JPH0543800A - 安定化された樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

安定化された樹脂組成物及びその成形体

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JPH0543800A
JPH0543800A JP22964191A JP22964191A JPH0543800A JP H0543800 A JPH0543800 A JP H0543800A JP 22964191 A JP22964191 A JP 22964191A JP 22964191 A JP22964191 A JP 22964191A JP H0543800 A JPH0543800 A JP H0543800A
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acid
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resistance
amine
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JP22964191A
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Kenji Yasue
健治 安江
Takashi Ida
孝 井田
Shigeru Hayase
茂 早瀬
Shinichiro Katahira
新一郎 片平
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリヘキサメチレンアジパミドの耐ホットオ
イル性を大きく改良すると同時に優れた耐熱エージング
性を付与し、しかもポリヘキサメチレンアジパミド固有
の耐熱性、機械的強度、耐摩擦摩耗性および耐薬品性を
保持したところの安定化された樹脂組成物を提供する。
さらにはかかる安定化された樹脂組成物からなる耐久性
に優れた高温潤滑油接触成形体、特にベアリングリテー
ナーを提供する。 【構成】 ポリヘキサメチレンアジパミド(a)とガラス
転移温度が100℃以上である非晶性ポリアミド(b)と
からなるポリアミド樹脂組成物のマトリクス相(A)9
9.9%から45重量%、アミン系老化防止剤またはハ
イドロタルサイトから選ばれる添加物0.1から5重量
%、および強化材(C)0から50重量%とからなる安
定化された樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は安定化された樹脂組成物
およびその成形体に関する。さらに詳しくはポリヘキサ
メチレンアジパミドと高ガラス転移温度の非晶性ポリア
ミドとからなる特定の樹脂組成物をマトリクスとする相
に、特定量のアミン系老化防止剤またはハイドロタルサ
イトを配合してなる安定化された樹脂組成物、およびそ
の成形体に関する。本発明の安定化された樹脂組成物は
場合に応じて強化材が配合され、その極めて高度の耐ホ
ットオイル性、優れた耐熱エージング性、機械的強度、
耐摩擦摩耗性および耐薬品性により、自動車や2輪車等
のトランスミッション、デフ、エンジン機構部、特にベ
アリングリテーナーなどの潤滑油中で、あるいはそれに
接触する条件下で使用される成形体に応用される。
【0002】
【従来の技術】ポリヘキサメチレンアジパミドに代表さ
れるポリアミド樹脂は耐熱性、機械的強度、耐摩擦摩耗
性および耐薬品性に優れるため、各種の構造部品として
広く応用されている。しかし自動車や2輪車等のトラン
スミッション、デフ、エンジン機構部、特にベアリング
リテーナーなどの潤滑油中で、あるいはそれに接触する
条件下で使用される部品では使用温度条件が通常は80
℃程度であるが、走行条件、環境、車の形式などによ
り、120から130℃、場合によっては150℃以上
の温度に達する場合がある。このような用途において
は、ポリヘキサメチレンアジパミド単独では、そのよう
な部品に用いた場合、高温度下で潤滑油に接触するため
熱劣化あるいは酸化劣化するばかりでなく、潤滑油ある
いはそれに含まれる各種添加剤により著しく侵され、表
面にクラックが発生したり、極度に強度の低下が生じた
りした。
【0003】ポリアミド樹脂のかかる耐ホットオイル性
を改良する試みとしては、特開昭63−137954号
公報に記載のように、アルカリ金属あるいはアルカリ土
類金属の酸化物あるいは水酸化物を配合する方法が知ら
れている。しかしかかるポリアミド樹脂組成物はアイゾ
ット衝撃強度に代表される靱性が低下するばかりでな
く、ホットオイルに対する抵抗性も顕著には改良されな
い。また他の試みとしては、特開平1−185364号
公報に記載のように、補強剤およびアミン系老化防止剤
を配合する方法が知られているが、この場合にもホット
オイルに対する抵抗性は顕著には改良されていないのが
実状である。このようにより高い耐熱性、より優れた耐
ホットオイル性を有するポリアミド樹脂が強く求められ
ていたにもかかわらず、このような要請に十分に応える
ポリアミド樹脂組成物は知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情に鑑み、本
発明の課題はポリヘキサメチレンアジパミドの耐ホット
オイル性を大きく改良し、かつ優れた耐熱エージング性
を付与し、しかもポリヘキサメチレンアジパミドの固有
の耐熱性、機械的強度、耐摩擦摩耗性および耐薬品性を
保持したところの安定化された樹脂組成物を提供するこ
とにある。また本発明の他の課題はかかる安定化された
樹脂組成物からなる耐久性に優れた高温潤滑油接触成形
