JPH0538508A - 圧延ロールの切削方法および圧延ロール切削装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】圧延ロールを圧延機から取り外すことなく圧延
フロア上で圧延ロールの切削を行い、作業の省人化，迅
速化を図ることを目的とする。 【構成】圧延機に付属されている圧延モータを圧延動作
時の位置に固定設置したまま圧延機のみを同じ圧延フロ
アの圧延ラインの側方へ移動させて固定し、圧延機内の
圧延ロールと圧延モータとを連結してこの圧延モータで
圧延ロールを回転させつつ圧延機に取り付けた切削バイ
ト組立体あるいは圧延ライン側方に設けたロール切削用
旋盤でロール切削する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は圧延ロールの切削方法お
よび圧延ロール切削装置に関し、特に摩耗した圧延ロー
ルを圧延機から取り外すことなく圧延機設置フロア上で
補修切削する圧延ロール切削方法およびこの方法を実施
するのに最適な圧延ロール切削装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】圧延機はロールスタンドと称する圧延機
本体フレームに一対の圧延ロールを軸支し、圧延モータ
でロールを回転駆動しつつ圧下モータあるいは圧下シリ
ンダで圧下を加えて板材，線材あるいは形材等の圧延を
行うが、この圧延動作により圧延ロールが摩耗したり、
ロール表面の肌荒れ，亀裂が発生し、圧延製品の精度低
下，不良品発生をきたす。したがってロール径が廃却径
に達するまではロールを切削して補修することが行われ
ている。従来、圧延ロールの切削は圧延機を分解して前
記ロールスタンドから摩耗した圧延ロールを抜き出し、
圧延フロアとは別の場所のロールショップに設置した大
形のロール旋盤にセットして切削していた。しかしこの
ような方法では、圧延ロールの抜き取り，運搬，洗浄，
ロール旋盤へのセット，再組立等の作業に多大の時間お
よび労力を要するので、圧延ロールを圧延機に組み込ん
だままの状態でロール切削を行う装置が提案されている
（例えば特開昭６３−２３７８０１号，特開平１−１０
４４０４号公報等）。これらの装置においては圧延機自
体をクレーンで吊ってロール切削装置の設置場所まで運
び、前記ロール切削装置を設置している機台床の開口に
臨む地下ピット内の昇降台上に圧延機を載せ、圧延機本
体の機枠を基準面として切削装置に対して位置決めし、
かつ切削装置側の回転駆動源に圧延ロールを軸方向に押
圧して連結するとともにラジアル方向への移動を防止す
るべく予圧（プリロード）を加えて切削時のロールのバ
ックラッシュを除くようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】圧延ロールを圧延機に
セットしたままロール切削する上述の装置は、圧延ロー
ルの取り外し，再組立ての作業は不要となるものの、重
量物の圧延機を圧延ラインから外して圧延フロアから離
れたロールショップまで吊上げ移動させなければならな
いので、運搬の時間および人手を要する。また切削装置
上での圧延機の位置決めや圧延ロールと切削動力源との
連結にも手数を要し、切削装置自体にも圧延機の昇降機
構やロール位置を確定するための押付機構，ラジアルプ
リロード機構等を設けなければならず、切削装置全体が
大がかりでコスト高となる問題があった。

【０００４】本発明は、圧延ライン上の圧延機をそのま
まライン側方へ移動させ、圧延ロールを圧延機から取り
外すことなく、しかも切削時に圧延ロールを回転させる
切削動力源も圧延機の圧延モータからとり、圧延フロア
上で圧延ロールの切削，修正を行い、これによって作業
の省人化，迅速化および低コスト化を図った圧延ロール
の切削方法および圧延ロール切削装置を提供することに
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明による圧延ロール
の切削方法は、圧延機に連結されている圧延モータを圧
延ラインの定位置に維持したまま該圧延機のみを圧延ラ
インの側方へ移動させて固定し、前記圧延機に組み込ま
れた圧延ロールと前記圧延モータとを連結し、前記圧延
モータで前記圧延ロールを回転させつつ前記圧延ライン
の側方位置で前記圧延ロールの切削を行う。

