JPH0541517Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、主として電子レンジの本体と扉間で
発生する電波漏洩を防止する装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、電子レンジにおける電波漏洩防止装置と
しては、例えば本出願人による実願昭62−97142
号や実願昭62−97143号で提案したものが存在す
る。例えば、実願昭62−97142号は電子レンジ本
体の開口口縁又は扉周枠に取りつけられる環状シ
ート状の電波漏洩防止装置において、前記環状シ
ート体の内周部又は外周部の一方にソフトフエラ
イトを含有した電波吸収能を有する合成樹脂層を
配し、他方にハードフエライトを含有する着磁さ
れた合成樹脂層を配した構成であり、ハードフエ
ライト含有合成樹脂層の表面をソフトフエライト
含有合成樹脂層の表面より稍背後側に位置づける
ことにより磁気吸引力により扉を電子レンジ本体
側に密接させるように工夫したものであつた。

また実願昭62−97143号はソフトフエライト含
有合成樹脂層によつて形成された環状シート体の
一部にハードフエライトを含有する着磁された合
成樹脂層を一体的に埋設設置することにより、実
願昭62−97142号と同様、磁気吸引力により扉を
電子レンジ本体側に密接させるように工夫したも
のであつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、これらのものは特定の電子レン
ジの扉周枠の寸法形状に合わせて射出成形や押出
し成形法によつて当初から環状又は棒形状に成形
していることから、扉周枠についてのみしか使用
することができず、電子レンジ本体の側壁内面等
の面状箇所に使用することはできず、汎用性に乏
しい問題があり、また、成形を射出成形や押出し
成形法によつていることから量産性に問題がある
うえに、特に押出し成形としたときにはフエライ
ト粒子によるダイスの摩耗が深刻な問題としてあ
つた。更に棒状体形状としたときには各棒状体が
分離している為に保管が大変であるという問題も
あつた。

また、ハードフエライト含有合成樹脂層の存在
位置がソフトフエライト含有合成樹脂層に隣接し
た位置であるか、又はソフトフエライト含有合成
樹脂層の一部に埋設設置されているだけであるか
ら、電子レンジ本体と扉との磁気吸着力がやや弱
い問題があつた。

また前記従来技術においては着磁されたハード
フエライト含有合成樹脂層によつて電子レンジ本
体と扉を閉止することができると同時に、環状シ
ート体自体をハードフエライト含有合成樹脂層の
着磁力によつて電子レンジ本体又は扉本体に取り
付けることが可能で、食物残滓や蒸気等によつて
当該環状シート体周辺が汚損した場合は、環状シ
ート体を簡易に取り外して環状シート体の取り付
け部位を清掃することができたものの、ハードフ
エライト含有合成樹脂層が位置する部分がソフト
フエライト含有合成樹脂層の背面における一部で
しかないことから、電波漏洩防止装置の電子レン
ジ本体又は扉への取り付け状態が充分とはいえ
ず、ハードフエライト含有合成樹脂層が背面に位
置しない部分がめくれあがつたり、また不十分な
取り付け状態にある環状シート体と取り付け対象
部位間に食物残滓や汚損蒸気が侵入するおそれが
あつた。

本考案はかかる現況に鑑みてなされたものであ
り、棒状及び板体としても用いることが可能であ
る上に、量産性に優れ、しかも保管も容易であ
り、加えて電子レンジ本体と扉間の密閉状態も完
全であり、且つ電波漏洩防止装置自体をそれ自身
の磁気力で電子レンジ本体開口口縁や扉周枠に簡
易に取付けることができるとともに、その取付け
状態も確実となしうる電子レンジの電波漏洩防止
装置を提供せんとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

前記本考案の目的を達成した本考案は、ソフト
フエライトを含有した電波吸収能を有する合成樹
脂層の背面全体にわたつてハードフエライトを含
有する着磁された合成樹脂層を積層したシート状
積層体に、該シート状積層体の幅方向にわたる破
断用溝部を所定間隔で形成することによつて、シ
ート状積層体の幅方向に長くされるとともにソフ
トフエライト含有合成樹脂層の背面全体にハード
フエライト含有合成樹脂層が位置づけられた単位
構造部の連設体を形成したことを特徴としてい
る。

