JPH0546329Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、車載用ラジオ受信機などのために用
いられるアンテナに関する。

背景技術 第４図は、典型的な先行技術の車載用ホイツプ
アンテナ１の伸長時の断面図である。このホイツ
プアンテナ１は、自動車の車体２のたとえばリア
トランク付近に取付けられて、ラジオ放送の受信
用に用いられる。このホイツプアンテナ１のアン
テナエレメント３は、直円筒状の第１導体４と、
この第１導体４内に望遠鏡状に伸縮可能に形成さ
れる第２導体５とを含んで構成される。このアン
テナエレメント３は、車体２に形成された取付孔
１４に取付けられた収納筒６内に収納される。収
納筒６は、たとえば樹脂などの電気絶縁性材料か
ら成る内筒７と、導電性材料から成る外筒８とに
よつて構成される。

第４図に示されるように、アンテナエレメント
３が伸長された状態で、第１導体４の下端部に向
けて収納筒６の内筒７および外筒８を連通して、
接続孔９が形成されており、この接続孔９内にお
いて内筒７には第１導体４に摺接する接触片１０
が固定される。この接触片１０には、同軸ケーブ
ル１１の内導体１２が接続され、これによつてア
ンテナエレメント３と内導体１２とが電気的に接
続される。同軸ケーブル１１の外導体１３は、外
筒８に接続されており、この外筒８は車体２に接
続され、こうして外導体１３は車体２に接地され
る。

考案が解決すべき問題点 上述のようにホイツプアンテナ１は、たとえば
車体２のリアトランク付近に立設される。したが
つてたとえばリアフエンダの幅などの車体２の形
状による制約が大きく、収納筒６を取付けるため
の取付孔１４はあまり大きくすることはできな
い。またアンテナエレメント３の外径は、走行中
の風圧に対抗するためにあまり小さくすることは
できない。したがつて電気絶縁性材料から成る内
筒７が薄くなつて、第１導体４と外筒８との間隔
が小さくなつてしまう。

第５図は、上述のホイツプアンテナ１が周波数
変調放送の受信に用いられるときの等価回路図で
ある。ここでアンテナエレメント３において、収
納筒６の上端部から突出している区間l1の特性イ
ンピーダンスをＺ１とし、収納筒６の上端部から
接触片１０、すなわち給電点Ｐまでの区間l2の特
性インピーダンスをＺ２とし、また同軸ケーブル
１１による区間l3の特性インピーダンスをＺ３と
すると、区間l1の特性インピーダンスＺ１は、区
間l3の特性インピーダンスＺ３とほぼ等しく、た
とえば50Ω程度である。これに対し区間l2の特性
インピーダンスＺ２は、第１導体４の外径をｄと
し、外筒８の内径をＤとし、内径７の比誘電率εr
とすると、 Ｚ２＝138／√εrlog₁₀Ｄ／ｄ［Ω］ ……(1) で表される。

一方、上述のように車体２の形状による制約か
ら、第１導体４の外径ｄと外筒８の内径Ｄとには
あまり差が生じず、したがつて第１式から明らか
なように、区間l2の特性インピーダンスＺ２が低
下してしまい、区間l1すなわちアンテナエレメン
ト３と、区間l3すなわち同軸ケーブル１１とのイ
ンピーダンスマツチングが悪化して、伝送損失が
増加してしまる。

第６図は、ホイツプアンテナ１が振幅変調放送
の受信に用いられるときの等価回路図である。ア
ンテナエレメント３の長さは、波長の短い周波数
変調放送に合せて形成されており、このため振幅
変調放送の波長に対してはきわめて短く、したが
つて放射抵抗はほとんどなくなり、特性インピー
ダンスＺ１は容量性となる。

区間l1の容量をC1とし、区間l2の容量をC2と
し、区間l3の容量をC3とするとき、アンテナエレ
メント３に誘起された電圧V1と、同軸ケーブル
１１を介して得られる受電端における電圧V2と
の関係は下式で示される。

