JPH0542650B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、色偏光フイルムをもつカラー液晶表
示装置に関するものである。更に詳細には、本発
明は、色偏光フイルムの剥離、透明性電極膜、液
晶の配向膜の形成時における色偏光フイルムの染
料の減色、色偏光特性の劣化等が防止された、信
頼性の高いそして色表示品質の高いカラー液晶表
示装置に関するものである。

液晶を用いた簡便なカラー表示方式に、色偏光
フイルムを用いた方式がある。この方式は、ツイ
ストネマテイツク（TN）液晶セルに用いる２枚
の偏光フイルムのうち１枚を色偏光フイルムの置
き換えたものである。その構造として、例えば、
先ず通常の偏光フイルムがあり、次に誘電異方性
が正のネマテイツク液晶（Np液晶）で配向軸が
それぞれの配向面でほぼ90度に配列したTN液晶
セルがあり、次に色偏光フイルムが並んでいる。
色偏光フイルムの偏光軸が通常の偏光フイルムの
偏光軸に垂直な場合、透過光は、電界を印加しな
い時でほぼ無色、印加した時で色偏光フイルムに
依る色を示す。例えば、赤色偏光フイルムであれ
ば赤色を示す。

しかし、この方式だけでは一色の色表示しか出
来ず、この方式を用いてフルカラー表示をするた
めには、１枚のパネル内に３原色（赤、緑、青）
の色偏光フイルムを細かく規則的に例えばストラ
イプ状、ドツト状、モザイク状などに配置し、そ
の色偏光フイルムに対応したTN液晶セルを用い
て、３原色表示を独立に制御することが必要であ
る。そのTN液晶セルをそれぞれ独立に制御する
回路としては、マトリツク型の簿膜トランジスタ
ーや非線形素子等の薄膜素子例えばMIM（金属−
絶縁物−金属）素子、ダイオード等がある。

色偏光フイルムは、ポリビニルアルコール
（PVA）、セロハン等の高分子フイルムを加熱伸
張させて、その上に所定の色配列になる様なパタ
ーンに赤、緑、青の３原色の染料を吸着させて作
られている。それ故、本発明の用途であるカラー
液晶表示装置に色偏光フイルムを用いるために
は、この３原色偏光フイルムをガラス基板等の透
明基板に接着させなければならず、その密着性が
問題になる。また、接着後の色偏光フイルムの上
に透明電極膜（例えば酸化インジウム、酸化すず
等）と液晶の配向膜（ポルイミド膜、シランカツ
プリング剤から成る膜等）を形成するための条件
（加熱等）によつて色偏光フイルムの染料が減色
したり、色偏光特性が劣化したり、色偏光フイル
ムにクラツクが生じる等の問題がある。これらの
問題を解決するために、無色透明性、耐熱性、密
着性、電気絶縁性が良い、色偏光フイルム全体を
覆う保護膜が必要である。

その保護膜としては、アクリル樹脂等の透明有
機樹脂や二酸化ケイ素等の金属酸化物の使用が検
討されてきた。しかし、アクリル樹脂では、耐熱
性が悪いことから、透明電極膜、配向膜を形成す
る時の加熱条件下でアクリル樹脂保護自体が劣化
し、また色偏光フイルムの染料の減色及び色偏光
特性の劣化があつた。また、二酸化ケイ素膜で
は、その形成時に高温を要し、そのため色偏光フ
イルムの色素の減少及び色偏光特性の劣化があつ
た。

本発明の目的は、上記欠点を除去した色偏光フ
イルム用保護膜を提供することにある。その保護
膜は、無色透明であり、色偏光フイルムとの密着
性が良く、その保護膜上に透明電極膜（例えば酸
化インジウム、酸化すず等）と液晶の配向膜（ポ
リイミド膜、シランカツプリング剤から成る膜
等）を形成するための条件（加熱等）に対して十
分な耐久性（耐熱性）があり、かつ、その条件下
で色偏光フイルムの染料が減色したり、色偏光特
性が劣化したり、色偏光フイルムにクラツクが生
じたり、することがない程度の保護性能のあるも
のである。

