JPH05437U - 輪転印刷機の胴着脱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、ブレーキ装置の摩耗による再調整
の必要がなく、また部品点数が少なくてコストの安い胴
着脱装置を提供することを目的とするものである。 【構成】 ブランケツト胴が版胴及び圧胴より離接（胴
抜き）したり、或は当接（胴入れ）したりする胴着脱装
置において、胴入れおよび胴抜きカムにより作動する胴
着脱装置のレバーに、ダブルアクシヨンのシヨツクアブ
ゾーバを設けた輪転印刷機の胴着脱装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は輪転印刷機の印刷ユニツトにおける胴着脱装置の作動レバーに作用す るブレーキ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図２に、図１に示した胴着脱装置の作動レバーに取付けられた従来のブレーキ 装着を示し、図３にオフセツト輪転印刷機の印刷ユニツトの胴配列の一例を示す 。図３において、１が圧胴，２がブランケツト胴，３が版胴で図１に示した圧胴 １の軸端に設けられた胴入れカム４および胴抜きカム５に当接するカムフオロア ４ａおよび５ａにより、圧胴１の回転中は、操作側フレームに取付けられた軸７ のまわりレバー６が揺動する。またエアシリンダ８の作動によりばね９に抗して 回動する爪１０，及び爪１０を介してレバー６と係合する作動レバー１１が、軸 ７のまわりに揺動自在に嵌込まれている。また、エアシリンダ８は爪１０と作動 レバー１１との間に設けられる。

【０００３】 図２で、作動レバー１１に固設されたブレーキ受１２にブレーキライニング１ ３が当接されていて、このブレーキライニング１３に、操作側フレームに固定さ れた支え台１４のピン１５のまわりに回動するブレーキシユー１６が、皿ばね１ ７を介して、調整ねじ１８にて押付けられている。よって調整ねじ１８で調整さ れた皿ばね１７のばね力がブレーキライニング１３に加わり、作動レバー１１が 揺動する時、このばね力にブレーキライニング１３とブレーキシユー１２との間 に生ずる摩擦係数を乗じたブレーキ力が作動レバー１１の揺動を阻止する方向に 作用する。

【０００４】 次に、作動レバー１１が、後述のように矢印入あるいは抜の方向に移動すると 、リンク１９および図１に示したリンク機構２１を介して、ブランケツト胴２の 偏心ブツシユ２０が回動し、偏心ブツシユ２０の中心Ｅを中心として、ブランケ ツト胴２の軸２ａの中心ｃが偏心量ｅを半径とする円弧上を移動する。よって作 動レバー１１が入の方向に移動すると、胴抜き位置にあるブランケツト胴２は、 圧胴１の胴入れカム４の形状により、まず版胴３と当接し、版胴３よりインキ転 移を受けたのち、圧胴１と当接し転位されたインキを、搬送位相を保って圧胴１ の爪にて送られて来た枚葉紙に転位し印刷を行う。この時、ブランケツト胴２の 圧胴１に当接するタイミングが合わないと、圧胴１の外周面にインキが転位し、 いわゆる胴刷が行われる。一方、版胴３と接触したブランケツト胴２は、上述の インキ転位を受る間、瞬時停止したのち再度移動を開始するように、カム４のプ ロフイルが形成されているが、ブランケツト胴２の慣性が大きいので、この瞬時 停止点で停止しないため、停止点以降はカム４のプロフイルに従って移動せず、 先行して動くので、前述の胴刷りが行われる。この胴刷りを防止するため、図２ のブレーキ装置が設けられ、ブレーキ力によりブランケツト胴２の先行移動を阻 止している。

【０００５】 次に胴抜きの場合も、胴入れの逆の順序にて、ブランケツト胴２が移動し先行 移動が起る。 尚、作動レバー１１に取付けられたシヨツクアブゾーバ３０は、胴抜き時、機 械最高回転数よりいきなり作用する苛酷な条件が有り、これによる衝撃が大きい ため、この衝撃を吸収するのに設けられていて、図２のようなブレーキ装置によ るブレーキ作用は行っていない。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

前述の従来技術には、次のような問題点がある。 (１) ブレーキライニングとブレーキシユーの摩耗により、調整ボルトとブレ ーキシユーの上面の間隔が広がり、一旦調整された皿ばねのばね力が弱くなり作 動レバーに作用するブレーキ力が低下するので、調整ボルトを再調整しもとのブ レーキ力が作動レバーに作用するようにせねばならない。

【０００７】 (２) 胴着脱装置は、密閉ケース内に収納されていて、この密閉ケース内は、 版胴，ブランケツト胴および圧胴等の回転部材の軸受部を潤滑するためのオイル シヤワーによる油滴が充満している。よってこの油滴によりブレーキライニング とブレーキシユーとの間の摩擦係数が低下するので、作動レバーに作用するブレ ーキ力も弱くなり、乾燥状態で使用する時に比較してブレーキ効率が極めて悪い 。

【０００８】 (３) 上記ブレーキ装置は１０数点の部品に構成されているので、コストが嵩 む。 本考案は、ブレーキ装置の摩耗による再調整の必要がなく、また部品点数が少 なくてコストの安い胴着脱装置を提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

