JPH0536953A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JPH0536953A
JPH0536953A JP21424391A JP21424391A JPH0536953A JP H0536953 A JPH0536953 A JP H0536953A JP 21424391 A JP21424391 A JP 21424391A JP 21424391 A JP21424391 A JP 21424391A JP H0536953 A JPH0536953 A JP H0536953A
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etching
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Kiyobumi Sakaguchi
清文 坂口
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隆夫 米原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁性基体上に、高耐圧のパワートランジス
タを作製し、ラッチアップ現象等のない、耐放射線特性
の優れた素子及び回路を提供する。 【構成】 パワートランジスタを有する半導体装置にお
いて、前記パワートランジスタは、絶縁物基体上に形成
されており、かつ、該パワートランジスタの、少なくと
もチャネル領域を構成する単結晶層は、多孔質化された
シリコン基体上の非多孔質単結晶層の表面を酸化して得
られた酸化表面を、酸化層を表面に有する他のシリコン
基体に貼り合わせた後、該貼り合わせた基体の前記多孔
質化したシリコン層を少なくとも湿式化学エッチングを
含む工程により除去して得られた絶縁物基体上の単結晶
半導体層であることを特徴とする半導体装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パワートランジスタを
有する半導体装置に関わり、特にパワートランジスタが
絶縁物基体上に形成された半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁物上の単結晶Si半導体層の形成
は、シリコンオンインシュレーター(SOI)技術とし
て広く知られ、通常のSi集積回路を作製するバルクS
i基体では到達しえない数々の優位点をSOI技術を利
用したデバイスが有することから多くの研究が成されて
きた。すなわち、SOI技術を利用することで、1.誘
電体分離が容易で高集積化が可能、2.対放射線耐性に
優れている、3.浮遊容量が低減され高速化が可能、
4.ウエル工程が省略できる、5.ラッチアップを防止
できる、6.薄膜化による完全空乏型電界効果トランジ
スタが可能、等の優位点が得られる。
【0003】上記したようなデバイス特性上の多くの利
点を実現するために、ここ数十年に渡り、SOI構造の
形成方法について研究されてきている。この内容は、例
えば以下の文献にまとめられている。Special
Issue:“Singlecrystal sili
con on non−single−crystal
insulators”;edited by G.
W.Cullen,Journal of Cryst
al Growth,volume63,no 3,p
p 429〜590(1983).また、古くは、単結
晶サファイア基体上に、SiをCVD(化学気相法)
で、ヘテロエピタキシーさせて形成するSOS(シリコ
ンオンサファイア)が知られており、最も成熟したSO
I技術として一応の成功を収めはしたが、Si層と下地
サファイア基体界面の格子不整合により大量の結晶欠
陥、サファイア基体からのアルミニュームのSi層への
混入、そして何よりも基体の高価格と大面積化への遅れ
により、その応用の広がりが妨げられている。
【0004】比較的近年には、サファイア基体を使用せ
ずにSOI構造を実現しようという試みが行なわれてい
る。この試みは、次の二つに大別される。 1.Si単結晶基体を表面酸化後に、窓を開けてSi基
体を部分的に表出させ、その部分をシードとして横方向
へエピタキシャル成長させ、SiO2 上へSi単結晶層
を形成する。(この場合には、SiO2 上にSi層の堆
積をともなう。) 2.Si単結晶基体そのものを活性層として使用し、そ
の下部にSiO2を形成する。(この方法は、Si層の
堆積をともなわない。)これらの方法によって形成され
た絶縁物上のシリコン層に種々の半導体素子及びそれら
からなる集積回路が作成されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記1を実現する手段
として、CVDにより、直接、単結晶層Siを横方向エ
ピタキシャル成長させる方法や、非晶質Siを堆積し
て、熱処理により固相横方向エピタキシャル成長させる
方法や、非晶質あるいは、多結晶Si層に電子線、レー
ザー光等のエネルギービームを収束して照射し、溶融再
結晶により単結晶層をSiO2 上に成長させる方法や、
そして、棒状ヒーターにより帯状に溶融領域を走査する
方法(Zone melting recrystal
lization)等が知られている。
【0006】しかしながら、これらの方法にはそれぞれ
一長一短があり、その制御性、生産性、均一性、品質に
多大の問題を残しており、いまだに、工業的に実用化し
たものはない。
【0007】たとえば、CVD法は平坦薄膜化するに
は、犠牲酸化が必要となり、固相成長法ではその結晶性
が悪いという問題がある。
【0008】また、ビームアニール法では、収束ビーム
走査による処理時間と、ビームの重なり具合、焦点調整
などの制御性に問題がある。
【0009】このうち、Zone melting R
ecrystallization法がもっとも成熟し
ており、比較的大規模な集積回路も試作されてはいる
が、依然として、亜粒界等の結晶欠陥は、多数残留して
おり、少数キャリヤーデバイスを作成するにいたってな
い。
【0010】上記2の方法であるSi基体をエピタキシ
ャル成長の種子として用いない方法に於ては、次の3種
類の方法が挙げられる。
【0011】1.V型の溝が表面に異方性エッチングさ
れたSi単結晶基体に酸化膜を形成し、該酸化膜上に多
結晶Si層をSi基体と同じ程厚く堆積した後、Si基
体の裏面から研磨によって、厚い多結晶Si層上にV溝
に囲まれて誘電分離されたSi単結晶領域を形成する。
【0012】この手法に於ては、結晶性は良好である
が、多多結晶Siを数百ミクロンも厚く堆積する工程、
単結晶Si基体を裏面より研磨して分離したSi活性層
のみを残す工程に、制御性と生産性の点から問題があ
る。
【0013】2.サイモックス(SIMOX:Sepe
ration by ion implanted o
xygen)と称されるSi単結晶基体中に酸素のイオ
ン注入によりSiO2 層を形成する方法であり、Siプ
ロセスと整合性が良いため現在もっとも成熟した手法で
ある。
【0014】しかしながら、SiO2 層形成をするため
には、酸素イオンを1018ions/cm2 以上も注入
する必要があるが、その注入時間は長大であり、生産性
は高いとはいえず、また、ウエハーコストは高い。更
に、結晶欠陥は多く残存し、工業的に見て、少数キャリ
ヤーデバイスを作製できる充分な品質に至っていない。
