JP2013173623A - 金属担持炭素材料およびその製造方法 - Google Patents

金属担持炭素材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素吸蔵能が向上した金属担持炭素材料を提供する。
【解決手段】細孔を有する炭素材料に金属粒子が担持されてなる金属担持炭素材料であって、担持される金属粒子の平均粒径が3nm以下であり、担持される金属粒子の50%以上の粒径が1nm以下である、金属担持炭素材料である。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属担持炭素材料およびその製造方法に関する。より詳細には、燃料電池用の水素吸蔵材料や電極触媒に適用して好適な金属担持炭素材料およびその製造方法に関する。
多量の水素の吸蔵は燃料電池自動車の実用化に必要不可欠な技術であり、これまでに水素吸蔵合金、化学水素化物、吸着系材料などの水素吸蔵材料の研究が活発に行なわれてきた。水素吸蔵合金および化学水素化物は、吸着系材料と比較して吸蔵量が大きく、水素吸蔵能が5重量%を超えるものが得られているものの、水素の放出に加熱が必要であること、寿命が短いことなどの問題がある。一方、吸着系材料としては、例えば活性炭やカーボンナノチューブをはじめとする炭素材料が挙げられる。吸着系材料では、物理吸着を利用するために水素の吸蔵・放出過程で加熱は不要であるが、水素吸蔵合金や化学水素化物と比較して吸蔵量が少ないという問題がある。そこで近年、物理吸着に加えてスピルオーバーを利用した水素吸蔵方式が注目されている。
スピルオーバーとは、固体表面上に白金などの金属を担持すると、気相中の水素分子が金属の作用により金属表面上で水素原子に解離し、固体表面上に流出する現象である。流出した水素原子が固体表面に吸着されるため、水素を分子のまま吸着させる物理吸着と組み合わせて水素吸蔵能を向上させることができると考えられる。例えば、非特許文献1では、高表面積の活性炭に白金ナノ粒子を担持させると、常温における水素吸蔵能が担持前に比べて大幅に増大することが報告されており、これは、物理吸着に加えてスピルオーバーの効果によるものとされている。
J.Phys.Chem.C,111(2007)11086.
しかしながら、燃料電池自動車の実用化のためには、より多量の水素を吸蔵できる水素吸蔵材料が求められている。したがって、水素吸蔵量をさらに向上させるためには物理吸着に加えてスピルオーバー現象による原子状水素の吸着を促進させる必要があるが、スピルオーバーの機構についてはまだ詳細には解明されておらずスピルオーバー現象による原子状水素の吸着による水素吸蔵量を増大させる事は困難である。
そこで本発明は、スピルオーバーによる水素吸蔵特性が改善された金属担持炭素材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を積み重ねた。その過程で、炭素材料に担持される金属の形態を制御することでスピルオーバー活性が向上しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、細孔を有する炭素材料に金属粒子が担持されてなる金属担持炭素材料であって、担持される金属粒子の平均粒径が3nm以下であり、担持される金属粒子の50%以上の粒径が1nm以下である、金属担持炭素材料である。
本発明によれば、高いスピルオーバー効果が得られ、水素吸蔵量が向上した水素吸蔵材料が得られうる。
金属粒子が導入された金属担持炭素材料を表す模式図である。 ミクロポーラス炭素材料を表す模式図である。 参考例1で調製した試料のTEM写真である。 実施例1で調製した試料のTEM写真である。 実施例2で調製した試料のTEM写真である。 実施例3で調製した試料のTEM写真である。 比較例1で調製した試料のTEM写真である。 実施例1で調製した試料を熱処理および水素処理の前後で、空気雰囲気下で測定したXRDパターン、および実施例2で調製した試料を水素処理の前後で、空気雰囲気下で測定したXRDパターンを示す図である。 参考例1および比較例1で調製した試料のXRDパターンである。 実施例1で調製した試料の200℃で熱処理した後のTEM写真である。 実施例1で調製した試料の300℃で熱処理した後のTEM写真である。 実施例1で調製した試料を25℃、50℃で水素処理した後に測定したTEM写真である。 実施例1で調製した試料を25℃、50℃および70℃で水素処理した後に測定したTEM写真である。 実施例2で調製した試料を25℃、50℃で水素処理した後に測定したTEM写真である。 実施例2で調製した試料を25℃、50℃および70℃で水素処理した後に測定したTEM写真である。 実施例1で調製した試料のXAFS測定結果を示す図である。 実施例2で調製した試料のXAFS測定結果を示す図である。 比較例1で調製した試料のXAFS測定結果を示す図である。 実施例1、実施例2、比較例1で調製した試料について、それぞれ、水素処理前の試料(室温、He中)および水素処理後(室温、50℃、70℃、100℃)の試料のEXAFSから求めた白金の平均配位数、および白金原子周囲の炭素原子または窒素原子の平均配位数をプロットした図(a)、原子間距離をプロットした図(b)、ならびに白金粒子における平均配位数と平均粒径との関係をプロットした図(c)である。 実施例2で製造した試料の水素吸脱着等温線を表す図である。 実施例1で製造した試料の水素処理前および水素処理後の水素吸脱着等温線を表す図である。 実施例2で製造した試料の水素処理前および水素処理後の水素吸脱着等温線を表す図である。 (a)参考例1、(b)比較例1、および(c)実施例3で調製した試料の高圧水素吸蔵特性を表す図である。 実施例1、実施例2、比較例1で製造した試料の水素吸脱着等温線を表す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<金属担持炭素材料>
本発明の一実施形態は、細孔を有する炭素材料に金属粒子が担持されてなる金属担持炭素材料であって、担持される金属粒子の平均粒径が3nm以下であり、担持される金属粒子の50%以上の粒径が1nm以下である、金属担持炭素材料である。
本実施形態による金属担持炭素材料は、図1のように、炭素材料の表面の少なくとも一部に金属粒子が担持されている。水素分子は金属粒子に接触して解離し、解離した水素原子が炭素材料にトラップされる。
本実施形態による金属担持炭素材料は、担持される金属粒子の平均粒径が3nm以下であり、担持される金属粒子の50%以上が、粒径が1nm以下の粒子である。ここで、例えば前記金属がPtである場合、平均粒径3nmの粒子に含まれるPt粒子数は約612個であり、平均粒径1nmの粒子に含まれるPt粒子数は約10個である。金属粒子の平均粒径が3nmより大きい場合、または粒径が1nm以下の金属粒子が全粒子数の50%よりも少ない場合、十分なスピルオーバー活性が得られない。好ましくは、前記金属粒子の平均粒径は1nm以下である。平均粒径の下限値は特に限定されないが、高いスピルオーバー活性を得る観点から、例えば、0.28nmである。また、より好ましくは、粒径が1nm以下の粒子が全粒子数の70%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上であり、特に好ましくは99%以上である。金属粒子の粒径は、CO吸着または超高性能透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
なお、本明細書中、粒径は、透過型電子顕微鏡などの観察手段を用いて観察される粒子(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち最大の距離を意味する。平均粒径の値としては、透過型電子顕微鏡などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒径の平均値として算出される値を用いる。
好ましくは、前記金属粒子は、XAFSから求められる金属原子の平均配位数が5.5以下であり、平均粒径が1.2nm以下である。上記範囲であれば、本発明の効果がより顕著に得られうる。前記金属原子の平均配位数は、より好ましくは4.1以下であり、さらに好ましくは4.0以下である。また、前記金属粒子の平均粒径は、より好ましくは0.70nm以下であり、さらに好ましくは0.65nm以下である。なお、金属原子の平均配位子数および金属粒子の平均粒径は、後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
本実施形態の金属担持炭素材料において、前記金属粒子は前記炭素材料の表面の少なくとも一部に担持されていればよい。また、前記金属粒子は前記炭素材料の細孔内に導入されていてもよい。
担持する金属は、機能性を付与するという観点で8〜10族の金属が用いられうる。また、前記金属は単体だけではなく、2種類以上の金属が担持されていてもよい。中でも、水素吸蔵材料として用いる場合には、Pt、Pd、Ir、Rh、Co、Ni、Ru、Feを用いることが好ましく、Pt、Pd、Niを用いることがさらに好ましく、Ptが特に好ましい。
前記金属は、前記金属を担持させる材料に対して、好ましくは0.01〜50wt%、より好ましくは0.01〜15wt%の濃度範囲内で担持する。ここで前記金属を担持させる材料は、炭素材料、または、前記炭素材料に官能基もしくは配位子などが導入されている場合、これらの官能基または配位子などが導入された炭素材料でありうる。担持されている金属が0.01wt%以上であれば、金属の機能を十分に得ることができる。一方、担持されている金属が50wt%以下である場合には、炭素材料の細孔機能を維持し、高いBET表面積が得られうる。
炭素材料としては、細孔を有するものであれば特に制限はなく、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子などが用いられうるが、物理吸着による水素吸蔵能は表面積が大きいほど高くなるため、水素吸蔵能を高めるためには特にゼオライト鋳型カーボン(ZTC)のようなミクロポーラス炭素材料が好ましく用いられうる。ZTCは、球面状の細いグラフェンシートが3次元状に規則的につながった構造を有し、超高表面積であるため、水素吸蔵特性に優れる。
