JP4571789B2 - 高臨界電流超電導素子 - Google Patents

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Description

本発明は、高臨界電流超電導素子に係り、さらに詳しくは、基板上に結晶の配向方向が異なるが同一の組成を有する酸化物超電導体の単結晶膜からなる少なくとも2つの領域を並列して形成した高臨界電流超電導素子およびその製造方法に関する。
超電導体に下部臨界磁場Hcl以上の磁場がかかると量子化磁束が形成され(φ=2.07×10−15Wb)超電導体中に侵入し、この状態で電流を流すと量子化磁束にローレンツ力が働き、これらが動き出すと電圧発生して超電導状態が壊れることが知られている。
超電導体、たとえば酸化物高温超電導体YBaCu(以下「YBCO」と記す)からなる超電導膜中の欠陥、たとえば酸素欠損、微細な不純物などの点状欠陥、転位などの線状欠陥、結晶粒界などの面状欠陥は、前記量子化磁束の移動を制限するピン止めセンターとして作用することが知られており、YBCO膜では前記結晶欠陥が膜面に垂直に、すなわち、YBCO結晶のc−軸に平行に入っているとき、磁場が膜面に垂直に印加された場合に臨界電流密度Jが向上する。
YBCO成膜時の成膜条件を種々変えることにより自然に導入される転位の単位面積当りの密度が10/μm〜100/μmであったこと、膜が基板上で成長する過程で微細析出物が存在すると、そこで膜成長の連続性が崩れ、結晶欠陥、転位、結晶粒界などが生じること、およびYBCO膜の臨界電流密度Jが膜中の転位密度とともに増大することが報告されている(非特許文献1参照)。このことは転位が量子化磁束のピン止めセンターとして作用することを教示するが、成膜時に成膜条件を変えるだけで自然に導入される転位の密度を制御することは極めて困難である。
一方、結晶粒界はピン止めセンターとしても作用するが、超電導電流の障壁としても作用することが知られている。YBCOなどの高温超電導膜では傾角の大きな結晶粒界におけるJは大変小さいが、傾角の小さな結晶粒界では大きなJが維持されるので小傾角粒界は転位列とみなすことができる。転位は絶縁体であるので、転位の間隔が大きい小傾角粒界では転位間に強い超電導部分が存在し電流が流れるが、結晶粒界の傾角が大きくなって転位の歪みが重なりだすと電流が流れ難くなる。これらの結晶粒界面が超電導膜の膜面に垂直であれば、極めて有効なピン止めセンターになる。しかしながら、一般には結晶粒界はランダムに存在するため結晶粒界の傾角を制御することによってJを制御するのは極めて難しい。
超電導バルクマグネットでは、YBCOに高融点材料であるYBaCuOを微細に粉砕して混合し、YBCO中にピン止めセンターを導入している(非特許文献2参照)。一方、YBCO膜の場合、膜内の一部のみの組成が異なり、他の部分は超電導YBCO組成であるY:Ba:Cu比率を1:2:3に維持することは極めて困難である。たとえば、膜内の一部に高融点材料であるYBaCuOを導入するように、成膜材料の組成を超電導YBCO組成からずらすと、膜全体の組成が膜内の一部にYBaCuOが導入されることはなく、膜全体の組成が超電導YBCO組成からずれてしまい超電導特性が劣化する。
「YBa3Cu3Ox中の結晶欠陥と臨界電流(Crystal Defects and ciritical currents in YBa3Cu3Ox)」(ディー シ(D. Shi)等,超電導科学技術(Supercond. Sci. Technol.), Vol. 3, No. 9, p. 457-463, (1990)) 「溶融調製されたYbBa2Cu3O7―d中の細かく分散されたYb2BaCuO5包含物のピニング特性(Pinning properties in melt-processed YbBa2Cu3O7-d with finely dispersed Yb2BaCu3O5 inclusion)」(持田 等,物理化学(Physica. C.),Vol. 366, No. 4, p. 229-237, (2002))
前記したように、超電導膜の表面に垂直な結晶粒界面が超電導膜の電流の流れる方向に沿って存在すれば、ピン止めセンターとして最も有効と考えられている。しかしながら、超電導膜中にピン止めセンターとして作用し得る転位、結晶粒界、結晶欠陥を制御して導入することは極めて困難である。特に超電導膜のマトリックス部分の組成を維持しながら、組成の全く異なる材料を膜内に分散させることは、実質的に不可能である。
