JPH05345130A - 炭素系形状選択性触媒及びその製造方法 - Google Patents

炭素系形状選択性触媒及びその製造方法

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JPH05345130A
JPH05345130A JP3105071A JP10507191A JPH05345130A JP H05345130 A JPH05345130 A JP H05345130A JP 3105071 A JP3105071 A JP 3105071A JP 10507191 A JP10507191 A JP 10507191A JP H05345130 A JPH05345130 A JP H05345130A
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健治 橋本
Koichi Miura
孝一 三浦
Kazuhiro Mae
一廣 前
Junichi Hayashi
順一 林
Tatsuo Kawaguchi
竜生 川口
Shigeru Miwa
成 三輪
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 石炭とフェノール樹脂又は石炭とフェノール
樹脂とピッチ、アントラセン、ジヒドロアントラセン、
アセナフチレン、ポリビニルアルコールより選ばれた少
なくとも1種よりなる改質剤から固形物を作り、これを
粉砕し、炭化してなる細孔径0.3〜0.6nm、平均細
孔径に対し0.04±0.02nmの幅の細孔径の占める
割合が70%以上の細孔容積分布を有し、細孔容積が
0.1〜0.2cc/gである炭素系形状選択性触媒とその
製造方法およびこれを用いたメタノール分解反応制御方
法。 【効果】 この触媒は0.3〜0.6nmの範囲で、シャ
ープな細孔径分布を有するほヾ均一な細孔を有する炭素
系触媒又は触媒担体であるので炭素の耐熱性、耐薬品性
と相まって、その形状選択性を活用して、メタノール分
解反応をはじめ各種の化学反応の制御に好適に使用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性および耐薬品性
に優れた炭素質触媒およびその製造方法に関する。更に
詳しくは、石炭、ピッチその他の改質剤およびフェノー
ル樹脂を原料とし、細孔径および細孔径分布を正確に制
御した、形状選択性のある炭素質触媒およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に炭素材料は他の各種工業材料には
見られない優れた特性、即ち比重が小さく、耐熱性、耐
薬品性、耐熱衝撃性、電気および熱伝導性、高温強度、
潤滑性および生体親和性などを有している。
【0003】このことから、古くから電極、耐火物、カ
ーボンブラシ、メカニカルシール、軸受などの高温構造
材料や、特殊機械部品として幅広く利用されている。さ
らに最近の化学技術の進歩により、電子炉用高密度黒鉛
や高性能炭素繊維、生体用バイオカーボンなど新しい機
能を付与した炭素材料が開発されている。
【0004】一方、炭素材料としては、従来より石炭、
石油及びその分解プロセス誘導品等が主として使用され
ているが、エネルギー面も含めて、石油へ依存している
現状の体質を見直す必要に迫られている。石炭はコーク
ス源、燃料が主であるが、石油に替わるエネルギー源、
化学原料源として液化、ガス化等の開発をはじめ幅広く
付加価値を付与する利用技術が求められている。
【0005】特開平3−40912号公報には、炭素質
メソフェーズ微粉末またはこれにバインダーを加え造粒
した成形体を非酸化雰囲気下で、500〜1100℃の
温度領域で炭化する分子ふるい炭素の製造法が提案され
