JPH0543229A - 超電導部材 - Google Patents

超電導部材

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JPH0543229A
JPH0543229A JP3107477A JP10747791A JPH0543229A JP H0543229 A JPH0543229 A JP H0543229A JP 3107477 A JP3107477 A JP 3107477A JP 10747791 A JP10747791 A JP 10747791A JP H0543229 A JPH0543229 A JP H0543229A
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浩之 福家
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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い臨界電流密度を有すると共に、種々の方
向からの磁場に対して臨界電流密度の低下を抑制した超
電導部材を提供する。 【構成】 基材上に酸化物超電導体薄膜を形成してなる
超電導部材である。酸化物超電導体薄膜は、結晶のab面
が基材の薄膜形成面と平行に配列した主相と、結晶のab
面が基材の薄膜形成面と垂直に配列した副相とを有して
いる。副相は、主相内に互いに連続することなく点在
し、かつこの副相の量は 0.5〜20体積%の範囲にある。
基材の薄膜形成面に対して垂直な方向に磁場が印加され
た際においても、所定量の副相の存在によって、臨界電
流密度の低下を抑制することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導体薄膜を
用いた超電導部材に関する。
【0003】
【従来の技術】1986年にBa-La-Cu-O系の層状ペロブスカ
イト型の酸化物が40K 以上の高い臨界温度を有すること
が発表されて以来、酸化物系の超電導体が注目を集め、
新材料探索の研究が活発に行われている。その中でも、
液体窒素温度以上の高い臨界温度を有する Y-Ba-Cu-O系
で代表される欠陥ペロブスカイト型の酸化物超電導体
や、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系、 Tl-Ba-Ca-Cu-O系等の酸化物超
電導体は、冷媒として高価な液体ヘリウムに代えて、安
価な液体窒素を利用できるため、工業的にも重要な価値
を有している。
【0004】ところで、このような酸化物超電導体の応
用を考えた場合、臨界電流密度の値自体を向上させるこ
とが必要であると共に、外部磁場が印加された場合の臨
界電流密度の低下を抑制することが重要である。零磁場
下での臨界電流密度は、製造方法の向上等に伴って、年
々その数値が向上しており、例えば配向させた酸化物超
電導体薄膜では実用上十分な値と考えられている106 A/
cm2 まで達している。一方、酸化物超電導体の磁場に対
する臨界電流密度の低下は今だ大きく、これを抑制する
ことが酸化物超電導体を実用化するにあたっての大きな
課題となっている。この臨界電流密度の低下の原因につ
いては、まだ明確にはされていないが、第2種超電導体
である酸化物超電導体中に侵入した量子化磁束が、液体
窒素温度程度の冷却ではローレンツ力によって動くため
と考えられている。すなわち、液体窒素温度のような液
体ヘリウム温度より高い温度では、磁束のピン止め力が
熱的な作用によって不十分になるためと考えられてい
る。
【0005】そこで、上述したような課題に対処するべ
く各種の試みが行われており、磁場に対する臨界電流密
度の低下を改善した報告がいくつかなされている。例え
ば、Y系酸化物超電導体のバルク材に関しては、原料を
溶融状態から急冷し、微細な絶縁性析出物を分散させる
ことによって、磁場に対する臨界電流密度の低下が少な
い試料が得られている。この方法によって得られる材料
は、強力なピン止め点を有しており、高磁場を発生する
超電導マグネット等への応用が期待されている。また、
CVD法で得られる Y系酸化物超電導体薄膜において、膜
面に平行に磁場を印加した場合、 30T程度の高磁場まで
104 A/cm2 以上の臨界電流密度が得られることが報告さ
れている。この材料のピン止め点としては、 CuO相のよ
うな絶縁性析出物や CuOの積層欠陥等が有力な候補とし
て考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、 Y系
