JPH0542891Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両用ガソリンタンク装置に関し、詳
しくは、燃料注入系統に、アウタホースとインナ
ホースからなる連結ホースが採用された燃料タン
クに関するものである。

（従来の技術） 自動車の燃料タンクは、通常車体の前後方向に
おけるフレームに強固に取り付けられ、車体側部
のフエンダなどに開口する燃料注入口とは、パイ
プやホースなどを介して接続される。このパイプ
は通常鋼管などであり、燃料タンクに一体化され
ていたり、燃料注入口においてはフイラーパイプ
を形成したりしている。このようなパイプを相互
に接続するホースは一般にゴムホースが採用さ
れ、その端部はパイプに嵌合された上でホースク
リツプなどで止着される。

このように燃料注入口と燃料タンクとをゴムホ
ースで連結する場合には、通常、比較的固いゴム
ホースが採用される。その結果、燃料タンクと燃
料注入口との相対位置がずれた場合、ゴムホース
がその変形に追従できず、ホースが止着部から外
れて、燃料が洩れ出す事態が生じる。また、上記
ゴムホースの接続作業にあつては、車体に取り付
けられた燃料タンクと燃料注入口とに組み付け位
置の誤差がある場合、この誤差を固いホースで吸
収することは難しく、また各種部品の入り組んだ
狭い空間に手を入れてゴムホースを組み付けるに
は多大の手間と時間を要する。

このような難点を解消するために、変形の容易
な蛇腹状ホースが採用されたりしている。しか
し、注入された燃料がその蛇腹部において偏流す
るなどして、泡立ち現象が生じたり逆流が起こつ
たりする。その結果、燃料の吹き返しで燃料注入
口において燃料溢れが生じ、燃料の注入に使用さ
れるフユーエルガンが満タン以前に自動的に停止
するなど、誤作動の起こることが避けられない。

そこで、蛇腹状ホースを採用しながらもその欠
点を補うことができるようにした一例として、実
公昭54−5933号公報に記載された自動車の燃料注
油ホースがある。これは、蛇腹状ホースの中に硬
質のゴムホースをインナホースとして介装し、そ
の一端部を蛇腹状ホースの一端部と重ねて一方の
パイプに嵌合止着し、蛇腹状ホースの他端部のみ
が嵌合止着された他方のパイプの中にインナホー
スの他端部を挿抜自在に配置したものである。こ
れによれは、インナホースが他方のパイプに対し
て変位可能であるので、燃料タンクと燃料注入口
との相対位置関係が変わつても、蛇腹状ホースの
変形と同時にインナホースがパイプに対して挿抜
方向に動くことができ、それぞれのホースや燃料
タンクの損傷の虞れが少なくなる。しかも、イン
ナホースがパイプから抜けても、蛇腹状ホースに
より燃料洩れが防止される。さらに、燃料注入時
に、インナホースが燃料を燃料タンクのパイプま
で案内する経路を滑らかにするので、蛇腹による
泡立ちなどは抑制され、円滑な注入が可能とな
る。

しかしながら、インナホースの他端部がパイプ
に挿入された正常状態において、そのホースの自
由度が挿抜方向のみであり、折角蛇腹状ホースを
採用しながらもその利点を十分に発揮させること
ができない。このような観点から、蛇腹状ホース
の全方向における柔軟性を発揮させることができ
るようにしたものとして、実開昭59−99825号公
報に記載された車両用フユーエルインレツトホー
ス装置がある。これは、蛇腹状ホース内のインナ
ホースの一端を蛇腹状ホースより短くし、さらに
その個所において蛇腹状ホースが嵌合止着されて
いるパイプの端面に対向するようにインナホース
の端部を臨ませ、パイプとインナホースとが当接
または近接するように配置されているものであ
る。これによれば、上述した例のようにインナホ
ースとパイプとの嵌合関係は無くなり、その個所
でインナホースの軸方向の変位や全方向への曲げ
変形が許容され、蛇腹状ホースが変形する場合に
それに応じてインナホースも動くことができる。
このようにして燃料タンクと燃料注入口とを接続
するホースが、全ゆる方向に変位したり、装着品
の組付け誤差を吸収しながら接続することができ
る利点はあるが、ホースの耐久性の点で以下のよ
うな問題を含んでいる。

