JPH0543962A - アルミニウム複合材料 - Google Patents

アルミニウム複合材料

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JPH0543962A
JPH0543962A JP20053191A JP20053191A JPH0543962A JP H0543962 A JPH0543962 A JP H0543962A JP 20053191 A JP20053191 A JP 20053191A JP 20053191 A JP20053191 A JP 20053191A JP H0543962 A JPH0543962 A JP H0543962A
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JP
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composite material
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aluminum composite
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JP20053191A
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Teiichi Usami
禎一 宇佐見
Shigeru Mikubo
滋 三久保
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 現行鋳鉄やハイス鋼レベルの低い熱膨張係数
を有し、しかも高い摩擦摩耗特性を示す軽量の摺動部材
用アルミニウム複合材料を提供する。 【構成】 例えば体積率20%以上のAl23又はAl2
3・SiO2短繊維に対して体積率10〜20%のSi粒
子を加えて形成した繊維成形体に、Si含有量が所定重
量比のAl基合金溶湯を含浸させ複合化することによ
り、上記目的を達成し得る摺動部材用アルミニウム複合
材料を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、例えばロータリーコ
ンプレッサ用のベーン(ブレード)部材やロータ部材など
の摺動部材に適したアルミニウム複合材料の組成構造に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば空気調和機に使用されるロータリ
ーコンプレッサは、ロータリーシリンダ、該ロータリー
シリンダ内に偏心回転可能に支持されたロータ、上記ロ
ータリーシリンダの内周面側のベーン溝内に摺動可能に
嵌挿されているとともに常時上記ロータ面に摺接するベ
ーン、上記シリンダ両側のフロントヘッド及びリアヘッ
ド等により構成されている。そして、駆動用モータが回
転すると、カムシャフト部のカムの回転により上記ロー
タは上記シリンダ内を偏心回転し、それによって冷媒ガ
スが吸入口より上記シリンダ内に流入し圧縮されて吐出
口より吐出される。この時、上記ベーンは、上記ロータ
の偏心回転に応じて当該ロータの半径方向に相当な速度
で往復摺動(出没)運動を行う。 ところで、上記のロータやベーンのような摺動部材は、
従来一般には耐摩耗性や熱膨張係数の点から鋼や鋳鉄に
よって形成されていた。しかし、最近では上記のような
空気調和機用のロータリーコンプレッサにおいてはイン
バータ方式の位相制御が主流化して来たために高速回転
化が不可避の要求となっている。
【0003】ところが、上記鋼や鋳鉄は当然ながら比重
が高く質量が大である。そのために、ロータ軸受部の負
荷も大きく、またクランク軸の振れ幅も大きい。従っ
て、上記モータ部に於ける回転子と固定子の接触等の問
題も生じるようになり、一定レベル以上の高速回転には
対応することができない欠点がある。
【0004】また、ベーンに関しても、所定値以上の高
速回転になると慣性力が増大して往復動がロータの回転
に追従できなくなり、シール性が損なわれてガス漏れを
招く問題がある。
【0005】このような事情から、上記ロータやベーン
等の摺動部材を軽量で比較的耐摩耗性も高いアルミニウ
ム合金で製作することが検討されている。
【0006】しかし、アルミニウム合金単体の場合に
は、熱膨張係数が鉄の約2倍であり、従って他の鉄製部
品とのクリアランスの変動が大きくなりすぎることや耐
摩耗性が十分でないなどの点で問題があり、そのままで
は実用化することができない。
【0007】そこで、新たに耐摩耗性の向上、熱膨張係