本発明者は、前記保護膜を提供することを目的
として鋭意検討を重ねた結果、有機基を有するラ
ダー型ポリシロキサンよりなる塗膜が前記要求を
満足する色偏光フイルム用の保護膜になることを
見い出し、本発明を完成するに至つた。

斯くして、本発明は、有機基を有するラダー型
ポリシロキサンによる保護膜が施された色偏光フ
イルムを用いて成るカラー液晶表示装置、特に、 一般式 （但し、R₁〜R₄はアリール基、アルキル基、ア
ルケルニル基、アルキニル基、或いはアルキル基
又はハロゲン基で置換された、アリール基、アル
キル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、
ｎは整数である。） で示される有機基を有するラダー型ポリシロキサ
ンを有機溶剤に溶解した溶液を色偏光フイルム上
に塗布したのち室温又は加熱下で乾燥して光偏光
フイルム用の無色な透明性の良いそして耐熱性の
良い保護膜としたことを特徴とするカラー液晶表
示装置、を提供する。

本発明で用いる有機基を有するラダー型ポリシ
ロキサンの例としては、フエニルラダー型ポリシ
ロキサン、トリルラダー型ポリシロキサン、クロ
ロフエニルラダー型ポリシロキサン、プロモフエ
ニルラダー型ポリシロキサン、メチル・フエニル
ラダー型ポリシロキサン、イソブチル・フエニル
ラダー型ポリシロキサン、イソアミル・フエニル
ラダー型ポリシロキサン、ノルマルヘキシルフエ
ニルラダー型ポリシロキサン、メチルラダー型ポ
リシロキサン、ノルマルブチルラダー型ポリシロ
キサン、ナフチルラダー型ポリシロキサン、ジフ
エニルラダー型ポリシロキサン等があるが、その
ポリシロキサンの末端はカゴ型でも水酸基型でも
どちらでも良い。これらの中でも特に、フエニル
ラダー型ポリシロキサンが好ましい。これらのポ
リシロキサンの重量平均分子量は、ポリスチレン
換算で１×10³〜１×10⁶である。平均分子量が１
×10³以下では製膜性がなく、また１×10⁶以上で
は溶剤に溶けにくくなる不都合を生じる。

本発明では、保護膜形成時に硬化触媒を用いて
も用いなくても良い。触媒を用いた時は膜形成温
度は低温（150℃以下）で良く、用いない時は高
温（150〜350℃）が必要となる。しかし、末端カ
ゴ型ラダー型ポリシロキサンでその平均分子量が
10⁴〜10⁶であるものは、触媒がなくても低温で膜
形成が出来る。硬化触媒としては、１，８−ジア
ザビシクロ〔５，４，０〕−７−ウンデセン、１，
４−ジアザビシクロ〔２，２，２〕オクタン、ト
リエチルアミン、エチルンジアミン、トリエタノ
ールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘ
キシルアミン等のアミン類；鉄、鉛、錫、アンチ
モン、カドミウム、チタン、カルシウム、ビスマ
ス、ジルコニウム、ガリウム、カリウム、セシウ
ム、マグネシウム等の金属の有機カルボン酸塩；
リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属の水酸
化物；ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロ
オキサイド、テトラメチルアンモニウムハイドロ
オキサイドの如き４級アンモニウム塩；ジブチル
錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブ
チル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、の如
き含金属化合物；ｐ−トルエンスルホン酸、トリ
クロロ酢酸、燐酸の如き酸性化合物などが例示さ
れる。その使用量は、有機基を有するラダー型ポ
リシロキサンの重量を基準として0.001〜10重量
％で良く、これより少ない時は硬化温度を150〜
350℃と高温にしなければならず、これにより多
い時は塗膜が硬くなるすぎてクラツクが発生して
しまう等の不都合が生じる。また、塩基性硬化触
媒を用いる時は硬化抑制剤として酢酸の添加が有
効であり、その量は触媒１重量部に対して１〜
100重量部が良く、特に５〜50重量部が好ましい。