ブレーキライニングとブレーキシユーによるブレーキ装置のブレーキ力の経時 低下，油浴によるブレーキ効率の悪化およびコスト高を防止するため、作動レバ ーにダブルアクシヨンのシヨツクアブゾーバを取付ける。

【００１０】

【作用】

ダブルアクシヨンのシヨツクアブゾーバ（又は複動のオイルダンパー）を作動 レバーに取付けたため、胴入れおよび胴抜き時、作動レバーにその作動方向と反 対方向に可成の抵抗が作用するので、作動レバーの急激な回動を阻止すると共に 、胴入れおよび胴抜きカムの形状に合せてブランケツト胴が移動する。

【００１１】

【実施例】

図１に本考案による胴着脱ブレーキ装置を示す。 この胴着脱ブレーキ装置は、圧胴１０軸端１ａに設けられた胴入れおよび胴抜 きカム４および５、これらカムにて圧胴１の回転中は操作側フレームに取付けら れた軸７のまわりに揺動しているレバー６、エアシリンダ８の作動によりばね９ に抗して揺動しレバー６の切欠部分６ａ，６ｂと係合する爪１０、爪１０を枢支 する軸１１ａを有し、軸７のまわりに揺動する作動レバー１１、および作動レバ ー１１に取付けられたダブルアクシヨンのシヨツクアブゾーバ３１とリンク１９ により構成されている。

【００１２】 操作側および駆動側フレームに回転自在に支えられた軸２２、リンク１９と連 結し軸２２の操作側フレームより突出した軸端に取付けられたレバー２３，軸２ ２の両軸端にそれぞれ固設されたレバー２７，及びレバー２７とブランケツト胴 ２の偏心ブツシユ２０とを連絡するリンク２８よりなっていてブランケツト胴２ の偏心ブツシユ２０を回動させるリンク機構２１により胴着脱装置２９が構成さ れている。

【００１３】 次に胴入れ又は胴抜きを行うため、図示しないスイツチ及びこのスイツチによ り作動する電磁弁にて爪１０と作動レバー１１との間に設けられたエアシリンダ ８にエアを給排すると、爪１０がばね９に抗して揺動し、揺動レバー６の係合部 分６ａあるいは６ｂと係合すると、圧胴１の胴入れカム４あるいは胴抜きカム５ により、作動レバー１１を矢印入あるいは抜の方向に移動させる。よって、リン ク１９を介してリンク機構２１が揺動し、ブランケツト胴２の偏心ブツシユ２０ を実線あるいは一点鎖線にて示す胴入れあるいは胴抜き位置に回す。

【００１４】 この偏心ブツシユ２０の回動で、胴入れ時は、まず版胴３に当接したのち圧胴 １に当接する。また胴抜き時は、胴入時と反対の順序で、ブランケツト胴２が離 接する。このような胴入れを行う時、版胴３と接触したブランケツト胴２は、イ ンキ転位が行われる間瞬時停止したのち、再度移動を開始するようにカム４のプ ロフイルが形成されているが、ブランケツト胴２の慣性が大きいため、この瞬時 停止点で停止しないので、停止点以降はカム４のプロフイルに従って移動せず、 カムのプロフイルに先行して動くので、前述の圧胴１への胴刷りが起る。これを 阻止するため、従来のシヨツクアブゾーバ３０の胴入れ側及び胴抜側に、適正な 径を有するオリフイス（絞り穴）を設けたシヨツクアブゾーバ３１を作動レバー １１に連結してある。このオリフイスによりシヨツクアブゾーバ３１は、従来の 作動レバー１１に設けたブレーキ装置と同等のブレーキ作用を行うので、ブラン ケツト胴２はカム４のプロフイルに応じて移動する。また胴抜き時も同じ作用を する。

【００１５】

【考案の効果】

本考案による胴着脱ブレーキ装置には、ダブルアクシヨンのシヨツクアブゾー バが胴着脱装置の作動レバーに設けられているので、胴入れ，胴抜き時，可成の 程度の作動レバーの回動を阻止するブレーキ力が作用する。よって作動レバーへ の衝撃を防止し、ブランケツト胴は胴入，胴抜カムの曲線通りに移動する。

【００１６】 従来のブレーキライニングおよびブレーキシユーによるブレーキ装置に起る経 時摩耗による再調整は必要なく、オイルシヤワ内での使用によるブレーキ力の低 下も阻止される。更に部品点数が減少しコストダウンにつながる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の側面図である。

【図２】従来の胴着脱ブレーキ装置の側面図である。

【図３】オフセツト輪転印刷機の胴配列を示す概略図で
ある。

【符号の説明】 １ 圧胴 ２ ブランケツト胴 ３ 版胴 ４ 胴入れカム ５ 胴抜きカム ６ 揺動レバー ８ エアシリンダ １１ 作動レバー ２０ 偏心ブツシユ ２１ リンク機構 ３１ ダブルアクシヨンシヨツクアブゾーバ

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 版胴及び圧胴より胴抜き、或は胴入れす
   る胴着脱装置において、胴入れおよび胴抜きカムにより
   作動する胴着脱装置のレバーに、ダブルアクシヨンのシ
   ヨツクアブゾーバを設けたことを特徴とする輪転印刷機
   の胴着脱装置。