数の低減を目的として種々の強化材料とマトリクスした
アルミニウム複合材料が考え出されている。例えばSi
Cウィスカーとアルミニウム合金による複合材料(特開
昭63ー230983号公報参照)がそれである。
【0008】しかし、上記SiCウィスカーとアルミニウ
ム合金による複合材料では、熱膨張係数は十分に低減さ
れるが、耐摩耗性の点では以下のような問題がある。 すなわち、上記SiCウィスカーは、アルミニウム合金
等の金属と複合化とすると、強度や硬度を著しく向上さ
せる特徴を有しているが、他面Al23(アルミナ)短繊
維等のセラミック系繊維と比較すると粒子構造が微細で
あるため、その摺動面に現れているSiCウィスカーが
マトリックスから脱落しやすい傾向がある。そしてSi
Cウィスカーが脱落すると、その摺動面で逆に研磨材の
ような作用をするために当該摺動部の摩耗量が増大する
傾向を示すようになる。
【0009】一方、例えば特開昭62ー30838号公
報に示されているように、Al23、Si34、SiC、
BN等のセラミック系粒子を強化材として混入したアル
ミニウム複合材料も提案されているが、上記の場合と同
様に摺動面からのセラミック粒子の脱落の欠点があり、
耐摩耗性の確保という点ではやはり問題がある。
【0010】そこで、最近では更に上記の問題を解決す
るものとして、例えば体積率20%以上のAl23又は
Al23ーSiO2短繊維成形体を強化材とし、これに耐
摩耗性に優れたSi含有量が重量比20%以上のAl基合
金溶湯よりなるマトリックス素材を所定の加圧状態下に
おいて含浸凝固させて形成したアルミニウム複合材料が
ある。
【0011】セラミック繊維の一種であるAl23(アル
ミナ)やAl23ーSiO2(アルミナ・シリカ)短繊維は、
マトリックス素材の硬度を高め同素材構成粒子の脱落を
効果的に防止する機能を有しており、後に詳述するよう
に本来的に体積率20%以上の場合が同機能を最も有効
に発揮する。またマトリックス素材は、Si含有量が例
えば20%以上の場合が最も耐摩耗度が高い。
【0012】従って、上記範囲のAl23又はAl23
SiO2短繊維成形体に上記耐摩耗性に優れた例えばSi
含有量が重量比20%以上のAl基合金溶湯を含浸させ
て凝固させた摺動部材では、低い熱膨張係数と極めて高
い耐摩耗性とを共に呈示するようになる。
【0013】また中でも、特にセラミック系短繊維とし
てAl23ーSiO2(アルミナ・シリカ)短繊維成形体を
選択して構成されたものでは、SiO2(シリカ)の付加に
よってAl23(アルミナ)の場合よりも更に熱膨張係数
を低くすることが可能となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術の構成において、アルミナ短繊維又はアルミナ・シリ
カ短繊維の体積率を高くすればするほど熱膨張係数は低
下する。
【0015】しかし、アルミナ短繊維又はアルミナ・シ
リカ短繊維の体積率が30%を超えるようになると、製
造技術上の理由から成形体内へのアルミニウム合金の加
圧含浸が困難となる。そのために、熱膨張係数の低減に
も限界があり、上記従来技術によるアルミニウム複合材
料では摺動部材としては未だ熱膨張係数が若干高すぎる
問題がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1および2
記載の各発明は、共に上記従来技術上の問題を解決する
ことを共通の目的としてなされたものであり、各々次の
ような技術的課題解決手段を備えて構成されている。
【0017】(1) 請求項1記載の発明のアルミニウム
複合材料 該請求項1記載のアルミニウム複合材料は、体積率20
%以上のAl23短繊維に対して体積率10〜20%の
Si粒子を加えて形成した繊維成形体に、Si含有量が所
定重量比のAl基合金溶湯を含浸させて形成されてい
る。
【0018】(2) 請求項2記載の発明のアルミニウム
複合材料 該請求項2記載の発明のアルミニウム複合材料は、体積
率20%以上のAl23−SiO2短繊維に対して体積率
10〜20%のSi粒子を加えて形成した繊維成形体
に、Si含有量が所定重量比のAl基合金溶湯を含浸させ
て構成されている。
【0019】
【作用】本願の請求項1および2記載の発明のアルミニ
ウム複合材料は、各々以上のように構成されている結
果、当該各構成に対応して次のような作用を奏する。
【0020】(1) 請求項1記載の発明のアルミニウム
複合材料の作用 上記請求項1記載の発明のアルミニウム複合材料では、
体積率20%以上のAl23短繊維に対し体積率10〜
20%の耐摩耗性に優れたSi粒子を混合して繊維成形
