JPH0534979A - 画像形成方法 - Google Patents

画像形成方法

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JPH0534979A
JPH0534979A JP3211341A JP21134191A JPH0534979A JP H0534979 A JPH0534979 A JP H0534979A JP 3211341 A JP3211341 A JP 3211341A JP 21134191 A JP21134191 A JP 21134191A JP H0534979 A JPH0534979 A JP H0534979A
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誠 神林
Takayuki Nagatsuka
貴幸 永塚
Tatsuya Nakamura
達哉 中村
Tatsuhiko Chiba
建彦 千葉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子写真法による画像形成において、用いる
トナーの耐久性,耐ブロッキング性,帯電安定性等の改
善により、より高濃度で鮮明度の高い画像を形成する方
法を提供する。 【構成】 潜像保持体(感光ドラム)3に形成された潜
像を、現像剤担持体4を介して、現像剤5により顕像化
し、それを転写材に転写して画像を得る画像形成におい
て、潜像保持体3としてその表面にフッ素系樹脂粉体を
5〜40重量%含有する有機感光体を用い、トナー粒子
が凹凸形状を成すものを含んだ現像剤5を用いることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機半導体(OPC)
から成る感光体(以後「OPC感光体」という。)を潜
像保持体として使用して潜像画像を形成し、該潜像画像
をトナーを用いて顕像化し転写材に転写形成する画像形
成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法とは、米国特許第2,29
7,691号明細書等に記載されている如く、多数の方
法が知られており、一般には光導電性物質を利用し、種
々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、該潜像をト
ナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写部材にト
ナー画像を転写した後、加熱・圧力或いは溶剤蒸気等に
より定着し複写物を得る方法である。又、トナーを用い
て現像する方法、或いはトナー画像を定着する方法とし
ては、従来各種の方法が提案され、それぞれの画像形成
プロセスに適した方法が採用されている。近年にあって
は、かかる電子写真法に対し、高速複写化,高画質化が
求められている。
【0003】また、一般にトナーを製造する方法として
は、熱可塑性樹脂中に染・顔料等の着色剤,荷電制御剤
等の添加剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装
置,分級機により所望の粒径を有するトナーを製造する
方法が知られている。
【0004】これら粉砕法によるトナーにおいては、一
般に不定形をしている為、潜像に対し忠実な再現を行う
にも限界が有り、高画質化に対して不利であった。粉砕
法に於て高画質化をはかる為には、より小粒径に粉砕す
る必要がある。しかし、小粒径化はより多くのエネルギ
ーが必要に成ること、及びトナー収率が悪くなることな
どの問題点があった。
【0005】これら不定形トナーに対し、球形トナーが
提案されている。例えば、特公昭56−13945号公
報では、溶融スプレー法により球形トナーを得る方法
が、又、特公昭57−51676号公報では、不定形ト
ナーに有機溶剤を少量添加し、冷却下撹拌処理を行うこ
とにより球形トナーを得る方法が、更に、特公昭36−
10231号公報をはじめ、特開昭59−53856号
公報、特開昭59−61842号公報等により重合法を
用いた球形トナーを得る方法が開示されている。
【0006】これら球形トナーは、その形状が均一であ
り、並びやすいため、潜像に対して忠実に付着しやす
い。特に潜像のエッジ部では、微小な乱れがなくなり、
高画質になる。さらに、重合法により球形トナーを得た
場合、粒子の小粒径化も容易であり、一層高画質化に適
したものとなる。
【0007】しかしながら、球状トナーは、各種添加剤
を添加してもその特性が劣化しやすく、耐久性が充分な
トナーを得ることが困難であった。また、球状トナー
は、感光体への付着力が強く転写工程後のトナークリー
ニングが不十分となりやすかった。
【0008】一方、像保持体としてOPC感光体を使用
した電子写真方式のカラー用複写機又はプリンタ等の画
像形成装置が近年数多く製造されている。通常、かかる
画像形成装置は、OPC感光体上に通常の電子写真プロ
セスにて潜像を形成し、該潜像を現像器にて現像してト
ナー画像を形成し、該画像を転写材に転写し、可視画像
が得られる。ここで、像保持体上の残留画像はクリーニ
ング手段にて清掃し、像保持体は繰返し使用される。
【0009】特に、小型化、またコスト面からも大変有
利であるという理由から、ゴム弾性材からなるクリーニ
ングブレードを像担持体にカウンター方向に圧接させる
構成のブレードクリーニング手段が広く使用されてい
る。
【0010】一般に、OPC感光体は、導電性支持体上
に電荷発生材料を分散した結着剤からなる電荷発生層、
電荷輸送材料を分散した結着剤からなる電荷輸送層の順
に積層した構成とされ、電荷発生材料としてはフタロシ
アニン系顔料、アントアントロン顔料、アゾ顔料、イン
ジゴ顔料等の顔料、ピリリウム染料等の染料、又はシア
ニン色素等の色素などが使用され、又、電荷輸送材料と
してはピレン、イソプロピルカルバゾール等のカルバゾ
ール類、ヒドラゾン類、ピラゾリン類、オキサソニル系
化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化