〔作用〕

以上の如く、本考案にかかる電子レンジの電波
漏洩防止装置は、ソフトフエライトを含有した電
波吸収能を有する合成樹脂層の背面全体にわたつ
てハードフエライトを含有する着磁された合成樹
脂層を積層したシート状積層体を形成し、このシ
ート積層体に対して特定構造が考慮された破断用
溝部をプレス又はエンボスロールによつて形成す
ることによつてシート状積層体の幅方向に長くさ
れるとともにソフトフエライト含有合成樹脂層の
背面全体にハードフエライト含有合成樹脂層が位
置づけられた単位構造部の連設体を形成している
ので、溝部を手又はナイフ等で破断することによ
つて棒状の単位構造部を得て、これを電子レンジ
本体と扉間に配置したり、また、複数の単位構造
部が連設状態となつた板体を得て、これを電子レ
ンジ本体内面における面状部分に貼りつけたりす
るものである。貼り付けはハードフエライト含有
合成樹脂層の磁着力を利用することにより簡易に
行うことができ、しかもハードフエライト含有合
成樹脂層はソフトフエライト含有合成樹脂層の背
面全体にわたつて存在するから取付け状態は完全
であり、電波漏洩防止装置自体はめくれ上がつた
りすることもないから、食物残滓や汚損蒸気が電
波漏洩防止装置と取付け対象部位間に侵入するこ
ともない。そして電子レンジ本体と扉間に配置し
た場合は、当該電波漏洩防止装置はハードフエラ
イト含有合成樹脂層の磁着力が電子レンジの扉と
本体側の互いの閉止手段として機能して両者の間
隙を極力なくし、且つ表面側に位置する電波吸収
能を有するソフトフエライト含有合成樹脂層部分
が電子レンジ本体と扉間から漏洩する電波を減衰
させる部材として機能する。

〔実施例〕

本考案の詳細を更に図示した実施例により説明
する。第１図は電子レンジの本体１の側壁２と扉
３の周枠４との当接状態を示したものであり、扉
３表面側に、ハードフエライトを含有した合成樹
脂層５を配し、外側即ち表面側にソフトフエライ
トを含有した合成樹脂層６を積層して配したもの
であつて、ソフトフエライト含有合成樹脂層６の
背面には全体にわたつてハードフエライト含有合
成樹脂層５が配置された構成であり、ハードフエ
ライト含有合成樹脂層５には着磁をなし、該ハー
ドフエライト含有合成樹脂層の磁着力で当該積層
体の扉周枠への取付けを可能となすとともに同磁
着力により電子レンジの本体側壁２表面と扉周枠
４内面とを互いに磁着して、経年の使用途上にお
いて電子レンジの本体側壁２表面と扉周枠４内面
間に隙間が生じたときに、ハードフエライト含有
合成樹脂層の磁着力で互いを吸着させて漏洩用間
隙をなくしている。そして、もし電波漏洩が発生
したときには、電波を表面のソフトフエライトを
含有した合成樹脂層５を通過させることにより、
これを減衰せんとするものである。このような漏
洩電波防止装置の取付け前の供給形態は、第２図
によつて、その構造が示される。即ち表面側にソ
フトフエライトを含有した合成樹脂層５が裏面側
にハードフエライトを含有した着磁された合成樹
脂層６が配され、これを用いて各用途に向けた構
造の単位構造部７が作られる。図例の如く単位構
造部７間には例えば0.5mm〜0.2mm程度の厚さの破
断用溝部８を設けている。このような構造のもの
を、例えばプレスにより更には第３図で示す如く
エンボスロールにて形成するものである。このよ
うに形成することにより、例えば押出し方法で製
造したときには、ダイスが合成樹脂に含有するフ
エライト粒子により摩耗したり、また押出し速度
が遅い為、製造が迅速にできなかつたものが迅速
にできて量産に適する上に、前記単位構造部７を
エンボスロール９により、エンボシング加工し、
巻き取りロール１０で巻き取れば、該巻き取りロ
ール１０でシートにテンシヨンがかけられても、
巻き取りロール１０から前記製造後のシートを巻
戻してそのテンシヨンが解放されても、該単位構
造部の長さは大であるが、その巻き取り方向の幅
は小さいものであることから、巻き取り時のテン
シヨンによつて発生する収縮誤差は無視できる程
度のものであつて、第２図における単位構造部の
短辺幅並びに長さは所望の精度をほぼ維持した状
態でつくることができるのである。尚、本考案に
おけるソフトフエライトとしてはマンガンジンク
フエライトやニツケルジンクフエライト等が、ま
たハードフエライトとしてはバリウムフエライト
やストロンチウムフエライトが用いられ、合成樹
脂としてはポリプロピレン、ポリアミド、ポリフ
エリネンサルフアイド、ポリ塩化ビニル等が利用
できる。また、単位構造部は複数個を連設状態と
なして一定面積を有する板体となし、電子レンジ
本体内面側壁等の面状部分に貼りつけることもで
きる。