【0015】3.多孔質Siの酸化による誘電体分離に
よりSOI構造を形成する方法。この方法は、P型Si
単結晶基体表面にN型Si層をプロトンイオン注入、
(イマイ他、J.Crystal Growth,vo
l 63,547(1983))、もしくは、エピタキ
シャル成長とパターニングによって島状に形成し、表面
よりSi島を囲むようにHF溶液中の陽極化成法により
P型Si基体のみを多孔質化したのち、増速酸化により
N型Si島を誘電体分離する方法である。
【0016】本方法では、分離されているSi領域は、
デバイス工程のまえに決定されており、デバイス設計の
自由度を制限する場合があるという問題点があり、前述
した種々のSOIの半導体集積回路としての特徴を十分
に発揮するに至っていない。
【0017】(発明の目的)本発明は、上記したような
問題点及び上記したような要求に答え得る絶縁物基体上
にある良質な単結晶半導体層にパワートランジスタ、及
びそれらを構成要素の一種とした集積回路を提案するこ
とを目的とする。
【0018】更に本発明は、従来のSOIデバイスの利
点を実現した、半導体集積回路を提案することも目的と
する。
【0019】また、本発明は、SOI構造の大規模集積
回路を作製する際にも、高価なSOSや、SIMOXの
代替足り得、かつより高品質なる絶縁物上半導体基体上
の半導体素子及び集積回路を提案することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、パワートランジスタを有する
半導体装置において、前記パワートランジスタは、絶縁
物基体上に形成されており、かつ、該パワートランジス
タの、少なくともチャネル領域を構成する単結晶層は、
多孔質化されたシリコン基体上の非多孔質単結晶層の表
面を酸化して得られた酸化表面を、酸化層を表面に有す
る他のシリコン基体に貼り合わせた後、該貼り合わせた
基体の前記多孔質化したシリコン層を少なくとも湿式化
学エッチングを含む工程により除去して得られた絶縁物
基体上の単結晶半導体層であることを特徴とする半導体
装置を提供するものである。
【0021】また、前記非多孔質単結晶層の表面を、前
記酸化層を表面に有する他のシリコン基体に貼り合わせ
たことを特徴とする。
【0022】
【作用】本発明によれば、SiO2 の絶縁性基体上に形
成された、経済性に優れて、大面積に渡り均一平坦な、
極めて優れた結晶性を有する、欠陥の著しく少ないSi
単結晶層上に素子が作成されるため、高耐圧のパワート
ランジスタを作製でき、ラッチアップ現象等のない、耐
放射線特性の優れた素子及び回路を提供することができ
る。
【0023】また、完全に誘電体分離が可能であるた
め、低耐圧CMOSトランジスタと同一基体上に作製で
き、インテリジェント・パワーICを作製することが可
能となる。 [実施態様例1]以下、本発明の実施態様例を図面を参
照しながら詳述する。
【0024】図1は、本発明による半導体装置の一実施
態様例の概略的断面図である。同図において、基体1
は、後述するように多孔質Siを選択的に除去すること
により形成されたSiO2 を表面に有するシリコン基体
であり、該基体上には、パワートランジスタとして、N
チャネル電界効果トランジスタが形成されている。
【0025】また、図2(a)〜(c)は、本発明の半
導体基体の作製方法を説明するための工程図で、夫々各
工程に於ける模式的断面図として示されている。
【0026】以下、上記トランジスタについて、図1、
図2を参照しながら、作製工程に沿って説明する。本実
施態様例では、P型Si基体の全てを多孔質化した後に
単結晶層をエピタキシャル成長させる工程について説明
する。
【0027】まず、図2(a)に示すように、Si単結
晶基体201を用意して、それを多孔質化する。
【0028】Si基体201は、HF溶液を用いた陽極
化成法によって多孔質化させる。この多孔質Si層は、
単結晶Siの密度2.33g/cm3 に比べて、その密
度をHF溶液濃度を50〜20%に変化させることで密
度1.1〜0.6g/cm3の範囲に変化させることが
できる。
【0029】この多孔質Si層は、透過電子顕微鏡によ
る観察によれば、平均約600オングストローム程度の
径の孔が形成される。
【0030】また、この多孔質層は、下記の理由により
P型Si基体に形成されやすい。
【0031】多孔質Siは、Uhlir等によって19
56年に半導体の電解研磨の研究過程に於て発見された
(A.Uhlir,Bell Syst.Tech.
J.,vol 35,p.333(1956))。
【0032】また、ウナガミ等は、陽極化成におけるS
iの溶解反応を研究し、HF溶液中のSiの陽極反応に
は正孔が必要であり、その反応は、次のようであると報
告している(T.ウナガミ:J.Electro−ch
em.Soc.,vol.127,p.476(198
0))。
【0033】 Si+2HF+(2−n)e+ →SiF2 +2H+ +ne- SiF2 +2HF→SiF4 +H2 SiF4 +2HF→H2 SiF6 又は、 Si+4HF+(4−λ)e+ →SiF4 +4H+ +λe- SiF4 +2HF→H2 SiF6 ここでe+ 及び、e- はそれぞれ、正孔と電子を表して
いる。また、n及びλはそれぞれシリコン1原子が溶解
するために必要な正孔の数であり、n>2又は、λ>4
なる条件が満たされた場合に多孔質シリコンが形成され
るとしている。
【0034】以上のことから、正孔の存在するP型シリ
コンは多孔質化されるが、N型シリコンは多孔質化され
にくい。この多孔質化に於ける選択性は、長野ら、及び
今井によって報告されている(長野、中島、安野、大
中、梶原;電子通信学会技術研究報告、vol 79,
SSD79−9549(1979)),(K.Ima
i,Solid−State Electronic
s,vol 24,159(1981))。しかし、N
型Siも正孔の注入があれば、多孔質Siに変質するこ
とが知られている。(R.P.Holmstrom a
nd J.Y.Chi,Appl.Phys.Let
t.,vol.42,386(1983))。
【0035】また、多孔質層はその内部に大量の空隙が
形成されている為に、密度が半分以下に減少する。その
結果、体積に比べて表面積が飛躍的に増大するため、そ
の化学エッチング速度は、通常の単結晶層のエッチング
速度に比べて、著しく増速される。
【0036】次に、種々の成長法により、エピタキシャ
ル成長を多孔質化した基体表面に行ない、薄膜単結晶層
202を形成する。
【0037】多孔質Si層には、透過電子顕微鏡による
観察によれば、平均約600オングストローム程度の径
の孔が形成されており、その密度は単結晶Siに比べる
と、半分以下になるにもかかわらず、単結晶性は維持さ
れており、多孔質層の上部へ単結晶Si層をエピタキシ
ャル成長させることも可能である。ただし、1000℃
以上では、内部の孔の再配列が起こり、増速エッチング
の特性が損なわれる。このため、Si層のエピタキシャ
ル成長には、分子線エピタキシャル成長、プラズマCV
D、CVD法、光CVD、バイアス・スパッター法、液
相成長法等の低温成長が好適とされる。
【0038】次に、図2(b)に示すように、表面に絶
縁層204を有する基体205を用意して、多孔質Si
基体201上の単結晶Si層202表面を酸化した後、
酸化層203に該絶縁性基体205を貼りつける。
【0039】該酸化層は、デバイスを作成する際に重要
