JPH0536423A - 熱電池の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】熱電池製作時における導火帯の脱落等を防止す
ることにより、電圧立ち上がりの安定した信頼性の高い
熱電池を得ることを目的とする。 【構成】シート状導火剤製造時にポリフロンまたはＣＭ
Ｃ等の水溶性ポリマーよりなる糊剤を添加し、所定寸法
に充填後、乾燥して導火帯を形成する工程を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱電池の改良に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】熱電池とは溶融塩を電解質とする電池
で、貯蔵中電解質が非電導性の固体塩であり、外部に電
力を供給し得ないが、電池に内蔵されている発熱体を燃
焼させることによって電解質が熱せられて電導性良好な
溶融状態になり、外部に電力を供給し得るようになるも
のである。

【０００３】熱電池の始動機構としては、点火玉を用い
た電気点火式と、撃発雷管を用いた撃鉄式などが実用化
されている。

【０００４】このような熱電池は次に示すような特長を
有しており、飛翔体用電源あるいは緊急用電源として実
用化されている。 (1) １０年以上の貯蔵が可能。 (2) カルシウム、マグネシウム、リチウムなどの活性度
の高い活物質を使用できるので大出力放電が可能。 (3) −５５〜＋７５℃という広範囲な温度範囲で使用可
能。 (4) 振動、衝撃に強い。

【０００５】一般的にリチウム系熱電池の構成は図３に
示すような構造になっている。同図において、起電部積
層体１は、素電池２と発熱体３を交互に積層して構成さ
れ、全体として所定の電圧を供給し得るように任意の数
の素電池２を直列に接続している。

【０００６】電池カバー５は、絶縁ガラス８を介して出
力端子６と点火端子７を備えている。点火端子７はリー
ド線９を介して点火玉４に接続されており、点火端子７
に所定の電流を印加すると、点火玉４が点火して火導孔
１４および導火帯１５を介して発熱体３を燃焼せしめ、
この発熱によって素電池２が作動して電力を外部に供給
し得る状態になる。

【０００７】出力端子６はリード線１０を介して起電部
積層体１に接続されている。１１は絶縁体、１２は断熱
体で各々マイカ、セラミック繊維などが使用される。１
３は電池ケースで電池カバー５と溶接され内部を密閉構
造としている。

【０００８】近年、熱電池の立ち上がりの迅速性の要求
が高まっており、点火玉や撃発雷管の火を迅速に、かつ
確実に起電部の発熱体に伝えるために起電部側面にジル
コニウム，クロム酸バリウムを主成分とするシート状導
火剤を耐熱テープで固定して導火帯として使用してい
る。

【０００９】図２は導火帯１５を設置する方法の一例を
示しており、通常２本の耐熱テープ１６を起電部積層体
１に十字に置き、４本の導火帯１５を、各々耐熱テープ
１６上で起電部積層体１の側面に相当する位置に置き、
この耐熱テープ１６を折り曲げ、起電部積層体１の上面
に回し固定している。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな導火帯は取扱上、 (1) 導火帯が製造中に脱落しやすい（これは耐熱テープ
を折り曲げ作業中または作業後に耐熱テープがたるむ等
により生じることが多い）。 (2) 導火帯と起電部積層体との接触状態が、均一な状態
を確保しにくい。 等の問題があり、熱電池作動時に発熱体への着火時間が
ばらつきを生じ易く、放電性能上、電圧立ち上がりが安
定せずに、遅れる場合があった。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の熱電池は、ジル
コニウム，クロム酸バリウムを主成分とするシート状導
火剤製造時にポリフロンまたはＣＭＣ（カルボキシメチ
ルセルロース）等の糊剤を添加して、乾燥して導火帯を
形成することを特徴とするものである。

【００１２】

【作用】本発明においては、導火剤製造時に、ポリフロ
ンまたはＣＭＣ（カルボキシメチルセルロース）等の糊
剤を導火剤に添加することにより、導火剤が糊剤に保持
され、製造中の脱落がなくなり、起電部積層体との接触
状態が良好にできるので、点火玉や撃発雷管の火を迅速
に、かつ確実に起電部の発熱体に伝えることができる。
この結果、放電性能上、電圧立ち上がりを安定させるこ
とができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する。

【００１４】図１は本発明による、導火帯１５の製造方
法の一例を示しており、少量の水に均一に分散させたジ
ルコニウム，クロム酸バリウムよりなる導火剤１００部
に、ポリフロンの糊剤５部を添加して、均一に分散させ
た後、所定寸法に充填後、８０℃で静置乾燥させて導火
帯を製作した。次いで、この導火帯を図２に示すように
起電部積層体に固定し、これを用いて熱電池を製作し
た。

【００１５】従来であれば、通常４本している導火帯の
内、最悪２本は脱落することがあり、又、起電部積層体
との接触状態が均一でないので電圧の立上り特製のバラ
ツキを生じていた。

【００１６】しかし、本発明においては導火帯の導火剤
は糊剤に保持されているので、導火帯１５の製造中の脱
落を防止することができ、導火帯と起電部積層体との接
触状態を均一な状態を確保することができるようになっ
た。

【００１７】なお、本実施例においては、導火剤として
ジルコニウム金属（還元剤）とクロム酸バリウム（酸化
剤）を用いた例をあげたが、水に対して安定な金属と酸
化剤であれば適用でき、又、糊剤としてポリフロンを使
用した場合を述べたが、ＣＭＣ（カルボキシメチルセル
ロース）等の水溶性ポリマーを用いても同様の効果を得
ることができる。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、従来
の熱電池と構造・製造工程等をほとんど変えることな
く、点火玉や撃発雷管の火を迅速、かつ確実に起電部の
発熱体に伝えることができるので、放電性能上、電圧立
ち上がりを安定させることができる高い信頼性を有する
熱電池を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による導火帯の製造方法を示す製造工程
図。

【図２】導火帯の設置方法の一例を示した図。

【図３】熱電池の構成を示した縦断面図である。

【符号の説明】

１ 起電部積層体 １５ 導火帯 １６ 耐熱テープ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】水に均一に分散させた水に対して安定な金
   属と酸化剤よりなる導火剤に、ポリフロンまたはカルボ
   キシメチルセルロース等の水溶性ポリマーよりなる糊剤
   を添加して、均一に分散させ、 所定寸法に充填後、乾燥させて導火帯を得る工程を有す
   る熱電池の製造方法。