図2に、ミクロポーラス炭素材料としてのゼオライト鋳型カーボンの一例を模式的に示す。ゼオライト鋳型カーボン2は、ゼオライト1を鋳型として得られたゼオライト炭素2である。より詳細には、ゼオライト鋳型カーボン2の作製には、まず、図2(a)に示すゼオライト1のミクロ孔1aに炭素源である有機化合物を導入した後に加熱処理して図2(b)に示すゼオライト1とゼオライト炭素2との複合体3を調製する。その後にゼオライト1のみを除去することによって、ゼオライト鋳型カーボン2が得られる(図2(c))。ゼオライト鋳型カーボン2は、鋳型として用いたゼオライト1の構造的特徴が反映された、3次元の長周期規則構造と内部にミクロ細孔2aとを有する。
ゼオライト鋳型カーボン2は、その製造にあたり、使用する鋳型材である特定の3次元規則構造を有するゼオライト1が備える構造的特徴を反映した多孔性炭素材料である。ゼオライト鋳型カーボン2は、直径が0.1〜2nmの範囲内にある細孔(ミクロ細孔2a)が網目状に連結した構造を有する。具体的には、ゼオライト鋳型カーボン2は、0.5〜100nmの範囲内の3次元長周期規則構造を有すると共に、ミクロ細孔2aを有する。より具体的には、ゼオライト鋳型カーボン2は、3次元長周期規則構造を構成する炭素鎖と炭素鎖の間の距離が、好ましくは0.5〜100nmであり、より好ましくは0.7〜50nmであり、さらに好ましくは0.7〜2nmである。このように、ゼオライト鋳型カーボン2は、炭素鎖と炭素鎖の間の距離が任意の間隔で3次元的に長周期にわたって規則的に繰り返した構造を有する炭素材料である。なお、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)では、直径2nm以下の細孔をミクロ細孔(micropore)、直径2〜50nmの細孔をメソ細孔(mesopore)、直径50nm以上の細孔をマクロ細孔(macropore)と定義している。ミクロ細孔を有する物質を総称してミクロ(マイクロ)ポーラス材料と称している。
本実施形態において、前記炭素材料は、化学修飾されていないものであってもよく、エッジ部分の少なくとも一部に官能基が導入されてなるエッジ修飾炭素材料であってもよい。官能基を導入する場合、前記官能基は、例えば、前記炭素材料のエッジ部分の少なくとも一部に導入され、アミジン構造を有する官能基が用いられうる。
本明細書中、アミジン構造は、1つの炭素原子に二重結合を介して1つの窒素原子が結合し、単結合を介して1つの窒素原子が結合した構造である。アミジン構造は強塩基で求核性を示すため、後述するようにアミジン構造部分にさらにリン配位子を導入し、金属錯体を導入することができる。本発明に用いられるアミジン構造を有する官能基としては、例えば、下記化学式1で表される官能基が挙げられる。
式中、R、RおよびRは独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数3〜6のシクロアルキル基であり、RとRとが結合して環を形成してもよく、RとRとが結合して環を形成してもよい。
アルキル基は、直鎖であっても、分岐であってもよい。アルキル基またはシクロアルキル基は、置換であっても非置換であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個である。シクロアルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは3〜6個である。アルキル基またはシクロアルキル基の置換基も特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これら以外のアルキル基またはシクロアルキル基が用いられてもよい。RとRとが結合して環を形成する場合、または、RとRとが結合して環を形成する場合、当該環は好ましくは5〜6員環であり、より好ましくは5員環である。
中でも、下記化学式で表される官能基が好適に用いられうる。
上記アミジン構造を有する官能基が導入されてなる炭素材料は親水性を有するため、水蒸気をはじめとする極性を有するガス、酸性ガス、含酸素炭化水素蒸気等の吸着剤として有用である。また、電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極として応用した場合にも性能の向上が期待できる。一般に、EDLCの電解液は極性が大きく、電極表面との親和性(濡れ性)を考慮すると親水性を示す電極が望まれる。活性炭、ミクロポーラス炭素材料も含めて炭素材料は疎水性が強く、キャパシタ等へ応用する場合に親和性(濡れ性)を改変する。このため、EDLCの直接的な性能に関与しない二次的な表面改質処理を行うことがある。これに対し、上記アミジン構造を有する官能基が導入されてなる炭素材料は二次的な表面改質処理を行う必要がなく、そのまま用いることが可能となる。このため、よりすぐれた効果が期待できる。その他、水蒸気の吸脱着を利用する吸着式ヒートポンプにおいて、吸着剤として現在使用されているゼオライトと比べて大幅な性能向上が可能なため、装置の小型化等、性能向上が期待できる。
上記炭素材料、または本実施形態の金属担持炭素材料は、そのBET表面積が1500m/g以上であることが好ましい。例えばゼオライト鋳型カーボンを用いた炭素材料、または金属担持炭素材料は、3次元長周期規則構造とミクロ細孔とを有することによりBET表面積が大きい。一般に吸着材への適用に関しては、BET表面積が大きいことが好ましい。また、吸着する分子サイズにも影響されるが、ミクロ孔が存在することも重要であると考えられる。これに対して、メソ孔は前述した用途への適用に際してはあまり効果がないと考えられる。このため、所望の高い機能を発現させるためには、相対的にミクロ孔が多く存在することが重要であり、なるべくメソ孔は少ない方が良いと考えられる。この目安として、BET表面積は1500m/g以上であることが好ましい。また、2000m/g以上であることがより好ましく、さらには2500m/g以上であることが好ましい。さらにより好ましくは、BET表面積は3000m/g以上であり、特に好ましくは3500m/g以上である。BET表面積が1500m/g以上である場合には、高い水素吸蔵能が得られうる。BET表面積は窒素吸脱着測定によって求めることができる。
上記炭素材料、または本実施形態による金属担持炭素材料は、ミクロ細孔2aの占める容積が、例えば0.6cm/g以上であり、好ましくは0.8cm/g以上であり、1.0cm/g以上であることがさらに好ましい。ミクロ細孔2aの占める容積は、1.2cm/g以上であることがさらにより好ましく、1.5cm/g以上であることが特に好ましい。ミクロ細孔の占める容積が0.6cm/g以上、特には1.0cm/g以上である場合には、十分な水素吸蔵性能が得られうる。ミクロ細孔の占める容積は窒素吸脱着測定によって求めることができる。
炭素材料、または本実施形態の金属担持炭素材料は、その構造的特徴として2次元積層規則性が少ないほど、吸着力が高くなる。例えば、粉末X線回折測定を行った場合には、得られるX線回折パターンは、2次元積層規則性を示す通常26°付近に現れる回折ピークはできるだけ少ないほうが好ましい。この26°付近に現れる回折ピークの存在は、無孔質の炭素層の増加を意味し、BET表面積の低下を意味する。
本実施形態に係る金属担持炭素材料は、−40℃から150℃の範囲で水素を吸蔵放出させることができる。従来、金属担持されていない炭素材料は、温度上昇と共に水素吸蔵量が低下する場合があったが、本実施形態に係る金属担持炭素材料は温度上昇と共に吸蔵能が向上する。また、平均粒径が2〜3nmの粒子状の金属を担持させた場合に比較して、水素分子の解離吸着が促進され、水素吸蔵能が向上しうる。そのため、前記金属担持炭素材料を水素吸蔵材料として用いると、高効率の水素の吸蔵及び放出が可能となる。
また、本実施形態に係る金属担持炭素材料は、10MPaまでの高圧水素吸脱着測定を行った場合のスピルオーバー効果による水素吸蔵量(全水素吸蔵量から物理吸着による水素吸蔵量を差し引いた値)が、例えば炭素材料の重量に対して0.1%以上であり、好ましくは0.2%以上である。
<金属担持炭素材料の製造方法>
本実施形態による金属担持炭素材料は、細孔を有する炭素材料を準備する段階と、前記炭素材料に金属錯体を導入する段階と、前記金属錯体を導入した炭素材料を熱処理するか、または水素と接触させることによって金属錯体を還元し、金属粒子が担持された金属担持炭素材料を得る段階と、を有する方法によって製造することができる。
一般に、炭素材料にナノサイズの金属粒子を導入する方法としては、Pt(NO(NHやHPtClなどの金属錯体を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を利用して還元する方法が用いられている。しかしながら、このような方法では平均粒径が3nm以下の金属粒子を粒径を制御して作製することは容易ではない。
一方で本実施形態の方法によれば、はじめに炭素材料に金属を錯体として導入することで、金属を原子レベルで炭素材料の表面に担持させる。その後熱処理または水素に接触させることで、金属原子を配位子から脱離させる。脱離した金属原子は、複数の原子が寄り集まって(シンタリング)数原子〜数十原子程度のナノクラスターを形成しうる。そのため、金属を高分散で炭素材料に導入することができ、さらに水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて金属を還元する場合と比較して金属原子が過度に凝集することを抑制することができる。また、煩雑な実験操作を回避できる利点がある。
(細孔を有する炭素材料を準備する段階)
原料となる炭素材料(炭素材料前駆体)の入手経路については特に制限はない。商業的に入手可能な商品を用いてもよいし、自ら調製してもよい。以下、ゼオライト鋳型カーボンなどのミクロポーラス炭素材料を用いる場合を説明する。
まず、上記した構造的な特徴を有するミクロポーラス炭素材料を得るためには、構造内部に空孔を有し、この空孔が網目状に連結した構造を有する多孔質材料を鋳型として用いる。そして、この多孔質材料の表面及びミクロ細孔内部に加熱条件下で有機化合物を導入し、加熱することによって有機化合物を炭化し、多孔質材料に炭素を堆積させる。有機化合物の炭化・炭素の堆積は、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法により行う。次に、鋳型である多孔質材料を除去する。この方法により、ミクロ細孔を有するミクロポーラス炭素材料を容易に製造することができる。
