JPH0535241Y2

JPH0535241Y2 -

Info

Publication number: JPH0535241Y2
Application number: JP1027188U
Authority: JP
Priority date: 1988-01-28
Filing date: 1988-01-28
Publication date: 1993-09-07
Anticipated expiration: 2003-01-28
Also published as: JPH01115063U

Description

【考案の詳細な説明】考案の技術分野本考案は、例えば超高真空機器用ないし原子力
機器用の管継手部などのシール用として用いられ
る金属中空Ｏリングに係り、特にフラツトなフラ
ンジ面に装着される金属中空Ｏリング組立体に関
する。

考案の技術的背景ならびにその問題点特に原子力機器関連の管継手部には、気密性が
高く、また、ガス透過の問題もない金属中空Ｏリ
ングが使用されている。この金属中空Ｏリングは
管継手部（例えば、フランジ部）に形成されたＯ
リング溝に装着して、両端フランジ部を相互に締
付けることによつて内部流体をシールするもので
ある。

このような金属中空Ｏリングには、中空リング
状に成形された金属外被自身のみから成るタイプ
と、第８図に示すように、中空リング状に成形さ
れた金属外被２内にリング状の弾性部材としての
金属コイルスプリング１等を内在させたタイプと
がある。金属外被自身のみから成るタイプの金属
中空Ｏリングにあつては、弾力性が不足し、シー
ル性が低下する虞があることから、金属外被２内
に弾性部材としてのコイルスプリング１を内在さ
せたタイプの金属中空Ｏリング３が原子力機器用
等として多用されている。

このような金属中空Ｏリング３は、その取付個
所の状態によつても２つに分類され、第９図に示
すような管継手部（たとえば、フランジ部４）の
フランジ面４ａにＯリング溝５が形成されたもの
に装着する場合と、このようなＯリング溝５のな
いフラツトなフランジ面間で挟示する場合とがあ
る。

特に、後者のようなＯリング溝５のないフラツ
トなフランジ面相互間に金属中空Ｏリング３を取
付ける場合には、一般に、このＯリング３を嵌挿
する嵌挿孔が開設されたリテーナを用い、このリ
テーナにＯリング３を取付けて、フランジ面間に
介装するようにしている。つまり、リテーナにＯ
リング３を取付けることにより、Ｏリング３の保
持、位置決め、補強等の役割をリテーナに発揮さ
せ、Ｏリング３のフランジ面間への装着を容易に
している。

しかし、フランジ部４におけるフラツトなフラ
ンジ面が鉛直下方もしくは水平方向を向いている
場合には、取付作業時に、Ｏリング３及びリテー
ナがフランジ面から脱落する虞があり、装着作業
が困難なことは否めない。また、Ｏリング３をリ
テーナに取付けた状態で、フランジ面へ移送する
際、もしくはフランジ面間への取付け時に、Ｏリ
ング３とリテーナとが分離してしまい、Ｏリング
３をフラツトなフランジ面間の正規位置に装着で
きない虞があつた。そこで、Ｏリング３とリテー
ナとの接着性を良くするために、ペーストをＯリ
ング３に塗布することもあるが、真空中にペース
トがさらされると、これが揮発して真空度が低下
するという不都合もある。

特に、原子力機器用のフランジ４に金属中空Ｏ
リング３を装着する場合には、安全性の観点か
ら、このＯリング３をロボツトハンド等により把
持しつつ装着するため、その装着作業が特に煩雑
であり、このＯリング３をフラツトなフランジ面
へ迅速かつ的確に装着することは困難であつた。

考案の目的本考案は、このような従来技術に伴う不都合を
解消するためになされたものであり、特に原子力
機器用、あるいは超高真空機器用の管継手部など
のシール部に使用する金属中空Ｏリングにおい
て、金属中空Ｏリングの装着が困難な場所におい
ても、正しい位置に迅速かつ容易に上記Ｏリング
を装着できる金属中空Ｏリング組立体を提供する
ことを目的としている。

考案の概要かかる目的を達成するために、本考案は、周方
向に連続した開口部が外周もしくは内周に連続し
た金属外被及び、この金属外被の内部に収容さ
れ、この金属外被の弾力性を向上させる弾性部材
からなる金属中空Ｏリングと、この金属中空Ｏリ
ングがその内周もしくは外周に装着されるリテー
ナとを有し、該リテーナに前記金属中空Ｏリング
を嵌挿してフラツトなフランジ面間に介装する金
属中空Ｏリングにおいて、前記金属外被の開口部に、周方向一部に不連続
部を有し弾力性を有する多角形状の線材から成る
リング部材を嵌合し、該リング部材の角部もしく
は直線部を前記リテーナの内周壁もしくは外周壁
に形成した凹部に係合して、前記金属中空Ｏリン
グをリテーナに取付けるようにしたことを特徴と
している。

