JPH054440A - 記録方法及び装置 - Google Patents

記録方法及び装置

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JPH054440A
JPH054440A JP3216361A JP21636191A JPH054440A JP H054440 A JPH054440 A JP H054440A JP 3216361 A JP3216361 A JP 3216361A JP 21636191 A JP21636191 A JP 21636191A JP H054440 A JPH054440 A JP H054440A
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Application number
JP3216361A
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English (en)
Inventor
Hidenori Tomono
英紀 友野
Yasuo Katano
泰男 片野
Akira Oyamaguchi
章 大山口
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、加熱状態でかつ水などの接触材料
(B)と接触させた場合に後退接触角が低くなる性質を
もつ膜を表面に有する記録体(A)に、選択的又は選択
的かつ可逆的に潜像を形成させ、これを顕像化せしめた
後、普通紙等へ転写させて、特に高密度画像が得られる
記録方法及び装置を提供するものである。 【構成】 (1)記録体(A)表面にドット間がつまっ
た潜像を形成させこれを記録液(着色剤)溶液又は分散
液)で現像し、連続したドットではインク滴が切れない
速度で記録体(A)を回転させ、被転写体である普通紙
等に接触転写させるか、又は(2)記録体(A)表面に
通常の潜像ドット間隔を維持してインク液で現像し、相
対的に普通紙の移動速度より記録体(A)の移動速度又
は周速の方が速い速度にしてインク滴を普通紙等に非接
触転写させる。このような手段が採用されることにより
高密度画像が得られ、またベタ画像はむらのないものと
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な記録方法及び装置
に関し、詳しくは、表面が特定性状を示す記録体のその
表面に、選択的に又は選択的かつ可逆的に、加熱温度に
応じた後退接触角を示す領域が形成されるようにし、こ
の領域(潜像)に記録液(着色剤溶液又は分散液)を供給
して顕像化せしめ、これを普通紙等(記録紙等)に良好な
状態で接触転写又は非接触転写せしめるようにした記録
方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】表面を液体付着性領域と非液体付着性領
域とに区分けして画像形成に供するようにした手段の代
表的なものとしては平版印刷版を用いたオフセット印刷
方式があげられる。だが、このオフセット印刷方式は原
版からの製版工程及び刷版(印刷版)からの印刷工程を一
つの装置内に組込むことが困難であり、製版印刷の装置
の小型化は勢い困難なものとなっている。例えば、比較
的小型化されている事務用オフセット製版印刷機におい
ても、製版装置と印刷装置とは別個になっているのが普
通である。
【0003】このようなオフセット印刷方式の欠陥を解
消することを意図して、画像情報に応じた液体付着性領
域及び非液体付着性領域が形成でき、しかも、繰返し使
用が可能な(可逆性を有する)記録方法ないし装置が提案
されるようになってきている。その幾つかをあげれば次
のとおりである。 (1) 水性現像方式 疎水性の光導電体層に外部より電荷を与えた後、露光し
て光導電体層表面に疎水性部及び親水性部を有するパタ
ーンを形成し、親水性部のみに水性現像剤を付着させて
紙などに転写する(特公昭40-18992号、特公昭40-18993
号、特公昭44-9512号、特開昭63-264392号などの公
報)。 (2) フォトクロミック材料の光化学反応を利用した方式 スピロピラン、アゾ色素などの材料を含有した層に紫外
線を照射し、光化学反応により、これらフォトクロミッ
ク化合物を親水化する〔例えば「高分子論文集」第37巻4
号、287頁(1980)〕。 (3) 内部偏倚力の作用を利用した方式 不定形状態と結晶性状態とを物理的変化により形成し、
液体インクの付着・非付着領域を構成する(特公昭54-41
902号公報)。
【0004】前記(1)の方式によれば、水性インクを紙
などに転写した後、除電により親水性部は消去され、別
の画像情報の記録が可能となる。即ち、一つの原版(光
導電体)で繰り返し使用が可能となる。だが、この方式
は電子写真プロセスを基本としているため帯電→露光→
現像→転写→除電という長いプロセスを必要とし、装置
の小型化やコストの低減、メンテナンスフリー化が困難
であるといった欠点をもっている。前記(2)の方式によ
れば、紫外線と可視光との照射を選択的にかえることに
よって親水性、疎水性を自由かつ可逆的に制御できるも
のの、量子効率が悪いため反応時間が非常に長くて記録
速度が遅く、また安定性に欠けるといった欠点をもって
おり、いまだ実用レベルには達していないのが実情であ
る。更に、前記(3)の方式によれば、そこで使用され
る情報記録部材は、記録後のものでは安定性があるが、
記録前のものでは温度変化により物理的構造変化が生じ
るおそれがあることから保存性に問題が残されている。
これに加えて、記録された情報パターンの消去には熱パ
ルスを与え、次いで急冷する手段が採用されることか
ら、繰り返しの画像形成は繁雑さをまねがれ得ないとい
った不都合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加熱
状態でかつ接触材料(B)と接触させた場合に後退接触角
が低くなる表面を有する部材(記録体(A))のその表面
に、容易な手段で選択的に又は選択的かつ可逆的に、所
望パターン領域(潜像)を形成させ、これを顕像化せしめ
普通紙等へ接触又は非接触転写させる記録方法及び装置
を提供するものである。本発明の他の目的は、所望パタ
ーン領域の形成、消去、顕像化、転写等すべての工程に
おいて、保存性並びに安定性にすぐれた記録体(A)が
使用されることによって、可逆的に複数回の前記工程が
行ないうる記録方法及び装置を提供するものである。本
発明の更に他の目的は、小型化、低コスト化、メンテナ
ンスフリー化が可能で、特に濃度むらがなく、しかも高
濃度画像が得られる新規な記録方法及び装置を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、下記記
録体(A)を下記接触材料(B)と接触させた状態で選択的に
加熱することにより又は記録体(A)の表面を選択的に加
熱した状態で接触材料(B)と接触させることにより記録
体(A)の表面に加熱温度に応じた後退接触角を示す潜像
領域を形成せしめる接触材料(B)を記録体(A)表面に供給
し、記録信号に従って記録体(A)の表面を加熱して潜像
を形成せしめ、次いで、その潜像に記録液(着色剤溶液
又は分散液)を供給して顕像化した後、可視像を記録紙
等に転写する記録方法において、記録体(A)の移動又は
回転方向における潜像ドットの先端どうし間の距離をd
とした場合、記録体(A)の移動又は回転方向における
潜像ドット間の距離(x)を0≦x(μm)<d(μ
m)とし、かつ、記録体(A)の移動速度又は周速を2
00xmm/sec以上として顕像化を行なうことを特
徴としている。(A)加熱状態でかつ液体と接触させた場
合に後退接触角が低下する表面を有する記録体。(B)液
体、蒸気又は記録体(A)にいう後退接触角の低下開始温
度以下で液体となるか、液体もしくは蒸気を発生する固
体。
【0007】本発明の第2は、下記記録体(A)の表面を
下記接触材料(B)と接触させた状態で選択的に加熱する
ことにより又は記録体(A)の表面を選択的に加熱した状
態で接触材料(B)と接触させることにより記録体(A)の表
面に加熱温度に応じた後退接触角を示す潜像領域を形成
せしめる接触材料(B)を記録体(A)表面に供給し、記録信
号に従って記録体(A)の表面を加熱して潜像を形成せし
め、次いで、その潜像に記録液(着色剤溶液又は分散
液)を供給して顕像化した後、可視像を記録紙等に転写
する記録方法において、普通紙等の搬送速度を記録体
(A)の移動速度又は周速より遅くして、かつ、転写を非
接触で行なうことを特徴としている。(A)加熱状態でか
つ液体と接触させた場合に後退接触角が低下する表面を
