JPH0542835Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は輸液（輸血を含む）用フレキシブル
バツグの口栓に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、輸液用の薬液（血液も含む）の収容容
器にはフレキシブルバツグと、ガラスやプラスチ
ツク製の固い瓶とがあつた。フレキシブルバツグ
はその口栓に点滴セツトの針を接続して内部の薬
液を取出した場合、その薬液の減少に伴い、バツ
グが徐々に偏平に変形する一方、固い瓶状のもの
はこのような変形が起こらないために内部に真空
領域ができ、それが徐々に拡大する。従つて、固
い瓶状のものでは口栓に針を刺す等して内部に外
気を取入れる必要があるが、フレキシブルバツグ
ではそのような外気を取り入れる面倒がない。

このため、最近では輸血や輸液用の血液や薬液
を入れる容器としてフレキシブルバツグが広く用
いられている。また、このフレキシブルバツグに
使用される口栓は点滴セツトの導液管を接続する
ために一つの針が刺せればよかつたが、最近では
複数の薬液を混合して使用することがあり、口栓
には複数の針が同時に刺せるようなマルチポート
方式のものが多くなつている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、従来のフレキシブルバツグは口
栓の取付部周辺が偏平であつたため、口栓に刺し
た針が少しでも傾斜状となつた場合にはその尖端
でバツグ内壁を破損乃至突き破つて仕舞うという
事故がおこつた。また、バツグが偏平であるため
に口栓を取付ける前に行われる薬液等の導入（又
は吸入）作業が行い難いものであつた。さらにま
た、薬液導入前には口栓近傍が潰れているために
この部分に薬液の残量目盛を印刷等により表示す
ることが困難であつた。

この考案は上記の問題点を解消するためのもの
であつて、口栓に刺した１本乃至複数本の針が多
少傾斜状となつた場合でもバツグ内壁を破損等せ
ず、しかも、薬液の導入（吸入）等の作業性或い
は残量目盛の表示等を行い易くした輸液用フレキ
シブルバツグの口栓を提供することを目的として
いる。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、この考案は上面に複
数の貫通孔を有する外套体と、該外套体の上面の
孔に嵌入できるボタンを有する板状弾体と、該板
状弾体を挾み込むように外套体内に挿入でき、か
つ、頂面に薄膜を有する突部、下縁外周に逆椀状
の鍔体をそれぞれ備えた内挿体とからなり、フレ
キシブルバツグに取付けた場合に、口栓周辺部に
前記逆椀状鍔体の形状による膨らみが作られるよ
うに構成したものである。

〔実施例〕

次に、この考案を添付図面に示す実施例に基づ
いて説明する。

第１図は本願口栓Ａの分野斜視図、第２図は組
立状態の断面図である。図において、１は上面に
複数個（図上では３個）の貫通孔２を有する外套
体で、該外套体１の下縁には、後記する内挿体下
縁の鍔体の上面に密接できる形状の鍔体３が設け
られている。この外套体１は平面連環状にし、各
環の中心に貫通孔２を一列に配置している。これ
は主に外套体１の強度とデザインを考慮したもの
であり、これ以外の形状であつてもよい。例えば
外套体１を平面円形にし、その同心円上に三角状
に貫通孔２を配置するようにしてもよい。

４はゴム材よりなる板状弾体で、該板状弾体４
の上面には前記外套体１の前記貫通孔２にそれぞ
れ嵌入できるボタン（突出部）５が設けられてい
るとともに、下面には偏平凹溝６が設けられてい
る。このボタン５は前記貫通孔２の暑さと同高に
なつている。また、各ボタン５の頂面中央部には
逆円錐状凹部７が設けられ、針８を刺す位置を明
確に示すとともに、針先を下向きに誘導できるよ
うに構成している。

９は前記板状弾体４を挾み込むように外套体１
内に挿入できる形状に形成された内挿体で、該内
挿体９の上面には前記板状弾体４の下面の偏平凹
溝６に嵌入できる突部１０が、また、下縁外周に
は逆椀状の鍔体１１がそれぞれ設けられている。
この内挿体９は中空状になつており、しかも、前
記各突部１０の頂面は薄膜（盲）になつている。
これは板状弾体４のボタン５に針８を刺したとき
に該板状弾体４が下向きに逃げない（撓まない）
ように保持するためのものである。従つて、この
突部１０の頂面の薄膜は針先をある程度の強さで
刺したときに突き破れられる程度の強さを必要と
する。前記逆椀状の鍔体１１の形状は、後記する
ように本願口栓Ａをフレキシブルバツグに適用し
たときに該口栓周辺に一定の膨らみを持たせるた
めに有効である。