体を形成し、該成形体にSi含有量が所定重量比のAl基
合金溶湯よりなるマトリックス素材を例えば所定の加圧
状態下において含浸させた上で凝固させることにより構
成されている。
【0021】セラミック系繊維の一種であるAl23(ア
ルミナ)短繊維は、マトリックス素材の硬度を高め同素
材構成粒子の脱落を効果的に防止する機能を有してお
り、本来的に体積率20%以上の場合が同機能を最も有
効に発揮する。またマトリックス素材は、Si含有量が
高いものの場合の方が耐摩耗度が高い。
【0022】従って、上記構成のSi粒子を混合したAl
23短繊維成形体に更に耐摩耗性に優れたSiを所定量
含有したAl基合金溶湯を含浸凝固させて形成したアル
ミニウム複合材料の摺動部材では、十分に低い熱膨張係
数と極めて高い耐摩耗性を呈示するようになる。
【0023】(2) 請求項2記載の発明のアルミニウム
複合材料の作用 上記請求項2記載の発明のアルミニウム複合材料では、
体積率20%以上のAl23ーSiO2短繊維に対し体積
率10〜20%の耐摩耗性に優れたSi粒子を混合して
繊維成形体を形成し、該成形体にSi含有量が所定重量
比のAl基合金溶湯よりなるマトリックス素材を例えば
所定の加圧状態下において含浸させた上で凝固させるこ
とにより構成されている。
【0024】セラミック系繊維の一種であるAl23
SiO2(アルミナ・シリカ)短繊維は、マトリックス素材
の硬度を高め同素材構成粒子の脱落を効果的に防止する
機能を有しており、本来的に体積率20%以上の場合が
同機能を最も有効に発揮する。またマトリックス素材
は、Si含有量が高いものの場合の方が耐摩耗度が高
い。
【0025】従って、上記構成のSi粒子を混合したAl
23ーSiO2短繊維成形体に更に耐摩耗性に優れたSi
を所定量含有したAl基合金溶湯を含浸凝固させて形成
したアルミニウム複合材料の摺動部材では、十分に低い
熱膨張係数と極めて高い耐摩耗性を呈示するようにな
る。
【0026】また該請求項2記載の発明のアルミニウム
複合材料では、セラミック系繊維として特にAl23
SiO2(アルミナ・シリカ)短繊維を選択して構成してお
り、SiO2(シリカ)粒子の付加によって更に熱膨張係数
を低くすることが可能となっている。
【0027】
【発明の効果】従って、本願発明のアルミニウム複合材
料によると、軽量で熱膨張係数が低くしかも耐摩耗性の
高いロータリコンプレッサ用等高速回転に適した摺動部
材を提供することができるようになる。
【0028】従って、仮に空気調和機用のロータリコン
プレッサのロータ部材やベーン部材等の摺動部材に適用
したとしても高速回転が可能で安定したクリアランスを
維持することができるようになり、従来の欠点を確実に
解消することができる。
【0029】
【実施例】以下、本願発明の実施例について詳細に説明
する。
【0030】(1) 第1実施例(請求項2記載の発明に
対応) 本実施例においては、母材として例えば体積率20%以
上の範囲内にある同体積率が20%のセラミック系Al2
3(アルミナ)短繊維を採用し、該Al23短繊維に対し
体積率15%と20%のSi粒子を混合してSi粒子の混
合量を異にする2組の繊維成形体を形成する。そして、
該2組の成形体を各々所定の金型内にセットして予熱し
た後、それぞれに下記(表1),(表2)に示すSi含有量を
異にする2種類のマトリクス素材である第1、第2のア
ルミ基合金AlーSi−Cu−Mg−Ni溶湯を注入し、例
えばプランジャによる1t/cm2程度の加圧状態下におい
て十分に含浸させた上で凝固させることによって合計4
種(B,C,E,F・・・・下記の表3参照)のロータ又は
ベーン等のロータリコンプレッサ用の摺動部材を製造
(鋳造)した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】そして、このようにして製造した4組の摺
動部材のテストピース(サンプル)を「JIS.T6」に基
く加熱冷却処理(500℃で4時間加熱した後水で急冷
却し、再び200℃で4時間加熱)して元素成分を折出
固溶させ、適度な粒子構造とした後に例えば図4に示す
ピンオンディスク式摩擦摩耗試験機にかけて各々摩耗テ
ストを行った。なお、図4において、符号1は固定側の
第1ディスク、同2は回転駆動側の第2ディスク、同3
a,3b,3c(3cは見えないため図示省略)は第1ディスク
1側に固定された3本のテストピースを各々示してい
る。そして、上記テストピース3a,3b,3cと第2ディ
スク2とが相対的に摺動して、当該テストピース3a,3
b,3cの第2ディスク2素材に対する摩耗量が測定され