有する記録体。(B)液体、蒸気又は記録体(A)にいう後退
接触角の低下開始温度以下で液体となるか、液体もしく
は蒸気を発生する固体。
【0008】本発明の第3は、下記記録体(A)の表面を
下記接触材料(B)と接触させた状態で選択的に加熱する
ことにより又は記録体(A)の表面を選択的に加熱した状
態で接触材料(B)と接触させることにより記録体(A)の表
面に加熱温度に応じた後退接触角を示す潜像領域を形成
せしめる接触材料(B)を記録体(A)表面に供給する手段、
記録体(A)の表面を加熱して潜像を形成する手段、その
潜像に記録液を付与して顕像化する手段、及び可視像を
記録紙等に転写する手段を有する記録装置において、前
記可視像を形成した記録体(A)表面の記録液滴に電荷を
注入するか又は前記記録液に磁性を有するものを用いる
かし、前記記録紙等の裏面側に電極又は磁石を配置し、
かつ、記録体(A)の移動速度又は周速を前記記録紙等の
移動速度より速くして前記転写を非接触で行なわしめる
ようにしたことを特徴としている。(A)加熱状態でかつ
液体と接触させた場合に後退接触角が低下する表面を有
する記録体。(B)液体、蒸気又は記録体(A)にいう後退接
触角の低下開始温度以下で液体となるか、液体もしくは
蒸気を発生する固体。
【0009】かかる本発明方法及び装置では、記録液と
して例えば液状インクのごときものを用いるようにすれ
ば接触材料(B)の供給手段を省略することができ、ま
た、接触材料(B)として液状インクのごときものを用い
るようにすれば潜像形成と同時に顕像化されるため記録
液付与手段を省略することができる。なお、本発明方法
及び装置においては、前記潜像が形成された記録体(A)
の表面を接触材料(B)の不存在下で加熱することによっ
て潜像の消去が行なえ、可逆的に画像形成がなし得るも
のである。
【0010】本発明者らは、前記従来の技術の項に記述
したごとき欠陥を解消し、新規な記録方式について多く
の研究・検討を行なった。その結果、液体に接した状態
で加熱されると冷却後においてもその後退接触角が低く
なり、かつ、液体不存在下の加熱により後退接触角が高
くなるという機能を表面に有する部材が記録体として有
用であることを見いだした。そして、このような機能を
有する記録体(A)はその表面が(1)疎水基の表面自己配向
機能をもつ有機化合物を含む部材、又は(2)疎水基をも
つ有機化合物であって疎水基を表面に配向した部材であ
ることも併せて確め、これを明らかにした(特願平2−43
599号)。
【0011】(1)にいう“表面自己配向機能"とは、ある
化合物を支持体上に形成した固体又は或る化合物自体に
よる固体を空気中で加熱すると、表面において疎水基が
空気側(自由表面側)に向いて配向する性質があることを
意味する。このことは、(2)においても同様にいえるこ
とである。一般に、有機化合物では疎水基は疎水性雰囲
気側へ向きやすい性質をもっている。これは、固-気界
面の界面エネルギーが低くなる方に向うために生じる現
象である。また、この現象は疎水基の分子長が長くなる
ほどその傾向がみられるが、これは分子長が長くなるほ
ど加熱における分子の運動性が上がるためである。
【0012】更に具体的には、末端に疎水基を有する
(即ち表面エネルギーを低くする)分子であると、空気側
(自由表面側)を向いて表面配向しやすい。同様に(−CH2
−)nを含む直鎖状分子では(−CH2CH2−)の部分が平
面構造をしており、分子鎖どうしが配向しやすい。ま
た、(−Ph−)nを含む分子も−Ph−の部分が平面構
造をしており、分子鎖どうしが配向しやすい。なお、−
Ph−はp-フェニレン基である(以下同じ)。殊に、弗素
などの電気陰性度の高い元素を含む直鎖状分子は自己凝
集性が高く、分子鎖どうしが配向しやすい。
【0013】これらの検討結果をまとめると、より好ま
しくは、自己凝集性の高い分子を含んだり平面構造をも
つ分子を含み、かつ、末端に疎水基を有する直鎖状分
子、或いは、そうした直鎖状分子を含む化合物は表面自
己配向機能が高い化合物といえる。
【0014】これまでの記述から明らかなように、表面
自己配向状態と後退接触角とは関連があり、また、後退
接触角と液体付着性との間にも関係がある。即ち、固体
表面での液体の付着は、液体の固体表面での主にタッキ
ングによって生じる。このタッキングはいわば液体が固
体表面を滑べる時の一種の摩擦力とみなすことができ
る。従って、本発明でいう“後退接触角"θrには、 (但し、 γ :真空中の固体の表面張力 γse:固-液界面張力 γev液体がその飽和蒸気と接しているときの表面張力 πe :平衡表面張力 γf :摩擦張力 γs :吸着層のない固体の表面張力である) といった関係式が成立つ(斉藤、北崎ら「日本接着協会
誌」Vol.22、No.12,1986)。
【0015】従って、θrの値が低くなるときγf値は大
きくなる。即ち、液体は固体面を滑べりにくくなり、そ
の結果、液体は固体面に付着するようになる。これら相
互の関連から推察しうるように、液体付着性は後退接触
角θrがどの程度であるかに左右され、その後退接触角
θrは表面自己配向機能を表面に有する部材の何如によ
り定められる。それ故、本発明においては、記録体(A)
はその表面に所望パターン領域の形成及び/又は記録剤
による顕像化の必要から、必然的に、表面自己配向機能
を表面に有する部材が選択されねばならない。
【0016】本発明方法及び装置で用いられる記録体
(A)は、既述のとおり、「加熱状態でかつ液体と接触した
場合に後退接触角θrが低下する表面」を有するものであ
る。記録体(A)はその表面が上記のような性状を有して
さえいれば、形状等は任意である。従って、記録体(A)
はベルト状(エンドレスベルト状を含む)であっても、適
当な円筒状支持体や成形体上に表面が上記のような性状
を有する別の塗工膜などが設けられていてもかまわな
い。成形体自体であってもかまわないが、その表面は、
全体又は一部を除いて、上記のような性状を有している
ことが必要である。
【0017】この記録体(A)は、接触材料(B)の種類によ
っては潜像領域における液体付着性部分が親油性又は親
水性のいずれかになり、従って、複写物を得る際には油
性インク、水性インク、電子写真用液体現像剤などのい
ずれもが必要に応じて使いわけられる。
【0018】ここで、“加熱状態でかつ液体と接触させ
た場合に後退接触角θrが低下する表面を形成する"部材
ないし材料を幾つかに分類した例を図1に示す。
【0019】図1(a)は自己配向機能を有する化合物の
例で、高分子重合体の側鎖に疎水基を有する化合物であ
り、主鎖Lと疎水基Rとは結合基Jにて結合している。
【0020】図1(b)は、疎水基を有する有機化合物に
おいてその疎水基を表面に配向した部材の例で、有機又
は無機材料Mの表面に、物理的又は化学的結合により、
前記疎水基を有する化合物Oを形成した部材である。
【0021】図1(c)は、図1(b)であげた疎水基を有す
る有機化合物Oのみからなる部材の例である。
【0022】図1(d)は、直鎖状分子が高分子の側鎖に
ある例で、主鎖Lと前記分子を結合基Jによりつなぎ、末
端に疎水基Rをもつ自己凝集性又は平面構造を有する分
子鎖Nが中間にある化合物である。
【0023】なお、図1(a)及び(d)の例においては、高
分子化合物の主鎖Lは直線状でも網かけ構造でもよい。
図1(b)の例においては、累積LB膜のように、疎水基含
有化合物Oの上にさらに疎水基含有化合物Oが積層されて
いてもよい。図1(c)の例においては、主鎖(L)をもつこ
となく又は有機・無機材料(M)などに結合することなく、
疎水基含有化合物Oのみによる構造である。
【0024】前記の疎水基としては、分子の末端が好ま
しくは-CH3や-CF3、-CF2H、-CFH2、-C(CF3)3、-C(CH3)3
などによっており、より好ましくは、分子運動性が高い
点で分子長の長いものが有利である。中でも、前記疎水
基としては、-F及び/又は-Clが1つ以上ある置換アルキ
ル基(-CF2CF2C(Cl)FCF2CF3のようなものでもよい)或い
は無置換のアルキル基であって、炭素数4以上のものが
望ましい。弗素置換、塩素置換のいずれのものも用いれ
るが、弗素置換のものの方が効果的である。これらの材
料においては、アルキル基炭素数と機能との関係では、
炭素数が3以下であると、本発明方法及び装置の記録体
(A)に適する機能が低くなってしまう。
【0025】この機能発現の原理はいまだ完全に明らか
にされた訳ではなく、従って、不明な点が多いが、以下
のことが推定される。
【0026】まず、上記化合物により形成された記録体