〔考案の効果〕

本考案にかかる電子レンジの漏洩電波防止装置
は、表面にソフトフエライトを含有した電波吸収
能を有する合成樹脂層を配し、当該ソフトフエラ
イト含有合成樹脂層の背面に全体にわたつて着磁
されたハードフエライト含有合成樹脂層を配し、
該シート状積層体には破断用溝部を形成してシー
ト状積層体の幅方向に長くされた単位構造部の連
設体としたから以下の効果を有する。

ソフトフエライト含有合成樹脂層の背面に積
層されたハードフエライト含有合成樹脂層の磁
着力により、当該電波漏洩防止装置を電子レン
ジ本体の開口口縁や扉周枠更には電子レンジ本
体内壁に簡易に取付けたり取り外したりでき
る。したがつて食物残滓の飛散付着や汚損蒸気
にさらされることで取付け部位やその周辺が汚
損した場合には、簡易に取り外して、清掃する
ことができ、清掃後に元の位置に簡易に取付け
ることができる。しかも、ハードフエライト含
有合成樹脂層はソフトフエライト含有合成樹脂
層の背面全体にわたつて設けられているから、
電波漏洩防止装置を電子レンジ本体開口口縁、
扉周枠又は電子レンジ本体内壁に完全に密着さ
せて取付けることができ、電波漏洩防止装置の
端縁がめくれ上がつたりすることもなく、食物
残滓や汚損蒸気が電波漏洩防止装置と取付け対
象部位間に侵入することもない。

そして電子レンジ本体と扉間に配置した場合
は、当該電波漏洩防止装置はハードフエライト
含有合成樹脂層の磁着力が電子レンジの扉と本
体側の互いの閉止手段として機能して両者の間
隙を極力なくすように作用し、電子レンジ本体
開口口縁と扉周枠との間隙から漏洩しようとす
る電波を表面側に位置するソフトフエライト含
有合成樹脂層内を必ず通過するようにして、当
該ソフトフエライト含有合成樹脂層の内部で電
波を減衰させることができる。そして着磁され
たハードフエライト含有合成樹脂層はソフトフ
エライト含有合成樹脂層の背面全体に存在して
いることから面全体で吸引効果を発揮すること
ができ扉の閉止効果は極めて高い。

破断用溝部で各単位構造部を分離して電子レ
ンジ本体と扉間用の電波漏洩防止装置として使
用したり、複数個の単位構造部が連設状態で１
セツトとなるように破断分離してシート状の電
波漏洩防止装置を得て、これを例えば電子レン
ジ本体側壁内面に貼りつけたりすることがで
き、使用対象に対応して使用態様を変えること
ができる。

破断用溝部はプレス又はエンボスロールを用
いて形成することができるので押出し成形法に
よる作成のようにダイスがフエライト粒子によ
つて摩耗することがないとともに、その製造速
度も押出し成形法に比べて格段に向上させるこ
とができ量産性に優れる。

破断用溝部はシート状積層体の幅方向にわた
つて形成され、シート状積層体の長手方向、即
ち製造時の巻き取り動作においてテンシヨンが
作用する方向には単位構造部の短辺側を位置さ
せているから、テンシヨン解除時の単位構造部
の収縮誤差を少なくすることができ所望の寸法
精度を維持することができる。

本考案の電子レンジの電波漏洩防止装置は未
使用時には単位構造部を連設状態にして保管す
ることができるから保管にも適する。

【図面の簡単な説明】

第１図は電子レンジの要部断面説明図、第２図
はシート状の電波漏洩防止装置の斜視図、第３図
はエンボスロールによる製造原理を示す説明図で
ある。 １……レンジ本体、２……側壁、３……扉、４
……周枠、５……ハードフエライト合成樹脂層、
６……ソフトフエライト合成樹脂層、７……単位
構造部、８……破断用溝部、９……エンボスロー
ル、１０……巻き取りロール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １） ソフトフエライトを含有した電波吸収能を
   有する合成樹脂層の背面全体にわたつてハード
   フエライトを含有する着磁された合成樹脂層を
   積層したシート状積層体に、該シート状積層体
   の幅方向にわたる破断用溝部を所定間隔で形成
   することによつて、シート状積層体の幅方向に
   長くされるとともにソフトフエライト含有合成
   樹脂層の背面全体にハードフエライト含有合成
   樹脂層が位置づけられた単位構造部の連設体形
   状となした電子レンジの電波漏洩防止装置。 ２） 溝部の厚みが0.5〜0.3mm程度である実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の電子レンジの電
   波漏洩防止装置。