１３は前記逆椀状の鍔体１１の外縁１１′から
延設した方形のヒレ状片で、該ヒレ状片１３は第
３図示の如く、鍔体１１とは別個の方形のフイル
ム片１３′を用意し、その中央部に鍔体１１の外
縁１１′より小さい相以形の穴１２を穿孔し、両
者を超音波溶着法等の方法にて一体に固着しても
よい。

上記実施例に示した外套体１、板状弾体４及び
内挿体９の三者を組立るには、まず、外套体１内
に、板状弾体４をそのボタン５が内側（図におい
て上向き）になるように挿入し、次いで、内挿体
９を突部１０側から外套体１内に嵌入する。しか
る後、外套体１の鍔体３を内挿体９の鍔体１１の
上面に接着剤等により接着（超音波溶着でも可）
すると、第２図示の如く完成する。

第４図及び第５図は上述の如く組立てた本願口
栓Ａをフレキシブルバツグに取付ける手順を示す
斜視図である。

まず、第４図の如く、内挿体９の鍔体１１の外
縁１１′から延設したヒレ状片１３の周辺を、バ
ツグ素材１４の中央部に設けた窓部１５の周辺に
重ね、超音波溶着法等にて固着S₁する。しかる
後、このバツグ素材１４を中央折線（仮想線）ａ
より二つ折りにして外周を上記同様に固着S₂する
と、第５図示の如くフレキシブルバツグ１６が完
成する。

なお、内挿体９の鍔体１１の外縁１１′から延
設したヒレ状片１３と、バツグ素材１４との固着
部S₁は、第６図及び第７図の如く、いずれが外側
になつてもよい。

かくして完成したフレキシブルバツグ１６は本
願栓Ａの周辺部が一定の膨らみＢを持つようにな
り、針８を刺す場合において、その針が傾斜した
ときでも針先が届かず、従つて、バツク内壁が傷
付けられるようなことがない。

また、膨らみＢが一定（画一化）するので、予
め、バツク素材１４に残量目盛１７を表示するこ
とが可能となる。

〔考案の効果〕

以上の如く、この考案は上面に複数の貫通孔を
有する外套体と、該外套体の上面の孔に嵌入でき
るボタンを有する板状弾体と、該板状弾体を挾み
込むように外套体内に挿入でき、かつ、頂面に薄
膜を有する突部、下縁外周に逆椀状の鍔体をそれ
ぞれ備えた内挿体とからなることを特徴としてい
るから、フレキシブルバツグに取付けた場合に口
栓周辺部に前記逆椀状鍔体の形状による脹らみが
作られ、本願口栓に刺した一本乃至複数本の針が
多少傾斜状となつた場合でもバツグ内壁を破損等
せず、しかも、薬液の導入（吸入）等の作業性が
良い利点があるなどの優れた効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の一実施例を示すもので、第１図
は本願口栓の分解斜視図、第２図は組立状態の断
面図、第３図は内挿体の鍔体の外縁にヒレ状片を
取付る状態を示す斜視図、第４図及び第５図は本
願口栓をフレキシブルバツグに組立てる手順を示
す斜視図、第６図及び第７図は完成後のフレキシ
ブルバツグの形状及び使用状態を示す略示的断面
図である。 Ａ……本願口栓、１……外套体、２……貫通
孔、４……板状弾体、５……ボタン、８……針、
９……内挿体、１０……突部、１１……逆椀状の
鍔体、１３……ヒレ状片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面に複数の貫通孔を有する外套体と、該外套
   体の上面の孔に嵌入できるボタンを有する板状弾
   体と、該板状弾体を挾み込むように外套体内に挿
   入でき、かつ、頂面に薄膜を有する突部、下縁外
   周に逆椀状の鍔体をそれぞれ備えた内挿体とから
   なることを特徴とする輸液用フレキシブルバツグ
   の口栓。