V2＝C1／C1＋C2＋C3V1 ……(2) ここで区間l1の容量C1と、区間l3の容量C3とは
一定であり、受電端電圧V2を上昇させるために
は、区間l2の容量C2を小さくすればよい。しかし
ながら区間l2の容量C2は、真空中の比誘電率をε₀
とすると C2＝2πε₀εr／log_eＤ／２／ｄ／２・l2［Ｆ］……(
3) で表され、また上述のように外筒８の内径Ｄと第
１導体４の外径ｄとの比はあまり大きくすること
はできず、したがつて受電端電圧V2をあまり大
きくすることはできない。

本考案の目的は、車体形状による制約に適合し
つつ、良好なインピーダンスマツチングを行うこ
とができ、伝送損失の低減された車載用アンテナ
を提供することである。

問題点を解決するための手段 本考案は、自動車の車体に接続されて固定され
る収納筒と、 前記収納筒内で、該収納筒と電気的に絶縁され
て、該収納筒から上方へ望遠鏡状に伸縮可能であ
り、伸長した状態で、該収納筒から突出する突出
部と、該収納筒内に位置する下端部とにより構成
されるアンテナエレメントと、 前記アンテナエレメントの下端部に設けられた
フランジと、 前記アンテナエレメントの伸長時に前記フラン
ジと接触する接触片と、 前記アンテナエレメントが収納筒から上方に引
出されて伸長された状態で、前記フランジおよび
接触片を介して該アンテナエレメントの下端部と
電気的に接続されるケーブルとを含む車載用アン
テナであつて、 アンテナエレメントの下端部の外径を前記突出
部の外径よりも小さく形成するとともに、 電気絶縁性材料から成り、前記突出部の外径と
同一の外径になるように前記下端部の周囲に充填
されたモールド部とを備え、 このアンテナエレメントの下端部の特性インピ
ーダンスを、アンテナエレメントおよびケーブル
の特性インピーダンスにほぼ等しくすることを特
徴とする車載用アンテナである。

作 用 本考案に従えば、アンテナエレメントは自動車
の車体に接続されて固定される収納筒内に収納さ
れる。アンテナエレメントと収納筒とは電気的に
絶縁されており、アンテナエレメントは収納筒か
ら上方へ望遠鏡状に伸縮可能に構成される。アン
テナエレメントは収納筒から上方に引出されて伸
長された状態では、その下端部がケーブルと電気
的に接続される。

このため、収納筒側には接触片が設けられてお
り、これに対応して前記アンテナエレメントの下
端部にはフランジが取付けられている。前記アン
テナエレメントは、その伸長時において収納筒か
ら突出する突出部と、この突出部の外径よりも小
さい外径に形成される下端部と、この下端部に取
付けられるフランジとから構成されている。この
ようにして、アンテナエレメントが収納筒から伸
長されると、フランジが接触片と接触し、アンテ
ナとして作用する前記突出部と、ケーブルとが、
下端部およびフランジならびに接触片を介して電
気的に接続されることになる。

また、前記下端部の周囲には、前記突出部の外
径と同一の外径となるようにモールド部が形成さ
れており、したがつてアンテナエレメントの収納
筒からの伸縮動作を円滑に行うことができる。

さらにまた、リアフエンダなどの車体の形状に
対応して収納筒の内径を小さく形成しても、これ
に対応してアンテナエレメントの下端部の外径も
小さくなつているので、また前記下端部の周囲が
電気絶縁性材料から成るモールド部でモールドさ
れているので、前記第１式から理解されるよう
に、前記下端部の外径と、収納筒の内径と、モー
ルド部の誘電率とを適宜選択することによつて、
アンテナエレメントおよびケーブルの特性インピ
ーダンスと、この収納筒部分における特性インピ
ーダンスとをほぼ等しく形成することができる。

したがつてたとえばこのアンテナエレメントが
周波数変調放送の受信に用いられるときには、ア
ンテナエレメントとケーブルとのインピーダンス
マツチングを良好に行うことができ、伝送損失を
低減することができる。またたとえばこのアンテ
ナエレメントが振幅変調放送の受信に用いられる
ときには、前記部分の容量を小さくすることがで
き、したがつて受電端電圧を上昇することができ
る。さらにまた車体形状の制約にも適合すること
ができる。

