JPH0547863Y2 - - Google Patents

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JPH0547863Y2
JPH0547863Y2 JP4126288U JP4126288U JPH0547863Y2 JP H0547863 Y2 JPH0547863 Y2 JP H0547863Y2 JP 4126288 U JP4126288 U JP 4126288U JP 4126288 U JP4126288 U JP 4126288U JP H0547863 Y2 JPH0547863 Y2 JP H0547863Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、四輪駆動車等の多輪駆動車の駆動力
配分装置や左右輪の差動装置や左右輪の差動を制
限する差動制限装置等として用いられる回転差感
応型継手に関する。
(先行の技術) 先行の回転差感応型継手としては、例えば、本
出願人が先に提案した実願昭61−157055号(実開
昭63−62636号),実願昭61−157056号(実開昭63
−286838号)の明細書及び図面に記載されている
ような継手がある。
この先行継手は、ピストン式であつて、ロータ
ーに形成された油路に油の流通を抑制するオリフ
イスが設けられている。
(考案が解決しようとする課題) しかしながら、このような先行継手にあつて
は、油温上昇に対する抑制機能を有さない構造と
なつていた為、氷結地や泥ねい地や砂地等、回転
差の生じ易い路面を連続して走行すると継手が異
常高温となり、熱に弱い部品(ゴム,プラスチツ
ク製品,油)を損傷させたり、寿命を著しく低下
させるという課題が発生する。
(課題を解決するための手段) 本考案は、上述のような課題を解決することを
目的とし、この目的達成のために、請求項1記載
の本考案では、第1の回転軸と、第1の回転軸と
は相対回転可能で同軸上に配置された第2の回転
軸と、前記第1と第2の回転軸の連結手段として
使用され、且つ第1と第2の回転軸の回転速度差
によつて駆動されるローターとハウジングを有す
ると共に回転速度差に応じた油量を吐出する油吐
出手段と、該油吐出手段の吐出口に連通し、吐出
油の流通抑制により油圧に変換する油流通抑制流
路とを備えた回転差感応型継手において、前記油
流通抑制流路に、オリフイスを設けると共に油の
温度上昇により流路を閉じる流路閉鎖手段を設け
た事を特徴とする手段とした。
また、請求項2記載の本考案では、第1の回転
軸と、第1の回転軸とは相対回転可能で同軸上に
配置された第2の回転軸と、前記第1と第2の回
転軸の連結手段として使用され、且つ第1と第2
の回転軸の回転速度差によつて駆動されるロータ
ーとハウジングを有すると共に回転速度差に応じ
た油量を吐出する油吐出手段と、該油吐出手段の
吐出口に連通し、吐出油の流通抑制により油圧に
変換する油流通抑制流路とを備えた回転差感応型
継手において、前記油流通抑制流路に、高油温時
には流路を遮断し、低油温時には流路をオリフイ
ス開度にする流路開閉手段を設けた事を特徴とす
る手段とした。
(作用) 請求項1記載の回転差感応型継手を車両の駆動
系に適応した場合、第1の回転軸と第2の回転軸
との相対回転により両軸間に回転速度差が生じる
と、オリフイスによる流動抵抗により油圧が発生
し、両回転軸の回転速度差に応じたトルクが一方
の軸から他方の軸へ伝達される。
そして、この両回転軸の相対回転によるトルク
伝達作用が連続して長時間続き、油が所定以上の
高温になると、流路閉鎖手段が油の温度上昇によ
り閉じる方向に作動して油流通抑制流路が閉鎖さ
れ、この油流通抑制流路閉鎖により、オリフイス
への油の流通が遮断され、油吐出手段のローター
とハウジングは相対回転の無い、つまりリジツト
な一体状態で回転する。
従つて、高油温時には、油の発熱抑制により熱
に弱い部品の保護や製品寿命の低下を防止するこ
とが出来ると共に、油流通抑制流路の閉鎖により
相対回転を無くすことで低摩擦係数路での走破性
の向上を達成出来る。
請求項2記載の回転差感応型継手では、流路開
閉手段が、油温の高低に応じた作動で、単独でオ