な役割をはたす。すなわち、Si活性層の下地界面によ
り発生する界面準位は直接貼り合わせる界面にくらべ
て、本発明による酸化膜界面の準位のほうが低くでき、
電子デバイスの特性は、著しく向上される。
【0040】この後に、多孔質Si基体201を全部、
エッチング等の手段で除去して絶縁性基体(203+2
04+205)上に薄膜化した単結晶シリコン層202
を残存させ形成する。
【0041】多孔質Si除去の際、基体205に耐性が
なければ、Si34 等のエッチング防止膜で多孔質S
i以外の部分を被覆する必要がある。
【0042】図2(c)には本発明で得られる半導体基
体が示される。すなわち、絶縁性基体(203+204
+205)上に結晶性がシリコンウエハーと同等な単結
晶Si層202が平坦に、しかも均一に薄層化されて、
ウエハー全域に、大面積に形成される。こうして得られ
た半導体基体は、絶縁分離された電子素子作製という点
から見ても好適に使用することができる。
【0043】以下、本発明の方法で用いる弗酸と過酸化
水素水とアルコールとの混合液による無電解湿式化学エ
ッチングにより、多孔質Siのみを選択エッチングする
方法について述べる。
【0044】図6に、多孔質Siと単結晶Siを弗酸と
アルコールと過酸化水素水との混合液に撹はんすること
なしに浸潤したときのエッチングされた多孔質Siと単
結晶Siの厚みのエッチング時間依存性を示す。多孔質
Siは単結晶Siを陽極化成によって作成し、その条件
を以下に示す。
【0045】 印加電圧:2.6(V) 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:1 時間:2.4(時間) 多孔質Siの厚み:300(μm) Porosity:56(%) なお、陽極化成によって形成する多孔質Siの出発材料
は、単結晶Siに限定されるものではなく、他の結晶構
造のSiでも可能である。
【0046】上記条件により作成した多孔質Siを、室
温において49%弗酸とアルコールと30%過酸化水素
水との混合液(10:6:50)(白丸)に撹はんする
ことなしに浸潤したのちに、該多孔質Siの厚みの減少
を測定した。多孔質Siは急速にエッチングされ、40
分ほどで107μm、更に、80分経過させると244
μmも、高度の表面性を有して、均一にエッチングされ
た。エッチング速度は溶液濃度及び、温度に依存する。
【0047】特に、過酸化水素水を添加することによっ
て、シリコンの酸化を増速し、反応速度を無添加にくら
べて増速することが可能となり、更に過酸化水素水の比
率を変えることにより、その反応速度を制御することが
できる。
【0048】また、500μm厚の非多孔質Siを室温
において49%弗酸とアルコールと30%過酸化水素水
との混合液(10:6:50)(黒丸)に撹はんするこ
となしに浸潤した。のちに、該非多孔質Siの厚みの減
少を測定した。非多孔質Siは、120分経過した後に
も、100オングストローム以下しかエッチングされな
かった。
【0049】特に、アルコールを添加することによっ
て、エッチングによる反応生成気体の気泡を、瞬時にエ
ッチング表面から、撹はんすることなく、除去でき、均
一にかつ効率よく多孔質Siをエッチングすることがで
きる。
【0050】エッチング後の多孔質Siと非多孔質Si
を水洗し、その表面を二次イオンにより微量分析したと
ころ何等不純物は検出されなかった。
【0051】次に、本発明に関する半導体基体の他の作
製方法を、図面を参照しながら詳述する。この方法は、
Si基体の表面層を残して、他の領域を多孔質Siに変
えて、多孔質Si上に単結晶Si層を形成する方法であ
る。
【0052】図5(a)〜(d)は本発明の半導体基体
の作製方法を説明するための工程図で、夫々各工程に於
ける模式的断面図として示されている。
【0053】先ず、図5(a)に示される様に、種々の
薄膜成長法によるエピタキシャル成長により高濃度シリ
コン単結晶基体501上に低不純物濃度層502を形成
する。或いは、P型Si単結晶基体501の表面をプロ
トンをイオン注入してN型単結晶層502を形成する。
【0054】次に、図5(b)に示される様に、P型S
i単結晶基体501を裏面よりHF溶液を用いた陽極化
成法によって、多孔質Si基体503に変質させる。こ
の多孔質Si層は、単結晶Siの密度2.33g/cm
3 に比べて、その密度をHF溶液濃度を50〜20%に
変化させることで密度1.1〜0.6g/cm3 の範囲
に変化させることができる。この多孔質層は、上述した
ように、P型基体に形成される。
【0055】次に、図5(c)に示すように、表面に絶
縁層505を有する基体506を用意して、多孔質Si
基体503上の単結晶Si層502表面を酸化した後、
酸化層504に該絶縁性基体505を貼りつける。
【0056】該酸化層は、デバイスを作成する際に重要
な役割をはたす。すなわち、Si活性層の下地界面によ
り発生する界面準位は直接貼り合わせる界面にくらべ
て、本発明による酸化膜界面の準位のほうが低くでき、
電子デバイスの特性は、著しく向上される。
【0057】この後に、多孔質Si基体503を全部、
エッチング等の手段で除去して絶縁性基体(504+5
05+506)上に薄膜化した単結晶シリコン層502
を残存させ形成する。
【0058】図5(d)には本発明で得られる半導体基
体が示される。すなわち、絶縁性基体(504+505
+506)上に結晶性がシリコンウエハーと同等な単結
晶Si層502が平坦に、しかも均一に薄層化されて、
ウエハー全域に、大面積に形成される。
【0059】こうして得られた半導体基体は、絶縁分離
された電子素子作製という点から見ても好適に使用する
ことができる。
【0060】以上は、多孔質化を行う前にN型層を形成
し、その後、陽極化成により選択的に、P型基体のみを
多孔質化する方法である。
【0061】次に、図1に示すパワートランジスタを作
製する。
【0062】上記詳述した絶縁性基体101表面の単結
晶層102を、部分酸化法或いは、島状にエッチングし
て分離する。
【0063】その後、パワートランジスタを作製するに
足る厚さの単結晶Si103を、少なくともパワートラ
ンジスタを作製する領域にエピタキシャル成長する。
【0064】次に、Nチャネル絶縁ゲート型電界効果ト
ランジスタを形成しようとする単結晶シリコン島104
にP型不純物イオンを打ち込む。
【0065】さらに、高耐圧化のため、上記P型イオン
打ち込み領域と最終的にドレインとなる領域との間にN
型不純物イオンを打ち込み、ドリフト領域を形成する1
05。
【0066】次に、それぞれの単結晶シリコン層上にゲ
ート絶縁膜106を形成し、さらに多結晶シリコンのゲ
ート電極107をパターニングして形成する。
【0067】次に、多結晶シリコンゲート電極をマスク
にして、自己整合的に不純物をイオン注入することによ
りソース108、ドレイン領域109を形成する。Nチ
ャネルトランジスタに対しては、N型不純物イオンを注
入してソース、ドレイン領域とする。
【0068】次に、ソース電極110、ドレイン電極1
11を金属薄膜の堆積とパターニングによって形成し
て、素子が完成する。各素子を相互に薄膜電極によって
接続することにより、集積回路が製造される。
【0069】Pチャネル絶縁ゲート型電界効果トランジ
スタに関しては、上記Nチャネル絶縁ゲート型電界効果
トランジスタの作製方法において、PとNの不純物タイ
プを逆にして、同じ行程を行えば良い。 [実施態様例2]以下、本発明の実施態様例2を図面を
