JPH0535919B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、コーヒー、ココア等の粉末原料を
用い、機内で飲料を調合して販売に供するカツプ
式飲料自動販売機を対象としたコールド飲料の製
造方法に関する。

〔従来の技術〕

この種のカツプ飲料自動販売機として、機内に
原料撹拌用のミキシングボウルを装備し、このミ
キシングボウル内で粉末原料と液体とを撹拌して
調合した飲料を飲料ホースを通じてベンドステー
ジに搬出されたカツプ内へ注入するようにしたプ
レミキシング販売方式のものが従来より多く採用
されている。しかしながらこのプレミキシング販
売方式では、飲料がミキシングボウルと接触する
ために温度的な影響を受け易い他、飲料調合の際
にミキシングボウル内に付着残留した原料の滓に
細菌が繁殖する等の衛生上の問題がある。

そこでこのような衛生上の問題点を解消する方
式として、まずカツプ内に所定量の粉末原料を投
入し、しかる後にこの粉末原料入りカツプ内へ一
杯分の飲料仕上がり量に相応した所定量の湯、冷
水の液体および氷等を直接供給し、撹拌羽根等を
用いた撹拌機構をカツプ内に挿入して原料に撹拌
するか、あるいは原料撹拌機構を用いずに液体自
身の噴射圧およびカツプ内に注入された液体自身
の慣性による流動で原料を撹拌することにより、
カツプ内で飲料を調合するようにしたポストミキ
シング販売方式を提案されている。かかる販売方
式によればカツプ内で原料を直接撹拌して飲料を
調合するので、先記したミキシングボウル、およ
びこれに続く飲料ホース等が不要となり、これら
部材との接触による温度の影響、並びに原料澤の
残留に起因する衛生上の問題が解消できる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで上記した従来におけるポストミキシン
グ販売方式による飲料製造方法では次記のような
問題点が残る。すなわち原料撹拌工程で撹拌羽根
等の撹拌機構を用いてカツプ内の原料を撹拌する
方式では販売の都度、撹拌後にカツプ内から引き
上げた撹拌羽根の洗浄する必要があつて飲料製造
工程が複雑化する。

一方、カツプ内に噴射注入する液体自身で原料
撹拌を行う方法では撹拌機構の洗浄が不要となる
利点がある反面、この場合の飲料の撹拌性能は液
体の噴射圧、噴射流量等により大きく左右され
る。すなわち液体の噴射圧、流量が大であれば強
い撹拌力が得られるが、同時に飲料中に泡立ちが
多く発生するようになる。これは液体がカツプ内
の飲料面に突入する際に周囲より巻き込んだ空気
が泡を生成するものと考えられ、注入液体の噴射
圧が高い程カツプ内での空気巻き込み量も多く、
かつ飲料が高濃度である程泡の発生量が増大す
る。

これに対して液体の噴射圧、流量が小さければ
泡立ちが少なくなるものの撹拌力が弱まると言つ
た問題がある。しかも特にアイス入りコールド飲
料のように、カツプ内に供給した粉末原料にまず
少量の湯を加えて粉末原料を溶解させて濃厚な飲
料原液を調合し、次にカツプ内に氷を投入した上
でさらに希釈冷水を追加注入してコールドを調合
する場合には、注入液体の噴射圧が弱いとカツプ
内に浮かぶ氷が障害物となつて冷水注入による飲
料撹拌が充分に行えず、このために兎角カツプ内
の上層部分と下層部分との間に飲料の濃度差が生
じるようになる。

この発明は上記の点にかんがみ成されたもので
あり、その目的は粉末原料を用いた先記のポスト
ミキシング販売方式を対象に、衛生面で問題のあ
る撹拌羽根等のカツプ内に挿入する撹拌機構を用
いず、しかも泡立ちが少なく、かつ飲料を充分に
撹拌して均質な飲料が調合できるようにしたアイ
ス入りコールド飲料の製造方法を提供することに
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するために、この発明によれ
ばカツプ内へ所定量の粉末原料を投入する工程
と、該粉末原料入りカツプ内に粉末原料を溶解す
るに必要な量の湯を注入して飲料原液を調合する
工程と、カツプ内に氷を投入する工程と、しかる
後に所定量の希釈冷水を複数回に分けてカツプ内
へ間欠的に噴射注入する工程とを経てカツプ内で
アイス入りコールド飲料を調合するするようにし
たものである。