本発明は、結晶のc−軸の配向方向が異なる同一の組成を有する酸化物超電導体の単結晶膜からなる2つの領域が隣接し、前記2つの領域の界面が超電導膜中に電気の流れる方向に沿って連続して存在する高臨界電流超電導素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、酸化物超電導体結晶の異方性を利用し、基板表面の格子整合性を選択することにより、該基板上にc−軸の配向方向が異なるが同一組成を有する酸化物超電導体の単結晶膜を隣接して形成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の高臨界電流超電導素子は、単結晶のab−面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体の基板上の薄膜であって、該薄膜が前記基板面に垂直にc−軸配向した単結晶膜からなる複数のc−軸配向領域と、前記薄膜が前記c−軸配向領域の電流の流れる方向に垂直にc−軸配向した単結晶膜からなる複数のc−軸面内配列領域とを有し、該c−軸面内配列領域が前記c−軸配向領域に隣接し、かつ両領域の界面が電流の流れる方向に沿って延びていることを特徴とし、前記電流の流れる方向が、c−軸配向領域およびc−軸面内配列領域共にそれらを形成する単結晶膜のb−軸方向であり、かつ平行している。
本発明の高臨界電流超電導素子の製造方法は、単結晶のab−面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体の単結晶のb−軸長および/またはa−軸長と格子整合性がありc−軸長と格子整合性のない第1の表面特性を有する単結晶基板上に、前記酸化物超電導体単結晶のc−軸長またはc−軸長およびb−軸長と格子整合性がありa−軸長と格子整合性のない、もしくはc−軸長またはc−軸長およびa−軸長と格子整合性がありb−軸長と格子整合性のない第2の表面特性を有する単結晶膜からなる複数の中間層を、前記単結晶基板のb−軸またはa−軸方向に沿って配列する工程、および前記基板表面上および前記中間層表面上に前記酸化物超電導体をエピタキシャル成長させる工程、を含み、前記基板表面上に該基板面に垂直にc−軸配向した前記酸化物超電導体の単結晶膜からなるc−軸配向領域を、前記中間層表面上に該中間層と前記基板との境界線に垂直にc−軸配向し、かつ前記中間層面に垂直にa−軸またはb−軸が配向した単結晶膜からなるc−軸面内配列領域を形成することを特徴とする。
本発明の高臨界電流超電導素子においては、前記c−軸配向領域と前記c−軸面内配列領域との界面には波動関数の大きな変化があることから、量子化磁束は他領域に容易に移動することはできないため、前記界面は酸化物超電導体膜の表面に垂直方向の量子化磁束の良好なピン止めセンターとして作用する。その結果、超電導素子の両領域においてそれらの界面に沿って高臨界電流密度で超電導電流を流すことができる。
本発明の高臨界電流超電導素子の製造方法においては、表面特性の異なる領域が並列している基板上に、酸化物超電導体の結晶膜をエピタキシャル成長させることにより、結晶の配向方向が異なるが同一の組成を有する酸化物超電導体の単結晶膜からなる前記c−軸配向領域と前記c−軸面内配列領域とが相互に並列している前記高臨界電流超電導素子を製造することができる。
本発明において、前記単結晶のab−面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体は、下記化学式(1)
LnBaCu・・・・・・・(1)
で表され、式中のLnがY元素またはランタニド元素から選択される1種または2種以上の元素からなり、かつ、6.5<x<7.1である銅酸化物系高温超電導体である。これらの酸化物超電導体の多くは液体窒素温度77Kよりも高い臨界温度が得られたことが確認されており、前記酸化物超電導体の単結晶膜からなるc−軸配向領域およびc−軸面内配列領域は、これらの銅酸化物系高温超電導体のいずれかで構成される。中でも好ましい酸化物超電導体は、前記式中のLnがYおよびLu元素から選択される1種または2種以上からなる銅酸化物系高温超電導体である。
前記酸化物超電導体のc−軸配向領域およびc−軸面内配列領域のそれぞれを選択的に形成させる基板は、該基板上に前記酸化物超電導体をエピタキシャル成長させたとき、該酸化物超電導体結晶の異方性によりc−軸が基板表面に垂直に配向した単結晶層が形成される第1の表面特性を有する領域と、c−軸が基板面に平行に配向した単結晶層が形成される第2の表面特性を有する領域とが並列して存在する基板である。
