JPH0547233B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は電動バリカンに係り、特にすき刈り部
材を付設した電動バリカンに関するものである。

〔発明の背景〕

従来のすき刈り板を付設した電動バリカンは、
すき刈り時におけるすき刈り板の毛導入部および
毛導入阻止部の位置が刃体（固体刃および可動
刃）の刃先に対して不変であつた。そのため、電
気バリカンを頭の毛に沿つて上から下へ掻き降ろ
してすき刈りを行なうと、すき刈り板の毛導入部
と対向する個所の髪の毛が帯状に刈られ、局部的
に多量の髪の毛が刈り取られることになりぼかし
の効いた均一なすき刈りができない。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、このような従来技術の欠点を
解消し、均一なすき刈りができるとともに、櫛と
ぎ効果のある電動バリカンを提供するにある。

〔発明の概要〕

この目的を達成するため、本発明は、すき刈り
部材を付設した電動バリカンにおいて、すき刈り
時にすき刈り部材の毛導入部および毛導入阻止部
の位置が可動刃の往復方向と交差する方向に往復
動できるように構成されていることを特徴とする
ものである。

〔発明の実施例〕

次に本発明の実施例を図とともに説明する。第
１図は本発明の実施例に係る電動バリカンの要部
分解斜視図、第２図はその電動バリカンの要部切
断側面図、第３図はその電動バリカンにおけるす
き刈り板の移動状態を示す一部拡大平面図であ
る。

モータ１の回転軸２の途中に第１かさ歯車３が
取り付けられ、さらにその先端には偏心カム４が
固着され、それの偏心ピン５の先端は駆動部材６
の中央に形成された縦形の凹溝７に嵌入されてい
る。駆動部材６は可撓性を有する合成樹脂で成形
され、第１図に示すように平面形状がほぼコ字形
をしており、両側壁は肉薄になつてその先端部が
固定されているが、駆動部材６の中央部は謡動可
能になつている。この中央部の前面には駆動杆８
が一体に形成され、それの先端部は駆動板９に嵌
合している。駆動板９は固定刃１０に圧接した可
動刃１１と連結しており、前記固定刃１０はホル
ダー１２（第２図参照）に固着されている。

従つてモータ１の回転は偏心カム４ならびに駆
動部材６の働きによつて往復運動に変換され、駆
動杵８ならびに駆動板９を介して可動刃１１が高
速で往復動する仕組になつている。

前記第１かさ歯車３の近傍にはすき刈り時にそ
れと噛合する第２かさ歯車１３が配置され、第２
かさ歯車１３は歯車群（図示せず）からなる減速
手段１４を介して偏心カム１５に連結されてい
る。偏心カム１５に突設された偏心ピン１６は、
すき刈り板１７の後部に形成された長穴１８（第
１図参照）に嵌入される。この長穴１８は、前記
可動刃１１の往復方向とほぼ平行に延びている。
すき刈り板１７の中間部両側には長穴１８の長手
方向とほぼ直交する方向に延びたガイド溝１９
（第１図参照）が形成され、上ケース２０の内面
から垂下したピン２１がそれぞれのガイド溝１９
に挿通されている。すき刈り板１７の先端には毛
導入阻止部２２と切欠き状の毛導入部２３とが幅
方向に沿つて交互に形成され、平面形状が凹凸状
になつている。

前記減速手段１４を収容するボツクス（図示せ
ず）の両側面からアーム２４がそれぞれ突出し、
その先端部につまみ２５が取り付けられている。
前記アーム２４は上ケース２０に形成されたスラ
イド溝２６を貫通し、つまみ２５が上ケース２０
の両側面から露出している。このつまみ２５のす
き刈り位置ならびに非すき刈り位置は、節度をも
つて保持される。

すき刈りを行なわないときには、つまみ２５が
後方（モータ１側）に寄せられており、そのため
第２図に示すように第２かさ歯車１３は第１かさ
歯車３から離れて、モータ１の回転駆動力はすき
刈り板１７には伝達されず、すき刈り板１７は待
機位置にある。

すき刈りを行なう場合には、つまみ２５が前方
（駆動部材６側）へスライドされる。そうすると
すき刈り板１７は第２かさ歯車１３や減速手段１
４とともに前方へ移動し、すき刈り板１７の先端
部（毛導入阻止部２２、毛導入部２３）が可動刃
１１の刃先部と対向する。この移動で２かさ歯車
１３が第１かさ歯車３と噛み合い、モータ１の回
転駆動力は第１かさ歯車３、第２かさ歯車１３な
らびに減速手段１４を介して偏心カム１５に伝達
される。偏心カム１５に設けられている偏心ピン
１６はすき刈り板１７の長穴１８に挿通されてい
るから、偏心カム１５の回転にともなつてすき刈
り板１７が第３図に示すように可動刃１１の往復
動方向Ｘと直交するＹ方向に往復動する。この図
において実線で画いた毛導入阻止部２２ならびに
毛導入部２３の位置は、すき刈り板１７が最も後
退した位置を示しており、この状態で毛導入部２
３から導入された毛だけが高速で往復動している
可動刃１１と固定刃１０によつて刈り取られる。
また、一点鎖線で画いた毛導入阻止部２２ならび
に毛導入部２３の位置は、すき刈り板１７が最も
前進した位置を示しており、この状態では毛導入
部２３が固定刃１０ならびに可動刃１１の刃先よ
りも突出しているため、可動刃１１が往復動して
も毛の刈り取りは行なわれない。すき刈り板１７
の往復動は１分間に100〜180回程度が適当で、可
動刃１１のように単位時間当りの往復回数が多い
と刈り取りが効率よく行なわれないため好ましく
ない。