体、特にはベアリングリテーナーを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、ポリヘキサメチレンアジパミドと高ガラス
転移温度の非晶性ポリアミドとからなる特定の樹脂組成
物をマトリクスとする相に、特定量のアミン系老化防止
剤および/またはハイドロタルサイト、さらに必要に応
じて強化材を配合してなる安定化された樹脂組成物がか
かる課題をことごとく解決することを見いだし、本発明
に到達したものである。
【0006】本発明の樹脂組成物においてはポリヘキサ
メチレンアジパミドに特定の非晶性ポリアミドを存在せ
しめたマトリクス相を用いることより、耐ホットオイル
性が劇的に改良されていることは全く驚くべきことであ
って、本発明によってはじめて明かとなった知見であ
る。さらに驚くべきことに本発明の樹脂組成物は特定量
のアミン系老化防止剤および/またはハイドロタルサイ
トを含むことにより、ポリヘキサメチレンアジパミド単
独の場合高温度下で潤滑油に接触する際にその表面に発
生するクラックが効果的に防止される。加えるに本発明
の樹脂組成物はそれを構成するところのポリヘキサメチ
レンアジパミド固有の耐熱性、機械的強度、耐摩擦摩耗
性および耐薬品性がそのまま保持されている。
【0007】すなわち本発明の要旨は、ポリヘキサメチ
レンアジパミド(a)99から50重量%とガラス転移温
度が100℃以上である非晶性ポリアミド(b)1から5
0重量%((a)と(b)の合計は100重量%)とからなる
ポリアミド樹脂組成物のマトリクス相(A)99.9%
から45重量%、アミン系老化防止剤またはハイドロタ
ルサイトから選ばれる添加剤(B)0.1から5重量
%、および強化材(C)0から50重量%((A)、
(B)および(C)の合計は100重量%)とからなる
安定化された樹脂組成物、およびその高温潤滑油接触成
形体である。
【0008】本発明でいうところの非晶性ポリアミドと
は示差熱分析計を用いて20℃/分の昇温速度で測定し
たとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示さないポリ
アミドをいう。本発明でいうところのガラス転移温度は
同じく示差熱分析計を用いて20℃/分の昇温速度で測
定することによって比熱の転移温度として、常法により
求められる。
【0009】本発明において(A)のマトリクス相を構
成するところのポリヘキサメチレンジアパミドとはヘキ
サメチレンジアミンとアジピン酸およびそれらの機能誘
導体からなるポリアミドをおもな構成単位とするもので
あるが、そのアジピン酸成分またはヘキサメチレンジア
ミン成分の一部を他の共重合成分で置き換えたものでも
よい。共重合成分は特に制限がなく、公知のアミド基形
成成分を用いることができる。共重合成分の代表例とし
て、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン
酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香
酸などのアミノカルボン酸、ε−カプロラクタム、ω−
ラウリルラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジア
ミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジア
ミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メ
タキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,3−
ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−ア
ミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、
ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3ー
アミノシクロヘキシル)メタン、3ーアミノシクロヘキ
シルー4ーアミノシクロヘキシルメタン、ビス(3−メ
チル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビ
ス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミ
ノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラ
ジンなどのジアミンと、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ドデカン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、
2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5
−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフ
タル酸、ジグリコール酸などのジカルボン酸、などをあ
げることができる。
【0010】本発明で用いられるポリヘキサメチレンア
ジパミドの製造方法は任意である。たとえば溶融重合、
界面重合、溶液重合、塊状重合およびこれらを組み合わ
せた方法が適用されるが、溶融重合が最も一般的であ
る。また特に高分子量のものを必要とする場合には固相
重合を併用すること可能もである。
【0011】本発明で用いられるポリヘキサメチレンア
ジパミドの分子量については特に制限はないが、96%
硫酸を用いて濃度1g/dl、25℃で測定したときの
相対粘度が1.5から7.0、さらには2.0から6.
