JPH0543816U - 刈払機における安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 刈払機の安全性を向上する。 【構成】 一方向に回転駆動される駆動軸２とその先端
部外側に設けた刈刃４との間にトルクリミッタ１０を組
込む。刈刃４に過負荷がかかった場合に、トルクリミッ
タ１０の作動によって駆動軸２から刈刃４への回転トル
クの伝達を遮断し、駆動軸２を空転させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、草等を刈り取る刈払機の安全装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

肩かけバンドを有する操作棒の後端にエンジンを取付け、そのエンジンを駆動 して操作棒の先端部に回転自在に支持された駆動軸を回転し、その駆動軸に取付 けた円形の刈刃によって草を刈り取るようにした刈払機は従来から知られている 。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来の刈払機においては、駆動軸の先端部に刈刃を固定した構成で あるため、刈刃に衝撃的な大きな負荷がかかると、刈刃が破損して飛び散り、怪 我させる危険がある。

【０００４】 また、草の巻付き等によって刈刃が停止する状態においてもエンジンは駆動状 態にあるため、エンジンが焼付くおそれがある。

【０００５】 この考案は、刈刃に大きな負荷がかかると駆動軸が空転するようにして刈刃の 破損およびエンジンの焼付きを防止し、刈払機の安全性を高めることを技術的課 題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、この考案においては、駆動軸と刈刃との間に、 刈刃にかかる負荷が設定値を越えると、駆動軸から刈刃への回転トルクを遮断す るトルクリミッタを組込んだ構成を採用したのである。

【０００７】 そして、上記トルクリミッタとして、駆動軸に先端面で開口する軸方向のピン 挿入孔と、外周からピン挿入孔に連通するポケットとを形成し、上記ピン挿入孔 に軸方向のスリットを有するリセットピンと、そのリセットピンを外方向に押圧 するばねとを組込み、リセットピンのピン挿入孔内に位置する先端部外周に係合 片を設け、ピン挿入孔の内周には上記係合片が係合する係合溝を形成し、刈刃の 内径部には駆動軸の先端部外周に回転自在に設けられる環状部材を固定し、その 環状部材の内径面には上記ポケットに対向して係合凹部を設け、その係合凹部と ポケットとにボールを組込み、前記リセットピンには、そのリセットピンの外方 向への移動時にポケットと対向してピン挿入孔の内径面間にボールが収容可能な 環状空間を形成する小径軸部と、その小径軸部の後端に連続し、リセットピンの 押し込み時にボールを外径方向に押圧するテーパ面とを設けた構成から成るもの を採用したのである。

【０００８】

【作用】

上記の構成において、駆動軸を回転すると、その回転はトルクリミッタを介し て刈刃に伝達される。刈刃にかかる負荷が大きくなり、その負荷がトルクリミッ タの設定値を越えると、トルクリミッタが作用して駆動軸の回転は刈刃に伝達さ れず、駆動軸が空転する。

【０００９】 リセットピンを有するトルクリミッタを用いたものにおいては、刈刃に過負荷 がかかると、ボールがピン挿入孔内に向けて移動してリセットピンを内方向に変 形させる。その変形によって係合溝と係合片の係合が解除し、リセットピンはば ねで押されて外方向に移動し、小径軸部がポケットと対向する。このため、ボー ルはポケットと小径軸部の外径面間に保持され、切欠部とボールの係合解除によ って駆動軸が空転する。

【００１０】

【実施例】

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。図１に示すように、 軸受筒１は、図示省略した操作棒の先端に固定されている。軸受筒１の内側に挿 通した駆動軸２は軸受３によって回転自在に支持され、図示省略したエンジンに よって回転される。

【００１１】 駆動軸２の先端部外側には環状の刈刃４が設けられ、その刈刃４の外周一部を 残して残りの全体を覆うカバー５が軸受筒１の下端に取付けられている。

【００１２】 刈刃４の内径部には環状部材６が固定され、その環状部材６は駆動軸２に形成 したフランジ７と駆動軸２に取付けた止め輪８によって軸方向に移動するのが防 止されている。

【００１３】 環状部材６と駆動軸２との間には、駆動軸２の回転を刈刃４に伝達し、刈刃４ にかかる負荷が設定値を越えると刈刃４への回転トルクの伝達を遮断するトルク リミッタ１０が組込まれている。

【００１４】 トルクリミッタ１０は、駆動軸２に先端面で開口する軸方向のピン挿入孔１１ を形成し、そのピン挿入孔１１にリセットピン１２とばね１３とを組込み、上記 ばね１３でリセットピン１２を外方向に押圧している。ここでリセットピン１２ は軸方向のスリット１２ａを有し、そのスリット１２ａの両側の脚部１２ｂが内 方向に変形可能となっている。

【００１５】 また、駆動軸２には、フランジ７と止め輪８間において、ピン挿入孔１０に連 通するポケット１４を形成し、一方環状部材６の内径面には上記ポケット１４に 対向して半円形の係合凹部１５を設け、この係合凹部１５とポケット１４間にボ ール１６を組込み、駆動軸２の回転をボール１６を介して刈刃４に伝えるように している。

【００１６】 さらに、前記リセットピン１２のピン挿入孔１１内に位置する先端部外周に係 合片１７を形成し、一方、ピン挿入孔１１の内周には係合溝１８を設け、この係 合溝１８と係合片１７の係合によってリセットピン１２が外方向に移動するのを 防止している。

【００１７】 また、リセットピン１２の先端部にはピン挿入孔１１の内径面との間に前記ボ ール１６が収容可能な環状空間を形成する小径軸部１９を設け、その小径軸部１ ９の後端に連続してテーパ面２０を設けてある。このテーパ面２０は、リセット ピン１２をピン挿入孔１１内に押し込んだとき、ボール１６を駆動軸２の外径方 向に押すようになっている。