合物、ポリアリールアルカン類等が使用され、又、結着
剤としては、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、
ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹
脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン或
いはこれらの樹脂の繰り返し単位のうち2つ以上を含む
共重合体樹脂、例えばスチレン−ブタジエンコポリマ
ー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン
−マレイン酸コポリマーなどが使用されている。
【0011】本発明者等は、多くの研究実験の結果、像
保持体としてOPC感光体を用いた場合、図1に示すよ
うに、像保持体はその温度が上昇するに伴って摩擦係数
が上昇することを見出した。
【0012】本発明者等の研究実験の結果によると、像
保持体の温度上昇に伴って摩擦係数が上昇する原因は、
OPC感光体の表面の大部分を占める結着剤の温度特性
によるものであることが分かった。
【0013】摩擦係数を下げる目的で、例えば特開昭6
3−311356号公報等にフッ素系樹脂粒子を分散さ
せた樹脂を感光体表面層に設ける手段が提案されてい
る。かかる手段は、確かに摩擦係数を低下させ、クリー
ニング性の向上、摩耗や傷に対する耐性においては効果
的であるが、分散の度合による表面粗さのコントロー
ル、連続してプリントアウトを続けた場合など必ずしも
十分に満足のいくものではなかった。
【0014】また、磁性トナーと非磁性トナーのよう
に、表面性状の異なる複数の現像剤を組合せて画像を形
成する場合、それぞれのトナーの感光体に対するすべり
性、あるいは削れ性などに差があり、感光体とクリーニ
ングブレードとの圧着状態を常に安定に維持することが
難しいのが現状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のごとき問題を解決した画像形成方法を提供することに
ある。
【0016】すなわち、長期の耐久においてもクリーニ
ング不良が発生しない画像形成方法を提供することにあ
る。
【0017】また、定着性向上,画質向上を目的として
設計された実質上球形を有する重合法トナーとOPC感
光体との間の付着力を軽減し、ブレードクリーニング等
の手段で、効率良くクリーニングできるトナー及び該ト
ナーを用いる画像形成方法を提供することにある。
【0018】さらに、画像濃度が高く、細線再現性に優
れ、しかもハイライト階調性に優れ、長期間の使用でも
性能の変化のない、耐久性に優れたトナー及び該トナー
を用いた画像形成方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
多くの研究実験の結果、実質的に球形状の重合トナー表
面に凹凸を設けた懸濁重合法トナーで、フッ素樹脂粒子
を分散させた樹脂を表面層に設けたOPC感光体上の潜
像を現像し、該現像像を転写材に転写するという手段を
採用することで、カウンターブレードクリーニングによ
り効率良くクリーニング可能であること、また、長期の
耐久を行ってもクリーニング不良の発生しない優れた画
像形成方法となり得ることを見い出したものである。
【0020】すなわち、その特徴とするところは、有機
半導体からなる潜像保持体を使用して、現像剤で現像像
を形成し、該現像像を転写材に転写し、一方、潜像保持
体上の残留現像像はカウンターブレードクリーニング手
段にて除去し、該潜像保持体を繰り返し使用して、カラ
ー画像を形成する画像形成方法において、 a)該潜像保持体として、その表面層にフッ素系樹脂粉
体を5〜40重量%含有する有機感光体を用い、 b)該現像剤として、少なくとも懸濁重合によって直接
得られた実質上球形状のトナー粒子と外添剤とからな
り、該トナー粒子が投影面に対して、 半径rの最大内接円と半径Rの最小外接円との間に、 1.00<R/r<1.20 の関係を満足するトナーであり、かつ、 投影面の周辺長Lと内接円の円周長2πrとの間に、 1.01<L/2πr<2.00 の関係を満足する凹凸を表面に有したトナーを用いるこ
とを特徴とする画像形成方法にある。
【0021】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
等は、鋭意検討の結果、球形トナーに各種添加剤を併用
した場合の耐久劣化及びクリーニング不良が、主にトナ
ーの形状に起因することを見いだした。即ち、形状が球
形であると接触面積が広く、例えば、トナー〜トナー
間、トナー〜キャリア間、トナー〜スリーブ間といった
ところで不定形トナーに比べ摺擦され易く、その結果、
トナー表面に付着し自由に動き得る添加剤がトナー表面
に埋め込まれ固着されてしまい、その機能が著しく阻害
され、耐久性並びにクリーニング性が著しく低下してし
まう。
【0022】以上のような知見に基づき、さらに検討を
加え本発明を得るに至った。即ち、トナーの表面に適度
の凹凸をつけることにより、実質的な形状を変えること
なく各種添加剤の耐久劣化を防止し、カウンターブレー
ドクリーニングにより、効率良くクリーニング可能であ
ることを見いだした。しかも、本発明のトナーは、実質
的には球状であるので、前述したように、高画質な画像
が得られる。
【0023】本発明では添加剤として、流動性付与剤、
滑剤、研磨剤のうちの少なくとも一つを使用する。
【0024】流動性付与剤を用いれば、トナーに働くフ
ァンデルワールス力が弱まり、トナーはクーロン力に対
してより忠実な挙動を示すようになる。その結果、トナ
ー担持体から感光体上潜像へのトナーの移動が容易にな
り、高画像濃度を得ることができる。また、潜像に対し
て忠実なので、かぶりのない画像を得ることができる。
さらに、流動性付与剤を用いることによって、トナー補
給が行い易くなる。二成分現像剤の場合には、磁性粒子
との混合性が良くなるので、トナーの帯電も良好とな
る。