(A)の表面は、前記疎水基がかなり配向した表面となっ
ていることが考えられる。従って、この表面は液体反撥
性を有する(疎水基は表面エネルギーが小さいため)。こ
の状態で、記録体(A)の表面が接触材料(B)に接して加熱
を受けると、加熱による疎水基の分子運動が活発とな
り、かつ、接触材料(B)との相互作用を受けて、記録体
(A)の表面の少なくとも一部の配向(整列)状態が別の状
態(即ち、別の配向状態又は配向が乱れた状態)にかわ
り、冷却後もその別の状態を維持するためと思われる。
なお、記録体(A)の表面に接触材料(B)が接した状態のも
とで加熱することは、接触材料(B)の形態いかんによ
り、記録体(A)の表面が加熱された状態のもとに液体を
接触させることになる。この加熱前は、疎水基が表面に
整列(配向)しているため、記録体(A)の表面の表面エネ
ルギーは極めて少ない。
【0027】ところが、前記の接触材料(B)が接した状
態のものでの加熱により、配向状態は乱れて表面エネル
ギーが高まる。後退接触角θrは、液体の種類にかから
わず、固体と液体との表面エネルギーのバランスで決定
される。このため、固体の表面エネルギーが高まれば、
液体の種類にかかわらず、後退接触角θrは低くなる。
従って、液体に対する付着性は増大することになる。更
に、記録体(A)の表面が別の状態(元の配向状態とは異な
る「別の配向状態」又は「配向が乱れた状態」)で接触材料
(B)の不存在下に加熱を受けると、接触材料(B)との相互
作用が生じないため、元の整列(配向)状態にもどると思
われる。従って、接触材料(B)の存在は単なる記録体(A)
の表面を加熱後の急冷を行なうためのものではなく、記
録体(A)の表面の化合物との何らかの相互作用をおこす
ものであり、この相互作用があって、はじめて別の状態
(別の配向状態又は配向が乱れた状態)への変化がおこる
と思われる。
【0028】前記のとおり、記録体(A)の表面を形成す
る部材(化合物)の疎水基として、アルキル基又は弗素置
換あるいは塩素置換のアルキル基が採用された場合に
は、アルキル基の炭素数が4以上であるのが望ましいの
は、記録体(A)の表面にアルキル基がある程度整列(配
向)し、しかも加熱時に活溌な分子運動をするのに必要
な数によるものと思われる。また、接触材料(B)が記録
体(A)の表面とともに加熱を受けた時、記録体(A)表面の
分子中に接触材料(B)の分子がとりこまれることも考え
られる。さらに、アルキル基中に電気陰性度の高いフッ
素や塩素があると、液体特に極性液体との相互作用が大
きくなるため、水素のみのアルキル基を含有する化合物
よりも大きな付着性変化が得られる。また、フッ素を含
有するアルキル基は、自己凝集性が強いため、表面自己
配向機能が高く、更に、表面エネルギーが低いため、地
肌よごれ防止の点ですぐれている。
【0029】更にまた、記録体(A)の表面は液体反撥性
を有するが、これを固体の表面エネルギーで記述する
と、本発明者らの検討では、50dyn/cm以下であること
が本発明による記録方式として望ましいことをも確めて
いる。これ以上の高い値では記録剤に対して記録体(A)
の表面が、時として、ぬれてしまい、地肌よごれをおこ
すおそれがある。
【0030】ここで、記録体(A)の表面を形成する化合
物(記録体(A)表面を選択的に加熱した状態で接触材料
(B)と接触させた時、記録体(A)の表面に加熱温度に応じ
た後退接触角を示す潜像領域を形成せしめる化合物)の
詳細を述べる。まず、図1(a)及び(d)のタイプについて
ビニル系高分子側鎖にアルキル基(フッ素置換及び/又は
塩素置換のものも含む)を有する化合物などが考えられ
る。具体的には、式(I)(II)(III)(IV)(V)(VI)及び(VI
I) R:-H、-CH3,-C2H5,-CF3又は-C2F5Rf:C4以上のアルキル
基又はフッ素置換若しくは塩素置換アルキル基を含有し
た基、もしくは、分子鎖中に(−CF2−)p、(−CH2−)p又
は―Ph―をもつ疎水基(P≧4)m:1以上の整数をモノマー
とした重合体があげられる。
【0031】その他のポリマーとしては、式(VIII)(IX)
及び(X)に示したごときものがあげられる。 R:−H、-CH3、-C2H5、-CF3又は-C2F5Rf:C4以上のア
ルキル基又はフッ素置換もしくは塩素置換アルキル基を
含有した基、もしくは、分子鎖中に(-CF2-)p、(-CH2-)p
又は―Ph―を含む疎水基(P≧4)n:10以上の整数
【0032】これら具体例でRfをより詳しくいえば下記
(1)から(20)までのものを例示することができる。
【0033】これらの化合物のうちでも、特に、下記(X
I)の材料の使用が望ましい。 〔但し、R1:水素、-CxHy又は-CxFy(x=1又は2以上の整
数、y=2x+1である。)R2:(-CH2-)p(p≧1整数)又は(-CH
2-)q-N(R3)SO2-(R3は-CH3又は-C2H5、q≧1の整数)m:6以
上の整数である。〕
【0034】従って、本発明における記録体(A)表面の
部材の最も好ましい具体的化合物としては などが挙げられる。
【0035】さらに、これら式(I)(II)(III(IV)(V)(V
I)(VII)及び(XI)のモノマーどうし(2種以上のモノマー
の共重合体)の他に、他のモノマー例えばエチレン、塩
化ビニル、スチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロ
プレン、ビニルアルキルエーテル、酢酸ビニル、ビニル
アルコールなどとの共重合体も上記化合物として適す
る。
【0036】また、式(XI)のモノマーと官能基を有する
重合性モノマー例えばCH2=C(CH3)COO(CH2)2OH CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH3 CH2=CHCOOCH2CH(OH)C8F17 などの1種以上とで共重合物をつくり重合物中に官能基
を多数導入するか、式(XI)のモノマーと官能基を有す
る重合性モノマーとの共重合物をつくり、続いて、官能
基を多数含んだ共重合物どうしを架橋試薬をもちいて架
橋することにより製造した架橋性重合体も材料としてす
ぐれている。
【0037】架橋試薬としては、ホルムアルデヒド、ジ
アルデヒド、N-メチロール化合物、ジカルボン酸、ジカ
ルボン酸クロライド、ビスハロゲン化合物、ビスエポキ
シド、ビスアジリジン、ジイソシアネートなどがあげら
れる。
【0038】このようにして得られた架橋重合物の一例
を下記に示す。
【化1】
【0039】化1で表わされる架橋重合物において、A
ブロックは前記の熱的性質の変化をもたらすアルキル基
であり、一方、Bブロックは鎖状ポリマーどうしを架橋
している(架橋試薬としてジイソシアネートを用いて架
橋したもの)部位である。架橋体による膜を得るには、
前記の共重合物と架橋試薬とを混合した溶液をコート液
として基板上に塗布し、加熱又は電子線照射や光照射に
より架橋重合膜を得るようにすればよい。
【0040】なお、上記モノマーから重合体を得るに
は、溶液重合、電解重合、乳化重合、光重合、放射線重
合、プラズマ重合、グラフト重合、プラズマ開始重合、
蒸着重合など、材料により適当な方法が選択される。
【0041】次に、図1(b)に示した化合物について述
べる。ここでは、式(XII)、(XII)及び(XIV)に示す材料
Rf−COOH ・・・(XII) Rf−OH ・・・(XIII) Rf−(CH2■)n−SiX ・・・(XIV) (Rf:炭素数4以上のアルキル基又はフッ素置換又は塩素
置換のアルキル基を含有した基、もしくは、分子鎖中に
(-CF2-)p、(-CH2-)p又は―Ph―を含む疎水基(P≧4))n:1
以上の整数X:塩素、メトキシ基又はエトキシ基)等をガ
ラス、金、銅などの無機材料やポリイミド、ポリエステ
ル、ポリエチレンテレフタレートなどの有機材料表面に
物理吸着又は化学結合した材料(表面エネルギーが約50d
yn/cm以下であるのが好ましい)であることが望ましい。
【0042】式(XII)(XIII)及び(XIV)の具体例としては CF3−(CF2)5−COOH, CF3−(CF2)7−COOH, CF3−(CF2)7−(CH2)2OH, H−(CF2)10−COOH, H−(CF2)10−CH2OH, F−(CF2)6−CH2CH2−Si(CH3)2Cl, CF2Cl(CF3)CF(CF2)5COOH, CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3 などがあげられる。
【0043】図1(c)に示す化合物としては式(XII)、式
