JPH0535037Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、車両の荷台用壁等における中空パ
ネルの結合装置、とりわけボルトレス結合装置に
関するものである。

従来の技術 従来、例えば中空アルミニウム押出型材製の中
空パネルが所要枚重ね合わせられて、凹凸嵌合に
より相互に結合されたトラツク等車両の荷台用壁
（アオリ）は既に知られている（例えば実開昭51
−14420号および実開昭56−8585号参照）が、す
べての中空パネルは連結ボルトとナツトにより結
合されていた。

考案が解決しようとする課題 しかし、このような従来の車両の荷台用壁で
は、中空パネルにボルト挿通孔をあける必要があ
るとともに、中空パネルのボルト締め工数がかゝ
り、中空パネルの結合作業が非常に面倒であり、
かつ荷台用壁の重量が重くなるという問題があつ
た。

そこで上記の問題を解決するため、従来、ボル
トを使用することなく、連結ピンを用いて中空パ
ネルを結合した車両の荷台用壁が提案された（例
えば実開昭56−122688号参照）。

しかしながら、この従来の荷台用壁によれば、
上下に隣り合う中空パネル同志をその一方の中空
パネルを他方の中空パネルの縁部を中心に回転さ
せるようにして嵌め合わせたのち、連結ピンを用
いて結合していたゝめ、非常に作業性が悪いとい
う問題があり、またこのような回転嵌合方法を利
用するため、従来は中空パネルを構成する押出型
材の断面形状が複雑になるという問題があつた。

また従来、中空アルミニウム押出型材製の中空
パネルに蓋板（バツクプレート）を連結ピンを用
いて結合した車両の荷台用壁が提案された（例え
ば実開昭56−139680号および実開昭56−135370号
参照）。

しかしながら、この従来の荷台用壁では、いず
れも蓋板をその一側縁部を中心に回転させるよう
にして嵌め合わせたのち、連結ピンを用いて結合
しており、従つて作業性が悪いし、また回転嵌合
方法を利用するため、蓋板を構成する押出型材の
断面形状が複雑になるという問題があつた。

しかも前者の実開昭56−139680号の荷台用壁に
よれば、所要数の中空パネル同志は連結ボルトと
ナツトにより結合されており、従つて中空パネル
の結合作業が非常に面倒で、かつ荷台用壁の重量
が重くなるという問題があるし、後者の実開昭56
−135370号の荷台用壁では、これが中空アルミニ
ウム押出型材製の一枚中空パネルによつて構成さ
れており、従つて高さの高い荷台用壁を得ようと
すれば、非常に大型の中空アルミニウム押出型材
を製作しなければならず、その製作が容易でない
という問題があつた。

この考案の目的は、上記の従来技術の問題を解
決し、所要数の中空パネルが重ね合わせられて、
凹凸嵌合により相互に結合されている車両の荷台
用壁等について、隣り合う中空パネル同志を連結
ボルトとナツトを使用することなく、連結ピンの
みを用いて確実にかつ非常に強固に結合すること
ができ、中空パネルの連結部にガタツキを生じる
ことがなく、荷台用壁等は充分な機械的強度を有
しており、しかも中空パネルを構成する押出型材
の断面形状が簡単であるため、中空パネル自体の
製造がきわめて容易であり、加えて荷台用壁等の
組立て工数を大幅に削減することができて、作業
性にすぐれているうえに、荷台用壁等の薄型化お
よび軽量化を果し得、ひいては車両の荷台用壁等
の製造を容易かつ安価になし得る、中空パネルの
結合装置を提供しようとするにある。

課題を解決するための手段 この考案は、上記の目的を達成するために、所
要数の中空パネルを備えており、隣り合う２つの
中空パネルのうち、一方の中空パネルの側縁部に
嵌合凹部と嵌合凸部のうちのいずれか一方が、他
方の中空パネルの側縁部に同他方が設けられ、嵌
合凸部が左右垂直壁部と、これらの高さの中間部
分に渡された水平壁部とによつて横断面略Ｈ形と
なされ、嵌合凸部の両側に側壁部外れ防止凸条が
嵌合凸部に対して所定間隔をおいて平行状に設け
られていて、一方の中空パネルの嵌合凹部が他方
の中空パネルの嵌合凸部に嵌め合わせられている
車両の荷台用壁等における中空パネルの結合装置
において、嵌合凹部の両側に厚肉の基部とこれよ
り先端側の薄肉の差込み部とよりなる側壁部が設
けられて、側壁部の差込み部が嵌合凸部と側壁部
外れ防止凸条との間の間隙に差し込まれ、嵌合凸
部の一方の垂直壁部と水平壁部との交点部分の該
垂直壁部の外面に、連結ピン嵌込み用溝が中空パ
ネルの全長にわたつて設けられるとともに、この
凹溝に対向するように側壁部の厚肉基部の内面に
連結ピン嵌込み用溝が中空パネルの全長にわたつ
て設けられ、これらの連結ピン嵌込み用溝によつ
て形成された貫通孔に、該孔の前後両端部におい
てきつく嵌まり込む一対の連結ピンが挿入されて
いる、車両の荷台用壁等における中空パネルの結
合装置を要旨としている。

