JPH0546623U - 自動車の盗難等感知器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人為的ないたずらや盗難などに起因する車体
の揺動や振動を正確に検出可能にする。 【構成】 金属片１に片面が貼着されて、電気軸と平行
な面内ずれにより電圧を発生する圧電素子１３と、この
圧電素子１３の上記車体側とは反対側の面に貼着された
おもりと、上記圧電素子１３およびおもり１４の表面の
全部または一部を覆うシリコン系ゴムコーティング１５
と、上記車体の揺動にもとづいて、上記圧電素子１３が
出力する１〜５Ｈｚの超低周波域の信号を取り出すロー
パスフィルタ２２とを備えて、バンドパスフィルタ２３
に、上記車体の振動にもとづいて、上記圧電素子１３が
出力する３０〜５０Ｈｚを中心とする低周波域の信号を
取り出させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車のエンジンルーム，室内，トランク内などに取り付けられ て、自動車の盗難，移動による揺動や振動、あるいは室内への他人の侵入，タイ ヤの取り外し，窓ガラス破損，ドア鍵穴やトランク鍵穴への鍵の出し入れなどに より人為的に加えられる車体の揺動や振動を感知して、警報を発生させるのに利 用する自動車の盗難等感知器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の自動車の盗難等感知器としては、図５乃至図７に示すものが提案されて いる。このうち、図５に示すものは、一端を基台１に支承した金属振動片２の他 端におもり３を取り付けておき、車体の揺れに応じて重りの上下動および金属振 動片２に揺動を惹起させ、この金属振動片２が揺動時に固定接点４に接触するよ うにしたものである。従って、この接点に対する接触，開離を電気的に検出する ことにより、自動車の盗難時やレッカー移動を警報することが可能になる。

【０００３】 また、図６に示すものは、エッチングによって細かい電気的パターンを設けた プリント基板５上に金属球６を載せ、車体が揺れたり傾いたりすると、金属球６ が転がって電気的パターンに接触しながら断続信号を出力するようにしたもので ある。この場合にも、その断続信号の検出により、自動車の盗難時やレッカー移 動を警報することが可能になる。

【０００４】 さらに、図７に示すものは、振動板としての円形金属板７に圧電素子８を貼着 し、この圧電素子８の中央部にはおもり９を取り付けたものであり、車体の振動 を電圧の変化として取り出して、自動車の盗難などを検知可能にしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる従来の自動車の盗難等感知器においては、図５に示すも のでは、共振する周波数帯域が狭いので、もろもろの車体の振動数に合致しにく く、従って、検出結果がばらつき、信頼性に劣るという問題点があった。

【０００６】 また、図６に示すものでは、車体の傾駐車時や坂での駐車時には金属球がプリ ント基板５上の片端に片寄り、転がりが生じにくくなって、車体の揺動，振動の 検出が十分に行えないほか、ショックや鍵穴への鍵の挿入などの検出感度が低く 、信頼性に劣るなどの課題があった。

【０００７】 さらに、図７に示すものでは、一般的に圧電素子が２ＫＨｚ付近に緩やかな共 振点を持ち、市街地の雑音に感応し易い割りには、車体の揺動には殆ど感応せず 、車体の揺動や振動検出には適さないなどの問題点があった。

【０００８】 また、さらに、ロータリエンコーダや角度検出センサを用いて、自動車のレッ カーによる吊り上げやジャッキによる持ち上げ等を感知するものが提案されてい るが、車体の上下および左右の揺動検出のために、２箇所にこれらのロータリエ ンコーダなどを設置しなければならず、また、傾駐車時などでは、その傾き角を メモリに記憶させ、傾きの変化を検出したとき、その差を計算して正しい車体の 揺動等を計算する必要があり、このため、高価なマイクロプロセッサが必要とな り、特殊なプログラムを用意しなければならないなどの問題点があった。