〔作用〕

上記のように希釈冷水の注入工程で冷水を複数
回に分けてカツプ内へ間欠的に噴射注入すること
により、注入液体の噴射圧、並びにそれに続く注
入液体の流れの慣性による飲料の撹拌動作が冷水
の分割注入回数だけ行われることになり、これに
より従来方法のように所定量の希釈冷水を１回の
注入動作で全量注入して撹拌する方法と比べて、
同じ冷水注入量ではるかに飲料の撹拌が効果的に
進行するようになる。しかも飲料の泡立ちに付い
ても冷水の注入を分割して間欠的に行うことによ
り、冷水注入の際に生じた泡は続く冷水注入の休
止期間中には新たな泡の発生がなく、かつ飲料の
慣性流動と飲料溶解の進行につれて消失するよう
になることから、従来のように希釈冷水を連続し
て注入する場合に比べてはるかに泡の発生を少な
く抑えることができる。なおこの点の効果に付い
ては発明者の実験からも確認されている。

〔実施例〕

第１図、第２図はこの発明の実施例によるコー
ル飲料製造工程のタイムチヤート、並びにその飲
料調合動作を、第３図はこの発明の実施対象とな
るカツプ式飲料自動販売機の機内構成を示すもの
である。

まず第３図において、１は自動販売機のキヤビ
ネツトであり、その前面扉（図示せず）には商品
取出口２が開口している。一方、キヤビネツト１
の庫内には前記の商品取出口２に通じる例えばコ
ンベア式のカツプ搬送機構３が装備されており、
かつこのカツプ搬送機構３の搬送経路途上に指定
した各ステーシヨンＡ〜Ｄの位置に対応してその
上方にはカツプ供給機構４、各種の粉末原料の収
容したキヤニスタ５の粉末原料シユータ６、ヒー
タ内蔵の温水タンク７よりポンプ８、湯循環用の
三方切換弁９を介して引出した給湯配管１０に接
続の温水ノズル１１、水リザーバ１２より送水ポ
ンプ１３、冷却コイル１４、給水弁１５、加圧ポ
ンプ１６を介して引出したた希釈冷水配管１７に
接続の冷水ノズル１８、および製氷機１９より引
出した氷シユータ２０が等が開口配備されてい
る。なお２１は前記冷却コイル１４を浸漬した冷
却水槽、２２は冷却水槽２１の水を冷却する冷凍
機である。

次に上記構成による飲料販売の基本動作を説明
すると、販売指令によりカツプ供給機構４から１
個宛の飲料カツプ２３がカツプ搬送機構３上のス
テーシヨンＡに搬出される。続くカツプ搬送工程
の途上、ステーシヨンＢでは指定された種類の粉
末原料がキヤニスタ５より粉末原料シユータ６を
通じてカツプ２３内に投入され、さらにステーシ
ヨンＣにて粉末原料入りカツプへ温水ノズル１１
より粉末原料を溶解するに必要な少量の湯が噴射
注入され、カツプ内で粉末原料を溶解して濃厚な
飲料原液を調合する。ここでホツト飲料を選択し
た場合には、温水ノズル１１を通じてさらに希釈
湯を追加注入して所定仕上がり量のホツト飲料を
調合した後にカツプ２３をステーシヨンＣからベ
ンドステージ２に臨むステーシヨンＥに搬送す
る。一方、コールド飲料を選択した場合には、ス
テーシヨンＣで給湯により粉末原料を溶解させた
後にカツプをステーシヨンＤに移送し、ここでカ
ツプ内に氷を投入し、続いて冷水ノズル１８より
希釈冷水を追加注入して所定仕上がり量のコール
ド飲料を調合し、最後に飲料入りカツプをステー
シヨンＥに搬出して一連の販売動作が終了する。
なおこれら一連の販売動作は図示されてない運転
制御装置からの指令でプログラム制御される。