【0025】一般に、これらの流動性付与剤は、粒径が
小さいほど、流動性付与能力が高い。しかしながら、流
動性付与剤は、球形トナーに用いた場合にはその粒径が
小さいがゆえにトナー内部へ埋め込まれやすく、流動性
付与効果を失いやすかった。
【0026】これに対して、本発明者等は、実質的に球
形であり、かつ凹凸を有する球形トナーと流動性付与剤
を組み合せることによって、流動性付与効果が劣化しに
くいトナーとなることを見いだした。
【0027】さらに、高画質な画像を得るためにトナー
を小粒径化すると、トナークリーニングが困難となり、
画像上にクリーニング不良として現われやすい。本発明
では、トナーに微小な凹凸をつけたので、添加剤劣化が
起こりにくく、感光体表面との付着力が長期にわたって
軽減されるため、トナーを小粒径化した場合において
も、クリーニングが容易となり簡単なクリーニング装置
でも適用可能となった。
【0028】本発明に係るトナー粒子は、先に述べたよ
うに実質的に球形であることが好ましく、トナー粒子の
投影面に対し、半径rの最大内接円と半径Rの最小外接
円との間に、 1.00<R/r≦1.20 の関係があることが好ましい。さらに好ましくは、 1.02≦R/r≦1.15 が良い。
【0029】R/rが大きくなるとその形状は球形から
離れる方向であり、1.20を越えると球形トナーの特
徴が現われなくなる。これら球形トナーの重量平均粒径
は、3〜12μmが好ましい。
【0030】さらに、本発明においては、投影面の周辺
長Lと内接円の円周長2πrとの間に、 1.01<L/2πr<2.00 の関係を満たすことが好ましい。さらに好ましくは、 1.02<L/2πr<1.50 が良い。
【0031】L/2πrが1.01より小さいと凹凸が
殆どないことになり、一方、2.00より大きいと細か
い微小凹凸が数多く存在するか、または落差の大きい凹
凸が存在することになる。このうち前者は、凹凸が微小
すぎて、作用効果が発揮されなくなる。また、後者は、
実質的な形状が不定形に近づき、高画質が得にくく、ま
た、現像器中の微粉化も起こりやすくなる。
【0032】本発明におけるトナー粒子の投影面とは、
電子顕微鏡を用い、少なくとも2000倍以上、好まし
くは5000倍で粒子の輪郭に焦点を合わせて得た画像
を意味し、さらにルーゼックス5000を用いて、図2
(a)に示すように内接円、外接円の半径r,Rを求
め、また図2(b)に示すように周辺長Lを求めた。
【0033】このようなトナー画像を少なくとも50
個、好ましくは100個以上について、R,r,Lを測
定し、その平均値が請求範囲に含まれていることが好ま
しい。
【0034】以下、本発明に用いるトナーをより詳細に
説明する。
【0035】本発明者等は、鋭意検討の結果、図3のよ
うな内部構造を有するトナーを得ることができた。本発
明のトナーは、表層部1(A相)と中心部2(B相)が
あり、明確な界面によって2相に分かれている。このよ
うなカプセル的な構造を取り、表層部1と中心部2とで
機能分離させることによって、従来のトナーではできな
かったトナー設計が可能となる。具体的には、表層部に
は高軟化点物質を用いて、ブロッキングや現像器の撹拌
に対して強いトナーとし、中心部には低軟化点物質を用
いて、定着性も同時に優れたトナーとすることができ
る。また、中心部は低融点の離型性物質を含有させてお
けば、定着時の加圧によってそれをしみ出させることが
でき、オフセット性を著しく改良することができる。ま
た、帯電制御性は、表層部のみに付与すればよい。
【0036】従来、特公平1−53786号公報などで
提案されているいわゆる擬似カプセルに対して、本発明
ではしっかりとした2層構造を形成しているので、熱や
圧力を加えない限り、内部の物質が表層へしみ出してく
ることがない。よって、内部の低軟化点物質がキャリア
や現像スリーブを汚染するといった現象も著しく改善さ
れる。特に、内部に含有させる物質を多く含ませた場合
において、擬似カプセルよりもより効果的に機能する。
【0037】より具体的には、少なくともA,B2種の
樹脂成分をA:B=50:50〜95:5の範囲で含有
し、Aを主体とする相とBを主体とする相とに分離した
構造を有する。Aを主体とする相が表層部1となり、B
を主体とする相が中心部2に存在する。前記のとおり、
Aを主体とする相が高軟化点で、Bを主体とする相が低
軟化点である場合に好ましい組み合せとなるが、トナー
となった時にAを主体とする相とBを主体とする相に相
分離する組み合せであれば、何ら限定するものではな
い。
【0038】樹脂Aの好ましい範囲としては、GPCに
よるMwで5,000〜200,000であり、フロー
テスターによる流出開始点で65〜100℃が好まし
い。かかる樹脂Aは、懸濁重合で得られる樹脂であれ
ば、いずれの樹脂も用いることができる。
【0039】本発明に係るトナーは、その表面に凹凸を
有するが、表面形状の一例を図2に示す。このような凹
凸により、トナー粒子同士の接触点が小さくなり、耐ブ
ロッキング性も向上する。
【0040】一般に、トナーに流動性付与剤を添加する
ことによってそれがスペーサーとなり、耐ブロッキング
性が向上することもある。しかしながら、前述した様
に、流動性付与剤のような各種添加剤は、通常の懸濁重
合による球形トナーに用いた場合、撹拌などの応力によ
って添加剤がトナー表面に固着してしまい、添加剤の機
能が阻害される現象が起こる。
【0041】これに対して、本発明では、トナー表面の
凹凸が添加剤の劣化を防止するので、良好な耐ブロッキ
ング性も長期的に維持される。
【0042】さて、本発明の特徴の一つである表面凹凸
化は、表面相を主に構成する樹脂Aを形成するモノマー
に溶解可能な極性樹脂を、モノマー中に溶解させた後、
通常の造粒〜重合工程を採ることにより達成することが
できた。
【0043】ここで、使用できる極性樹脂としては、カ
チオン性重合体としては、メタクリル酸ジメチルアミノ
エチル,メタクリル酸ジエチルアミノエチルなど含窒素
単量体の重合体、もしくはスチレン,不飽和カルボン酸
