JPH0536310B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、２軸延伸ブロー成形された合成樹脂
製の耐熱、耐圧壜容器に関するもので、特に耐圧
性を高めるために底部を半球殻状にした壜体に脚
部を提供するベースカツプを組付け固定して構成
される耐熱、耐圧壜容器の構造に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

炭酸飲料を収納する壜容器として２軸延伸成形
された合成樹脂製壜体が多数利用されるようにな
つているが、特にポリエチレンテレフタレート樹
脂製の２軸延伸成形壜体がその優れた多数の特性
により多量に使用されている。

この合成樹脂製耐圧壜容器の一つとして、より
少ない成形材料量で高い耐圧性を得るために、壜
体の底部を半球殻状に成形したものであるが、こ
の壜体は、その底部構造から明らかな如く、それ
自身での自立機能を持つていないので、脚部を提
供する有底筒形状をしたベースカツプを壜体の底
部に組付け固定して壜容器を構成していた。

また、この種の壜容器は、内容液注入充填時の
熱に対して充分な耐熱性を発揮することができる
ように、ヒートセツト等の手段により耐熱性が与
えられている。

一方、炭酸飲料の内、果汁分や乳成分、その他
の成分を混合する炭酸飲料（以下、混合炭酸飲料
と記す）は、壜容器内に充填収納して、その壜容
器を密封した後に、内容液の滅菌を達成するため
に、壜容器外表面に熱湯をシヤワー状にして供給
し、このシヤワー状となつた熱湯の熱により内容
液を加熱して滅菌を達成している。

〔発明が解決しようとする課題〕

このように、壜容器内に収納された混合炭酸飲
料の滅菌は、シヤワー状となつて壜体表面に供給
される熱湯の熱による加熱によつて達成されるも
のであるので、熱湯が壜体の表面に接触しない限
り良好な加熱、すなわち滅菌が達成されないこと
になる。

もちろん、シヤワー状となつた熱湯の接触しな
い壜体表面部分が上位に位置しているような場合
には、加熱された内容液の壜体内での対流現象に
よつて、この熱湯が接触しない表面部分に位置し
ていた内容液の加熱も達成され、他の部分と同等
の滅菌を達成することができるのであるが、熱湯
が接触しない表面部分が壜体の下位に位置する場
合には、内容液の加熱に伴う対流現象による加熱
を期待することができないので、その滅菌は全く
達成することができないことになる。

前記したベースカツプを組付け固定して構成さ
れた耐熱、耐圧壜容器の場合、壜体の底部がベー
スカツプに覆われてしまうので、供給される熱湯
が壜体の底部表面に接触することができず、これ
がため壜体の底部に位置する内容液の滅菌を達成
することができないので、この種の耐熱、耐圧壜
容器を混合炭酸飲料の収納容器として利用するこ
とが不可能となつていた。

しかしながら、前記した合成樹脂の耐熱、耐圧
壜容器は、数々の優れた液体収納容器としての特
性を有していることから、早急に混合炭酸飲料の
収納容器としての使用が可能であるようにする手
段の出現が強く望まれていた。

本発明は、上記した従来からの問題点を解消し
もつて従来からの強い要望に答えるべく創案され
たもので、供給される熱湯の壜体とベースカツプ
との間への壜体底部に接触しながらの侵入を可能
とし、もつて壜体内に収納された内容液全体の熱
湯による加熱を達成することができるようにする
ことを目的としたものである。

〔課題を解決するための手段〕

以下、本発明を、本発明の実施例を示す図面を
参照しながら説明する。

本発明による耐熱、耐圧壜容器は、合成樹脂製
の２軸延伸ブロー成形された壜体１の半球殻状に
突出した底部２に、脚部を提供する有底筒形状を
したベースカツプ４を組付け固定した耐熱、耐圧
壜容器であつて、ベースカツプ４の壜体１に対す
る組付け部分である上端開口部領域に、壜容器に
対して上方から落下供給される熱湯の、壜体１と
ベースカツプ４との間に形成される空間内への、
壜体１の底部２表面に接触しながらの侵入を可能
にする通口部８を開口形成すると共に、前記ベー
スカツプ４の底壁６に、ベースカツプ４内に侵入
した熱湯の排出口９を開口形成して構成されてい
る。