実施例 つぎに、この考案の実施例を図面に基づいて説
明する。

この明細書において、前後、左右および上下
は、第３図を基準とし、前とは第３図図面紙葉の
表側、後とは同裏側をいゝ、左とは同図左側、右
とは同右側をいゝ、上とは同図上側、下とは同図
下側をいうものとする。

図面において、車両の荷台用壁１は、同一の断
面形状を有する中空状アルミニウム押出型材製の
中空パネル２が所要数重ね合わせられているもの
である。

上下に隣り合う２つの中空パネル２ａ，２ｂの
うち、上位中空パネル２ａの下側縁部に嵌合凹部
３が設けられ、下位中空パネル２ｂの上側縁部に
嵌合凸部４が設けられている。

嵌合凸部４は、左右垂直壁部４ａ，４ａと、こ
れらの高さの中間部分に渡された水平壁部４ｂと
によつて横断面略Ｈ形となされ、嵌合凸部４の両
側に側壁部外れ防止凸条６，６が嵌合凸部４に対
して所定間隔をおいて平行状に設けられている。
嵌合凹部３の両側に厚肉の基部７ａ，７ａとこれ
より先端側の薄肉の差込み部７ｂ，７ｂとよりな
る側壁部７，７が設けられている。嵌合凸部４の
右側垂直壁部４ａと水平壁部４ｂとの交点部分の
該右側垂直壁部４ａの外面に、連結ピン嵌込み用
溝１０が中空パネル２の全長にわたつて設けられ
るとともに、この凹溝１０に対向するように側壁
部７の厚肉基部７ａ，７ａの内面に連結ピン嵌込
み用溝９が中空パネル２の全長にわたつて設けら
れている。

そして、一方の上位中空パネル２ａの嵌合凹部
３が他方の下位中空パネル２ｂの嵌合凸部４に嵌
め合わせられるとともに、側壁部７，７の差込み
部７ｂ，７ｂが嵌合凸部４と側壁部外れ防止凸条
６，６との間の間隙５，５内に差し込まれてい
る。上記連結ピン嵌込み用溝９，１０によつて形
成された貫通孔８には、該孔８の前後両端部にお
いてきつく嵌まり込む一対のステンレス鋼製の第
１連結ピン１１，１１と、両第１連結ピン１１，
１１同志の間において該孔８の中間部分に略全長
にわたつてゆるく嵌まり込むステンレス鋼製の１
つの第２連結ピン１２とが挿入されている。

上記荷台用壁１においては、相互に隣り合う上
位中空パネル２ａと下位中空パネル２ｂとは、前
者を後者の上から単に嵌め合わせたのち、片側に
若干径の異なる２種の連結ピン１１，１１，１２
を差し込むことにより、従来のような連結ボルト
とナツトを使用することなく、連結ピン１１，１
１のみを用いて連結することができるので、非常
に作業性がよく、組立て工数を大幅に削減するこ
とができる。

また一対の第１連結ピン１１，１１は貫通孔８
の前後両端部にきつく挿入されるが、これらの第
１連結ピン１１，１１は短くてよいので、その挿
入作業が簡単である。またこれら両第１連結ピン
１１，１１によつて第２連結ピン１２の脱出が阻
止されている。

そして、上記貫通孔８の前後両端部に一対の第
１連結ピン１１，１１をきつく嵌め込んださい、
これらの連結ピン１１，１１によつて貫通孔８の
一方の溝１０の底壁すなわち嵌合凸部４の垂直壁
部４ａの前後両端部を、中空パネル２ｂの内側に
強く押圧する力は、同嵌合凸部４の水平壁部４ｂ
によつて確実に受けることができ、かつこれらの
連結ピン１１，１１によつて貫通孔８の他方の溝
９の底壁すなわち側壁部７の前後両端部を、それ
ぞれ外側に押し広げようとする力は、該側壁部７
の厚肉基部７ａ、並びにこれと連なる差込み部７
ｂ，７ｂに掛り合う同側の側壁部外れ防止凸条６
によつて受けることができるため、両中空パネル
２ａ，２ｂを確実にかつ非常に強固に連結するこ
とができるものであり、従つて中空パネル２ａ，
２ｂの連結部にガタツキを生じることがなく、荷
台用壁１は充分な機械的強度を有している。

