JPH0542740U - ボールジヨイント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 ボールジョイント１のダストカバー５，５ａ
を、ハウジング４の開口部１０，１１の内周側に嵌入固
定し、ダストカバー１のシール１７部を、ボールスタッ
ド６の球頭部の外球面に当接させるとともに、ダストカ
バー５，５ａに、ベアリング２の軸線方向の移動を規制
させる。 【効果】 ダストカバーは、ボールスタッドの揺動に対
して変形して追従することがないため、材料疲労を起こ
すことがなく耐久性を向上でき、かつ、ハウジング内に
収納させる構造であるため、従来の釣鐘型のものよりも
小型軽量である。また、ベアリング固定用のＣリング等
の別部品が不要になるため、構成部品及び組付け工程を
削減できるとともに、ハウジングにベアリング固定用の
フランジ部や環状溝を形成する必要がないため、ハウジ
ングは、必要以上に厚肉とならず軽量化でき、かつ、寸
法を高精度に管理する必要がなくなり、構成部品の加工
を容易にして、ボールジョイントの製造コストを低減さ
せることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車の懸架装置及び操舵装置等に使用されるボールジョイントに 関する。

【０００２】

【従来の技術】

ボールジョイントにおいて、ボールスタッドを揺動させるため、ボールスタッ ドの球頭部をベアリングを介してハウジングが把持している。そして、例えば、 ボールスタッドが球頭部の両端に柄部を具備しており、その柄部が円筒形のハウ ジングの開口から突出しているものとしては、実開平１−１７３５２０号公報に 示されるもの等多くが知られている。

【０００３】 この種のボールジョイント１０１を図１左半部及び図３に示し、以下、図に基 づいて説明する。

【０００４】 １０１はボールジョイントで、球頭部１０７の両端に同軸の柄部１０８，１０ ９を具備するボールスタッド１０６と、樹脂製のベアリング１０２を外嵌された ボールスタッド１０６の球頭部１０７を把持するハウジング１０４とを有する。

【０００５】 ハウジング１０４は円筒状で、一端開口部１１０付近に環状溝１２８が凹設さ れ、他端開口部１１１付近の内周に環状のフランジ部１２７が凸設されている。 この環状溝１２８にＣリング１２９を嵌めて、フランジ部１２７とＣリング１２ ９とで、ベアリング１０２を移動不能に規制している。

【０００６】 １０５はハウジング１０４内に水等の異物が侵入するのを防止する弾性材料製 のダストカバーである。ダストカバー１０５は、その大開口部１２４をハウジン グ１０４の一端開口部１１０に嵌入固定され、その小開口部１２２をボールスタ ッド１０６の柄部１０８に摺動回動自在に装着されて、ハウジング１０４とボー ルスタッド１０６の柄部１０８との間に介装されてハウジング１０４の開口部１ １０を遮▲へい▼している。また、同様のダストカバー１０５ａが、ハウジング １０４の他端開口部１１１を遮▲へい▼している。

【０００７】 このダストカバー１０５，１０５ａは、小開口部１２２と大開口部１２４との 中間部が膜状の胴部１２３である釣鐘型を呈している。小開口部１２２と大開口 部１２４には、変形防止用の補強リング１１５ａ，１１５ｂが各々埋設されてお り、ボールスタッド１０６の揺動に対して、胴部１２３が伸縮変形して追従して いる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前記構造にあっては、ベアリング１０２のガタつきを防止するために 、ハウジング１０４のフランジ部１２７，環状溝１２８の軸線方向の寸法やベア リング１０２の軸線方向の長さを高精度に管理する必要があるので、加工コスト が増加して、ボールジョイント１０１の製造コストが高くなってしまう問題があ った。

【０００９】 また、フランジ部１２７や環状溝１２８を形成するため、ハウジング１０４は 必要以上に厚肉となっており、かつ、ベアリング１０２固定用のＣリング１２９ が必要なので構成部品が増えてしまう。これらのため、ボールジョイント１０１ の重量が重くなってしまう問題があった。

【００１０】 また、上記のような、ボールスタッド１０６の揺動に対して、胴部１２３が伸 縮変形して追従している構造のダストカバー１０５，１０５ａは、長期間の使用 により、胴部１２３が材料疲労を起こし、遂には破損することがあった。

【００１１】 本考案は、構成部品の加工を容易にして、ボールジョイントの製造コストを低 減させるとともに本来の機能を損なうことなく構成部品を削減、小型化してボー ルジョイントを軽量化することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案は以下の構成である。

【００１３】 ダストカバーを、ハウジングの開口部の内周側に嵌入固定し、ダストカバーの シール部を、ボールスタッドの球頭部の外球面に当接させ、かつ、ダストカバー に、ベアリングの軸線方向の移動を規制させる。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案の実施例を、図１右半部及び図２に基づいて説明する。

【００１５】 １はボールジョイントで、球頭部７の両端に同軸の柄部８，９を具備する金属 性のボールスタッド６と、樹脂製のベアリング２を外嵌されたボールスタッド６ の球頭部７を把持する金属性のハウジング４と、ハウジング４の開口部１０，１ １を遮▲へい▼して、ハウジング４内に水等の異物が侵入するのを防止するダス トカバー５，５ａとを有する。

【００１６】 ボールスタッド６は、軸心に貫通孔１４が形成された中空状で、その柄部８， ９が円筒状のハウジング４の開口部１０，１１から突出しており、その球頭部７ を、球頭部７の外球面１２と略同一曲率の内球面１３を有するベアリング２に囲 ▲ぎょう▼され、ハウジング４内で摺動回動自在に軸支されている。