0の範囲にあるポリヘキサメチレンアジパミドが好まし
い。相対粘度が7.0を越えると組成物の流動性が悪く
なるだけでなく、その機械的、熱的性質のばらつきが大
きくなるので好ましくない。相対粘度が1.5よりも低
いと組成物の機械的強度が低くなるという欠点が生じ
る。
【0012】本発明においてマトリクス相(A)を構成
する非晶性ポリアミドとしては3員環以上のラクタム、
重合可能なω−アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボ
ン酸などの重縮合によって得られるポリアミドを用いる
ことができる。かかる非晶性ポリアミドを構成するモノ
マーの具体例としては、ε−カプロラクタム、ω−ラウ
ロラクタムなどのラクタム類、6−アミノカプロン酸、
11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、
p−アミノ安息香酸などのアミノカルボン酸、テトラメ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメ
チレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4
/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5
−メチルノナメチレンジアミン、m−キシレンジアミ
ン、p−キシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチ
ル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シ
クロヘキサン、ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタ
ン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリ
メチルシクロヘキサン、ビス(3−メチル−4−アミノ
シクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシ
クロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペ
ラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジンなどのジアミ
ン類、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸などのジカルボン酸類がある。
【0013】本発明においてマトリクス相(A)を構成
する非晶性ポリアミドとしてはそのガラス転移温度が1
00℃以上であればいかなるモノマー組成であってもよ
いが、かかる非晶性ポリアミドの好ましい具体例として
は、たとえば、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘ
キサメチレンジアミンとテレフタル酸および/またはイ
ソフタル酸との重縮合物、ヘキサメチレンジアミンとテ
レフタル酸およびイソフタル酸との重縮合物、ヘキサメ
チレンジアミンとビス(4−アミノシクロヘキシル)メ
タンとテレフタル酸および/またはイソフタル酸との重
縮合物、ヘキサメチレンジアミンとビス(3−メチル−
4−アミノシクロヘキシル)メタンとテレフタル酸およ
び/またはイソフタル酸との重縮合物、ε−カプロラク
タムとビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンとテレ
フタル酸および/またはイソフタル酸との重縮合物、ε
−カプロラクタムとm−キシリレンジアミンとテレフタ
ル酸および/またはイソフタル酸との重縮合物、ε−カ
プロラクタムとビス(3−メチル−4−アミノシクロヘ
キシル)メタンとテレフタル酸および/またはイソフタ
ル酸との重縮合物、ω−ラウリルラクタムとビス(4−
アミノシクロヘキシル)メタンとテレフタル酸および/
またはイソフタル酸との重縮合物、ω−ラウリルラクタ
ムとビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メ
タンとテレフタル酸および/またはイソフタル酸との重
縮合物等が挙げられる。
【0014】本発明で用いられる非晶性ポリアミドの分
子量についても特に制限はないが、m−クレゾールを用
い濃度1g/dl、25℃で測定したときの相対粘度
が、1.2から5.0、さらには1.3から4.0の範
囲にあるものが好ましい。相対粘度が5.0をこえると
組成物の流動性が悪くなるだけでなく、アイゾット衝撃
強度に代表される靱性が低下するので好ましくない。相
