JPH0534859U - 揚網装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 網の揚網作業を安全に、かつ、効率的に行
い、揚網時における捕獲物の損傷を少くすることのでき
る揚網装置を提供する。 【構成】 網の投揚網が行われる船尾部より船内側にウ
インチを設け、このウインチにより繰出しと巻取りとを
行われるロープの途中部分を船尾部に配設された滑車に
巻回させて展張し、前記ロープに網を懸架する複数のフ
ックを所定間隔を持って連結させたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、トロール網等の網の揚網作業を安全に、かつ効率的に行い、揚網時 における捕獲物の損傷を少くすることができる揚網装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般にトロール漁法は海中にトロール網を投入し、機船でその網を曵くことに より魚を網中に捕獲する漁法である。このトロール網の各部は、曵綱に連結され ている最前部の開口部両側部分を袖網、中央部分を身網、そして捕獲した魚が集 められる網の一番奥の部分をコッド網という。

【０００３】 漁獲作業が終わった後に捕獲した魚を船に引き上げる揚網作業は、まず、袖網 に連結している左右２本のロープを、機船上の専用のトロールウインチにより、 ある程度のところまで引き上げる。その際に、捕獲された魚は身網を通り、網底 であるコッド網内に集められる。この操作でトロール網もある程度のところまで 船上に引上げることができる。しかし、捕獲した魚が大量に入っているコッド網 やその近傍の身網の部分は相当の重量があり、また、捕獲魚が船尾に引っ掛かる ため引き上げ作業の効率も悪く、その品質確保の上からもトロール網揚網用の専 用のトロールウインチの他に、補助的なウインチを使用して丁重に引き上げる必 要があった。

【０００４】 その従来の補助的なウインチからなる揚網装置を図２により説明すれば、機船 １の船尾部近くの甲板の両側端に設けられた柱２、２に渡された横梁３の中央に 設置されている滑車４と、船尾から適当距離だけ離れた甲板上に設けられた１つ のウインチ５と、ウインチ５から繰り出されるとともに途中を滑車４に巻回され 先端にフック７が取り付けられているワイヤロープ６とによって、構成されてい る。

【０００５】 この従来の揚網装置によるトロール網、特にコッド網部の揚網作業は次のよう にして行なわれる。

【０００６】 先ず、船尾のギヤロース８の下までトロールウインチ（図示せず）によって引 き上げられたコッド網９に人手によってフック７を掛ける。次に、揚網用のウイ ンチ５でワイヤロープ６を巻き取ることにより、コッド網９をスリップウエイを 滑らして甲板中央方向に引込むと同時に、トロールウインチによるトロール網の 巻き上げを行う。フック７が滑車４の設置位置の近傍に達したら、各ウインチに よる巻上げを停止させる。その後、トロール網と一緒にコッド網９をそのままの 位置に停止させているうちに、人手によりフック７をコッド網９から外してギヤ ロース８の付近のコッド網９の途中部分にフック７を掛け直して、再びウインチ ５で甲板中央方向に引込む。このような作業を繰り返し行うことにより、内部の 魚を損傷させないようにしてコッド網９の揚網が完了される。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、大量に捕獲物の入った網に対して、１つのフック７を掛け代える作業 は時間を浪費し、また、網の近辺をフック７を引きながら歩行することで、網の 海中への落下に巻き込まれる等の危険を多く孕む等の問題があった。

【０００８】 本考案はこれらの点に鑑みてなされたものであり、網の揚網作業を安全に、か つ、効率的に行い、揚網時における捕獲物の損傷を少くすることのできる揚網装 置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するために、本考案は、網の投揚網が行われる船尾部より船内 側にウインチを設け、このウインチにより繰出しと巻取りとを行われるロープの 途中部分を船尾部に配設された滑車に巻回させて展張し、前記ロープに網を懸架 する複数のフックを所定間隔を持って連結させたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】

本考案の揚網装置によれば、ウインチと滑車との間に展張されているロープに 連結されている複数のフックのうち、いずれかが揚網に供されている時には、他 のいずれかが船尾部の滑車方向へ戻るようになっているので、捕獲した魚の詰ま ったトロール網に対してフックを掛け替える作業が安全に、かつ、容易となり、 短時間で揚網作業を行うことができる。