このような金属中空Ｏリング組立体にあつて
は、金属中空Ｏリングをリテーナに装着する際
に、リング部材の角部が直線部がリテーナの内周
壁凹部もしくは外周壁凹部に弾発的に係合するた
め、いつたんリテーナにこの金属中空Ｏリングが
装着されると、たとえリテーナをＯリングと共に
ロボツトハンド等で移送する際にも脱落すること
がない。しかも、このようなリング部材の係合に
よつて、この金属中空Ｏリングとリテーナとの位
置決めが、金属中空Ｏリングの装着と同時に容易
かつ正確に行い得る。その結果、フランジ面間の
正規位置にこの金属中空Ｏリングを位置させるこ
とができる。また、このようなリング部材を金属
外被ないしリテーナに装着する際には、金属外被
の開口部ないしリテーナの凹部に単に嵌合するだ
けで良いので、その組立工程が楽である。さら
に、金属外被の開口部に嵌合されるリング部材は
周方向一部に不連続を有する弾力性がある多角形
状をしており、内周壁もしくは外周壁の凹部に接
触するようになつているため、金属中空Ｏリング
をリテーナに装着する際に、リング部材が邪魔に
なることなくスムーズに収縮ないし拡開する。し
たがつて、この金属中空Ｏリングをリテーナにス
ムーズに装着することができる。

また、リング部材をステンレス製バネ鋼材等の
金属製の弾性部材から成る線材で成形した場合に
は、この材質が放射線により劣化することもな
く、高温でも変質することがないと共に、腐食ガ
ス雰囲気中でも耐腐食性を有することから、原子
力機器もしくは超高真空機器のシール用として用
いた場合に特に好ましい。

考案の具体的説明以下、本考案を図面に示す実施例に基づき詳細
に説明する。

第１図は本考案の一実施例に係る金属中空Ｏリ
ング組立体の取付状態を示す分解断面図、第２図
は第１図の−線に沿う矢視図、第３図は第１
図に示すリング部材の平面図、第４図は同実施例
に係る金属中空Ｏリングの要部断面正面図であ
る。

第１〜４図に示すように、本考案の一実施例に
係る金属中空Ｏリング１０は、周方向に連続した
開口部１１が外周側に形成され、横断面が略Ｃ字
形状を有する周方向に連続した金属製の金属外被
２と、この金属外被２の内部に収容される弾性部
材としての金属コイルスプリング１とからなつて
いる。

一方、この金属中空Ｏリング１０は、中央に大
きな嵌挿孔１４が開設された環状プレートとして
のリテーナＲに嵌着される。

つまり、このリテーナＲの嵌挿孔１４の内周壁
１４ａに凹部１５を形成し、この凹部１５に後述
するリング部材１３を係合し、このリング部材１
３により金属中空Ｏリング１０をリテーナＲに取
付けるようにしている。

第１〜４図に示す実施例では、金属外被２は相
手部材とのなじみ性を考慮した単一の軟質金属材
で断面略Ｃ字形状に成形されるが、本考案はこれ
に限らず、第５図に示すように、金属外被２ａを
軟質金属材１４と硬質金属材１５とを積層してな
る金属クラツド材で構成しても良い。ここで、金
属クラツド材とは地金の表または裏に被覆金属板
を密着させ、高温圧延して成形される２種以上の
金属複合体である。そしてこの金属複合体の異種
金属材料が金属結合で一体化している。金属クラ
ツド材は、各種金属の複合化ができるが、本実施
例で用いる金属クラツド材にあつては、表面層側
を軟質金属材P₁で構成し、裏面層側を硬質金属
材P₂で構成し、しかも好ましくは軟質金属材P₁
の厚さを0.05〜1.00mmにする。このように表面層
側に軟質金属材P₁を配置するのは、相手金属の
シール面に良好ななじみ性を付与し、安定したシ
ール性を実現するためであり、裏面層側に硬質金
属材P₂を配置するのは、コイルスプリングのく
い込みを抑制し、もつてコイルスプリングのピツ
チ間における応力低下を防止し、確実にコイルス
プリングの反撥力を表面層に伝えるためである。

具体的には、軟質金属材P₁としては、アルミ
ニウム、銅、銀などの比較的軟質の金属材を選択
し、また硬質金属材P₂としては、ステンレス、
インコネル、モネル、ニツケル合金など比較的硬
質の金属材を選択する。

本実施例で用いるクラツド材としては、上述し
たように、通常２層のクラツド材（シングルオー
バーレス）を使用するが、この他に３層（ダブル
オーバーレイ）またはこれ以上の層で複合してい
てもよい。ただし、この場合、最表面層側の金属
材は、裏面層側の金属材の少なくとも１層より軟
質金属であることを条件とする。