本発明で用いることの出来る塗布液用溶剤は、
有機基を有するラダー型ポリシロキサンを溶解す
る溶剤なら何んでも良く、アルコール系、エステ
ル系、エーテル系、芳香族系、ハロゲン化炭化水
素系、非水系極性溶媒等が良い。例えば、エタノ
ール、酢酸エチル、メチルエチルケント、イソプ
ロピルエーテル、テトラハイドロフラン、ベンゼ
ン、アニソール、フエネトール、クロルベンゼ
ン、Ｎ−メチルピロリドンなどが挙げられる。溶
液濃度は0.01〜50重量％が良く、好ましくは0.1
〜30％である。その塗布液は、刷け塗り法、回転
塗布法、スプレー法、印刷法、浸漬法等により色
偏光フイルムの上に塗られる。

本発明によつて得られる色偏光フイルム用の保
護膜の厚さは特に限定されないが、好ましくは
0.5〜10μｍが良い。

本発明で使用出来る液晶セルは、ツイストネマ
テチツク（TN）液晶等であり、光スイツチにな
る液晶セルであればどんな液晶セルでも良い。そ
して、その液晶セルは、それぞれ独立に制御出来
るマトリツクス型の薄膜トランジスターや非線形
素等の薄膜素子〔例えばMIM（金属−絶縁物−金
属）素子、ダイオード等〕を備えている。

また、その観察は、透過型、反射型いずれもが
可能である。

本発明のカラー液晶表示装置は、極めて信頼性
が高くかつ色表示品質が高いので、カラー液晶テ
レビ、壁掛け用カラー液晶テレビ、携帯用ラジオ
カセツト付カラー液晶テレビ等への応用、或いは
数字、カナ、アルフアベツト、グラフ等の各種カ
ラーデイスプレイとしての使用が期待される。

次に、実施例及び比較例によつて本発明を具体
的に説明する。各例中の％はすべて重量基準であ
る。

実施例 １ 添付図面に示すように、透明基板１の内面に形
成された赤、緑、青の色偏光フイムム（Ｒ、Ｇ、
Ｂ……）１１の上に１×10⁵の重量平均分子量を
有する末端カゴ型のフエニルラダー型ポリシロキ
サンをベンゼンに溶かした溶液を塗布し、これを
常温下で乾燥して、光偏光フイルムターの保護膜
２とした。この保護膜２は無色であり、透明性が
良い。この保護膜２の上に透明電極３を、更にそ
の上に配向膜４を被着した。また、透明基板８の
外側に通常の偏光板９を配置し、内側に透明電極
７を、その上に配向膜６を被着した。配向膜４及
び６は、互いにほぼ90度異なる方向にラビング処
理されて、液晶分子を一定方向へ配向する配向特
性が付与されている。正の誘電異方性をもつネマ
テチツク液晶５は、配向膜４及び６の間に充たさ
れ、配向膜４及び６の規制力により、その分子の
配列方向膜面で互いにほぼ90度異なつているツイ
ストネマテイツク（TN）配向している。９は、
前記赤、緑、青の色偏光フイルム（Ｒ、Ｇ、Ｂ…
…）と直角の偏光軸をもつ通常の偏光フイルムで
あり、１０は白色光源であり、このカラー液晶表
示装置は透過型である。図中のON、OFFは電界
印加、無印加を表わしており、印加部の透過光は
Ｒ、Ｇ、Ｂに対応して赤色光、緑色光、青色光を
示し、無印加部の透過光は白色光となる。