リフイス機能と遮断バルブ機能との両機能を併せ
持つ。
従つて、この回転差感応型継手を車両駆動系に
適応した場合にも、前述の請求項1記載の回転差
感応型継手と同様な作用を有する。
(実施例) 以下、本考案の実施例を図面により詳述する。
尚、この実施例を述べるにあたつて、四輪駆動車
のエンジン駆動力伝達系に設けられる回転差感応
型継手を例にとる。
まず、請求項1記載の考案に対応する実施例の
構成を第1図〜第7図に示す図面に基づいて説明
する。
第1実施例の回転差感応型継手A1は、第7図
に示すように、前輪駆動をベースにした四輪駆動
車の後輪駆動系の途中に、センターデイフアレン
シヤルと、後輪への駆動力配分制御装置を兼用す
る継手として設けられている。
実施例継手A1が適用される四輪駆動車の駆動
系は、前輪駆動系として、エンジン1,トランス
ミツシヨン(クラツチを含む)2、フロントデイ
フアレンシヤル3、フロントドライブシヤフト
4,5、フロントドライブシヤフトジヨイント6
…、前輪7,8を備えていて、後輪駆動系とし
て、トランスフアギヤトレーン9、フロントプロ
ペラシヤフト10、センタプロペラシヤフト(第
1の回転軸)11、回転差感応型継手(油吐出手
段)A1、リヤプロペラシヤフト(第2の回転
軸)12、プロペラシヤフトジヨイント13…、
センターベアリング14、リヤデイフアレンシヤ
ル15、リヤドライブシヤフト16,17、リヤ
ドライブシヤフトジヨイント18…、後輪19,
20を備えている。
前記フロントデイフアレンシヤル3は、トラン
スミツシヨン2の最終段ギヤ21と、前記フロン
トドライブシヤフト4,5との間に介装された前
輪7,8の差動装置である。
前記トランスフアギヤトレーン9は、前記フロ
ントデイフアレンシヤル3のデフケース22から
エンジン駆動力を後輪19,20側へ取り出す駆
動力分割装置で、このトランスフアギヤトレーン
9と前記フロントデイフアレンシヤル3と共にト
ランスアクスルケース23に納められている。
前記リヤデイフアレンシヤル15は、前記リヤ
プロペラシヤフト12と、リヤドライブシヤフト
16,17との間に介装された後輪19,20の
差動装置である。
回転差感応型継手A1の構成を説明する。
実施例継手A1は、第1図及び第2図に示すよ
うに、ピストン式の油吐出手段によるもので、ド
ライブハウジング30、ローター40、ドライビ
ングピストン50、シリンダー室60、バランス
油路70、レギユレーター・リリーフ油路80、
アキユムレータ室100を主要な構成としてい
る。
前記ドライブハウジング30は、第1の回転軸
であるセンタプロペラシヤフト11に対し、ボル
ト止め等により一体に設けられる部材で、その内
周部には略正方形によるカム面31が形成されて
いる。
前記ローター40は、前記ドライブハウジング
30のカム面31内に挿入状態で配置され、第2
の回転軸であるリヤプロペラシヤフト12がボル
ト止め等によつて一体に設けられると共に、前記
ドライブハウジング30に対しビス止めされたス
トツパプレート41によつて相対回転を許容しな
がら軸方向に固定状態で設けられている。
尚、このローター40には、前記カム面31に
対向する位置で放射半径方向に等間隔で6個所に
シリンダー穴42…が形成されている。
また、ローター40とドライブハウジング30
の軸受径ΦD1は、第2図に示すように、ローター
40のカム面31の小径ΦD2より小さく設定され
ていて、これによりトルク伝達時の発熱によるロ
ーター40とハウジング30との熱膨張寸法の絶
対差が小さくなり、ローター40とハウジング3
0との熱膨張差により軸受部31aが焼き付くこ
とを、軸受部31aの径方向隙間を大きくするこ
となく防止している。
前記ドライビングピストン50は、前記シリン
ダー穴42に対しシールリング51により油密状
態で設けられたカム部材で、周方向に60度ズレた
位置でカム面31に周接し、カム面31との周接
面は滑らかな接触移動を確保する為に球面50a
に形成され、前記ドライブハウジング30とロー
ター40との相対回転時に往復動する。
尚、前記球面50aの曲率半径は、カム面31
の曲率半径より小さいが、シリンダー穴42の内
径をほぼ直径とする球状のドライビングボール