酸化物超電導体においては、磁場による臨界電流密度の
低下を抑制した例が報告されているが、Bi系酸化物超電
導体等の他の酸化物超電導体への応用が困難であり、さ
らに線材等への応用を考えた場合において、解決しなけ
ればならない課題も多い。
【0007】例えば、高い臨界電流密度を有する超電導
線材を得るためには、電流が流れやすい結晶のab面を、
線材の長手方向に配向させる必要がある。しかし、酸化
物超電導体は、結晶構造に由来する強い 2次元性を有し
ているため、配向させた酸化物超電導体においては、印
加磁場の方向により臨界電流密度の低下の仕方に大きな
違いが生じるという欠点がある。すなわち、臨界電流密
度値自体を向上させるために、酸化物超電導体の結晶の
ab面を線材の長手方向、換言すれば基材面に対して平行
に配向させた超電導線材においては、結晶のab面と平行
に磁場を印加した際には、臨界電流密度の低下が少ない
ものの、ab面と垂直に磁場を印加すると、臨界電流密度
の低下が著しく大きくなる。これは、実用化の際に大き
な障害となる。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、高い臨界電流密度を有すると共に、
磁場を印加した際の臨界電流密度の低下が少なく、しか
も臨界電流密度の磁場に対する異方性を低減し、種々の
方向からの磁場に対して臨界電流密度の低下を抑制した
超電導部材を提供することを目的とするものである。 [発明の構成]
【0009】
【課題を解決するための手段と作用】すなわち、本発明
の超電導部材は、基材上に酸化物超電導体薄膜を形成し
てなる超電導部材において、前記酸化物超電導体薄膜
は、結晶のab面が前記基材の薄膜形成面と平行に配列し
た主相と、この主相内に互いに連続することなく点在
し、結晶のab面が前記基材の薄膜形成面と垂直に配列し
た副相とを有し、この副相の量が 0.5〜20体積%の範囲
であることを特徴とするものである。
【0010】本発明に用いる酸化物超電導体としては、
希土類元素含有のペロブスカイト型酸化物超電導体や、
Bi-Sr-Ca-Cu-O系酸化物超電導体、Tl-Ba-Ca -Cu-O系酸
化物超電導体等、各種の酸化物超電導体を適用すること
が可能である。上記希土類元素を含有しペロブスカイト
型構造を有する酸化物超電導体は、超電導状態を実現で
きるものであればよく、例えば REM2 Cu3 O 7-y 系(RE
は Y、La、Sc、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Lu等
の希土類元素から選ばれた少なくとも 1種の元素を、 M
はBa、Sr、Caから選ばれた少なくとも 1種の元素を、 y
は酸素欠損を表し通常 1以下の数、Cuの一部はTi、V 、
Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn等で置換可能)の酸化物等が例
示される。また、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系の酸化物超電導体と
しては、 化学式:Bi2 (Sr,Ca)3 Cu2 O x Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 O x Bi2 Sr2 Ca3 Cu4 O x (式中、Biの一部はPb等で、SrもしくはCaの一部は希土
類元素で置換可能。)等で実質的に表されるものが例示
され、また Tl-Ba-Ca-Cu-O系酸化物超電導体は、同様な
組成構成を有するものが例示される。
【0011】また、本発明に用いる基材としては、酸化
物超電導体との反応性が少ないものであれば、酸化物で
あっても金属であってもよい。酸化物基材の好ましい例
としては、 MgO、 SrTiO3 、 Y安定化 ZrO2 、 NdGa
O3 、 LaGaO3 、 LaAlO3 等の、酸化物超電導体と格子
定数が近い材料が挙げられる。金属基材としては、Ag、
Au、ハステロイ等が好ましい。また、基材の形状として
は、一般的な基板形状からテープのような長尺形状ま
で、各種の形状のものを適用することが可能である。本
発明の超電導部材における酸化物超電導体薄膜は、結晶
のab面が基材の薄膜形成面と平行に配列した主相と、結
晶のab面が基材の薄膜形成面と垂直に配列した副相とを
有している。そして、上記主相が超電導電流を流す役割
を主に果たし、また主相内に互いに連続することなく点
在する副相の存在が、印加磁場に対する臨界電流密度の
低下を抑制する働きを示す。
【0012】上記副相は、上述したように主相内に互い