【００１８】 実施例で示す刈払機の安全装置は上記の構造から成り、草の刈り取りに際して は、エンジンを駆動して駆動軸２を回転させる。

【００１９】 いま、駆動軸２を回転すると、その回転は、ボール１６を介して刈刃４に伝達 され、刈刃４が回転する。その刈刃４にかかる負荷がトルクリミッタ１０の設定 トルクを越えると、刈刃４に対して駆動軸２が相対的に回転し、その相対回転に よってボール１６は駆動軸２の半径方向に移動し、リセットピン１２を内方向に 押圧する。このため、リセットピン１２は、図４に示すように、脚部１２ｂが内 方向に変形し、係合片１７が係合溝１８から外れる。

【００２０】 リセットピン１２はばね１３によって外方向に押圧されているため、係合片１ ７と係合溝１８の係合が解除すると、リセットピン１２は上記ばね１３で押され て外方向に移動し、図５に示すように、小径軸部１９がポケット１４と対向する 。このため、ボール１６はさらに内方向に移動して図６に示すように、係合凹部 １５から外れ、その係合凹部１５とボール１６の係合解除によって、駆動軸２の 回転は刈刃４に伝達されず、駆動軸２が空転する。

【００２１】 このように、刈刃４にトルクリミッタ１０の設定トルクを越える負荷がかかる と、刈刃４は停止するため、刈刃４の破損を防止することができると共に、駆動 軸２を回転させるエンジンの負荷が小さく、エンジンの焼付きを防止することが できる。

【００２２】 トルクリミッタ１０を作動可能な状態に戻すには、エンジンを停止させた状態 において、リセットピン１２をピン挿入孔１１内に向けて押し込み、同時に刈刃 ４を一方向にゆっくりと回転させる。

【００２３】 リセットピン１２の押し込みにより、ボール１６はテーパ面２０によって外方 向に押圧され、環状部材６の係合凹部１５がポケット１４と対向すると、ボール １６が外方向に移動して係合凹部１５に係合する。

【００２４】 また、リセットピン１２はピン挿入孔１１内に向けてさらに移動し、係合片１ ７が係合溝１８に対向すると、脚部１２ｂの復元弾性によって係合片１７が係合 溝１８に係合すると共に、リセットピン１２の外径面がボール１６と対向してボ ール１６の内径方向への移動を防止する。このため、ボール１６はポケット１４ と係合凹部１５に係合する状態に保持され、駆動軸２の回転時に、その回転を刈 刃４に伝達する。

【００２５】

【考案の効果】

この考案は以上のように構成したので、下記に示す効果を奏する。

【００２６】 請求項１に記載の安全装置によれば、刈刃に過負荷がかかると、トルクリミッ タの作動によって駆動軸が停止し、刈刃が停止するため、刈刃の破損および破損 片の飛散を防止することができ、安全に作業をすることできる。

【００２７】 請求項２に記載の安全装置によれば、刈刃に過負荷がかかるとリセットピンが 外方向に移動し、その移動によってボールが係合から外れる状態に保持されるた め、刈刃にかかる負荷がなくなった場合でも刈刃を停止状態に保持することがで きる。このため、刈刃の再回転による怪我の発生を未然に防止し、安全性をさら に高めることができる。

【００２８】 また、リセットピンを押し込み乍ら刈刃を回転させることによってボールが係 合凹部に係合する状態に戻すことができるためトルクリミッタの復帰動作も容易 である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る安全装置の一実施例を示す断面
図

【図２】図１のII−II線に沿った断面図

【図３】図１のIII −III 線に沿った断面図

【図４】同上の作動状態を示す断面図

【図５】同上の作動状態を示す断面図

【図６】図５のVI−VI線に沿った断面図

【符号の説明】

２ 駆動軸 ４ 刈刃 ６ 環状部材 １０ トルクリミッタ １１ ピン挿入孔 １２ リセットピン １２ａ スリット １３ ばね １４ ポケット １５ 係合凹部 １６ ボール １７ 係合片 １８ 係合溝 １９ 小径軸部 ２０ テーパ面

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方向に回転される駆動軸の先端部に刈
   刃を取付けた刈払機における安全装置において、前記駆
   動軸と刈刃との間に、刈刃にかかる負荷が設定値を越え
   ると駆動軸から刈刃への回転トルクの伝達を遮断するト
   ルクリミッタを設けたことを特徴とする刈払機における
   安全装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の刈払機における安全装
   置において、前記トルクリミッタが、駆動軸に先端面で
   開口する軸方向のピン挿入孔と、外周からピン挿入孔に
   連通するポケットとを形成し、上記ピン挿入孔に軸方向
   のスリットを有するリセットピンと、そのリセットピン
   を外方向に押圧するばねとを組込み、リセットピンのピ
   ン挿入孔内に位置する先端部外周に係合片を設け、ピン
   挿入孔の内周には上記係合片が係合する係合溝を形成
   し、刈刃の内径部には駆動軸の先端部外周に回転自在に
   設けられる環状部材を固定し、その環状部材の内径面に
   上記ポケットに対向して係合凹部を設け、その係合凹部
   とポケットとにボールを組込み、前記リセットピンに
   は、そのリセットピンの外方向への移動時にポケットと
   対向してピン挿入孔の内径面間にボールが収容可能な環
   状空間を形成する小径軸部と、その小径軸部の後端に連
   続し、リセットピンの押し込み時にボールを外径方向に
   押圧するテーパ面とを設けた構成から成る刈払機におけ
   る安全装置。