JPH0541989A - ヒト副甲状腺ホルモンをコードする合成遺伝子 - Google Patents

ヒト副甲状腺ホルモンをコードする合成遺伝子

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JPH0541989A
JPH0541989A JP24786391A JP24786391A JPH0541989A JP H0541989 A JPH0541989 A JP H0541989A JP 24786391 A JP24786391 A JP 24786391A JP 24786391 A JP24786391 A JP 24786391A JP H0541989 A JPH0541989 A JP H0541989A
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常彦 福田
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祐里 大鹿
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隆央 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)を効率よく
生産させる方法を提供する。 【構成】hPTHのアミノ酸配列に対応すると共にhP
THを効率よく発現させるに適したDNAを見出し、該
DNAを製造し、該DNAを含む組み換えDNAで形質
転換した形質転換体を用いるhPTHの製造法を確立し
た。 【効果】hPTH発現率の高い本発明の新規なhPTH
遺伝子の使用により、hPTHを大腸菌を宿主とした系
で大量に直接発現させることが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト副甲状腺ホルモン
(以下hPTHと略記)製造のための組換えDNA技術に関
し、より具体的にはhPTHのアミノ酸配列に対応する
合成遺伝子およびそれを含むDNA、該DNAで形質転
換した形質転換体およびこれらを用いるhPTHの製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】hPTHは副甲状腺から分泌される、84
個のアミノ酸から成るポリペプチドホルモンであり、カ
ルシウム代謝の最も重要なレギュレーターの1つであ
る。したがってhPTHの、副甲状腺機能低下症や骨粗
鬆症などの種々の骨疾患への臨床応用は、非常に期待さ
れるところである。しかし天然に存在するhPTHは極
めて微量であり、またhPTHは比較的小分子量の蛋白
質であり、化学的に全合成が可能であるとは云え、それ
には高度に熟練した技術と多大な困難が伴う。そこで最
近、組換えDNA技術による生産が注目されるようにな
った。hPTHのDNA配列はG.N.Hendyらによって最
初に明らかにされた〔プロシージングス・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.
Acad.Sci)USA, 78, 7365-7369(1981)〕。それ以後、
2,3のグループによりhPTH cDNAがクローニ
ングされ、種々の発現ベクターに組みこまれ、微生物に
よるhPTHの合成が試みられてきた。アレストローム
ら(特開平2-501108)らはcDNA由来の遺伝子の酵母に
よる分泌発現を試みているが、hPTHを単離同定する
に至っていない。A.Hφgsetら〔バイオケミカル・アンド
・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション(Bioc
hem.Biophys.Res.Commun.),166,50-60(1990)〕はhP
THのN末端にMet-Gly残基を含む遺伝子をhPTH c
DNAクローンから調製し大腸菌で発現させたが、得ら
れた蛋白質はN末端にMet−Glyが付加されたhP
THであり、hPTHの活性を有さなかった。E.Wingen
derら〔ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー(J.Biol.Chem.)246, 4367-4373(1989)〕は大腸菌
においてhPTHをβ-ガラクトシダーゼとの融合蛋白
質として発現させたが、不要部分を切除した蛋白質はN
末端にProが付加した分子であった。A.Hφgsetら
〔ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.)265, 7338-7344(1990)〕はhPTHの
cDNAをスタフィロコッカス アウレウス(S.aureus)-
プロテインAのプロモーターおよびシグナルペプチド遺
伝子の下流に連絡し、これを大腸菌で菌体外に分泌発現
させ、hPTHを分離同定する事に成功している。しか
し、この際の産生量も約1mg/1リットル培養液で、
精製過程における損失などを考慮に入れれば、産業上の
見地からは不充分な発現量である。更に、化学合成遺伝
子による発現も行われている〔ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),263,1307
(1988)〕が、この場合の発現量も200μg/1リットル
と不充分なものである。
【0003】ある生物の蛋白質の遺伝子を他の宿主で発
現させようとする場合、その遺伝子を得る方法として
は、その生物由来の遺伝子を用いる場合の他に、遺伝子
を化学合成する事が考えられる。DNAオリゴマーの自
動合成の技術が進歩した近年、その蛋白質が比較的低分
子量で、そのアミノ酸配列もしくはDNA配列が分かっ
ている場合は、次のような点で合成遺伝子の方が有利な
場合が多い。すなわち、1)目的の遺伝子が比較的容易
に得られる。2)遺伝子をプラスミドに組み込む際の末
端の配列や、遺伝子の改変を行ったりするための適当な
制限酵素の認識配列を自由に組み込める。3)目的の遺
伝子産物が高発現するように遺伝子配列を設計できる事
などである。W.L.Sungら〔バイオケミストリー・アンド
・セルラー・バイオロジー(Biochem.Cell.Biol.)64.1
33-138(1986)〕はhPTHの構造遺伝子を、酵母にお
いて最も容認されているアミノ酸コドンを採用して合成
し、この遺伝子をS.A.Rabbaniら〔ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),263,13
07-1313(1988)〕は大腸菌で発現させた。しかしその生
産量は極めて低く、実用的なものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにhPTH
は、cDNA由来の遺伝子や合成遺伝子を用いる種々の
系で発現が試みられているが、いずれもその生産量は低
く、産業上の見地からは不充分なものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはhPTHを
効率よく生産させる方法を開発すべく、鋭意研究を重ね
た結果上記の問題点を解決するに適したhPTHのDN
A配列を見出し、更に該遺伝子の製法、該遺伝子を含む
組換えDNA、該DNAで形質転換した形質転換体、そ
れらによるhPTHの製造法を確立し、本発明を完成し
たものである。合成遺伝子の配列は、遺伝子の発現を高
めるための種々の条件を満足するように設計される。そ
の1つに、発現系の細胞において最も容認されたコドン
を採用するのが良いとされている。そこで、本発明のh
PTH遺伝子においては遺伝子組換え法による蛋白質の
生産にしばしば用いられる大腸菌と酵母で共通して容認
されるコドンを採用した。またコドンを選ぶ際に遺伝子
の改変を行なったりするために好都合な制限酵素の認識
配列を適当な位置に設けることを考慮した。さらにまた
目的とする遺伝子を正確に構築するために、DNA鎖上
における比較的長い不必要な回文配列の存在や、連続し
た繰り返し配列はできる限り排除した。遺伝子の発現を
高めるさらに1つの条件として、構造遺伝子に対応する
mRNAの安定性ならびに翻訳効率も重視される。この
場合、mRNAの塩基配列が決定する高次構造が重要な
意味を持つとされている。そこで本発明のhPTH遺伝
子では設計の過程でコンピューターを利用してループ構
造等を検索し、著しいものはこれを排除する様、配列に
若干の修正を加えた。このようにして図1(配列番号:
1)に示すような、hPTHの製造に最も適した新現な
DNA配列を見出した。この遺伝子配列は前述のW. L.