に連続することなく点在させたものであり、またその量
は 0.5〜20体積%の範囲とする。このように副相の存在
形態および量を規定した理由は、以下の通りである。す
なわち、副相の量が 0.5体積%未満では、基材の薄膜形
成面に対して垂直な方向に磁場を印加した際の臨界電流
密度の低下を改善する効果が少なく、また20体積%を超
えると副相が連続化しやすくなり、臨界電流密度の低下
を改善する効果が極めて少なくなるからである。しかも
副相が連続化すると、零磁場下での臨界電流密度も著し
く低下する。よって、副相の量を 0.5〜20体積%の範
囲、より好ましくは 2〜10体積%とすると共に、点在さ
せることが重要となる。上記副相の存在が磁場に対する
臨界電流密度の低下を抑制する理由は明確ではないが、
主相と副相との界面が磁束のピン止め点として作用して
いるものと考えられる。
【0013】本発明の超電導部材における酸化物超電導
体薄膜の製造方法は、特に限定されるものではなく、例
えば反応性蒸着法、スパッタ法、CVD法等の各種薄膜
形成法を適用することが可能である。中でも反応性蒸着
法の一種であるクラスターイオンビーム法によれば、イ
オンエネルギーのアシスト効果によって、低い基板温度
で所望の組織の酸化物超電導体薄膜を形成することが可
能であることから、好ましい形成方法といえる。また、
上記した主相と副相とを所定の比率で混在させた酸化物
超電導体薄膜は、酸化物超電導体の各構成元素の比率や
成膜温度を制御することにより得ることができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0015】実施例1 幅 1mm、厚さ 0.5mm、長さ 100mmの銀製テープと、10mm
×10mm× 1mmの SrTiO3 基板とを、それぞれ 6個づつ用
いて、それぞれに対してクラスターイオンビームにより
Y-Ba-Cu-O系の酸化物超電導体薄膜を形成した。成膜条
件は、以下の通りとした。
【0016】まず、上記各基材を保持部材にセットし、
基材温度を 650℃に設定すると共に、真空チャンバ内を
10-5Torr以下まで真空排気した。次に、プラズマで励起
した酸素ガスを基材に吹き付けながら、 Y、Ba、Cuの各
元素を同時に蒸発させてクラスターを形成すると共にイ
オン化し、 0.5kVで加速して成膜を行った。この際の真
空チャンバ内の酸素圧は、 2×10-4Torrとした。この
後、酸素プラズマを吹き付けながら冷却し、膜厚 300nm
の Y系酸化物超電導体薄膜を得た。
【0017】得られた各 Y系酸化物超電導体薄膜の結晶
の配向性をX線回折で調べたところ、ab面が基材の膜形
成面と平行に配向した主相と、ab面が基材の膜形成面と
垂直に配向した副相とを有していることを確認した。ま
た、SEMで表面形態を観察したところ、副相の形状は
長さ 0.2μm 〜 0.5μm 、厚さ10nm〜 100nmの板状をな
し、かつ主相内に点在していた。面積計算から副相の量
を求めたところ、試料によって異なるものの、 2〜10体
積%の範囲であった。また、試料を分割して膜の組成を
プラズマ発光分析により測定したところ、膜によって若
干組成が異なるものの、 Y(1.05〜1.15)Ba
(1.75〜1.85)Cu(3.05〜3.1)Ox の組成範囲内にある
ことが判明した。
【0018】上記によって得られた各試料を用い、 77K
の磁場中で印加磁場の方位を変化させながら臨界電流密
度を測定し、臨界電流密度の磁場依存性を求めた。その
結果、零磁場での臨界電流密度は、 SrTiO3 基板上に形
成した Y系酸化物超電導体薄膜では 1〜 2×106 A/cm2
の値を示し、また図1に示す磁場特性を示した。なお、
図1中、実線Aは基板面に対して平行な方向に磁場を印
加した際の臨界電流密度を示し、また実線Bは基板面に
対して垂直な方向に磁場を印加した際の臨界電流密度を
示す。図1から明らかなように、基板面に対して平行お
よび垂直な磁場のいずれに対しても、約2Tまでほとんど
差のない良好な臨界電流密度特性が得られた。また、Ag
製テープ上に形成した Y系酸化物超電導体薄膜では、零
磁場での臨界電流密度は 1〜 2×105 A/cm2 と、 SrTiO
3 基板の場合に比べて低かったものの、印加磁場の方向
を変えても、約1Tまでほとんど差のない同様な良好な特
性が得られた。
【0019】比較例1 実施例1と同様の SrTiO3 基板を用い、成膜時の組成制
御条件を若干 Yを減少させると共にCuを増加させる以外
は実施例1と同様にして、 Y系酸化物超電導体薄膜を成
膜した。得られた試料を分割して膜の組成をプラズマ発