(XIII)や式(XIV)の材料のみの構造体があげられる。
【0044】続いて、上記化合物を用いた記録体(A)に
ついて述べる。記録体(A)の構成としては、先に触れた
とおり、基本的には前記の表面部材そのもので形成し
たもの、支持体(好ましくは耐熱性支持体)上に前記の
表面部材を形成したもの、とに大別される。の態様は
上記化合物(表面部材)そのものをフィルム状あるいは板
状、あるいは、円柱状に成形したものである。この際、
フィルム状の場合は、フィルムの厚さは1μm〜5mmが望
ましい。の態様においては、上記化合物がある程度支
持体内部へ侵入していてもかまわない。記録体(A)自体
の膜厚は30Å〜1mmが望ましい。ただし、熱伝導性の点
では100Å〜10μm厚程度、耐摩耗性の点では10
μm〜1mm厚程度が適当である。支持体の耐熱温度と
しては、50℃〜300℃が望ましい。
【0045】なお、記録体(A)の構成が「基本的に
は」前記,であるとしたのは、非接触転写手段が採
用される場合には、前記,の記録体(A)の変形を
必要とすることが考えられるためである。従って、前
記,にあって少なくとも潜像ドットに付着したイン
ク滴に電荷を付与せしめることができる例えば導電性部
材を有するものも本発明方法並びに装置で使用しうる。
これは記録体(A)上の電荷を帯びたインク滴を被転写
体(普通紙等)の裏面側に配置された電極に向けて飛翔
させ、普通紙等に非接触で画像を形成するのに有効なも
のである。また、もっとも、そうした導電性部材を用い
てることのない記録体(A)を用い、磁性インクを用いて
顕像化せしめ、普通紙等の裏面側に配置された磁石に向
けてインク滴を飛翔させて非接触で転写画像を形成する
ことも可能である。
【0046】支持体の形状は、ベルト状(エンドレスベ
ルト状を含む)、板状、ドラム状いずれでもよく、装置
の使用用途に応じて選定する。特に、ドラム状のものは
装置における寸法精度を出せる点ですぐれている。エン
ドレスベルト状のものは装置の小型化に有利である。板
状のものは、記録紙サイズに応じてその大きさを決めれ
ばよい。
【0047】さらに、上記化合物(記録体(A)の表面形成
材料)と他の部材、例えば疎水性ポリマー、疎水性無機
材料との混合物を支持体上に形成すると、印字における
地肌よごれ防止の点ですぐれている。また、熱伝導性を
上げるためには、金属粉を上記化合物に混入するとよ
い。更に、支持体と上記化合物との密着性を向上するた
めにプライマー層を支持体と化合物間にもうけることも
できる。耐熱性支持体としては、ポリイミド、ポリエス
テルなどの樹脂フィルムやガラスやNi、Al、Cu、Cr、P
tなどの金属や金属酸化物等が好ましい。これら支持体
は平滑でも粗面や多孔質であってもよい。
【0048】次に、接触材料(B)について説明する。接
触材料(B)は、先に記載したとおりであるが、端的にい
えば、当初から液体あるいは蒸気であるか、又は、記録
体(A)にいう後退接触角θrの低下開始温度以下で結果的
に液体を生じさせる固体である。ここでの蒸気は、記録
体(A)の表面又は表面近傍で、少なくともその一部が凝
縮して液体を生ぜしめ、その液体が記録体(A)の表面を
濡らすことができるものであれば充分である。一方、こ
こでの固体は、前記後退接触角θrの低下開始温度以下
で液体となるか、液体を発生させるか、又は、蒸気を発
生させるものである。固体から発生された蒸気は記録体
(A)の表面又はその近傍で凝縮して液体を生じさせるこ
とは前記の場合と同様である。
【0049】これら接触材料(B)をより具体的にいえば
次のとおりである。
【0050】即ち、接触材料(B)の一つである液体とし
ては、水の他に、電解質を含む水溶液、エタノール、n-
ブタノール等のアルコール、グリセリン、エチレングリ
コール等の多価アルコール、メチルエチルケトン等のケ
トン類のごとき有極性液体や、n-ノナン、n-オクタン等
の直鎖状炭化水素、シクロヘキサン等の環式状炭化水
素、m-キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素のごとき
無極性液体があげられる。また、これらの混合体でもよ
いし、各種分散液や液状インクも使用できる。さらに望
ましくは極性液体の方がよりすぐれている。
【0051】接触材料(B)の他の一つである蒸気とし
ては水蒸気の外に、接触材料(B)の液体の蒸気であれ
ば使用できるが、特にエタノール蒸気やm-キシレン蒸気
などの有機化合物の蒸気(噴霧状態のものを含む)があげ
られる。この有機化合物蒸気の温度は記録体(A)の表
面を形成する化合物の融点或いは軟化点以下である必要
がある。
【0052】接触材料(B)の他のもう一つである固体と
しては、高級脂肪酸、低分子量ポリエチレン、高分子ゲ
ル(ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアルコールゲ
ル)、シリカゲル、結晶水を含んだ化合物などがあげら
れる。
【0053】後述するところからより明らかになるが、
接触材料(B)として、前記液状インクのごとき“顕色剤
(着色材)を含有した"記録液(溶液又は分散液)を用い
た場合には、潜像形成と同時に顕像化が行なわれること
になり、実用上極めて有利である。
【0054】続いて、加熱手段について説明する。
【0055】潜像形成のための加熱手段としてはヒータ
ー、サーマルヘッドなどによる接触加熱の他に、電磁波
(レーザー光源、赤外線ランプなどの発光源からの光線
をレンズで集光する)による非接触加熱がある。
【0056】図2(a)は基板1上に記録体(A)の表面を構
成する前記化合物の膜2が形成され、この膜面に接触材
料(B)のうちの例えば液体3が存在している状態を示して
いる。この状態において、膜2を加熱すると、膜2表面は
後退接触角θrが低下して著しい濡れを示し、液体付着
性を有してしまうのが認められる。更に、この液体付着
性を有する膜2を空気中、真空中又は不活性ガス雰囲気
中で再び加熱する(図2(b))と膜2表面は後退接触角θr
が高まってゆき再び液体反撥性を示すのが認められる。
【0057】このような現象と幾分類似した現象を示す
ものとして、先にあげた特公昭54-41902号公報に記載さ
れた方法がある。だが、ここに開示されている方法では
記録材料は実質的にデイスオーダーでかつ一般的に不定
形のメモリ物質の層を得るようにしている点でメカニズ
ム上大きく相違したものとなっている。すなわち、本発
明では、接触材料(B)の存在なしでは、記録体(A)表面に
は状態変化がおこりえない。また、特公昭54-41902号公
報に記載された方法では、簡単な操作で可逆性を得るこ
とはできない。
【0058】図3(a)のごとく、画像情報に応じて液体3
の接触下で膜2に熱を加える(図3の(b-1)及び(b-2)のよ
うに、液体不存在のものに膜2に画像情報に応じて熱を
加えた状態のもとで液体3と接触させても同様である)
と、加熱部分の膜2の表面が液体付着性化される。図
中、4はヒーター、31は液体供給口、41は赤外線ラン
プ、5はレンズ、6はシャッターを表わしている。図3
(a)は膜2の加熱は基板1を通して行なっている例である
が、図3(b-1)(b-2)に示した例は、直接膜2に加熱がな
されている例である。
【0059】この膜2の水溶液接触下での加熱前後の水
溶液の接触角の変動、及び、このものを更に空気中で加
熱した場合の水溶液の接触角の変動の一例を図4に示し
た。図4において、○は前進接触角、△は後退接触角を
表わしている。一般に、後退接触角が90°以上の高い値
の場合、その表面は液体反撥性を示し、90°以下の低い
値の場合、その表面は液体付着性を示す。
【0060】接触材料(B)に接した状態での記録体(A)表
面の加熱温度としては、50℃〜250℃の範囲が望まし
く、さらに望ましくは80℃〜150℃である。加熱時間は
0.1m秒〜1秒程度で望ましくは0.5m秒〜2m秒である。加
熱のタイミングとしては、記録体(A)表面を加熱した
後、冷めないうちに接触材料(B)に接触させる、記録
体(A)表面に接触材料(B)を接触させた状態のもとに記録
体(A)表面を加熱させる、のいずれかでもよい。
【0061】一方、潜像消去の場合には、接触材料(B)
の不存在下で記録体(A)表面を50〜300℃、望ましくは10
0〜180℃に加熱すればよい。加熱時間は1m秒〜10秒程度
で好ましくは10m秒〜1秒である。
【0062】続いて、実際に画像情報の記録を普通紙等
に得る手段についてより詳細に説明する。
【0063】一つは、液体又は蒸気雰囲気下で画像信号
に応じて記録体(A)の表面を加熱して記録体(A)の表面に
液体付着領域を形成(潜像形成)し、その後、この潜像部