前記基板の第1の表面特性を有する領域は、前記酸化物超電導体結晶のb−軸長またはa−軸長とc−軸長とに格子整合性のある表面特性を有する単結晶表面である。より具体的には第1の表面特性は、前記酸化物超電導体結晶のb−軸長またはa−軸長と格子整合性のあるb−軸長またはa−軸長と、該b−軸長またはa−軸長の3倍かつ前記酸化物超電導体結晶のc−軸長よりも大きなc−軸長とを有する単結晶の該当面である。このような第1の表面特性を有する単結晶表面は、KNiF型単結晶、たとえばSrLaGaO単結晶の(100)面である。
一方、前記基板の第2の表面特性は、前記酸化物超電導体結晶のc−軸長と格子整合性を有する軸とa−またはb−軸長のいずれかと格子整合性を有する軸とを有する単結晶の表面である。このような表面特性は、LnCuO単結晶(式中、Lnは前記定義した通りの意味を表す)のac面またはbc面、たとえば、GdCuO単結晶の(100)面の表面特性に相当する。
前記第1の表面特性を有する領域と第2の表面特性を有する領域とを並列して表面に存在させた基板は、前記第1の表面特性を有する単結晶基板面上に、前記第2の表面特性を有する単結晶膜からなる中間層を、逆に前記第2の表面特性を有する単結晶基板面上に、前記第1の表面特性を有する単結晶膜なる中間層を、または、ペロブスカイト型単結晶からなる共通基板上に、前記第1の表面特性を有する単結晶膜からなる中間層および第2の表面特性を有する単結晶膜からなる中間層を並列させて形成した基板である。
前記基板において、前記第1の表面特性を有する領域の単結晶のc−軸方向に平行に前記第2の表面特性を有する領域の単結晶との境界が形成され、該境界に直角に前記第2の表面特性を有する単結晶の酸化物超電導体結晶のc−軸長に格子整合性を有する軸が配向している。
前記基板は、以下の方法で製造することができる。
(a)第1の表面特性を有する単結晶基板上に、第2の表面特性を有する単結晶層をエピタキシャル成長させるか、もしくは第2の表面特性を有する単結晶基板上に、第1の表面特性を有する単結晶層をエピタキシャル成長させる工程、
(b)前工程で形成された単結晶層上の全面にエッチングレジストを付与する工程、
(c)第1の表面特性を有する領域または第2の表面特性を有する領域を形成する部分の前記エッチングレジストをリソグラフィにより除去する工程、
(d)前記エッチングレジストが除去された部分の前記単結晶膜をエッチングにより除去し、前記基板面を露出させる工程、および
(e)前記単結晶膜上の残りのエッチングレジストを除去し、単結晶膜からなる中間層の表面を露出させる工程、
を実施することにより、第1の表面特性を有する領域と第2の表面特性を有する領域とを並列して形成させた基板を製造することができる。
別法として、
(a)第1の表面特性を有する単結晶基板面または第2の表面特性を有する単結晶基板面に第2の表面特性を有する領域または第1の表面特性を有する領域を形成するための溝をリソグラフィまたは機械的方法により形成する工程、
(b)溝を形成した基板上に第2の表面特性を有する単結晶層または第1の表面特性を有する単結晶層をエピタキシャル成長させる工程、
(c)前工程で形成された単結晶層上の全面にエッチングレジストを付与する工程、
(d)前記溝上に形成された単結晶層以外の部分の前記エッチングレジストをリソグラフィにより除去する工程、および
(e)前記エッチングレジストが除去された部分の前記単結晶膜をエッチングにより除去し、前記基板面を露出させる工程、
を実施することによって、第1の表面特性を有する領域と第2の表面特性を有する領域とを並列して形成させた基板を製造することができる。
さらに別法として
(a)共通基板上に第1の表面特性を有する単結晶層または第2の表面特性を有する単結晶層をエピタキシャル成長させる工程、
(b)前工程で形成された単結晶層上の全面にエッチングレジストを付与する工程、
(c)第1の表面特性を有する領域または第2の表面特性を有する領域を形成する部分の前記エッチングレジストをリソグラフィにより除去する工程、
(d)前記エッチングレジストが除去された部分の前記単結晶膜をエッチングにより除去し、前記基板面を露出させる工程、
(e)前記単結晶膜上の残りのエッチングレジストを除去し、単結晶膜からなる中間層の表面を露出させる工程、
(f)前記露出させた基板面および中間層表面上に、第2の表面特性を有する単結晶層または第1の表面特性を有する単結晶層をエピタキシャル成長させる工程、
