JPH0540298Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、コンバインやトラクタ等に用いられ
るデイーゼルエンジンにおいて、燃料ストレーナ
内のエアを燃料供給ポンプの吸引作用で容易かつ
確実に、しかも燃料の飛散や漏出を生じさせるこ
となく排除することができる燃料ストレーナのエ
ア抜き装置に関するものである。

従来の技術 従来、コンバインやトラクタ等の移動農機にお
いては、デイーゼルエンジンが広く用いられてい
るが、その燃料タンクは、給油を容易にし、かつ
機体の重心を低くして安定性を良くするために、
運転席フロアの下方またはシヤーシ下方に設けら
れているものが多い。

このように燃料タンクを低い位置に設けたもの
では、燃料タンクから、燃料ポンプにより燃料ス
トレーナを介してインジエクシヨンポンプに燃料
を供給しているものが一般的で、燃料ストレーナ
のエア抜きは、その上部のエア抜きバルブを開け
ば、燃料の圧送作用によつて容易にできるが、燃
料供給ポンプは、未濾過燃料を吸引するため塵や
水等により機能不良を起しやすい悪条件下に置か
れている。そこで、燃料供給ポンプを保護するた
めには、その吸引側と燃料タンクの間に燃料スト
レーナを設けるとよいが、燃料ストレーナ内では
燃料が吸引移動するのみで、その上部に溜つたエ
アを燃料供給ポンプの作用によつて抜くことが困
難であるから、燃料ストレーナのエア抜きのため
に別途複雑な手段を講じなければならなかつた。

本考案は、このような実情に鑑み、燃料ストレ
ーナを燃料供給ポンプの吸引側と燃料タンクの間
に設けたものであつても、燃料ストレーナの上部
に溜るエアを燃料供給ポンプの吸引作用によつ
て、容易かつ確実に抜くことができる装置を提供
しようとするものである。

考案が解決しようとする問題点 本考案は、上記目的を達成するための技術的手
段として、デイーゼルエンジンにおける燃料スト
レーナのエア抜き装置を、燃料タンクから燃料ス
トレーナを介し、かつ燃料供給ポンプによりイン
ジエクシヨンポンプに燃料を供給する燃料供給経
路、および燃料供給ポンプの吐出側と燃料タンク
間の燃料戻し経路よりなるデイーゼルエンジンの
燃料系統において、燃料ストレーナの上部と燃料
供給ポンプの吸引側間をフイルタおよび開閉弁を
介して連通させたものである。

作 用 本考案に係るデイーゼルエンジンにおける燃料
ストレーナのエア抜き装置は、燃料ストレーナの
上部と燃料供給ポンプの吸引側間を、フイルタお
よび開閉弁を介して連通しているので、開閉弁を
開くことにより、燃料ストレーナの上部に溜つて
いるエアは燃料供給ポンプの吸引作用によつて確
実に排除される。このエア抜き中において燃料の
一部が吸引されても、その燃料はフイルタを透過
して清浄化されたうえ燃料供給ポンプによる燃料
供給経路に合流するので、燃料の飛散や漏出が生
じない。

実施例 本考案の実施例を図面について説明する。

第１図にはデイーゼルエンジンの燃料系統が示
されており、１は燃料タンク、２は燃料ストレー
ナ、３は燃料供給ポンプ、４はインジエクシヨン
ポンプであつて、燃料タンク１から燃料ストレー
ナ２を経て、燃料供給ポンプ３によつてインジエ
クシヨンポンプ４に燃料を供給する燃料供給経路
５が構成されており、インジエクシヨンポンプ４
には噴射ノズル６が高圧管７によつて接続されて
いる。また、上記燃料供給ポンプ３の吐出側およ
びインジエクシヨンポンプ４の吸引側と燃料タン
ク１間には、燃料戻し経路８が設けられている。
９は燃料タンク１から燃料ストレーナ２に至る送
油パイプ、１０は燃料ストレーナ２から燃料供給
ポンプ３に至る送油パイプである。燃料ストレー
ナ２は、第２図に示すように、密閉状のストレー
ナ槽１１内をフイルタ１２によつて外室１３と内
室１４に区分したものであつて、前記燃料タンク
１側の送油パイプ９は外室１３に、燃料供給ポン
プ３側の送油パイプ１０は内室１４にそれぞれ接
続されている。

一方、燃料ストレーナ２の上部と燃料供給ポン
プ３の吸引側間は、フイルタ１５および開閉弁１
６を介してエア抜きパイプ１７，１８により連通
させ、燃料ストレーナ２の上部のエア抜き経路１
９が形成されており、２０は開閉弁１６の開閉コ
ツクである。エア抜きパイプ１８と送油パイプ９
とは三方接手２１により接続されている。なお、
エア抜き経路１９中のフイルタは、エア抜きパイ
プ１７の燃料ストレーナ２内開口端にスポンジ等
を設けた簡易構造としてもよい。開閉弁１６は、
開閉コツク２０によるものの外、プツシユ式のも
のや電磁式のもの等であつてもよい。

以上のように構成されたものにおいて、燃料供
給ポンプ３を起動すれば、燃料タンク１から送油
パイプ９を経て燃料ストレーナ２の外室１３に燃
料が入り、燃料はフイルタ１２を透過して内室１
４から送油パイプ１０を経て燃料供給ポンプ３に
吸引され、燃料供給ポンプ３からインジエクシヨ
ンポンプ４に供給される。そして、インジエクシ
ヨンポンプ４によつて噴射ノズル６に圧送された
燃料は燃焼室に噴射される。