エステル等との共重合体、アニオン性重合体としてはア
クリロニトリル等のニトリル系単量体,塩化ビニル等の
含ハロゲン系単量体、アクリル酸,メタクリル酸等の不
飽和カルボン酸、その他不飽和二塩基酸,不飽和二塩基
酸無水物、ニトロ系単量体等の重合体もしくはスチレン
系単量体等との共重合体が挙げられるが、ここに挙げた
ものに何ら限定するものではない。
【0044】ただ、これらの極性樹脂の中でも、特にG
PCによる分子量分布(Mw/Mn)が1.2〜10の
ものが良く、より好ましくは1.5〜5のものが良い。
この様な樹脂をモノマー中に加え造粒〜重合すると、樹
脂Aを主体とする相(A相)と樹脂Bを主体とする相
(B相)との相分離を促進する。すなわち、A相とB相
との界面がはっきりしたものとなり、A相中に含まれる
樹脂Bの濃度が著しく低下する。その結果、トナー自身
のカプセル構造がより顕著となり、耐ブロッキング性の
向上と定着性の向上との両立が可能となる。
【0045】さらに、上記のごとき傾向は極性樹脂の酸
価が高いものほど顕著であり、酸価が5以上、好ましく
は20以上の時、相分離が促進される。しかも、酸価が
高いものについてはA相中でもトナー表面近傍により偏
在しやすく、その結果トナーの表面の形状に大きく影響
を及ぼし、表面が陥没した形の凹凸トナーが入手可能と
なる。詳細は不明であるが酸価の高い樹脂は造粒〜重合
初期においてトナー粒子表面近傍に集まり、モノマーの
重合反応が進むにつれて、いくつかの極性樹脂が集まっ
た一種の集合体として表面近傍に集まるようになる。や
がてモノマーのポリマー化による体積収集が起こるよう
になると、前記の極性樹脂の偏在の仕方次第で収縮の度
合いが大きく異なり、やがて表面が陥没した形の異型化
トナーになるものと予測した。酸価が5以下のものにつ
いてはこういった効果が見られない。
【0046】また逆に酸価が高すぎるものについては、
トナーの表面状態が大きく乱れて造粒性が著しく低下し
てしまうため好ましくなく、酸価は5〜100、より好
ましくは20〜80であることが望ましい。また、酸価
が20〜80であってもMw/Mnが10以上であれば
モノマー中での均一分散がしづらく、やはり目的の粒度
分布を有するトナーは得られにくくなる傾向にある。当
然モノマー中に均一溶解しないようなMwの極端に高い
極性樹脂については本重合法トナーには適用できない。
また、極性樹脂の代わりに極性モノマーを用いて重合を
行っても決して凹凸化することはなく、むしろ極性モノ
マーをより多く用いて重合すると造粒性が著しく低下し
てしまう傾向にある。よって、本発明のごとき形状のト
ナーを入手するためには、酸価の高い極性樹脂の使用が
必要不可欠である。
【0047】上記懸濁重合に使用できる重合性単量体と
しては、スチレン,o−メチルスチレン,m−メチルス
チレン,p−メチルスチレン,p−メトキシスチレン,
p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸
メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸n−ブチル,ア
クリル酸イソブチル,アクリル酸n−プロピル,アクリ
ル酸n−オクチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸2
−エチルヘキシル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸
2−クロルエチル,アクリル酸フェニル等のアクリル酸
エステル類、メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチ
ル,メタクリル酸n−プロピル,メタクリル酸n−ブチ
ル,メタクリル酸イソブチル,メタクリル酸n−オクチ
ル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸2−エチルヘ
キシル,メタクリル酸ステアリル,メタクリル酸フェニ
ル,メタクリル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸
ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、そ
の他アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリル
アミド等の単量体が挙げられる。
【0048】これらの単量体は単独、又は混合して使用
し得る。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン
誘導体を単独で、又はほかの単量体と混合して使用する
ことがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0049】本発明に用いる樹脂Bの好ましい範囲とし
ては、GPCによるMwで300〜10,000が好ま
しく、融点は30〜130℃が好ましく、60〜100
℃がより好ましい。融点が30℃よりも低いと、定着す
る時に低温オフセットなどを助長して悪影響を与えてし
まう。また、130℃よりも高いとトナー製造時に樹脂
Bが固化し造粒性が悪化する。
【0050】樹脂Bとしてワックスを用いると、本発明
の効果がより一層発揮される。本発明に用いられるワッ
クス類としては、パラフィン,ポリオレフィン系ワック
ス、及びこれらの変性物、例えば、酸化物やグラフト処
理物の他、高級脂肪酸及びその金属塩,アミドワックス
などが挙げられる。
【0051】樹脂Aと樹脂Bの成分比としては、A:B
=50:50〜95:5である必要があり、好ましくは
A:B=70:30〜90:10である。50:50よ
りも樹脂Bが多いとカプセル構造が保てなくなり、9
5:5よりも樹脂Bが少ないと樹脂Bの作用効果が発揮
されなくなる。
【0052】本発明に係るトナーにおいては、トナー表
面からトナー粒径の0.15倍の深さまでの表面近傍に
は、樹脂Bを主体とする相が存在しないことにも特徴が
ある。すなわち、概念的には表面層がトナー粒径の0.