【００１７】 ハウジング４は、本体１８の一端部２０に筒体１９を内嵌され、一端部２０の 先端部２１をかしめ加工されて、本体１８と筒体１９が一体化されている。それ により、ハウジング４は、２つの開口部１０，１１を有する略円筒状を呈してい る。

【００１８】 ベアリング２は、低摩擦材料により０.５ ミリメートル程度の薄肉状に形成されてい る。低摩擦材料としては、例えばオイレス工業株式会社製の「ハイプラスト」（ 商品名）と呼ばれるものがある。「ハイプラスト」は砲金のメッシュと充填材入 り四フッ化エチレン樹脂との複合材で、摩擦係数が極めて小さく、しかも優れた 耐摩耗性を有する上に、薄くてしなやかで、成形性にも優れている。

【００１９】 ダストカバー５は略リング状で、断面Ｌ字状の金属リング１５の内周にラバー 等の弾性材料より成る本体１６が焼き付けられている。この本体１６の内径側に は、シール部である周状舌片状のシールリップ１７が一体的に凸設されている。

【００２０】 ダストカバー５は、ハウジング４の一端開口部１０の内周側に嵌入固定されて おり、シールリップ１７が、ボールスタッド６の球頭部７の外球面１２に当接し ている。

【００２１】 このダストカバー５は、従来の釣鐘型のダストカバーよりも小型軽量で、ハウ ジング４内に収納させることができる。かつ、構造が簡単で、ボールスタッド６ の揺動に対して変形して追従することがないので材料疲労を起こすことがない。

【００２２】 また、ダストカバー５の下端面２６がベアリング２の上端面２５に当接して、 ベアリング２が上方へ移動することを規制している。

【００２３】 ハウジング４の他端開口部１１にも同様のダストカバー５ａが装着され、ダス トカバー５ａの上端面がベアリング２の下端面に当接して、ベアリング２が下方 へ移動することを規制している。

【００２４】 以上の構成よりなるこのボールジョイント１は、ハウジング４にベアリング２ 固定用のフランジ部や環状溝を形成する必要がない。そのため、ハウジング４の 寸法を高精度に管理する必要がなく、構成部品の加工コストを低減できる。また 、ハウジング４は、必要以上に厚肉とならず、かつＣリングのようなベアリング ２固定用部品が不要なので、ボールジョイント１の重量が重くなってしまう問題 がないとともに、ベアリング２固定用部品の組付け工程を削減できるので、ボー ルジョイント１の組付けコストの低下に寄与できる。

【００２５】 尚、本考案の構造を、球頭部の一端に柄部を具備するボールスタッドを有する ボールジョイントに採用しても良い。その場合、ハウジングは一端のみが開口し たカップ状になり、ダストカバーは１ケのみ使用することになる。また、その他 のボールジョイントの構成も、本考案の範囲内で適宜変更してもよい。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、ダストカバーを、ハウジングの開口部の内周側 に嵌入固定し、ダストカバーのシール部を、ボールスタッドの球頭部の外球面に 当接させるので、ダストカバーは、ボールスタッドの揺動に対して変形して追従 することがないため、材料疲労を起こすことがなく耐久性を向上でき、かつ、ハ ウジング内に収納させる構造であるため、従来の釣鐘型のダストカバーよりも小 型軽量化できる。また、ダストカバーに、ベアリングの軸線方向の移動を規制さ せるので、ベアリング固定用のＣリング等の別部品が不要になるため、構成部品 及び組付け工程を削減できるとともに、ハウジングにベアリング固定用のフラン ジ部や環状溝を形成する必要がないため、ハウジングは、必要以上に厚肉となら ず軽量化でき、かつ、寸法を高精度に管理する必要がなくなり、構成部品の加工 を容易にして、ボールジョイントの製造コストを低減させることができる。従っ て、本来の機能を損なうことなく、構成部品を削減，小型化でき、その結果、軽 量化されたボールジョイントを安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】左半部が従来のボールジョイント、右半部が本
考案の実施例によるボールジョイントを各々表す断面平
面図。

【図２】図１のＡ部の拡大図。

【図３】図１のＢ部の拡大図。

【符号の説明】

１ ボールジョイント ２ ベアリング ４ ハウジング ５ ダストカバー ５ａ ダストカバー ６ ボールスタッド ７ 球頭部 ８ 柄 部 ９ 柄 部 １０ 開口部 １１ 開口部 １２ 外球面 １７ シール部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 球頭部（７）の少なくとも一端に柄部
   （８），（９）を具備するボールスタッド（６）と、樹
   脂製のベアリング（２）を外嵌された前記ボールスタッ
   ド（６）の球頭部（７）を把持する筒状、或いはカップ
   状のハウジング（４）と、該ハウジング（４）の開口部
   （１０），（１１）を遮▲へい▼するダストカバー
   （５），（５ａ）とを有するボールジョイント（１）に
   おいて、前記ダストカバー（５），（５ａ）は、前記ハ
   ウジング（４）の開口部（１０），（１１）の内周側に
   嵌入固定され、前記ダストカバー（５），（５ａ）のシ
   ール部（１７）が、前記ボールスタッド（６）の球頭部
   （７）の外球面（１２）に当接しており、かつ、前記ダ
   ストカバー（５），（５ａ）が、前記ベアリング（２）
   の軸線方向の移動を規制していることを特徴とするボー
   ルジョイント。