ている。これはコールタールピッチや石油系重質油を3
50℃〜500℃程度の温度て加熱して生成するメソフ
ェーズを使用するものであり、又目的が混合ガス分離に
使用する分子ふるい炭素を製造することにある。
【0006】触媒は化学工業にとって、最も重要な機能
性材料である。この機能を発揮させるためには細孔組織
を適切に制御することが必要とされている。細孔組織の
重要性は以下の理由による。 固体の触媒作用は表面現象であるため、その活性は
第1義的には表面積に比例する。表面積を大きくし、か
つ反応器の運転を円滑に行うためには、多孔質構造が必
須である。 貴金属担持触媒では、表面積あたりの担持率を大き
くすると金属の凝集が起こり易くなり、安定性が低下す
る。 細孔径が反応する分子と同程度となると、反応する
分子を形状、大きさで識別し、特定の反応のみを起こさ
せることが可能となる。
【0007】細孔径の制御による分子形状選択性を有す
る触媒としてはゼオライトがその代表として知られてい
るが、更に耐熱性、耐薬品性等の点において、炭素材料
を原料とした同様の特性を有する触媒が各方面から要望
されていた。
【0008】従来より分子形状選択性を有する炭素は、
基本的には以下に示す4つあるいはそれらを組み合わせ
た方法で製造されている。 熱分解法 サランや塩化ビニリデンを制御された条件下で熱分解す
る方法。 被覆法 活性炭や各種炭化物にピッチや樹脂を加えて熱分解し、
熱分解炭素で細孔を制御する方法。(例えば特開昭49
−106982号公報、特開昭59−45914号公報
など)
【0009】 賦活法 炭化物を厳密な条件下で適度に賦活して細孔を拡大する
方法。(例えば特開昭53−1195号公報など) 蒸着法 活性炭等を600〜900℃の温度でベンゼン、トルエ
ンなどを含むガスで処理し、熱分解炭素を細孔壁に蒸着
させて細孔を縮小する方法。(例えば特公昭56−13
0226号公報など)
【0010】これらの方法はいずれも、炭素材の熱分解
等により予め基本的な細孔を生成させ、次にその細孔径
を目的に合致するように微妙に調整しようとするもので
ある。これらの方法では基本的な細孔の生成が支配的で
あるため、原料の選定が重要であり、多くの原料の中か
ら適切なものを得ることは非常に困難であった。また限
られた原料の組合わせしかできないため、ニーズに応じ
た細孔径に制御することが出来なかったほか、細孔分布
もシャープにできなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、同一
の原料から、各反応目的に応じて細孔径及びその分布を
自由に制御することのできる形状選択性を有する炭素材
系触媒とその製造方法及び該触媒を用いてメタノールを
COとH2 のみに選択的に分解する方法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意研究を行った。その結果、石炭、ピ
ッチ等の改質剤及びフェノール樹脂を混合し、そのピッ
チ配合量、フェノール樹脂量、炭化条件を調整して炭化
することにより、精密に細孔系が制御された形状選択性
を有する炭素材系触媒が得られることを見い出し、本発
明を完成した。
【0013】すなわち本発明は(1) 石炭、フェノー
ル樹脂を原料として混合炭化した細孔径0.3〜0.6
nmで、平均細孔径に対し0.04±0.02nmの幅の細
孔径の占める割合が70%以上の細孔容積分布を有し、
細孔容積が0.1〜0.2cc/gである炭素系形状選択性
触媒であり、(2) 石炭、フェノール樹脂、およびピ
ッチ、アントラセン、ジヒドロアントラセン、アセナフ
チレンおよびポリビニルアルコールの5種の改質材群よ
り選んだ少なくとも1種の改質剤を原料として混合炭化
した細孔径0.3〜0.6nmで、平均細孔径に対し0.