すなわち、ベースカツプ４は、底部２に対して
その上端開口部の内周面を底部２の外周面の上端
部にほぼ密接触させて壜体１に組付け固定されて
いるので、ベースカツプ４の上端開口部領域は壜
体１の外周面に最も接近位置した部分となつてい
るわけである。

このため、このベースカツプ４の上端開口部領
域に通口部８を開口形成すると、この通口部８を
通つて壜体１とベースカツプ４との間に形成され
る空間内に侵入する熱湯は、通口部８を通過した
途端に底部２の外周面に確実に接触することにな
るのである。

〔作用〕

本発明による壜容器は上記した如き構成となつ
ているので、壜体１の底部２にベースカツプ４を
組付け固定して構成された壜容器内に、内容液と
しての混合炭酸飲料を注入充填して収納し、この
壜容器をキヤツプ３によつて密封する。

内容液を密封収納した壜容器の滅菌操作は、こ
の内容液を密封収納した壜容器を一定速度で移動
させながら、この壜容器に上方から熱湯をシヤワ
ー状にして供給して壜容器の外表面に熱湯を接触
させ、この接触した熱湯の熱によつて壜容器を加
熱することによつて内容液を加熱し、もつて内容
液の加熱滅菌を達成するのである。

シヤワー状となつて壜容器表面に供給された熱
湯は、その大部分が壜体１の外周面に付着しなが
ら流下するが、この流下してきた熱湯は、ベース
カツプ４の上端開口部領域に形成された通口部８
を通つてベースカツプ４と壜体１との間に形成さ
れる空間内に侵入する。通口部８は壜体１の底部
２外周面間近に形成されているので、そのまま壜
体１の底部２表面に接触しながら流下し、もつて
底部２を加熱する。

このように、ベースカツプ４によつて覆われた
壜体１の底部の外周面には、通口部８を通つて侵
入して来た熱湯が接触して流下するので、底部２
は熱湯によつて加熱されることになり、もつて壜
体１の底部２に位置している内容液の加熱が達成
できるので、その滅菌も良好に達成することがで
きることになり、ベースカツプ４を組付けた耐
熱、耐圧壜容器の内容液に対する加熱による滅菌
を確実にかつ円滑にそして簡単に達成することが
できるものとなる。

壜体１の底部２とベースカツプ４との間の空間
内に侵入して内容液を加熱した熱湯は、ベースカ
ツプ４の底壁６に開口形成された排出孔９を通つ
て順次排出されることになるので、このベースカ
ツプ４内には常に新しい高温の熱湯が侵入供給さ
れることになる。

〔実施例〕

前記した如く、通口部８は、供給された熱湯が
壜体１とベースカツプ４との間に形成された空間
内に円滑に侵入することができると共に、侵入と
同時に底部２の外周面に接触する状態となるのが
望ましく、これがためその形成形態には工夫を必
要とする。

シヤワー状に供給された熱湯は、壜体１外周面
に付着しながら流下してくるので、通口部８とし
ては、この壜体１外周面に付着流下してくる熱湯
をそのまま底部２とベースカツプ４との間の空間
内に侵入させることができる構成であることが望
ましい。それゆえ、通口部８の最も簡単で基本的
な構成は、底部２外表面とベースカツプ４開口部
内表面との間に、流下してきた熱湯をそのまま侵
入させる間隙を設けることである。

通口部８としての間隙を底部２外表面とベース
カツプ４の開口部内表面との間に形成する手段と
しては、ベースカツプ４開口部内表面または底部
２外表面の一方または両方に多数の突起を設ける
とか、凹溝を設ける等の種々の手段があるが、第
２図および第３図にその手段の一例を示す。

第２図および第３図に示した実施例の場合、ベ
ースカツプ４の上端開口部の内周面に比較的横幅
のある凹凸を形成すべく、ベースカツプ４の周壁
５の上半部分の壁部分に周方向に沿つて一定間隔
で多数の突出壁部１０を形成し、この突出壁部１
０の形成によつて周壁５の内周面上半部分に多数
の縦溝１１を形成しておき、このように構成され
たベースカツプ４を壜体１に組付け固定した際
に、縦溝１１によつて、ベースカツプ４の上端開
口部領域である壜体１とベースカツプ４との間に
間隙を形成し、この間隙を通口部８としている。