【０００６】上述の圧延ロールの切削方法に用いて有用
な圧延ロールの切削装置の一例として本発明によれば、
圧延機の圧延モータと反対側の圧延ライン側方位置に設
けられた圧延機仮置ベッドと、前記圧延機の本体フレー
ムに脱着可能に取り付けられた切削バイト組立体と、前
記圧延モータと前記圧延機仮置ベッド上へ移動させた圧
延機とを連結するユニバーサルジョイントとを有し、前
記圧延モータを圧延動作時およびロール切削時のロール
回転駆動源として兼用するようにした圧延ロール切削装
置が提供される。

【０００７】また本発明による圧延ロールの切削装置の
他の例として、圧延機の圧延モータと反対側の圧延ライ
ン側方位置に設けられた圧延機仮置ベッドと、該圧延機
仮置ベッドに隣接して圧延フロア上に設けられたロール
切削用旋盤と、前記圧延モータと前記圧延機仮置ベッド
上へ移動させた圧延機とを連結するユニバーサルジョイ
ントとを有し、前記圧延モータを圧延動作時およびロー
ル切削時のロール回転駆動源として兼用するようにした
圧延ロール切削装置が提供される。

【０００８】

【実施例】次に本発明を実施例について図面を参照して
説明する。図１は本発明の実施例に係るロール切削装置
を設置した圧延設備を圧延ライン方向からみた概略的な
全体正面図である。なおこの図は圧延機の出側から見た
ものである。またこの実施例はカリバレス圧延を行う連
続水平圧延機に適用した例である。圧延機本体５はその
本体フレーム１３に一対の上下に配置された圧延ロール
４ａ，４ｂが軸支され、前記本体フレーム１３の上部
に、上側圧延ロール４ａを例えばスクリュウ機構を介し
て上下動させる圧下モータ１４が搭載されて構成されて
いる。上側および下側の圧延ロール４ａ，４ｂは圧延ラ
インＬの片側方に配置された圧延モータ１の減速機２
に、それぞれユニバーサルジョイント３を介して、脱着
可能に連結されている。ユニバーサルジョイント３は圧
延機５に近い位置でスピンドルキャリヤ７に支持するこ
とができる構造となっている。また圧延機本体フレーム
１３は圧延ラインＬ上の圧延フロアに固定設置された本
体ベッド６上に取り外し可能に載せられ、圧延作動時に
は油圧力またはばね力を用いたクランプ機構によりクラ
ンプされている。圧延ラインＬに対して減速機２および
圧延モータ１と反対側の圧延ライン側方に、かつ該圧延
ラインに対して直角に、圧延機引出用レール８および圧
延機引出用シリンダ９が配置され、本体ベッド６に対す
る圧延機本体フレーム１３のクランプを解除して圧延機
引出用シリンダ９を作動させることにより、圧延機本体
フレーム１３下部の車輪が前記レール８を走行し、これ
によって圧延機本体５は圧延ラインＬの側方へ移動でき
るようになっている。なおこの圧延機５のライン側方へ
の引出構造は従来の圧延機と同様である。

【０００９】従来の圧延機ではカリバーシフトのため減
速機２と圧延ロール４ａ，４ｂを連結するユニバーサル
ジョイントはわずかの量伸縮し得るようになっている
が、本発明の１実施例においては、ユニバーサルジョイ
ント３は圧延機本体５のライン横方向への移動に伴なっ
て大きく伸縮するようになっている。そして圧延機本体
５からライン側方に或る距離例えば２〜３ｍ程度離れた
位置に、圧延機引出用レール８をまたぐようにして圧延
機仮置ベッド１０が設置されている。圧延機仮置ベッド
１０は圧延ラインＬ上の圧延機本体５の本体ベッド６と
同様に該仮置ベッド１０上に引き出された圧延機本体５
をクランプできる構造となっている。