燃料タンクは上述したように車体のフレームに
強固に取り付けられるが、燃料注入口はアウタパ
ネル等のフエンダに取り付けられるので、走行中
に発生する振動が、燃料タンクのパイプ側と燃料
注入口側のパイプとの間で異なる。通常はフエン
ダ側の振動が大きくなるので、それによつて燃料
注入口側のパイプが燃料タンク側のパイプよりも
激しく動く。上述した例のおいては、蛇腹状ホー
スは両パイプに止着されているが、インナホース
は一方のパイプにのみ止着されかつ長い片持ち状
態となつている。その結果、蛇腹状ホースとイン
ナホースとの動きが、それぞれを止着しているパ
イプ側の動きに応じて異なることになる。したが
つて、蛇腹状のホースの内部に位置するインナホ
ースが、パイプに対して当接又は近接している個
所で、蛇腹状ホースの内側面に頻繁に接触したり
衝撃を加え、その摩擦などで蛇腹状ホースが損傷
する。とりわけ、蛇腹状ホースはインナホースよ
り薄くて柔らかく、かつ複雑に入り組んだ変化の
大きい形状をしているので、その損耗がインナホ
ースに比べて一段と激しくなる。その結果、この
ようなホース装置では、蛇腹状ホースから燃料洩
れが起こり易くなるので、燃料供給系統における
最も重要かつ基本的な問題の解消が十分でなく、
その解決を図ることが強く望まれる。

（考案の目的） 本考案は上述の問題に鑑みなされたもので、そ
の目的は、先ず、燃料タンクと燃料注入口とを接
触するホースに全方向に対する柔軟性を持たせ、
変形に対する追従を如何なる方向に対しても可能
にすると共に、蛇腹状ホースから燃料洩れの発生
するのを回避し、さらには、各部品の組付け誤差
を吸収しながらホースによる接続作業を円滑にし
て生産性を向上させることである。加えて、燃料
注入時にあつては泡立ち現象などによる燃料溢れ
を防止でき、さらに、振動に起因する蛇腹状ホー
スの損耗度を著しく低下させ、燃料注入系統の耐
久性が一段と向上された信頼性の高い車両用ガソ
リンタンク装置を提供することである。

（考案の構成） 上記の目的を達成するため、本考案の解決手段
は、燃料タンクに通じるフユーエルタンク側パイ
プと車体に設けられた燃料注入口に通じるフユー
エルインレツト側パイプとが、アウタホースとイ
ンナホースとからなる連結ホースにより液密に接
続された車両用ガソリンタンク装置を前提とす
る。そして、上記アウタホースはその上記フユー
エルタンク側パイプとフユーエルインレツト側パ
イプとの間に位置する部分が伸縮自在でかつ可撓
性を有する蛇腹部に形成されている。上記インナ
ホースは長手方向に二分割されていると共に、そ
の分割された対向端部において互いに挿脱自在に
嵌合されている。上記分割されたインナホースの
両端部は、該インナホースを覆うように配置され
た上記アウタホースの両端部と共に、上記フユー
エルタンク側パイプ及びフユーエルインレツト側
パイプに外嵌合されて止着されているものとす
る。

（作用） これにより、本考案では、インナホースの分割
された対向端部においては、インナホースはその
挿抜方向の変位のみならず、折れ曲がり変形も可
能となる。即ち、燃料注入系統に歪が生じてフユ
ーエルタンク側パイプとフユーエルインレツト側
パイプとが相対変位したとしても、蛇腹状のアウ
タホースがそれに追従して変形することは勿論の
こと、インナホースが分割された対向端部におい
て互いに挿抜したり折れ曲がつたりする。これ
は、インナホースが硬質のゴムホースであるとい
えども多少の柔軟性、可撓性を有し、それが分割
された対向端部において互いにさほど拘束し合う
ことなう嵌合されているので、その変形は十分に
許容されるのである。このことから、パイプなど
の変形が如何なる方向に起こつても、それに応じ
て連結ホースは変形できることになる。尚、両パ
イプの離隔が激しければ上記対向端部において分
割されたインナホースが互いに分離することで連
結ホースの大きな伸びが許容される一方、柔軟に
変形するアウタホースにより燃料の洩れが防止さ
れる。このような場合のみならず、燃料タンクの
装着や燃料注入口の設置において組み付け誤差が
生じていても、上記連結ホースの変形によりそれ
を吸収する必要がある場合に、同様に対応するこ
とができる。

一方、燃料を注入する場合には、インナホース
により、フユーエルインレツト側パイプからフユ
ーエルタンク側パイプに向かう燃料の流れが案内
されるので、燃料がアウタホースの蛇腹部によつ
て泡立てられたり吹き返されたりすることがな
く、それによつてフユーエルガンが所望外の注入
状態で自動的に停止してしまうといつたことは防
止され、円滑な燃料供給が維持される。

それのみならず、車体の振動でフユーエルタン
ク側パイプとフユーエルインレツト側パイプとが
相対的に異なる挙動を呈しても、その振動はイン
ナホースの分割された対向端部において吸収され
る。その際、振動の激しい一方のインナホースが
他方のインナホースに擦れるなどしても、それに
よつて摩耗するのはインナホースであり、蛇腹状
のアウタホースにインナホースが接触することは
なく、アウタホースが振動により損耗することは
ない。したがつて、通常状態において、車体の振
動に起因する連結ホースの耐久性の低下は避けら
れる。