に記録液を接触させる手段により潜像部に記録液を付着
させ(現像)、この液滴状に付着された記録液を普通紙等
に接触転写する方法である。この方法においては、図1
0にみられるように、記録体(A)の移動又は回転方向
における連続する潜像ドット(S)の先端どうし間の距
離をdとした場合、記録体(A)の移動又は回転方向に
おける潜像ドット(S)間の距離(x)を0≦x(μ
m)<d(μm)とし、かつ記録体(A)の移動速度又
は周速を200xmm/sec以上として顕像化を行な
うことについては既述のとおりである。
【0064】他の一つは、上記の方法と同様にして記録
体(A)の潜像部に記録液を付着させた後、この記録液
を普通紙等に非接触転写する方法である。この方法にお
いては、被転写紙(普通紙等)の搬送速度を記録体
(A)の移動速度又は周速より遅くする(記録体(A)
の移動速度又は周速を被転写紙の搬送速度より速くす
る)ことについては既述のとおりである。
【0065】次に、記録体(A)をはじめ、本発明方法
の構成をより理解しやすくするために(1)潜像間の距離
等と記録体(A)の移動速度又は周速との関係、及び(2)記
録体の移動速度又は周速と普通紙等の搬送速度との関連
を除いた状態の記録装置から先に説明を進める。
【0066】記録体(A)は、繰り返し述べてきたよう
に、加熱状態でかつ液体と接触させた場合に後退接触角
が低下する表面(前記と同様便宜上「膜2」又は「記録体(A)
表面」を記すことがある)を有しているものであれば、そ
の形態にとらわれない。従って、記録体(A)の支持基板
は、剛体円筒形状であっても、柔軟性を有するフィルム
形状であってもかまわない。剛体円筒形状記録体(円筒
状剛体の表面に膜2が形成されたもの)は、記録体(A)を
稼働する際位置ずれ等が生じにくいため制御性に優れて
いるので、望ましくは剛体円筒形状の記録体(A)が良
い。このような記録体(A)の作製は膜2を基板上に成膜す
る方法や、成形体そのもので作成する方法がよい。特
に、前記成形体そのものによる記録体(A)は一般に機械
強度が弱いため基板上に成膜する方法が望ましい。な
お、成形体そのもので記録体(A)をつくる場合において
も、その表面には膜2が形成されていなければならない
ことはいうまでもない。
【0067】記録体(A)の支持基板に樹脂を用いた場
合、このものは熱の良導体とはいいがたく、基板側から
加熱を施すようなタイプのものでは、記録体(A)表面が
加熱され液体付着性を有するまでにはある程度の時間を
要する。そこで、熱の良導体を基板の全体に又は基板1
上の部分に用いることが考えられてよい。
【0068】図6(a)は例えば金属のような熱の良導体
を基板(金属基板11)としてその上に有機薄膜12を蒸着
し、更にその上に、膜2を形成するようにすれば、垂直
方向の熱伝導速度が向上する。ここでの有機薄膜12とし
てはポリイミド、ポリエステル、フタロシアニンなどが
例示できる。印字ドットが比較的大きくてよい場合には
この構成で十分であるが、面方向への熱拡散により液体
付着性を有する部分が拡大するため一層の高密度印字を
目的とする場合には適さない。
【0069】図6(b)は、そのため、基板1上に熱の良導
体部分を区切って設けることにより面方向への熱拡散を
防ぎ液体付着性を有する部分2aの微小化を図ったもので
ある。図6(b)において、11aは微小された金属膜を表わ
している。
【0070】続いて、加熱による潜像形成手段について
述べる。上記のように、加熱源としては、ヒーターやサ
ーマルヘッドのごとき接触加熱源やレーザーや赤外線ラ
ンプのごとき電磁波による非接触加熱源が望ましい。こ
れらの具体例として、液体と接した状態で記録体(A)表
面を加熱する手段を述べる。なお、便宜上、基体1上に
膜2が形成されているタイプの記録体(A)を例にとっ
て説明を進めることにする。まず、あらかじめ記録体7
表面に液体3を接しておき、その接した状態で基体1側
又は液体3側から加熱を行う手段(図7の(a)及び(b))
や、初めに記録体(A)表面側から加熱を行い直ちに液体3
を記録体加熱部(記録体(A)表面)に接触させる手段(図7
の(c)及び(d))の採られるのが望ましい。
【0071】液体3の供給手段としては、記録体(A)下部
に皿を設け液体3を満たし記録体7が皿中の液体3に常に
接するようにし、加熱源を皿の近傍又は皿の中に配置す
る構成が最も簡単な構成となる。皿の替わりに、液体を
含ませたスポンジ状多孔質体34が用いられても良い。光
や電子線による潜像形成手段も上記構成と基本的に同様
である。図7において、42はレーザー光源、43はサーマ
ルヘッドである。このようにして、記録体(A)表面には
潜像(S)が形成される。
【0072】上記手段により画像信号に応じて選択的に
付与された液体付着性領域に記録液(例えばインク液)を
付着させる手段としては、記録液3a(着色剤溶液又は分
散液)を充填した皿を潜像形成手段配置位置に対して記
録体(A)の進行方向に配置し常に記録体(A)表面に接して
おく構成が最も簡単である(図8及び図9)。なお、図9
に示すごとく、潜像形成に用いる液体をインク液のごと
き記録液3aと兼用すると一つの皿で構成でき、潜像形成
とその顕像化とを一体化できるため、装置を小型化でき
る。
【0073】潜像形成及び現像(顕像化)後、記録体(A)
上の記録剤3a′を記録紙等に接触させる手段又は記録液
3a′を記録紙等に飛翔させる手段を設けることで記録紙
等の毛管作用により、記録紙等へ液滴・画像状の記録剤
3a′は直接又は非接触で転写される(転写手段)。転写を
行う位置は、現像後であれば、記録体(A)のどの位置で
もかまわないが、現像後、直ちに転写が行われる位置が
望ましい。転写後、潜像消去を行わず現像及び転写を繰
り返えせば、多数枚の同一記録物が得られる。される
(転写手段)。転写を行う位置は、現像後であれば、記録
体(A)のどの位置でもかまわないが、現像後、直ちに転
写が行われる位置が望ましい。転写後、潜像消去を行わ
ず現像及び転写を繰り返えせば、多数枚の同一記録物が
得られる。
【0074】一つの画像情報の転写が終了すれば、記録
体(A)を交換することで又は液体又は蒸気の不存在下で
(即ち空気中、真空中又は不活性ガス中で)記録体(A)
表面を加熱することにより潜像(S)を消去すれば、記録
体(A)は繰返し使用可能なものになる。
【0075】潜像消去のための加熱源としては、ヒータ
ーやサーマルヘッドのごとき接触加熱源やレーザーや赤
外線ランプのごとき電磁波による非接触加熱源が望まし
い。加熱は潜像部のみ行っても良いが、記録体(A)全面
に行っても良い。むしろ、全面加熱の方が装置構成を簡
単にできるため、より望ましい。
【0076】なお、潜像消去手段は、消去のための加熱
を行ったのち、再び、潜像形成を行うまでの時間の間に
記録体(A)表面が実質的に冷却する位置に設ける。潜像
消去に必要な加熱温度は既述のとおりであるが、当該記
録体(A)表面の材料により異なるものの、記録体(A)表面
の材料の後退接触角が低くなる開始温度以上で分解点以
下の温度が望ましい。
【0077】記録紙等(被転写体)としては、透明又は不
透明樹脂フィルム、普通紙、合成紙、インクジェット記
録用紙、タイプ用紙などを用いることができる。
【0078】次に記録液について述べる。記録体(A)表
面上に可視画像を得るには、記録液として筆記用イン
ク、インクジエット記録用インク、印刷インク、電子写
真用トナー等の従来の印字記録方式に用いられてきた着
色剤溶液又は分散液の中から、本発明方法又は装置に適
合するものを選択し使用することができる。
【0079】より具体的で好ましいもの例を示せば、例
えば水性インクとしては、水、湿潤剤、染料を主体とす
る水溶性インク又は水、顔料、分散用高分子化合物、湿
潤剤を主体とした水性顔料分散インク、顔料又は染料を
界面活性剤を用いて水に分散せしめたエマルジョン・イ
ンク等が用いられる。水性インクに用いられる湿潤剤と
しては、次のような水溶性の有機液体化合物が挙げられ
る。
【0080】エタノール、メタノール、プロパノール等
の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価
アルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ
エチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエー
テル等の多価アルコールのエーテル類;N-メチル-2-ピロ
リドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ε-カプロラ