Sungらの合成遺伝子と、そのDNA配列が25.4%異なる
ものである。図1にはDNA配列に加えてアミノ酸配列
を示す。
【0006】該遺伝子は融合ペプチドとして発現させる
こともできるし、融合ペプチドとせず、直接hPTHと
して発現することもできる。前者の場合は、hPTHの
合成遺伝子の5’末端側に開始コドンATGから始まる
hPTH以外の蛋白質をコードするDNAを配し、停止
コドン(例えばTAA)で終るか、または開始コドンA
TGから始まるhPTH合成遺伝子の3’末端側にhP
TH以外の蛋白質をコードするDNAを配し、停止コド
ン(例えばTAA)で終ってもよい。後者の直接発現に
用いるには図2(配列番号:2)に示すように、hPT
Hのポリペプチドをコードする配列に加えて開始コドン
ATG,停止コドン(例えばTAA)を各々5’末端と
3’末端に直接配し、また5’末端と3’末端はベクタ
ーへの挿入のために例えば各々NdeI,BamHI付着末端
とする。本発明のhPTH遺伝子の合成に当っては、例
えば図2(配列番号:2および3)に示すように最終的
にはhPTH遺伝子を14個のフラグメントに分割した
が、ここでフラグメントの自己会合を避けるために、
5’あるいは3’末端に自己相補的配列が出現しないよ
う注意した。図3に各DNAフラグメントを示す。この
フラグメントへの分割の仕方は上記自己会合を避ける等
の注意をすれば、上記のものに限定される必要はなく、
種々の分け方が可能である。
【0007】各DNAフラグメント(#1〜#14)(配列
番号:4〜17)は既知の合成法に従って製造し得る。#
1と#14を除く各フラグメントは必要に応じて5’末端
をポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化し、一挙に全フ
ラグメントをハイブリダイズさせDNAリガーゼによっ
て連結させるか、もしくはリン酸化したフラグメントを
まず2ないし3群に分けてハイブリダイズさせ、DNA
リガーゼにより二重鎖DNAとし、さらに各群を再びD
NAリガーゼで連結させる事によって完全な二重鎖hP
TH遺伝子が得られた(図4参照)。これをpUC19のNd
eIおよびBamHIによる消化物と結合させ、新規プラス
ミドpU・PTH・C19を得、大腸菌JM109を形質転換する。
単離したプラスミドについてDNAフラグメントの一部
をプライマーとしてSanger法によって塩基配列を決定
し、また、より簡便にはNdeI・BamHI消化で得られたD
NAフラグメントをAvrII,NcoI,HgiAI,AluIなどで
消化し、正しい制限部位を有することにより目的とする
hPTH遺伝子の存在を確認する。
【0008】本発明の合成遺伝子を発現するに際して
は、プラスミド、バクテリオファージなどのベクターに
挿入した組換えDNAとして用いることが好ましい。該
プラスミドとしては、たとえば大腸菌由来のpBR322
〔ジ−ン(Gene),2,95(1977)〕,pBR325〔ジーン,4,12
1(1978)〕,pUC12〔ジーン,19,259(1982)〕,pUC13
〔ジーン,19,259(1982)〕、枯草菌由来のpUB110〔バ
イオケミカル・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニ
ケーョン(Biochemical and Biophysical Research Comm
unication),112,678(1983)〕などが挙げられるが、その
他のものであっても、宿主内で複製増殖されるものであ
れば、いずれをも用いることができる。またファージベ
クターとしては、たとえばλgt11〔ヤング及びデーヴィ
ス(Young, R., and Davis, R.,)プロシーディングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sc
i.,U.S.A.),80,1194(1983)〕などが挙げられるが、その
他のものであっても宿主内で増殖できるものであれば用
いることができる。このようにして得られたプラスミド
は、適当な宿主たとえばエシェリヒア(Escherichia)属
菌,バチルス(Bacillus)属菌,酵母,動物細胞などに導
入する。
【0009】プラスミドで宿主を形質転換する方法とし
ては、たとえばティー・マニアティス(T.Maniatis)ら,
モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning),コー
ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spri
ng Harbor Laboratory),第249頁(1982)に記載のカルシ
ウムクロライド法あるいはカルシウムクロライド/ルビ
ジウムクロライド法などが挙げられる。またファージ・
ベクターを用いる場合には、たとえば増殖させた大腸菌
にインビトロパッケージング法を用いて導入することが