光分析により測定したところ、膜によって若干組成が異
なるものの、 Y(0.85〜0.95)Ba(1.75 〜1.85)Cu
(3.25〜3.35)O x の組成範囲内にあり、若干Cuが多い
組成を有することが判明した。
【0020】得られた各 Y系酸化物超電導体薄膜の結晶
の配向性をX線回折で調べたところ、ab面が基材の膜形
成面と平行に配向した主相のみが検出された。また、S
EMで表面形態を観察したところ、平滑な主相面が観察
され、所々に副相が認められたが、その量は 0.1体積%
と微量であった。
【0021】また、上記各試料について、実施例1と同
様にして臨界電流密度の磁場依存性を求めた。その結
果、零磁場での臨界電流密度は 1〜 2×106 A/cm2 の値
を示したものの、図2に示すように、基板面に対して垂
直な磁場を印加した場合、磁場の増加と共に臨界電流密
度が急激に低下した。
【0022】比較例2 実施例1と同様の SrTiO3 基板を用い、成膜時の組成制
御条件を若干 Yを増加させる以外は実施例1と同様にし
て、 Y系酸化物超電導体薄膜を成膜した。得られた試料
を分割して膜の組成をプラズマ発光分析により測定した
ところ、膜によって若干組成が異なるものの、 Y
(1.2〜1.4)Ba(1.65〜1.75)Cu(3.1〜3.2)O x の組成範
囲内にあり、若干 Yが多い組成を有することが判明し
た。
【0023】得られた各 Y系酸化物超電導体薄膜の結晶
の配向性をX線回折で調べたところ、ab面が基板面と平
行に配向した主相と、ab面が基板面と垂直に配向した副
相とを有していることを確認した。また、SEMで表面
形態を観察したところ、副相の形状は長さ約 0.5μm 、
厚さ50nmの板状で、これらが互いにモザイク状に連続し
ていた。面積計算から副相の量を求めたところ、30〜40
体積%であった。
【0024】また、上記各試料について、実施例1と同
様にして臨界電流密度の磁場依存性を求めた。その結
果、零磁場での臨界電流密度は、 0.5×106 A/cm2 と低
い値を示し、しかも基板面に対して垂直な磁場を印加し
た場合、磁場の増加と共に臨界電流密度が急激に低下し
た。
【0025】なお、上記実施例においては、クラスター
イオンビーム成膜法によって酸化物超電導体薄膜を形成
した例について述べたが、他の成膜方法例えばスパッタ
法やCVD法によっても、本発明の組織が得られれば同
様な効果が得られる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超電導部
材は、優れた臨界電流密度を有すると共に、印加磁場の
方向によらず、磁場を印加した際の臨界電流密度の低下
が少ない。よって、実用上優れた機能を発揮する超電導
部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による超電導部材の印加磁場
方向に対する臨界電流密度特性を示す図である。
【図2】比較例による超電導部材の印加磁場方向に対す
る臨界電流密度特性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福家 浩之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 張庭 清 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に酸化物超電導体薄膜を形成して
    なる超電導部材において、 前記酸化物超電導体薄膜は、結晶のab面が前記基材の薄
    膜形成面と平行に配列した主相と、この主相内に互いに
    連続することなく点在し、結晶のab面が前記基材の薄膜
    形成面と垂直に配列した副相とを有し、この副相の量が
    0.5〜20体積%の範囲であることを特徴とする超電導部
    材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005079350A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 Japan Science & Technology Agency 高臨界電流超電導素子
JP2008021956A (ja) * 2006-07-14 2008-01-31 Korea Electrotechnology Research Inst 補助クラスタービームの噴射による高温超伝導膜の製造方法と製造装置、及びその方法によって製造される高温超伝導膜

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