(特開昭62−286838号公報参照)の曲率半径より
大きく設定されていて、ヘルツの接触応力が高
く、高容量(高トルク)に耐えられるようにして
いる。
前記シリンダー室60は、前記シリンダー穴4
2と前記ドライビングピストン50との間に形成
された室で、ドライビングピストン50の往復動
に伴なつて体積変化する。
前記バランス油路70は、前記ローター40に
形成され、前記ドライビングピストン50の往復
動行程で同位相の対向するシリンダー室60,6
0を連結する油路で、各バランス油路70,7
0,70からローター軸方向(アキシヤル方向)
に分岐し、且つ前記アキユムレータ室100に導
かれる軸方向油路71には、オリフイス72が設
けらると共に、軸方向油路71からは隣り合うシ
リンダー室60,60に連通する径方向油路90
(ワンウエイバルブ91を有する)が設けられて
いる。
そして、前記オリフイス72は、第2図〜第5
図に示すように、ローター40の端面にオリフイ
スプレート73とリテーナスリーブ74を挟持重
ね合わせ状態でボルト75により取付け、互いに
離れた位置の軸方向油路71と油孔76とに連通
する切欠孔77を前記オリフイスプレート73に
形成し、該切欠孔77のうちリテーナスリーブ7
4及びローター40とで囲まれる隙間によつて形
成している。
尚、前記切欠孔77は1つの孔で3つのオリフ
イス72を形成するように、等角3方向の長孔を
合せた孔形状にしているし、また、オリフイスプ
レート73及びリテーナスリーブ74にはボルト
孔73a,74aが形成されている。
また、油流通抑制流路であるリテーナスリーブ
74の油孔76に連通するスプール室110に
は、油の温度上昇により流路を閉じてオリフイス
機能を失わせる流路閉鎖手段として、所定の油温
を越えたら伸長する形状記憶合金バネ111とバ
イアスバネ112とによつて付勢されたスプール
113が設けられている。
前記レギユレータ・リリーフ油路80は、各シ
リンダー室60と前記アキユムレーター室100
とを連通する油路で、ローター径方向(ラジアル
方向)の放射油路81と、ローター軸方向の軸心
油路82(スプール室110に連通)とによつて
構成され、前記放射油路81には、アキユムレー
ター室100からシリンダー室60への作動油流
通のみを許すボール弁構造のワンウエイバルブ8
3が設けられ、また、前記軸心油路82には、最
高圧を規定するリリーフバルブ84が設けられて
いる。
前記アキユムレータ室100は、作動油の一時
的貯留及び放出により油量の増減吸収を行なう室
で、ローター40に往復動可能に油密状態で設け
られたアキユムレータピストン101と、該ピス
トン101とスプリングリテーナ102との間に
介装されたコイルスプリング103と、によつて
構成されている。
次に、第1実施例の作用を説明する。
(イ) 回転速度差ΔNの発生がない時 乾燥アスフアルト路等を低・中速で直線走行す
る場合等であつて、前後輪に回転速度差ΔNが発
生しない時は、ドライブハウジング30とロータ
ー40とに相対回転がなく、ドライビングピスト
ン50が径方向に往復動しない為、回転差感応型
継手A1による後輪19,20側への伝達トルク
ΔTの発生がなく、エンジン駆動力は前輪7,8
のみに伝達される前輪駆動状態となる。
しかしながら、前後輪に回転速度差ΔNが発生
しない時であつても、高速道路を高速直進走行す
る場合には、後輪19,20の回転に伴なつて高
速回転するローター40に設けられているドライ
ビングピストン50には遠心力Fcが作用し、こ
の遠心力Fcによつてドライビングピストン50
がカム面31に押し付けられることになり、この
遠心力Fcにより、第8図に示すように、伝達ト
ルクΔTcoが発生することになる。尚、遠心力Fc
は、 Fc=m・v2/r m;質量(ドライビングピストン) r;回転中心軸から質量重心までの距離 v;ローター回転速度 であり、回転速度v、すなわち車速Vの2乗に比
例して発生する。
従つて、高速道路等での高速直進走行時には、
後輪19,20側への伝達トルクΔTcoが発生し
て4輪駆動状態となり、高速直進安定性を高める
ことができる。
(ロ) 回転速度差ΔNの発生時 アクセルペダルを急踏みしての発進時や加速