（実施例） 以下、本考案をその実施例に基づいて詳細に説
明する。第２図は本考案の車両用ガソリンタンク
装置が適用された全体外観図で、燃料タンク１の
側部上縁に、燃料であるガソリンなどが導入され
る燃料注入系統２を構成するフユーエルタンクパ
イプ３が突設され、その側部にタンク内の呼吸を
可能にするブリーザパイプ４が設けられている。
このような燃料タンク１の上部には、燃料をエン
ジンに供給するためのメインパイプ５、過剰に供
給された燃料を帰還させるリターンパイプ６、さ
らには蒸発した燃料を回収するための回収パイプ
７などが取り付けられ、それぞれには所望の個所
と結合するためのホース４ａ，５ａなどが接続さ
れている。この燃料タンク１は図示しないが、車
体の前後方向などに設けられたフレームに強固に
取り付けられている。

上述したフユーエルタンクパイプ３には連結ホ
ース８が接続され、本例においてはそれが中間パ
イプ９を挟んで二つ取り付けられ、最終的にはフ
ユーエルインレツトパイプ１０に接続されてい
る。フユーエルインレツトパイプ１０は円板状の
取付座１１を介して車体に固定され、図示しない
フエンダアウタパネルなどにおいて燃料注入口１
２が開口され、それがキヤツプ１３で閉止される
ようになつている。尚、この例からも判るよう
に、燃料タンク１と燃料注入口１２とを接続する
一つの燃料注入系統２に、連結ホース８が一個所
に限らず場合によつては二個所以上採用されるの
で、以下においては、連結ホース８から見てそれ
ぞれ燃料タンク１側に通じるパイプをフユーエル
タンク側パイプ２Ａ、燃料注入口１２に通じるパ
イプをフユーエルインレツト側パイプ２Ｂと称し
て（第３図参照）説明することにする。従つて、
中間パイプ９は、連結ホース８Ｍから見るとフユ
ーエルインレツト側パイプであり、連結ホース８
Ｎから見るとフユーエルタンク側パイプとなる。

第３図は連結ホース８Ｎにおける外観図で、そ
の内部は、第１図に示すようになつている。即
ち、フユーエルタンク側パイプ２Ａとフユーエル
インレツト側パイプ２Ｂとが、アウタホース１５
とインナホース１６とからなる連結ホース８によ
り接続されている。その嵌合接続部は、第３図に
示したホースクリツプ１７，１８により締め付け
られ、両パイプ２Ａ，２Ｂに嵌合された連結ホー
ス８から燃料が洩れないように液密に止着されて
いる。

上記連結ホース８を構成するインナホース１６
は例えば硬質のゴムホースであり、アウタホース
１５は上記フユーエルタンク側パイプ２Ａとフユ
ーエルインレツト側パイプ２Ｂとの間に位置する
部分が伸縮自在でかつ可撓性を有する蛇腹状に形
成されたホースである。そして、インナホース１
６は長手方向に二分割された状態にあり、その分
割位置は図示の例ではインナホース１６のほぼ中
央となつている。分割された二つのインナホース
１６Ａ，１６Ｂは、その対向端部１９において相
互に挿脱自在に嵌合され、通常はインナホース１
６Ｂがインナホース１６Ａに挿入された状態にあ
る。この分割されたインナホース１６の両端部１
６ａ，１６ｂは、インナホース１６を覆うように
配置されたアウタホース１５の両端部と共に、フ
ユーエルタンク側及びフユーエルインレツト側パ
イプ２Ａ，２Ｂにそれぞれ外嵌合され、上述した
ホースクリツプ１７，１８の締めネジ２０（第３
図参照）を回すことにより強固に止着される。

このような構成の実施例によれば、インナホー
ス１６Ａ，１６Ｂの対向端部１９においては、イ
ンナホース１６はその挿抜方向の変位のみなら
ず、折れ曲がり変形も可能となる。即ち、燃料注
入系統２に歪が生じてフユーエルタンク側パイプ
２Ａとフユーエルタンク側パイプ２Ｂとが相対変
位したとしても、蛇腹状のアウタホース１５がそ
れに追従して変形することは勿論のこと、インナ
ホース１６が分割された対向端部１９において挿
抜したり折れ曲がつたりする。これは、インナホ
ース１６は硬質のゴムホースであるといえども多
少の柔軟性、可撓性を有し、それが分割された対
向端部１９において互いにさほど拘束し合うこと
なく嵌合されているので、その変形は十分に許容
されるのである。以上のことから、パイプ２Ａ，
２Ｂなどの変形が如何なる方向に起こつても、そ
れに応じて連結ホース１６は変形できることにな
る。尚、両パイプ２Ａ，２Ｂの離隔が激しければ
対向端部１９においてインナホース１６Ａ，１６
Ｂが分離してしまうことで連結ホース８の大きな
伸びが許容される一方、柔軟に変形するアウタホ
ース１５により燃料の洩れが防止される。このよ
うな場合のみならず、燃料タンク１の装着や燃料
注入口１２の設置において組み付け誤差が生じて
いても、連結ホース８の変形によりそれを吸収す
る必要がある場合に、同様に対応することができ
る。