実施例 第１図は本考案の一実施例の車載用ホイツプア
ンテナ２１の伸長時の断面図であり、第２図はそ
のホイツプアンテナ２１の縮小時の分解斜視図で
あり、第３図は第１図の切断面線−から見た
断面図である。このホイツプアンテナ２１は、自
動車の車体２２のたとえばリアトランク付近に立
設される。このホイツプアンテナ２１のアンテナ
エレメント２３は、直円筒状の第１導体２４と、
この第１導体２４内に望遠鏡状に伸縮可能に形成
される第２導体２５とを含んで構成される。この
アンテナエレメント２３は、縮小した状態では、
車体２２に取付けられる収納筒２６内に収納され
る。

第１図に示されるように、アンテナエレメント
２３が伸長した状態で、収納筒２６内に位置する
第１導体２４の下端部２４ａの外径ｄ１は、収納
筒２６から突出している部分２４ｂの外径よりも
小さく形成される。第１導体２４の下端部２４ａ
の先端には、拡径されてフランジ２４ｃが形成さ
れる。このフランジ２４ｃの厚さｄ２は、ラジオ
放送の波長に比べて無視することができる。第１
導体２４の下端部２４ａの外周は、前記突出部分
２４ｂと同一の外径ｄ３となるように、樹脂３５
によつてモールドされる。

収納筒２６は、たとえば樹脂などの電気絶縁性
材料から成る内筒２７と、導電性材料から成る外
筒２８とを含んで構成される。アンテナエレメン
ト２３が伸長された状態で、前記フランジ２４ｃ
に向けて、外筒２８および内筒２７を連通して接
続孔２９が形成されており、この接続孔２９には
フランジ２４ｃに接触する接触片３０が固定され
る。接触片３０には同軸ケーブル３１の内導体３
２が接続され、こうしてアンテナエレメント２３
と内導体３２とは電気的に接続される。同軸ケー
ブル３１の外導体３３は収納筒２６の外筒２８に
接続され、この外筒２８は後述するようにして車
体２２と電気的に接続され、こうして外導体３３
は車体２２に接地される。接触片３０が設けられ
る給電点Ｐ付近は、樹脂３６によつて補強され
る。

収納筒２６の上端部には、段差面３７が形成さ
れており、この段差面３７から上方には外ねじ３
８が形成される。このように外ねじ３８の形成さ
れた収納筒２６の上端部には、金属製のリング３
９と接続部材４０とが挿通される。このように接
続部材４０が挿通された収納筒２６の上端部は、
車体２２に形成された取付孔４１内を挿通し、車
体２２表面から突出する。収納筒２６の車体２２
表面から突出した部分には、樹脂製の台座４２が
嵌込まれた後、ナツト４３が螺着される。接続部
材４０の車体２２側の端部は鋸歯状に形成されて
おり、したがつて前述のように外筒２８は車体２
２に電気的に接続され、同軸ケーブル３１の外導
体３３が接地されるとともに、収納筒２６が車体
２２に確実に取付けられる。

上述のように構成されたホイツプアンテナ２１
において、アンテナエレメント２３の収納筒２６
の上端部から突出した部分の区間をl1とし、収納
筒２６の上端部から給電点Ｐまでの区間をl2と
し、同軸ケーブル３１を区間l3とするとき、第１
導体２４の下端部２４ａの外径ｄ１は、収納筒２
６の外筒２８の内径Ｄ１よりも充分小さくするこ
とができ、したがつて前述の第１式から、区間l2
の特性インピーダンスＺ２を大きくすることがで
きる。

したがつて周波数変調放送受信時には、この第
１式から、区間l2の特性インピーダンスＺ２が、
区間l1および区間l3の特性インピーダンスＺ１，
Ｚ３とほぼ等しくなるように、外筒２８の内径Ｄ
１と下端部２４ａの外径ｄ１との比を選ぶことに
よつて、良好なインピーダンスマツチングを行う
ことができ、伝送損失を低減することができる。