本実施例のようにフエニルラダー型ポリシロキ
サンを色偏光フイルムの保護膜に使用した時は、
その耐熱性の良さのために、透明電極３及び配向
膜４を形成する時の加熱（350℃×２時間）から
色偏光フイルムが保護され、色偏光フイルムの染
料の減色及び色偏光特性の劣化はなかつた。ま
た、その保護膜は、無色で透明性が良いことか
ら、色の表示品質が高かつた。

実施例 ２ 実施例１と同じくカラー液晶表示装置を組み立
てた。１×10⁵の重量平均分子量を有するフエニ
ル・イソブチルラダー型ポリシロキサン
（C₆H₅：iso−C₄H₉＝４：１）のシクロヘキンサ
ン溶液から製膜し常温乾燥して得た膜を、色偏光
フイルムの保護膜２とした。この保護膜２は、そ
の耐熱製の良さのために、透明電極３及び配向膜
４を形成する時の加熱から色偏光フイルムを保護
し、色偏光フイルムの染料の減色及び色偏光特性
の劣化はなかつた。また、その保護膜は、無色で
透明性が良いことから、色の表示品質が高かつ
た。

実施例 ３ 実施例１と同じくカラー液晶表示装置を組み立
てた。５×10⁴の重量平均分子を有する末端OH
型のフエニルラダー型ポリシロキサンと硬化触媒
DBU（１，８−ジアザビシクロ−〔５，４，０〕−
７−ウンデセン）（２％対ポリシロキサン）との
トルエン等の溶液から製膜し硬化させて得た膜
を、色偏光フイルムの保護 ２とした。この保護膜２は、その耐熱性の良さの
ために、透明電極３及び配向膜４を形成する時の
加熱から色偏光フイルムを保護し、色偏光フイル
ムの染料の減色及び色偏光特性の劣化はなかつ
た。また、その保護膜は、無色で透明性が良いこ
とから、色の表示品質が高かつた。

比較例 １ 実施例１と同じくカラー液晶表示装置を組み立
てた。アクリル樹脂を色偏光フイルムの保護膜２
とした。この保護膜２は、無色で透明性が良いこ
とから、色の表示品位は高かつたが、耐熱性が悪
いことから、透明電極３及び配向膜４を形成する
時の加熱条件下（350℃×２時間）で保護膜２自
体が劣化し、また色偏光フイルムの染料の減色及
び色偏光特性が劣化があつた。

比較例 ２ 実施例１と同じくカラー液晶表示装置を組み立
てた。二酸化ケイ素を色偏光フイルムの保護膜２
とした。このもの自体は、耐熱性が良いが、色偏
光フイルム上にこれを形成する時に高温を要し、
そのために、色偏光フイルムの染料の減色及び色
偏光特性の劣化があつた。

【図面の簡単な説明】

添付図面の第１図は本発明のカラー液晶表示装
置の断面図である。 図において、１及び８は透明基板、１１は赤
(R)、緑(G)、青(B)の色偏光フイルム、２は保護膜、
３及び７は透明電極膜（ITO）、４及び６は配向
膜（ポリイミドなど）、５はTN液晶、９は一般
の偏光フイルム、１０は白色光源である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 色偏光フイルムをもつカラー液晶表示装置に
   おいて、その色偏光フイルム上にコーテイングす
   る色偏光フイルムの保護膜として有機基を有する
   ラダー型ポリシロキサンを用いることを特徴とす
   るカラー液晶表示装置。 ２ 有機基を有するラダー型ポリシロキサンが、 一般式 （但し、R₁〜R₄はアリール基、アルキル基、ア
   ルケニル基、アルキニル基、或いはアルキル基又
   はハロゲン基で置換された、アリール基、アルキ
   ル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、ｎ
   は整数である。） の構造を有するポリアリーアルキルシルセスキオ
   キサンであることを特徴とする特許請求範囲第１
   項記載のカラー液晶表示装置。