鋳型として用いる多孔質材料は、ミクロ細孔内部に有機化合物が導入できること、CVD法の際に元の構造を安定に保つこと、生成したミクロポーラス炭素材料と分離できることが必要である。このため、例えば多孔質酸化物等の耐熱性に優れ、且つ、酸やアルカリで溶解する材料が望ましい。また、既に述べたように、ミクロポーラス炭素材料は鋳型の形態を転写した状態で合成される。このため、鋳型として用いる多孔質材料は、結晶(構造)が十分に発達し、粒径の揃った構造及び組成が均一な材料であることが望ましい。多孔質材料の備えるべき材料物性と、得られるミクロポーラス炭素材料の物性を考慮すると、多孔質材料としてゼオライトを用いることが好ましい。ゼオライトは、シリカ構造のケイ素(Si)の一部がアルミニウム(Al)で置換されたアルミノケイ酸塩であり、骨格自体が負電荷を持つことから構造内にカチオンが分布した構造を有する。また、ゼオライトは、Si/Alモル比、カチオンの種類や量、及びカチオンに水和した水分子の数によって多様な結晶構造を有し、例えば細孔が2次元的に連結した構造や3次元的に連結した構造等の、多様な大きさの細孔を有する多孔質材料である。代表的なゼオライトとしては、ケージ又はスーパーケージといった空隙構造を有するものが挙げられ、ゼオライトの中でもFAU型ゼオライト、FAU型ゼオライトの中でもY型ゼオライトを用いることが望ましい。多孔質材料の除去は、生成したミクロポーラス炭素材料を分離できる方法であれば如何なる方法を用いても良い。例えば、ゼオライトは酸で溶解可能であり、例えば、塩酸やフッ化水素酸を用いることで容易に溶解できる。
有機化合物を炭化して炭素を堆積するために用いるCVD法は、鋳型等の基板上に特定の元素又は元素組成からなる薄膜(例えば炭素からなる薄膜)を作る工業的手法である。通常、原料物質を含むガスに熱や光によってエネルギーを与えたり、高周波でプラズマ化することにより、化学反応や熱分解によって原料物質がラジカル化して反応性に富むようになり、基板上に原料物質が吸着して堆積することを利用する技術である。温度を上げて原料物質を堆積させるものを熱CVD法、化学反応や熱分解を促進させるために光を照射するものを光CVD法、ガスをプラズマ状態に励起する方法をプラズマCVD法と区別することもある。
CVD法で用いる有機化合物は、常温で気体であるか、又は気化できるものが好ましい。気化の方法は、沸点以上に熱する方法や雰囲気を減圧にする方法等がある。用いる有機化合物は、当業者に知られた炭素源物質の中から適宜選択して使用できる。特に、加熱により熱分解する化合物が好ましい。例えば、CVD法で鋳型として用いる多孔質材料の骨格上(例えばシリカゲル骨格上)に炭素を堆積することができる化合物が好ましい。
また、用いる有機化合物は、水素を含む有機化合物でも良い。この有機化合物は、不飽和又は飽和の有機化合物でも良く、これらの混合物でも良い。用いる有機化合物は、二重結合及び/又は三重結合を有する不飽和直鎖又は分枝鎖の炭化水素、飽和直鎖又は分枝鎖の炭化水素等が含まれて良く、飽和環式炭化水素や芳香族炭化水素等を含んでいても良い。有機化合物は、例えば、アセチレン、メチルアセチレン、エチレン、プロピレン、イソプレン、シクロプロパン、メタン、エタン、プロパン、ベンゼン、ビニル化合物、エチレンオキサイド等があげられる。中でも、用いる有機化合物は、多孔質のミクロ細孔内に入り込むことが可能なもの、例えばアセチレン、エチレン、メタン、エタン等を用いることが望ましい。有機化合物は、より高温でのCVDに用いるものと、より低温でCVDに用いるものとでは互いに同一のものであっても異なっていても良い。例えば、低温でのCVDではアセチレン、エチレン等を使用し、高温でのCVDにはプロピレン、イソプレン、ベンゼン等を使用しても良い。
多孔質材料のミクロ細孔内部に有機化合物を導入する際は、多孔質材料を予め減圧にしても良く、系自体を減圧下にしても良い。多孔質材料は安定であるので、CVDにより炭素が堆積する方法であれば如何なる方法を用いても良い。通常は、多孔質材料の骨格上に有機化合物の化学反応又は熱分解で生成した炭素を堆積(又は吸着)させ、多孔質材料と炭素を含むミクロポーラス炭素材料からなる複合体を得る。CVDを行う際は、加熱温度は、使用する有機化合物によって適宜適切な温度を選択できる。通常は、400〜1500℃であることが好ましい。加熱温度は、450〜1100℃であることがより好ましく、500〜900℃であることが更に好ましい。また、550〜800℃であることがより好ましく、575〜750℃、更には600〜700℃の範囲内にすることが望ましい。加熱温度はCVD処理時間及び/又は反応系内の圧力に応じて適宜適切な温度を選択することもできる。CVDの処理時間は、十分に炭素堆積が得られる時間とすることが好ましく、使用する有機化合物や温度によって適宜適切な時間を選択できる。
CVDは、減圧又は真空下、加圧下、若しくは不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガス雰囲気下で行う場合には、不活性ガスとしては例えばNガス、ヘリウム、ネオン、アルゴン等があげられる。CVD法では、通常、気体状の有機化合物をキャリアガスと共に多孔質材料に接触させるように流通させながら加熱し、容易に気相で多孔質材料上に炭素を堆積させることができる。キャリアガスの種類、流速、流量及び加熱温度は使用する有機化合物や多孔質材料の種類によって適宜調節する。キャリアガスは、例えば上記の不活性ガス等があげられる。爆発限界を考慮して、酸素ガス又は水素ガスとの混合物等であっても良い。
CVD法により多孔質材料のミクロ細孔内部に炭素を堆積させる条件として、ミクロ細孔中の炭素の充填量は10〜40wt%の範囲内であることが好ましい。また、炭素の充填量は多孔質材料の重量を基準として15〜30wt%の範囲内に制御することがより好ましい。炭素の充填量が10wt%以上であれば、炭素骨格形成に必要な量の炭素が導入されるため、安定な規則性構造が得られうる。炭素の充填量が40wt%以下であれば、必要以上の炭素が付着することなく、ミクロ細孔容積及びBET表面積が維持されうる。
CVDによる炭素の堆積(吸着)後、多孔質材料とミクロポーラス炭素系材料の複合体を、CVD温度より高い温度で更に加熱しても良い。この加熱温度は、使用する有機化合物によって適宜選択できるが、通常は700〜1500℃である。加熱温度は、750〜1200℃であることが好ましく、800〜1100℃であることがより好ましい。また、825〜1000℃であることが好ましく、850〜950℃、更には875〜925℃の範囲内にすることが好ましい。また、加熱温度は、加熱時間及び/又は反応系内の圧力に応じて適宜選択することもできる。また、加熱時間は生成物を分析し、その結果に基づいて十分な炭素堆積に要求される時間を設定することができる。
また、多孔質材料とミクロポーラス炭素材料の複合体に更に有機化合物を導入して加熱し、更に炭素を堆積させても良い。この場合には、CVD法により得られたミクロポーラス炭素材料の構造がより安定する。炭化は、CVD法によって行っても良く、他の加熱方法で行っても良い。また、加熱温度はCVD温度より高温であっても良く、低温であっても良い。また、導入する有機化合物は、CVD法で導入した有機化合物と同じであっても良く、異なっていても良い。この操作は、複数回行っても構わない。
多孔質材料の表面及びミクロ細孔内に有機化合物を導入してCVDを行う前に、有機化合物を含浸して炭化しても良い。含浸する有機化合物は、多孔質材料のミクロ細孔径より小さな分子サイズを有する有機化合物であれば使用できる。具体的には、有機化合物は、炭化歩留まりの高いフルフリルアルコール等の熱重合性モノマーを用いることが好ましい。有機化合物の含浸方法は、モノマーが液体であればそのまま、固体であれば溶媒に溶解して多孔質材料と接触させる等、公知の手段を採用することができる。なお、多孔質材料の表面に残った過剰なモノマーは、予め洗浄等で除去することが好ましい。例えば、多孔質材料を室温減圧下でフルフリルアルコールと接触させた後、混合物を大気圧に戻すことにより、多孔質材料のミクロ細孔内にフルフリルアルコールを導入することができる。また、多孔質材料の表面に付着した余分なアルコールは、有機溶剤による洗浄で除去できる。
用いる有機化合物は、多孔質材料のミクロ細孔内に挿入可能な大きさを有し、且つ、炭化時に炭素としてミクロ細孔内に残留するものであれば特に制限は無く用いることができる。例えば、有機化合物として、酢酸ビニル・アクリロニトリル・塩化ビニル等のビニル化合物、塩化ビニリデン・メタクリル酸メチル等のビニリデン化合物、無水マレイン酸等のビニレン化合物、エチレンオキサイド等のエポキシ誘導体があげられる。また、グルコース・サッカロース等の糖類、脂肪族多価アルコール類、レゾルシノール・カテコール等の芳香族多価アルコール(ジオール)類、チオフェン等の含窒素複素環化合物、ピリジン・ピリミジン等の含窒素複素環化合物も利用することができる。
炭素材料のエッジ部分などに官能基を導入する場合、その方法は特に制限されない。例えば、炭素材料をアミジン構造を有するアゾ化合物(例えば、水溶性アゾ重合開始剤)と反応させて、アミジン構造を有する官能基を導入する方法が好ましく用いられうる。具体的には、水溶性アゾ重合開始剤を用いてラジカルを生成させ、炭素材料のエッジと反応させる方法が好ましく用いられうる。このような方法によれば、例えば炭素材料としてZTCなどを用いた場合、ZTCの構造規則性を低下させることなくエッジ部分に目的の親水性官能基を導入することができる。
また、通常、ZTCを調製する際に、ZTCの前駆体としてゼオライトと炭素との複合体を調製した後、ゼオライトをフッ化水素酸などで処理して取り除く工程を必要とする。しかしながら、親水性官能基を導入する工程は、上記のゼオライトを取り除く工程で同時に行うことができる。そのため、親水性官能基を導入するために反応ステップを増やす必要がなく、複雑な実験操作も必要としない。さらに、多くの水溶性アゾ重合開始剤は工業的にも利用されているため比較的安価で使用できる。