【００１０】図２は圧延機本体５の本体フレーム１３に
設けられた切削バイト組立体１２の概略的な拡大側面図
であり、図３は圧延ライン側方位置に引き出された圧延
機本体の圧延ロールおよび切削バイト組立体を示す平面
図である。図２，図３を参照すれば、圧延機本体フレー
ム１３の圧延機出側正面部には下側ロール４ｂに隣接し
て、また圧延機入側正面部には上側ロール４ａに隣接し
て該ロール４ａ，４ｂと平行にレストバー１１が取り付
けられている。このレストバー１１にはバイト横送り用
刃物台１５または圧延機入側および出側の圧延材を案内
するガイドが互いに交換可能に取り付けられるようにな
っている。バイト横送り用刃物台１５は例えばねじ送り
機構２６等によってレストバー１１上をロール軸線方向
に手動あるいは駆動源により移動し得るように取り付け
られている。バイト横送り用刃物台１５上には該刃物台
１５に対してロール軸線に直角な方向に移動可能な切込
台２０が設けられ、この切込台２０のバイト差込孔１７
にかつロール周面に対して直角にロール切削用バイト１
６が装着され、バイト押え１８およびバイト押えボルト
１９によって固定される。２１は切込台２０をロールの
径方向に移動させるハンドルである。

【００１１】一般に圧延ロールはロールチョックを介し
て圧延機本体フレームに軸支され、このロールチョック
に対して圧延ロールが回転動作するが、この種の圧延機
においては通常、図４に示すように圧延ロール４ａ，４
ｂの軸首部に取り付けられるロールチョック２２と本体
フレーム１３のロール軸支部との間にはロールチョック
２２を該本体フレームから出し入れし易くするためにわ
ずかな隙間ｔ（通常径方向片側で０．２〜０．３ｍｍ）
が設けられている。このような状態でバイトによるロー
ル切削を行うと切削振動が発生し、精度のよい加工がで
きない。したがって本実施例では、ロールチョック２２
の外端面および本体フレーム１３のロール軸支部に互い
に対面するフランジ部２３，２４を設け、ロール切削の
際に本体フレーム１３側のフランジ部２４から押付ボル
ト２５を螺挿してロールチョック側フランジ部２３に押
し付け、これによってロールチョック２２を本体フレー
ム１３に固定するようにしている。図４の実施例ではロ
ールチョック２２の端面の直径方向両側にチョック押付
装置を設けているが、片側にのみ、例えば切削用バイト
１６側のロールチョック２２と本体フレーム１３間にの
み設けてもよい。

【００１２】圧延動作時には圧延機本体５から切削バイ
ト組立体１２は取り外され、レストバー１１に圧延材の
ガイドが取り付けられて圧延ラインＬ上で圧延が行われ
る。圧延ロールの切削時には圧延機本体ベッド６上の本
体フレーム１３のクランプが解除され、圧延機引出用シ
リンダ９が伸長して圧延機本体フレーム１３と結合さ
れ、圧延機本体５はレール８上を通って仮置ベッド１０
上に載せられてクランプされる。圧延機本体５が引き出
されるにつれて伸縮構造のユニバーサルジョイント３は
圧延ロール４ａ，４ｂと結合したまま伸長していく。仮
置ベット１０上で圧延材ガイドが取り外され、切削バイ
ト組立体１２がレストバー１１に装着され、前述の如く
ロールチョック２２が固定された後圧延モータ１により
減速機２およびユニバーサルジョイント３を介して前記
圧延ロールが回転され、ロール周面の切削が行われる。
ロール切削の終了後は切削バイト組立体１２が外され、
前記ガイドが取り付けられて再び圧延ラインＬ上に圧延
機本体５が戻される。