参照しながら詳述する。図3は、本発明による半導体装
置の一実施態様例の概略的断面図である。同図におい
て、基体は、図2または図5に示す方法より形成された
表面がSiO2 よりなる絶縁性基体である。
【0070】該基体上には、パワートランジスタとし
て、npn型バイポーラトランジスタが形成されてい
る。
【0071】以下、上記パワートランジスタの作製工程
を説明する。
【0072】まず、上に詳述したように、単結晶Si層
/多孔質Si基体の構造の基体を絶縁性基体に貼り合わ
せて、多孔質基体を全て上記湿式化学エッチングにより
除去し、絶縁物基体上の単結晶層を作製する(図2また
は図5)。
【0073】次に、図3に示すトランジスタを作製す
る。
【0074】上記詳述した絶縁性基体301表面の単結
晶層302を、部分酸化法、或いは島状にエッチングし
て分離する。
【0075】その後、パワートランジスタを作製するに
足る厚さのN型の単結晶Si(コレクタ領域)303
を、少なくともパワートランジスタを作製する領域にエ
ピタキシャル成長する。
【0076】次に、P型不純物イオンを打ち込みベース
領域304を形成する。
【0077】さらに、そのベース領域の一部にN型不純
物イオンを打ち込み、エミッタ領域305を形成する。
【0078】次に、エミッタ、ベース、コレクタ電極
(それぞれ、306,307,308)を金属薄膜の堆
積とパターニングによって形成して、素子が完成する。
【0079】pnp型バイポーラトランジスタに関して
は、上記npn型バイポーラトランジスタの作製方法に
おいて、PとNの不純物タイプを逆にして、同じ行程を
行なえば良い。 [実施態様例3]以下、本発明の実施態様例3を、図面
を参照しながら詳述する。図4は、本発明による半導体
装置の一実施態様例の概略的断面図である。同図におい
て、基体は、図2または図5に示す方法より形成された
表面がSiO2 よりなる絶縁性基体である。
【0080】該基体上には、パワートランジスタとし
て、Nチャネル絶縁ゲート型バイポーラトランジスタが
形成されている。
【0081】以下、上記トランジスタの作製工程を説明
する。
【0082】まず、上に詳述したように、単結晶Si層
/多孔質Si基体の構造の物品を絶縁性基体に貼り合わ
せて、多孔質基体を全て上記湿式化学エッチングにより
除去し、絶縁物基体上の単結晶層を作製する(図2また
は図5)。
【0083】次に、図4に示すトランジスタを作製す
る。
【0084】上記詳述した絶縁性基体401表面の単結
晶層402を、部分酸化法或いは、島状にエッチングし
て分離する。
【0085】その後、パワートランジスタを作製するに
足る厚さのN型の単結晶Si403を、少なくともパワ
ートランジスタを作製する領域にエピタキシャル成長す
る。
【0086】次に、P型不純物イオンを打ち込みチャネ
ル領域404、およびコレクタ領域405を形成する。
【0087】さらに、そのチャネル領域の一部にN型不
純物イオンを打ち込み、エミッタ領域406を形成す
る。
【0088】次に、チャネル上にゲート絶縁膜407を
形成し、さらに多結晶シリコンのゲート電極408をパ
ターニングして形成する。
【0089】次に、エミッタ、コレクタ電極(それぞれ
409,410)を金属薄膜の堆積とパターニングによ
って形成して、素子が完成する。
【0090】Pチャネル絶縁ゲート型バイポーラトラン
ジスタに関しては、上記Nチャネル絶縁ゲート型バイポ
ーラトランジスタの作製方法において、PとNの不純物
タイプを逆にして、同じ工程を行なえばよい。
【0091】以下、多孔質Siのみを無電解湿式エッチ
ングする選択エッチング法について、更に述べる。
【0092】結晶Siに対してはエッチング作用を持た
ず、多孔質Siのみを選択エッチング可能なエッチング
液としては、弗酸、バッファード弗酸、過酸化水素水を
加えた弗酸又はバッファード弗酸の混合液、アルコール
を加えた弗酸又はバッファード弗酸の混合液、過酸化水
素水とアルコールとを加えた弗酸又はバッファード弗酸
の混合液が好適に用いられる。図7〜図13は多孔質S
iと単結晶Siを上記種々のエッチング液に浸潤したと
きのエッチングされた多孔質Siと単結晶Siの厚みの
エッチング時間依存性を示す特性図である。
【0093】エッチング液は、それぞれ、図7が49%
弗酸、図8が49%弗酸と過酸化水素水との混合液
(1:5)、図9が49%弗酸とアルコールとの混合液
(10:1)、図10がバッファード弗酸、図11がバ
ッファード弗酸と過酸化水素水との混合液(1:5)、
図12がバッファード弗酸とアルコールとの混合液(1
0:1)、図13がバッファード弗酸とアルコールと過
酸化水素水との混合液(10:6:50)である。
【0094】なお、アルコールを加えたものについて
は、撹拌することなしに浸潤し、アルコールを加えない
ものについては、撹拌しながら浸潤した。
【0095】多孔質Siは単結晶Siを陽極化成によっ
て作成し、その条件を以下にしめす。陽極化成によって
形成する多孔質Siの出発材料は、単結晶Siに限定さ
れるものではなく、他の結晶構造のSiでも可能であ
る。
【0096】 印加電圧: 2.6(V) 電流密度: 30 (mA・cm-2 ) 陽極化成溶液:HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 時間: 2. 4 (時間) 多孔質Siの厚み: 300(μm) Porosity: 56(%) 上記条件により作成した多孔質Siを室温において、上
記種々のエッチング液に浸潤した。
【0097】49%弗酸(図7の白丸)に撹はんしなが
ら浸潤したものについて、該多孔質Siの厚みの減少を
測定したところ、多孔質Siは急速にエッチングされ、
40分ほどで90μm、更に、80分経過させると20
5μmも、高度の表面性を有して、均一にエッチングさ
れた。
【0098】49%弗酸と過酸化水素水との混合液
(1:5)(図8の白丸)に撹はんしながら浸潤したも
のについて、該多孔質Siの厚みの減少を測定したとこ
ろ、多孔質Siは急速にエッチングされ、40分ほどで
112μm、更に、80分経過させると256μmも、
高度の表面性を有して、均一にエッチングされた。
【0099】49%弗酸とアルコールとの混合液(1
0:1)(図9の白丸)に撹はんすることなしに浸潤し
たものについて、該多孔質Siの厚みの減少を測定した
ところ、多孔質Siは急速にエッチングされ、40分ほ
どで85μm、更に、80分経過させると195μm
も、高度の表面性を有して、均一にエッチングされた。
【0100】バッファード弗酸(図10の白丸)に撹拌
し浸潤したものについて、該多孔質Siの厚みの減少を
測定したところ、多孔質Siは急速にエッチングされ、
40分ほどで70μm、更に、120分経過させると1
18μmも、高度の表面性を有して、均一にエッチング
された。
【0101】バッファード弗酸と過酸化水素水との混合
液(1:5)(図11の白丸)に浸潤し、撹拌したもの
について、該多孔質Siの厚みの減少を測定したとこ
ろ、多孔質Siは急速にエッチングされ、40分ほどで
88μm、更に、120分経過させると147μmも、
高度の表面性を有して、均一にエッチングされた。
【0102】バッファード弗酸とアルコールとの混合液
(10:1)(図12の白丸)に撹はんすることなしに
浸潤したものについて、該多孔質Siの厚みの減少を測
定したところ、多孔質Siは急速にエッチングされ、4