【０００９】 この考案は上記のような従来の問題点に着目してなされたものであり、人為的 ないたずら，盗難などに起因しない外部騒音，サイレンを鳴らす緊急自動車，宣 伝カーあるいは外部音響雑音には感知しない高感度の自動車の盗難等感知器を提 供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る自動車の盗難等感知器は、金属片に片面が貼着されて、電気軸 と平行な面内ずれにより電圧を発生する圧電素子と、該圧電素子の上記車体側と は反対側の面に貼着されたおもりと、上記圧電素子およびおもりの表面の全部ま たは一部を覆うシリコン系ゴムコーティングと、上記車体の揺動にもとづいて、 上記圧電素子が出力する１〜５Ｈｚの超低周波域の信号を取り出すローパスフィ ルタと、上記車体の振動にもとづいて上記圧電素子が出力する３０〜５０Ｈｚを 中心とする低周波域の信号を取り出すバンドパスフィルタとを備えたものである 。

【００１１】

【作用】

この考案におけるローパスフィルタおよびバンドパスフィルタは、車体の揺動 や振動に伴って金属おもりが変位することで、電気軸と平行な面内ずれを生じる 圧電素子の出力電圧を、超低周波および所定帯域幅の低周波にわけて取り出し、 これらの各周波数域において得られた電圧が設定レベル以上あるとき、車内への 侵入による盗難，レッカーやジャッキによる車体の持ち上げと判定したり、車へ のショック，鍵穴への鍵の出し入れによるいたずら、ガラスに加わるショックノ イズを判定し、この他の市街地の音響ノイズなどによる誤出力を防止している。

【００１２】 さらに電気軸と平行な面内ずれにより電圧を発生する圧電素子は、熱風等の温 度変化による焦電気（パイロ）の発生が少なく、また、おもり及び圧電素子にシ リコン系ゴムをコーティングすることによって温度変化等に起因する焦電気の発 生を少なくして誤出力を防止する。

【００１３】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図について説明する。図１はこの考案の盗難等感 知におけるセンサ部であり、図において、１１は車体に設けられた基台１２上に 直立する金属片、１３はこの金属片１１に片面が貼着されたジルコン酸鉛などか らなる圧電セラミック素子の圧電素子で、この圧電素子１３は相対する２面に電 極を付けて分極処理した場合（図において上下方向に分極すると）、外力が電気 軸に平行な面内ずれを惹き起すように印加されると（図において上下方向に基台 １２が振動すると）、電圧を発生する。１４はこの圧電素子１３のもう一方の片 面に貼着された金属のおもりで、これらのおもり１４および圧電素子１３は基台 １２から離れた状態にて金属片１１に支持されている。１５は上記圧電素子１３ およびおもり１４の全表面または一部を覆うシリコン系のゴムコーティングで、 これがこれらの圧電素子１３およびおもり１４を含むセンサ部に焦電気（パイロ ）が発生するのを防止する。また、１６は圧電素子１３の出力リード線、１７は アース線で、それぞれおもり１４および金属片１１を介して導出されている。

【００１４】 図２はこの考案における揺動振動検知回路を示すブロック図であり、図におい て、１３は図１におけるものと同一の圧電素子、２１はこの圧電素子１３のイン ピーダンス変換と出力増幅を行うアンプ、２２はこのアンプ２１の出力のうち、 車体の上下揺動周波である１〜５Ｈｚの超低周波の信号を取り出して出力する、 図４のＡに示すような特性を持ったローパスフィルタ、２３は車体やガラスに加 わるショックや鍵穴への鍵の出し入れによる金属ノイズとしての、３０から５０ Ｈｚを中心とする所定帯域幅の周波数の信号を取り出して出力する、図４のＢに 示すような特性を持ったバンドパスフィルタで、これらは１または複数の演算増 幅器に抵抗およびコンデンサを接続したものからなる。２４，２５はローパスフ ィルタ２２およびバンドパルスフィルタ２３の各出力レベルを調整する可変抵抗 器、２６，２７は上記各周波数域の信号レベルが設定値以上あることを検知する 出力検知回路、２８，２９は出力検知回路２６，２７において、上記信号レベル が設定値以上あるとき点灯する発光ダイオード、３０，３１はオアゲートを構成 するダイオードで、上記出力検知回路２６，２７のいずれかから信号が出力され ると、これがトランジスタなどの出力回路３２に入力され、電力増幅されて出力 される。

