JPH05345664A - 高誘電率系セラミック組成物 - Google Patents

高誘電率系セラミック組成物

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JPH05345664A JP4256035A JP25603592A JPH05345664A JP H05345664 A JPH05345664 A JP H05345664A JP 4256035 A JP4256035 A JP 4256035A JP 25603592 A JP25603592 A JP 25603592A JP H05345664 A JPH05345664 A JP H05345664A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い誘電率および優秀な絶縁抵抗を有し、か
つ、ＴＣＣ特性を安定させることができ、積層セラミッ
クコンデンサとして適用する際に回路基板表面に装着し
て小型化に適正に対応することのできる積層セラミック
コンデンサ用の高誘電率系セラミック組成物を提供す
る。 【構成】 ９７．０４〜９７．８０重量％のＢａＴｉＯ
3 主成分に、１．４２〜１．９２重量％のＮｂ2 Ｏ5 、
０．０４〜０．０６重量％のＭｎＯ2 、０．３３〜０．
４５重量％のＣｏＯ、０．３１〜０．４１重量％のＣｅ
Ｏ2 および０．１０〜０．１２重量％のＺｕＯを添加し
て構成されることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は高誘電率系セラミック組
成物に係り、特にＥＩＡ（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｉｎ
ｄｕｓｔｒｙ Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ）規格のＸ７Ｒ
規格（−５５℃〜＋１２５℃の温度範囲で２５℃での誘
電率を基準とするときの誘電率変化率が±１５％以下で
ある特性）を満たし、優秀な誘電率を有するとともに、
高い絶縁抵抗値を有する積層セラミックコンデンサ（Ｍ
ＬＣＣ）用の高誘電率系セラミック組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、ＢａＴｉＯ3 を主成分とする積層
セラミックコンデンサ用のセラミック組成物が多く用い
られており、従来から、ＢａＴｉＯ3 を主成分とした場
合における好ましくない特性を改善するために各種副成
分を添加することが行なわれている。
【０００３】しかし、この場合に、組成物全体に対して
一種類の副成分の添加量のみを変化させるか、あるい
は、複数種類の副成分の添加量を独立的に同時に変化さ
せるようにしているため、前記副成分全体の影響を認識
することが困難であり、安定した誘電率と絶縁抵抗とを
有する所望の組成物およびその添加物を得ることが困難
であった。
【０００４】そのため、従来の積層セラミックコンデン
サ用のセラミック組成物のうちＥＩＡ規格のＸ７Ｒ規格
を満たす高誘電率系セラミック組成物においては、Ｂａ
ＴｉＯ3 ＋Ｎｂ2 Ｏ5 の基本組成物に各種副成分を添加
して製造することが行なわれている。
【０００５】このようなセラミック組成物においては、
例えば、日本国特公昭６１−９９２０７号に開示されて
いるように、前記副成分としてＭｇＯおよびＣｅＯ2 を
添加することが行なわれている。また、他の例として、
日本国特公昭６２−２２９６０５号には、副成分として
Ｃｏ2 Ｏ3 、ＭｎＯ2 およびＣｅＯ2 を添加することが
開示されており、日本国特公昭６０−１９６０６号に
は、ＣａＯおよびＺｎＯを添加して高誘電率系セラミッ
ク組成物を製造することが開示されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の成分で
製造された高誘電率系セラミック組成物においては、誘
電率が３０００以上という高い値を示す反面、損失係数
（ｔａｎδ）が１ｋＨｚでは０．８％以上と高い値を示
すとともに、絶縁抵抗が１０11程度と低い値を示し、さ
らに、ＴＣＣ特性が組成に応じて不規則的に変化して安
定しないという問題を有している。このことは、高誘電
率系セラミック組成物を積層セラミックコンデンサとし
