JPH0538658U - 定着ローラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、低温低湿条件下でも定着不良をお
こさず、高温高湿条件下でも優れた耐久性を有し、オフ
セットが発生しない定着ローラを提供する。 【構成】 画像形成装置において、転写紙に転写された
トナー像を熱および圧力により定着する定着ローラであ
って、定着ローラの外被層または弾性層に中心粒径０．
１μｍ以下の窒化ホウ素粉末を含有させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は電子写真複写機等の画像形成装置において、転写紙上のに転写された トナーを加熱・加圧することにより、転写紙上に定着させる定着ローラに関する 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、感光体を帯電、露光して形成された静電潜像を粉体トナーで現像すると 共にトナー像を転写紙等の基材に静電的手段等により転写し、トナー像を転写し た転写紙を加熱・加圧することにより定着する画像形成装置が知られている。定 着装置としては、第２図に示すように、上下に配設された加熱ローラ１と加圧ロ ーラ２との間に、トナー像を転写した転写紙を通過させ、加熱ローラの熱によっ てトナーを溶融させつつ、トナーを両ローラ１、２からの圧力により転写紙上に 定着させる加熱定着装置が広く実用化されている。

【０００３】 従来このような加熱定着装置に用いられる加熱ローラ１は、例えば中空の金属 ローラ１１を芯材とし、中空の内部に電気的な加熱装置４を持ち、金属ロール１ １の外側にシリコンゴム等にて形成される弾性層１２と、該弾性層１２の外側フ ッ素樹脂等からなる離型性の外被層１３で構成されている。あるいは、金属ロー ル１１の外側に直接外被層１３を設けて構成されているものもある。また、加圧 ローラ２は、金属ローラ２１の外側にシリコンゴム等にて形成される弾性層２２ を設けて構成される。

【０００４】 このような構成の加熱ローラ１において、上記外被層１３は離型性の材質で形 成されているため、弾性層１２との接着性が悪く、長期間の使用によって外被層 １３が弾性層１２から浮き上がり剥離するという問題点があった。その結果、加 熱ローラ１の表面において外被層１３が波うち状のシワになり、良好な定着が行 えないと共に、加熱ローラ１に当接される剥離爪がこの外被層１３に引っ掛かり 易くローラ破損の原因ともなっていた。これは金属ローラ１１に直接外被層１３ を設けた場合でも同様に発生する。

【０００５】 一方、加圧ローラ２においても、金属ローラ２１と弾性層２２との接着性が悪 く、弾性層２２が剥離爪等により破損し易いという問題点があった。弾性層２２ が破損すると、破損部分の定着力が弱くなり、画像上に定着不良が生じてしまう 。

【０００６】 上記問題点を解決するために、金属ローラ表面に熱硬化性樹脂で被覆した定着 ローラにおいて、接着性を改善するためにポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦ Ｅ）等の固体潤滑剤の粉末を該樹脂層に分散させた定着ローラが提案されている （特開平２−２８９８７７）。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記ＰＴＦＥを分散させた定着ローラでは、接着性は改善され たものの、熱伝導性が十分でなく、高速の画像形成装置では定着不良が発生する という問題点があった。すなわち、転写紙上に粉体トナーを溶融定着する際に加 熱ローラ１表面から奪われた熱を金属ローラ１１側から加熱ローラ表面に十分に 伝達できないうちに次の転写紙が定着ローラに到達したために、粉体トナーを十 分に溶融できず、そのためにトナーを完全に転写紙に定着できず定着不良が発生 していた。さらに、熱伝導性が十分でないために、外被層１３の表面に比べて外 被層１３内部の弾性層１２と接する面付近では温度が高いために歪みが生じ、外 被層１３表面にかかる機械的引張り力が特に弾性層１２との界面に集中してかか ることにより外被層１３が浮き上がり剥離することもあった。さらに、表面の潤 滑性が十分でないためにトナーが融着するオフセットが生じることもあった。

【０００８】 一方、加圧ローラ２においても、弾性層２２表面が剥離爪によって削られやす いという問題があった。このように弾性層２２が削られると、削られた部分の定 着力が弱くなり、画像上に定着不良が生じてしまう。さらに表面の潤滑性が十分 でないためにオフセットが生じることもあった。

【０００９】 本考案は上記欠点を解決するものであり、その目的とするとことは、熱伝導性 に優れ、高速の画像形成装置においても良好に定着機能を発揮する定着ローラを 提供することにある。本考案の他の目的は、外被層が剥離するのを防止して耐久 性に優れ、かつオフセットが発生しにくい定着ローラを提供することにある。本 考案のさらに他の目的は、弾性層が削られるのを防止し耐久性に優れ、かつオフ セットが発生しにくい定着ローラを提供することある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案の定着ローラは、金属ローラと、金属ローラの外側に形成される弾性層 さらに外側に形成される外被層のうちすくなくとも一つの層を有する定着ローラ であって、該弾性層または該外被層に中心粒径０・１μｍ以下の窒化ホウ素微粒 子を含有することを特徴とするものである。