る。該摩耗テストは、下記の(表3)に示す如く本願発明
実施例の上記4種の材料(テストピース材料)を(B),
(C),(E),(E)とし、一方その比較材料として、同じく
下記の(表3)に示すようなロータリコンプレッサのベー
ンに一般的に使用されているハードナブル鋳鉄B2(G)
や上記表(1)の組成のJISーC9A高ケイ素アルミニ
ウム合金にCuを混入したもの(H)、JISーC8Aア
ルミニウム合金単体(I)、さらに本件出願人によって既
に開発されているJIS−C9Aのアルミニウム合金に
Cuを混入したものとアルミナ・シリカ短繊維(体積率3
0%)とを複合化した第1のアルミ複合材(A)、上記(表
2)のJIS−C8Aアルミニウム合金とアルミナ・シ
リカ短繊維(体積率30%)とを複合化した第2のアルミ
ニウム合金(D)の5種を選んだ。
【0034】
【表3】
【0035】また、相手方(第2ディスク2)の材料とし
ては、ロータ材として一般的なMo−Ni−Cr鋳鉄を使
用した。
【0036】そしてテストは、すべり速度1m/sec、面
圧荷重F=645Kg/cm2、雰囲気:スニソ4GS油中
70℃、摺動距離:3.6,14.4,25,2(km)の条件で行った。
【0037】その結果は、例えば図1に示されているよ
うに、先ず本発明実施例の複合材料(B),(C)は上記い
ずれの比較材料(A),(D),(G),(H),(I)よりも優れた
耐摩耗性を示している。
【0038】一方、本発明実施例の複合材料の中でもマ
トリクス材としてSi含有量の少ないJIS−C8Aア
ルミニウム合金(表2のもの)単体を使用したもの(E),
(F)では、例えAl23ーSiO2短繊維で強化されてい
てもマトリックス素材であるアルミニウム合金中のSi
量が11.6%程度(20%未満)であれば十分な耐摩耗性が
得られないことがわかる。従って、少なくとも上記アル
ミ合金マトリックス中のSi量は、少なくとも20%〜
25%は必要である。
【0039】今、例えば該アルミニウム合金中のSi含
有量と摩耗体積量との関係を、上記強化材Al23−Si
2の体積率Vfが20%と27%の2つの場合を例にと
って上記の実験結果に基いてグラフ化して見ると図2の
ようになる。
【0040】つまり、この図2の実験データから明らか
なように上記体積率27%のアルミナ・シリカ強化材V
F27の場合でもマトリックス合金中のSi量が20%
〜25%でないと目標とする現行材料(鋳鉄)レベルの耐
摩耗性(摩耗体積1〜5)は得られない。
【0041】次に、(表4)に上記各材料(A)〜(I)の5
0℃〜200℃の温度範囲における熱膨張係数の測定結
果を示す。
【0042】
【表4】
【0043】また、同熱膨張係数と強化材であるAl2
3−SiO2短繊維成形体中のSi粒子体積率(Wt%)との
関係を図3に示す。
【0044】この場合、目標とする熱膨張係数の基準値
は、例えば現行鋳鉄レベルの10.8/106・℃〜13.8/106
・℃の範囲である。
【0045】そこで、上記(表4)の測定結果を見ると、
JISーC8Aアルミニウム合金(I)やJIS−C9A
+Cuのアルミニウム合金(H)では熱膨張係数は20.3/1
06・℃、18.0/106・℃と現行鋳鉄レベル(G)に比べて
かなり大きい値であるが、本発明実施例のアルミニウム
複合材料(B),(C),(E),(F)では何れも現行鋳鉄材料
(G)と略同等の値を示していることが明らかである。 これは、上述のように体積率20%のAl23・SiO2
短繊維に更に体積率10%〜20%のSi粒子が均一に
混合される結果、強化材自体が高Si状態のものにな
り、実質的にマトリクス材側のSi含有量を増加させた
のと同様に作用するものと考えられる。
【0046】(2) 第2実施例(請求項1記載の発明に
対応) 本実施例では、例えば上記第1実施例のAl23ーSiO
2(アルミナ・シリカ)と同じく体積率20%以上の範囲
内である体積率20%のAl22(アルミナ)短繊維に体
積率10%〜20%のSi粒子を加えて繊維成形体を形
成し、該繊維成形体を所定の鋳造用金型内にセットして
予熱した後、上記第1実施例と同じ上記の(表1),(表
2)に示す組成の2種のアルミニウム合金溶湯を注入
し、プランジャーにより約1t/cm2の圧力を加えてロー
タリコンプレッサ用のロータ又はベーン等の摺動部材を
製造(鋳造)した。
【0047】そして、このサンプルを第1実施例同様
「JIS・T6」に基いて加熱・冷却処理(500℃×4
時間→水冷→200℃×4時間)した後、上記第1実施
例同様の摺動部材を得た。
【0048】Al23(アルミナ)は、セラミック系繊維
として上記Al23ーSiO2(アルミナ・シリカ)に比較