ここで、アミジン構造を導入するために用いられうる水溶性アゾ重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、下記式に示される化合物が好ましく用いられうる。
炭素材料とアミジン構造を有するアゾ化合物とを反応させる条件は特に制限されない。好ましくは、反応容器に窒素置換しながらアミジン構造を有するアゾ化合物および炭素材料を加え、加熱、攪拌しながら反応させる。反応温度は用いられる水溶性アゾ重合開始剤の10時間半減期温度に応じて、ラジカルが十分発生するように選択されうる。例えば、水溶性アゾ重合開始剤である、水中の10時間半減期温度が44℃であるVA−044を用いる場合、反応温度は、例えば0〜85℃であり、好ましくは30〜70℃であり、より好ましくは40〜65℃である。反応時間は、例えば、0.5〜10時間であり、好ましくは1〜6時間である。
アミジン構造を有するアゾ化合物の使用量は、特に制限されないが、炭素材料の質量に対して、例えば10〜10000質量%であり、好ましくは100〜5000質量%であり、より好ましくは100〜500質量%である。上記範囲であれば、炭素材料のBET表面積の大きな減少がなく、炭素材料の構造を維持しながら、アミジン構造を有する官能基を効率的に炭素材料のエッジに導入することができる。
なお、エッジ修飾ZTCを製造する場合、ZTCを原料として用いて水溶性アゾ重合開始剤と反応させてもよいが、ゼオライトと炭素との複合体を原料として用い、フッ化水素酸などの酸溶液中で水溶性アゾ重合開始剤と反応させ、アミジン構造の導入とゼオライトの除去を同時に行ってもよい。ZTCを原料として用いる場合は、例えば、一般的なガラスフラスコ中で蒸留水とZTCとをよく混合し、不活性ガスをバブリングさせてから水溶性アゾ重合開始剤を添加して反応させることでエッジ修飾ZTCを製造することができる。
(炭素材料に金属錯体を導入する段階)
炭素材料に金属錯体を導入する方法も特に制限されない。例えば(1)炭素材料をリン化合物と反応させてリン配位子を有する炭素材料を得る段階と、前記リン配位子を有する炭素材料を金属化合物と反応させて、前記リン配位子に金属を配位させる段階と、を含む方法;または、(2)炭素材料と金属錯体とを反応させる方法;が挙げられる。
以下、上記(1)、(2)の方法について説明する。
(1)炭素材料をリン化合物と反応させてリン配位子を有する炭素材料を得る段階と、前記リン配位子を有する炭素材料を金属化合物と反応させて、前記リン配位子に金属を配位させる段階と、を含む方法
この方法では、はじめに炭素材料にリン配位子を導入し、次いでリン配位子に触媒となる金属を含む金属錯体を導入して反応させる。この反応は、金属錯体の配位子が配位力の強いリン配位子と置き換わる配位子交換反応によって進行しうる。その結果、金属原子にリン配位子が配位した錯体として担持させることができる。
この際、用いられるリン配位子を導入するためのリン化合物としては、特に制限されないが、好ましくは下記化学式で表されるリン化合物が好ましく用いられうる。
式中、PhおよびPhは同一であっても異なっていてもよく、置換または非置換のフェニル基であり、Xは、ハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、Cl、Brが好ましく、Clがより好ましい。PhまたはPhの置換基としては、特に制限されないが、例えば炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基である。
前記リン化合物の例としては、クロロジフェニルホスフィン、クロロビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、クロロビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、クロロビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、クロロジ(p−トリル)ホスフィン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)クロロホスフィン、クロロビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィンなどが挙げられる。上記のようなリン化合物を用いると、配位子としてPPhPhを有する錯体が導入されうる。
炭素材料とリン化合物とを反応させる条件についても特に制限されない。好ましくは、あらかじめ真空加熱乾燥させて放冷した炭素材料と、リン化合物とを、窒素置換しながら、好ましくはアミン存在下で反応させる。反応温度、反応時間については特に制限されない。好ましくは、はじめに炭素材料に溶媒に溶解させたアミンを含浸させ、これにリン化合物を、例えば−100〜10℃、好ましくは−100〜5℃で少しずつ添加して混合する。その後、反応溶液の温度を、例えば0〜100℃、好ましくは10〜30℃に上昇させ、攪拌しながら反応させる。反応温度を上昇させた後の反応時間は、好ましくは0.5〜72時間であり、より好ましくは2〜24時間であり、さらに好ましくは12〜24時間である。
この際、溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性極性溶媒が好ましく用いられうる。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられる。中でも、THFが好ましい。
アミンとしては、3級アミンを用いることが好ましい。3級アミンとしては、特に制限されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルメチルアミン(N,N−ジエチルメチルアミン)、ジメチルエチルアミン(N,N−ジメチルエチルアミン)などが挙げられる。中でも、トリエチルアミンが好ましい。
リン化合物の使用量も特に制限されないが、好ましくは、炭素材料1gに対して0.1〜50mmolであり、より好ましくは1〜20mmolである。上記範囲であれば、反応が効率的に進行しうる。
リン配位子を有する炭素材料を得た後、好ましくはこれを洗浄して真空加熱乾燥した後、金属錯体と反応させる。用いられる金属錯体についても特に制限されない。好ましい白金錯体としては、例えば、(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)、(2,2’−ビピリジン)ジクロロ白金(II)、(エチレンジアミン)ヨード白金ダイマー、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)白金(II)、ジクロロ(エチレンジアミン)白金(II)、ジクロロビス(ジメチルスルフィド)白金(II)、ジクロロビス(エチレンジアミン)白金(II)、トリクロロ(エチレン)白金(II)酸塩(例えばトリクロロ(エチレン)白金(II)酸カリウム)、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸塩(例えばヘキサヒドロキシ白金(IV)酸ナトリウム)、cis−ビス(アセトニトリル)ジクロロ白金(II)、cis−ジアンミンテトラクロロ白金(IV)、cis−ジクロロビス(ピリジン)白金(II)、cis−ジアンミン白金(II)ジクロリド、cis−ジクロロビス(ジエチルスルフィド)白金(II)、cis−ジクロロビス(トリエチルホスフィン)白金(II)、cis−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、cis−ビス(ベンゾニトリル)ジクロロ白金(II)、trans−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、trans−ジクロロビス(トリエチルホスフィン)白金(II)、エチレンビス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、ジアミンジニトリト白金(II)、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、白金(0)−2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体、白金(II)アセチルアセトナート、硝酸テトラアンミン白金(II)、ジクロロ(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、ジクロロ(ジシクロペンタジエニル)白金(II)、テトラアンミン白金(II)クロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)白金(0)、ヘキサクロロ白金(IV)酸塩(例えばヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸テトラブチルアンモニウム)、ヨウ化白金、塩化白金、などが挙げられる。
好ましいパラジウム錯体としては、例えば、塩化パラジウム、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)メチルパラジウム(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ビシクロ([2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)ジクロロパラジウム(II)、(エチレンジアミン)パラジウム(II)クロリドなどが挙げられる。
前記リン配位子を有する炭素材料と金属錯体とを反応させる条件についても特に制限されない。好ましくは、前記リン配位子を有する炭素材料と金属錯体とを窒素雰囲気中で撹拌または還流しながら反応させる。反応温度は、例えば0〜150℃であり、好ましくは20〜100℃である。反応時間は、例えば、0.5〜72時間であり、好ましくは1〜12時間である。
金属錯体の使用量も特に制限されないが、好ましくは、リン配位子1モルに対して0.001〜10モルであり、より好ましくは0.01〜5モルである。上記範囲であれば、反応が効率的に進行しうる。反応後、濾過、洗浄し、真空加熱乾燥して、金属担持炭素材料を得ることができる。導入されたリン配位子に対する金属錯体の導入率は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析と31P−NMR測定から見積もることができる。
