JPH054608Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、自動変速機（以下ATと略す）の
シヨツク低減のための油圧制御装置に関する。従
来のATの油圧制御装置としては、例えば第４図
に示すようなものがある。この種のATの油圧制
御装置としては、たとえば第４図に示すようなも
のがある。これは摩擦係合装置を係合するための
油路の一部を、アキユムレータ装置１０の受圧室
４に導くようになつている。アキユムレータ装置
１０はシリンダ１内にゴム等で形成されたシール
部材２を周囲に有するピストン３をかんそうさせ
て成り、シリンダ１とピストン３から成る受圧室
４が図外の摩擦係合装置を係合するための油圧を
送る油路７に継続されている。ピストン３の受圧
室４と相対する側に形成された室部５はドレーン
されており、且つ該室部５にはピストン３とシリ
ンダ１の間で両者の相対変位に対して力を発生す
るリターンスプリング６が配設されている。摩擦
係合装置を係合すべく発生された油圧は、受圧室
４に誘導され、リターンスプリング６のばね力に
抗してピストン３を押しながら徐々に立上がるた
め、該摩擦係合装置も徐々に締結される。この作
用によつて摩擦係合装置を係合する前後で回転か
ら停止にうつる部分の加速度が小さくなり、その
慣性力によつて発生するAT出力軸トルク変動が
小さくなるため、いわゆるセレクトシヨツクを軽
減することがきる。しかし、この方法では油圧を
立上げる速さを小さくすることによりシヨツク軽
減作用を行うため、回転から静止にうつる部分の
加速度が小さくなり、すなわち静止するのに多く
の時間を要することになり、いわゆるタイムラグ
が長くなつて運転者に不快感を与えるという問題
点があつた。そこで本出願人は先に、特願昭60−
197465で摩擦係合装置が係合される途中において
その係合油圧が一時的に低下するシステムを提案
した。この方法ではたとえば第５図に示すよう
に、インヒビタスイツチ１４からのセレクトを示
す電圧変化を制御回路１３に与えると、そこから
適当な時間（t₁秒）後に適当な時間（ｄ秒間）だ
け電磁弁１１を開放するためのパルスが発生され
る。電磁弁１１は摩擦係合装置を係合する圧力が
発生する油路１７に設けられたドレーンポート１
８を通常とじているため、パルスが与えられると
ドレーンポート１８が開かれ、係合油圧は一時的
に低下することになる。この作用により、AT出
力時トルクを第６図のように立上げることができ
るため、大幅にシヨツクを軽減することが可能と
なつた。またこの場合、人間はタイムラグをt₁で
感じるので、タイムラグの悪化も事実上発生しな
い。

《考案が解決しようとする問題点》 しかしながら、このような先願のATの油圧制
御装置にあつては、セレクトバーに連動したイン
ヒビタスイツチ１４の信号によりセレクトを検知
しているため、Ｎレンジを維持した時間の長短に
よつて油路に残留する油の量が異なることによ
り、インヒビタスイツチONから実際に摩擦係合
装置を係合するための油圧が立上がり始めるまで
の時間がまちまちになるため、（立上がり始めて
からの油圧の波形は同一）電磁弁１１が作動する
タイミングがＮレンジを維持した時間により変化
する。従つて充分なシヨツクの低減ができないと
いう問題点があつた。

《問題点を解決するための手段》 この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、摩擦係合装置への供給油路中
にドレンポートに開放又は遮断する制御弁を設け
て、制御手段により摩擦係合装置の係合過程で制
御弁を開放させて係合油圧を一時的に低下させる
自動変速機の油圧制御装置において、上記供給油
路にこの油圧状態を検出する油圧検出手段を設
け、この検出信号を制御手段に入力して、あらか
じめ設定した油圧になつた時点を基準にして制御
弁を開放させるよう構成することで、摩擦係合装
置への供給圧が所定の大きさになつた時点を検出
して制御弁で供給油路をドレンポートへ連通し供
給油圧を一時的に低下させるようにした。