して熱膨張係数低減の点で若干劣る以外は殆んど同様の
性質を有している。従って、該第2実施例のものでも上
記第1実施例の摺動部材とほぼ等しい耐摩耗性を実現す
ることができる。
【0049】一般に、マトリックス素材中の繊維や粒子
はサイズが大きいほど脱落するために必要な塑性変形量
が大きくなり、そのために脱落しにくいと考えられる。
上記本発明のようにセラミック系の繊維としてAl2
3(アルミナ)又はAl23ーSiO2(アルミナーシリカ)短
繊維を用いると、これらの繊維がマトリックス素材その
ものの硬度を向上させ、また上述の如く構成粒子を脱落
させにくくすることから耐摩耗性が著しく向上するよう
になる。そしてAl23又はAl23ーSiO2短繊維成形
体の体積率は、上記実験結果からも明らかな通り20〜
30%の範囲が望ましい。これは例えば仮に上記耐摩耗
性にとっては十分なSi量20%以上のマトリックス合
金を含浸させた場合であっても、セラミック系繊維の体
積率が20%以下では耐摩耗性の向上、熱膨張係数の低
減が不十分であり、一方30%以上になると製造上の理
由から成形体への加圧含浸が困難となることによる。
【0050】つまり、マトリックス素材であるアルミニ
ウム系合金としては上述の如く低熱膨張係数、耐摩耗性
の点からSi;20〜25%であることが望ましく、また
他の成分としてはCu;2.0〜5.0%、Mg;0.5〜2.0%、N
i;0.1〜1.5%の組成であることが望ましい。Siが20
%以下になるとAl23又はAl23ーSiO2短繊維の成
形体と複合化しても要求される耐摩耗性や低熱膨張係数
を得ることが難しくなる。また、Siが25%を越える
と(例えば30%になると)AlーSi合金の融点が高くな
るために一般に製造条件、金型寿命、炉寿命等に問題が
生じ易くなり、特種な装置が必要となる。
【0051】ただし、この場合における上記融点限界
(Si=25%)および含浸限界(Vf=30%)は、共に汎
用的な製造工程下に於けるものとして表しており、特種
な製造装置を構成したり、例えば加圧度を高めるなどの
特別な製造方法を採用すると上記各限界値が或る程度上
昇することはもちろんである。 さらに上記マトリックス成分中のCu及びMgはマトリッ
クスの強度向上を目的としており、マトリックスの強度
を向上させることにより繊維の脱落を減少させることが
出来るメリットがある。
【0052】またCuは2〜5%が望ましく、2%以下
では効果が少なく、一方5%を越えても、その結果に大
きな変化が見られない。MgもCuと同様の理由により0.
5〜2%が望ましい。Niはマトリックスの結晶粒の微細
化による強度向上を目的としており、例えば0.1〜1.5%
が適当である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、図4に示す摩擦摩耗試験機の下におけ
る各材料の摩耗量測定値を対比して示すグラフである。
【図2】図2は、本願発明の第1実施例におけるアルミ
ニウム複合材料のマトリクス成分中のSi量が耐摩耗性
に与える影響度を表した実験データグラフである。
【図3】図3は、同実施例におけるSi粒子の体積率と
熱膨張係数との関係を示した実験データグラフである。
【図4】図4は、同実施例において使用される摩擦摩耗
試験機の構成を示す斜視図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体積率20%以上のAl23短繊維に対
    して体積率10〜20%のSi粒子を加えて形成した繊
    維成形体に、Si含有量が所定重量比のAl基合金溶湯を
    含浸させてなるアルミニウム複合材料。
  2. 【請求項2】 体積率20%以上のAl23−SiO2
    繊維に対して体積率10〜20%のSi粒子を加えて形
    成した繊維成形体に、Si含有量が所定重量比のAl基合
    金溶湯を含浸させてなるアルミニウム複合材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08269593A (ja) * 1994-11-28 1996-10-15 Hyundai Motor Co ウィスカー予備成形体製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH08269593A (ja) * 1994-11-28 1996-10-15 Hyundai Motor Co ウィスカー予備成形体製造方法

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