対粘度が1.2よりも低いと組成物の機械的強度が小さ
くなるという欠点が生じる。
【0015】本発明の(A)成分であるマトリクス相は
ポリヘキサメチレンアジパミド(a)とガラス転移温度が
100℃以上である非晶性ポリアミド(b)とからなる。
かかる樹脂組成物を構成するポリヘキサメチレンアジパ
ミド(a)は50重量%以上を占めることが必要である。
さもないと耐熱性、特に熱変形温度が急速に低下するの
で好ましくない。また(b)成分の非晶性ポリアミドは1
重量%以上占めることが必要 である。さもないとホッ
トオイル浸漬後の強度低下防止効果が顕著でなくなる。
(A)成分であるマトリクス相を構成する最も好ましい
樹脂組成物の構成比は非晶性ポリアミドを5から40重
量%含む場合である。
【0016】本発明においてマトリクス相(A)を構成
する非晶性ポリアミドは公知の溶融重合、溶液重合ある
いは界面重合等の方法で製造することができる。またさ
らに高分子量のポリアミドを得るために公知の固相重合
法を併用することも可能である。中でも最も一般的な方
法は溶融重合法である。その一具体例を参考例として後
記するが、他の非晶性ポリアミドも同様にして製造する
ことが出来る。
【0017】本発明で用いられるアミン系老化防止剤と
しては、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミ
ン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジア
ミンなどのジアリール−p−フェニレンジアミン系老化
防止剤、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェ
ニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメ
チル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’
−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミンなどのアリ
ールアルキル−p−フェニレンジアミン系老化防止剤、
アルキレーティッドジフェニルアミド、4,4’−ジ−
オクチルジフェニルアミンなどのジフェニルアミン系老
化防止剤、およびその他のアミン系老化防止剤としてフ
ェニル−1−ナフチルアミン、2−メルカプトベンズイ
ミダゾール、2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイ
ドロキノリンのポリマーなどが挙げられる。これらのア
ミン系老化防止剤のうち、芳香族系アミンが好ましく、
ジアリール−p−フェニレンジアミン系老化防止剤が特
に好ましい。上記アミン系老化防止剤は単独で使用して
もよいし、混合して使用してもよい。また必要に応じ
て、アミン系以外の老化防止剤を加えてもよい。
【0018】本発明で用いられるハイドロタルサイトの
好ましい例は、下記の一般式(I)で表されるものであ
る。 Mg1-X ・AlX ・(OH)2 ・An- X/2 ・mH2 O (I) ただしAn-のn−はn価のアニオンを表し、An-の好ま
しい例としては、CO3 2- 、HPO4 2- 、SO4 2- 、O
- などを挙げることができる。X は0<X <0.5の
範囲の数を表す。またmは0<m<1の範囲の数を表
す。
【0019】かかるハイドロタルサイトイトには天然お
よび人工のものがあり、いずれも本発明に用いることが
できる。また本発明で用いるハイドロタルサイトは、た
とえばステアリン酸やオレイン酸のアルカリ金属塩のよ
うな高級脂肪酸のアルカリ金属塩や、たとえばドデシル
ベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩のような有機スル
ホン酸のアルカリ金属塩で表面処理をしてもよい。
【0020】最も一般的なハイドロタルサイト類の例と
しては下記のものがある。 Mg0.7 ・Al0.3 ・(OH)2 ・(CO30.15・0.55H2 O Mg0.66・Al0.34・(OH)2 ・(CO30.17・0.46H2 O Mg0.8 ・Al0.2 ・(OH)2 ・(CO30.1 ・0.6 H2 O Mg0.72・Al0.28・(OH)2 ・(CO30.14・0.68H2
【0021】本発明の(B)成分として配合するアミン
系老化防止剤およびハイドロタルサイトは、各単独で用
いても良いし、両者を混合して用いてもよい。これらア
ミン系老化防止剤、ハイドロタルサイトあるいはこれら
の混合物は、ホットオイル浸漬による樹脂組成物の表面