一方、燃料を注入する場合には、インナホース
１６により、フユーエルインレツト側パイプ２Ｂ
からフユーエルタンク側パイプ２Ａに向かう燃料
の流れが案内されるので、燃料がアウタホース１
５の蛇腹部によつて泡立てられたり吹き返された
りすることがなく、それによつてフユーエルガン
が所望外の注入状態で自動的に停止してしまうと
いつたことは防止され、円滑な燃料供給が維持さ
れる。それのみならず、車体の振動でフユーエル
タンク側パイプ２Ａとフユーエルインレツト側パ
イプ２Ｂとが相対的に異なる挙動を呈しても、そ
の振動はインナホース１６Ａと１６Ｂの対向端部
１９において吸収される。その際、振動の激しい
一方のインナホースが他方のインナホースに擦れ
るなどしても、それによつて摩耗するのはインナ
ホース１６であり、蛇腹状のアウタホース１５に
インナホース１６が接触することはなく、アウタ
ホース１５が振動により損耗することはない。し
たがつて、通常状態において、車体の振動に起因
する連結ホース８の耐久性の低下は避けられる。

ちなみに、本例では、フユーエルインレツト側
パイプ２Ｂに止着されたインナホース１６が、フ
ユーエルタンク側パイプ２Ａに止着されたインナ
ホース１６Ａの中に挿入された状態となつてい
る。そのために、振動が大きくなり易いインナホ
ース１６Ｂが、振動の小さいインナホース１６Ａ
により外から拘束されることになる。したがつ
て、インナホース１６Ｂの動きがより一層抑えら
れ、アウタホース１５の安全がより高められる利
点がある。

（考案の効果） 本考案は以上の説明から判るように、フユーエ
ルタンク側パイプとフユーエルインレツト側パイ
プとを接続する連結ホースをアウタホースとイン
ナホースとから構成し、このインナホースを二分
割してその対向端部において挿脱自在に嵌合し、
その両端部を伸縮自在でかつ可撓性を有する蛇腹
状のアウタホースと共に、上記両パイプに外嵌合
して止着したので、燃料タンクと燃料注入口を接
続する連結ホースに、全方向に対する柔軟性を持
たせることができる。その結果、変形に対する追
従が可能となり、ホースの破損を招くことなく燃
料洩れを回避できる。そして、各部品の装着に誤
差がある場合には、それを吸収しながらホースの
組み付け作業が円滑に進められ、生産性の向上に
寄与することができる。また、燃料注入時にあつ
ては泡立ち現象などによる燃料注入口での燃料溢
れが防止され、さらに、車体の振動に起因するイ
ンナホースの挙動で、蛇腹状のホースが損耗する
のが回避され、燃料注入系統の耐久性と信頼性を
著しく向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の車両用ガソリンタンク装置に
おける要部断面図、第２図は本考案が適用される
タンク装置の全体斜視図、第３図は連結ホースの
取付け位置における下方より見た外観図である。 １……燃料タンク、２Ａ……フユーエルタンク
側パイプ、２Ｂ……フユーエルインレツト側パイ
プ、８，８Ｍ，８Ｎ……連結ホース、１２……燃
料注入口、１５……アウタホース、１６，１６
Ａ，１６Ｂ……インナホース、１６ａ，１６ｂ…
…両端部、１９……対向端部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 燃料タンクに通じるフユーエルタンク側パイプ
   と車体に設けられた燃料注入口に通じるフユーエ
   ルインレツト側パイプとが、アウタホースとイン
   ナホースとからなる連結ホースにより液密に接続
   された車両用ガソリンタンク装置であつて、 上記アウタホースはその上記フユーエルタンク
   側パイプとフユーエルインレツト側パイプとの間
   に位置する部分が伸縮自在でかつ可撓性を有する
   蛇腹部に形成されており、 上記インナホースは長手方向に二分割されてい
   ると共に、その分割された対向端部において互い
   に挿脱自在に嵌合されており、 上記分割されたインナホースの両端部は、該イ
   ンナホースを覆うように配置された上記アウタホ
   ースの両端部と共に、上記フユーエルタンク側パ
   イプ及びフユーエルインレツト側パイプに外嵌合
   されて止着されていることを特徴とする車両用ガ
   ソリンタンク装置。