時、あるいは雨路や雪路や泥ねい地等での走行時
であつて、駆動輪である前輪7,8がスリツプ
し、前後輪に回転速度差ΔNを生じた場合には、
ドライブハウジング30とローター40とに相対
回転が発生し、この相対回転によりカム面31に
周接するドライビングピストン50は径方向に往
復動し、この往復動のうち回転軸中心に向かうこ
とでシリンダー室60の容積を縮小させようとす
る時には、オリフイス72による流動抵抗でシリ
ンダー室60内の圧力が高まり、この発生油圧と
ピストン50の受圧面積とを掛け合せた油圧力が
ドライビングピストン50をカム面31に押し付
ける力となり、この押し付け力によつて後輪1
9,20側への伝達トルクΔTが発生する。
尚、後輪19,20側への伝達トルクΔTは、
回転速度差ΔNが大きければ大きい程、オリフイ
ス72の前後圧力差も大きくなることから、第8
図の実線に示すように、2次関数曲線であらわさ
れる伝達トルク特性を示し、車速Vが高い程、遠
心力による伝達トルクΔTcが付加された特性を
示す。
尚、前記レギユレータ・リリーフ油路80に
は、回転差感応型継手A1及び該継手A1を介し
て後輪19,20に駆動力を伝える駆動伝達系の
破壊強度より小さな圧力で吐出油をリリーフする
リリーフバルブ84を設けた為、最大駆動トルク
ΔTcmaxまでのトルクが後輪19,20へ入力
される。
従つて、前輪7,8がスリツプした場合には、
前輪7,8のスリツプ度合に応じて、自動的に前
輪駆動状態から4輪駆動状態へと駆動力配分が制
御されることになり、発進性や加速性の向上、雨
路や雪路での走破性向上、及び泥ねい地での脱出
性向上を図ることができる。
そして、このトルク伝達作用時には、オリフイ
スプレート73に形成した切欠孔77のうちリテ
ーナスリーブ74及びローター40とで囲まれる
隙間により形成されるぬれ長さの長いオリフイス
72を油が流動する為、噴流によるシユー音が低
減される。
また、トルク伝達作用時であつて、ドライビン
グピストン50が油を排出する時は、油路70,
71を通り、オリフイス72で絞られ、油孔76
を通つてスプール室110→アキユムレータ室1
00へと導かれ、この際に、高圧を受けた油は断
熱圧縮のために発熱する。この発熱の程度は、回
転差が少ない時は仕事量も小さいので低く、又、
一時的な高回転が発生しても各部の熱容量のため
にすぐに高温になることはない。
しかしながら、雪道のように摩擦係数が小さ
く、且つ、長い登坂が続いたり、サラサラの柔ら
かい砂地をボート等を牽引して走行するような場
合は、連続して大きなエネルギーが熱となるた
め、油温の上昇によりハウジング30等、周囲の
部品を加熱し昇温させる。一般に、加熱された部
品からは風や伝達やふく射により冷却され、ある
一定温度に安定するが、先に挙げたような条件の
時にはこの温度が120℃以上になることもあるた
め、シール用ゴムやシールリング等の樹脂製品を
老化させるばかりでなく、油の潤滑条件も悪くな
り、回転滑動部分が最悪の場合には焼き付きを生
じることになる。
このような時、油孔76がスプール113によ
り閉鎖され、アキユムレータ室100への油の流
れが阻止される。
つまり、スプール113は低温時、バイアスバ
ネ112により図面左方向に移動し、油流通抑制
流路は開状態となつており、回転差に感応した反
力トルクを発生する通常状態である。しかし、高
温になると、ユニツトの中で一番高温になる油の
温度に感応して形状記憶合金バネ111が推力を
発生し、バイアスバネ112に打ち勝つてスプー
ル113を図面右方向に移動させ、油流通抑制流
路を閉じて(第2図,第3図,第6図の図面下部
に示す)、回転差を抑制し、油温の上昇を防ぐ。
つまり、オリフイス72を閉じると油は流動しな
くなるため昇温はなくなり、外部に熱が逃げて油
温は徐々に降下する。
尚、両バネ111,112は、油温上昇によつ
て伸び始める温度と低温になつて縮み始める温度
との間には、ヒステリシスを持つているため、油
の流動が止まつて油温が下がり始めてもすぐにス
プール113を開方向に動かすことが無く、所謂
ハンチング現象も自動的に防止される。
この為、スプール113は、ユニツトの危険温
度となつた時には閉じて、若干温度が低下した時