前記実施例では１つのモータで可動刃とすき刈
り板の往復動を行なつたが、この場合には前述の
ような理由から減速手段が必要である。そのため
例えば、パルス発生器と、それからのパルス信号
に基いて動作する電磁石とからなる専用の駆動源
を設け、これによつてすき刈り板を所望の速度で
往復動させることができる。

第４図は、すき刈り板１７の変形例を示す斜視
図である。この例の場合、すき刈り板１７の長穴
１８が形成されている前方および後方の位置に、
長穴１８とほぼ平行に延びた可撓性を有する脚部
２７がそれぞれ形成され、脚部２７の先端部には
透孔２８が窮設されている。すき刈り板１７の上
方にはつまみ２５が配置され、それの下面に重設
された２本のピン２９を前記脚部２７の透孔２８
に嵌入することですき刈り板１７とつまみ２５と
が連結され、つまみ２５は図示していないが上ケ
ース２０の上面にスライド可能に露出している。

その他の構造などは前記実施例とほぼ同様であ
るので、それらの説明は省略する。

すき刈りを行なわないときには、つまみ２５は
後方に寄せられ、その結果前記実施例と同様にす
き刈り板１７は静止状態にある。すき刈りを行な
うためつまみ２５を前方に移動すると、第１かさ
歯車３と第２かさ歯車１３とが噛合し、それによ
つてすき刈り板１７が前後方向に所定の速度で往
復動する。このときつまみ２５はすき刈り位置に
あつて節度をもつて保持されており、しかも可撓
性を有する前記脚部２７によつてすき刈り板１７
の往復動が吸収されるから、すき刈り時につまみ
２５ががたつくことが防止できる。またこの構造
は前記実施例のものより簡単で、組立てが容易で
ある。

第５図イ，ロは、すき刈り板１７のさらに変形
例を示す説明図である。この例の場合、すき刈り
板１７に形成される毛導入部２３が切込みが比較
的浅い中間溝２３ａと、切込みが比較的深い深溝
２３ｂとに分かれており、図に示すように毛導入
阻止部２２、中間溝２３ａおおび深溝２３ｂが交
互に繰返し設けられている。

そして同図イに示すようにすき刈り板１７が最
も前方にあるときには深溝２３ｂの溝底付近が可
動刃１１の刃先と対向し、一方、同図ロに示すよ
うにすき刈り板１７が最も後方にあるときには中
間溝２３ａの溝底付近が可動刃１１の刃先と対向
するように、すき刈り板１７の往復ストロークＳ
が決められている。

従つて第５図イの状態ではそれぞれの深溝２３
ｂに導入された毛しか刈り取られず、一方、第５
図ロの状態ではそれぞれの中間溝２３ａならびに
深溝２３ｂに導入された毛が刈り取られ、前者の
場合と後者の場合とで毛の刈り取り量に変化があ
る。このように変化をつけることにより、ぼかし
刈りができる。

前記実施例ではすき刈り板が直線方向に往復動
する場合について説明したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、例えばすき刈り板が楕円
運動あるいは円運動して、それの毛導入阻止部お
よび毛導入部の位置が実質的に可動刃の往復方向
と交差する方向に往復動させることもできる。

〔発明の効果〕

本発明は前述のような構成になつており、すき
刈り時にすき刈り部材を可動刃の往復方向と鎖交
する方向に往復動させることにより、すき刈り部
材の毛導入部へ導いた毛でも刈り取り出来るとき
と出来ないときとをつくることができる。そのた
め刈り取りが間欠的に行なわれ、従来のような局
部的な刈り過ぎを制御し、均一な刈り取りができ
る。また、すき刈り部材の前後方向の往復動によ
り、偏つた髪の毛がほぐされ、櫛とぎ効果が発揮
されきれいなすき刈りができる。

【図面の簡単な説明】

図はすべて本発明の実施例に係る電動バリカン
を説明するためのもので、第１図はその電動バリ
カンの要部分解斜視図、第２図はその電動バリカ
ンの要部切断側面図、第３図はその電動バリカン
におけるすき刈り板の移動状態を示す一部拡大平
面図、第４図はすき刈り板の変形例を示す斜視図
第５図はすき刈り板のさらに他の変形例を示す説
明図である。 １……モータ、３……第１かさ歯車、１０……
固定刃、１１……可動刃、１３……第２かさ歯
車、１４……減速手段、１５……偏心カム、１７
……すき刈り板、２２……毛導入阻止部、２３…
…毛導入部、２３ａ……中間溝、２３ｂ……深
溝、Ｘ……可動刃の往復方向、Ｙ……すき刈り板
の往復方向。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 固定刃と、その固定刃に圧接された状態で往
   復動する可動刃と、前記固定刃および可動刃のい
   ずれか一方の刃体の近傍に配置されてすき刈り時
   に毛導入部および毛導入阻止部が刃体の刃先と対
   向するすき刈り部材とを備えたものにおいて、す
   き刈り時に前記すき刈り部材の毛導入部および毛
   導入阻止部の位置が、前記可動刃の往復方向と交
   差する方向に往復動できるように構成されている
   ことを特徴とする電動バリカン。