JPH0543333Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、圧力流体の切り換えに使用されるポ
ペツト形切換弁に関するものである。

［従来の技術］ 従来より公知のポペツト形切換弁として、例え
ば実開昭61−24580号公報に開示されているよう
に、複数のポートとこれらのポート間に形成され
た弁座とを有するバルブボデイの弁穴内に、上記
弁座を開閉するポペツト弁部を備えた弁棒を摺動
自在に配設し、該弁棒を電磁操作手段で駆動する
ことによりポート間の流体の流れ方向を切り換え
るようにしたものがある。

しかしながら、上記従来のポペツト形切換弁
は、弁棒とバルブボデイとの間をシールするシー
ル手段としてＯリングを使用し、該Ｏリングを弁
棒に取り付けてバルブボデイの弁穴内面に摺接さ
せていたため、該Ｏリングの摺動に伴う摩耗によ
つてシール性の低下や動作不良、耐久性の低下等
を生じ易いという欠点があつた。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案の課題は、Ｏリングの摺動に起因する従
来の欠点を解消したポペツト式切換弁を提供する
ことにある。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本考案のポペツト形
切換弁は、複数のポートとこれらのポート間に形
成された弁座とを有するバルブボデイの弁穴内
に、上記弁座を開閉するポペツト弁部を備えた弁
棒を摺動自在に配設し、該弁棒を電磁操作手段で
駆動することによりポート間の流体の流れを切り
換えるようにしたものにおいて、上記弁棒とバル
ブボデイとの摺動部分に該弁棒を案内するガイド
リングを設けると共に、弁棒とバルブボデイとに
跨がつて形成されたシール溝内にこれらの弁棒と
バルブボデイとの間をシールするシールリングを
配設してなり、上記シールリングは、断面が半径
方向に長い扁平円環状をなし、その内周面及び外
周面がそれぞれシール溝の内周面及び外周面に流
体密に当接して、弁棒の摺動に伴つて内周部分が
該弁棒の軸方向に変移するダイヤフラム式のもの
として構成され、上記シール溝を構成するバルブ
ボデイ側の溝部分は、弁穴の端部に形成した大径
部内に、内穴の先端部が大径をなす環状の支持部
材を嵌着することにより、これらのバルブボデイ
と支持部材との間に形成されていることを特徴と
するものである。

［作用］ 操作手段により弁棒が駆動されると、該弁棒上
のポペツト弁部により弁座が開閉され、ポート間
の流体の流れが切り換えられる。

このとき、弁棒とバルブボデイとの摺動部分に
設けられたシールリングは、その内周部分が弁棒
の摺動に伴つて該弁棒の軸方向にダイヤフラム式
に変移し、弁棒とバルブボデイとの間をシールす
る。このため、シールリングと弁棒又はバルブボ
デイとの摺動がなく、該シールリングが摩耗する
ことがないため、摩耗によるシール性の低下や動
作不良、耐久性の低下等を生じない。

また、弁棒の摺動がガイドリングにより案内さ
れ、該弁棒の傾きや偏心等が生じないため、ポペ
ツト弁部が弁座に複雑な角度で接離することによ
る該弁部の損耗や、シールリングが偏つた変形を
生じることによるシール機能の低下等を生じな
い。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面を参照しながら詳
細に説明する。

第１図は、ポペツト形切換弁を右半部と左半部
とで異なる切換状態にして示すもので、同図にお
いて、バルブボデイ１には第１〜第３の３つのポ
ート２，３，４が設けられ、これらのポート２，
３，４が開通する弁穴５内には、第１ポート２と
第２ポート３との間に第１弁座６が、第２ポート
３と第３ポート４との間に第２弁座７がそれぞれ
形成されると共に、これらの弁座６，７を開閉す
るポペツト弁部９，１０を備えた弁棒８が軸方向
に摺動自在に配設され、電磁操作手段１３と復帰
ばね１４とによつて切り換えられるようになつて
いる。なお、上記第２弁座７は、バルブボデイ１
内に嵌着されて該バルブボデイ１の一部を構成す
るスリーブ１５上に形成されている。

上記弁棒８の両端部においては、第２図及び第
３図からも分るように、該弁棒８とバルブボデイ
１との摺動部分に、弁棒８に切設した取付溝内に
該弁棒８の摺動を案内するガイドリング１７，１
８が取り付けられると共に、弁棒８とバルブボデ
イ１とに跨がつて形成されているシール溝１９，
２０内に、これらの弁棒８とバルブボデイ１との
間を流体密にシールする内外周部分が非固定のフ
リーダイヤフラム式シールリング２１，２２が配
設されている。

