JPH0536988Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、分割型シリンダヘツド用ガスケツト
構造に関する。

（従来の技術） エンジンのシリンダヘツドとして、生産性の向
上を図るためにダイキヤスト型を使用する分割型
のシリンダヘツドがある。この分割型シリンダヘ
ツドは鋳抜きの方向を考慮して燃焼室の上方に形
成される水ジヤケツトの上部を分割面とされて
上・下に２分割され、これら両者は接合面間に水
ジヤケツト・油ジヤケツト部をシールするガスケ
ツトを介在されて液密に接合される。

下部シリンダヘツドの燃焼室上方に形成される
前記水ジヤケツトは、当該シリンダヘツドの長手
方向に沿つて各燃焼室に共通して一体的に溝状を
なして形成され、当該水ジヤケツトに長手方向に
沿つて冷却水を循環され、前記各燃焼室の上部を
冷却される。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、前記下部シリンダヘツドの水ジ
ヤケツトは構造上その容積が大きくなるために、
当該水ジヤケツト内を循環する冷却水の流速が遅
くなり、この結果、冷却効率が低下するという問
題がある。

前記水ジヤケツトの容積（断面積）を小さくす
るためには、当該下部シリンダヘツド及び上部シ
リンダヘツドの少なくともどちらか一方の形状を
変更することを必要とされ、生産性の低下、コス
ト及び重量の増加をきたす等の問題がある。

本考案は上述の問題点を解決するためになされ
たもので、下部シリンダヘツドに形成される水ジ
ヤケツトの断面積を小さくして冷却水の流速を速
め、冷却効率を向上させるようにした分割型シリ
ンダヘツド用ガスケツト構造を提供することを目
的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上述の目的を達成するためになされた
もので、燃焼室上方に各燃焼室に共通して一体的
に形成した水ジヤケツトの上部において分割され
る上・下の各シリンダヘツドの接合面間に介挿さ
れ前記水ジヤケツトを密閉する分割型シリンダヘ
ツドのガスケツトにおいて、前記ガスケツトが前
記水ジヤケツトに嵌合してその断面積を小さくす
る膨出部を絞り加工により一体的に形成した構造
としたものである。

（作用） 上・下の各シリンダヘツドの接合面間に介挿さ
れるガスケツトは、その膨出部を下部シリンダヘ
ツドに形成された水ジヤケツト内に嵌合されて当
該水ジヤケツトの断面積を小さくする。これによ
り当該水ジヤケツト内を循環する冷却水の流速が
速くなり、冷却効率が向上する。

（実施例） 以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳
述する。

第１図、第３図及び第４図は本考案を適用した
ガスケツトを使用した分割型のシリンダヘツドを
示し、該分割型のシリンダヘツド１は、下部シリ
ンダヘツド２と、当該下部シリンダヘツド２上に
載置される上部シリンダヘツド３と、これらの下
部シリンダヘツド２と上部シリンダヘツド３との
各接合面間に介挿されるガスケツト４とにより構
成され、２点鎖線で示すシリンダブロツク５上に
載置される。このシリンダブロツク５は中央に長
手方向に沿つて筒穴５ａを複数例えば、４個設け
られている。

下部シリンダヘツド２は、第３図に示すように
底面にシリンダブロツク５の各筒穴５ａと対応す
る位置に燃焼室２ａを形成され、両側部には各一
端が夫々燃焼室２ａの上面に開口し、各他端が
夫々各側面に開口する吸気ポート２ｂ、排気ポー
ト２ｃを形成され、上面略中央に長手方向に沿つ
て各燃焼室２ａの上方位置に水ジヤケツト６を形
成されている。この水ジヤケツト６は各燃焼室２
ａに共通とされ、両側部には各燃焼室２ａの吸・
排気弁（図示せず）を支持するバルブホルダ２
ｄ，２ｄを形成されている。また、各燃焼室２ａ
頂部には第４図に示すように点火プラグ８を螺嵌
するねじ孔２ｅを穿設され、且つ上部開口端周縁
には同心状にフランジ２ｆを形成されている。

上部シリンダヘツド３は、バルブデツキ３ａの
両側部に前記下部シリンダヘツド２の各バルブホ
ルダ２ｄ，２ｄと対応する位置に夫々バルブホル
ダ３ｂ，３ｂを形成され、これらの各バルブホル
ダ３ｂ，３ｂ内に夫々動弁機構（図示せず）が嵌
装される。また、バルブデツキ３ａには下部シリ
ンダヘツド２の各燃焼室２ａの各プラグ孔２ｅと
対応する位置にプラグ収納筒７が挿通する孔３ｃ
（第４図）を穿設されている。

ガスケツト４は周縁４ｂを下部シリンダヘツド
２の上面２ｇの周縁と略同一形状とされ、下部シ
リンダヘツド２の水ジヤケツト６と対応する中央
部を下方に膨出されて膨出部４ａとされ、当該ガ
スケツト４の周縁４ｂと膨出部４ａの周縁４ｃと
の間４ｄは打ち抜かれている。これらの打ち抜か
れた部分４ｄ内に上部シリンダヘツド３のバルブ
ホルダ３ｂ，３ｂが遊貫して下部シリンダヘツド
２のバルブホルダ２ｄ，２ｄ上に載置される。こ
のガスケツト４はシール性を向上させるために、
上部・下部の各シリンダヘツド２，３の各当接面
間に介在される周縁部４ｂ，４ｃに夫々全周に亘
りビード４ｅ，４ｆが設けてある。ガスケツト４
の膨出部４ａは装着時に下部シリンダヘツド２の
水ジヤケツト６の上部に当該水ジヤケツト６の断
面積を例えば、略半分にする程度に緩嵌し、当該
水ジヤケツト６内を流れる冷却水の流速を冷却効
率が最大となるように形成されている。膨出部４
ａの底面には、シリンダヘツド５の各筒穴５ａと
対向する位置に点火プラグ収納筒７が挿通する孔
４ｇが穿設されており、各周縁部４ｂ，４ｃには
所定の位置にボルト挿通孔４ｈが穿設されてい
る。かかる形状のガスケツト４は耐銹性を有する
例えば、ステンレスの薄板を絞り加工により一体
に形成される。