クラックの発生防止に特に有効に作用する。アミン系老
化防止剤とハイドロタルサイトとを混合して用いる場
合、その配合比は任意である。その好ましい配合量は単
独あるいは混合して用いる場合いずれにおいても、合計
量として樹脂組成物の0.1から5重量%である。これ
らの配合量が5重量%を越えても、ホットオイル浸漬に
よる表面クラックの発生防止効果は変わらない。逆にア
イゾット衝撃強度で代表される靱性が低下するので好ま
しくない。これらの配合量が0.1重量%未満の場合に
は、ホットオイル浸漬による表面クラックの発生防止効
果が顕著でないので好ましくない。
【0022】本発明の(C)成分として必要に応じて配
合する強化材としてはガラス繊維、ガラスビーズ、ガラ
スバルーン、炭素繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊
維、チタン酸カリウム繊維、チッ化ホウ素繊維、硬化フ
ェノール樹脂粒子、グラファイトあるいはその他の有機
繊維、無機繊維、金属繊維、炭酸カルシウム、タルク、
ワラストナイト、マイカ、無機ケイ酸塩、シリカゲル、
クリストバライト、クレイなどがある。これらは2種以
上を同時に配合することも可能である。中でも最も好ま
しい強化材はガラス繊維である。特に直径が3から20
μmのガラス繊維の使用により、樹脂組成物の成形体表
面の外観も良好であり、その強度、弾性率、耐熱性が顕
著に向上するので好ましい。
【0023】かかる強化材は広範囲量配合することが出
来るが、50重量%を越える量を配合する場合には樹脂
組成物の成形体表面の外観が悪くなったり、耐摩擦摩耗
特性が低下したりする場合がある。従って強化材の配合
量は50重量%を限度とする。
【0024】本発明の樹脂組成物には必要に応じて、難
燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、耐候剤、帯電防止剤、着
色剤などの各種添加剤を一種または二種以上添加するこ
とが出来る。
【0025】また本発明の樹脂組成物においてはその特
性を大きく損なわない限り、必要に応じて他の重合体を
配合してもよい。この場合その配合量は全体の30重量
%以下であることが望ましい。かかる他の重合体として
は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカ
プロラクトン、フェノキシ樹脂、ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリエーテルイミド、ナイロン6、ナイ
ロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン61
0、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリテトラフルオロエチレン、ABS、PMMA、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ブタ
ジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−
プロピレン共重合体、EPDM、スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−
フェニルマレイミド共重合体などがある。
【0026】本発明の安定化された樹脂組成物、および
それから得られる高温潤滑油接触成形体を得るための方
法としては特に制限はなく、公知の方法を利用すること
も可能である。たとえばポリヘキサメチレンアジパミド
(a)と非晶性ポリアミド(b)、アミン系老化防止剤または
ハイドロタルサイト(B)とを所定量混合し、これを直
接ホッパー口から投入し射出成形、押出し成形、ブロー
成形、真空成形などの成形方法によって直接目的とする
成形体とすることもできる。あるいは混合された構成成
分を、または各構成成分をスクリューフィーダー、テー
ブルフィーダー、ベルトフィーダーのような計量装置に
てそれぞれ計量しながら、一軸または多軸の押出し機で
溶融混練し、ストランドを押出し、カッターにてペレッ
ト化し、後にこのペレットを用いて射出成形、押出し成
形、ブロー成形、真空成形などの成形方法によって目的
とする成形体とすることもできる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 (参考例):非晶性ポリアミド(APA−1) イソフタル酸45モル%、テレフタル酸5モル%、ヘキ
サメチレンジアミン45モル%、ビス−(4−アミノ−
3−メチルシクロヘキシル)メタン5モル%の割合の原
料10Kgを8Kgの純水とともに反応槽に仕込み、窒