クタム等の複素環式化合物;モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチル
アミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン
類等。
【0081】水溶性染料としては、カラー・インデック
スにおいて酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染
料などに分類される染料が用いられる。代表的な染料の
例としては、C.I.アシッド・イエロー17,23,42,44,79,14
2 C.I.アシッド・レッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,
82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289 C.I.アシッド・ブルー9,29,45,92,249,890 C.I.アシッド・ブラック1,2,7,24,26,94 C.I.フード・イエロー3,4 C.I.フード・レッド7,9,14 C.I.フード・ブラック2 C.I.ダイレクト・イエロー1,12,24,26,33,44,50,142,14
4,865 C.I.ダイレクト・レッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,8
1,83,89,225,227 C.I.ダイレクト・オレンジ26,29,62,102 C.I.ダイレクト・ブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,8
7,90,98,163,165,202 C.I.ダイレクト・ブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,
77,154,168 C.I.ベーシック・イエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,2
4,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,65,67,70,73,
77,87,91 C.I.ベーシック・レッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,
29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,8
2,102,104,109,112 C.I.ベーシック・ブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,4
7,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,
122,124,129,137,141,147,155 ベーシック・ブラック2,8 等を挙げることができる。
【0082】顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フ
タロシアニン系、アンスラキノン系、キナクリドン系、
ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリノ
ン系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリン・ブ
ラック、アゾメチンアゾ系、カーボン・ブラック等が挙
げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カル
シウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウム
イエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、
金属粉が挙げられる。
【0083】顔料分散用化合物として、ポリアクリルア
ミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、水溶性
スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチ
レンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル
樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビ
ニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β-ナフタレ
ンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級
アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を含
む高分子化合物、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、
カゼイン等の蛋白質、アラビアゴム、トラガントゴム等
の天然ゴム類、サポニン等のグルコキシド類、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メ
チルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホ
ン酸及びその塩、セラミック等の天然高分子化合物、等
が挙げられる。
【0084】油性の記録剤としては、水性インクと同様
に、油溶性染料を有機液体化合物に溶解したものや、顔
料を有機液体化合物に分散せしめたもの、顔料又は染料
を油性ベースに乳化させたもの、等が用いられる。
【0085】油性染料の代表的な例としては、 C.I.ソルベント・イエロー1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,
14,16,17,26,27,29,30,39,40,46,49,50,51,56,61,80,8
6,87,89,96 C.I.ソルベント・オレンジ12,23,31,43,51,61 C.I.ソルベント・レッド1,2,3,16,17,18,19,20,22,24,2
5,26,40,52,59,60,63,67,68,121 C.I.ソルベント・バイオレット7,16,17 C.I.ソルベント・ブルー2,6,11,15,20,30,31,32,35,36,5
5,58,71,72 C.I.ソルベント・ブラウン2,10,15,21,22 C.I.ソルベント・ブラック3,10,11,12,13 等が挙げられる。
【0086】また、染料を溶解したり、顔料を分散する
ための油性ベースとしては、n−オクタン、n−デカン、
ミネラネスピリット、リグロイン、ナフサ、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジブチルエーテ
ル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、
ジベンジルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタ
ノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリ
セリン等のアルコール類等を例示することができる。
【0087】油性インクにおいても先に例示した顔料を
用いることができる。油性の顔料分散剤の例としては、
ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル-アクリル酸エステル共重合体、
ポリ酢酸ビニル、塩ビ-酢ビ共重合体、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルブチラール等のビニル系共重合体、
エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース系
樹脂、ポリエステル、ポリアミド、フェノール樹脂等の
縮重合樹脂、ロジン、セラミック、ゼラチン、カゼイ
ン、等の天然樹脂等がある。
【0088】ところで、記録紙等にベタ画像が得られな
ければならないのにも拘らず、それが形成されない場合
が時として生じる。そうした不都合な現象は例えばサー
マルヘッドの熱素子に与えられる記録信号のパルス幅や
印加電力などを大きくしたり、インク液の粘度を高めた
りすることでインク液の付着量を多くし或る程度ベタ濃
度を高めることが可能である。しかし、それでも本発明
者らが意図する程度にまでは至っていないのが実情であ
る。