(2)炭素材料と金属錯体とを反応させる方法
この方法では、金属錯体を直接炭素材料に導入して反応させる。導入する金属錯体の配位子の配位力によっては、導入する金属錯体の配位子の一以上が脱離したり、溶媒分子と置換されうる。
炭素材料と金属錯体とを反応させる条件についても特に制限されない。好ましくは、あらかじめ真空加熱乾燥させて放冷した炭素材料と、金属錯体とを溶媒中で撹拌または還流しながら反応させる。反応温度、反応時間については特に制限されない。反応温度は、例えば0〜100℃、好ましくは10〜30℃である。反応時間は、例えば0.5〜72時間であり、好ましくは2〜24時間である。
溶媒としては、金属錯体が溶解するものであれば特に制限されず、上記(1)の方法と同様の溶媒が用いられうる。
用いる金属錯体としても、特に制限されないが、例えば、下記化学式2で表される金属錯体が好ましく用いられうる。
式中、Mは8〜10族の金属から選択され、
式中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基であり、
およびLは単座配位子であり、それぞれ独立して、アセトニトリル、ベンゾニトリル、THF、ジエチルスルフィド、ジメチルスルフィド、およびピリジンからなる群から選択される;または、
およびLは連結して二座配位子を形成し、前記二座配位子は、ジシクロペンタジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボナジエン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、およびtrans,trans−ジベンジリデンアセトンからなる群から選択される。
ここで、アルキル基は、直鎖であっても、分岐であってもよい。アルキル基の置換基も特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、などが挙げられる。アリール基としては、具体的には、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基などが挙げられ、アリール基の置換基も特に制限されないが、例えばハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基などが挙げられる。
中でも、R、Rがアルキル基である金属錯体は、アルキル基が協奏的に脱離することで金属錯体が還元されやすく、好適である。特に、(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)、(1,5−シクロオクタジエン)ジメチルパラジウム(II)などが好ましく用いられうる。
金属錯体の使用量も特に制限されないが、好ましくは、炭素材料に対して、例えば0.01〜100wt%であり、より好ましくは0.01〜30wt%である。上記範囲であれば、反応が効率的に進行しうる。
反応後、濾過、洗浄し、真空加熱乾燥して、金属担持炭素材料を得ることができる。金属錯体の導入率は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析から見積もることができる。
(金属錯体を導入した炭素材料を熱処理するかまたは水素に接触させて金属粒子が担持された金属担持炭素材料を得る段階)
上記の段階で作製した金属錯体を導入した炭素材料を熱処理するか、または水素に接触させることで、金属錯体が還元され、0価の金属となる。そして、この0価の金属が凝集して平均粒径が3nm以下であり、1nm以下の粒子が全粒子数の50%以上である金属粒子(金属クラスター)となる。本実施形態の方法によれば、はじめに金属を錯体として導入するため、金属粒子を高分散で担持させることができる。また、還元剤を用いて金属粒子を得る方法と比較して穏やかに反応が進行しうるため、所定の粒径を有し、粒径がそろった金属粒子を有する金属担持炭素材料が得られうる。
熱処理または水素と接触させる処理によって平均粒径が3nm以下であり、1nm以下の粒子が全粒子数の50%以上である金属粒子が生成する機構は明らかではないが、例えば、上記の化学式2で表される金属錯体の場合、加熱によって、下記式のような機構で平均粒径が3nm以下であり、1nm以下の粒子が全粒子数の50%以上である金属粒子(金属クラスター)が生じうると考えられる。
熱処理の方法は特に制限されない。例えば、金属錯体を導入した炭素材料を真空加熱乾燥した後、好ましくは不活性ガス雰囲気下で加熱する。熱処理の温度は、例えば100〜400℃であり、好ましくは150〜400℃であり、より好ましくは200〜350℃であり、さらに好ましくは200〜300℃である。熱処理の温度が100℃以上であれば金属錯体が効率的に分解され、金属粒子が生成されうる。また、熱処理の温度が400℃以下であれば、金属粒子が過度に大きくなることを抑制できる。そのため平均粒径が3nm以下であり、1nm以下の粒子が全粒子数の50%以上である金属粒子(金属クラスター)が効率的に得られうる。熱処理の時間は、例えば、0.1〜10時間であり、より好ましくは0.5〜2時間である。上記範囲であれば本実施形態の金属クラスターが安定して得られうる。なお、上記熱処理は、複数回行ってもよい。
また、上記の化学式2で表される金属錯体の場合、水素処理によって、下記式のような機構で平均粒径が3nm以下であり、1nm以下の粒子が全粒子数の50%以上である金属粒子(金属クラスター)が生じうると考えられる。
水素処理の条件も特に制限されない。例えば、金属錯体を導入した炭素材料を真空加熱乾燥した後、窒素などの不活性ガスを導入する。その後、水素ガスを、例えば10〜1000cc/min、好ましくは20〜200cc/minで流通させて、例えば0〜150℃、好ましくは20〜100℃の温度で、例えば、0.1〜10時間、より好ましくは0.5〜5時間、水素と接触させる。水素と接触させるときの温度が0℃以上、または水素と接触させる時間が0.1時間以上であれば金属錯体が効率的に分解され、金属粒子が生成されうる。また、水素と接触させるときの温度が150℃以下、または水素と接触させる時間が10時間以下であれば、金属粒子が過度に大きくなることを抑制できる。そのため上記の条件であれは適当な粒径を有し、粒径のばらつきが少ない金属クラスターが効率的に得られうる。なお、上記水素処理は、同じ温度、または異なる温度で複数回行ってもよい。例えば温度を段階的に上げながら複数回の水素処理を行ってもよい。水素処理を複数回行う場合は、水素と接触させる時間の合計が上記範囲であることが好ましい。また、少なくとも1回の水素処理において、水素と接触させるときの温度が上記範囲であることが好ましい。なお、後述するように金属錯体を導入した炭素材料の水素吸脱着測定のサイクル中に水素に接触し、徐々に金属錯体を生成する場合もある。このような場合は上記の水素処理に代えて、水素吸脱着測定のサイクルを水素と接触させる工程として行ってもよい。
<水素吸蔵材料>
本実施形態による金属担持炭素材料は、高い水素吸蔵能を有し、100℃以下の温度で水素の吸蔵、放出が可能である。また、水素の吸蔵、放出に化学反応を伴わないため、耐久性に優れる。そのため、特に燃料電池自動車用の水素吸蔵材料に好適に用いられうる。
<触媒材料>
本実施形態による金属担持炭素材料は、金属を高活性な状態で担持できる。また、数原子〜数十原子程度の金属クラスターとすることで金属の使用量を低減できる。そのため、触媒金属の質量当たりの活性が向上した触媒材料が得られうる。本実施形態による金属担持炭素材料は、例えば燃料電池用電極触媒などの各種触媒に好適に用いられうる。
本発明の作用効果を以下の実施例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<参考例1:ZTCの調製>
乾燥したゼオライト(NaY5.5)にフルフリルアルコール(FA)を含浸した。これを、150℃で8時間熱処理してFAを重合させ、PFA/ゼオライト複合体とした。これをN雰囲気下5℃/minで850℃まで昇温し、次いで700℃で1時間プロピレンCVDを行った。その後N雰囲気下5℃/minで900℃まで昇温して3時間保持し、炭素/ゼオライト複合体を調製した。最後に、この複合体を47wt%のフッ素水素酸100mlに投入後、5時間攪拌してフッ化水素酸処理し、鋳型であるゼオライトを溶解除去してミクロポーラス炭素材料(MPC)であるZTCを得た。
得られた試料のBET表面積SBETは3690m/gであった。
<金属錯体を導入した炭素材料の調製>
(実施例1:ZTC−Ptの調製)
参考例1で調製したZTCについて、アセトニトリル中で(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)と反応させ、下記式のようなPt錯体を導入した炭素材料を得た。
具体的には、200mlの二口フラスコにマグネチックスターラーバーと参考例1で調製したZTC1.0gとを入れ、シリコンゴム製セプタムと三方コックとを取り付け、150℃に加熱してZTCを6時間真空加熱乾燥した。乾燥後、フラスコを放冷した後に恒温槽を用いてフラスコを25℃に保持した。続いて、あらかじめ調製した(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)/アセトニトリル溶液40ml(Pt:0.089mmol)をシリンジを用いてセプタムから注入し、6時間撹拌した。なお、(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)/アセトニトリル溶液は、以下のように調製したものを用いた。100mlの二口ナス型フラスコにマグネチックスターラーバーを入れ、(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)を32.8mg加えた。次に、脱水アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)を44ml加え、数分間撹拌して(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)を溶解させて(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)/アセトニトリル溶液を調製した。