できる。
【0010】上記組換えDNAは前記した開始コドンA
TGの上流にプロモーターを有しているのが好ましく、
該プロモーターは、形質転換体の製造に用いる宿主に対
応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよ
い。たとえば、大腸菌(Escherichia coli;例、MM294,B
L21,BL21/PLys, W3110, DH1, N4830など)ではtrpプロ
モーター、lacプロモーター、rec Aプロモーター、λ
PLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモータ
ーなど、枯草菌(Bacillus subtilis;例、MI 114など)
ではSPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロ
モーターなど、バチルス・ブレビス(Bacillus brevi
s)では主要菌体外蛋白質プロモーターなど、酵母(Sac
charomyces cerevisiae;例、AH22など)ではPHO5プロ
モーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプ
ロモーターなど、動物細胞(例、サル細胞COS-7,チャ
イニーズハムスター細胞CHOなど)ではSV40由来のプ
ロモーターやマウス白血病ウィルス(MuLV)由来のLT
R領域のプロモーターなどが挙げられる。とりわけ宿主
が大腸菌の場合はプロモーターがT7プロモーター、tr
pプロモーターまたはλPLプロモーターであることが
好ましく、宿主が動物細胞の場合は、上記プロモーター
に加え、エンハンサーを有することが好ましい。
【0011】得られた形質転換体をそれ自体公知の培地
で培養する。大腸菌の形質転換体のための培地として
は、例えばLB培地が挙げられる。大腸菌の形質転換体
の培養は通常15〜43℃、好ましくは28〜40℃で2〜24時
間、好ましくは4〜16時間で行われ、必要により通気や
撹拌を加えることもできる。培養後、公知の方法で菌体
が集められる。大腸菌の形質転換体の場合には菌体を緩
衝液または尿素、塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤を含
む緩衝液に懸濁し、超音波処理、リゾチーム処理または
ガラスビーズなどによる機械的破砕により破壊し、遠心
分離によりhPTHを含む抽出液が得られる。hPTH
は公知の手段を用いて抽出液から分離精製できる。分離
精製手段としては、ゲルろ過、陽イオン交換樹脂もしく
は陰イオン交換樹脂を用いるイオン交換クロマトグラフ
ィー、疎水性クロマトグラフィー、分配吸着クロマトグ
ラフィーなどのカラムクロマトグラフィーや高速液体ク
ロマトグラフィーが挙げられる。バチルス属菌、酵母、
動物細胞の形質転換体の培養、培養物からのhPTHの
分離精製もそれ自体公知の方法が用いられる。得られた
hPTHはカルシウム代謝に異常のある種々の疾病、例
えば骨粗鬆症、副甲状腺機能低下症の治療剤や高血圧症
の治療剤として使用できる。その投与量は、投与対象、
疾病などを考慮し、個々の場合について適宜決定され、
体重1kgあたり、1日1ng〜100μgの範囲内で適
量が投与される。hPTHは通常、薬理的に許容され得
る担体、賦形剤、希釈剤と混合され、主として非経口的
に、注射剤、経鼻剤、直腸剤、経膣剤、経皮剤として投
与されるが、場合により経口的に投与されてもよい。
【0012】hPTH合成遺伝子の発現の一例を次に述
べる(図5参照)。pU・PTH・C19からNdeI-BamHIで切り出
される267塩基対のDNAを発現用ベクターpET3CのNde
I、BamHI部位に組込み、T7プロモーター支配下の発
現用ベクターpET・PTH・3Cを得た。pET・PTH・3Cを用いて
大腸菌BL21を形質転換し、生育するコロニーをアンピ
シリン感受性を指標にして選別し、目的hPTH遺伝子
を含む株を得た。これら形質転換株を培養し、遠沈によ
る集菌の後菌体を7Mグアニジン処理した液中に含まれ
るhPTHをSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(SDS
-PAGE)後のクマシーブリリアントブルー(CBB)による染
色、もしくはSDS-PAGE後のhPTH抗体によるイムノブ
ロッティングによりhPTHを定量したところ、約200
mg/l以上の産生量を示した(図6、図7参照)。この
発現量は大腸菌におけるhPTHの直接発現としては画
期的なものである。
【0013】
【作用】本発明ではhPTH遺伝子のDNA配列とし
て、発現系の細胞において最も容認されたコドンを採用
し、しかもDNA配列に対応するmRNAの高次構造を
も考慮して遺伝子設計することによって、mRNAの安
定性、翻訳効率が良好なものとなって、hPTHが効率
よく生産される。また本発明では構造遺伝子の内部に数