04±0.02nmの幅の細孔径の占める割合が70%以
上の細孔容積分布を有し、細孔容積が0.1〜0.2cc
/gである炭素系形状選択性触媒であり、(3) 原料に
予め金属微粉又は金属塩化合物を混合して触媒を製造す
る混合法又は製造した触媒に金属塩化合物を含浸させる
含浸法のいずれかにより金属を担持させてなる前項1ま
たは2記載の炭素系形状選択性触媒であり、(4) 平
均粒子径10μm以下に微粉砕した石炭20〜70重量
部を、フェノール樹脂20〜40重量部で固化し、該固
化物を10×30メッシュに粉砕した後、炭化すること
を特徴とする前項1記載の炭素系形状選択性触媒の製造
方法であり、(5) 平均粒子径10μm以下に微粉砕
した石炭20〜70重量部に、軟化点60〜100℃、
トルエン不溶解分5〜35重量%、キノリン不溶解分0
〜10重量%を示すピッチ又は他の改質剤0〜40重量
部を混合し、これをフェノール樹脂20〜40重量部で
固化し、更に該固化物を10×30メッシュに粉砕した
後、炭化することを特徴とする前項2記載の炭素系形状
選択性触媒の製造方法であり、(6) 不活性雰囲気下
で昇温速度を2〜20℃/min とし、600〜1,00
0℃の温度範囲で炭化し、昇温速度、炭化温度を該範囲
内で制御することにより、平均細孔径および細孔径分布
を制御することを特徴とする前項4又は5記載の炭素系
形状選択性触媒の製造方法であり、(7) 改質剤添加
量を0〜40重量部の範囲内で、フェノール樹脂添加量
を20〜40重量部の範囲内で調整することにより、平
均細孔径および細孔径分布を制御することを特徴とする
前項5記載の炭素系形状選択性触媒の製造方法であり、
(8) 細孔径が0.4〜0.45nmであり、0.5nm
以上の細孔をほとんど含有しない請求項3又は6記載の
炭素系形状選択性触媒を用いたことを特徴とするCO,
2 のみを選択的に得るメタノール分解方法である。
【0014】原料の混合比は、石炭20〜70重量部に
対して、ピッチ又は他の改質剤0〜40重量部、フェノ
ール樹脂20〜40重量部の範囲で調整して、各原料の
混合比を変えることにより細孔径およびその分布を制御
することができる。ピッチ又は他の改質剤の添加割合を
変えることによって、細孔容積、分布を変化させること
なく、細孔径を正確に制御することができる。即ち、ピ
ッチ等の添加率を大きくすることによって、細孔径を小
さくすることができる。フェノール樹脂は難黒鉛化性炭
素であるため、該樹脂の添加により熱収縮が妨げられる
とともに、細孔径、細孔容積は増大する。本発明におい
て、平均細孔径に対し、0.04±0.02nmの幅の
細孔径の占める割合が70%以上の細孔容積分布を有す
るとは、例えば平均細孔径0.4nmの場合、0.34
nm〜0.46nm又は0.38nm〜0.42nmの
範囲の細孔径容積の占める割合が全細孔容積の70%以
上を占めることを意味する。
【0015】改質剤としては、通常コールタールピッチ
が好適に用いられるが、軟化点60〜100℃、トルエ
ン不溶解分5〜35重量%、キノリン不溶解分0〜10
重量%、好ましくは軟化点70〜90℃、トルエン不溶
解分10〜15重量%、キノリン不溶解分1〜3重量%
を示す中ピッチが好適である。軟化点が60℃未満のピ
ッチでは炭化収率が低く、炭化時に発泡する等の問題が
あり、また軟化点100℃超のピッチでは石炭、フェノ
ール樹脂との混合の際の温度条件が上昇する等の問題が
ある。中ピッチを改質剤として使用した場合のフェノー
ル樹脂による固化は、通常フェノールとホルムアルデヒ
ドを1:1に混合し、触媒として少量のアンモニア水を
加えて95℃で5時間放置する。
【0016】フェノール樹脂を加えて固化させた後、該
固化物を10×30メッシュに粉砕した後、炭化する
が、炭化方法としては不活性雰囲気下において、昇温速
度、炭化温度が正確に設定できる装置であれば何れの装
置でも使用できるが、粉砕粒子の均一反応が可能な流動
層型反応器等を用いることが望ましい。本発明におい
て、10×30メッシュ等の表現は、10メッシュの篩
は通過し、30メッシュの篩上に残るものを意味するも
のとする。
【0017】昇温速度は2〜20℃/min の範囲で調整
するが、好ましくは10℃/min 前後が良い、20℃/
min を超えると発泡したりして、細孔径の制御は困難で