には閉じるという作動により、連続悪条件におい
てもユニツトが危険温度以上に昇温することを防
止することが出来る。
更に、四輪駆動車に回転差感応型継手A1を採
用する主目的は、タイトコーナブレーキの防止,
発進し易さの改良(パートタイム四輪駆動車では
発進時でのクラツチ接続時、タイヤのグリツプが
良過ぎる為、タイミングによつてはエンストを生
じる),一般路面での旋回性の向上等であるが、
雪道,泥ねい地,砂地等では車両の進行スピード
に対し車輪回転速度が速すぎると、そのスリツプ
している車輪のみが雪,泥,砂等を掘つて深くす
る為に、前後輪が完全同回転するものよりも走破
性がわずかに低くなつてしまうという問題があつ
たが、本考案のように油流通抑制流路を閉じて相
対回転を無くすようにした場合には、パートタイ
ム四輪駆動車と同一性能となる為、このような弱
点も同時に補うことが出来る。
尚、このような路面では、摩擦係数が低いため
にタイトコーナブレーキの如き不快な現象が感じ
られないことは従来のパートタイム四輪駆動車と
同様であることは言うまでもない。
以上説明してきたように、第1実施例の回転差
感応型継手A1にあつては、先行出願の明細書に
記載した効果に加え(記述省略)、以下に述べる
ような特有の効果が得られる。
相対回転差が長時間続き断熱圧縮による発熱
で油温が上昇した場合には、油温に感応したス
プール113の作動で油流通抑制流路を閉じる
ようにした為、油温及びユニツト温度の上昇が
抑えられ、熱に弱い部品の保護や製品寿命の低
下を防止することが出来る。
雪道,泥ねい地,砂地等で回転差が長時間続
く場合にも油流通抑制流路が閉鎖され、前後輪
の相対回転をなくして同一回転とする為、低摩
擦係数路での走破性能を向上させることが出来
る。
オリフイス72を長方形流路断面とし、ぬれ
長さを長くした為、トルク伝達作用時には噴流
によるシユー音を低減出来る。
オリフイス効果を生じる切欠孔77はオリフ
イスプレート73を打ち抜き加工することで出
来るし、ローター40の端面にオリフイスプレ
ート73とリテーナスリーブ74を挟持重ね合
わせ状態で取付けるだけでオリフイス72が形
成される為、加工工数や組付工数を低減出来る
し、コスト的にも有利である。
オリフイス効果を生じる1つの切欠孔77で
3つのオリフイス72が形成される為、オリフ
イスとして単品製品を3個使う場合に比べて3
つのオリフイス72間のバラツキを極めて小さ
くすることが出来る。
次に、請求項2記載の考案に対応する第2実施
例の回転差感応型継手A2について説明する。
この第2実施例は、各シリンダー室60とスプ
ール室110及びアキユムレータ室100とを連
通する油流通抑制流路(バランス油路78と傾斜
連通油路79による)との間に、高油温時には流
路を遮断し、低油温時には流路をオリフイス開度
にする流路開閉手段としてのスプールバルブ12
0を設けた例である。
そして、前記スプールバルブ120は、スプー
ル室110の内面に摺動可能に嵌合され、縦孔1
21aとランド部121bが形成されたスプール
121と、該スプール121の内径部に設けられ
たバイアスバネ122と、スプール121の外径
部に設けられた形状記憶合金バネ123とによつ
て構成されている。
尚、他の構成は、第1実施例と同様である為、
対応する構成には第1実施例と同じ符合を付して
説明を省略する。
次に、第2実施例の作用を説明する。
(イ) 低油温時 第9図及び第10図において、スプールバルブ
120の下半分は、一般道路走行時等で回転速度
差ΔNが低く、継手の発熱量が小さいので表面か
らの放熱で油温で安定している状態を示してい
る。
この低油温時には、形状記憶合金バネ123が
柔らかい状態で、バイアスバネ122の付勢力で
スプール121が図面右方向に押し込められてい
て、この位置においては、各シリンダー室60と
スプール室110及びアキユムレータ室100と
が、縦孔121aとランド部121bを介して連
通している。
従つて、回転速度差ΔNの発生時には、各シリ
ンダー室60で高圧になつた油が、バランス油路
78→傾斜連通油路79を経過してスプール12
1のランド部121bに当たり、このランド部1
21bは、スプール121に切られた僅かな隙間