種の制限酵素の認識部位を設けることによって、遺伝子
挿入の成否、挿入方向の確認を容易にしたり、将来hP
THの類縁体蛋白質を合成する際の遺伝子改変を容易に
したり、また数種類のベクターに乗せることができる
等、遺伝子操作上の有利さ、多様性を発揮し得るもので
ある。
【0014】
【実施例】
実施例11.DNA断片の合成 図3に示す14種のDNA断片(#1〜#14)(配列番
号:4〜17)は適当に保護されたDNA β-シアノエチ
ルホスホアミダイトを原料とし、アプライドバイオシス
テムズ社、モデル380A・DNA自動合成装置を用いて合
成した。合成のプロトコールはアプライドバイオシステ
ムズ社指定のものを用いた。合成した保護DNAオリゴ
マー・樹脂を、0.2μmoleの樹脂に対し濃アンモニア水
2ml中で60℃、6時間加熱した。得られた生成物を逆
相高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略記)で精
製し、5’末端水酸基のみがジメトキシトリチル基で保
護されたDNAオリゴマーを得た。これを80%酢酸2m
l、20分間処理し5’末端のジメトキシトリチル基を除
去し、生成物を逆相HPLC、イオン交換HPLCで精
製した。この様にして合成した14種のDNAオリゴマ
ーは図3(配列番号:4〜17)に示した通りである。
【0015】2.DNAオリゴマーのリン酸化 5’末端になるべき#1(配列番号:4),#14(配列
番号:17)を除いた12種のDNAオリゴマー(#2〜#
13)(配列番号:5〜16)各々を25μlのリン酸化反応液
〔DNAオリゴマー10μg,50mM Tris-HCl,pH7.6,10m
M MgCl2,1mMスペルミジン,10mMジチオスレイトール(以
後DTTと略記),0.1mg/mlウシ血清アルブミン(以後BS
Aと略記),1mM ATP,10ユニットT4ポリヌクレオチド
キナーゼ(宝酒造)〕中で37℃ 1時間反応させ、5’末
端をリン酸化した。この反応液を65℃で10分間処理し、
次いで凍結、融解後、次の反応に用いた。
【0016】3.DNAフラグメントの連結(図4−
1,図4−2参照)3−1 hPTH遺伝子の2重鎖構成の1連の段階は図
4−1に示した通りである〔図中左端に突起のある棒
(・─)印は5'末端水酸基がリン酸化されていること
を示す〕。たとえばブロックIの連結は次の様にした。
5種(DNAフラグメント#2〜#6(配列番号:5〜
9)に各々対応する)の上記2の操作で得たDNAフラ
グメントのリン酸化反応液を7.5μlずつと5'末端に相
当するDNAフラグメント#1(配列番号:4)の2.5μ
gとを合わせ、50μlとした。これに5ユニットのT4
DNAリガーゼ(ニューイングランド・バイオラボ社)を
加え、14℃で5時間インキュベートした後、65℃で10分
間処理し、反応を止めてブロックIを得た。同様にして
ブロックII、IIIを得た。これらブロックI〜IIIを各々
20μlずつ混合し、ここに5ユニットのT4DNAリガ
ーゼを加え14℃で20時間インキュベートし、65℃で10分
間処理し、反応を止めた。これを7.5%アクリルアミド
ゲルを用いて、緩衝液(pH8.3)〔100mM Tris-HCl,100mM
ホウ酸、2mM EDTA〕中、160Vで1.5時間電気泳動にかけ
た。泳動後、0.6mg/lのエチジウムブロマイド(EtB
r)でゲルを染色し、263bpのDNA断片を含むゲル片を
透析チューブ内に封入し、泳動用緩衝液内に沈め、DN
A断片をゲルから電気的に溶出した〔ジャーナル オブ
モレキュラーバイオロジー(J.Mol.Biol), 110, 119(197
7)〕。この透析チューブ内液を回収し、これを0.2M NaC
l,20mMTris-HCl(pH7.4), 10mM EDTA溶液であらか
じめ緩衝化したElutip-d・カラム(Schleicher & Schnel
l社) に注いでDNAを吸着させ、次いで 1.0M NaCl、2
0mM Tris-HCl(pH7.4)、1.0mM EDTA緩衝液で溶出さ
せた。溶出液に2倍量のエタノールを加え、−20℃に冷
却した後、遠心でDNAを沈殿させた。
【0017】3−2 hPTH遺伝子の2重鎖構成の1
連の段階は図4−2に示した方法でも達成できる〔図中
左端に突起のある棒(・─)印は5'末端水酸基がリン酸
化されていることを示す〕。12種(DNAフラグメント
#2から#13(配列番号:5〜16)に各々対応する)の
DNAフラグメントのリン酸化反応液(上記2で得られ
た)5μlずつと5’末端に相当するDNAフラグメン
ト#1(配列番号:4),#14(配列番号:17)各々2
μgを混ぜ、70μlとした。これに5ユニットのT4D
NAリガーゼ(宝酒造)を加え、15℃で20時間インキュ
ベートした。これを8%アクリルアミドゲルを用いて、
緩衝液(pH8.3)〔100mM Tris-HCl,100mMホウ酸、2mM E
DTA〕中、125Vで2時間電気泳動にかけた。泳動後、0.