6時間撹拌した後、反応溶液を0.1μmのメンブレンフィルター(ADVANTEC社製H010A047A、φ=47mm)を用いて濾過し、その後、200mlのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、続いて100mlのテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製)を用いて洗浄した。洗浄した試料をマグネチックスターラーバーと共に200mlの二口フラスコに入れ、三方コックとガラス栓とを取り付けて100℃で6時間真空加熱乾燥した。得られた試料をZTC−Ptとする。
得られた試料のICP分析値は、Pt:13.3wt%であった。また、SBET:2570m/gであった。
(実施例2:ZTC−P−Ptの調製)
参考例1で調製したZTCについて、ジフェニルホスフィン配位子を導入し、その後ジフェニルホスフィン配位子を導入したZTCをアセトニトリル中で(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)と反応させ、下記式のようなPt錯体を導入した炭素材料を得た。
具体的には、50mlの二口ナス型フラスコにマグネチックスターラーバーと参考例1で調製したZTC300mgとを入れ、フラスコの口にそれぞれシリコンゴム製セプタムと三方コックとを取り付けた。スターラーバーを用いて撹拌しながら150℃に加熱してZTCを6時間真空加熱乾燥した。乾燥後、フラスコを室温まで放冷した。次に乾燥させたZTCの入ったフラスコを減圧した状態で、あらかじめ調製したTHF/トリエチルアミン溶液20mlをシリンジを用いてセプタムから注入して室温で10分間撹拌した。ここで、THF/トリエチルアミン溶液は、窒素置換した50mlの二口ナス型フラスコに脱水THF(和光純薬工業株式会社製)25mlとトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.536gを加えて室温で数分間撹拌して調製したものを用いた。続いて恒温槽を用いてフラスコを0℃に冷却して30分間撹拌後、フラスコ内に窒素を1atmになるまでパージしてから、クロロジフェニルホスフィン(和光純薬工業株式会社製)0.788gをシリンジを用いてフラスコ内に加えて10分間撹拌した。その後、恒温槽の温度を25℃に設定し、25℃に達してからさらに15時間撹拌して反応させた。その後、メンブレンフィルター(0.1μm、ADVANTEC社製T010A047A)で濾過し、さらに150mlのTHFでよく洗浄した。次いで試料を2000mlのイオン交換水中で30分間撹拌して良く洗浄し、メンブレンフィルター(0.1μm、ADVANTEC社製H010A047A)で濾過した後、試料を150℃で6時間減圧乾燥させた。この試料をZTC−Pと表す。
シュレンク管に上記で調製したZTC−Pを120mgとマグネチックスターラーバーとを入れ、シュレンク管の口にシリコンゴム製セプタムを取り付けた。スターラーバーを用いて撹拌しながらZTC−Pを150℃で6時間真空加熱乾燥し、その後室温まで放冷した。続いて乾燥したZTC−Pの入ったシュレンク管を減圧した状態で、あらかじめ調製した(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)/アセトニトリル溶液4.8ml(Pt:1.5mmol/(1g−ZTC−P))をシリンジを用いてセプタムから注入し、10分間撹拌した。なお、(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)/アセトニトリル溶液は、20mlの一口ナス型フラスコに(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)(アルドリッチ社製)を60mg加えてフラスコ内を窒素置換し、脱水アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)を4.8ml加えて室温で数分間撹拌して調製したものを用いた。
次にシュレンク管に還流冷却管を取り付けて100℃に加熱したオイルバスでフラスコを加熱し、12時間還流した。12時間後、還流を止めてシュレンク管を放冷してから、反応溶液を0.1μmのメンブレンフィルター(ADVANTEC社製H010A047A、φ=47mm)を用いて濾過し、その後、50mlのアセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、続いて50mlのジエチルエーテルを用いて洗浄した。洗浄した試料を100℃で6時間真空加熱乾燥した。得られた試料をZTC−P−Ptと表す。
得られた試料のICP分析から、試料中に含まれるリンは1.48wt%であり、Ptは10.3wt%であることがわかった。また、SBET:1860m/gであった。
(実施例3:ZTC−Pt(comp)の調製)
下記反応式(1)、(2)にしたがってエッジ修飾ミクロポーラス炭素材料を調製した。
具体的には、PTFE製4口フラスコ(500ml)に46wt%フッ化水素酸(200g)を加え、溶解している酸素ガスを取り除くために事前に窒素ガスを100cc/分で30分間以上バブリングさせた。続いて水溶性アゾ重合開始剤であるVA−044を反応溶液の全重量に対して2.50wt%になるように加え、オイルバスの設定温度を70℃にして加熱を開始させた。フラスコ内のフッ化水素酸の温度が50±2℃となった時点で、上記参考例1で調製した炭素/ゼオライト複合体(0.47g)を加え、一定時間攪拌した。炭素/ゼオライト複合体を加えた後約1時間で、フラスコ内のフッ化水素酸の温度は60±2℃になった。反応時間は、フッ化水素酸の温度が60℃に達してから6時間とした。
反応後、反応溶液を濾過して生成物を500mlの蒸留水で良く洗い、灰分が残らないようにするためにさらに蒸留水(500g)で30分間攪拌した。その後、濾過して蒸留水で洗浄して、エッジ修飾ミクロポーラス炭素材料を得た。収量は0.11gであった。
次いで、下記式にしたがってエッジ修飾ミクロポーラス炭素材料へのリン配位子の導入反応を行った。
アミジン構造を導入したZTC(ZTC−VA044)780mgとスターラーバーとを外径35mmの直線状のフラスコに加え、150℃で6時間真空加熱乾燥後、室温まで放冷した。続いてスターラーを攪拌させながら2.62wt%トリエチルアミン/THF溶液をシリンジを用いてフラスコ内に50ml(トリエチルアミン1.13g、11.20mmol)注入して真空含浸させた。その後、恒温槽を用いて0℃のウォーターバス(エチレングリコールを約15重量%加える)でフラスコを冷却した。30分後、大気圧までフラスコ内に窒素をパージし、フラスコ内に空気が入らないように窒素を流しながらクロロジフェニルホスフィン(アルドリッチ社製)2.26g(10.25mmol)をシリンジを用いてフラスコ内に加えて10分間攪拌した。その後、ウォーターバスの温度を25℃に設定し、25℃に達してから15時間反応させた。その後、反応溶液にTHF80mlを加えて数分間攪拌してからメンブレンフィルター(0.1μm、ADVANTEC社製T010A047A)で濾過し、さらに500mlのTHFでよく洗浄した。次いで試料を2500mlの蒸留水中で30分間攪拌して良く洗浄し、メンブレンフィルター(0.1μm、ADVANTEC社製H010A047A)で濾過した後、試料を150℃で真空乾燥させた。収量は0.87gであった。この試料をZTC−VA044−PPhと表す。
下記式にしたがってリン配位子を有するエッジ修飾ミクロポーラス炭素材料への白金錯体の導入反応を行った。
上記で調製したZTC−VA044−PPh0.30gを、150℃で6時間真空加熱乾燥した後、室温まで放冷してスターラーを攪拌させながらシリンジを用いてフラスコ内に1.56重量%(1,5−シクロオクタジエン)ジメチル白金(II)錯体/アセトニトリル溶液12mlを注入して真空含浸させ、10分間ほど攪拌した後に大気圧に達するまでフラスコ内に窒素をパージさせた。続いてフラスコに冷却器を取り付けて100℃に加熱したオイルバスで12時間還流させた。還流後、反応溶液を室温まで冷却してから反応溶液をメンブレンフィルター(0.1μm、ADVANTEC社製H010A047A)で濾過し、100mlのアセトニトリル、続いて100mlのジエチルエーテルで洗浄してから真空加熱乾燥した(100℃、6時間)。この試料をZTC−Pt(comp)と表す。収量は0.37gであった。
試料中に含まれるリンは1.62wt%であり、白金は11.1wt%であった。BET表面積は1550g/mであった。
(比較例1:ZTC−Pt粒子)
錯体を担持させたZTCと比較するため、一般的な方法を用いてZTCにPtナノ粒子を担持させた。ジアンミンジニトロ白金[Pt(NO(NH]の0.096wt%水溶液6.7mlと、還元剤水溶液である水素化ホウ素ナトリウムの0.0095wt%の水溶液66.7mlとをそれぞれ調製し、0℃に冷却した。続いて、参考例1で調製したZTC100mgを0℃のジアンミンジニトロ白金水溶液に投入し、0℃に冷却して減圧雰囲気で30分間撹拌した。次に、この溶液を遠心分離して0℃の水素化ホウ素ナトリウム水溶液と混合し、0℃で10分間撹拌することによりジアンミンジニトロ白金を還元して白金ナノ粒子を生成させた。反応溶液を0.1μmのメンブレンフィルター(ADVANTEC社製H010A047A、φ=47mm)を用いて濾過し、試料をイオン交換水でよく洗浄した後、150℃で6時間減圧乾燥した。この試料をZTC−Pt粒子と表す。試料中に白金は2.28wt%であった。BET表面積は3260g/mであった。この試料をZTC−Pt粒子と表す。
下記表1に参考例1、実施例1〜3、比較例1で調製した試料の窒素吸脱着測定の結果から算出したBET表面積SBET、細孔構造を示す。ここで、VTotal、Vmicro、およびVmesoは、それぞれ、全細孔の占める容積、ミクロ細孔の占める容積、およびメソ細孔の占める容積を表す。
なお、各実施例、比較例、参考例で調製した炭素材料のBET表面積の測定は、日本ベル製BELSORP miniを用いて行い、−196℃の温度で、多点法で行った。