この第２図および第３図図示実施例の場合は、
通口部８が上方に開口した姿勢となり、かつ壜体
１の外周面がこの通口部８の一部を形成している
ので、この通口部８を通つて壜体１とベースカツ
プ４との間に空間内に侵入した熱湯は、その侵入
時にすでに壜体１の外周面に接触した状態となつ
ており、これがため侵入した熱湯による底部２に
対する加熱は極めて確実にかつ良好にそして効果
的に達成されることになる。

また、第４図および第５図に示した実施例は、
通口部８の他の形成手段を示すもので、通口部８
は、ベースカツプ４の周壁５の壜体１に対する組
付け部分であるベースカツプ４の上端開口部領域
たる周壁５上端部分に多数の窓１２を開口形成
し、この窓１２を通口部８して機能させる構成と
なつている。

この第４図および第５図図示実施例の場合は、
供給された熱湯が、この通口部８を通過した後に
底部２外周面に接触することになるので、熱湯に
よる底部２に対する加熱程度は前記した第２図お
よび第３図図示実施例と比べてやや劣ることにな
るが、従来からのベースカツプにわずかな加工を
施すだけで簡単に実施することができる。

また、有底筒形状をしたベースカツプ４の底壁
６に数個の排出孔９が開孔されていて、壜体１と
ベースカツプ４との間の空間内に侵入した熱湯が
その自重により自然に排出するように構成されて
いるが、この排出孔９から排出される熱湯の単位
時間における排出量は、通口部８から空間内に単
位時間内に侵入する熱湯の侵入量よりもわずかに
少なくなるように設定しておくのが良い。

これは、ベースカツプ４内に侵入した熱湯をこ
のベースカツプ４内に滞留位置することができる
ようにすることによつて、底部２にこの熱湯が常
に接触するようにし、これによりより強力にかつ
効果的に底部２の加熱を達成することができるか
らである。

また、ベースカツプ４は、一般には、図示の如
く、壜体１との組付き固定強度を高めるために、
その底壁６の一部に底部２外周面に接触してホツ
トメルトにより接着される支え壁部分７が一体に
成形されているが、この支え壁部分７に囲まれた
底壁６部分にも熱湯が侵入位置するので、支え壁
部分７の外側の底壁６部分と同様に、支え壁部分
７に囲まれた底壁６部分にも排出孔９を開孔形成
しておくことが必要である。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかな如く、本発明による耐
熱、耐圧壜容器は、供給される熱湯を、ベースカ
ツプを被嵌した壜体の底部に対しても良好に接触
させることができるので、壜体の底部に対する熱
湯による加熱が確実にかつ円滑に達成でき、これ
によつて内容液のより確実なそして良好な滅菌を
達成することができ、また内容液の滅菌操作およ
び熱湯の供給操作は従来と全く同じで良いので、
滅菌作業が簡単であり、さらにベースカツプの構
造も簡単であるので実施が容易である等多くの優
れた効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の実施される耐熱、耐圧壜容
器の一部縦断した全体正面図である。第２図は、
本発明の一実施例を示すベースカツプの平面図で
あり、第３図は、第２図に示したベースカツプの
縦半断面した正面図である。第４図は、本発明の
他の実施例を示すベースカツプの平面図であり、
第５図は、第４図に示したベースカツプの縦半断
面した正面図である。 符号の説明、１；壜体、２；底部、４；ベース
カツプ、５；周壁、６；底壁、８；通口部、１
０；突出壁部、１１；縦溝、１２；窓。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 合成樹脂製の壜体の半球殻状に突出した底部
   に脚部を提供する有底筒形状をしたベースカツプ
   を組付け固定した耐熱、耐圧壜容器において、前
   記ベースカツプの前記壜体に対する組付け部分で
   ある上端開口部領域に、前記壜容器に対して上方
   から落下供給される熱湯の、前記壜体と前記ベー
   スカツプとの間に形成される空間内への、前記壜
   体底部表面に接触しながらの侵入を可能にする通
   口部を開口形成すると共に、前記ベースカツプの
   底壁に該ベースカツプ内に侵入した熱湯の排出口
   を開口形成して成る耐熱、耐圧壜容器。