JPH0544150B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は耐電圧を向上させた内燃機関用点火プ
ラグ（以下プラグと呼ぶ）に関するものである。

現在車両の省燃費が強く求められている。この
省燃費を計る手段とし高圧縮比化、希薄燃焼化が
行われている。こうした高圧縮希薄化に伴ない、
内燃機関の要求電圧が増大してきている。このた
め、要求電圧プラグの電気絶縁耐力が耐え得ない
という現象が散発されるようになつた。すなわ
ち、正規の火花ギヤツプで飛火する代りに、絶縁
碍子が電圧により電気絶縁破壊をおこし、ピンホ
ールをあけ、そのピンホールの場所に飛火してし
まう現象である。このため火花が混合気に触れ
ず、着火ミスをきたし、極端な場合エンジンスト
ツプに到ることとなる。

本発明者は、かかる原因を究明したところ、絶
縁碍子を支持するために金属ハウジングの内側に
突き出し状に設けられている段差部が影響してい
ることがわかつた。

つまり、この段差部の角部と、この角部に対向
する絶縁碍子の局部との間の電位傾斜が急となつ
てコロナ放電の集中を招き、その脚部にピンホー
ルが発生するのである。

本発明は上述の点に鑑みて案出れたものであつ
て、上記コロナ放電の分散を行なつてピンホール
の発生を低減しようとするものである。

以下本発明を具体的実施例により詳細に説明す
る。第１図、第２図において１はアルミナ磁器よ
りなる絶縁碍子で、中心に軸穴１ａが設けてあ
る。２は炭素鋼よりなる中軸で、絶縁碍子１の軸
穴１ａのうち上部に挿通してある。３は円筒状の
ハウジングで、耐熱、耐蝕性の金属で構成してあ
り、このハウジング３の内側にリング状気密パツ
キン４およびかしめリング５を介して上記絶縁碍
子１が固定してある。なおハウジング３には内燃
機関のシリンダブロツクに固定するためのネジ部
３ａが設けてある。６は中心電極であり、母体金
属としてニツケル−クローム（Ni−Cr）合金も
しくはインコネル600（商品名）から構成してあ
る。７は接地電極であり、母体金属として中心電
極と同じく、低クロム合金や高クロム合金である
耐熱合金からなつている。８は絶縁碍子１の軸穴
１ａ内に封着した導電性ガラスシール層であり、
銅粉末を低融点ガラスとから構成されており、こ
のシール層８で中軸２と中心電極６とを電気的に
接続すると共に、両者を絶縁碍子１の軸穴１ａに
移動なきよう固定してある。

なお、ここで本発明に係る要部を第２図に示
す。図において、３ｃはリング状の段差部であ
り、絶縁碍子１をハウジング３の内側にパツキン
４を介して気密的に支持するためのものであつ
て、その内側に突き出し状に形成してある。ここ
で、段差部３ｃの内径面３ｄは、絶縁碍子１のう
ち内燃機関の燃焼室内に裸出する脚部１ｂに微少
〓間を介して対向している。この内径面３ｄの下
端を３ｂ、上端を３ｅとしてあり、特に下端３ｂ
は少なくとも半径0.3mmの丸味状に形成してある。

