして得られたタンパク質濃縮液を塩酸で加
水分解を行う。塩酸加水分解方法は、当分野で通常行わ
れている方法となんら異ならず、例えば、温度110〜
120℃、時間10〜20時間である。加水分解後、炭
酸ナトリウム又は、水酸化ナトリウムのような適当なア
ルカリ物質により5.0〜5.5のpHに中和し、残留
未加水分解物質を濾別する。濾過後の濾液は常法手段、
例えば、活性炭、イオン交換樹脂により脱色できる。次
に加水分解濾液は、例えば、真空により濃縮していくら
かの形成塩を沈澱させ、次に再濾過して、この沈澱塩を
除去し液状加水分解タンパク生成物を得る。微生物によ
る腐敗や変性を回避するために更に濃縮するか、又は、
乾燥させることによりペースト状、又は粉末状の製品と
することが望ましい。こうして得られた製品は従来法に
よる製品と比較して、呈味力、フレーバーとも遜色な
く、かつジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジ
オールの含量が、有意に減少している。
明する。
豚の骨3600gと水720gをいれ密封し昇温する。
オートクレーブの内圧が0.5kg/cm2 に達したら
オートクレーブ内のエアー抜きを実施し、再度密閉し加
熱してオートクレーブの内圧を5kg/cm2 迄上げ、
1時間煮だしを行った。冷却後、オートクレーブ内の液
を5リットル容分液ロートに全量移し、上層の油を除い
て下層の豚骨抽出液2400ミリリットルを得、これを
タンパク質原料とした。
MPー113モジュール(親水性合成高分子複合微多孔
膜、孔径0.25μm、中空糸膜内径2.0mm)を用
いて、入口圧0.6kg/cm2、出口圧0.4kg/
cm2のクロスフロー方式により濾過し、原料液量が少
なくなった時点で水を加えて更に濾過操作を行い、モジ
ュール中のタンパク質を回収した。膜透過液を、エバポ
レーターでタンパク質濃度が35重量%なるよう濃縮し
た後、200ミリリットル容耐熱瓶に、該濃縮液を10
5g、塩酸水溶液(比重1.18)を60g加え、スチ
ームオートクレーブで110℃、20時間の反応を行っ
た。反応終了後、冷却して炭酸ナトリウムでpH5.5
に調整し、東洋No.2濾紙を通して濾過し、呈味性、
フレーバー共良好なタンパク質加水分解物よりなる天然
調味量を得た。
P、10ppm以下;DCP、0.05ppm以下であ
り、この結果から明らかなように親水性微多孔膜透過液
中のMCP、DCPはいずれも検出限界以下であった。
尚、MCP、DCPの分析は、「3クロロ1,2プロパ
ンジオール及び1,3ジクロロ2プロパノールの試験方
法」(財団法人 日本食品分析センター)に準じて、ガ
スクロマトグラフィー:マスフラグメント法で行った。
ここで、MCP、DCPの本方法による検出限界はそれ
ぞれ10ppm、0.05ppmであった。
る油分離を行い下層の抽出液を微多孔膜による処理を行
わずに、前記実施例1と同じ方法にて濃縮、塩酸加水分
解、中和をして、MCP、DCPの分析を行った。その
結果、MCP、48ppm;DCP、0.36ppmで
あった。
得、得たタンパク質抽出液2000gを、分液ロートに
よる油分離を行わずにそのまま、実施例1で用いたのと
同じ微多孔膜による濾過処理を行って、膜透過液153
0gを得た。前記実施例1と同じ方法にて、濃縮、塩酸
加水分解、中和をして、DCP、MCPの分析を行っ
た。その結果、MCP、10ppm以下;DCP、0.
05ppm以下であり、油分が過剰に存在した原料を用
いた場合でも、親水性微多孔膜処理を行うことによって
製品のDCP、MCPをいずれも検出限界以下に低下さ
せることができた。
ンパク質原料中の油分を微多孔膜を用いて除去せしめる
事により、呈味性、フレーバー共に優れ、かつジクロロ
プロパノール(DCP)、モノクロロプロパンジオール
(MCP)が有意に減少した製品を得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】鳥獣の骨から抽出されたタンパク質原料
を、平均孔径0.01〜1.0μmの微多孔膜で濾過す
ることにより該抽出液から油分を除去し、該濾液を塩酸
により加水分解することを特徴とする、タンパク質加水
分解物よりなる天然調味料の製造法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03207885A JP3081680B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | 天然調味料の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP03207885A JP3081680B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | 天然調味料の製造法 |
Publications (2)
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JPH0549438A true JPH0549438A (ja) | 1993-03-02 |
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ID=16547177
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03207885A Expired - Lifetime JP3081680B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | 天然調味料の製造法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3081680B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007068479A (ja) * | 2005-09-08 | 2007-03-22 | Kaneka Corp | 畜肉系天然調味料およびその製造法 |
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JPH0644181U (ja) * | 1992-11-10 | 1994-06-10 | 株式会社東海理化電機製作所 | 電装品の支持装置 |
-
1991
- 1991-08-20 JP JP03207885A patent/JP3081680B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2007068479A (ja) * | 2005-09-08 | 2007-03-22 | Kaneka Corp | 畜肉系天然調味料およびその製造法 |
JP4513698B2 (ja) * | 2005-09-08 | 2010-07-28 | 株式会社カネカ | 畜肉系天然調味料およびその製造法 |
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