15倍の厚みがあるということであるが、例えば、クラ
ック等があり、0.15倍の厚さがない部分があって
も、その部分にBを主体とする相が存在しなければ、本
発明の範囲に含まれる。トナー表面からトナー粒径の
0.15倍の深さまでの表面近傍にBを主体とする相が
存在すると、カプセル構造が不安定なものとなり、例え
ばブロッキング性が悪化してしまう傾向にある。
【0053】本発明において用いられる分散媒は、いず
れ適当な安定化剤を用いることができる。例えば、難水
溶性無機化合物として、リン酸カルシウム,リン酸マグ
ネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カル
シウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化
マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシ
ウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,
シリカ,アルミナ等が挙げられる。
【0054】有機化合物として、ポリビニルアルコー
ル,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプ
ロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチ
ルセルロースのナトリウム塩,ポリアクリル酸及びその
塩,デンプン等を水相に分散させて使用できる。この安
定化剤は、重合性単量体100部に対して、0.2〜2
0重量部を使用することが好ましい。
【0055】また、これら安定化剤の微細な分散の為
に、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を使用して
もよい。これは上記分散安定剤の所期の作用を促進する
為のものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼ
ン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペン
タデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オ
レイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリ
ン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0056】これらの分散安定剤の中で、リン酸カルシ
ウムを用いた場合、粒度分布,トナー形状,トナー内部
構造において満足すべきものが得られ、本発明の効果が
より一層発揮される。
【0057】リン酸カルシウムは、粉末状のものをその
まま用いてもよいが、リン酸ナトリウムと塩化カルシウ
ムの如き物質を用いて水中にてリン酸カルシウムを生成
させ、それを用いる方法が好ましい。
【0058】この方法を用いると、非常に細かい塩が得
られ、安定した懸濁状態となるので造粒性がよい。ま
た、トナー形状としても、表面の凹凸の大きさ,数が好
ましいものとなる。さらに、油滴が安定しているので、
AとBの相分離が促進され、本発明のごときトナーの内
部構造の形成と2層構造の助長にも大きく貢献する。
【0059】本発明で用いられる重合トナーは、以下の
如き方法にて得られる。
【0060】即ち、重合性単量体中に離型剤,着色剤,
荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジ
ナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散
せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通
常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等によ
り分散せしめる。好ましくは、単量体液滴が所望のトナ
ー粒子のサイズ、一般に30μm以下の粒径を有するよ
うに撹拌速度,時間を調整し造粒する。その後は分散安
定剤の作用により、粒子状態が維持され、かつ粒子の沈
降,浮遊が防止される程度の撹拌を行えば良い。反応終
了後、分散安定剤を除去し、生成したトナー粒子を洗
浄,濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法において
は、通常単量体系100重量部に対して水300〜30
00重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0061】上記工程において、重合温度は40℃以
上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行
う。
【0062】この時、重合温度のコントロールの方法と
して、重合が進行している途中で温度を5〜30℃上昇
させる方法が好ましい。本発明者等は、必要な条件を整
えた場合において、重合途中で温度を上げることによ
り、トナー表面の凹凸の度合いが大きくなることを見出
した。また、温度を上げることは、A相とB相の相分離
も促進させると考えられる。
【0063】重合開始剤としては、いずれか適当な重合
開始剤、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−
カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾ
イルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、
ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロ
ペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシ
ド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤
が挙げられる。これら重合開始剤は、重合性単量体の
0.5〜20重量%の添加量が好ましい。
【0064】本発明では、架橋剤を添加してもよく、好
ましい添加量としては、0.001〜15重量%であ
る。
【0065】本発明においては、トナーの帯電性を制御
する目的でトナー材料中に荷電制御剤を添加しておくこ
とが望ましい。これら荷電制御剤としては、公知のもの
のうち、重合阻害性,水相移行性の殆ど無いものが用い
られ、例えば正荷電制御剤としてニグロシン系染料,ト
リフェニルメタン系染料,四級アンモニウム塩,アミン
系及びポリアミン系化合物等が挙げられ、負荷電制御剤
としては含金属サリチル酸系化合物,含金属モノアゾ系
染料化合物,スチレン−アクリル酸共重合体,スチレン
−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0066】本発明で用いられる着色剤としては、公知
のものが使用でき、例えば、カーボンブラック、鉄黒の
他、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクト
レッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシ
ックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.
I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー
2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブル
ー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシ
ックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.
ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン
4、C.I.ベーシックグリーン6等の染料、黄鉛、カ
ドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブ
ルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエロー
G、パーマネントイエローNCG、タートラジンレー
キ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGT
R、ベンジジンオレンジG、カドミウムレツド、パーマ
ネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、
ブリリアントカーミン3B、ファストバイオレットB、
メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、ア
ルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、キナク
リドン、ローダミンレーキ、フタロシアニンブルー、フ
ァーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカ
イトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等
の顔料がある。
【0067】本発明においては、重合法を用いてトナー
を得る為、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意
を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば、重
合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほう
が良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害
性を有しているものが多いので使用の際に注意を要す
る。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あら
かじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめ
る方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添
加する。又、カーボンブラックについては、上記染料と
同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応
する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等でグラフ
ト処理を行っても良い。
【0068】本発明では、磁性体を添加してもよいが、
これも表面処理を行って用いるのが好ましい。
【0069】本発明で用いられる各種特性付与を目的と
した添加剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、
トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であるこ
とが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡にお
けるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を
意味する。これら特性付与を目的とした添加剤として
は、例えば、以下のようなものが用いられるが、特に何
ら限定するものではない。 1)流動性付与剤としては:金属酸化物(酸化ケイ素,
酸化アルミニウム,酸化チタンなど)、カーボンブラッ
ク、フッ化カーボンなど。それぞれ、疎水化処理を行っ
たものが、より好ましく、 2)研磨剤としては:金属酸化物(チタン酸ストロンチ
ウム,酸化セリウム,酸化アルミニウム,酸化マグネシ
ウム,酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、
炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム,
硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)など、 3)滑剤としては:フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデ
ン,ポリテトラフルオロエチレンなど)、脂肪酸金属塩
(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)な
ど、 4)荷電制御性粒子としては:金属酸化物(酸化錫,酸
化チタン,酸化亜鉛,酸化ケイ素,酸化アルミニウムな
ど)、カーボンブラックなどが好ましい。
【0070】これら添加剤は、トナー粒子100重量部
に対し、0.1〜10重量部が用いられ、好ましくは、
0.1〜5重量部が用いられる。これら添加剤は、単独
で用いても、又、複数併用しても良い。
【0071】本発明に係るトナーを2成分用現像剤とし
て使用する場合、本発明に使用される磁性粒子として
は、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜
鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及び
それらの合金または酸化物及びフェライトなどが使用で
きる。また、その製造方法として特別な制約はない。
【0072】本発明においては、上記磁性粒子の表面を
樹脂等で被覆するが、その方法としては、樹脂等の被覆
材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布し磁性粒子
に付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来
公知の方法がいずれも適用できる。被覆層の安定のため
には、被覆材が溶剤中に溶解する方が好ましい。
【0073】上記磁性粒子の表面への被覆物質として
は、トナー材料により異なるが、例えば、アミノアクリ
レート樹脂、アクリル樹脂、或いはそれらの樹脂とスチ
レン系樹脂との共重合体などが好適である。負帯電する
樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエ
チレン重合体、ポリフッ化ビニリデンなどが、帯電系列
において負側に位置し好適であるが、必ずしもこれに制
約されない。本発明に最適なものは、アクリル樹脂ある
いはそれらの樹脂とスチレン系樹脂との共重合体などで
ある。
【0074】本発明に用いられる磁性粒子の材質として
最適なのは、98%以上のCu−Zn−Fe(組成比
(5〜20):(5〜20):(30〜80))の組成
からなるフェライト粒子であって、これは表面平滑化が
容易で帯電付与能が安定し、かつコートを安定にできる
ものである。
【0075】上記化合物の被覆量は、磁性粒子の帯電付
与特性が前述の条件を満足するよう適宜決定すれば良い
が、一般には総量で本発明の磁性粒子に対し0.1〜3
0重量%(好ましくは0.3〜20重量%)である。こ
れら磁性粒子の重量平均粒径は35〜65μm、好まし
くは40〜60μmを有することが好ましい。さらに、
重量分布26μm以下が2〜6%であり、かつ重量分布
35μm〜43μm間が5%以上25%以下であり、か
つ74μm以上が2%以下であるときに良好な画像を維
持できる。
【0076】本発明において、上述の磁性粒子とトナー
粒子の混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2.0
重量%〜9重量%、好ましくは3重量%〜8重量%にす
ると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2.0%
以下では画像濃度が低く実用不可となり、9%以上では
カブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を短
める。
【0077】本発明に用いる電子写真感光体は、表層に
フッ素系樹脂粉体を含有する保護層なる層を有する有機
感光体であれば、特に何ら制限するものではないが、フ
ッ素系樹脂粉体の含有量が、保護層中の含有率で5〜4
0重量%であることが好ましい。5重量%より少ない場
合は前記した様な効果が見られず、また40重量%より