【００１１】 本考案に使用される窒化ホウ素微粒子は、潤滑性と優れた熱伝導性をそなえて いることが特徴である。本考案では、特に、中心粒径が０・１μｍ以下の窒化ホ ウ素微粒子を使用することが重要であり、定着ローラの弾性層または外被層にこ の中心粒径が０・１μｍ以下の窒化ホウ素微粒子を含有さることによって高速の 画像形成装置に好適に使用される定着ローラが提供される。これは、０・１μｍ 以下の小さい粒径の窒化ホウ素微粒子が、外被層および弾性層を形成する樹脂に 対して優れた分散性を有するため、窒化ホウ素微粒子の優れた熱伝導性と潤滑性 が十分に発揮されるためであると考えられる。粒径が大きくなると、外被層およ び弾性層を形成する樹脂に対する分散性が悪くなり、熱伝導性が悪くなるばかり でなく、表面の潤滑性も減少し、定着不良やオフセットが発生しやすくなる。な かでも、中心粒径０．０１μｍ乃至０・１μｍの窒化ホウ素微粒子を用いること が好ましい。

【００１２】

【実施例】 以下、本考案について図面を用いて詳細に説明する。なお、引照数字は従来技 術で説明したものと同じ数字を用いる。

【００１３】 本考案に係る定着ローラは、加熱ローラとしても、加圧ローラをしても使用す ることができる。本考案の定着ローラ１は第１図に示すように、加圧ローラ２と 上下対をなして配設され、それぞれのローラ１、２が回転することで、転写紙３ を搬送できるようになっている。加熱ローラ１の内部には加熱装置４が配設され ており、定着動作時には該加熱装置４により加熱ローラ１が加熱され、加熱ロー ラと加圧ローラとの間にトナー像が転写された転写紙３が通過し、該転写紙３上 にトナーが定着されるようになっている。

【００１４】 以下に加熱ローラ１について詳細に説明する。第１図に示すように、加熱ロー ラ１は、筒上の金属材にて形成される金属ローラ１１と、該金属ローラ１１の周 囲に設けられる弾性層１２と、該弾性層１２の周囲に設けられる外被層１３とを 有している。或いは、弾性層１２は設けなくてもよく、金属ローラ１１の周囲に 直接外被層１３を形成してもよい。金属ローラの材質としては、ステンレス、ア ルミニウム、銅等が用いられる。弾性層１２はシリコンゴム、フッ素ゴム等によ り構成される。外被層１３は４フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン 共重合樹脂（ＰＦＡ）あるいは４フッ化エチレン樹脂（ＰＴＦＥ）等のフッ素樹 脂により構成されている。上記外被層１３には、窒化ホウ素微粒子が含有される 。窒化ホウ素微粒子の添加量は外被層を形成する樹脂に対して０・１〜５０重量 ％使用するのがよい。これより少なければ所定の効果が得られず、多い場合には 表面の平滑性が損なわれる。外被層１３を作製するには例えばフッ素樹脂溶液に 窒化ホウ素微粒子を添加したものを金属ローラ１１あるいは弾性層１２上に塗布 し、乾燥、焼成させればよい。

【００１５】 このような構成の加熱ローラ１は外被層１３に熱伝導性及び潤滑性を向上させ る窒化ホウ素微粒子が含有されているので、定着不良、オフセットが防止される とともに、外被層が破損するのを防止して優れた耐久性を付与することができる 。

【００１６】 次に加圧ローラとして使用する場合について詳述する。第１図に示すように加 圧ローラ２は筒状の金属にて形成される金属ローラ２１と該金属ローラ２１の周 囲に設けられる弾性層２２とを有している。該弾性層２２はシリコンゴム、フッ 素ゴム等により構成され、シリコンゴムとしては熱加硫型シリコンゴム（ＨＴＶ ゴム）、常温硬化型液状ゴム（ＲＴＶゴム）、加熱硬化型液状ゴム（ＬＴＶゴム ）等が用いられる。上記弾性層２２は上述した窒化ホウ素微粒子が含有されてい る。窒化ホウ素微粒子の含有量は弾性層を形成する樹脂に対して０．１乃至５０ 重量パーセント使用するのがよい。この範囲より少ない場合には所定の効果が得 られず、多い場合には弾性が低下する。

【００１７】 この弾性層２２を作製するには、例えばＨＴＶゴムを使用する場合であれば、 金属ローラにプライマーを塗布したものに、シリコンゴムに窒化ホウ素微粒子を 添加し混練したものを被覆し、金型で圧力をかけて加硫させた後、表面研磨し、 更にシリコンオイルを浸漬させて表面研磨する。