【００１３】上述の実施例では圧延機本体５に切削バイ
ト組立体１２を取り付けてロール切削する例を説明した
が、本発明のロール切削方法は、圧延機本体を圧延ライ
ンの側方に移動させ、圧延機本体に連結される圧延モー
タを切削動力源として同じ圧延フロア上の圧延ライン側
方位置でロール切削することを要旨とするものであり、
切削バイト組立体を圧延機に取り付けずに専用のロール
切削用旋盤を圧延ラインの側方に設置し、このロール切
削用旋盤まで圧延機本体５を引き出すようにしてもよ
い。なおこの場合、専用のロール切削用旋盤はクレーン
等で簡単に移動できるタイプとするのがよい。また切削
バイト組立体を着脱可能に設けたタイプおよび前記専用
のロール切削用旋盤を設置したタイプの両タイプのもの
についてユニバーサルジョイントを伸縮タイプとせずに
圧延機の引出時にユニバーサルジョイントを長尺のもの
に取り替えて圧延ロールと圧延モータを連結するように
してもよい。この場合ユニバーサルジョイントは圧延ロ
ールの端部とディテント等の簡易着脱装置を介して簡単
に着脱できるように連結するのがよい。またロール切削
時のロールチョックの固定手段は上述したチョック押付
装置に限定されるものでなく、例えばロールチョックを
偏心スリーブに置き替える等の方法でロールチョックと
本体フレームとの隙間を除去してもよい。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように圧延ロールを圧延機
から取り外すことなく、かつ圧延機を吊り上げて他の遠
方場所へ運搬せずに同じ圧延フロア上で圧延ラインの側
方へ圧延機本体をわずかに引き出すだけでロール切削が
でき、また切削時のロールの回転動力も圧延機本体に隣
接して固定設置されている同じ圧延モータから得ること
ができ、ロール切削作業の省人化を達成でき、また長時
間圧延機を休止させる必要がなく、さらに切削装置自体
も簡単に構成できる等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係るロール切削装置を設置し
た圧延設備の概略的な全体正面図である。

【図２】本発明の実施例における圧延機の本体フレーム
に設けられた切削バイト組立体の拡大側面図である。

【図３】図２の実施例で圧延ライン側方位置に引き出さ
れた圧延機の圧延ロールおよび切削バイト組立体の平面
図である。

【図４】本発明の実施例におけるロールチョック押付装
置の平面図である。

【符号の説明】

１ 圧延モータ ３ ユニバーサルジョイント ４ａ，４ｂ 圧延ロール ５ 圧延機本体 ６ 圧延機本体ベッド ８ 圧延機引出用レール ９ 圧延機引出用シリンダ １０ 圧延機仮置ベッド １１ レストバー １２ 切削バイト組立体 １３ 圧延機本体フレーム １５ 刃物台 １６ 切削用バイト ２０ 切込台 ２２ ロールチョック ２３，２４ フランジ部 ２５ 押付ボルト

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧延機に連結されている圧延モータを圧延
   ラインの定位置に維持したまま該圧延機のみを圧延ライ
   ンの側方へ移動させて固定し、前記圧延機に組み込まれ
   た圧延ロールと前記圧延モータとを連結し、前記圧延モ
   ータで前記圧延ロールを回転させつつ前記圧延ラインの
   側方位置で前記圧延ロールの切削を行うことを特徴とす
   る圧延ロールの切削方法。
2. 【請求項２】圧延機の圧延モータと反対側の圧延ライン
   側方位置に設けられた圧延機仮置ベッドと、前記圧延機
   の本体フレームに脱着可能に取り付けられた切削バイト
   組立体と、前記圧延モータと前記圧延機仮置ベッド上へ
   移動させた圧延機とを連結するユニバーサルジョイント
   とを有し、前記圧延モータを圧延動作時およびロール切
   削時のロール回転駆動源として兼用するようにしたこと
   を特徴とする圧延ロールの切削装置。
3. 【請求項３】圧延機の圧延モータと反対側の圧延ライン
   側方位置に設けられた圧延機仮置ベッドと、該圧延機仮
   置ベッドに隣接して圧延フロア上に設けられたロール切
   削用旋盤と、前記圧延モータと前記圧延機仮置ベッド上
   へ移動させた圧延機とを連結するユニバーサルジョイン
   トとを有し、前記圧延モータを圧延動作時およびロール
   切削時のロール回転駆動源として兼用するようにしたこ
   とを特徴とする圧延ロールの切削装置。
4. 【請求項４】前記ユニバーサルジョイントは、前記圧延
   モータの減速機と前記圧延ライン上の圧延機とを連結す
   る長さから前記圧延モータと前記圧延機仮置ベッド上へ
   移動した圧延機とを連結する長さまで伸縮し得るように
   なっていることを特徴とする請求項第２項または第３項
   に記載の圧延ロールの切削装置。