【００１１】 また、このようにして水揚げされた捕獲魚は損傷も少く、鮮度の高いものとな る。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１について説明する。

【００１３】 本考案の網揚網装置は、機船１のコッド網９等の引き上げ口にあたる船尾に設 けられているギヤロース８の横梁３の中央部分に設置されている滑車４と、船尾 から適当距離離れた甲板上の適当高さに左右に並べて設けられた２基のウインチ ５ａ、５ｂと、左右の２基のウインチ５ａ、５ｂに両端部を固着されるとともに 、その途中部分を滑車４に巻回して展張されたワイヤロープ６と、ワイヤロープ ６からコッド網９等のトロール網までの適当長さに連結ロープ１０をもって吊下 された２個のフック７ａ、７ｂによって構成されている。

【００１４】 このワイヤロープ６の長さは少なくとも滑車４の位置からウインチ５ａ、５ｂ の位置までの距離の３倍は必要であり、フック７ａ、７ｂは一方のフック７ａが 片側の滑車４の直前にある時には、もう一方のフック７ｂは反対側のウインチ５ ｂの手前にあるように、その間隔は大体、滑車４からウインチ５ａ、５ｂまでの 距離と等しく設けられている。

【００１５】 次に、本実施例の作用を説明する。

【００１６】 トロール漁法による漁獲が終了すると、トロール網は曳綱につながるトロール ウインチで、ある程度のところまで引き上げられる。この時、コッド網９には捕 獲した魚が集められ、かなりの重量があり、かさもある。そこで、船尾のギヤロ ース８の下まで引き上げられたトロール網の身網部分やコッド網９に一方のフッ ク７ａを掛け、そのフック７ａと同じ側のウインチ５ａによってワイヤロープ６ を巻上げるとともに、他方のウインチ５ｂよりワイヤロープ６を繰り出すように してコッド網９等を両フック７ａ、７ｂの間隔だけ船上に揚網し、同時に、図示 しないトロールウインチで曳綱を巻上げる。この操作で、使用していないもう一 方のフック７ｂはウインチ５ｂのそばから逆にギヤロース８の滑車４の近くまで 引き出されることになる。そこで、滑車４の近くに繰り出されたフック７ｂを、 引き上げられた状態を保っているところのギヤロース８の下のコッド網９等に掛 けて安定させた後に、先ほど使用して現在はウインチ５ａのそばに引き寄せられ たフック７ａをはずす。その後、コッド網９等に掛けられたフック７ｂと同じ側 のウインチ５ｂで甲板中央方向にコッド網９等を引込むという一連の作業を繰り 返し行って、コッド網の揚網を完了させる。

【００１７】 このコッド網９の揚網方法によればフック７ａ、７ｂの掛け替え作業が容易で 、短時間に、かつ、安全に作業を遂行でき、また、捕獲された魚も無理のかから ない水揚げ作業によって、その品質を損なわなくてすむ。

【００１８】 なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、必要に応じて変更する ことができる。例えば、１基のウインチによりロープ６の繰出しと巻取りとを同 時に行うようにしてもよい。

【００１９】

【考案の効果】

このように本考案は構成され作用するものであるから、コッド網の揚網作業を 安全に、かつ、効率的に行うことのできる揚網装置を提供でき、また、捕獲した 魚の損傷も少ない等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１実施例の構成を示す部分斜視図

【図２】本考案の従来例の構成を示す部分斜視図

【符号の説明】 １ 機船 ２ 柱 ３ 横梁 ４ 滑車 ５ａ、５ｂ ウインチ ６ ワイヤロープ ７ａ、７ｂ フック ８ ギヤロース ９ コッド網 １０ 連結ロープ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 網の投揚網が行われる船尾部より船内側
   にウインチを設け、このウインチにより繰出しと巻取り
   とを行われるロープの途中部分を船尾部に配設された滑
   車に巻回させて展張し、前記ロープに網を懸架する複数
   のフックを所定間隔を持って連結させたことを特徴とす
   る揚網装置。