素で数回反応槽内の空気をパージした。温度を90℃ま
で上昇させ約5時間反応させたのち、反応温度を徐々に
10時間かけて280℃まで加圧下(18バール)に槽
内を攪拌しつつ上昇させた。ついで放圧し大気圧まで圧
力を下げた後さらに同じ温度で6時間重合を行った。反
応終了後反応槽から払い出し、切断してペレットを得
た。得られたペレットの相対粘度(前述と同一の方法)
は1.50であった。またガラス転移温度は150℃で
あった。この非晶性ポリアミドをAPA−1とする。他
のポリアミドもこの方法に準じて製造することが出来
る。
【0028】以下の実施例で用いた原料素材は次の通り
である。 (ポリヘキサメチレンアジパミド):ナイロン66(I
CI製、A100、相対粘度 2.73) (非晶性ポリアミド): APA−1;ヘキサメチレンジアミンとビス(3−メチ
ル−4−アミノシクロヘキシル)メタンとテレフタル酸
とイソフタル酸の重縮合物(ヘキサメチレンジアミンと
ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン
とテレフタル酸とイソフタル酸のモル比は45/5/5
/45、ガラス転移温度 150℃、相対粘度 1.
5) APA−2;ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸と
イソフタル酸の重縮合物(ヘキサメチレンジアミンとテ
レフタル酸とイソフタル酸のモル比は100/70/3
0、ガラス転移温度125℃、相対粘度2.1) APA−3;ε−カプロラクタムとm−キシリレンジア
ミンとイソフタル酸との重縮合物(ε−カプロラクタム
とm−キシリレンジアミンとイソフタル酸のモル比は2
0/40/40、ガラス転移温度150℃、相対粘度
1.8) APA−4;2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキ
サメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合物(ガラ
ス転移温度151℃、相対粘度2.2) (アミン系老化防止剤): RA−1;N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジア
ミン RA−2;N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレ
ンジアミン (ハイドロタルサイト): HT−1;Mg0.7 ・Al0.3 ・(OH)2 ・(CO
30.15・0.55H2 O HT−2;Mg0.8 ・Al0.2 ・(OH)2 ・(CO
30.1 ・0.6 H2 O (ガラス繊維): T277;直径13μmのEガラス繊維、アミノシラン
処理。 (ギアオイル):トヨタ純正キャッスルMGギアオイル
スペシャル 75W−90.
【0029】なお本発明で用いた試験条件および試験方
法は以下の通りである。 (ホットオイル試験):150℃のギアオイル中に50
0時間および1000時間浸漬し、その後の物性および
外観を調べた。 (乾熱エージング):170℃および200℃の空気雰
囲気下で500時間および1000時間処理し、その後
の物性を評価した。 (耐薬品性):ASTM 1号ダンベル試験片を23℃
でトルエン中に1000時間浸漬しその後の引張強伸度
を測定することにより評価した。 (耐摩擦摩耗性):鈴木式摩耗試験機を用い23℃で、
速度100cm/sec、荷重0.6kg/cm2 、相
手材S45C(#600サンドペーパー仕上げ)の条件
で評価した。 (引張強度および破断伸度):ASTM D638に基
づき、1号ダンベルを用いて測定。 (アイゾット衝撃強度):ASTM D256に基づ
き、3.2mm厚み、ノッチ付試験片を用いて測定。 (熱変形温度):ASTM D648に基づき、荷重1
8.6kg/cm2の条件で測定。 (表面クラック):オイル浸漬後の試験片表面の目視に
よる。評価は下記のように表した。◎;クラックなし、
○;わずかにクラック発生、△;クラック発生多い、
x;著しくクラック発生。
【0030】(実施例1から12、比較例1,2)マト
リクス相を構成するポリアミド樹脂とアミン系安定剤お
よびハイドロタルサイトとを表1から表5に示した組成
で混合し、これを100℃で16時間真空乾燥した。こ
うして乾燥済みの原料を2軸押出機(池貝鉄鋼製,PC
M45)で310℃で溶融混練し、場合によりガラス繊
維をサイド供給し、ストランドをカットして安定化され
た樹脂組成物のペレットを得た。いずれも良好にペレッ
ト化できた。次に本発明の高温潤滑油接触成形体、特に
ベアリングリテーナー用途に必要な諸物性を備えている