あり、2℃/min 未満では炭化に時間がかかりすぎる。
炭化温度は600〜1,000℃の範囲で調整するが、
600℃未満であると細孔は充分発達せず、また100
0℃を超えると細孔径、細孔面積ともに減少し、目的と
する触媒を得ることが出来ない。600〜1,000℃
の範囲では、炭化温度の上昇に伴い細孔径は小さくな
り、細孔面積は変化しない。
【0018】所定の炭化温度へ到達してからの保持時間
も細孔容積分布に影響を与え、高温の場合は、保持時間
が延びるにつれて、細孔容積および細孔径ともに縮小す
る。
【0019】触媒担体として用いる場合には、Ni、C
o、Mo、Fe、Cu等の金属微粉又は金属硝酸塩等の
水溶性金属塩化合物の金属触媒を原料である石炭、ピッ
チ等と最初から混合して炭化する混合法でもよく、また
得られた炭化物に金属塩化合物を含浸する含浸法でも可
能である。Niを担持させる場合、混合法では金属硝酸
塩をフェノール樹脂の架橋剤であるホルムアルデヒドに
溶解して混合すればよく、含浸法では真空脱気した炭化
物を所定濃度の金属硝酸塩水溶液中に浸漬すればよい。
【0020】原料の混合比、炭化温度条件を組み合わせ
ることにより、得られる炭素質触媒の細孔径を分布のシ
ャープさを保ったまま微妙に制御することが可能であ
る。活性炭の賦活時間、温度、水蒸気分圧などにより賦
活度を制御して、細孔径を大きくできることは従来から
知られているところであるが、この場合には分布のシャ
ープさを保つことは困難であり、細孔分布がブロードに
なってしまう。この点で本発明は細孔径の分布のシャー
プさを保ったまま細孔径を小さくしたり、大きくしたり
することが可能な点で優れていることは明白である。
【0021】細孔径を0.4〜0.45nmに精密に制御
し、Niを担持した本発明の炭素質触媒を用いたメタノ
ールの分解反応への適用例においては、生成物はCO、
2のみであり、CH4 ,H2 O,CO2 は反応中間体
の分子の大きさが細孔径より大であるため生成しない。
これは化学反応の制御に形状選択性を有する触媒が極め
て有効に作用した画期的な例である。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例によって、より具体的
に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1) 触媒の調製 石炭、(バイドリー炭、BCと略称する)を10μm以
下に微粉砕し、フェノール樹脂(PFと略称する)で固
化する。改質剤を使用する場合には、石炭(BC)を1
0μm以下に微粉砕し、これにコールタールピッチ(P
と略称する)又はポリビニルアルコール(PVAと略称
する)と混合した後、フェノール樹脂(PF)で固化す
る。この固化物を粒径約1mmに粉砕して、流動層型反応
器で窒素雰囲気中で昇温速度10℃/min.で炭化温度ま
で昇温して、15分間保持した。コールタールピッチと
しては、軟化点80℃、トルエン不溶解分13.3重量
%、キノリン不溶解分2.5重量%のものを使用した。
【0023】金属触媒の担持は金属硝酸塩を、炭素質触
媒の原料の石炭又はピッチに混合して担持させる混合法
と、製造した炭素質触媒に金属硝酸塩水溶液を含浸させ
る含浸法の2つの方法で行った。なお本発明の方法で製
造した炭素質触媒を水蒸気中で加熱して賦活後、金属を
含浸担持させたものを賦活法とする。炭化過程の重量減
少は、熱天秤を用いて、昇温速度10℃/min.で100
〜1,000℃の温度範囲で測定した。各触媒の細孔容
積分布と平均細孔径はMolecular Probe 法及び窒素吸着
法によって決定した。ガスの拡散係数は、定容系の吸着
装置を用いて、25℃での圧力の経時変化を測定し、こ
れをDrydenらの方法によって解析して求めた。結果を図
1〜5に示す。
【0024】図1にBC−PFを600〜1000℃で
炭化して得られた触媒の細孔分布を示し、図4にBC−
PF−PVAを同じ温度範囲で炭化して得られた触媒の
細孔分布を示した。PVAを添加することにより、細孔
分布が明らかに変化することがわかる。なお、図中、
5.0×10−1nm等の細孔容積は、分子径の異なる
4種のガスの25℃での吸着等温線にDubinin-Astakhov
式を適用して、各々のガスの極限吸着容積を求め、この