次に金属外被２，２ａ内に収容される弾性部材
について説明する。弾性部材としては、第１，４
図に示すような断面円形の金属製コイルスプリン
グ１が好ましい。金属製であれば、放射線により
劣化することなく、耐熱性ないし耐腐食性に優れ
ているからである。なお、本考案にあつては、金
属外被２内に収容される弾性部材としては断面円
形のコイルスプリング１に限らず、その他の断面
形状のコイルスプリングであつても良いし、また
はコイルスプリング以外の弾性部材であつても良
い。このようなコイルスプリング１等の弾性部材
は、金属外被２の内周側に圧接するので、金属外
被２の弾力性を向上させると共に、金属外被２の
開口部１１に嵌合されるリング部材の内周側にも
圧接するので、このリング部材の弾力性をも向上
させる。

次にリング部材１３について説明する。リング
部材１３は、弾力性を有する線材を第３図に示す
ように、角部１３ａが少なくとも４個以上形成さ
れた多角形のリング状に折曲し、その周方向に不
連続部１２が形成されるように成形してある。角
部１３ａの数は、たとえば第３図に示すように10
個程度が良いが、これに限定されない。リング部
材１３の材質としては、ステンレス製バネ鋼材等
の金属が好ましいが、その他の弾力性を有する材
質であつても良い。金属製が好ましいのは、放射
線により劣化することなく、耐熱製ないし耐腐食
製に優れているからである。しかしながら、使用
用途に耐え得る材質であれば、リング部材１３の
材質として合成樹脂等を用いることもできる。

さらに、前記リテーナＲは、第１，２図に示す
ように、前記金属外被２の外径よりも薄肉で、両
フランジ面４ａ，４ａ間で金属外被２が変形する
際のつぶし代を考慮した肉厚となつている。この
リテーナＲの中心に開設された嵌挿孔１４の内周
壁１４ａには、この内周壁１４ａに沿つて凹部１
５が形成されている。

前記金属中空Ｏリング１０をリテーナＲに取付
けるには、リング部材１３を介して行われるが、
この場合、前記リング部材１３の不連続部１２の
端部を相互に近づけるようにして、このリング部
材１３の外径寸法を小さくして、前記嵌挿孔１４
の凹部１５にリング部材１３を嵌着させる。リン
グ部材１３をリテーナＲの凹部１５に嵌着させる
時期は、リング部材１３を金属外被２に嵌着させ
た後でもその前でも良い。リング部材１３を単独
でリテーナＲの凹部１５に嵌着させた場合には、
その後金属中空Ｏリング１０をリテーナＲの嵌挿
孔１４内に嵌着する。

これにより、リング部材１３の角部１３ａが嵌
挿孔１４の内周壁凹部１５に、それ自身の弾性力
とコイルスプリング１の弾性力とによつて弾撥的
に当接すると共に、リング部材１３の線状部分が
金属外被２の開口部１１に係合する。したがつ
て、リテーナＲと金属中空リング１０とは、リン
グ部材１３を介して連結され、たとえリテーナＲ
が鉛直方向下方に向いても、金属中空Ｏリング１
０がリテーナＲから脱落することはない。

しかも、このようなリング部材１３の当接によ
つて、この金属中空Ｏリング１０のリテーナＲに
おける嵌挿孔１４内に対する位置決めが、金属中
空Ｏリング１０の装着と同時に容易かつ正確に行
い得る。また、このようなリング部材１３を金属
外被２ないしリテーナＲに装着する際には、金属
外被２の開口部１１ないしリテーナＲの凹部１５
に単に嵌合するだけで良いので、その組立工程が
楽である。さらに、金属外被２の開口部１１に嵌
合されるリング部材１３は周方向一部に不連続部
１２を有する弾力性がある多角形状をしており、
しかも嵌挿孔１４の内周壁に点接触するようにな
つているため、金属中空Ｏリング１０を嵌挿孔１
４内に装着する際に、リング部材１３が邪魔にな
ることなくスムーズに収縮ないし拡開する。した
がつて、この金属中空Ｏリング１０を嵌挿孔１４
内にスムーズに装着することができる。

また、リング部材１３を、バネ鋼材等の金属製
の弾性部材から成る線材で成形した場合には、こ
の材質が放射線により劣化することもなく、高温
でも変質することがないと共に、腐食ガス雰囲気
中でも耐腐食性を有することから、原子力機器も
しくは超高真空機器のシール用として用いた場合
に特に都合が良い。

なお、金属中空Ｏリング１０の全体形状は第２
図に示すような略真円リング形状に限らず、楕円
形状であつても良いし、第６図に示すような長方
形リング形状であつても良い。