また振幅変調放送受信時には、上述のように外
筒２８の内径Ｄ１と下端部２４ａの外径ｄ１との
比を大きくできることから、前述の第３式および
第２式で示されるように、区間l2の容量C2を小さ
くすることができ、受電端電圧V2を大きくする
ことができる。さらにまた車体２２の形状による
制約にも適合することができるとともに、取付車
種を選ばない。

上述の実施例では、アンテナエレメント２３の
伸縮動作は手動で行われる構成としたけれども、
本考案の他の実施例として第１導体２４の下端部
２４ａを直円筒状に形成し、その内部に樹脂など
の索条の一端部を挿通して第２導体２５の下端部
に接続し、その索条の他端部をモータなどで駆動
することによつて、このアンテナエレメント２３
の伸縮動作が行われるようにしてもよい。またこ
のように第一導体２４の下端部２４ａを直円筒状
に形成することによつて、第一導体２４内に侵入
した雨水を排出することができ、インピーダンス
マツチングをさらに良好に行うことができる。

効 果 以上のように本考案によれば、アンテナエレメ
ントの伸長時において、収納筒から突出する突出
部の外径よりも収納筒内に位置する下端部の外径
を小さく形成したので、車体形状の制約に適合し
つつ、この部分の特性インピーダンスをアンテナ
エレメントおよびケーブルの特性インピーダンス
にほぼ等しくすることができる。

したがつてたとえばこのアンテナエレメントが
周波数変調放送の受信に用いられるときには、ア
ンテナエレメントとケーブルとのインピーダンス
マツチングを良好に行うことができ、伝送損失を
低減することができる。またたとえばこのアンテ
ナエレメントが振幅変調放送の受信に用いられる
ときには、前記部分の容量を小さくすることがで
き、したがつて受電端電圧を上昇することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のホイツプアンテナ
２１の伸長時の断面図、第２図はホイツプアンテ
ナ２１の縮小時の分解斜視図、第３図は第１図の
切断面線−から見た断面図、第４図は先行技
術のホイツプアンテナ１の伸長時の断面図、第５
図はホイツプアンテナ１，２１が周波数変調放送
の受信に用いられるときの等価回路図、第６図は
ホイツプアンテナ１，２１が振幅変調放送の受信
に用いられるときの等価回路図である。 ２１……ホイツプアンテナ、２２……車体、２
３……アンテナエレメント、２４，２５……導
体、２６……収納筒、２７……内筒、２８……外
筒、３０……接触片、３１……同軸ケーブル、４
１……取付孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車の車体２２に接続されて固定される収納
   筒２６と、 前記収納筒２６内で、該収納筒２６と電気的に
   絶縁されて、該収納筒２６から上方へ望遠鏡状に
   伸縮可能であり、伸長した状態で、該収納筒２６
   から突出する突出部２４ｂ，２５と、該収納筒２
   ６内に位置する下端部２４ａとにより構成される
   アンテナエレメント２３と、 前記アンテナエレメント２３の下端部２４ａに
   設けられたフランジ２４ｃと、 前記アンテナエレメント２３の伸長時に前記フ
   ランジ２４ｃと接触する接触片３０と、 前記アンテナエレメント２３が収納筒２６から
   上方に引出されて伸長された状態で、前記フラン
   ジ２４ｃおよび接触片３０を介して該アンテナエ
   レメント２３の下端部２４ａと電気的に接続され
   るケーブル３１とを含む車載用アンテナであつ
   て、 アンテナエレメント２３の下端部２４ａの外径
   ｄ１を前記突出部２４ｂの外径ｄ３よりも小さく
   形成するとともに、 電気絶縁性材料から成り、前記突出部２４ｂの
   外径ｄ３と同一の外径になるように前記下端部２
   ４ａの周囲に充填されたモールド部３５とを備
   え、 このアンテナエレメント２３の下端部２４ａの
   特性インピーダンスを、アンテナエレメント２３
   およびケーブル３１の特性インピーダンスにほぼ
   等しくすることを特徴とする車載用アンテナ。