【００１５】 図３はかかる揺動検知回路を備えたセンサ部の構成を示す正面図であり、上記 可変抵抗器２４，２５および発光ダイオード２８，２９が表示パネル３３の表面 に臨んでいる。

【００１６】 次に動作について述べる。いま、車体の駐車状態において、自動車への侵入， 車体のレッカーやジャッキによる持ち上げによって、あるいは車体，窓ガラスへ のショック，窓ガラスの破損，鍵穴への鍵の出し入れによって、車体が揺動また は振動すると、金属片１１に支持されたおもり１４が揺動または振動して、圧電 素子１３にその揺動や振動に応じた歪応力が印加される。このため、この圧電素 子はその揺動や振動より生じる電気軸と平行な面内ずれに応じた周波数の信号電 圧を出力する。そして、この信号は図２に示すアンプ２１に入力されて増幅され 、ローパスフィルタ２２およびバンドパルスフィルタ２３に入力される。これら の各フィルタ２２，２３ではそれぞれ上記入力された信号の中から、車体の異常 な揺動，振動に起因する１〜５Ｈｚおよび３０〜５０Ｈｚを中心とする所定周波 数帯域の信号のみを分離して検出し、この検出信号が出力検知回路２６，２７に おいて、それぞれ設定レベル以上あると判定された場合には、各発光ダイオード ２８，２９を点灯し、ダイオード３０，３１をそれぞれ介して、車体が揺動して 盗難中であることの信号や、あるいは車体を叩いたり、ガラスを叩いて破損中で あることの信号を出力し、この出力信号は出力回路３２を通して外部へ出力され る。従って、この出力回路３２に警報器などを接続することにより、車体の揺動 や振動により盗難が行われていることを周辺に警告することができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、金属片に片面が貼着されて、電気軸と平行 な面内ずれにより電圧を発生する圧電素子と、該圧電素子の上記車体側とは反対 側の面に貼着されて支持されたおもりと、上記圧電素子およびおもりの表面の全 部または一部を覆うシリコン系ゴムコーティングと、上記車体の揺動にもとづい て上記圧電素子が出力する１〜５Ｈｚの超低周波域の信号を取り出すローパスフ ィルタとを備えて、バンドパスフィルタに、上記車体の振動にもとづいて、上記 圧電素子が出力する３０〜５０Ｈｚを中心とする低周波域の信号を取り出させる ように構成したので、外部のサイレン音，緊急自動車のサイレン音，宣伝カーな どの音響雑音，瞬間的な温度変化，光の変化，断続などとは分離して、盗難作業 によって車体に作用する揺動や振動を確実に検出でき、従って、盗難警報を高精 度にかつ迅速に行えるという実用上の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例による自動車の盗難等感知
器のセンサ部を示す断面図である。

【図２】この考案の自動車の盗難等感知器における揺動
振動検知回路を示す回路図である。

【図３】図２における揺動振動検知回路を備えたセンサ
部を示す正面図である。

【図４】図２におけるローパスフィルタおよびバンドパ
スフィルタの周波数特性を示すグラフである。

【図５】従来の自動車の盗難等感知器を示す側面図であ
る。

【図６】自動車の盗難等感知器の他の従来例を示す断面
図である。

【図７】自動車の盗難等感知器のさらに他の従来例を示
す側面図である。

【符号の説明】

１１ 金属片 １３ 圧電素子 １４ おもり １５ シリコン系ゴムコーティング ２２ ローパスフィルタ ２３ バンドパスフィルタ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に取り付けられる金属片に片面が貼
   着されて、電気軸と平行な面内ずれにより電圧を発生す
   る圧電素子と、該圧電素子の上記車体側とは反対側の面
   に貼着されたおもりと、上記圧電素子およびおもりの表
   面の全部または一部を覆うシリコン系ゴムコーティング
   と、上記車体の揺動にもとづいて、上記圧電素子が出力
   する１〜５Ｈｚの超低周波域の信号を取り出すローパス
   フィルタと、上記車体の振動にもとづいて、上記圧電素
   子が出力する３０〜５０Ｈｚを中心とする低周波域の信
   号を取り出すバンドパスフィルタとを備えた自動車の盗
   難等感知器。