である為、高圧の油はここでオリフイス効果を受
けて絞られ、縦孔121aを通つてスプール室1
10へ流れ出る。
尚、オリフイス部を丸孔とすると、油が高圧で
押されて通過し、所謂、シユー音を発生するが、
このように薄い隙間から噴出させることによりシ
ユー音の発生が防止される。
また、オリフイスに関連する隙間としては、ロ
ーター40とスプール121との間の1個所だけ
に若干の隙間があるに過ぎない為、第1実施例の
プレートオリフイスタイプに比べて、油漏れ個所
が著しく少なくなり、オリフイスによる一般特性
として、第11図の仮想線特性で示すように、高
回転速度差ΔN領域での油の漏れが大きい場合の
伝達トルクΔTの減少が無く、第11図の実線特
性で示すように、設計所期の特性にほぼ一致する
特性が得られる。
(ロ) 高油温時 第9図及び第10図において、スプールバルブ
120の上半分は、砂地連続走行時等で回転速度
差ΔNが高く連続的で、継手の発熱量が大きいの
で表面からの放熱があつても高油温となつている
状態を示している。
この高油温時には、形状記憶合金バネ123が
伸びて大きな力を発生し、バイアスバネ122を
縮めてスプール121を図面左方向に移動させ
る。この為、この位置においては、各シリンダー
室60とスプール室110及びアキユムレータ室
100との連通が遮断され、ドライビングピスト
ン50がロツク状態、即ち継手直結状態となる。
従つて、継手の発熱が止まり、シールの熱破損
等が防止されると共に、車両も直結型の四輪駆動
車として、不整路等の走破性が増す。
また、ローター40とスプール121との間の
1個所だけに若干の隙間があるに過ぎない為、油
漏れを完全に阻止することは出来ないが、第1実
施例のプレートオリフイスタイプに比べて、油漏
れ個所が著しく少なくなり、ロツク時の特性とし
て、第11図の仮想線特性で示すような油の漏れ
が大きい場合の最大伝達トルクΔTmaxの減少が
無く、第11図の実線特性で示すように、設計所
期に設定した最大伝達トルクにほぼ一致する最大
伝達トルクΔTmaxが得られる。
以上説明してきたように、第2実施例の回転差
感応型継手A2にあつては、第1実施例継手A1
で得られる前記及びの効果に加え、以下に述
べるような特有の効果が得られる。
独立して構成されるオリフイスを廃止し、ス
プールバルブ120にオリフイス機能と遮断バ
ルブ機能とを併せて持たせるようにしており、
第1実施例のようにオリフイスプレートをボル
ト止めにより固着するものと異なり、油圧がス
プールバルブ120の回転中心への圧力を発生
するので、オリフイスを拡大しようとする力が
働かず、ボルトの伸び等に起因する油漏れもな
いので、オリフイス機能を発揮している時に
は、特に、高回転速度差領域でのトルク伝達の
上昇特性を確保出来るし、また、遮断バルブ機
能を発揮している時には、ロツク状態での確実
な大トルク伝達を確保出来る。
オリフイスプレートやボルト等により独立し
て構成されるオリフイスを廃止した為、部品点
数の減少が出来、コスト的に有利であると共
に、ボルト耐久性等の心配が無く、信頼性の向
上を図ることが出来る。
以上、本考案の実施例を図面により詳述してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲におけ
る設計変更等があつても本考案に含まれる。
例えば、本考案の回転差感応型継手は、実施例
で示した適用例に限られるものではなく、後輪駆
動ベースの四輪駆動車の前輪側プロペラシヤフト
の途中に設けることもできる。
また、本実施例は、ピストン式の回転差感応型
継手の例を示したが、本出願人が先に提案した特
願昭61−129424号(特開昭62−286838号)に記載
したようなものでもよいし、また、従来例の特開
昭60−116529号に示されているようなベーンポン
プ型のものであつてもよい。
また、実施例では、流路閉鎖手段及び流路開閉
手段として温度センサ機能とアクチユエータ機能
を兼ねる形状記憶合金バネを用いた例を示した
が、油温に感応するバイメタルバネや油温上昇に
よる油の性状変化を利用するものや、油温センサ
とアクチユエータを組合わせたもの等他の手段で
あつても良い。