上記シールリング２１，２２は、断面形状が半
径方向に長い扁平円環状をなしていて、その内径
がシール溝１９，２０の内径よりやや小さく、且
つ外径がシール溝１９，２０の外径とほぼ同じに
なるように形成され、上記シール溝１９，２０へ
の装着時には、シールリング２１，２２の内周面
がシール溝１９，２０の内周面に圧接すると共
に、その圧接によりシールリング２１，２２の直
径が拡大して外周面もシール溝１９，２０の外周
面に密接する。そして、弁棒８が摺動すると、そ
の摺動に伴つて内周部分が該弁棒８の軸方向にダ
イヤフラム式に変移する。

一方、上記シール溝１９，２０は、弁棒８の軸
方向の溝幅がシールリング２１，２２の厚さより
やや大きく、且つ、弁棒８側の溝部分１９ａ，２
０ａとバルブボデイ１側の溝部分１９ｂ，２０ｂ
とが、それぞれ、開口部側の溝幅が溝底側の溝幅
より大きい外広がり状に形成されており、上記シ
ールリング２１，２２がポートからの流体圧力を
側面に受けると、弁棒８の軸方向に変移してシー
ル溝１９，２０の側壁に密接するようになつてい
る。

上記シール溝１９，２０の弁棒８側の溝部分１
９ａ，２０ａは、該弁棒８に直接溝を切設するこ
とにより形成されているが、バルブボデイ１側の
溝部分１９ｂ，２０ｂは、弁穴５の端部に形成し
た大径部５ａ内に、内穴２５の先端部分が大径部
２５ａとなつた環状の支持部材２３，２４を嵌着
することにより、これらのバルブボデイ１と支持
部材２３，２４との間に形成されたもので、弁穴
５の一端においては、上記スリーブ１５に大径部
５ａが形成されて支持部材２４が嵌着され、これ
らのスリーブ１５と支持部材２４との間に上記溝
部分２０ｂが形成されている。

従つて、電磁弁の組み立て時に、スリーブ１５
及び支持部材２３，２４をバルブボデイ１から取
り外した状態で、弁棒８をバルブボデイ１内に挿
入し、更にスリーブ１５を挿入した後に弁棒８の
溝部分１９ａ，２０ａにシールリング２１，２２
を嵌着し、その後支持部材２３，２４をバルブボ
デイ１に嵌着することにより、弁棒８及びシール
リング２１，２２の組み付けを容易に行うことが
できる。

また、上記電磁操作手段１３は、非磁性のボビ
ン３０に巻かれた電磁コイル３１と、該電磁コイ
ル３１を取り囲む磁気枠３２と、ボビン３０の中
心穴における上記弁棒８側の半部に磁気枠３２と
一部が接するように嵌着、固定された固定鉄心３
３と、ボビン３０の中心穴における残りの半部に
摺動自在に嵌装された可動鉄心３４と、上記固定
鉄心３３を貫通して一端が弁棒８に対向し、他端
が可動鉄心３４内においてばね３５により弁棒８
側に付勢された押棒３６とから構成されている。

なお、上記ばね３５の付勢力は復帰ばね１４の
付勢力より大きく設定されている。

上記構成を有するポペツト形切換弁において、
電磁コイル３１への通電が解除されている第１図
右半部の切換状態では、弁棒８が復帰ばね１４の
付勢力により上動し、ポペツト弁部９により第１
弁座６が閉鎖され、第２弁座７は開放している。
従つて、第１ポート２が遮断され、第２ポート３
と第３ポート４とが連通している。

電磁コイル３１を励磁すると、第１図左半部に
示すように、可動鉄心３４が固定鉄心３３に吸着
され、押棒３６が復帰ばね１４の付勢力に抗して
弁棒８を下動させるため、第１弁座６が開放し、
第２弁座７がポペツト弁部１０により閉鎖され
る。このため、第１ポート２と第２ポート３とが
連通し、第３ポート４が遮断される。

上記弁棒８の切換時に、シール溝１９，２０に
装着されたシールリング２１，２２は、その内周
部分が弁棒８の摺動に伴つて該弁棒８の軸方向に
ダイヤフラム式に変移し、弁棒８とバルブボデイ
１との間をシールする。このため、シールリング
２１，２２と弁棒８又はバルブボデイ１との摺動
がなく、該シールリング２１，２２が摩耗を生じ
ないため、そのの摩耗によるシール性の低下や動
作不良、耐久性の低下等を生じることがない。