このガスケツト４は第３図、第４図に示すよう
に下部シリンダヘツド２の上面２ｇ上に載置さ
れ、膨出部４ａを水ジヤケツト６内の上部に嵌合
され、周縁部４ｂ，４ｃを夫々当該下部シリンダ
ヘツド２の外壁上端面、水ジヤケツト６の開口端
面に当接される。このガスケツト４の上に上部シ
リンダヘツド３を載置され、これらの上部シリン
ダヘツド３及びガスケツト４はボルト１１により
下部シリンダヘツド２と共にシリンダブロツク５
に強固に一体的に固定される。

この状態において、ガスケツト４の膨出部４ａ
は水ジヤケツト６の容積を減少させ、その断面積
を略半分程度に減少させる。また、点火プラグ収
納筒７は上部シリンダヘツド３の上方から当該上
部シリンダヘツド３の孔３ｃ、ガスケツト４の孔
４ｇを貫通して下部シリンダヘツド２のフランジ
２ｅ内に段差を成して縮径された下端７ａをＯリ
ング９を介して液密に内嵌され、又、ガスケツト
４の孔４ｇと対向する位置の周面に形成された環
状溝７ｂに嵌合されるＯリング１０を介して当該
孔４ｇに液密に内嵌され、更に、上端を図示しな
いシリンダヘツドカバーにシール材１２を介して
液密に固定される。点火プラグ８はプラグ収納筒
７内に収納され、ねじ部を介して燃焼室２ａのね
じ孔２ｅに螺嵌されて当該燃焼室２ａの上部に装
着される。このようにして、点火プラグ８は冷却
水、潤滑油などから液密に保護される。

尚、シリンダヘツド１は上述のように下部シリ
ンダヘツド２と、上部シリンダヘツド３と、ガス
ケツト４とを一体的に組付けた後、タツペツト孔
などを共加工される。かかるシリンダヘツド１は
２点鎖線で示されるシリンダブロツク５上に載置
され、前記ボルト１１，１１により強固に固定さ
れる。そして下部シリンダヘツド２の水ジヤケツ
ト６は冷却水循環系に接続され、当該下部シリン
ダヘツド２の一側壁２ｉ（第１図）側から他側壁
２ｋ方向に冷却水を循環される。

以下に作用を説明する。

エンジンの運転時に、冷却水がシリンダヘツド
１の水ジヤケツト６内に下部シリンダヘツド２の
一端２ｉ側から他端２ｋ側に流れて各燃焼室２ａ
の上壁を冷却する。水ジヤケツト６はその断面積
を小さくされているために、冷却水の流速が速く
なり、これに伴い当該冷却水の冷却効率が高くな
り、前記各燃焼室２ａの上壁を良好に冷却する。
この結果、エンジンの出力の向上が図られる。

尚、本実施例においては、分割型のシリンダヘ
ツドのガスケツトに適用した場合について記述し
たが、これに限るものではなく、他のオープン・
ジヤケツト構造にも適用することが出来る。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、燃焼室上
方に各燃焼室に共通して一体的に形成した水ジヤ
ケツトの上部において分割される上・下の各シリ
ンダヘツドの接合面間に介挿され前記水ジヤケツ
トを密閉する分割型シリンダヘツドのガスケツト
において、前記ガスケツトが前記水ジヤケツトに
嵌合してその断面積を小さくする膨出部を絞り加
工により一体的に形成したので前記水ジヤケツト
内の冷却水の流速を速くすることができ、この結
果、当該ジヤケツトの形成される燃焼室上部の冷
却効率が向上し、延いては、シリンダヘツドの冷
却性能を著しく向上させることが可能となり、こ
れに伴いエンジンの高出力化を図ることができ、
しかも、ガスケツトの形状を変えるという簡単な
加工を施すだけで達成できるため簡単、且つコス
トアツプもほとんど無い等の優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したガスケツトを使用し
た分割型シリンダヘツドの組立て側面図、第２図
は第１図に示すガスケツトの上面図、第３図は第
１図に示す分割型シリンダヘツドの下部シリンダ
ヘツドとガスケツトとの組付状態の断面図、第４
図は第１図の分割型シリンダヘツドの組付後の点
火プラグ位置における断面図である。 １……分割型シリンダヘツド、２……下部シリ
ンダヘツド、３……上部シリンダヘツド、４……
ガスケツト、４ａ……膨出部、６……水ジヤケツ
ト、７……点火プラグ収納筒、８……点火プラ
グ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃焼室上方に各燃焼室に共通して一体的に形成
   した水ジヤケツトの上部において分割される上・
   下の各シリンダヘツドの接合面間に介挿され前記
   水ジヤケツトを密閉する分割型シリンダヘツドの
   ガスケツトにおいて前記ガスケツトが前記水ジヤ
   ケツトに嵌合して、その断面積を小さくする膨出
   部を絞り加工により一体的に形成したことを特徴
   とする分割型シリンダヘツド用ガスケツト構造。