更に、四輪駆動車用の継手に限ることなく、前
輪または後輪のみの二輪駆動車における左右駆動
輪間の差動制限装置としても適用できる。
(考案の効果) 以上説明してきたように、請求項1及び請求項
2記載の回転差感応型継手にあつては、油流通抑
制流路に、高油温時に流路を閉じる流路閉鎖手段
または流路開閉手段を設けた為、油の発熱抑制に
より熱に弱い部品の保護や製品寿命の低下を防止
することが出来ると共に、油流通抑制流路の閉鎖
により相対回転を無くすことで低摩擦係数路等で
の走破性の向上を達成出来るという共通の効果が
得られる。
また、請求項2記載の回転差感応型継手にあつ
ては、前記共通効果に加え、流路開閉手段がオリ
フイスを兼ねる構成とした為、高圧時にも油漏れ
の発生するおそれはなく、一般特性として高回転
速度差領域でのトルク伝達の上昇特性を確保出来
るし、また、ロツク状態での確実な大トルク伝達
を確保出来る。更に、オリフイスを廃止した為、
部品点数の減少が出来、コスト的に有利であると
共に、ボルト耐久性等の心配が無く、信頼性の向
上を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案第1実施例の回転差感応型継手
を示す縦断正面図、第2図は第1図−線によ
る断面図、第3図は第1図−線による断面
図、第4図は第1図−線による断面図、第5
図はオリフイスプレートを示す正面図、第6図は
第2図−線による断面図、第7図は実施例継
手を適用したエンジン駆動系を示す概略図、第8
図は第1実施例継手でのトルク伝達特性図、第9
図は第2実施例の回転速度差感応型継手を示す断
面図、第10図は第2実施例継手の要部拡大断面
図、第11図は第2実施例継手でのトルク伝達特
性図である。 A1……回転差感応型継手(油吐出手段)、1
1……センタプロペラシヤフト(第1の回転軸)、
12……リヤプロペラシヤフト(第2の回転軸)、
30……ドライブハウジング、40……ロータ
ー、50……ドライビングピストン、60……シ
リンダー室、70……バランス油路(油流通抑制
流路)、72……オリフイス、76……油孔、1
10……スプール室、111……形状記憶合金バ
ネ(流路閉鎖手段)、112……バイアスバネ
(流路閉鎖手段)、113……スプール(流路閉鎖
手段)、A2……回転差感応型継手、78……バ
ランス油路(油流通抑制流路)、79……傾斜連
通油路(油流通抑制流路)、120……スプール
バルブ(流路開閉手段)、121……スプール、
122……バイアスバネ、123……形状記憶合
金バネ。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 1 第1の回転軸と、第1の回転軸とは相対回転
    可能で同軸上に配置された第2の回転軸と、前
    記第1と第2の回転軸の連結手段として使用さ
    れ、且つ第1と第2の回転軸の回転速度差によ
    つて駆動されるローターとハウジングを有する
    と共に回転速度差に応じた油量を吐出する油吐
    出手段と、該油吐出手段の吐出口に連通し、吐
    出油の流通抑制により油圧に変換する油流通抑
    制流路とを備えた回転差感応型継手において、 前記油流通抑制流路に、オリフイスを設ける
    と共に油の温度上昇により流路を閉じる流路閉
    鎖手段を設けた事を特徴とする回転差感応型継
    手。 2 第1の回転軸と、第1の回転軸とは相対回転
    可能で同軸上に配置された第1の回転軸と、前
    記第1と第2の回転軸の連結手段として使用さ
    れ、且つ第1と第2の回転軸の回転速度差によ
    つて駆動されるローターとハウジングを有する
    と共に回転速度差に応じた油量を吐出する油吐
    出手段と、該油吐出手段の吐出口に連通し、吐
    出油の流通抑制により油圧に変換する油流通抑
    制流路とを備えた回転差感応型継手において、 前記油流通抑制流路に、高油温時には流路を
    遮断し、低油温時には流路をオリフイス開度に
    する流路開閉手段を設けた事を特徴とする回転
    差感応型継手。
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