JPH0642673Y2 - 口部材の取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、主として血液や医薬用生理食塩水等の点滴に
用いられる薬液を収納する医療用袋の口部材の取付け構
造に関する。

〔従来の技術〕

従来医療用生理食塩水や血液等点滴に用いる薬液は、注
射針の刺通可能な口栓の取付けられた硝子瓶に入れ、こ
れを患者の近傍に口栓を下にしてセットし、口栓に刺通
された注射針と患者の血管に刺通した注射針とを導管に
よって接続し、瓶の高さを調整し、ヘッド圧によって薬
液を血管に注入している。この際、瓶中の薬液量が減少
し、瓶内が減圧状態となると、薬液が注入されなくなる
ため、口栓に他の注射針を刺通し、薬液の減少に伴なっ
て空気が導入されるようにして、瓶内の減圧化するのを
防止している。しかし、滅菌された瓶内に、外気が入る
ので、薬液中に雑菌等が混入される懸念がある。

そのため、最近では、硝子瓶の代りに、熱可塑性樹脂製
の医療用袋が用いられるようになった。

上記熱可塑性樹脂としては、軟質塩化ビニール、ポリエ
チレン等が用いられるが、特に可塑剤等の含有がなく、
袋から異物が薬液内に溶出する懸念が全くないポリエチ
レンが多く用いられている。

上記ポリエチレン製の医療用袋をつくるには、チューブ
状に成形されて巻取られた厚さ50〜800μｍの円筒状の
ポリエチレンを、所定の長さに切断し、一方の開口部に
ポリエチレンの射出成形によって造られた第２図に示す
ような円筒状の口部材１を、第３図（ａ）（ｂ）に示す
ように嵌合し、両端開口部を平板状に融着封止してつく
られる。これら、上下の融着部２、３によって袋部４が
形成され、下融着部３には医療用袋を吊下げる吊孔５が
穿設されている。

上記口部材１は、第４図に示すように上融着部２に挾持
され融着保持される。

また、本考案者等が先に提案した、第５図に示す口部材
１のように、外周の直径端部位置に円筒の中心軸線と同
一平面内の凸条1aを設け、融着部２による保持力を高め
たものもある（特願昭63−127945号）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、薬液を入れた上記医療用袋の口部材１を
持って運搬したり、吊孔５を吊部材に引掛けて、点滴す
るための管等を口部材１に取付ける作業中に、口部材１
の下端面位置の袋部が破損し、薬液が漏出す事故が発生
する事があった。

本考案者等は、上記の問題を解決すべく鋭意検討を行な
った結果、口部材の先端位置によって、破損し易すさが
変化することを知見した。

本考案は上記の知見に基づいてなされたもので、口部材
操作中の薬液の漏出事故をほぼ完全に防止出来る口部材
の取付け構造を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案の口部材取付け構造
は、 ポリエチレン製円筒状薄肉シートの一方の開口部にポリ
エチレン製口部材を嵌合し、上下の両開口部を平板状に
融着し、これら融着部の間に袋部が形成されている医療
用袋の口部材の取付け構造において、上記平板状の融着
部によって挾持され融着保持されている口部材の先端面
が融着部から袋部内に1.0mm以上突出している。

第１図は本考案に係る口部材取付け構造の一実施例を示
すもので、口部材１の先端面11は、上融着部２と袋部４
との境界線により、袋部４内に寸法ａだけ突出してい
る。

ａの寸法は、1mm以上であることが必要で、また、5mm以
下が好ましい。

ａが1mm未満では、薬液の入った医療用袋の口部材を持
って左右に振ると、口部材１の先端面11の位置で、袋部
４が容易に破損する。

また、ａが5mmを越えると、吊孔５を引掛け口部材１を
下にして点滴を行なう際、残留する薬液量が増加するの
で好ましくない。

次に実験例を示して本考案を説明する。

実験例１ 厚さ400μｍの円筒状のポリエチレンシートおよび外径1
5mmのポリエチレン製口部材１を用い、上記口部材の先
端面11と境界線12との間隔ａを種々変えて、１入の医
療用袋をそれぞれ20個づつ作製した。

これに１の水を入れ、口部材を把持して、振動幅100m
m、振動速度１往復/1秒で60秒振動させ、20個の医療用
袋のうち、破損した袋の数を調べた。結果を第１表に示
す。

実験例２ 厚さ200μｍの円筒状のポリエチレンシートおよび外径1
2mmのポリエチレン製口部材１を用い、上記先端面11と
境界線12との間隔ａを種々変えて、500cc入の医療用袋
をそれぞれ20個づつ作製した。これに500ccの水を入れ
実験例１と同じ振動試験をおこなった。結果を第２表に
示す。

実施例１ 実験例２におけるａが2.0mmの医療用袋200袋に、薬液を
500ccづつ充填し、臨床的使用に供したが、破損したと
の報告はなかった。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案に係る口部材取付け構造を有
する医療用袋は、従来のものと異なり、破損事故の発生
はなく、各種点滴薬の製造業界に寄与することが極めて
大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る口部材取付け構造の一実施例を示
す正面図、第２図は口部材の斜視図、第３図（ａ）
（ｂ）一般的な医療用袋を示すもので第３図（ａ）は正
面図、第３図（ｂ）は第３図（ａ）のIII−III線矢視
図、第４図は第３図（ａ）のIV−IV線矢視断面図、第５
図は他の口部材を用いた、第４図相当図である。 １……口部材、1a……凸条、２……上融着部、３……下
融着部、４……袋部、５……吊孔、11……口部材先端
面、12……境界線、ａ……境界線と口部材先端面との間
隔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ポリエチレン製円筒状薄肉シートの一方の
   開口部にポリエチレン製口部材を嵌合し、上下の両開口
   部を平板状に融着し、これら融着部の間に袋部が形成さ
   れている医療用袋の口部材の取付け構造において、上記
   平板状の融着部によって挾持され融着保持されている口
   部材の先端面が融着部から袋部内に1.0mm以上突出して
   いることを特徴とする口部材の取付構造。