極限吸着容積が、その分子径以上の容積に対応するとし
て求めた積算値である。図5においても同様とする。
【0025】図2により、炭化温度と原料(改質剤コー
ルタールピッチ)の混合比(ピッチ重量%)を変化させ
ることにより、細孔径を制御できることが判る。
【0026】図3は、BC−PF−PVA系の触媒の炭
化過程の重量減少曲線および重量減少速度を示した。図
の実線は実験値、破線はBC、PF、PVAがそれぞれ
単独で炭化すると仮定して計算した値である。計算値と
実験値は炭化初期(200〜500℃)で大きく異なる
が、この傾向はフェノール樹脂にアントラセン、ジヒド
ロアントラセン、アセナフチレン、コールタールピッチ
等の改質剤有機物を添加した場合にも観察された。これ
は石炭、フェノール樹脂と改質剤有機物との相互作用に
よるもので、この結果として、改質試料の炭化物の細孔
構造は、BC、PFの単独炭化物の細孔構造とは異なる
と予想できる。
【0027】図5より、炭素質触媒への金属担持は混合
法、含浸法のいずれもシャープな細孔分布を有してお
り、0.5nm以上のミクロ孔が殆んど存在しないのに対
し、賦活後含浸担持したものはブロードな細孔分布とな
り、0.5nm以上のミクロ孔がかなり存在する。図5に
おいては、金属としてNiを使用した場合を示したが、
その他の金属触媒としてCo、Fe、Cuを担持させた
場合の触媒物性を表1、表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】(実施例2) メタノールの分解反応 石炭(BC)を10μm以下に微粉砕し、コールタール
ピッチと混合した後、フェノール樹脂で固化した。これ
を粒径約1mmに粉砕して、流動層型反応器で昇温速度1
0℃/min.で炭化して分子ふるい炭素(Molecular Siev
ing Carbon, MSC )触媒を製造した。担持金属にはメタ
ン化反応に高活性なニッケルを選び、硝酸ニッケルをM
SCの原料(石炭、ピッチ)に混合して担持させる混合
法と製造したMSCに硝酸ニッケル水溶液を含浸させる
含浸法の2つの方法で担持させた。この炭素質触媒を用
いて、次の反応条件により、メタノールの分解反応を行
った。
【0031】結果を図6,7に示す。
【表3】 但しWは触媒重量(g-cat ),Fは装入量(mol/h )を
示す。
【0032】 メタノールの分解反応は以下の反応に従って進行する。 反応進行度 (1) CH3 OH → CO+2H2 ; ξ1 (2) CO+3H2 → CH4 +H2 O ; ξ2 (3) CO+H2 → (CH4 +CO2 )/2 ; ξ3 (1) は分子径の大なメタノールが分子径の小さな水素及
び一酸化炭素に分解する反応であり、(2)(3)は分子径の
小さな水素及び一酸化炭素から分子径の大きなメタンを
生成するが反応中間体の分子径はメタノールやメタンよ
りはるかに大きいと考えられる。
【表4】
【0033】図6には反応特性と平均細孔径の関係を示
した。FAOは反応入口でのメタノール流量でξ1 はメタ
ノールの転化率に相当する。図より平均細孔径が0.4nm
を越えたところより反応が急激に進み細孔径に応じてメ
タノールの転化率も上昇するがξ2 ,ξ3 の反応は殆ど
進行しない。図7には反応特性とメタノールの拡散係数
の関係を示した。拡散係数が大な程メタノールの転化率
は上昇するが、メタンへの転化率は活性炭、賦活品にく
らべ本発明触媒では殆ど進行しておらず形状選択性を示
すことが明らかである。
【0034】
【発明の効果】本発明においては、石炭とフェノール樹
脂、石炭とフェノール樹脂とピッチ等の改質剤を原料と
し、原料の混合比および炭化条件を調整することにより
0.3〜0.6nmの範囲で、シャープな細孔径分布を有
するほぼ均一な細孔を有する炭素系の触媒又は触媒担体
を得ることができる。この触媒は、炭素系触媒の耐熱
性、耐薬品性と相まってその形状選択性を活用して、各
種の化学反応の制御に使用できるものであり、今後の化
学工業において大きな展開が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】石炭‐フェノール樹脂、炭素系触媒の細孔容積
分布を示す。
【図2】平均細孔径と炭化温度及び原料混合比の関係を
示す。
【図3】石炭‐フェノール樹脂‐ポリビニルアルコー
