JPH0546426B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ 本発明は高層建築物の構築する際の揚重計画に
特徴をもつ高層建築物の構築方法に関する。

≪従来の技術≫ 室内内装等の仕上材は、損傷しやすいため鉄骨
等の大重量物と同様に取扱うことができず、その
ため揚重機を用いて鉄骨等の構造材と併せて吊上
げ揚重することが困難であるとともに、上階スラ
ブにより形成される天井が構築される前に搬送し
てしまうと、天候によつて雨曝しとなる惧れがあ
るので上階スラブの完成を待つて搬入する必要が
あつた。

したがつて、従来の高層建築物においては、各
階層の仕上に必要な仕上材は、床スラブ、上階ス
ラブ、間仕切り壁等の建ち上げ後に、構造材の揚
重施設とは別途に専用エレベータ等を設けて、人
手により各階へ搬送され、エレベータの搬出入口
から各階の特定位置への移送についても小運搬手
段を用いて人手によつて行われていた。

≪発明が解決しようとする問題点≫ しかしながら、専用エレベータ及び小運搬手段
を用いての人手による搬送には、仕上資料の荷
姿、重量に制約が伴い、さらには、エレベータか
ら先の移送においても人手に頼るため多大な労力
と時間が必要とされていた。

また、上層階の上階スラブの完成を待つて仕上
材を搬入しなければならなかつたため、上階スラ
ブを構築と内部仕上の施工とを併行して行うこと
ができなかつた。

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであつ
てその目的は、別途に専用エレベータや小運搬手
段を設けることなく、揚重機を用いて内部仕上げ
材を一括して搬入することにより、設備及び人員
の省略を図り、なおかつ上層階の上階スラブの構
築を待たずに内部仕上材を搬入することによりス
ラブの構築と内部仕上の施工とを併行して行なえ
るようにして、時間的且つ経済的に高層建築物の
構築効率を高め得る高層建築物の構築方法を提供
するにある。

≪問題点を解決するための手段≫ 上記目的を達成するために本発明は上下方向に
揚重する揚重機を用いて構造材を揚重し、一階層
毎に床スラブなどを施工し、当該作業を下層階か
ら上層階へ順次繰返して高層建築物を構築してい
く方法において、無支保工で構築される床スラブ
を用い、構築中の階層の該床スラブ構築後であつ
て且つ該階層よりも上層階の上階スラブ構築前
に、予め梱包された該階層の施工に必要とされる
仕上資材を上記揚重機で上方から該床スラブ上に
吊込み、その後上記上層階の上階スラブを構築す
るようにしたものである。

≪実施例≫ 以下、本発明の好適な実施例について図面を参
照にして詳細に説明する。

第１図は、本発明に係る構築方法の第１の実施
例を示した図であり、集合住宅１の地上12階部分
２、13階部分３及び14階部分６の構築の様子を表
したものである。

集合住宅１は各階層が複数の躯体４，４により
構成される高層建築物であり、下層階から上層階
へ一階層毎に躯体４，４を順次繰返し施工して構
築される。また、鉄骨、PC部材等の構造材は上
下方向に揚重する揚重機であるタワークレーン
（図示しない）で揚重される。

躯体４は、床スラブ７、天井スラブを兼ねる上
層階の上階スラブ７′、間仕切り壁（図示しない）
等で囲まれた構造になつており集合住宅１の一住
戸を形成する。

床スラブ７、上階スラブ７′は、折版上にコン
クリートを打設するか、或いはPC床版上にコン
クリートを打設するかといつた、打込み型枠方式
（合成スラブ等）により無支保工で構築される。

上記のような集合住宅１の構築において本発明
に係る構築方法の工程手順を13階部分３の構築を
例に説明する。

いま、13階部分３の床スラブ７の構築が終了し
その階下である12階部分２の構築が完了し、次い
で13階部分３の構築に移行した時点とする。

タワークレーンにより13階部分の階層構築に必
要な構造材が揚重され、13階部分３の階層構築工
事を行う。その際、天井スラブを兼ねる上層階の
上階スラブ７′を構築する前に、予め内部仕上材
を梱包したコンテナ５をタワークレーンを用いて
構造材の揚重と併せて13階３の床スラブ７上に搬
入する。

このコンテナ５は、各階層の施工に必要とされ
る仕上材を、資材の種類毎にではなく、例えば一
住戸分といつた適当な単位平面毎に梱包したもの
であり、損傷しやすい内部仕上材を鉄骨やPC部
材といつた大重量の構造材と同様に取扱えるよう
にするとともに、天候により施工順序を変更する
場合であつても屋外に放置できるようにするた
め、仕上材を内部に一括して収納し保護するもの
である。