そのうえ、下位中空パネル２ｂの横断面略Ｈ形
の嵌合凸部４は、これの片側の垂直壁部４ａと水
平壁部４ｂとの交点部分の該垂直壁部４ａの外面
に、連結ピン嵌込み用溝１０が設けられるととも
に、他方の上位中空パネル２ａは、嵌合凹部３の
両側に厚肉の基部７ａ，７ａとこれより先端の薄
肉の差込み部７ｂ，７ｂとよりなる側壁部７，７
が設けられ、かつこれの右側壁部７の厚肉基部７
ａの内面に連結ピン嵌込み用溝９が設けられてい
るもので、両中空パネル２ａ，２ｂを構成する押
出型材の断面形状が非常に簡単であるから、中空
パネル２ａ，２ｂ自体の製造がきわめて容易であ
る。

さらに荷台用壁１を組み立てるのに、従来のよ
うな連結ボルトとナツトを使用しないので、第１
連結ピン１１，１１に当接する部分すなわち各中
空パネル２の嵌合凹部３の左右両側壁基部７ａ，
７ａのみを厚肉として、これより以外の部分は薄
肉とすることができるため、荷台用壁１の薄型化
および軽量化を果し得る。

なおこの実施例では、一対の第１連結ピン１
１，１１によつて荷台用壁１の通常のガタツキを
防止することができ、また荷台用壁１のたわみに
よる変形は中間部分の第２連結ピン１２によつて
防止することができる。ここで、第２連結ピン１
２は貫通孔８に比較的ゆるく挿通されているた
め、第２連結ピン１２の挿通作業は非常に簡単で
ある。

なお、上記実施例においては、上位中空パネル
２ａの下側縁部に嵌合凹部３が設けられ、かつ下
位中空パネル２ｂの上側縁部に嵌合凸部４が設け
られている場合について説明したが、嵌合凹部３
と嵌合凸部４の配置は相互に逆であつても勿論よ
い。

また上記実施例においては、中空パネル２とし
て同一断面形状の押出型材を使用するために、各
中空パネル２の上側縁部に嵌合凸部４が、同下側
縁部に嵌合凹部３がそれぞれ設けられているが、
これに限らず、上下両側縁部にそれぞれ嵌合凹部
３を有する中空パネルと、上下両側縁部にそれぞ
れ嵌合凸部４を有する中空パネルとを使用し、こ
れら２種の中空パネルを交互に配置するようにし
てもよい。

また図示のものは第１および第２連結ピン１
１，１２、並びに貫通孔８の横断面形状が円形で
あるが、これはその他方形等であつてもよい。第
２連結ピン１２は、場合によつてはその取付けを
省略することもできる。

なお、上記実施例においては、この考案による
中空パネルの結合装置を、車両の荷台用壁に適用
した場合を示したが、近年下水処理場の蓋やプー
ルの蓋等も所要数の中空パネルを同様に結合して
つくられているので、この考案はこれらの場合に
ついても同様に適用されるものである。

考案の効果 この考案は、上述のように、所要数の中空パネ
ルを備えており、隣り合う２つの中空パネルのう
ち、一方の中空パネルの側縁部に嵌合凹部と嵌合
凸部のうちのいずれか一方が、他方の中空パネル
の側縁部に同他方が設けられ、嵌合凸部が左右垂
直壁部と、これらの高さの中間部分に渡された水
平壁部とによつて横断面略Ｈ形となされ、嵌合凸
部の両側に側壁部外れ防止凸条が嵌合凸部に対し
て所定間隔をおいて平行状に設けられていて、一
方の中空パネルの嵌合凹部が他方の中空パネルの
嵌合凸部に嵌め合わせられている車両の荷台用壁
等における中空パネルの結合装置において、嵌合
凹部の両側に厚肉の基部とこれより先端側の薄肉
の差込み部とよりなる側壁部が設けられて、側壁
部の差込み部が嵌合凸部と側壁部外れ防止凸条と
の間の間隙に差し込まれ、嵌合凸部の一方の垂直
壁部と水平壁部との交点部分の該垂直壁部の外面
に、連結ピン嵌込み用溝が中空パネルの全長にわ
たつて設けられるとともに、この凹溝に対向する
ように側壁部の厚肉基部の内面に連結ピン嵌込み
用溝が中空パネルの全長にわたつて設けられ、こ
れらの連結ピン嵌込み用溝によつて形成された貫
通孔に、該孔の前後両端部においてきつく嵌まり
込む一対の連結ピンが挿入されているもので、隣
り合う中空パネル同志を、従来のような連結ボル
トとナツトを使用することなく、連結ピンのみを
用いて連結することができる。