0分ほどで67μm、更に、120分経過させると11
2μmも、高度の表面性を有して、均一にエッチングさ
れた。
【0103】バッファード弗酸とアルコールと過酸化水
素水との混合液(10:6:50)(図13の白丸)に
撹はんすることなしに浸潤したものについて、該多孔質
Siの厚みの減少を測定したところ、多孔質Siは急速
にエッチングされ、40分ほどで83μm、更に、12
0分経過させると140μmも、高度の表面性を有し
て、均一にエッチングされた。
【0104】なお、過酸化水素水の溶液濃度は、ここで
は30%であるが、下記の過酸化水素水の添加効果がそ
こなわれず、且つ製造工程等で実用上差し支えない濃度
で設定される。バッファード弗酸としては、フッ化アン
モニウム(NH4 F)36.2%、フッ化水素(HF)
4.46%の水溶液が用いられる。
【0105】なお、エッチング速度は弗酸,バッファー
ド弗酸,過酸化水素水の溶液濃度及び温度に依存する。
過酸化水素水を添加することによって、シリコンの酸化
を増速し、反応速度を無添加に比べて増速することが可
能となり、更に過酸化水素水の比率を変えることによ
り、その反応速度を制御することができる。またアルコ
ールを添加することによって、エッチングによる反応生
成気体の気泡を、瞬時にエッチング表面から、撹拌する
ことなく、除去でき、均一にかつ効率よく多孔質Siを
エッチングすることができる。
【0106】溶液濃度及び温度の条件は、弗酸,バッフ
ァード弗酸及び上記過酸化水素水又は上記アルコールの
効果を奏し、エッチング速度が製造工程等で実用上差し
支えない範囲で設定される。
【0107】本願では、一例として、前述した溶液濃
度、室温の場合について取り上げたが、本発明はかかる
条件に限定されるものではない。
【0108】バッファード弗酸中のHF濃度は、エッチ
ング液に対して、好ましくは1〜95%、より好ましく
は1〜85%、さらに好ましくは1〜70%の範囲で設
定され、バッファード弗酸中のNH4 F濃度は、エッチ
ング液に対して、好ましくは1〜95%、より好ましく
は5〜90%、さらに好ましくは5〜80%の範囲で設
定される。
【0109】HF濃度は、エッチング液に対して、好ま
しくは1〜95%、より好ましくは5〜90%、さらに
好ましくは5〜80%の範囲で設定される。
【0110】H22 濃度は、エッチング液に対して、
好ましくは1〜95%、より好ましくは5〜90%、さ
らに好ましくは10〜80%で、且つ上記過酸化水素水
の効果を奏する範囲で設定される。
【0111】アルコール濃度は、エッチング液に対し
て、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以
下、さらに好ましくは40%以下で、且つ上記アルコー
ルの効果を奏する範囲で設定される。
【0112】温度は、好ましくは0〜100℃、より好
ましくは5〜80℃、さらに好ましくは5〜60℃の範
囲で設定される。
【0113】本発明に用いられるアルコールはエチルア
ルコールのほか、イソプロピルアルコールなど製造工程
等に実用上差し支えなく、さらに上記アルコール添加効
果を望むことのできるアルコールを用いることができ
る。
【0114】また、500μm厚の非多孔質Siを室温
において、上記各種エッチング液に浸潤した。のちに、
該非多孔質Siの厚みの減少を測定した。非多孔質Si
は、120分経過した後にも、100オングストローム
以下しかエッチングされなかった。
【0115】エッチング後の多孔質Siと非多孔質Si
を水洗し、その表面を二次イオンにより微量分析したと
ころ何等不純物は検出されなかった。
【0116】以下、具体的な実施例によって本発明を説
明する。
【0117】
【実施例】(実施例1)200ミクロンの厚みを持った
P型(100)単結晶Si基体をHF溶液中において陽
極化成を行った。
【0118】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0119】 印加電圧:2.6(V) 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:1 時間:1.6(時間) 多孔質Siの厚み:200(μm) Porosity: 56(%) 次に、該P型(100)多孔質Si基体上にMBE(分
子線エピタキシー:Molecular Beam E
pitaxy)法により、Siエピタキシャル層を0.
5ミクロン低温成長させた。堆積条件は、以下のとおり
である。
【0120】 温度:700℃ 圧力:1×10-9Torr 成長速度:0.1nm/sec 次に、このエピタキシャル層の表面に1000オングス
トロームの酸化層を形成し、その酸化表面に、5000
オングストロームの酸化層を形成したもう一方のSi基
体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で800℃、0.5時間
過熱することにより、両者のSi基体は、強固に接合さ
れた。
【0121】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0122】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は除去され、S
iO2 上に0.5μmの厚みを持った単結晶Si層が形
成できた。
【0123】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0124】上記単結晶シリコン層に所望の厚さのエピ
タキシャルSiを成長させた後、パワートランジスタと
して、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラ
トランジスタ、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトラン
ジスタを作製し、さらに、その集積回路を作製したとこ
ろ、パワートタンジスタは1000Vの耐圧が得られ
た。なお、各トランジスタの製造方法については公知の
集積回路製造技術が用いられるので省略するものとし、
実質的な単結晶半導体層の形成方法についてのみ説明を
行なった。
【0125】また以下の実施例についても同様である。 (実施例2)200ミクロンの厚みを持ったP型(10
0)単結晶Si基体をHF溶液中において陽極化成を行
った。
【0126】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0127】 印加電圧:2.6(V) 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:1 時間:1.6(時間) 多孔質Siの厚み:200(μm) Porosity:56(%) 次に、該P型(100)多孔質Si基体上にプラズマC
VD法により、Siエピタキシャル層を0.5ミクロン
低温成長させた。堆積条件は、以下のとおりである。
【0128】 ガス:SiH4 高周波電力:100W 温度:800℃ 圧力:1×10-2Torr 成長速度:2.5nm/sec 次に、このエピタキシャル層の表面に1000オングス
トロームの酸化層を形成し、その酸化表面に、表面に5
000オングストロームの酸化層を形成したもう一方の
Si基体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で800℃、0.