また、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法によりリンおよび白金の含有量を測定した。ここで、リンおよび白金の含有量は、試料をアルカリ融解により分解し溶液化した後、エスアイアイナノテクノロジー社製誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置を用いて測定した値を用いた。白金の含有量を表1に示す。
各実施例で調製した金属錯体を導入した炭素材料についてTEM観察を行った。
透過型電子顕微鏡(TEM)観察は、日本電子株式会社製透過型電子顕微鏡JEM−2010を用い、加速電圧200kVにて観察した。TEM観察に際しては、試料にエタノールを少量加えてから超音波処理することで懸濁させ、懸濁液をマイクログリッド(応研商事株式会社製:普及品タイプB)に微量滴下した後、40℃で30分間減圧乾燥し、TEM用観察試料とした。
図3A〜図3Eに、参考例1、実施例1〜3、比較例1で調製した金属錯体を導入した材料のTEM写真をそれぞれ示す。それぞれの図について、(b)は(a)を高倍率で観察したものである。図3Eに示すように、比較例1の試料のTEM写真では、平均粒径1〜3nmの白金粒子が確認できる。しかしながら、図3Bに示す実施例1の試料では、Pt担持量が13.3wt%と比較例1の2.28wt%と比較して高いのにもかかわらず、粒子上のPtは観察されなかった。このことから、実施例1の試料では白金が凝集せずに炭素材料の表面に均一に分散していると考えられる。同様に、図3C、図3Dに示すように実施例2、3の試料でも検出できる大きさの粒子状のPtは観察されず、白金が均一に分散していると考えられる。
<熱処理>
各実施例で調製した金属錯体を導入した炭素材料について熱処理を行った。試料を、200℃または300℃で1時間の真空加熱処理を行った。真空加熱処理は、日本ベル株式会社製吸着測定用前処理装置Belprepを用いて行った。熱処理前に100℃(1時間で昇温)で6時間の真空加熱乾燥を行い、それから10℃/分で所定の温度に昇温して1時間の真空加熱処理を行った。
<水素処理>
各実施例で調製した金属錯体を導入した炭素材料について25℃、50℃、70℃の順に各温度で30分間水素処理を行った。
具体的には、フラスコに試料とスターラーバーを加え、100℃、6時間の真空加熱乾燥を行い試料を乾燥させた。試料の乾燥後にフラスコを放冷させてから恒温槽を用いてフラスコを25℃に保持し、フラスコ内に窒素ガスを導入した。続いてフラスコ内に水素ガスを100cc/minで流通させて25℃で30分間の水素処理を行った。30分後、フラスコを真空引きしてからオイルバスによりフラスコを50℃に加熱し、窒素ガスをフラスコに導入した。続いてフラスコ内に水素ガスを100cc/minで流通させて50℃で30分間の水素処理を行った。30分後、フラスコを真空引きしてからオイルバスによりフラスコを70℃に加熱し、窒素ガスをフラスコに導入した。続いてフラスコ内に水素ガスを100cc/minで流通させて50℃で30分間の水素処理を行った。30分後、70℃に保持したフラスコを1時間真空引きしてフラスコ内の水素ガスを取り除いてからフラスコを放冷した。放冷後にフラスコに窒素ガスを導入し、フラスコをアルゴン雰囲気下のグローブボックス内に移して試料を取り出した。
各実施例で調製した試料について、熱処理の前後、および水素処理の前後で粉末X線回折測定を行い、熱処理および水素処理によるナノクラスターの生成を観察した。粉末X線回折測定は、島津製作所製XRD−6100を用いて行い、線源はCu−Kα、電圧30kV、電流20mAで行った。
図4Aに、実施例1で調製した試料を熱処理および水素処理の前後で、空気雰囲気下で測定したXRDパターンを示す。実施例1の試料は熱処理、水素処理の前のX線回折パターンは2θ=6°付近の長周期規則構造を示すピークが明確に観察され、また2θ=20〜30°に炭素網面の積層に由来するピークはほとんどみられなかった。このことから、得られた試料では、ミクロポーラス炭素材料(MPC)の規則構造が保持されていることが確認された。また、0価のPt粒子に由来するピークは観察されなかった。
しかしながら、200℃で熱処理を行うと、2θ=40°付近に0価の白金に由来するピークが観察され、300℃で熱処理すると、より強いピークが確認された。これは、熱処理によって白金の粒子の成長が進んでいることを示す。
また、水素処理した場合も、25℃、50℃、70℃と進むにつれて白金の粒子成長が
進むことが確認された。
併せて、図4Aに、実施例2で調製した試料の水素処理の前後で、空気雰囲気下で測定したXRDパターンを示す。実施例2の試料を水素処理した場合も、25℃、50℃、70℃と進むにつれて白金の粒子成長が進むことが確認された。
なお、比較のために、図4Bに参考例1の試料(ZTC)および比較例1の試料(ZTC−Pt粒子)のXRDスペクトルを示す。参考例1の試料、および比較例1の試料のXRDスペクトルにおいて、2θ=6°付近のピークは炭素材料の長周期規則構造を示し、比較例1の試料のXRDパターンの2θ=40°付近のピークは粒子状の白金に由来する。
図5A、図5Bに、実施例1で調製した試料の200℃および300℃で熱処理した後のTEM写真をそれぞれ示す。図5A、図5Bにおいて、(a)〜(d)は試料の異なる領域を観察したものである。図5Aに示すように、200℃で熱処理した試料ではZTC粒子の内部に1nmに満たない大きさの白金粒子が高分散しており、1nm以上の大きさの粒子はほとんど確認できなかった。一方、図5Bのように、300℃で熱処理したものは、1nm以下の粒子が高分散しているZTC粒子も、1nm程度の粒子が高分散しているものも多く観察された。
図6Aに実施例1で調製した試料を25℃、50℃で水素処理した後に測定したTEM写真を、図6Bに、さらに70℃で水素処理した後に測定したTEM写真をそれぞれ示す。また、図7Aに、実施例2で調製した試料を25℃、50℃で水素処理した後に測定したTEM写真を、図7Bに、さらに70℃で水素処理した後に測定したTEM写真をそれぞれ示す。25℃と50℃での水素処理では、実施例1、2のいずれの試料も、1nm以下の粒子が分散していることがわかる。しかしながら、図5Aの200℃で熱処理した試料と比較すると、粒子サイズがやや不均一になった。さらに70℃で水素処理した場合も、実施例1の試料では金属粒子は大きくても1nm程度であると考えられる。実施例2の試料では、1nm以下の粒子がほとんどであると考えられるが、1nm以上の粒子も観察される。なお、これらのTEM写真において、(a)〜(d)は同じ試料を異なる倍率、領域で観察したものである。
次いで、実施例1および実施例2の試料について、X線吸収微細構造解析(XAFS)によって水素処理による白金クラスターの形成過程を観察した。
XAFS測定は透過型conventionalXAFSを用い、ZTC−Pt、ZTC−P−Pt、ZTC−Pt粒子の3つの試料について行った。試料は吸着水を取り除くために事前に100℃で真空加熱乾燥を6時間行い、アルゴン雰囲気グローブボックス内で乾燥した試料約100mgからペレットを作製した。作製したペレットはXAFS用測定用試料セルにセットしてからセルを閉じ込め、測定装置にセットした。測定は以下の手順で室温から100℃までの範囲で試料を水素フローにて処理し、再度ヘリウム雰囲気に戻して室温まで放冷してからXAFSを行った:
(1)室温にてヘリウム雰囲気下でXAFS測定、
(2)室温にて水素をフローさせて水素処理を30分間行った後、再度ヘリウム雰囲気に戻してXAFS測定、
(3)ヘリウム雰囲気で所定温度まで昇温し、所定温度に達してから水素をフローさせて水素処理を30分間行い、ヘリウム雰囲気に戻して室温まで放冷してからXAFS測定を行った。温度は50℃、70℃、100℃の順で各温度で水素処理をした後にヘリウム雰囲気で室温まで放冷してからXAFS測定を行った。
図8〜10に、実施例1、実施例2、比較例1で調製した試料のXAFS測定結果をそれぞれ示す。それぞれの図で、(a)は吸収端微細構造(XANES)を示し、(b)は広域X線吸収微細構造(EXAFS)(フーリエ変換した動径分布関数)を示す。
図10(a)に示すように、比較例1で調製した試料の電子状態は水素処理の前後で変化しない。また図10(b)では、2.6Å付近にPt−Pt結合に由来するピークが観察されたが、このピークも水素処理の前後で変化しない。これは白金が粒子として担持されているためであり、水素処理で粒子が変化しないためである。
一方、図8(b)に示すように、実施例1の試料では水素処理後のスペクトルでPt−Ptの結合に由来する2.6Å付近のピークが強くなり、白金錯体に由来する1.6Å付近のピークが弱くなっている。これは水素処理の進行に伴って白金がシンタリングし、錯体が分解していることを示す。
同様に、図9(b)に示す実施例2の試料でも、水素処理の温度が高くなるにつれて白金がシンタリングしていることがわかる。
さらに、実施例1、実施例2、比較例1の試料について測定した広域X線吸収微細構造(EXAFS)を解析し、白金の配位元素種および平均配位数を求めた。白金の平均配位数は、EXAFSデータをフーリエ変換して得られた動径分布関数からPt−Pt結合を抽出し、逆フーリエ変換後にカーブフィッティングを行って算出した。標準試料としてPt箔(配位数12)を用いた。
図11(a)は、実施例1、実施例2、比較例1で調製した試料について、それぞれ、水素処理前の試料(室温、He中)および水素処理後(室温、50℃、70℃、100℃)の試料のEXAFSから求めた白金の平均配位数、および白金原子周囲の炭素原子または窒素原子の平均配位数をプロットした図である。
さらに、白金粒子(白金クラスター)に含まれる白金原子の平均配位数から、下記のように白金粒子の平均粒径を見積もった。
Pt格子定数:0.39231nm、Pt金属結合半径:0.14nm、単位格子(fcc)の一辺:0.67nmとして、下記に示す単位格子1(原子個数63個)、単位格子2(原子個数14)、正八面体クラスター(原子個数6)、正四面体クラスター(原子個数4)の格子体積をそれぞれ算出して球相当直径を求め、白金粒子の粒径とした。併せて、上記の単位格子1、2、正八面体クラスター、正四面体クラスターを構成する白金原子の平均配位数をそれぞれ算出した。そして、白金原子の平均配位数と白金粒子の平均粒径との関係を図11(c)にプロットした。ここで1個の白金原子(平均配位数0)の粒径は、原子半径×2=0.28nmとした。このようにして求めた白金原子の平均配位数と白金粒子の平均粒径との関係を利用して、図11(a)で得られた白金原子の平均配位数に対応する金属粒子の平均粒径を見積もることができる。