燃料ストレーナ２の上部に溜つたエアを抜くに
は、燃料供給ポンプ３を起動した後において開閉
弁１６を開けば、燃料ストレーナ２の上部のエア
は、エア抜きパイプ１７、フイルタ１５、開閉弁
１６、エア抜きパイプ１８を経て燃料供給ポンプ
３によつて吸引排除される。そして、吸引された
エアは、燃料供給ポンプ３から燃料戻し経路８を
経て燃料タンク１に送出されたうえ、燃料と分離
して放出される。エア抜きが完了した際には、開
閉弁１６を閉じて燃料が燃料ストレーナ２を経て
燃料供給経路５のみから供給される状態とする。
ところで、上記エア抜きにおいて、エア抜き経路
１９内に燃料が吸入されることがあるが、この場
合でも、その燃料はフイルタ１５を透過するの
で、燃料供給ポンプ３に供給される燃料に未濾過
のものが混入する虞れはない。また、エア抜き経
路１９に吸引された燃料は、全て燃料供給ポンプ
３に吸入されるので、エア抜きにともなつて燃料
が飛散したり、漏出することは全くない。

なお、前記第２図に示された例では、燃料供給
ポンプ３に燃料を吸入する送油パイプ９に比し
て、エア抜きパイプ１７の径が小となつている
が、エア抜きパイプ１７の径を送油パイプ９より
大とすれば、燃料供給ポンプ３によるエアの吸引
抵抗が小さくなるので、急速かつ完全なエア抜き
ができるものとなる。

第３図および第４図には、前記第１図および第
２図に示したものにおいて、エア抜きを自動化し
た実施例が示されている。すなわち、この実施例
においては、エア抜き経路１９の開閉弁１６にか
えて、エアは通すが燃料は遮断する自動開閉弁２
２を設け、さらに燃料供給ポンプ３の吐出側と燃
料タンク１間の燃料戻し経路中に手動によつて開
閉するバルブ２３を介在させている。その他の構
成は第１図および第２図のものと同じである。自
動開閉弁２２は、その内部にエアより比重が大で
あり、かつ燃料より比重が小である浮子状の弁体
２４を備えたものである。

この実施例のものにおいては、燃料供給ポンプ
３が起動されると、その吸引作用はエア抜き経路
１９にも及ぶので、燃料ストレーナ２の上部のエ
アが吸入されるが、この状態では弁体２４が浮上
せず、自動開閉弁２２は開き状態を保持してエア
抜きが行われる。そして、エア抜きが完了した状
態になると、燃料が吸引上昇して弁体２４が浮上
し、自動開閉弁２２が閉じて燃料の流出が遮断さ
れる。なお、燃料供給ポンプ３の吐出側と燃料タ
ンク１間のバルブ２３はエア抜きが完了した際に
閉じておけば、燃料供給ポンプ３による燃料の無
駄な還流を無くし、燃料供給ポンプ３の負担を軽
減することができる。

第５図および第６図には、デイーゼルエンジン
を備えたコイバインが例示されている。２５は前
処理部、２６は運転席、２７は籾タンク、２８は
その籾排出口、２９は籾受フロアであつて、籾排
出口２８から排出される籾は、籾受フロア２９上
で籾袋３０に収納されるようになつている。３１
は藁処理部、３２は送風フアン、３３は籾タンク
２７の前面に設けた作業者握り手パイプであつ
て、この握り手パイプ３３を送風フアン３２に接
続して、その下面に多数設けたエア噴出孔からエ
アを勢いよく噴出させ、籾排出口２８と作業者と
の間にエアカーテンを形成し、作業者の防塵を図
つている。

考案の効果 本考案は、前記のように、燃料タンクから燃料
ストレーナを介し、かつ燃料供給ポンプによりイ
ンジエクシヨンポンプに燃料を供給する燃料供給
経路および燃料供給ポンプの吐出側と燃料タンク
間の燃料戻し経路よりなるデイーゼルエンジンの
燃料系統において、燃料ストレーナの上部と燃料
供給ポンプの吸引側間を、フイルタおよび開閉弁
を介して連通させたものであるから、エンジンの
起動に際して燃料供給ポンプを始動し、燃料スト
レーナの上部と燃料供給ポンプの吸引側間の開閉
弁を開くのみで、燃料ストレーナの上部に溜つた
エアを燃料供給ポンプの吸引作用で完全に抜くこ
とができるうえ、それに伴つて燃料の一部が吸引
されても、その燃料はフイルタの透過で清浄化し
たうえ燃料供給ポンプによる供給経路に合流させ
て、エア抜きに伴う燃料の飛散や漏出を皆無にす
ることができる効果が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はデイー
ゼルエンジンの燃料系統図、第２図はその燃料ス
トレーナおよびそのエア抜き経路部分の断面図、
第３図は他の実施例を示すデイーゼルエンジンの
燃料系統図、第４図はその燃料ストレーナおよび
エア抜き経路部分の断面図、第５図はコンバイン
の全体側面図、第６図はその一部の作用説明図で
ある。 １……燃料タンク、２……燃料ストレーナ、３
……燃料供給ポンプ、４……インジエクシヨンポ
ンプ、５……燃料供給経路、６……噴射ノズル、
８……燃料戻し経路、１５……フイルタ、１６…
…開閉弁、１９……エア抜き経路、２２……自動
開閉弁、２３……バルブ、２４……浮子状の弁
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクから燃料ストレーナを介し、かつ燃
   料供給ポンプによりインジエクシヨンポンプに燃
   料を供給する燃料供給経路、および燃料供給ポン
   プの吐出側と燃料タンク間の燃料戻し経路よりな
   るデイーゼルエンジンの燃料系統において、燃料
   ストレーナの上部と燃料供給ポンプの吸引側間
   を、フイルタおよび開閉弁を介して連通させたこ
   とを特徴とするデイーゼルエンジンにおける燃料
   ストレーナのエア抜き装置。