5時間過熱することにより、両者のSi基体は、強固に
接合された。
【0129】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0130】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は除去され、S
iO2 上に0.5μmの厚みを持った単結晶Si層が形
成できた。
【0131】上記単結晶シリコン層に所望の厚さのエピ
タキシャルSiを成長させた後、パワートランジスタと
して、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラ
トランジスタ、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトラン
ジスタを作製し、さらに、その集積回路を作製した。な
お、各トランジスタの製造方法については公知の集積回
路製造技術が用いられるので省略するものとし、実質的
な単結晶半導体層の形成方法についてのみ説明を行っ
た。 (実施例3)200ミクロンの厚みを持ったP型(10
0)単結晶Si基体をHF溶液中において陽極化成を行
った。
【0132】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0133】 印加電圧:2.6(V) 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:1 時間:1.6(時間) 多孔質Siの厚み:200(μm) Porosity:56(%) 次に、該P型(100)多孔質Si基体上にバイアスス
パッター法により、Siエピタキシャル層を0.5ミク
ロン低温成長させた。堆積条件は、以下のとおりであ
る。
【0134】 RF周波数:100MHz 高周波電力:600W 温度:300℃ Arガス圧力:8×10-3Torr 成長時間:60分 ターゲット 直流バイアス:−200V 基体直流バイアス:+5V 次に、このエピタキシャル層の表面に1000オングス
トロームの酸化層を形成し、その酸化表面に、5000
オングストロームの酸化層を形成したもう一方のSi基
体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で800℃、0.5時間
過熱することにより、両者のSi基体は、強固に接合さ
れた。
【0135】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0136】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は、除去され、
SiO2 上に0.5μmの厚みを持った単結晶Si層が
形成できた。
【0137】上記単結晶シリコン層に所望の厚さのエピ
タキシャルSiを成長させた後、パワートランジスタと
して、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラ
トランジスタ、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトラン
ジスタを作製し、さらに、その集積回路を作製した。な
お、各トランジスタの製造方法については公知の集積回
路製造技術が用いられるので省略するものとし、実質的
な単結晶半導体層の形成方法についてのみ説明を行っ
た。 (実施例4)200ミクロンの厚みを持ったN型(10
0)単結晶Si基体をHF溶液中において陽極化成を行
った。
【0138】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0139】 印加電圧:2.6(V) 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:1 時間:1.6(時間) 多孔質Siの厚み:200(μm) Porosity:56(%) 次に、該P型(100)多孔質Si基体上に液相成長法
により、Siエピタキシャル層を5ミクロン低温成長さ
せた。成長条件は、以下のとおりである。
【0140】 溶媒:Sn 成長温度:900℃ 成長雰囲気:H2 成長時間:50分 次に、このエピタキシャル層の表面に1000オングス
トロームの酸化層を形成し、その酸化表面に、表面に5
000オングストロームの酸化層を形成したもう一方の
Si基体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で800℃、0.
5時間過熱することにより、両者のSi基体は、強固に
接合された。
【0141】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0142】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は、除去され、
SiO2 上に5μmの厚みを持った単結晶Si層が形成
できた。
【0143】上記単結晶シリコン層に所望の厚さのエピ
タキシャルSiを成長させた後、パワートランジスタと
して、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラ
トランジスタ、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトラン
ジスタを作製し、さらに、その集積回路を作製した。な
お、各トランジスタの製造方法については公知の集積回
路製造技術が用いられるので省略するものとし、実質的
な単結晶半導体層の形成方法についてのみ説明を行っ
た。 (実施例5)200ミクロンの厚みを持ったP型(10
0)単結晶Si基体をHF溶液中において陽極化成を行
った。
【0144】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0145】 印加電圧:2.6(V) 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:1 時間:1.6(時間) 多孔質Siの厚み:200(μm) Porosity:56(%) 次に、該P型(100)多孔質Si基体上に減圧CVD
法により、Siエピタキシャル層を1.0ミクロン低温
成長させた。堆積条件は、以下のとおりである。
【0146】 ソースガス:SiH4 キャリヤーガス:H2 温度:850℃ 圧力:1×10-2Torr 成長速度:3.3nm/sec 次に、このエピタキシャル層の表面に1000オングス
トロームの酸化層を形成し、その酸化表面に、表面に5
000オングストロームの酸化層を形成したもう一方の
Si基体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で800℃、0.
5時間過熱することにより、両者のSi基体は、強固に
接合された。
【0147】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0148】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は、除去され、
SiO2 上に1.0μmの厚みを持った単結晶Si層が
形成できた。
【0149】ソースガスとして、SiH2 Cl2 を用い
た場合には、成長温度を数十度上昇させる必要がある
が、多孔質基体に特有な増速エッチング特性は、維持さ
れた。上記単結晶シリコン層に所望の厚さのエピタキシ
ャルSiを成長させた後、パワートランジスタとして、
絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラトラン
ジスタ、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
を作製し、さらに、その集積回路を作製した。なお、各
トランジスタの製造方法については公知の集積回路製造
技術が用いられるので省略するものとし、実質的な単結
晶半導体層の形成方法についてのみ説明を行った。 (実施例6)200ミクロンの厚さを持ったP型(10
0)Si基体上にCVD法により、Siエピタキシャル
層を1ミクロン成長させた。堆積条件は、以下のとおり
である。
【0150】 反応ガス流量:SiH2 Cl2 1000SCCM H2 230 l/min. 温度:1080℃ 圧力:80Torr 時間:2min この基体を50%のHF溶液中において陽極化成を行な
った。この時の電流密度は、100mA/cm2 であっ
た。又、この時の多孔質化速度は8.4μm/min.