【0089】また、記録紙等に高密度画像を得ようとす
る場合には、記録体(A)上での潜像を高密度で形成する
必要がある。しかし、潜像を高密度化するには例えばサ
ーマルヘッドを高密度化しなければならず、勢いコスト
高になってしまう。
【0090】本発明は高濃度を有するベタ画像が得ら
れ、また高密度画像が得られるように工夫された記録方
法及び装置である。先に触れたように、本発明において
はそのための手段として、記録体(A)の移動又は回
転方向における隣接した潜像ドットの距離的関係と記録
体(A)の移動速度又は周速とを特定することによって
潜像を形成し、更に、可視像を形成し、この可視像を普
通紙等に接触転写するか、又は記録体(A)の移動速
度又は周速を普通紙等の搬送速度より速くして転写記録
を非接触で行なう、というものである。
【0091】そこでまず前記から説明を進める。の
方法によれば、高密度の潜像ドットが形成されるわけで
あるが、潜像ドットが連続している場合それら潜像ドッ
ト間の距離は可成り短いので潜像ドット間でインク液滴
が連なるようになリ、高密度画像更には所望のベタ画像
が得られるようになる。記録体(A)はその移動速度又は
周速が200xmm/sec以上であるのが適当である。記録
体(A)の移動速度又は周速が200mm/secより遅いと
所望のベタ画像、高密度画像が得られにくくなる。従っ
て、の状態で記録体(A)に付着しているインク液を
普通紙等に接触転写させれば、良好なベタ画像部を有す
る転写画像が得られる。
【0092】一方、の方法によれば、潜像ドット上に
インク液3a’を付着させた記録体(A)の移動速度又
は周速Vaを普通紙等の搬送速度Vaより速くなるよう
にして、記録体7a’に付着したインク液3a’を普通
紙等Pに非接触転写させているため、普通紙等Pに形成
される画像は高密度なものとなり、また良質のベタ画像
も形成されるようになる(図12)。この様子を図13
により説明すれば次のようになる。図13(a)にみら
れるように、記録体7a’上にインク像3a’が2ライ
ン分形成されているとする。まず、その1ライン目のイ
ンク像3a’を記録紙等Pに転写する(図13
(b))。次に、記録体7a’だけを1ライン分移動さ
せ、残りの2ライン目のインク像3a’を記録紙等Pに
転写する。これで、記録紙等P上には1ラインの像が形
成される。続いて、記録体7a’及び記録紙等Pはとも
に1ライン分移動し、再び同様な操作が繰り返えされ
る。
【0093】非接触転写で画像形成がなされる場合、記
録体7a’と普通紙等PとはVa>Vbの条件のもとで
の一定速度で常に移動されるようにしてもよいが、図1
3に基づいて説明したように、一定距離移動させた後一
定時間停止させ、再び一定距離移動させるという動作を
繰り返すステップ状駆動方式が採用されるのが好まし
い。従って、ステップ状駆動で記録体(A)上にnライ
ン分のインク像で記録紙等上に1ライン分の非接触転写
後を形成しようとする場合には、記録体(A)をn回移
動させるごとに記録紙等を1回移動させる。
【0094】先に触れたとおり、前記の方法では記録
体(A)上の可視像は普通紙等に接触転写されるのに対
し、前記の方法では記録体(A)上の可視像は普通紙
等に非接触転写されることが必要である。後者の方法
で非接触転写で行なうには、可視像を形成した記録体
(A)上の記録液に電荷を注入させ、普通紙等の裏面側
に背面電極を設けるようにしておいてもよいし、記録液
に磁性インクを用い、普通紙等の裏面側に磁石を設ける
ようにしておいてもよい。
【0095】記録体(A)上の記録液に電荷を注入する
手段としては次のごときがあげられる。(イ)記録体
(A)の基体として導電性のものを用い、この上に塗工
される膜2中に導電性材料(導電性微粒子)を添加・分
散する。ここでの導電性材料としては金属粉、炭素粉な
どがあげられる。記録体(A)の基体には金属や、絶縁
体上に金属層を形成したもの等が用いられる。これは、
金属基体あるいは金属層に電圧を印加し、膜2中の導電
性微粒子を通して記録体(A)上の顕像に電荷を注入さ
せるためである。このタイプの記録体(A)は導電性微
粒子を分散させた膜2の溶液を導電性基体上に塗工する
ことにより作製することができる。(ロ)粗面を有する
導電性基体上に粗面凸部先端で僅かに露出せしめて膜2
を塗工せしめ後、表面を研磨して基体の凸部先端を露出
させるか、膜2の溶液粘度を小さくして塗工するか等に
より記録体(A)をつくる。これら(イ)及び(ロ)のタイ
プの記録体(A)においては、表面に導電性を有する領
域が形成されており、この領域は濡れ性変化の機能を示
さないが、この導電性をもつ領域は潜像に比べて十分小
さいので、記録体(A)全体の濡れ性変化の機能に支障
をもたらすことはない。(ハ)記録体(A)をメッシュ
状のものとして形成し、この記録体(A)の裏面に支持
基板(電極)を接触させ、その電極を通して記録液滴
(インク像3a’)に電荷を注入する。
【0096】これらの記録体(A)上に形成された可視
像に実際に電荷を注入するには、例えば導電性基体に高
圧電源の一方端を電気的に接続すればよい。なお、
(i)記録体(A)上に形成された可視像に電荷を注入
し、かつ、背面電極に電圧を印加して、普通紙等に可視
像を形成するインク液滴を飛翔させ普通紙等の表面に転
写画像を得ること、および(ii)磁性インクで可視像を
記録体(A)上に形成し、これを普通紙等の表面に飛散
させることは特願平3-42812号等で明らかにされ
ている。
【0097】かくして、本発明の方法及び装置によれ
ば、記録体(A)表面に形成された可視像から良質の高
密度画像が得られる。
【0098】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に
説明する。
【0099】実施例1 含フッ素アクリレート材料17F(大阪有機化学工業社
製、膜2材料)を1,1,1−トリクロロエタン中で溶
液重合させて膜2のポリマーを得た。これをフレオンT
F(三井フロロケミカル社製)で希釈し、約50μm厚
のポリイミドフィルム基板(東レ・デュポン社製)上に
塗布し、それを乾燥させて記録体(A)をつくった。こ
のもののローラ径は約10mmとした。潜像形成は純水
の存在下でサーマルヘッドにより行なった。ただし、こ
こでの潜像形成は、記録体(A)の回転速度を20rp
mとして、記録体(A)の回転方向と同方向であってベ
タ画像部に相応して潜像ドット間に間隔を生じさせない
パターンを形成させた。ベタ画像部に相応していないと
ころは、少なくとも1つはドットが飛んだ格好になって
いる。これらの潜像ドットに水性黒色インクで顕像化し
た後、普通紙に接触転写したところ、良好なベタ部を有
する転写画像が得られた。
【0100】実施例2 記録体(A)の周速及び回転方向の潜像ドット間の距離
を変えた以外は実施例1とまったく同様にして、潜像ド
ット間で水性黒色インクがつながるか否かを調べた。結
果は表1のとおりであった。なお、ここでは表面張力γ
=60dyn/cm、粘度η=50cpのインクを用い
たが、インクの物性によってはドットのつながら方に相
違が認められた。但し、インク粘度に関しては4〜10
00cpの範囲(通常のインクは4〜50cp)でドッ
トのつながり方に特に傾向はみられなかった。しかし、
インクの表面張力γ(通常20〜60dyn/cm)は
35以下になるとドットのつながらに支障を伴うように
なる。
【0101】
【表1】
【0102】実施例3 実施例1と同じ記録体(A)を用い、図11に示したよ
うな縦横ともに約125μmで潜像間距離が約125μ
mの潜像パターンを形成した。このパターンを水性黒色
インクで顕像化した後、転写場所における記録体(A)
表面と記録紙等との間の距離を約0.5mmとし、記録
体(A)上のインク滴と記録紙との間の電位差を2KVと
し、前記インク滴の電荷密度を3×(1/1011)C/cm
2として画像記録を行なった。なお、記録紙の搬送速度
は300mm/分とした。また、記録体(A)の搬送速度は6
00mm/分とした。その結果、実施例1と同様良好な
ベタ部を有する転写画像が得られた。
【0103】実施例4 含フッ素アクリレート材料TG702(ダイキン工業社
製)3mlをフレオンTF(三井フロロケミカル社製)
6mlで希釈し、これに導電部材として粉末状黒鉛1g
を混合したものを、アミル箔基板にスピンコートした。
それを100℃30分かけて乾燥させて記録体(A)と
した。装置構成は図12のようにした。ただし、記録体
7a’と背面電極81との間には絶縁層として厚さ約1
2.5μmのポリイミドフィルムを入れてある。記録体
Pと記録体7a’との間隔は0.3mm、印加電圧40