6mg/lのEtBrでゲルを染色し、263bpのDNA断片を
含むゲル片を透析チューブ内に封入し、泳動用緩衝液内
に沈め、DNA断片をゲルから電気的に溶出した。この
透析チューブ内液についてフェノール処理を2回行った
のち、水層(上層)を回収し、2倍量のエタノールを加
え、−70℃に冷却した後、遠心でDNAを沈殿させた。
このようにして約1μgのDNAフラグメントが得ら
れ、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造)によるリ
ン酸化を行ったのち、以下の実験4−2に供された。
【0018】4.hPTH遺伝子のクローニング(図
5) 4−1 クローニングベクターには大腸菌のプラスミド
pBR322由来のpUC19〔Messing.J.,ジーン(Gene),33 10
3-109(1985)〕を使用した。pUC19DNAを20μlの反
応液〔20mM Tris-HCl,pH7.6,7mM MgCl2,150mM NaCl,
10mM 2-メルカプトエタール,20ユニットのNdeI(ニュ
ーイングランド・バイオラボ社),15ユニットのBamHI
(宝酒造)〕中、37℃、24時間反応させた後、水で5倍稀
釈し、65℃で20分間処理し、酵素を失活させた。この反
応液5μlと約5当量のDNAフラグメント(上記3−
1)を混合し、50mM Tris-HCl(pH7.5),10mM MgCl2,10m
M DTT, 1mM スペルミジン,0.1mg/ml BSAおよび1
mM ATPを含む20μlの反応液として、14℃、15時間
T4DNAリガーゼ(ニューイングランド・バイオラボ
社製)を作用させて、hPTH遺伝子をプラスミドに結
合させた。この反応液を用い、既知の方法に従い、大腸
菌JM109株〔Messing.J.ジーン(Gene), 33 103-119(19
85)〕を形質転換させた。すなわち、−70℃で保存して
いた50μlのコンピテントセル〔Hanahan,D.,ジャーナ
ル オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mol.Biol.),16
6,557(1983)〕を0℃、15分間インキュベートした後、
10μlの上記反応液を添加した。さらに0℃、30分間イ
ンキュベートした後、42℃で1.5分間、さらに0℃で2
分間インキュベートした。この反応液に200μlのLB
倍地(1リットル当りバクトトリプトン10g、バクトイー
スト抽出物5g、NaCl 5gを含む)を加え、37℃、1時
間インキュベートした。この大腸菌を50μg/mlのアン
ピシリン,100μg/ml X-Gal,0.1mM IPTGを含むLB
寒天培地上にまき、37℃で1晩培養した。生じたアンピ
シリン耐性コロニー中、β-ガラクトシダーゼ欠損の14
株を選び、この転換株のプラスミドDNAをアルカリ法
〔Maniatis,T.ら、モレキュラー クローニング(Molecu
lar Cloning(Cold SpringHarbour)、368-369(198
2)〕により粗精製し、NcoIおよびBamHI消化、さ
らにNdeIおよびBamHI消化した。これら消化物の1.7%
アガロースゲルでの泳動パターンから、1株が正しくh
PTH遺伝子の挿入されている転換株であることがわか
った。
【0019】4−2 hPTH遺伝子のクローニングは
以下の方法でも行った。クローニングベクターにはpUC1
9(宝酒造)を使用した。pUC19 DNA 0.5μgを10μ
lの反応液〔50mM Tris-HCl,pH7.5,10mM MgCl2,100m
MNaCl,1mM ジチオスレイトール、20UのNdeI(ニュー
イングランド・バイオラボ社)、10UのBamHI(宝酒
造)〕中、37℃、5時間反応させた後、65℃で15分間処
理し、酵素を失活させた。この反応液1μlと約10当量
のDNAフラグメント(上記3−2)とを混合し、DNA
ライゲーションキット(宝酒造)を用い、hPTH遺伝
子をプラスミドに結合させた。大腸菌JM109株への形
質転換は上記4−1と同じ方法で行った。生じたアンピ
シリン耐性コロニー中、β-ガラクトシダーゼ欠損の17
株を選び、この転換株のプラスミドDNAをアルカリ法
により粗精製し、NcoIおよびBamHI消化、さらにNdeI
およびBamHI消化した。これら消化物の1.5%アガロー
スゲルでの泳動パターンから、3株が正しくhPTH遺
伝子の挿入されている転換株であることがわかった。上
記4−1および4−2で得たクローニングベクターをpU
・PTH・C19と名付けた。このプラスミドpU・PTH・C19を
持つ大腸菌JM109組み換え体の1白金耳を、50μg/m
lのアンピシリンを含むLB培地20mlに接種し、37℃
で一夜、振盪培養した。この培養液からプラスミドDN
Aを粗精製し、20μg/mlのRNaseを含むTE緩衝液(1
0mM Tris-HCl pH8.0,1mM EDTA)80μlに溶かした。
【0020】実施例2hPTHの発現用プラスミドの構築ならびに形質転換体
の製造(図5) 1)上記実施例1の4項で得られた約10μgのpU・PTH・C
19を反応液〔150mM NaCl,20mM Tris-HCl(pH7.8),7mM
MgCl2,10mM 2-メルカプトエタノール,40ユニットNde
I,20ユニットBamHI(宝酒造)〕中、37℃、5時間反応
させた後、1.7%アガロースゲル電気泳動により263bp
DNA断片を常法に従って精製した。一方、発現用ベク
ターにはpET3C〔Stadier,F.W.ら、メソッズ イン エン
ザイモロジー(Methods in Enzymology), 195 60-89(19
90)〕を使用した。pET3C DNAを上記と同様にして、N
deI及びBamHI消化し、この反応液に4倍量の水を加
え、65℃で20分間加熱し、酵素を失活させた。この様に
して得た263bp DNAおよびプラスミドDNAは各々、
両端にNdeI消化およびBamHI消化により生じた単鎖の
付着端を有する。これら両者を混合し、50mM Tris-HC
l,pH7.6,10mM MgCl2,10mM DTT,1mMスペルミジン0.