であり、200ミクロンの厚みを持ったP型(100)
Si基体全体は24分で多孔質化された。前述したよう
にこの陽極化成では、P型(100)Si基体のみが多
孔質化され、Siエピタキシャル層には変化がなかっ
た。
【0151】次に、このエピタキシャル層の表面に10
00オングストロームの酸化層を形成し、その酸化表面
に、表面に5000オングストロームの酸化層を形成し
たもう一方のSi基体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で8
00℃、0.5時間過熱することにより、両者のSi基
体は、強固に接合された。
【0152】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0153】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は、除去され、
SiO2 上に1.0μmの厚みを持った単結晶Si層が
形成できた。
【0154】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。上記単結晶シ
リコン層に所望の厚さのエピタキシャルSiを成長させ
た後、パワートランジスタとして、絶縁ゲート型電界効
果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、あるいは絶
縁ゲート型バイポーラトランジスタを作製し、さらに、
その集積回路を作製した。なお、各トランジスタの製造
方法については公知の集積回路製造技術が用いられるの
で省略するものとし、実質的な単結晶半導体層の形成方
法についてのみ説明を行った。 (実施例7)200ミクロンの厚みを持ったP型(10
0)Si基体上に常圧CVD法により、Siエピタキシ
ャル層を5ミクロン成長させた。堆積条件は、以下のと
おりである。
【0155】 反応ガス流量:SiH2 Cl2 1000SCCM H2 230 l/min. 温度:1080℃ 圧力:760Torr 時間:1min 上記Si基体をHF溶液中において陽極化成を行った。
【0156】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0157】 印加電圧:2.6(V) 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:1 時間:1.6(時間) 多孔質Siの厚み:200(μm) Porosity:56(%) 前述したように、この陽極化成では、P型(100)S
i基体のみが多孔質化され、Siエピタキシャル層には
変化がなかった。
【0158】次に、このエピタキシャル層の表面に10
00オングストロームの酸化層を形成し、その酸化表面
に、5000オングストロームの酸化層を形成したもう
一方のSi基体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で800
℃、0.5時間過熱することにより、両者のSi基体
は、強固に接合された。
【0159】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0160】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は除去され、S
iO2 上に5μmの厚みを持った単結晶Si層が形成で
きた。
【0161】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。上記単結晶シ
リコン層に所望の厚さのエピタキシャルSiを成長させ
た後、パワートランジスタとして、絶縁ゲート型電界効
果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、あるいは絶
縁ゲート型バイポーラトランジスタを作製し、さらに、
その集積回路を作製した。なお、各トランジスタの製造
方法については公知の集積回路製造技術が用いられるの
で省略するものとし、実質的な単結晶半導体層の形成方
法についてのみ説明を行った。 (実施例8)200ミクロンの厚みを持ったP型(10
0)Si基体表面にプロトンのイオン注入によって、N
型Si層を1ミクロン形成した。H+ 注入量は、5×1
15(ions/cm2 )であった。
【0162】この基体を50%のHF溶液中において陽
極化成を行った。この時の電流密度は、100mA/c
2 であった。また、この時の多孔質化速度は、8.4
μm/minであり、200ミクロンの厚みを持ったP
型(100)Si基体全体は、24分で多孔質化され
た。前述したようにこの陽極化成では、P型(100)
Si基体のみが多孔質化されN型Si層には変化がなか
った。
【0163】次に、このN型Si層の表面に1000オ
ングストロームの酸化層を形成し、その酸化表面に、表
面に5000オングストロームの酸化層を形成したもう
一方のSi基体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で800
℃、0.5時間過熱することにより、両者のSi基体
は、強固に接合された。
【0164】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと30%過酸化水素水との混合液(10:
6:50)で撹はんすることなく選択エッチングした。
65分後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに
残り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多
孔質Si基体は選択エッチングされ、完全に除去され
た。
【0165】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも50オ
ングストローム以下程度であり、多孔質層のエッチング
速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層に
おけるエッチング量(数十オングストローム)は実用上
無視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロン
の厚みをもった多孔質化されたSi基体は、除去され、
SiO2 上に1.0μmの厚みを持った単結晶Si層が
形成できた。
【0166】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。上記単結晶シ
リコン層に所望の厚さのエピタキシャルSiを成長させ
た後、パワートランジスタとして、絶縁ゲート型電界効
果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、あるいは絶
縁ゲート型バイポーラトランジスタを作製し、さらに、
その集積回路を作製した。なお、各トランジスタの製造
方法については公知の集積回路製造技術が用いられるの
で省略するものとし、実質的な単結晶半導体層の形成方
法についてのみ説明を行った。 (実施例9)500ミクロンの厚みを持ったP型(10
0)単結晶Si基体を50%のHF溶液中において陽極
化成を行った。この時の電流密度は、10mA/cm2
であった。10分で表面に20ミクロンの厚みを持った
多孔質層が形成された。
【0167】次に、該P型(100)多孔質Si基体上
に減圧CVD法により、Siエピタキシャル層を0.5
ミクロン低温成長させた。堆積条件は、以下のとおりで
ある。
【0168】ガス:SiH2 Cl2 (0.6 l/mi
n) H2 (100 l/min) 温度:850℃ 圧力:50Torr 成長速度:0.1μm/min 次に、このエピタキシャル層の表面を50nm熱酸化し
た。該熱酸化膜上に0.8ミクロンの酸化層を表面に有
するシリコン基体を重ねあわせ、酸素雰囲気中で900
℃、1.5時間過熱することにより、両者の基体は、強
固に接合された。
【0169】その後、シリコン基体の裏面から490ミ
クロン研磨により除去して多孔質を表出させた。
【0170】プラズマCVD法によってSi34
0.1μm堆積して、貼り合わせた2枚の基体を被覆し
て、多孔質基体上の窒化膜のみを反応性イオンエッチン
グによって除去した。
【0171】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと過酸化水素水との混合液(10:6:5
0)で撹はんすることなく選択エッチングした。15分
後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに残り、
単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多孔質S
i層は選択エッチングされ、完全に除去された。
【0172】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、15分後でも40オ
ングストローム弱程度であり、多孔質層のエッチング速
度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層にお
けるエッチング量(数オングストローム)は実用上無視
できる膜厚減少である。Si34 層を除去した後に
は、絶縁層を表面に有するシリコン基体上に0.5μm
の厚みを持った単結晶Si層が形成できた。
【0173】また、Si34 層の代わりに、アピエゾ
ンワックス、或いは、エレクトロンワックスを被覆した
場合にも同様の効果があり、多孔質化されたSi層のみ
を完全に除去しえる。
【0174】上記単結晶シリコン層に所望の厚さのエピ
タキシャルSiを成長させた後、パワートランジスタと
して、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラ
トランジスタ、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトラン
ジスタを作製し、さらに、その集積回路を作製した。な
お、各トランジスタの製造方法については公知の集積回
路製造技術が用いられるので省略するものとし、実質的
な単結晶半導体層の形成方法についてのみ説明を行っ
た。 (実施例10)200ミクロンの厚みを持ったP型(1
00)Si基体上にCVD法により、Siエピタキシャ
ル層を1ミクロン成長させた。堆積条件は、以下のとお
りである。
【0175】 反応ガス流量:SiH2 Cl2 1000SCCM H2 230 l/min. 温度:1080℃ 圧力:80Torr 時間:2min この基体を50%のHF溶液中において陽極化成を行っ
た。この時の電流密度は、100mA/cm2 であっ
た。又、この時の多孔質化速度は8.4μm/min.
であり、200ミクロンの厚みを持ったP型(100)
Si基体全体は、24分で多孔質化された。前述したよ
うに、この陽極化成では、P型(100)Si基体のみ
が多孔質化され、Siエピタキシャル層には変化がなか
った。
【0176】次に、このエピタキシャル層の表面に0.