00Vとした。サーマルヘッド43で潜像形成し、イン
ク3aで現像した。このとき図13のように記録体7
a’上の2ライン分の像3a’で、記録紙P上に1ライ
ン分の非接触転写画像を形成するようにしたところ、高
画質画像が得られた。
【0104】実施例5 含フッ素アクリレー材料TG702(ダイキン工業社
製)3mlをフレオンTF6mlで希釈し、ポリイミド
フィルム(東レデュポン社製、厚さ約75μm)上にス
ピンコートした。これを100℃30分で乾燥させた。
この記録体(A)を用い実施例4と同様に潜像を形成し
た後、磁性インクで現像した。なお装置構成は記録紙の
裏面側に磁石を配置したものである。記録体(A)と記
録紙との間隔は0.3mmとしてステップ状駆動方式に
より非接触転写したところ、実施例4と同様高画質の画
像が得られた。
【0105】実施例6 ポリイミドフィルム(厚さ約75μm)にエキシマレー
ザーを照射して直径約200μmの穴を多数あけメッシ
ュ状にした。含フッ素アクリレート材料(TG702)
3mlをフレオンTF6mlで希釈したものをメッキュ
状フィルムにディップコートで塗布し、100℃で30
分乾燥してメッシュ状記録体(A)をつくった。次い
で、実施例1と同様の潜像を形成しインク液で現像し
た。続いて、記録体と記録紙の間隔を0.3mm、印加
電圧4000Vとしてステップ状駆動方式により非接触
転写したところ実施例4と同様の高画質の画像が得られ
た。
【0106】
【発明の効果】本発明の方法によれば、画像濃度にむら
のない高密度転写画像(非接触転写画像)、更には良質
なベタ部を有する転写画像(非接触転写画像)が得られ
る。特に、請求項1に記載の発明では、記録体(A)の回
転方向に連続ドットは接しているか又は近接しているの
で、連続している所としていない所の1ドット当りのイ
ンク量を均一化でき、より画像濃度のむらを減らすこと
ができる。また、請求項3及び5に記載の発明では、現
像時に潜像ドットどうしが独立に形成されるので、どの
ドットにおいてもインク量は均一であるばがりではな
く、記録体(A)の回転速度及び/又は記録紙等の搬送速度
を制御して非接触転写するという手段が採用されている
ので、記録紙等上で連続したドットどうしは確実に重な
るという効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)(c)及び(d)は表面自己配向
機能を有する形態の模式的な四例の図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明方法で用いられる記
録体(A)の作用を基本的に説明するための図である。
【図3】記録体(A)の作用をさらに説明するための図
である。
【図4】記録体(A)表面に液体を接触させた状態で記
録体(A)表面を加熱した場合、その記録体(A)表面
にみられる後退接触角θrの変化を表わした図である。
【図5】(a)及び(b)は本発明方法の二つの実施態
様を示したものである。
【図6】(a)及び(b)は記録体(A)の基体側から
加熱を施すことの二例を表わした図である。
【図7】(a)(b)(c)及び(d)は記録体(A)
表面に潜像を形成する手段の四例を表わした図である。
【図8】記録体(A)表面の潜像を可視像化(現像)す
る方法を表わした図である。
【図9】記録体(A)表面に潜像形成とともに可視化を
施す手段を示した図である。
【図10】記録体(A)の移動又は回転方向における連
続する潜像ドットの先端どうしの距離(d)と、それら
の潜像ドット間の距離(x)との関係を示した図であ
る。
【図11】記録体(A)上の潜像ドットの位置の一例を
示した図である。
【図12】記録紙等に非接触転写画像を得る様子を表わ
した図である。
【図13】記録体(A)上のインク像が記録紙等に転写
される様子を説明するための図であって、(a)は記録
体(A)上に形成された2つのラインからなるインク像
の図、(b)はその1ライン目のインク像が転写された
記録紙等上の画像の図、(c)は2ライン目のインク像
が転写された記録紙等上の画像の図である。
【符号の説明】
1,1' 基板 2,2' 膜 3a インク液 3'' 転写されたインク 4 ヒーター 5 潜像 7a’ 記録体(A) 81 背面電極 91 高圧電源

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記記録体(A)の表面を下記接触材料(B)
    と接触させた状態で選択的に加熱することにより又は記
    録体(A)の表面を選択的に加熱した状態で接触材料(B)と
    接触させることにより記録体(A)の表面に加熱温度に応
    じた後退接触角を示す潜像領域を形成せしめる接触材料
    (B)を記録体(A)表面に供給し、記録信号に従って記録体
    (A)の表面を加熱して潜像を形成せしめ、次いで、その
    潜像に記録液を供給して顕像化した後、可視像を記録紙
    等に転写する記録方法において、記録体(A)の移動又は
    回転方向における潜像ドットの先端どうし間の距離をd
    とした場合、記録体(A)の移動又は回転方向における潜
    像ドット間の距離(x)を0≦x(μm)<d(μm)
    とし、かつ、記録体(A)の移動速度又は周速を200
    xmm/sec以上として顕像化を行なうことを特徴と
    する記録方法。(A)加熱状態でかつ液体と接触させた場
    合に後退接触角が低下する表面を有する記録体。(B)液
    体、蒸気又は記録体(A)にいう後退接触角の低下開始温
    度以下で液体となるか、液体もしくは蒸気を発生する固
    体。
  2. 【請求項2】 前記接触材料として記録液を用いること
    により接触材料(B)の供給と記録液付与とを一体化した
    請求項1記載の記録方法。
  3. 【請求項3】 下記記録体(A)の表面を下記接触材料(B)
    と接触させた状態で選択的に加熱することにより又は記
    録体(A)の表面を選択的に加熱した状態で接触材料(B)と
    接触させることにより記録体(A)の表面に加熱温度に応
    じた後退接触角を示す潜像領域を形成せしめる接触材料
    (B)を記録体(A)表面に供給し、記録信号に従って記録体
    (A)の表面を加熱して潜像を形成せしめ、次いで、その
    潜像に記録液を供給して顕像化した後、可視像を記録紙
    等に転写する記録方法において、普通紙等の搬送速度を
    記録体(A)の移動速度又は周速より遅くして、かつ、転
    写を非接触で行なうことを特徴とする記録方法。(A)加
    熱状態でかつ液体と接触させた場合に後退接触角が低下
    する表面を有する記録体。(B)液体、蒸気又は記録体(A)
    にいう後退接触角の低下開始温度以下で液体となるか、
    液体もしくは蒸気を発生する固体。
  4. 【請求項4】 前記接触材料として記録液を用いること
    により接触材料(B)の供給と記録液付与とを一体化した
    請求項3記載の記録方法。
  5. 【請求項5】 下記記録体(A)の表面を下記接触材料(B)
    と接触させた状態で選択的に加熱することにより又は記
    録体(A)の表面を選択的に加熱した状態で接触材料(B)と
    接触させることにより記録体(A)の表面に加熱温度に応
    じた後退接触角を示す潜像領域を形成せしめる接触材料
    (B)を記録体(A)表面に供給する手段、記録体(A)の表面
    を加熱して潜像を形成する手段、その潜像に記録液を付
    与して顕像化する手段、及び可視像を記録紙等に転写す
    る手段を有する記録装置において、前記可視像を形成し
    た記録体(A)表面の記録液滴に電荷を注入するか又は前
    記記録液に磁性を有するものを用いるかし、前記記録紙
    等の裏面側に電極又は磁石を配置し、かつ、記録体(A)
    の移動速度又は周速を前記記録紙等の移動速度より速く
    して前記転写を非接触で行なわしめるようにしたことを
    特徴とする記録装置。(A)加熱状態でかつ液体と接触さ
    せた場合に後退接触角が低下する表面を有する記録体。
    (B)液体、蒸気又は記録体(A)にいう後退接触角の低下開
    始温度以下で液体となるか、液体もしくは蒸気を発生す
    る固体。
  6. 【請求項6】 接触材料(B)として前記記録液を用いる
    ことにより接触材料(B)の供給手段と記録液付与手段と
    を1つのものとした請求項5記載の記録装置。
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