(g)前工程で形成された単結晶層上の全面にエッチングレジストを付与する工程、
(h)前記中間層表面上に形成された単結晶上の前記エッチングレジストをリソグラフィにより除去する工程、
(i)前記エッチングレジストが除去された部分の前記単結晶膜をエッチングにより除去し、前記中間層表面を露出させる工程、および
(j)前記単結晶膜上の残りのエッチングレジストを除去し、単結晶膜からなる中間層の表面を露出させる工程、
を実施することによっても、共通基板上に第1の表面特性を有する領域と第2の表面特性を有する領域とを並列して形成させた基板を製造することができる。
本発明において、前記第1の表面特性を有する領域と第2の表面特性を有する領域とを表面に有する基板上に、前記酸化物超電導体の結晶をエピタキシャル成長させることにより、前記第1の表面特性を有する領域上には、前記酸化物超電導体結晶のc−軸が基板面に垂直に配向した前記酸化物超電導体の単結晶膜からなるc−軸配向領域が、前記第2の表面特性を有する領域上には、前記酸化物超電導体結晶のc−軸が基板面に平行にかつ前記第1の表面特性を有する単結晶のc−軸に直角に配向した前記酸化物超電導体の単結晶膜からなるc−軸面内配列領域が形成され、目的とする超電導素子を製造することができる。
前記基板上に中間層を形成するための単結晶膜の形成方法には特に制限はなく、たとえば、PLD法、真空蒸着法、塗布法、スパッタリング法、CVD法、MBE法、MOD法などのいずれをも採用することができる。
また、前記基板の表面上に酸化物超電導体をエピタキシャル成長させる方法にも特に制限はなく、前記例示した方法のいずれをも採用することができる。
前記エッチングレジストとして、紫外線またはそれより短い波長の放射線で硬化するエッチグレジストが好適に使用される。
図1〜図4に本発明の方法で製造される超電導素子の態様を示す。
これらの各図において、共通した符号を用いている。
1は基板の第1の表面特性を有する領域を構成する単結晶層、2は基板の第2の表面特性を有する領域を構成する単結晶層からなる中間層、3は酸化物超電導体結晶のc−軸配向領域、4は酸化物超電導体結晶のc−軸面内配列領域、5は電流の流れる方向を示す矢印である。また、図1中のa、b、cは、c−軸配向領域を構成する単結晶層のa−、b−、c−各軸の配向方向を示す矢印、a´、b´、c´は、c−軸面内配列領域を構成する単結晶層のa−、b−、c−各軸の配向方向を示す矢印である。
図1において、単結晶層1は基板の前記第1の表面特性を有する領域を、中間層2は基板の前記第2の表面特性を有する領域を構成する。
前記c−軸配向領域3は、前記単結晶層1上にエピタキシャル成長した前記酸化物超電導体の単結晶膜であり、c−軸が単結晶1の表面に垂直に、a−軸およびb−軸が単結晶層1の表面に平行に配向した領域である。一方、c−軸面内配列領域4は、前記中間層上にエピタキシャル成長した前記酸化物超電導体の単結晶膜であり、a−軸が中間層2の表面に垂直に、c−軸およびb−軸が中間層2の表面に平行に配向し、かつc−軸が前記c−軸配向領域との界面に直角に配向しているか、もしくはb−軸が中間層2の表面に垂直に、c−軸およびa−軸が中間層2の表面に平行に、かつc−軸が前記c−軸配向領域との界面に直角に配向している領域である。
c−軸配向領域3と複数のc−軸面内配列領域4とは相互に隣接しており、それらの界面は電流の流れる方向5に沿って延びている。前記c−軸配向領域3を構成する酸化物超電導体単結晶膜は、膜厚100nm以上、幅50μm以下である。一方、前記c−軸面内配列領域4の酸化物超電導体単結晶膜も、膜厚100nm以上、幅50μm以下である。
前記c−軸配向領域3とc−軸面内配列領域4との界面が量子化磁束のピン止めセンターとして作用するためには、印加する磁場の大きさにより異なるが、両領域の幅は好ましくはそれぞれ1〜250nmの範囲であり、さらに好ましくは10〜100nmの範囲である。
前記c−軸配向領域3と前記c−軸面内配列領域4との界面は、図1に示すように電気の流れる方向5に沿って連続していることが好ましいが、図2および図3に示すように中断されていてもよく、図4に示すように前記c−軸配向領域3と前記c−軸面内配列領域4との界面は、ジグザグに形成されていてもよい。前記c−軸配向領域3と前記c−軸面内配列領域4との界面が中断される場合は、前記c−軸配向領域3は連続させ、前記c−軸面内配列領域4を不連続とすることが好ましい。図2の場合、中断の間隔は500nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがさらに好ましい。