この梱包により従来不可能であつた構造材の揚
重と併せての仕上材の搬入が可能となり、また天
井スラブ８の構築前であり上方が塞がれていない
ため上下方向に揚重するタワークレーンを用いる
ことができる。

したがつて、別途に専用エレベータ等の搬送設
備を設ける必要がなく、重量の制限もないので一
括して搬入することができる。また、上方よりコ
ンテナ５を搬入するため階層を形成する各躯体４
等内において適宜位置決めをすることができ、搬
入後における小運搬手段を用いての人手による移
送が不要となる。さらには、無支保工による工事
なので搬入されたコンテナ５がその後の躯体工事
に支障を来す惧れがない。

次いで、13階部分３の間仕切り壁等の構築工事
及び各躯体４等へのコンテナ５の搬入後14階部分
６の床スラブを兼ねる上階スラブ７′を構築し13
階部分３の躯体工事を完了させ、14階部分６の躯
体構築工事に移行する。この時点において、13階
部分３の各躯体４等毎の施工に必要な仕上材は既
に搬入されているため13階３部分の完成を待たず
に仕上工事を開始することができ、階層構築工事
と仕上工事を併行して行うことができる。

以降同様の工程手順を順次繰返して行う。すな
わち、14階部分６の階層構築に必要な構造材の揚
重に併せて、コンテナ５′に収納された14階部分
６の各躯体の仕上工事に必要な仕上材を、14階部
分６の床スラブである上階スラブ７′上に搬入す
る。

第２図は各階層を形成する各躯体４，４が、
PC部材で構成される場合にかかる本発明の第２
の実施例を示した図である。

各躯体４，４は、構造部材８、PC柱９、PC、
梁１０及び戸境壁（図示しない）等で構成され
る。この場合において、前述の打込み型枠方式の
場合と異なり各躯体の構築工事が各々独立して進
行するため、その各躯体４等の建ち上がりに合わ
せてコンテナ５′の搬入を行う必要がある。

すなわち、14階部分６の床スラブを兼ねる13階
部分３の上階スラブ７′構築後、14階部分６の階
層構築工事に移行し、14階部分６の構築に必要な
構造部材８等が揚重され、PC柱９及びPC戸境壁
等を所定の個所に配設しながら14階部分６の各躯
体４を各々独立して構築する時、各躯体４のPC
梁１０等から形成される天井スラブ（15階部分の
床スラブを兼ねる）が構築される前に各躯体４内
にコンテナ５′を搬入する。そしてコンテナ５を
開封し、仕上工事に着工する。

次いで、叙述同様の工程手順によつて順次上層
階へ着手移行する。

≪効果≫ 以上詳細に説明したように、本発明に係る高層
建築物の構築方法によれば、従来不可能であつた
揚重機用いての構造材の揚重と併せての仕上材の
搬入を可能とすることにより、別途に専用エレベ
ータ等の搬送設備を設けることを不要とし、重量
の制限もないので一括して搬入することができ
る。

さらには、上方より吊下げる方法で搬入するた
め階層を形成する各躯体内において適宜位置決め
をすることができ、搬入後における小運搬手段を
用いての人手による移送を不要とすることができ
る。

したがつて、設備及び人員の省略を図ることが
できるとともに、上層階の上階スラブの構築を待
たずに内部仕上材を搬入することにより、階層の
構築と内部仕上の施工とを併行して行なえるので
時間的に且つ経済的に高層建築物の構築効率を高
め得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１の実施例に係る工程順序を説明す
るための側面図、第２図は第２の実施例に係る工
程順序を示した側面図である。 １……集合住宅、２……12階、３……13階、４
……躯体、５……コンテナ、６……14階部分、７
……床スラブ、８……構造部材、９……PC柱、
１０……PC梁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上下方向に揚重する揚重機を用いて構造材を
   揚重し、一階層毎に床スラブなどを施工し、当該
   作業を下層階から上層階へ順次繰返して高層建築
   物を構築していく方法において、無支保工で構築
   される床スラブを用い、構築中の階層の該床スラ
   ブ構築後であつて且つ該階層よりも上層階の上階
   スラブ構築前に、予め梱包された該階層の施工に
   必要とされる仕上資材を上記揚重機で上方から該
   床スラブ上に吊込み、その後上記上層階の上階ス
   ラブを構築するようにしたことを特徴とする高層
   建築物の構築方法。