JPS608686Y2 - 魚網引き上げ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はトロール魚船の上甲板に配備される魚網引き
上げ装置に関する。

トロール魚船の上甲板では、該上甲板に魚網を引き上げ
、魚倉の上方に位置するハツチの配置位置で、引き上げ
た魚網を吊り揚げ、ハツチを開口し、魚網を開いて捕獲
した魚を魚倉へ落す如き作業が行われる。

而してこの作業において魚網を上方へ吊り揚げる時点で
は、牽引ウィンチによっである程度引き上げられている
魚網の末端部はいまだスリップウェイの中途部にあって
、この魚網を持ち上げて揚引ウィンチのロープ掛けを行
う所謂吊具掛は作業は大変な重労働となる。

即ちこの際の魚網には、海水の吸着、捕獲した魚の重量
等により大きな張力が働いていて多くの人手と時間を要
する。

そこで何等かの解決策が要請されていた訳であるが、ト
ロール船の上甲板は、作業現場そのもので作業者の保安
上、大きくスペースを取る装置、上甲板に凹凸を形成す
る装置は好ましくなく、具体的な解決策が見出されてい
なかった。

本考案は、上記実状の下に、極めて簡単な構成の装置で
、上甲板の平板さ維持を損うことなく、しかも上記重労
役を解除し得る具体性のある魚網引き上げ装置を提供す
る目的でなされたもので、その特徴とするところは、上
記両ウィンチに加え、揚引ウィンチの掛装箇所近傍の甲
板に、常時は甲板と同一平面を形成して収納され揚引ウ
ィンチのロープ掛装時に上方へ突出駆動される間隙付与
部材を配備してなる点にある。

以下、例示図面に基いて本考案を詳述する。

第１図は本考案装置の１例を示す全体図を示し、１は船
尾に設けられたスリップウェイ、２は第４図に示す魚網
３を引き上げる牽引ウィンチ、４は魚倉、５は魚倉４の
上方で甲板６に設けられたハツチ、７は前記ハツチ５の
上方へ魚網３を引き揚げる揚引ウィンチを示す。

具体的には、上記ハツチ５の近傍に立設されたデリック
ポスト８の上部に揚引用滑車９を配設し、揚引ウィンチ
７に巻き回した揚引ロープ１０を前記揚引用滑車９に巻
き回してハツチ５上に吊下させ、その吊下先端に魚網３
を吊り揚げるための吊具１１を係着する一方、この吊具
１１に、魚網の吊揚げ位置を調節するための補助ロープ
１２端を係着させ、該補助ロープ１２は上記デリックポ
スト８と牽引ウィンチ２補助ドラムとの間に立設した補
助ポスト１３に吊設した補助滑車１４に巻き回わして牽
引ウィンチ２に接続し、以って吊り具１１を船首側斜め
上方に引き寄せ得る構成としである。

１５は魚網３の先端に係着され該魚網３を引き寄せるた
めの牽引ロープを示す。

１６は上述のハツチ５のやや船首側の甲板６上面に固着
されたスロープ板で、該スロープ板１６は、魚網３の牽
引作業及び揚引作業をスムーズに行うべく、甲板６上面
に緩かな傾斜を持つ小山状に設定されている。

そして、上記スロープ板１６の頂部には、常時は甲板５
（実施例にあってはスロープ板１６）と同一平面を形威
して収納され揚引ウィンチ７の揚引用ロープ１０を魚網
３に掛装するときに上方へ突出駆動される間隙付与部材
１７が配備されている。

第２図は上記間隙付与部材１７の具体的構成を例示すべ
く第１図の■−■線部分を断面して示す図、第３図は第
２図における■−■線断面図である。

すなわち、スロープ板１６の頂部にその横断方向へ長溝
１８を形威し、ここに丸棒状の間隙付与部材１７を嵌合
させ、該間隙付与部材１７の下面にシリンダ１９の摺動
軸２０を固着し、上記シリンダ１９は保護室２１等に固
定し、以ってシリンダ１９の摺動軸２０を動作させるこ
とにより間隙付与部材１７がスロープ板１６上に突出さ
れ或いは長溝１８に嵌合収納される構成とされている。

尚、上記保護室２１は甲板６に直接固着してもよく、或
いは魚倉４を形成する室（図示せず）の壁面に固着する
ようにしても良い。

又、間隙付与部材１７の形状は丸棒状に限るものではな
いが、魚網３を傷めぬよう、少くともその上面は丸味を
帯びた形状が良い。

又、上記実施例においてはシリンダ１９を用いてて間隙
付与部材１７を上下動させる構成としているが、モータ
等に依り駆動させることも可能である。

第４図イ９口は、上記実施例の装置の使用状態を例示す
る。

もので、魚網３の先端にその一端が係着された牽引ロー
プ１５を牽引ウィンチ２で引っ張り、魚網３の後端がス
リップウェイ１上に引き上げられた段階で、シリンダ１
９を作動して間隙付与部材１７を上方に突出させ第４図
イの状態となす。

この操作によって甲板６（実施例にあってはスロープ板
１６）と魚網３との間に間隙りが得られ、この間隙りを
利用して揚引ローブ１０の吊具１１を魚網３で係着する
。

従って実施例装置による吊具１１の魚網３への係着作業
は、間隙付与部材１７が間隙りを保持した状態下におい
て行われるため、極めて軽作業で短時間のうちに行われ
る。

かくして吊具１１掛は作業完了の後再びシリンダ１９を
駆動して間隙付与部材１７を長溝１８を嵌合させ、揚引
ウィンチ７を駆動して第４図口に示す如く魚網３を引き
揚げ、魚網３の底部を開きて捕獲した魚を魚倉４へ落す
。

従って吊具１１掛か作業の後は、甲板６が再び元の平板
の状態となっており、作業者は安全に足元を気にせず軽
やかに作業を行える。

以上説明したように本考案に依れば、従来極めて重労働
で長時間を要した作業が、極めて簡単に短時間で果し得
られ、しかも吊具型は作業を行う時点以外は、間隙付与
部材が長溝内に収納されていて甲板が平板な状態とされ
、作業者は安全に作業を行うことができ、作業性の向上
、洋上作業の保安両者共に満足させる有意義な考案であ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の１実施例を示すもので、第１図は全体概
略図、第２図は第１図における■−■線拡大断面図、第
３図は第２図における■−■線断面図、第４図イ９口は
使用状態説明図である。 ２は牽引ウィンチ、３は魚網、４は魚倉、５はハツチ、
６は甲板、７は揚引ウィンチ、１０は揚引ロープ、１７
は間隙付与部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 魚網を船上の所定位置に引き寄せる牽引ウィンチと魚倉
   へのハツチの配置位置で魚網を上方へ引き揚げる揚引ウ
   ィンチとを備えた引き上げ装置であって、上記両ウィン
   チに加え、揚引ウィンチの揚引ロープ掛装箇所近傍の甲
   板に、常時は甲板と同一平面を形成して収納され揚引ウ
   ィンチの揚引ロープ掛装時に上方へ突出駆動される間隙
   付与部材を配備してなるを特徴とする魚網引き上げ装置
   。