【００１８】 （実施例１） 加熱ローラとして、アルミニウムローラ上にフッ素ゴムを弾性層として有し、 更にその周囲に中心粒径０．０３μｍの窒化ホウ素微粒子を含有させたＰＴＦＥ を外被層として有するものを作製した。

【００１９】 （実施例２） 実施例１において、窒化ホウ素微粒子を中心粒径０．１μｍの窒化ホウ素粒子 を用いたこと以外は同様にして加熱ローラを作製した。

【００２０】 （実施例３） 加圧ローラとしてアルミニウムローラ上に粒径０．０３μｍの窒化ホウ素微粒 子を含有させたシリコンゴムを弾性層として有するものを作製した。

【００２１】 （実施例４） 実施例３において、窒化ホウ素微粒子を中心粒径０．１μｍの窒化ホウ素粒子 を用いたこと以外は同様にして加圧ローラを作製した。

【００２２】 （比較例１） 実施例１において、外被層に窒化ホウ素微粒子を含有させない以外は同様にし て加熱ローラを作製した。

【００２３】 （比較例２） 実施例１において、窒化ホウ素微粒子を粒径０．８μｍの物に変え、同様にし て加熱ローラを作製した。

【００２４】 （比較例３） 実施例１において、窒化ホウ素微粒子を粒径０．０７μｍのポリテトラフルオ ロエチレン（ＰＴＦＥ）微粒子に変え、同様にして加熱ローラを作製した。

【００２５】 （比較例４） 実施例３において、外被層に窒化ホウ素微粒子を含有させない以外は同様にし て加熱ローラを作製した。

【００２６】 （比較例５） 実施例３において、窒化ホウ素微粒子を粒径０．８μｍの物に変え、同様にし て加熱ローラを作製した。

【００２７】 （比較例６） 実施例３において、窒化ホウ素微粒子を粒径０．０７μｍのＰＴＦＥ微粒子に 変え、同様にして加熱ローラを作製した。

【００２８】 上記６種類の定着ローラは、実施例１および比較例１〜３は加熱ローラとして 、実施例２および比較例４〜６は加圧ローラとして使用し、電子写真複写機ＤＣ −７０８５に搭載し、定着性、耐久性およびオフセットの発生を評価した。定着 性は、低温低湿（１０℃４５％）条件下で転写紙上に形成した複写画像のベタ黒 部を、サラシ布を巻いた鉄製円柱（直径５cm、高さ２．５cm）を５往復転がして こすり、こすり前後の画像濃度を用いて下式により評価した。画像濃度の測定に は反射濃度計を使用した。

【００２９】

【数１】

【００３０】 また耐久性、およびオフセットの発生は、高温高湿（３５℃８５％）条件下で ２０万枚のランニングテストをおこない、定着ローラの外被層および弾性層の劣 化、および転写紙上に形成した画像で評価した。加熱ローラについての評価結果 を表１に、加圧ローラについての評価結果を表２に示す。

【００３１】

【表１】

【００３２】

【表２】

【００３３】 表１、表２に示すように、０．１μｍ以下の窒化ホウ素を含有する実施例１乃 至実施例４の定着ローラを使用すると、比較例の定着ローラを使用した場合に比 べて非常に優れた定着性示す画像を得ることができた。また、添加剤を含有しな い比較例１および４の定着ローラは、高温高湿において、外被層および弾性層の 劣化が１０万枚までにおこり、オフセットも発生し、５μｍ窒化ホウ素、および 0.07μｍＰＴＦＥを含有する定着ローラでは、改善されたものの、外被層、弾性 層とも２０万枚までに劣化が認められ、オフセットも発生した。それに比べて実 施例１乃至４の定着ローラは、弾性層、外被層とも２０万枚まで劣化が認められ ず、オフセットの発生しなかった。

【００３４】

【考案の効果】

本考案によれば、定着ローラの外被層または弾性層に、粒径０．１μｍ以下の 窒化ホウ素微粒子を含有させることによって、熱伝導性、接着性、および表面の 潤滑性を向上することができるので、定着ローラの外被層および弾性層が劣化す るのを防止し、オフセットが発生せず定着性に優れた画像を得ることができる。

【００３５】

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の定着ローラの一実施例を示す断
面図である。

【図２】図２は従来の定着装置の斜視図である。

【符号の説明】

１ 加熱ローラ １１ 金属ローラ １２ 弾性層 １３ 外被層 ２ 加圧ローラ ２１ 金属ローラ ２２ 弾性層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属ローラと、金属ローラの外側に形
   成される弾性層、該弾性層のさらに外側に形成される外
   被層のうち少なくとも一つの層を有する定着ローラであ
   って、該弾性層または該外被層に中心粒径０・１μｍ以
   下の窒化ホウ素微粒子を含有することを特徴とする定着
   ローラ。