しかも対向する２つの連結ピン嵌込み用溝によ
つて形成された貫通孔の前後両端部に、一対の第
１連結ピンをきつく嵌め込んださい、これらの連
結ピンによつて貫通孔の一方の溝の底壁すなわち
嵌合凸部の垂直壁部の前後両端部を、中空パネル
の内側に強く押圧する力は、同嵌合凸部の水平壁
部によつて確実に受けることができ、かつこれら
の連結ピンによつて貫通孔の他方の溝の底壁すな
わち側壁部の前後両端部を、それぞれ外側に押し
広げようとする力は、該側壁部の厚肉基部、並び
にこれと連なる差込み部に掛り合う同側の側壁部
外れ防止凸条によつて受けることができるため、
両中空パネルを確実にかつ非常に強固に連結する
ことができるものであり、従つて、中空パネルの
連結部にガタツキを生じることがなく、荷台用壁
等は充分な機械的強度を有している。

また荷台用壁等を組み立てるには、隣り合う中
空パネル同志を互いに嵌め合わせて、従来のよう
な連結ボルトとナツトを使用することなく、その
片側に連結ピンを挿入するだけでよいから、組立
て工数を大幅に削減することができ、作業性にす
ぐれている。

そのうえ、一方の中空パネルは横断面略Ｈ形の
嵌合凸部を有していて、これの一方の垂直壁部と
水平壁部との交点部分の該垂直壁部の外面に連結
ピン嵌込み用溝が設けられ、これに対して他方の
中空パネルの差込み用側壁部の内面に連結ピン嵌
込み用溝が設けられているもので、両中空パネル
を構成する押出型材の断面形状が非常に簡単であ
るから、中空パネル自体の製造がきわめて容易で
ある。

さらに荷台用壁等を組み立てるのに、従来のよ
うな連結ボルトとナツトを使用しないので、第１
連結ピンに当接する部分すなわち中空パネルの嵌
合凹部の左右両側壁基部のみを厚肉として、これ
より以外の部分は薄肉とすることができるため、
荷台用壁等の薄型化および軽量化を果し得、ひい
ては車両の荷台用壁等の製造を容易かつ安価にな
し得るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は荷台用壁の部分斜視図、第２図は同部分切欠き
側面図、第３図は第２図−線に沿う断面図で
ある。 １……荷台用壁、２……中空パネル、２ａ……
上位中空パネル、２ｂ……下位中空パネル、３…
…嵌合凹部、４……嵌合凸部、４ａ……垂直壁
部、４ｂ……水平壁部、５……間隙、６……側壁
部外れ防止凸条、７……側壁部、７ａ……厚肉基
部、７ｂ……薄肉差込み部、８……貫通孔、９，
１０……連結ピン嵌込み用溝、１１……第１連結
ピン、１２……第２連結ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所要数の中空パネル２を備えており、隣り合う
   ２つの中空パネル２，２のうち、一方の中空パネ
   ル２の側縁部に嵌合凹部３と嵌合凸部４のうちの
   いずれか一方が、他方の中空パネル２の側縁部に
   同他方が設けられ、嵌合凸部４が左右垂直壁部４
   ａ，４ａと、これらの高さの中間部分に渡された
   水平壁部４ｂとによつて横断面略Ｈ形となされ、
   嵌合凸部４の両側に側壁部外れ防止凸条６，６が
   嵌合凸部４に対して所定間隔をおいて平行状に設
   けられていて、一方の中空パネル２の嵌合凹部３
   が他方の中空パネル２の嵌合凸部４に嵌め合わせ
   られている車両の荷台用壁等における中空パネル
   の結合装置において、嵌合凹部３の両側に厚肉の
   基部７ａ，７ａとこれより先端側の薄肉の差込み
   部７ｂ，７ｂとよりなる側壁部７，７が設けられ
   て、側壁部７，７の差込み部７ｂ，７ｂが嵌合凸
   部４と側壁部外れ防止凸条６，６との間の間隙
   ５，５に差し込まれ、嵌合凸部４の一方の垂直壁
   部４ａと水平壁部４ｂとの交点部分の該垂直壁部
   ４ａの外面に、連結ピン嵌込み用溝１０が中空パ
   ネル２の全長にわたつて設けられるとともに、こ
   の凹溝１０に対向するように側壁部７の厚肉基部
   ７ａ，７ａの内面に連結ピン嵌込み用溝９が中空
   パネル２の全長にわたつて設けられ、これらの連
   結ピン嵌込み用溝９，１０によつて形成された貫
   通孔８に、該孔８の前後両端部においてきつく嵌
   まり込む一対の連結ピン１１，１１が挿入されて
   いる、車両の荷台用壁等における中空パネルの結
   合装置。