多い場合は成膜性が悪くなる傾向にあり、やはり好まし
くない。
【0078】本発明の電子写真感光体に用いられるフッ
素系樹脂粉体は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリク
ロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テ
トラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、及
びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の群か
ら選ばれた1種または2種以上から構成されているもの
である。市販のフッ素原子含有樹脂微粒子をそのまま用
いることが可能である。0.3万〜500万の分子量の
ものが使用可能であり、0.01〜10μ、好ましくは
0.05〜2.0μの粒径のものが使用可能である。
【0079】本発明における粒度分布測定について述べ
る。
【0080】測定装置としては、コールターカウンター
TA−II型(コールター社製)を用い、個数平均分
布,体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機
製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン
製)を接続し電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%
NaCl水溶液を調製する。
【0081】測定法としては、前記電解水溶液100〜
150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはア
ルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さ
らに測定試料を0.5〜50mg加える。
【0082】試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で
約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンタ
ーTA−II型により、アパチャーとして100μmア
パチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定
して体積平均分布、個数平均分布を求める。
【0083】これら求めた体積平均分布、個数平均分布
より、重量平均粒径(D4)を得る。
【0084】本発明におけるトナーの溶融挙動の測定
は、高架式フローテスター(島津フローテスターCFT
−500型)を用い、先ず加圧成形器を用いて成形した
重量1.0gの試料を昇温速度5.0℃/minでプラ
ンジャーにより20kgfの荷重をかけ直径1mm,長
さ1mmのノズルより押し出すようにし、これによりフ
ローテスターのプランジャー降下量を測定した。この
時、フローテスターのプランジャー降下量−温度曲線の
試料流出開始点における温度を流出開始温度とする。
【0085】本発明におけるワックスの融点の測定は、
DSC−7(パーキンエルマー製)を用いて昇温速度1
0℃/minで行い、1回目の昇温時のDSCカーブに
おいて、最大の吸熱を示すピークの頂点の温度を、ワッ
クスの融点とする。
【0086】本発明の分子量測定方法を、以下に示す。
【0087】1.サンプル調製 i)標準試料 標準試料として、次に示した市販の標準ポリスチレン
(東ソー製)を用いる。次のように15個の標準ポリス
チレンを4グループに分ける。 8.42×106 7.06×105 3.79×104 2.98×103 4.48×106 3.35×105 1.96×104 8.7×102 2.89×106 1.9×105 9.1×103 5.0×102 1.09×106 9.64×104 5.57×103 30mlサンプルビンにグループ内の試料を約3mg
(ミクロスパーテルに1杯)ずつ取り、15mlのTH
Fを加え、室温に4hrs放置する。次いで、メンブラ
ンフィルター(0.50μ:東ソー製)を用いて濾過
し、標準試料とする。 ii)未知試料 試料60mgをサンプルビンに秤量し、さらにTHF1
5mlを加える。抽出条件は初期3hrsは30分毎に
振とうしながら、室温に24hrs放置する。不溶分を
遠心分離(5000rpm/20min)により沈降さ
せた後、その上澄液について、メンブランフィルター
(0.50μ:東ソー製)を用いて濾過し、サンプルと
する。
【0088】2.GPC 装置としてウォーターズ社、150C ALC/GPC
を用い、以下の条件下で測定した。 i) 溶 媒 THF(キシダ化学製 特級) ii) カラム ショーテックスA−801,A−80
2,A−803,A−804,A−805,A−80
6,A−807の7連結 (昭和電工製) iii)温 度 40℃ iv) 流 速 1.0ml/min v) 注入量 1.0ml vi) 検出器 RI
【0089】3)GPCデータ処理法 i) 検量線 ・標準試料のクロマトグラムをとりピーク時の保持時間
を読む。ピークが分かれている時はメインピークの時間
とする。 ・標準試料の分子量とピークの保持時間より検量線を引
く。
【0090】ii)未知試料 ・未知試料のクロマトグラムをとりその保持時間から検
量線を用いて分子量を算出する。
【0091】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に
説明する。
【0092】(実施例1)イオン交換水709gに0.
1M−Na3PO4水溶液451gを投入し60℃に加温
した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用い
て12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−C
aCl2水溶液67.7gを徐々に添加し、Ca3(PO
42を含む分散媒体を得た。
【0093】 スチレン …170g 2エチルヘキシルアクリレート …30g パラフィンワックス(m.p.75℃) …60g C.I.ピグメントブルー15:3 …10g スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体 …5g (Mw=5万,Mw/Mn=2.5,酸価50) ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 …3g 上記処方のうち、C.I.ピグメントブルー15:3と
ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物とスチレン
だけをエバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて予備
混合を行った。次に、上記処方全てを60℃に加温し、
溶解,分散して単量体混合物とした。さらに、60℃に
保持しながら、開始剤ジメチル2,2’−アゾビスイソ
ブチレート10gを加えて溶解し、単量体組成物を調製
した。
【0094】前記ホモミキサーの2リットルフラスコ中
で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。6
0℃で窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて、1
0000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒
した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で3時
間反応させた後、80℃で10時間重合させた。
【0095】重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩
酸を加えて、Ca3(PO42を溶解し、濾過,水洗乾
燥することにより、重合トナーを得た。
【0096】得られたトナーの粒径をコールターカウン
ターで測定したところ、重量平均径8.2μmでシャー
プな粒度分布を有していた。また、粒子の表面は、不定
形で陥没したような起伏を有していることが電子顕微鏡
による観察で確認された(R/r=1.07,L/2π
r=1.05)。さらに、粒子の断面を染色超薄切片法
により、透過型電子顕微鏡で観察したところ、スチレン
−アクリル樹脂を主体とする表層部とワックスを主体と
する中心部に分かれており、表面から粒子の粒径の0.