1mg/ml BSAおよび1mM ATP存在下、14℃,16時間T
4DNAリガーゼ(ニューイングランド・バイオラボ
社)を作用させてDNAを結合し、前出と同様な方法で
大腸菌JM109株を形質転換させた。次にこの大腸菌を5
0μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上にま
き、37℃で1日培養した。生じたアンピシリン耐性コロ
ニーを選んだ。さらに転換株のプラスミドDNAをNde
I-BamHI,Bgl II-BamHI,EcoRI-NdeI,AvrII-Bgl
IIなどの制限酵素の組み合わせで消化し、ポリアクリル
アミド電気泳動のパターンから、正しくhPTH遺伝子
を含む形質転換株を選択した。この様にして得た発現用
プラスミドをPE−PTHと、また形質転換株をエシェ
リヒアコリJM109/pE−PTHと名づけた。
【0021】2)上記1)で得られたJM109/PE−P
THよりプラスミドDNAを単離、粗精製して、T7プ
ロモーターの発現に必要なT7RNAポリメレースを持
つ大腸菌MM294(DE3)〔ヨーロッパ公開第41650
5号公報〕を形質転換した。まず大腸菌MM294(DE3)
1白金耳をLD培地10mlに接種し、37℃でクレットが6
0から180の間になるまで振盪培養した。この培養液50m
lに10%W/Vポリエチレングリコール、5%v/vジメチル
スルホキシドおよび50mM MgCl2(pH6.5)を加え、反応液
が100μlになるようにLB培地を加えた。これにプラ
スミドDNA10ngを加え4℃で10分間インキュベート
した後、50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地
上にまき、37℃で一夜培養した。生じたコロニーから前
述と同様にして得たプラスミドDNAを制限酵素で消化
し、その電気泳動パターンよりhPTH遺伝子を含む形
質転換株を選び、これをエシェリヒア コリ MM294(DE
3)/pE−PTHと名づけた。エシェリヒア コリ MM
294(DE3)/pE−PTHは財団法人発酵研究所(IF
O)にIFO 15087として1990年8月28日
に寄託され、また通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所(FRI)にFERM BP−3110として1
990年9月25日に寄託されている。
【0022】実施例3hPTHの製造 1)エシェリヒア コリ MM294(DE3)/pE−PTHを
50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地中、37℃で一
晩振盪培養した。この培養液100μlを200mlのフラス
コに分注した10mlの同じ培地に加え、37℃でクレット
値が約170になるまで培養した後、イソプロピル-β-D-
チオガラクトピラノシド(IPTG)を加えて、0.1mMとなる
ようにした。さらに2時間培養を続けた後、この培養液
1mlを15000rpm、4℃、5分間遠心分離し、得られた
菌体を、0.5M Tris.HCl(pH6.8)、10%グリセロール、10
%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、β-メルカプト
エタール0.1%(W/V)、ブロモフェノールブルーの入った
水溶液100μl〔Laemmli,U.K,ネイチャー(Nature),
227 680(1970)〕に溶かし3分間煮沸後、16%SDSポリ
アクリルアミド電気泳動(PAGE)に付した。泳動の後ゲル
をクマシーブリリアントブルーで染色したところ、標準
品hPTHと同じ移動度を示す濃いバンドが観察された
(図6参照)。また別のゲルをhPTH抗体を用いたウ
エスタンブロッティングに付した結果、ここでも標準h
PTHと同じ染色パターンが得られた(図7参照)。ゲ
ルの染色、ウエスタンブロッティングにおける標準品と
の量的比較より、hPTHは1リットル培養液に換算し
て約200mg発現していた。
【0023】2) E.coli内に蓄積されたhPT
Hを以下のようにして精製した。上記と同様にして得ら
れた培養液200mlからの菌体を8M尿素、50mM Tri
s・HCl(pH7.5)、50mM EDTA、1mM α
−トルエンスルホニル フルオライドを含有する緩衝液
(5ml)に懸濁し、氷冷下で激しく撹拌し(約1時
間)、菌体を破壊した。15000rpm、4℃、20分間遠心
分離し、上清を集め、沈殿について同じ組成の緩衝液
(3mlずつ)で同様の抽出操作を2度行なった。上清
液を合わせ、2倍に希釈し、この液を、4M尿素を含む
50mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5)で平衡化し
た、TSK−ゲル、CM−トーヨーパールのカラム(東
ソー)(10ml)に通し、目的物を吸着させた、4M尿
素を含む、50mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5)で
カラムを洗浄し(約10mlを要した)、280nmにお
ける吸収がなくなったら、50mM酢酸アンモニウム
(pH5)緩衝液50ml−0.5M酢酸アンモニウム(p
H6)緩衝液50mlを用いた直線濃度勾配法でカラムを
展開した(流速:10ml/時間、1フラクション2m
l)。フラクション33−47を集め、これを凍結乾燥し
た。これを以下の条件の逆相高速液体クロマトグラフィ
ーに付した。カラム:YMC−パック A−325 S−
5 120A ODS(1×30cm)(ワイ・エム・シー
製);溶媒:0.1%トリフルオル酢酸を含む、25%から5
0%までのアセトニトリルによる直線濃度勾配法(30分
間);流速:3ml/分。目的物のピーク(保持時間1
7.0分)を分取した。得られた溶出液をBio−Rad
AG1×8(酢酸型)(Bio-Rad laboratory)のカラム
に通し洗液も合わせアセトニトリルを留去した後、凍結
乾燥した。目的のhPTHが白色粉末として4.2mg得
られた。本標品は以下の諸分析結果より、高純度のhP
THであることが示された。
【0024】a) 逆相HPLCにて鋭い単一ピークを
示した(図8参照)。カラム:YMC−パックA−32
4 S−5 DDS 120A φ10×300mm;溶出液:
A(0.1%トリフルオル酢酸)、B(0.1%トリフルオル
酢酸を含むアセトニトリル);濃度勾配:0−3分(0
%,B)、3−10分(0−30%,B)、10−70分(30−
45%,B) b) SDS−PAGEおよび、泳動後のウエスタンブ
ロッティングでも標準品と同じ移動度の単一バンドを示
した(条件は図6、図7と同じ、図9、図10参照)。
【0025】c)アミノ酸分析(チオグリコール酸存在
下、減圧封管中、110℃、24時間、5.7N塩酸加水分解、
カッコ内は理論値を示す):Asp(10),10.5;Th
r(1),0.96;Ser(7),6.04;Glu(11),