8ミクロンの酸化層を表面に有するシリコン基体を重ね
あわせ、酸素雰囲気中で900℃、1.5時間過熱する
ことにより、両者の基体は、強固に接合された。次にプ
ラズマCVD法によってSi34 を0.1μm堆積し
て、貼り合わせた2枚の基体を被覆して、多孔質基体上
の窒化膜のみを反応性イオンエッチングによって除去し
た。
【0177】その後、該貼り合わせた基体を49%弗酸
とアルコールと過酸化水素水との混合液(10:6:5
0)で撹はんすることなく選択エッチングした。65分
後には、単結晶Si層だけがエッチングされずに残り、
単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多孔質S
i基体は選択エッチングされ、完全に除去された。
【0178】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は極めて低く、65分後でも40オ
ングストローム弱程度であり、多孔質層のエッチング速
度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質層にお
けるエッチング量(数十オングストローム)は実用上無
視できる膜厚減少である。すなわち、200ミクロンの
厚みをもった多孔質化されたSi基体は除去され、Si
34 層を除去した後には、絶縁性基体上に1μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。
【0179】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。上記単結晶シ
リコン層に所望の厚さのエピタキシャルSiを成長させ
た後、パワートランジスタとして、絶縁ゲート型電界効
果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、あるいは絶
縁ゲート型バイポーラトランジスタを作製し、さらに、
その集積回路を作製した。なお、各トランジスタの製造
方法については公知の集積回路製造技術が用いられるの
で省略するものとし、実質的な単結晶半導体層の形成方
法についてのみ説明を行った。
【0180】なお、本発明のパワートランジスタとして
は、上記に示したものに限定されるものではない。
【0181】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による半導
体装置は、多孔質基体を選択的に湿式化学エッチングに
より除去し、単結晶Si層を絶縁性基体上に転移させる
ことにより、絶縁性基体上に良質なる単結晶層を作製す
ることによって、高性能のパワートランジスタが作製さ
れる。そのため、絶縁性基体に、高耐圧でラッチアップ
現象等のない集積回路を、低価格で提供することが可能
となる。また、完全に誘電体分離が可能であるため、低
耐圧CMOSトランジスタと同一基体上に作製でき、イ
ンテリジェント・パワーICを作製することが可能とな
る。
【0182】本発明によれば、元々良質な単結晶Si基
体を出発材料として、単結晶層を表面がSiO2 である
絶縁性基体上に転移せるものであり、実施例にも詳細に
記述したように、多数処理を短時間に行なうことが可能
となり、その生産性と経済性にも多大の進歩がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絶縁ゲート型電界効果トランジスタの
模式的断面図である。
【図2】本発明の基体作製工程を説明するための模式的
断面図である。
【図3】本発明のバイポーラトランジスタの模式的断面
図である。
【図4】本発明の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
の模式的断面図である。
【図5】本発明の基体作製工程を説明するための模式的
断面図である。
【図6】エッチング液として、49%弗酸とアルコール
と30%過酸化水素水との混合液(10:6:50)を
用いた時の多孔質と非多孔質Siのエッチング特性図。
【図7】エッチング液として、49%弗酸を用いた時の
多孔質と非多孔質Siのエッチング特性図。
【図8】エッチング液として、49%弗酸と過酸化水素
水との混合液(1:5)を用いた時の多孔質と非多孔質
Siのエッチング特性図。
【図9】エッチング液として、49%弗酸とアルコール
との混合液(10:1)を用いた時の多孔質と非多孔質
Siのエッチング特性図。
【図10】エッチング液として、バッファード弗酸を用
いた時の多孔質と非多孔質Siのエッチング特性図。
【図11】エッチング液として、バッファード弗酸と過
酸化水素水との混合液(1:5)を用いた時の多孔質と
非多孔質Siのエッチング特性図。
【図12】エッチング液として、バッファード弗酸とア
ルコールとの混合液(10:1)を用いた時の多孔質と
非多孔質Siのエッチング特性図。
【図13】エッチング液として、バッファード弗酸とア
ルコールと過酸化水素水との混合液(10:6:50)
を用いた時の多孔質と非多孔質Siのエッチング特性
図。
【符号の説明】
101 絶縁性基体 102 単結晶層 103 エピタキシャル単結晶Si層 104 チャネル領域 105 ドリフト領域 106 ゲート絶縁膜 107 ゲート電極 108 ソース領域 109 ドレイン領域 110 ソース電極 111 ドレイン電極 201 多孔質Si基体 202 非多孔質Si単結晶層 203 酸化Si層 204 酸化Si層 205 Si基体 301 絶縁性基体 302 単結晶層 303 コレクタ領域 304 ベース領域 305 エミッタ領域 306 エミッタ電極 307 ベース電極 308 コレクタ電極 309 絶縁膜 401 絶縁性基体 402 単結晶層 403 N型単結晶Si層 404 チャネル領域 405 コレクタ領域 406 エミッタ領域 407 ゲート絶縁膜 408 ゲート電極 409 エミッタ電極 410 コレクタ電極 501 P型Si単結晶基体 502 N型Si単結晶層 503 多孔質Si基体 504 酸化Si層 505 酸化Si層 506 Si基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/336 29/784

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パワートランジスタを有する半導体装置
    において、 前記パワートランジスタは、絶縁物基体上に形成されて
    おり、 かつ、該パワートランジスタの、少なくともチャネル領
    域を構成する単結晶層は、多孔質化されたシリコン基体
    上の非多孔質単結晶層の表面を酸化して得られた酸化表
    面を、酸化層を表面に有する他のシリコン基体に貼り合
    わせた後、該貼り合わせた基体の前記多孔質化したシリ
    コン層を少なくとも湿式化学エッチングを含む工程によ
    り除去して得られた絶縁物基体上の単結晶半導体層であ
    ることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記非多孔質単結晶層の表面を、前記酸
    化層を表面に有する他のシリコン基体に貼り合わせたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記パワートランジスタは、N型チャネ
    ルの絶縁ゲート型電界効果トランジスタであることを特
    徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記パワートランジスタは、P型チャネ
    ルの絶縁ゲート型電界効果トランジスタであることを特
    徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記パワートランジスタは、npn型バ
    イポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記パワートランジスタは、pnp型バ
    イポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体装置。
  7. 【請求項7】 前記パワートランジスタは、N型チャネ
    ルの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタであることを
    特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  8. 【請求項8】 前記パワートランジスタは、P型チャネ
    ルの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタであることを
    特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の半導体装置を集積して
    形成した集積回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012138593A (ja) * 2005-10-24 2012-07-19 Infineon Technologies Austria Ag 電荷補償構造を有するパワー半導体素子の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6118172A (en) * 1995-09-04 2000-09-12 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha High-frequency circuit device and manufacturing method thereof
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