また、図3に示すようにc−軸配向領域内にc−軸面内配列領域が千鳥状に配置されていてもよく、この場合には、何等かの障害でc−軸面内配列領域に電流が流れ難くなったとき、c−軸配向領域に電流を迂回させることができる。この場合、電気の流れる方向に沿って、隣接するc−軸面内配列領域が少なくとも500nm重なっていることが望ましい。
また、前記c−軸配向領域には、超電導特性を損なわない範囲であれば、成膜時に自然発生した転移や結晶粒界が存在していてもよい。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
前記第1の方法により、図1において、単結晶層1がKNiF型単結晶層、中間層2がYCuO単結晶層からなる基板を製造し、該基板上にYBaCu結晶をエピタキシャル成長させc−軸配向領域3がc−軸配向YBaCu単結晶膜およびc−軸面内配列領域4がa−軸配向YBaCu単結晶膜からなる超電導素子を製造した。
該超電導素子において、c−軸配向領域3の膜厚は100nm、および幅は50nmであり、c−軸面内配列領域4の膜厚は100nm、および幅は50nmであり、中間層2の厚さは20nmであり、液体窒素温度77Kにおいてc−軸配向領域3とc−軸面内配列領域4との界面に沿って超電導電流を流すことができた。
(100)SrLaGaO単結晶基板上の全面に、GdCuOを750℃で蒸着させ、GdCuO中間層を形成し、該中間層上の全面にエッチングレジストを塗布し、リソグラフィによりc−軸配向領域を形成する部分のレジストを除去した。レジストが除去されたc−軸配向領域を形成する部分の中間層をエッチングし、c−軸配向領域を形成する部分の基板表面を露出させた後、中間層上に残ったレジストを除去し、c−軸面内配列領域を形成する中間層表面を露出させ、基板を製造した。
露出した基板表面上および露出した中間層表面上に、蒸着法により700℃でGdBaCuの単結晶をエピタキシャル成長させ、図1に示す構造と同様の構造を有する超電導素子を作成した。
得られた超電導素子は、液体窒素温度77Kにおいてc−軸配向領域3とc−軸面内配列領域4との界面に沿って超電導電流を流すことができた。
本発明の超電導素子の製造方法によれば、電流の流れる方向に沿って、酸化物超電導体単結晶のc−軸配向領域とc−軸面内配列領域との界面が形成されている超電導素子を製造することができ、該超電導素子はそれに形成された前記界面が量子化磁束のピン止めセンターとして極めて有効に作用する結果、前記両領域に極めて高い臨界電流密度で超電導電流を流すことができる。
また、本発明の超電導素子の製造方法においては、c−軸配向領域とc−軸面内配列領域の超電導体組成が同じであることから、それらを1の工程で形成できるばかりでなく、超電導体組成が維持される結果、高い臨界電流密度を示す超電導素子を製造することができる。
本発明は、極めて高い臨界電流密度を示す超電導素子の製造方法を提供するものであり、その超電導素子の製造分野はもとより利用分野における産業的意義は極めて大きい。
本発明の方法で製造される超電導素子の一態様を説明する図面である。 本発明の方法で製造される超電導素子において、c−軸面内配列領域の別の配列を示す図面である。 本発明の方法で製造される超電導素子において、c−軸面内配列領域のさらに別の配列を示す図面である。 本発明の方法で製造される超電導素子において、c−軸面内配列領域のさらに別の配列を示す図面である。
符号の説明
1 基板の第1の表面特性を有する領域を構成する単結晶層
2 基板の第2の表特性を有する領域を構成する単結晶層からなる中間層
3 酸化物超電導体単結晶のc−軸配向領域
4 酸化物超電導体単結晶のc−軸面内配列領域
5 電流の流れる方向を示す矢印
a、b、c それぞれc−軸配向領域の結晶軸方向を示す矢印
a´、b´、c´ それぞれc−軸面内配列領域の結晶軸方向を示す矢印

Claims (11)

  1. 単結晶のab−面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体の基板上の薄膜であって、該薄膜が前記基板面に垂直にc−軸配向した単結晶膜からなる複数のc−軸配向領域と、前記薄膜が前記c−軸配向領域の電流の流れる方向に垂直にc−軸配向した単結晶膜からなる複数のc−軸面内配列領域とを有し、該c−軸面内配列領域が前記c−軸配向領域に隣接し、かつ両領域の界面が、前記薄膜表面に対して垂直であり、電流の流れる方向に沿って延びていることを特徴とする高臨界電流超電導素子。