11.73;Pro(3),2.88;Gly(4)4.69;Al
a(7),7.03;Val(8),7.91;Met(2),
1.96;Ile(1),1.06;Leu(10),10.6;Ph
e(1),1.10;Lys(9),9.32;His(4),
4.04;Arg(5),4.00;Trp(1),0.97(回収
率82.3%) d)アプライドバイオシステムズ社 気相シークエンサ
ー モデル470AによりN末端アミノ酸配列分析で、
1位Serから15位Leuまでの配列が正しいものであ
る事が示された。 e)0.1N塩酸中でのブロムシアン分解後のファースト
アトムボムバートメント質量分析(日本電子、JMS−
HX110を用いた。)において次のピークが観測され
た。 (1位−7位)−ホモセリン(MH+) 実測値:858.5 理論値:858.5 (1位−17位)−ホモセリン(MH+)実測値:1990.2 理論値:1990.0 (9位−17位)−ホモセリン(MH+)実測値:1102.7 理論値:1102.7 ホルミルホモセリンやホモセリンに由来するピークは観
測されなかった。
【0026】更にアスパラギン特異的エンドペプチダー
ゼによる消化後の分析においても次のピークが観測され
た。
【0027】 (1位−16位) (MH+)実測値:1819.9 理論値:1819.9 (17位−33位) (MH+)実測値:2168.8 理論値:2168.1 (58位−76位)(M+Na)実測値:2061.8 理論値:2062.0 (77位−84位) (MH+)実測値: 874.4 理論値: 874.5 以上の結果によりここで得られたhPTHはN末端にM
etやホルミル−Metを含まず正しく1位Serから
始まり、C末端84位Glnで終わる構造を有していると
判断された。
【0028】実験例 実施例3で得られたhPTHの生物活性をシゲノら、ジ
ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、第26
3巻、第18369〜18377頁、1980年 〔ShigenoらThe Journ
al of Bioiogical Chemistry,263:18369−18377(198
8)〕により報告された方法を修正して評価した。96穴
マルチ・プレート〔ヌンクロン(Nunclon)、ヌンク〕上
で培養したマウス頭骸骨由来骨芽細胞様細胞株、MC3
T3−EI細胞に、0.01,0.1,1,10あるいは100nM
の類縁体を含む、100μlの培養液〔20mMのN−2ヒ
ドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸
(HEPES)、0.1%牛血清アルブミン(BSA)及
び0.5mMのイソブチルメチルキサンチンを含む。Ha
nk’s液〕を加え、30分間室温で反応させた。0.2規
定度の塩酸100μlを加えた後、沸騰水中に2分半浸
し、hPHT受容体によって産生されたサイクリック・
アデノシン・1リン酸(cAMP)を細胞から抽出し
た。培養液中及び細胞中の総cAMP測定は、市販のラ
ジオイムノアッセイキット〔サイクリックAMP[125
I]キット「デュポン−第一」、第一化学薬品〕を用い
て行なった。標準として添加したヒトPTH部分ペプチ
ド(1−34位)の濃度に依存したcAMPの産生量の増
加が常に認められ、本実施例の方法で得られたhPTH
についてもこれとほぼ同等の活性を有していた(図11参
照)。
【0029】
【発明の効果】本発明で提供するhPTH遺伝子は新規
なDNA配列を有し、hPTHの高い発現率を示し、ま
た本発明により初めて、hPTHを大腸菌を宿主とした
系で大量に(100〜200mg/リットル)直接発現
されることが可能となった。更に本発明のhPTHに対
応する合成遺伝子を用いた組換えDNA技術によりhP
THをより効率よく製造することができ、そのことは治
療薬としてのhPTHの生産やhPTHの生体内での生
理的な役割の研究に役立つものである。
【0030】
【0031】
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:252 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:Mat peptide 存在位置:1・・・252 特徴を決定した方法:E 特徴を表わす記号:mutation 存在位置:7,8,9,12,15,19,21,33,36,43,51,
58,60,82,109,111,114,117,120,121,123,12
9,130,132,147,150,153,156,177,196,197,19
8,201,204,216,219 特徴を決定した方法:S
【0032】配列番号:2 配列の長さ:263 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成 DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:2・・・262 特徴を決定した方法:E 特徴を示す記号:Mat peptide 存在位置:5・・・256 特徴を決定した方法:E 特徴を示す記号:mutation 存在位置:11,12,13,16,19,23,25,37,40,47,5
5,62,64,86,113,115,118,121,124,125,127,
133,134,136,151,154,157,160,181,200,201,
202,205,207,220,223,259,261,263 特徴を決定した方法:S
【0033】配列番号:3 配列の長さ:265 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:yes
【0034】配列番号:4 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:2・・・30 特徴を決定した方法:E 配列: TATGTCTGTG TCCGAGATTC AGTTAATGCA 30。
【0035】配列番号:5 配列の長さ:34 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・34 特徴を決定した方法:E 配列: AGGTTATGCA TTAACTGAAT CTCGGACACA GACA 34。
【0036】配列番号:6 配列の長さ:45 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・45 特徴を決定した方法:E 配列: TAACCTTGGC AAACATTTGA ACTCCATGGA GCGTGTAGAA TGGCT 45。
【0037】配列番号:7 配列の長さ:45 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・45 特徴を決定した方法:E 配列: TTACGCAGCC ATTCTACACG CTCCATGGAG TTCAAATGTT TGCCA 45。