本発明はプラグの電気絶縁耐力を向上させるた
め、上記段差部３ｃの内径面下端３ｂに丸味を付
したことを特徴とする。プラグの電気絶縁耐力の
最も弱い場所は一般的に考えると内径面上端３ｅ
の近傍であり、特にパツキン４の中心電極側であ
ると思われる。しかし、実際に絶縁破壊によりピ
ンホールのあく位置は内径面下端３ｂに対向する
脚部側１ｂの部分である。そこで、この原因を調
べるためコロナ放電時のコロナの写真を撮つた結
果、内径面下端３ｂに集中していることを突き止
めた。この状態の模式図を第５図に示す。第５図
ｂのＹ点が上記内径面下端３ｂにおけるコロナ放
電を示す。これはプラグ形式W16EX−Ｕ、印加
電圧24KVで撮影した例である。更に、コロナの
先端の下端面３ｂに対向する脚部１ｂのＸ点の電
位を測定してみると、ほとんど電圧降下していな
いことを突き止めた。この結果、あたかも支持部
３ｃの下端面３ｂが脚部表面に存在すると同様な
意味を持つことが判明した。これにより、支持部
３ｃの下端面３ｂと中心電極６との間の電位が極
端に急になつていることがわかつた。この場合の
仮想の等電位面を第３図に示す。このことから、
Ｘ点における電位傾度が急になり、下端面３ｂに
対向する脚部１ｂのＸ点の部分にピンホールがあ
くことが解明できた。従つて、この対策とし、コ
ロナ放電の発生を減少させるため電位傾度を緩や
かにすることとした。この手段として、実施例に
示すように下端面３ｂのＲを大きくすることとし
た。なお、このＲも詳しく調査した結果、0.3R
以上で徐々にピンホールのあく電圧が飽和するこ
とを確認した。この結果を第４図に示す。なお、
ここでテストしたプラグはW16EX−Ｕを基本と
し、ピンホール発生電圧を下げて電圧測定を容易
にするため、中心電極の外径を0.3mmほど径大と
し、碍子肉厚を薄くして実験した。

第４図の線Ａのように半径0.3mm以上の丸味を
前記下端面３ｂに付することでピンホールのあく
耐電圧レベルが30KV以上でかなりの高電圧の領
域である。

かかる半径の丸味を形成した型式W16EX−Ｕ
の点火プラグのコロナ放電時のコロナの写真を撮
影したところ、第６図のごとくであつた。この第
６図からわかるごとくハウジング３の支持部３ｃ
の下端面３ｂにおいてコロナ放電は第５図に比べ
て弱くなつていており、過度に集中していない。

ところで、絶縁碍子１の脚部１ｂにカーボンが
付着することによつて失火しないよう該脚部１ｂ
の表面にシリコン系オイルを主成分とした塗布剤
を塗布することが知られている。これを第７図に
示す。符号９が塗布剤である。かかる塗布剤処理
を施した点火プラグのピンホールのあく耐電圧レ
ベルは第４図の線Ｂのように線Ａに比べ約20％ほ
ど劣化してしまう。この原因は、やはりコロナの
集中し易くなるためである。モデル的にコロナの
集中状況を第８図に示す。このことから塗布剤の
ある場合でも内径面下端３ｂにＲを付けることは
効果がある。

また、支持部３ｃの空間に塗布剤を保持した第
７図の場合は第８図に示すように、電位傾度が塗
布剤の無い場合より大きくなり破壊電圧は低下す
る。

このため、塗布剤は支持部３ｃを埋めないよう
脚部２ｂの表面にだけ塗布し、第９図に示すよう
に支持部３ｃに空間を保持する必要がある。な
お、第９図は白金チツプ１０を備えた例である。

第１０図は本発明の他の実施例を示している。

以上述べたように、本発明によれば、コロナ放
電の集中を防ぎ、従つて脚部表面にピンホールの
生じる機会を減らすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す半断面図、第
２図は第１図の要部を拡大して示す断面図、第３
図および第４図は本発明の説明に供する特性図、
第５図および第６図は本発明の説明に供する模式
図、第７図は従来例を示す断面図、第８図は本発
明の説明に供する特性図、第９図および第１０図
は本発明の更に他の実施例を示す断面図である。 １……絶縁碍子、１ｂ……脚部、３……ハウジ
ング、３ｂ……下端面、３ｃ……支持部、６……
中心電極、７……接地電極。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 絶縁碍子と、この絶縁碍子のうち内燃機関の
   燃焼室内に裸出する脚部に保持した中心電極と、
   前記絶縁碍子の外周に固定した金属ハウジング
   と、このハウジングに設けた接地電極とを具備
   し、前記ハウジングの内側に、前記絶縁碍子を支
   持する突き出し状の段差部を備えており、この段
   差部の角部が前記絶縁碍子の前記脚部に微小間〓
   を介して対向している内燃機関用点火プラグであ
   つて、 前記段差部の前記角部を少なくとも半径0.3mm
   の丸味状になしたことを特徴とする内燃機関用点
   火プラグ。