図11(a)に示すように、比較例1の試料では、水素処理の前後で白金原子の平均配位数(Pt−Pt)は約7で変化しない。これは、図10の結果と一致する。さらに、図11(c)から、平均配位数7の場合、金属粒子の平均粒径は約1.75nmと見積もることができ、これは図3Eの結果と一致する。
一方、実施例1および実施例2の試料では、水素処理前の白金原子の平均配位数(Pt−Pt)は0に近いが、水素処理によって、特に高温で水素処理することによって、白金原子の平均配位数は増加する。同時に、白金原子と窒素原子または炭素原子との平均配位数は水素処理によって減少する。これは、白金は錯体として炭素材料に導入されるが、水素処理に伴って配位子が脱離し、白金原子が凝集してクラスターを形成していることを示唆し、図4のXRD測定の結果と一致する。さらに、水素処理をした後であっても、白金原子の平均配位数(Pt−Pt)は4.0以下であり、これは図11(c)を参照すると、平均粒径0.65nm以下の金属粒子に相当する。このような大きさの粒子はTEMで観測することは難しい。
なお、図11(b)に、実施例1、実施例2、比較例1で調製した試料について、それぞれ、水素処理前の試料(室温、He中)および水素処理後(室温、50℃、70℃、100℃)の試料のEXAFSから求めた白金−白金の原子間距離、白金と炭素または窒素との原子間距離を示す。図11(b)に示すように、比較例1で調製した試料では水素処理の前後で白金原子間の原子間距離は変化しない。一方で実施例1、2で調製した試料では、図8〜10と同様、白金原子間の原子間距離は水素処理後に比較例1とほぼ同等の値に変化していることがわかった。
水素吸蔵能の評価は、低圧吸蔵性能測定(〜0.1MPa=100kPa)として、高精度自動ガス/蒸気吸着量測定装置(日本ベル株式会社製:BEL SORP MAX)を用いて25〜100℃における水素吸脱着等温線の測定を行った。試料は測定前に100℃で6時間真空加熱乾燥した。空気に暴露した際の水分の吸着を避けるために、試料は測定装置本体で乾燥後、サンプル管を取り外さずにそのまま吸脱着測定を行った。死容積は吸着測定後に測定した。平衡判断条件は500秒間の圧力変化が圧力計の読み値の0.3%以内とした。
また、高圧吸蔵性能測定(〜10MPa)として、水素吸着評価装置(株式会社レスカ=現株式会社ヒューズテクノネット)を用いて20〜80℃における水素吸脱着等温線の測定を行った。試料は測定前に80℃で真空度が10−3Pa以下に下がるまで加熱乾燥した。そのまま吸脱着測定を行った。死容積は吸着測定前に測定した。平衡判断条件は300秒間の圧力変化が1kPa未満に落ち着いた圧力計の読み値を採用した。
実施例2で調製した試料の低圧水素測定の結果を図12Aに示す。なお、図12Aの水素吸脱着測定において、実施例2で調製した試料は上述した方法での水素処理を行っていないものを用いているが、水素吸脱着等温線の測定の際に金属錯体が水素と接触することで徐々に特性が変化し、白金ナノクラスターが生成する。そのため、別途の水素処理を行った場合のような効果が得られうる。実施例2で調製した試料は温度の上昇とともに水素の吸蔵量が劇的に増加し(図14)、表面積が1〜3nmのPt粒子を担持した比較例1の試料の約半分にもかかわらず、極めて高い水素吸蔵量を示した。これは白金錯体に水素分子が化学吸着した量では説明できないほど高い値を示しており、スピルオーバー活性が極めて高いことが示された。上述のように、ZTCに導入された金属錯体は水素との接触で分解して白金クラスターを生成しうることから、このような高いスピルオーバー活性は、このような所定のサイズの白金クラスターに由来するものであると考えられる。また、実施例1の試料でも同様に高い水素吸蔵量が得られた(図14)。図14は、実施例1、2で製造した試料の水素吸脱着等温線を参考例1、比較例1の試料と比較して示した図である。
図12Bに実施例1で調製した試料を、25℃、50℃、70℃の順に各温度で30分間水素処理した試料の、25℃および50℃で測定した水素吸脱着等温線をそれぞれ示す。併せて、水素処理前の試料を25℃で測定した水素吸脱着等温線、ならびに25℃で測定した参考例1の試料と比較例1の試料との水素吸脱着等温線を示した。図中、各等温線に付帯の点線はZTCの吸着等温線の傾きを表したものであり、ZTCの吸着等温線と比較して傾きの増加した部分がスピルオーバーの効果による水素吸蔵量に対応する。図12Bに示されるように、水素処理をしていない試料であっても、白金を担持していないZTCや1〜3nmのPt粒子を担持したZTCよりも高い水素吸蔵能を示し、10kPa以上での吸着等温線の傾きが大きい。加えて、25℃、50℃、70℃の順に各温度で30分間水素処理することによって水素吸蔵量が増大し、測定温度を25℃から50℃にすると水素吸蔵量はさらに増加した。この結果から、水素を導入して金属錯体を還元し、特定の粒径の粒子を得ることで、水素吸蔵量が増加し、スピルオーバーによる水素吸蔵の効果も高いことが確認された。
図12Cに実施例2で調製した試料を、25℃、50℃、70℃の順に各温度で30分間水素処理した試料の、25℃および50℃で測定した水素吸脱着等温線をそれぞれ示す。併せて、白金の担持量に対する吸蔵された水素のモル数(H/Pt)の最大値を示した。実施例1の場合と同様、実施例2で調製した試料は、白金を担持していないZTCや1〜3nmのPt粒子を担持したZTCよりも高い水素吸蔵能を示した。さらに、25℃、50℃、70℃の順に各温度で30分間水素処理することによって水素吸蔵量が増大した。ここで水素処理後の水素吸蔵量が実施例1の試料と比べると小さくなっているが、これは実施例2の試料では水素処理によって生じる白金粒子の粒径が実施例1の場合よりも大きい傾向にあるためと考えられる。さらに測定温度を25℃から50℃に高くすると水素吸蔵量はさらに増加し、H/Ptの値も増加した。
10MPaまでの高圧水素吸蔵特性はJISH7291水素吸蔵合金の圧力−組成等温線の測定方法に従い、20〜80℃の範囲で行った。結果を図13に示す。(a)は参考例1のZTC、(b)は比較例1の1〜3nmのPt粒子を導入したZTC、(c)は実施例3の錯体を導入した試料の結果である。この際、実施例3の金属担持炭素材料に導入された錯体は測定時に水素と接触することで白金クラスターを生じうる。
図13(a)に示すように、金属を担持していないZTCの水素吸蔵量は典型的な物理吸着の挙動で温度と共に減少する。図13(b)に示すように、ZTC−Pt粒子は、ZTCより表面積が小さいので物理吸着による水素吸蔵量は減少するが、20〜60℃での水素吸蔵量はZTCと同じであり、80℃ではZTCより増加した。これは、60〜80℃でスピルオーバー効果が強く発現されたためと考えられる。
図13(c)に示すように、実施例3の金属担持炭素材料は、表面積がZTCの半分以下であるにもかかわらず、表面積から予想される値を上回る水素吸蔵量が得られた。これは、所定のサイズの金属クラスターは、1〜3nmのナノ粒子と比較してスピルオーバー効果が大きいことを示す。また、減圧することで水素が可逆的に放出されることが確認できた。
また、実施例3および比較例1の金属担持炭素材料で測定された水素吸蔵量について、未担持ZTCの吸着等温線から見積もった物理吸着による水素吸蔵量をそれぞれ差し引いて、スピルオーバーによる水素吸蔵量を求めた。その結果、比較例1の試料では、スピルオーバーによる水素吸蔵量は全水素吸蔵量の10%だったのに対し、実施例3の試料では、スピルオーバーによる水素吸蔵量は0.3wt%近い値となり、これは全水素吸蔵量の46%を占めた。
以上のことから、本発明の金属担持炭素材料は、スピルオーバー活性の高い金属クラスターを有し、水素吸蔵量が大幅に向上しうることがわかる。
このように、炭素材料に金属錯体を担持させることによって金属を高分散で担持させることができる。さらに、熱処理や水素処理のような簡単な手法で、金属錯体をスピルオーバー活性の高い、所定の大きさのナノクラスターに変換でき、1〜3nm程度の粒子状の金属を担持させた場合に比べて水素吸蔵能が大幅に改善されることが明らかになった。
1 ゼオライト、
1a、2a ミクロ孔(ミクロ細孔)、
2 ゼオライト炭素(ゼオライト鋳型カーボン)、
3 複合体。

Claims (7)

  1. 細孔を有する炭素材料に金属粒子が担持されてなる金属担持炭素材料であって、担持される金属粒子の平均粒径が3nm以下であり、担持される金属粒子の50%以上の粒径が1nm以下である、金属担持炭素材料。
  2. 前記金属粒子は、XAFSから求められる金属原子の平均配位数が5.5以下であり、平均粒径が1.2nm以下である、請求項1に記載の金属担持炭素材料。
  3. 前記炭素材料が、ゼオライト鋳型カーボン(ZTC)である、請求項1または2に記載の金属担持炭素材料。
  4. 前記金属粒子が、8〜10族の金属から選択される1以上の金属を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属担持炭素材料。
  5. 細孔を有する炭素材料を準備する段階と、
    前記炭素材料に金属錯体を導入する段階と、
    前記金属錯体を導入した炭素材料を熱処理するか、または水素と接触させることによって金属錯体を還元し、金属粒子が担持された金属担持炭素材料を得る段階と、を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属担持炭素材料の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属担持炭素材料を含む、水素吸蔵材料。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属担持炭素材料を含む、触媒。
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