  2. 前記電流の流れる方向が、c−軸配向領域およびc−軸面内配列領域共にそれらを形成する単結晶膜のb−軸方向であり、かつ平行している請求項1に記載の高臨界電流超電導素子。
  3. 酸化物超電導体が、化学式(1)
    LnBaCu・・・・・・・(1)
    (式中、LnはY元素またはランタニド元素から選択される1種または2種以上の元素を表し、6.5<x<7.1である)で表される銅酸化物系高温超電導体である請求項1に記載の高臨界電流超電導素子。
  4. 前記基板が、前記酸化物超電導体結晶のc−軸が基板面に垂直に配向した酸化物超電導体単結晶膜が選択的に形成される第1の表面特性を有する領域と、前記c−軸が基板面に平行に配向した酸化物超電導体膜が選択的に形成される第2の表面特性を有する領域とを表面に並列して存在させた基板である請求項1に記載の高臨界電流超電導素子。
  5. 前記基板の第1の表面特性を有する領域が、前記酸化物超電導体結晶のb−軸長またはa−軸長と格子整合性のあるb−軸長またはa−軸長と、該b−軸長またはa−軸長の3倍かつ前記酸化物超電導体結晶のc−軸長よりも大きなc−軸長とを有する単結晶の該当面であり、前記第2の表面特性を有する領域が、前記酸化物超電導体結晶のc−軸長と格子整合性を有する軸とa−またはb−軸長のいずれかと格子整合性を有する軸とを有する単結晶の該当面である請求項1または4に記載の高臨界電流超電導素子。
  6. 前記第1の表面特性を有する単結晶表面が、KNiF型単結晶の(100)面であり、前記第2の表面特性を有するLnCuO単結晶(式中、Lnは前記定義した通りの意味を表す)の(100)面である請求項1、4または5のいずれかに記載の高臨界電流超電導素子。
  7. 前記基板がKNiF型単結晶基板または単結晶基板上にKNiF型単結晶層を積層した複合基板の前記第1の表面特性を有する面上に、前記第2の表面特性を有する単結晶からなる中間層を積層した基板である請求項1、4、5または6のいずれかに記載の高臨界電流超電導素子。
  8. 前記c−軸配向領域が前記基板の第1の表面特性を有する領域上の単結晶膜であり、前記c−軸面内配列領域が前記基板の第2の表面特性を有する領域上の単結晶膜である請求項1ないし7のいずれかに記載の高臨界電流超電導素子。
  9. 単結晶のab−面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体の単結晶のb−軸長および/またはa−軸長と格子整合性がありc−軸長と格子整合性のない第1の表面特性を有する単結晶基板上に、前記酸化物超電導体単結晶のc−軸長またはc−軸長およびb−軸長と格子整合性がありa−軸長と格子整合性のない、もしくはc−軸長またはc−軸長およびa−軸長と格子整合性がありb−軸長と格子整合性のない第2の表面特性を有する単結晶膜からなる複数の中間層を、前記単結晶基板のb−軸またはa−軸方向に沿って配列する工程、
    および
    前記基板表面上および前記中間層表面上に前記酸化物超電導体をエピタキシャル成長させる工程、
    を含み、
    前記基板表面上の前記酸化物超電導体はc−軸配向領域を有し、前記中間層表面上の前記酸化物超電導体はc−軸面内配列領域を有し、
    前記c−軸配向領域は、前記基板表面に対して垂直にc−軸配向した単結晶膜からなり、前記c−軸面内配列領域は、当該領域と前記c−軸配向領域との界面に対して垂直にc−軸配向し、かつ前記中間層面に対して垂直にa−軸またはb−軸が配向した単結晶膜からなることを特徴とする高臨界電流超電導素子の製造方法。
  10. 前記基板上に中間層を配列する工程が、前記基板上の全面に前記中間層を構成する単結晶膜を真空蒸着法によりエピタキシャル成長させる工程、得られた単結晶膜の全面にエッチングレジストを付与し、リソグラフィによりc−軸配向領域を形成する部分のエッチングレジストを除去する工程、およびc−軸配向領域を形成する部分の前記単結晶膜をエッチングして除去する工程を含む請求項9に記載の高臨界電流超電導素子の製造方法。
  11. 前記酸化物超電導体のエピタキシャル成長工程が、真空蒸着法または塗布法である請求項9に記載の高臨界電流超電導素子の製造方法。
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