かを調べるため、このペレットを用いて射出成形機(日
本製鋼所製,J100S)を用い300℃で成形し、A
STM1号ダンベルおよび3.2mm厚みの曲げ試験片
を得た。いずれも良好に成形可能であった。得られた試
験片を用いて初期物性、ホットオイル浸漬後、および乾
熱エージング後の物性および表面外観を評価した。その
結果を併せて表に示した。また得られたペレットの一部
を用いて同様にして射出成形機を用い、300℃で成形
し、鈴木式摩擦摩耗試験片を成形した。この試験片を用
い、動摩擦係数および摩耗量を評価した。またASTM
1号ダンベルを用いて、耐薬品性を評価した。これらの
測定結果を併せて表に掲げた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【発明の効果】実施例で具体的に示したように、本発明
の樹脂組成物は高いガラス転移温度を有する特定の非晶
性ポリアミド樹脂をポリヘキサメチレンアジパミドに配
合せしめたマトリクス相を用い、またアミン系老化防止
剤またはハイドロタルサイト、さらには必要に応じて強
化材を配合することにより、耐ホットオイル性が著しく
改善され、かつ優れた耐熱エージング性を示し、しかも
ポリヘキサメチレンアジパミド固有の耐熱性、機械的強
度、耐摩擦摩耗性および耐薬品性が保持されている。従
って本発明の樹脂組成物は自動車や2輪車等のトランス
ミッション、デフ、エンジン機構部、特にベアリングリ
テーナーなどの潤滑油中で、あるいはそれに接触する条
件下で使用される成形体に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片平 新一郎 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリヘキサメチレンアジパミド(a)99
    から50重量%とガラス転移温度が100℃以上である
    非晶性ポリアミド(b)1から50重量%((a)と(b)の合
    計は100重量%)とからなるポリアミド樹脂組成物の
    マトリクス相(A)99.9%から45重量%、 アミン系老化防止剤またはハイドロタルサイトから選ば
    れる添加剤(B)0.1から5重量%、および強化材
    (C)0から50重量%((A)、(B)および(C)
    の合計は100重量%)とからなる安定化された樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 非晶性ポリアミド(b)がヘキサメチレン
    ジアミンとビス(3ーメチルー4ーアミノシクロヘキシ
    ル)メタンとテレフタル酸および/またはイソフタル酸
    との重縮合物、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸
    およびイソフタル酸との重縮合物、ε−カプロラクタム
    とm−キシリレンジアミンとイソフタル酸との重縮合
    物、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレ
    ンジアミンとテレフタル酸との重縮合物から選ばれる重
    縮合物である特許請求の範囲第1項記載の安定化された
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 アミン系老化防止剤がジアリール−p−
    フェニレンジアミンである特許請求の範囲第1項記載の
    安定化された樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 強化材がガラス繊維である特許請求の範
    囲第1項記載の安定化された樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 特許請求の範囲第1項記載の安定化され
    た樹脂組成物からなる高温潤滑油接触成形体。
  6. 【請求項6】 特許請求の範囲第1項記載の安定化され
    た樹脂組成物からなるベアリングリテーナー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004131727A (ja) * 2002-09-18 2004-04-30 Minebea Co Ltd ベアリングリテーナ用合成樹脂組成物及びそれを成型したベアリングリテーナ
WO2021117756A1 (ja) * 2019-12-12 2021-06-17 花王株式会社 樹脂組成物

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