また、上記シールリング２１，２２にポートか
らの流体圧力が作用すると、該シールリング２
１，２２はシール溝１９，２０の外側の側壁に押
し付けられ、シール効果が向上する。

また、上記弁棒８は、その両端部のガイドリン
グ１７，１８により摺動が案内され、傾きや偏心
等を生じることなく軸方向に正確に移動する。こ
のため、ポペツト弁部９，１０が弁座６，７に正
しい角度で接離して損耗を生じないばかりでな
く、シールリング２１，２２が偏つた変形を生じ
て機能低下を来すこともない。

また、上記ポペツト電磁弁において、弁棒８の
一端側にあるポート（例えば第３ポート４）が排
出ポートであるような場合には、該排出ポート側
のシールリング２２を省略することができる。第
４図は、第１ポート２側にシールリング２１を設
け、第３ポート４（排出ポート）側のシールリン
グを省略したものを示している。なお、その他の
構成については上記第１図に示すもので実質的に
同じであるから、主要な部分に第１図のものと同
一の符号を付してその説明は省略する。

［考案の効果］ 上記構成を有する本考案によれば、弁棒とバル
ブボデイとの間をシールするシール手段として、
弁棒の摺動と共にダイヤフラム式に変移するシー
ルリングを使用したことにより、該シールリング
と弁棒又はバルブボデイとの摺動をなくして摺動
に伴うシールリングの摩耗を防止し、シール性の
低下や動作不良、耐久性の低下等を防止すること
ができる。

また、弁棒とバルブボデイとの摺動部分にガイ
ドリングを設け、該ガイドリングで弁棒の摺動を
案内させるようにしたので、弁棒の傾きや偏心等
を防いで該弁棒を軸方向に正確に移動させること
ができ、これにより、ポペツト弁部が弁座に複雑
な角度で接離することによる該弁部の損耗や、シ
ールリングが偏つた変形を生じることによるシー
ル機能の低下等を確実に防止することができる。

更に、シール溝のバルブボデイ側の溝部分を、
弁穴の端部に形成した大径部内に、内穴の先端部
が大径をなす環状の支持部材を嵌着することによ
り、これらのバルブボデイと支持部材との間に形
成したので、電磁弁の組み立て時に、上記支持部
材をバルブボデイから取り外した状態で、溝部分
にシールリングを嵌着した弁棒をバルブボデイ内
に挿入し、その後に上記支持部材をバルブボデイ
に嵌着することにより、弁棒及びシールリングの
組み付けを容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図及び第３図はその要部拡大図、第４図は本考
案の異なる実施例を示す要部断面図である。 １……バルブボデイ、２，３，４……ポート、
５……弁穴、５ａ……大径部、６，７……弁座、
８……弁棒、９，１０……ポペツト弁部、１３…
…電磁操作手段、１７，１８……ガイドリング、
１９，２０……シール溝、１９ｂ，２０ｂ……溝
部分、２１，２２……シールリング、２３，２４
……支持部材、２５……内穴、２５ａ……大径
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 複数のポートとこれらのポート間に形成された
   弁座とを有するバルブボデイの弁穴内に、上記弁
   座を開閉するポペツト弁部を備えた弁棒を摺動自
   在に配設し、該弁棒を操作手段で駆動することに
   よりポート間の流体の流れを切り換えるようにし
   たものにおいて、 上記弁棒とバルブボデイとの摺動部分に該弁棒
   を案内するガイドリングを設けると共に、弁棒と
   バルブボデイとに跨がつて形成されたシール溝内
   にこれらの弁棒とバルブボデイとの間をシールす
   るシールリングを配設してなり、 上記シールリングは、断面が半径方向に長い扁
   平円環状をなし、その内周面及び外周面がそれぞ
   れシール溝の内周面及び外周面に流体密に当接し
   て、弁棒の摺動に伴つて内周部分が該弁棒の軸方
   向に変移するダイヤフラム式のものとして構成さ
   れ、 上記シール溝を構成するバルブボデイ側の溝部
   分は、弁穴の端部に形成した大径部内に、内穴の
   先端部が大径をなす環状の支持部材を嵌着するこ
   とにより、これらのバルブボデイと支持部材との
   間に形成されている、 ことを特徴とするポペツト形切換弁。