ところでこの発明により、特にコールド飲料を
選択した場合には第１図に示した製造工程のタイ
ムチヤートにしたがつてアイス入りコールド飲料
が調合される。すなわちステーシヨンＤで氷を投
入するまでは前記の説明と同様であるが、続く希
釈冷水の注入工程では１回で希釈冷水の全量を注
入ぜず、所定量の希釈冷水を複数回（実施例では
２回）に分割した上で間欠的にカツプ内へ注入す
る。また第１図のタイムチヤートに対応する各工
程での飲料調合動作を第２図に示す。すなわち粉
末原料を湯で溶解した飲料原液入りのカツプヘス
テーシヨンＤで氷を投入した後に、まず第１回目
の冷水が冷水ノズル１７を通じてカツプ２３内へ
噴射注入され、ここで所定の時間ｔだけ休止した
後に続いて第２回目の冷水がカツプ内へ噴出注入
される。

このように冷水の注入工程を複数回に分けて行
うことにより、冷水の噴射注入圧による氷を含め
た飲料の撹拌、および噴射注入後に続く慣性流動
によるカツプ内での飲料撹拌動作が冷水注入の分
割回数分だけ交互に行われるようになる。したが
つて所定量の希釈冷水を１回の注入動作で全量供
給する場合と比べてカツプ内での飲料の撹拌性が
高まることになり、カツプ内の上層部と下層部と
の間で濃度差のない均質なコールド飲料を得るこ
とができるようになる。また冷水の噴射注入、特
に濃度の高い飲料原液の入つている１回目の冷水
注入に伴つてカツプ内の飲料にはある程度の泡が
発生するが、この際の冷水噴射注入時間、および
その流量は少ないので泡の成長、増量も少ない。
しかもこの冷水注入に続く注水休止期間中には新
たな泡の発生がなく、かつ注入後の慣性による飲
料の流動、飲料濃度の薄まりで泡が次第に消失す
るようになる。これによりカツプがステーシヨン
Ｅに到達した段階ではカツプ中の泡は殆ど消失す
るようになる。

なお図示実施例ではカツプへ粉末原料を投入し
た後に湯を注入するようにしているが、粉末原料
の供給工程で粉末原料がカツプ外へ飛散するのを
防止すに手段として、粉末原料の供給に先立つて
僅かな量の湯をカツプ内に注入してカツプ内に溜
めて置くことにより、ここに供給される粉末原料
がカツプ周囲に飛散するのを防止するとともに、
併せて次の湯注入工程で粉末原料の溶解性を高め
ることができる。

〔発明の効果〕

以上述べたようにこの発明によれば、カツプ内
へ所定量の粉末原料を投入する工程と、該粉末原
料入りカツプ内に粉末原料を溶解するに必要な量
の湯を注入して飲料原液を調合する工程と、カツ
プ内に氷を投入する工程と、しかる後に所定量の
希釈冷水を複数回に分けてカツプ内へ間欠的に噴
射注入する工程とを経てカツプ内でコールド飲料
を調合するするようにしたことにより、まずミキ
シングボウル、撹拌羽根等を一切使用することな
なく、カツプ内で飲料の直接撹拌が行えて衛生面
での問題解消を図りつつ、さらに希釈冷水の噴射
注入を複数回に分けて間欠的に注入することによ
り、飲料の撹拌性能の改善、並びに泡の発生を良
好に防止して良質なコールド飲料を調合して販売
に供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例によるコールド飲料の製
造工程を表すタイムチヤート、第２図は第１図の
タイムチヤートに対応したカツプ内での飲料調合
動作図、第３図はカツプ式飲料自動販売機の機内
構成配置図である。各図において、 ２：商品取出口、３：カツプ搬送機構、４：カ
ツプ供給機構、５：粉末原料のキヤニスタ、６：
粉末原料シユータ、７：温水タンク、１０：温水
ノズル、１４：水冷却コイル、１６：冷水加圧ポ
ンプ、１８：冷水ノズル、１９：製氷機、２０：
氷シユータ、２３：飲料カツプ、Ａ〜Ｅ：カツプ
搬送機構のステーシヨン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 粉末原料を用い、機内でコールド飲料を調合
   して販売に供するカツプ式飲料自動販売機の飲料
   製造方法であつて、カツプ内へ所定量の粉末原料
   を投入する工程と、該粉末原料入りカツプ内に粉
   末原料を溶解するに必要な量の湯を注入して飲料
   原液を調合する工程と、カツプ内に氷を投入する
   工程と、しかる後に所定量の希釈冷水を複数回に
   分けてカツプ内へ間欠的に噴射注入する工程とを
   経てカツプ内でコールド飲料を調合することを特
   徴とするカツプ式飲料自動販売機のコールド飲料
   製造方法。