《実施例》 以下、この考案を図面に基づいて説明する。第
１図は、この考案の一実施例を示す図である。ま
ず構成を説明すると、油路１０１には、Ｎレンジ
をＤレンジにセレクトしたときに締結される摩擦
係合装置を係合するための油圧が発生する。油路
１０１からは油路１０２が分岐し、油路１０２の
油路１０１と相対する側はドレンされている。ま
た、油路１０２の途中には、電磁弁１０３とオリ
フイス１０４が配置されている。（順序はこの限
りでない）一方油路１０１の一部には圧力スイツ
チ１０５が配設され、圧力スイツチ１０５の出力
電圧は電磁弁１０３の制御回路１０６に入力され
ている。圧力スイツチ１０５は油路１０１の圧力
を受けてスイツチが閉じるようになつている。制
御回路１０６は電磁弁１０３は接続され、圧力ス
イツチからの信号を受けてその規定時間τ後に規
定時間ｄの幅のパルスを出力し、その間だけ電磁
弁１０３を開放するようになつている。

次に作用を説明する。セレクトレバーをＮレン
ジからＤレンジにセレクトすると、油路１０１に
は摩擦係合装置を係合するために油圧が発生す
る。この油圧は圧力スイツチ１０５にも伝えられ
るため、この値が規定値以上になると圧力スイツ
チ１０５は閉じ、12Vの電圧が制御回路１０６に
送られる。この電圧をトリガとして、そのτ秒後
にｄ秒だけ電磁弁１０３を開くように、制御回路
１０６が信号を発生する。これによつて、油路１
０１内の油圧が一時的に低下するため、セレクト
シヨツクを低下させることができる。しかも圧力
スイツチ１０５によつて油路１０１内の油圧を低
下させるようにしているため、第２図のt₁，t₀の
大小にかかわらず、油圧を調整できる。従つてＮ
レンジに維持した時間によらず、常に一定のタイ
ミングで油路１０１の油圧を低下させることがで
きるため、安定したシヨツクの低減が可能であ
る。

第３図には、他の実施例を示す。この実施例
は、ＮレンジからＤレンジにセレクトしたとき以
外に、車両走行時にも油路１０１内に変速による
圧力の上昇、降下が発生する場合の例である。こ
の場合にはガバナ圧を発生する油路１１１に設け
られた圧力スイツチ１１５を油路１０１に設けら
れた圧力スイツチ１０５と直列に接続し、制御回
路１０６に入力する。ただし圧力スイツチ１１５
はガバナ圧ゼロ時に閉じており、少しでもガバナ
圧が上昇したときは開くようになつており、車両
走行時（ガバナ圧上昇時）には制御回路１０６は
作動しない。従つてセレクト時のみ油圧が低下す
るため、車両走行時に変速によつて油圧が低下
し、摩擦係合装置がすべる不具合がなくなる。

《考案の効果》 以上説明してきたように、この考案によれば、
その構成を圧力検出手段によつて変速を検出する
ようにしたため、Ｎレンジを維持した時間によら
ず、常に一定のタイミングでシヨツク低減装置を
作動させることができ、安定したセレクトシヨツ
ク低減が行えるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のATの油圧制御装置の一実施
例を示す図、第２図は油圧特性を示す図、第３図
は他の実施例を示す図、第４図は、従来のATの
油圧制御装置を示す図、第５図は先願のATの油
圧制御装置を示す図、第６図は出力軸トルクの特
性図である。 １０１，１０２，１１１……油路、１０３……
電磁弁、１０４……オリフイス、１０５，１１５
……圧力スイツチ、１１６……制御回路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 変速状態を切り換える摩擦係合装置に油圧を供
   給する油路を、ドレンポートに対して開放又は遮
   断すべく開閉作動する制御弁と、 該制御弁に対して、前記摩擦係合装置の係合過
   程で該制御弁を開放させて係合油圧を一時的に低
   下させる制御信号を出力する制御手段と、 を有する自動変速機の油圧制御装置において、 摩擦係合装置の前記油路に、この油路内の油圧
   状態を検出する油圧検出手段を設け、 該油圧検出手段からの検出信号を前記制御手段
   に入力し、 前記制御手段が、前記油圧検出手段があらかじ
   め設定した所定の油圧を検出した時点を基準にし
   て前記制御弁を開放させるようにしたことを特徴
   とする自動変速機の油圧制御装置。