て適用する場合に、小型化を図る上で問題となってい
た。
【０００７】本発明は前記した点に鑑みてなされたもの
で、高い誘電率および優秀な絶縁抵抗を有し、かつ、Ｔ
ＣＣ特性を安定させることができ、積層セラミックコン
デンサとして適用する際に回路基板表面に装着して小型
化に適正に対応することのできる積層セラミックコンデ
ンサ用の高誘電率系セラミック組成物を提供することを
目的とするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明に係る高誘電体セラミック組成物は、９７．０４
〜９７．８０重量％のＢａＴｉＯ3 主成分に、１．４２
〜１．９２重量％のＮｂ2 Ｏ5 、０．０４〜０．０６重
量％のＭｎＯ2 、０．３３〜０．４５重量％のＣｏＯ、
０．３１〜０．４１重量％のＣｅＯ2 および０．１０〜
０．１２重量％のＺｕＯを添加して構成されることを特
徴とするものである。
【０００９】
【作用】本発明によれば、ＢａＴｉＯ3 の主成分に対し
て副成分を本発明の添加量とすることにより、ＥＩＡ規
格のＸ７Ｒ特性を満たすＴＣＣ特性を有し、さらに、３
２００〜３８００という優秀な誘電率を有するととも
に、１０13〜１０14の高い絶縁抵抗値を有する優れた高
誘電率系セラミック組成物を得ることができ、積層セラ
ミックコンデンサに適用して良好な特性を有し適正に小
型化を図ることができるものである。
【００１０】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【００１１】副成分として、１．４２〜１．９２重量％
のＮｂ2 Ｏ5 、０．０４〜０．０６重量％のＭｎＯ2 、
０．３３〜０．４５重量％のＣｏＯ、０．３１〜０．４
１重量％のＣｅＯ2 および０．１０〜０．１２重量％の
ＺｕＯとからなる組成物を混合、粉砕した後１００℃で
乾燥する。その後、前記副成分粉末を９７．０４〜９
７．８０重量％のＢａＴｉＯ3 とともに混合し、加圧し
て成形した後、焼結しＡｇ電極で塗布し焼付けした。
【００１２】その結果、ＥＩＡ規格のＸ７Ｒ特性を満た
しつつ、誘電常数が３２００〜３８００程度の優秀な誘
電率を有し、１０13〜１０14の高い絶縁抵抗値を有する
積層セラミックコンデンサ用高誘電率系セラミック組成
物を得た。
【００１３】前記組成物の成分のうち、Ｎｂ2 Ｏ5 は、
結晶粒の成長を制限して２〜３μｍ程度の微細な結晶粒
に形成するとともに緻密な組織に形成し、ＣｅＯ2 は、
１２７０〜１３１０℃で焼結可能にし、液相を形成して
緻密な組織を作る。また、ＭｎＯ2 とＣｏＯは、少量添
加されて温度特性、周波数特性、絶縁抵抗等の電気的特
性を変化させ、ＺｎＯは、形成される液相の流動性を向
上させて緻密な組織を形成させる。
【００１４】このような副成分のＣｏＯ、ＣｅＯ2 、Ｎ
ｂ2 Ｏ5 、ＭｎＯ2 およびＺｎＯが前記各範囲未満で添
加された場合、誘電率は高いが、絶縁抵抗が減少し、誘
電損失係数（ｔａｎδ）が増加する問題点が発生してし
まう。また、前記各副成分が前記各範囲を過ぎて添加さ
れた場合、誘電率が減少し、ＴＣＣ特性がＥＩＡのＸ７
Ｒ規格を満たすことができないという問題点が発生し
た。
【００１５】次に、下記の実施例および比較例に基づい
て本発明の高誘電率系セラミック組成物およびその効果
をより具体的に説明する。なお、これら実施例は本発明
の範囲を限定するものではない。
【００１６】（実施例１）まず、表１に示す組成および
焼結温度にしたがって、純度９９．５％以上のＮｂ2 Ｏ
5 が１．４２重量％、ＭｎＯ2 が０．０４重量％、Ｃｏ
Ｏが０．３３重量％、ＣｅＯ2 が０．３１重量％および
ＺｕＯが０．１０重量％の組成となるようにそれぞれの
成分を計量し、ナイロンジャー（Ｎｙｌｏｎ ｊａｒ）
でプラネタリーミリングマシン（ｐｌａｎａｔａｒｙ
ｍｉｌｌｉｎｇ ｍａｃｈｉｎｅ）により２時間混合し
粉砕して、１００℃を維持するオーブンで１２時間乾燥
した後、この副成分を９７．８０重量％のＢａＴｉＯ3
に添加し、前記と同一機器と同一条件で処理した。
【００１７】その結果得られた組成物を１１００℃で２
時間か焼して本発明の高誘電率系セラミック組成物を製
造した後、５％のＰＶＡ（ｐｏｌｙｖｉｎｙｌａｃｅｔ
ａｔｅ）を５重量％添加して１ｔｏｎ／ｃｍ2 の圧力で
直径１０ｍｍ、厚さ１５ｍｍの円板に成形した。これを