【0038】配列番号:8 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・30 特徴を決定した方法:E 配列: GCGTAAGAAG TTGCAGGATG TGCACAATTT 30。
【0039】配列番号:9 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・30 特徴を決定した方法:E 配列: GCAACAAAAT TGTGCACATC CTGCAACTTC 30。
【0040】配列番号:10 配列の長さ:46 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・46 特徴を決定した方法:E 配列: TGTTGCCTTA GGTGCCCCAT TGGCTCCTCG TGATGCTGGT TCCCAA 46。
【0041】配列番号:11 配列の長さ:46 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・46 特徴を決定した方法:E 配列: TGGTCTTTGG GAACCAGCAT CACGAGGAGC CAATGGGGCA CCTAAG 46。
【0042】配列番号:12 配列の長さ:41 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・41 特徴を決定した方法:E 配列: AGACCACGTA AAAAGGAAGA CAATGTCTTA GTTGAGAGCC A 41。
【0043】配列番号:13 配列の長さ:41 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:1・・・41 特徴を決定した方法:E 配列: TTTTCATGGC TCTCAACTAA GACATTGTCT TCCTTTTTAC G 41。
【0044】配列番号:14 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1・・・42 特徴を決定した方法:E 配列: TGAAAAATCC CTAGGCGAGG CAGACAAGGC CGATGTGAAT GT 42。
【0045】配列番号:15 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1・・・42 特徴を決定した方法:E 配列: GTTAATACAT TCACATCGGC CTTGTCTGCC TCGCCTAGGG AT 42。
【0046】配列番号:16 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1・・・28 特徴を決定した方法:E 配列: ATTAACTAAA GCTAAATCCC AGTAATGAG 29。
【0047】配列番号:17 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:6・・・27 特徴を決定した方法:E 配列: GATCCTCATT ACTGGGATTT AGCTTTA 27。
【図面の簡単な説明】
【図1】hPTHに対応する本発明の合成遺伝子のDN
A配列およびアミノ酸配列を示した図である。
【図2】本発明のhPTH遺伝子合成の際のDNAフラ
グメントの分割の一例を示した図である。
【図3】本発明のhPTH対応合成遺伝子製造用DNA
フラグメントの一例を示す図である。
【図4−1】図3の各DNAフラグメントを連結してh
PTH合成遺伝子を製造する模式図である。
【図4−2】図3の各DNAフラグメントを連結してh
PTH合成遺伝子を製造する模式図である。
【図5】本発明のhPTH対応合成遺伝子を組み込ん
だ、発現用プラスミドの構築図である。
【図6】本発明遺伝子による形質転換体におけるhPT
Hの産生を示した電気泳動図とそのウェスタンブロッテ
ィングの図である。図中、レーン1が分子量マーカー、
レーン2が標準品hPTH、レーン3がIPTGで誘導
をかけた形質転換体の抽出物(培養液10μl相当)、レ
ーン4がIPTGで誘導をかけていない形質転換体の抽
出物(培養液10μl相当)である。
【図7】本発明遺伝子による形質転換体におけるhPT
Hの産生を示した電気泳動図とそのウェスタンブロッテ
ィングの図である。図中、レーン1がプレステインド分
子量マーカー、レーン2が誘導をかけていない形質転換
体の抽出物(培養液10μl相当)、レーン3がIPTG
で誘導をかけて培養した形質転換体の抽出物(培養液10
μl相当)、レーン4が標準品PTHである。
【図8】精製したhPTHの逆相HPLCにおける溶出
パターンを示す。
【図9】hPTH標品の電気泳動図とそのウエスタンブ
ロッティングの図である。図中レーン1がプレステイン
ド分子量マーカー、レーン2が本発明で得られた精製h
PTH、レーン3が標準品hPTHである。
【図10】hPTH標品の電気泳動図とそのウエスタン
ブロッティングの図である。図中レーン1がプレステイ
ンド分子量マーカー、レーン2が本発明で得られた精製
hPTH、レーン3が標準品hPTHである。
【図11】hPTHフラグメントの生物活性を示す図で
あり、−*−が合成hPTH(1−34)フラグメン
ト、--●--が本発明で得られた精製hPTHに関する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】DNA配列: TCTGTG TCCGAGATTC AGTTAATGCA TAACCTTGGC AAACATTTGA ACTCCATGGA GCGTGTAGAA TGGCTGCGTA AGAAGTTGCA GGATGTGCAC AATTTTGTTG CCTTAGGTGC CCCATTGGCT CCTCGTGATG CTGGTTCCCA AAGACCACGT AAAAAGGAAG ACAATGTCTT AGTTGAGAGC CATGAAAAAT CCCTAGGCGA GGCAGACAAG GCCGATGTGA ATGTATTAAC TAAAGCTAAA TCCCAG で示されるヒト副甲状腺ホルモン発現のための合成遺伝
    子を含有するDNA。
  2. 【請求項2】複数のオリゴデオキシヌクレオチドを酵素
    的に連結し、所望によりベクターに挿入することを特徴
    とする、請求項1記載のDNAの製造法。
  3. 【請求項3】合成遺伝子が大腸菌T7プロモーターの制
    御領域に挿入されているベクターである、請求項1記載
    のDNA。
  4. 【請求項4】請求項1または3記載のDNAによって形
    質転換した形質転換体。
  5. 【請求項5】請求項4記載の形質転換体を培養し、培養
    物中にヒト副甲状腺ホルモンを生成蓄積せしめ、これを
    採取することを特徴とするヒト副甲状腺ホルモンの製造
    法。
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