ル、炭素系触媒の炭化時の重量減少曲線と重量減少速度
を示す。
【図4】石炭‐フェノール樹脂‐ポリビニルアルコー
ル、炭素系触媒の細孔容積分布を示す。
【図5】金属担持法、賦活法による細孔容積分布の差違
を示す。
【図6】メタノール分解に伴う各反応の進行度と触媒の
平均細孔径の関係を示す。
【図7】メタノール分解に伴う各反応の進行度とメタノ
ールの細孔内拡散係数との関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01B 31/08 Z 31/18 A (72)発明者 前 一廣 京都府宇治市五ケ庄官有地(番地なし) 京大職員宿舎626 (72)発明者 林 順一 兵庫県神戸市須磨区天神町1−3−19 (72)発明者 川口 竜生 岐阜県本巣郡穂積町生津外宮前1−119 (72)発明者 三輪 成 福岡県北九州市小倉北区中井4丁目4−6

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭、フェノール樹脂を原料として混合
    炭化した細孔径0.3〜0.6nmで、平均細孔径に対し
    0.04±0.02nmの幅の細孔径の占める割合が70
    %以上の細孔容積分布を有し、細孔容積が0.1〜0.
    2cc/gである炭素系形状選択性触媒。
  2. 【請求項2】 石炭、フェノール樹脂、およびピッチ、
    アントラセン、ジヒドロアントラセン、アセナフチレン
    およびポリビニルアルコールの5種の改質材群より選ん
    だ少なくとも1種の改質剤を原料として混合炭化した細
    孔径0.3〜0.6nmで、平均細孔径に対し0.04±
    0.02nmの幅の細孔径の占める割合が70%以上の細
    孔容積分布を有し、細孔容積が0.1〜0.2cc/gであ
    る炭素系形状選択性触媒。
  3. 【請求項3】 原料に予め金属微粉又は金属塩化合物を
    混合して触媒を製造する混合法又は製造した触媒に金属
    塩化合物を含浸させる含浸法のいずれかにより金属を担
    持させてなる請求項1または2記載の炭素系形状選択性
    触媒。
  4. 【請求項4】 平均粒子径10μm以下に微粉砕した石
    炭20〜70重量部を、フェノール樹脂20〜40重量
    部で固化し、該固化物を10×30メッシュに粉砕した
    後、炭化することを特徴とする請求項1記載の炭素系形
    状選択性触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 平均粒子径10μm以下に微粉砕した石
    炭20〜70重量部に、軟化点60〜100℃、トルエ
    ン不溶解分5〜35重量%、キノリン不溶解分0〜10
    重量%を示すピッチ又は他の改質剤0〜40重量部を混
    合し、これをフェノール樹脂20〜40重量部で固化
    し、更に該固化物を10×30メッシュに粉砕した後、
    炭化することを特徴とする請求項2記載の炭素系形状選
    択性触媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 不活性雰囲気下で昇温速度を2〜20℃
    /min とし、600〜1,000℃の温度範囲で炭化
    し、昇温速度、炭化温度を該範囲内で制御することによ
    り、平均細孔径および細孔径分布を制御することを特徴
    とする請求項4又は5記載の炭素系形状選択性触媒の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 改質剤添加量を0〜40重量部の範囲内
    で、フェノール樹脂添加量を20〜40重量部の範囲内
    で調整することにより、平均細孔径および細孔径分布を
    制御することを特徴とする請求項5記載の炭素系形状選
    択性触媒の製造方法。
  8. 【請求項8】 細孔径が0.4〜0.45nmであり、
    0.5nm以上の細孔をほとんど含有しない請求項3又は
    6記載の炭素系形状選択性触媒を用いたことを特徴とす
    るCO,H2 のみを選択的に得るメタノール分解方法。
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