１３１０℃の温度で２時間焼結した後、この焼成体の両
面にＡｇ電極を塗布して７８０℃で１０分間焼付けし
た。
【００１８】 このように形成された実施例１のセラミック組成物につ
いての電気的特性を前記電極の焼付けから２４時間以上
経過した後に測定し、誘電率（ε）および誘電損失係数
（ｔａｎδ）をＨＰ ４２７４Ａ ＬＣＲ ｍｅｔｅｒ
を使用して１ｋＨｚ、２５℃および１Ｖ電界強度（ｏｓ
ｃｉｌｌａｔｉｏｎ）０Ｖ ｄｃ ｂｉａｓで測定し、
温度特性であるＴＣＣ（２５℃の誘電率を基準とした誘
電率の温度変化率）を恒温恒湿槽で−５５℃〜＋１２５
℃の温度範囲で測定し、その測定結果を表２に示す。
【００１９】 （実施例２〜６）実施例２〜６の各実施例については、
Ｎｂ2 Ｏ5 、ＭｎＯ2 、ＣｏＯ、ＣｅＯ2 、ＺｕＯおよ
びＢａＴｉＯ3 の各成分の重量％および焼結温度をそれ
ぞれ表１に示す条件にしたがって実施例１について行な
った方法と同様の方法で誘電体セラミック組成物を製造
した。
【００２０】その後、これら実施例２〜６の各実施例に
ついての電気特性等を実施例１と同様の方法で測定して
その測定結果を前記表２に示す。
【００２１】（比較例１〜４）比較例１〜４について
は、Ｎｂ2 Ｏ5 、ＭｎＯ2 、ＣｏＯ、ＣｅＯ2 、ＺｕＯ
およびＢａＴｉＯ3 の各成分の重量％および焼結温度を
それぞれ表１に示す条件にしたがって実施例１について
行なった方法と同様の方法で誘電体セラミック組成物を
製造し、その後、これら各比較例２〜６についての電気
特性等を実施例１と同様の方法で測定してその測定結果
を前記表２に示した。
【００２２】前記表２に示す測定結果によれば、前記比
較例１および２は、副成分（Ｎｂ2Ｏ5 、ＭｎＯ2 、Ｃ
ｏＯ、ＣｅＯ2 およびＺｕＯ）の含有量をそれぞれ１．
９２重量％および２．０６重量％としており、この副成
分の含有量は実施例３の場合の２．５７重量％に比べて
それぞれ−２５％および−２０％程度減少していること
から、誘電率は安定し高い値を示すものの、絶縁抵抗が
だいぶ減少され、高温ＴＣＣ（＋１２５℃）については
ＥＩＡ規格のＸ７Ｒ特性（±１５％）を満たさなかっ
た。
【００２３】また、前記比較例３および４は、副成分
（Ｎｂ2 Ｏ5 、ＭｎＯ2 、ＣｏＯ、ＣｅＯ2 およびＺｕ
Ｏ）の含有量がそれぞれ３．０８重量％および３．２２
重量％としており、実施例３の組成に比べてそれぞれ＋
２０％および＋２５％増加させていることから、やはり
低温ＴＣＣ（−５５℃）がＥＩＡ規格のＸ７Ｒ特性（±
１５％）を満たさなかった。
【００２４】したがって、本発明による前記実施例１〜
６においては、副成分の含有量を２．２〜２．９６重量
％として、この副成分の含有量を実施例３に比べて−１
５％〜＋１５％の範囲で増減させることにより、ＥＩＡ
規格のＸ７Ｒ特性を満たすＴＣＣ特性を有し、誘電常数
が３２００〜３８００である優秀な誘電率を有し、さら
に、１０13〜１０14の高い絶縁抵抗値を有する優れた高
誘電率系セラミック組成物を得ることができる。その結
果、積層セラミックコンデンサに適用して良好な特性を
有し適正に小型化を図ることができる。
【００２５】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係る高誘電体
セラミック組成物は、ＥＩＡ規格のＸ７Ｒ特性を満たす
ＴＣＣ特性を有し、さらに、３２００〜３８００という
優秀な誘電率を有するとともに、１０13〜１０14の高い
絶縁抵抗値を得ることができる。その結果、積層セラミ
ックコンデンサに適用して良好な特性を有し適正に小型
化を図ることができ、電子、電気機器製品の小型化を図
り、製造コストを低減させることができる等の効果を奏
する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ９７．０４〜９７．８０重量％のＢａＴ
    ｉＯ3 主成分に、１．４２〜１．９２重量％のＮｂ2 Ｏ
    5 、０．０４〜０．０６重量％のＭｎＯ2 、０．３３〜
    ０．４５重量％のＣｏＯ、０．３１〜０．４１重量％の
    ＣｅＯ2 および０．１０〜０．１２重量％のＺｕＯを添
    加して構成されることを特徴とする高誘電率系セラミッ
    ク組成物。
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