15倍の深さまでの表面近傍には、ワックスを主体とす
る相が存在しないことが確認された。
【0097】得られたトナー100重量部に対して、B
ET法による非表面積が200m2/gである疎水性シ
リカ0.7重量部を外添した。このトナー7重量部に対
し、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体で表面被覆
したCu−Zn−Fe系フェライトキャリア93重量部
を混合し、現像剤とした。
【0098】この現像剤を用いて、市販のカラー複写機
(CLC−500キヤノン製)の感光体を10部のポリ
4フッ化エチレン粉体(ルブロンL−2,ダイキン工業
社製)を含有するポリカーボネートを表層に有する有機
感光体(表面粗さ約1.6μm)に変更して画出しを行
った。
【0099】現像条件は、 20℃/10%下で現像コントラスト430V 23℃/65%下で現像コントラスト320V 30℃/80%下で現像コントラスト270V であり、それぞれ1万枚行った。
【0100】その結果、クリーニング不良は全く発生せ
ず、画像濃度も1.4〜1.6と非常に安定しており、
がさつきも無い非常に鮮明な画像が得られた。
【0101】(実施例2)実施例1において用いる極性
樹脂を、(Mw=10万,Mw/Mn=3.5,酸価7
0)のスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共
重合体に代えたことを除いて、同様にして重量平均径
8.0μmのシアントナーを得た(R/r=1.08,
L/2πr=1.08)。
【0102】実施例1と同様にして、現像剤を調整し、
1万枚の耐久を行ったところ、画像濃度の変動も少な
く、常に安定した画像が得られ、クリーニング不良も全
く観察されなかった。また、耐久後のトナーをFE−S
EMにて観察したところ、耐久前とほぼ同様の表面凹凸
化したトナーであること、ならびに表面に付着されてい
るシリカを確認した。
【0103】(比較例1)実施例1において、極性樹脂
を用いなかったことを除いて、同様にして8.3μmの
シアントナーを得た。
【0104】同様にして現像剤を調整し、画出ししたと
ころ、耐久とともに画像濃度が低下し、3000枚をす
ぎたあたりからクリーニング不良が発生した。耐久スタ
ート時のトナーをFE−SEMにて観察したところ、表
面の凹凸はなく真球状のトナーであった。
【0105】(比較例2)実施例1において用いる極性
樹脂を、 (Mw=30000,Mw/Mn=3.8,酸価0.2) のスチレン−ブチルアクリレート共重合体に代えたこと
を除いて、同様にして重量平均径8.6μmのシアント
ナーを得た。
【0106】得られたトナーの粒度分布はかなりブロー
ドであり、しかも表面の凹凸はなく、真球状のトナーで
あった。
【0107】このトナーを用いて耐久を行ったところ、
濃度低下が激しく、しかも得られた画像はがさついたも
のであった。
【0108】(比較例3)実施例1において用いる極性
樹脂を、 (Mw=30000,Mw/Mn=3.2,酸価108) のスチレン・ブチルアクリレート・アクリル酸の共重合
体に代えてみたところ、上記樹脂のモノマーへの溶解性
は悪く、しかも用いたパラフィンワックスのモノマー溶
液への溶解性が極端に低下し、造粒性が著しく低下し、
トナーの製造を中断した。
【0109】(実施例3)実施例1において用いる感光
体を、10部のポリ4フッ化エチレン粉体を含有するポ
リカーボネートを表層に有する有機感光体(表面粗さ約
0.6μm)に変更して、画出しを行ったところ、良好
な結果が得られ、クリーニング不良は発生しなかった。
【0110】(実施例4)実施例1において現像装置を
図4の構成になるよう改造し、実施例1のトナーを使用
して非磁性一成分現像で画出しを行った。
【0111】このとき、現像剤担持体4の表面は結晶性
グラファイトを40部分散させたフェノール樹脂をコー
トしたスリーブ(コート層厚10μm)を使用し、6は
ウレタン製スポンジローラーであり、現像剤塗布ブレー
ド7は現像剤担持体4上に線圧50g/mmで当接され
ている。
【0112】現像条件は、現像剤担持体4と潜像保持体
3の間隙を300μmとし、2.0KHz,1.8KV
ppの交番電界を重畳した現像バイアスを印加した。
【0113】これによると、1万枚の耐久の後も濃度低
下がなく、がぶり,がさつきのない安定した画像が得ら
れ続けた。
【0114】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の画像形成方
法によれば、経時劣化のない耐久性,定着性,耐ブロッ
キング性,帯電安定性,保存安定性等に優れたトナーの
適用により、画像濃度が高く、がさつきのない非常に鮮
明な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】潜像保持体表面の温度と摩擦係数の関係を示し
たものである。
【図2】本発明に適用するトナーの外形条件を説明する
ための図である。
【図3】本発明に適用するトナーが2相に分離した状態
を示す断面図である。
【図4】現像剤担持体,潜像保持体,その他周辺機器の
関係を示す概略図である。
【符合の説明】
1 A相(高軟化点樹脂) 2 B相(低軟化点樹脂) 3 潜像保持体 4 現像剤担持体 5 現像剤 6 スポンジローラー 7 現像剤塗布ブレード 8 電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 建彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 有機半導体からなる潜像保持体を使用し
    て、現像剤で現像像を形成し、該現像像を転写材に転写
    し、一方、潜像保持体上の残留現像像はカウンターブレ
    ードクリーニング手段にて除去し、該潜像保持体を繰り
    返し使用して、カラー画像を形成する画像形成方法にお
    いて、 a)該潜像保持体として、その表面層にフッ素系樹脂粉
    体を5〜40重量%含有する有機感光体を用い、 b)該現像剤として、少なくとも懸濁重合によって直接
    得られた実質上球形状のトナー粒子と外添剤とからな
    り、該トナー粒子が投影面に対して、 半径rの最大内接円と半径Rの最小外接円との間に、 1.00<R/r<1.20 の関係を満足するトナーであり、かつ、 投影面の周辺長Lと内接円の円周長2πrとの間に、 1.01<L/2πr<2.00 の関係を満足する凹凸を表面に有したトナーを用いるこ
    とを特徴とする画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH01129837A (ja) * 1987-11-13 1989-05-23 Sumitomo Electric Ind Ltd 肝機能検査装置
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