第６図に示す金属中空Ｏリング１０ａにあつて
は、長方形リング形状に周方向に連続した金属外
被２ｂの外周側に周方向に連続して形成された開
口部に、多数の角部１６と一個の不連続部１２と
を周方向に有する多角リング形状の線材から成る
リング部材１３ａを嵌合してある。特に本実施例
では、金属外被２ｂにおける角部１８に位置する
リング部材１３ａにおける角部１６の形成個数を
多くしてある。これによつて、金属中空Ｏリング
１０ａがＯリング溝から脱落するのを有効に防止
している。このような実施例では、リテーナＲに
おける嵌挿孔１４の形状を、このＯリング１０ａ
形状に合わせる必要がある。

また、本考案によれば、第７図に示すように、
周方向に連続した開口部１１が内周側に形成され
た金属中空Ｏリング１０ａを用い、この開口部１
１に、前述したようなリング部材１３を嵌合し、
このリング部材１３の直線部を、リテーナRaの
外周壁に形成した凹部１５に係合させて、金属中
空Ｏリング１０ａをリテーナRaに取り付けるよ
うにして、金属中空Ｏリング組立体を構成するよ
うにしても良い。この実施例の場合にも、上述し
た実施例と同様な作用効果を奏すると共に、特に
フランジ外部からフランジ内部への流体の漏洩を
確実に防止できる。

考案の効果以上説明してきたように、本考案によれば、金
属外被の開口部に、周方向一部に不連続部を有し
弾力性を有する多角形状の線材から成るリング部
材を嵌合し、このリング部材を介してリテーナと
Ｏリングとを連結するようにしたので、特に原子
力機器用、あるいは超高真空機器用の管継手部な
どのシール用として用いる場合に、金属中空Ｏリ
ングの装着が困難な場所においても、正しい位置
に迅速かつ容易に本考案に係る金属中空Ｏリング
組立体を装着できる。

しかも、そのような金属中空Ｏリング組立体の
組立もきわめて容易であるという優れた効果を奏
する。

また、金属中空Ｏリングを交換する場合には、
リテーナ及びリング部材は再使用でき、コスト的
にも有利となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る金属中空Ｏリ
ングの取付状態を示す分解断面図、第２図は第１
図の−線に沿う矢視図、第３図は第１図に示
すリング部材の正面図、第４図は同実施例に係る
金属中空Ｏリングの要部断面正面図、第５図は本
考案の他の実施例に係る金属中空Ｏリングの要部
断面図、第６図は本考案の他の実施例に係る金属
中空Ｏリングの正面図、第７図は本考案のさらに
その他の実施例に係る金属中空Ｏリング組立体の
取付状態を示す分解断面図、第８図は従来の金属
中空Ｏリングの要部断面正面図、第９図は同従来
例に係るＯリングの取付状態の一例を示す断面図
である。１……弾性部材、２……金属外被、１０，１０
ａ……金属中空Ｏリング、１１……開口部、１３
……リング部材、１３ａ……角部、１４……嵌挿
孔、１４ａ……内周壁、１５……凹部、Ｒ，Ra
……リテーナ。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】１）周方向に連続した開口部が外周に形成さ
れ、横断面が略Ｃ字形状を有する周方向に連続
した金属外被及び、この金属外被の内部に収容
され、この金属外被の弾力性を向上させる弾性
部材からなる金属中空Ｏリングと、この金属中
空Ｏリングが装着される嵌挿孔が開設されたリ
テーナとを有し、該リテーナに前記金属中空Ｏ
リングを装着してフラツトなフランジ面間に介
装する金属中空Ｏリング組立体において、前記金属外被の開口部に、周方向一部に不連
続部を有し弾力性を有する多角形状の線材から
成るリング部材を嵌合し、該リング部材の角部
を前記リテーナの嵌挿孔内周壁に形成した凹部
に係合して、前記金属中空Ｏリングをリテーナ
に取付けるようにしたことを特徴とする金属中
空Ｏリング組立体。２）周方向に連続した開口部が内周に形成さ
れ、横断面が略Ｃ字形状を有する周方向に連続
した金属外被及び、この金属外被の内部に収容
され、この金属外被の弾力性を向上させる弾性
部材からなる金属中空Ｏリングと、この金属中
空Ｏリングの内周側に装着されるリテーナとを
有し、該リテーナに前記金属中空Ｏリングを装
着してフラツトなフランジ面間に介装する金属
中空Ｏリング組立体において、前記金属外被の開口部に、周方向一部に不連
続部を有し弾力性を有する多角形状の線材から
成るリング部材を嵌合し、該リング部材の直線
部を前記リテーナの外周壁に形成した凹部に係
合して、前記金属中空Ｏリングをリテーナに取
付けるようにしたことを特徴とする金属中空Ｏ
リング組立体。