JPH0534478B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はシールド掘進機の裏込材注入装置に係
り、詳しくはシールド本体を形成するスキンプレ
ートの外周壁に設置されて、掘削外径とセグメン
ト外径との差によるテールボイド部に裏込材を注
入する装置に関する。

〔従来の技術〕

裏込材注入装置を備えたシールド掘進機の一例
を第４図、第５図により説明する。

地山１００の切羽１０１を掘削するカツタホイ
ルを備えたシールド掘進機１の本体を形成するス
キンプレート（外殻円筒）２の後端内周面部に
は、リツプ部を円筒形のセグメント３の外周面に
接触させたテールシール４が取付けられており、
外周壁には裏込材注入装置を構成するほぼ半円形
の保護管５が円周上に間隔をおいて複数個設けら
れている。地山１００をシールド掘進機１が掘進
し、テールシール４の内周側にセグメント３を組
立てた時、シールド掘進機１の直後に生ずる空間
（掘削外径とセグメント外径との差による空間）、
すなわちテールボイド６に、シールド掘進機１の
推進と同期して裏込材注入装置により裏込材を注
入する。

この種の従来の裏込材注入装置としては、第６
図ないし第８図に示したものがある。この裏込材
注入装置は、スキンプレート２の後端外周壁に取
付けた保護管５の後端壁に裏込材注入口７を設
け、その保護管５内に裏込材注入管路８および摺
動操作手段としての油圧シリンダ９を直列状態で
設置する一方、裏込材注入口７の開閉を行うスプ
ール１０を裏込材注入管路８内に摺動可能に挿入
し、そのスプール１０を油圧シリンダ９のロツド
９ａに連結させている。また、メンテナンス用の
点検口１１を、シールド本体推進用スプレツダ１
２の摺動範囲Ｓ外にあるスキンプレート２に設
け、その点検口１１部において前記裏込材注入管
路８に裏込材供給口１３および洗浄水供給口１４
を設け、裏込材供給口１３に接続する裏込材供給
ホース１５および前記洗浄水供給口１４に接続す
る洗浄水供給ホース１６を前記点検口１１より引
き出している。また、油圧シリンダ９の油圧ホー
ス１７は点検口１１より前方のスキンプレート２
に設けた開口１８より引き出している。

そして、裏込材の注入時には、油圧シリンダ９
によりスプール１０を図示の実線位置へ移動させ
て裏込材供給口１３と裏込材注入口７とを連通さ
せ、裏込材供給ホース１５から供給される裏込材
を裏込材注入管路８へ送り込み、裏込材注入口７
よりテールボイドに注入する。また、裏込材注入
が終了し、管路内を洗浄する時には、油圧シリン
ダ９によりスプール１０を図示の仮想線位置へ移
動させて裏込材注入口７を閉塞すると同時に裏込
材供給口１３と洗浄水供給口１４とを連通させ、
洗浄水供給ホース１６より供給される洗浄水を裏
込材注入管路８、裏込材供給ホース１５へ流して
管路内に残存する裏込材を押し流す。なお、図中
３はセグメント、４はテールシールを示す。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術は、メンテナンス用の点検口１１
をスプレツダ１２の摺動範囲Ｓ外にあるスキンプ
レート２に設け、その点検口１１部に裏込材供給
口１３および洗浄水供給口１４を設けると共に、
裏込材供給口１３に接続する裏込材供給ホース１
５および洗浄水供給口１４に接続する洗浄水供給
ホース１６を点検口１１より引き出す構造として
いるので、裏込材注入管路８の長さL₁がきわめ
て長くなり、該裏込材注入管路８内に残存する裏
込材の量も多くなる。このため、洗浄水による洗
浄を長時間行わなければならない。また、この洗
浄において洗浄水は裏込材注入管路８内へ送り込
まれた後、裏込材供給口１３より裏込材供給ホー
ス１５へ流出するが、前記裏込材注入管路８が長
いと、裏込材注入口７寄りの部分での洗浄水の流
れが弱まつて残存する裏込材の洗浄効果が低下し
てしまう。その結果、裏込材注入管路８内の裏込
材の掃除が不完全となつて管路壁面で固結してし
まう惧れがある。もし、裏込材が固結すると、ス
プール１０の摺動がスムーズに行われなくなつた
り、摺動が不可能になつて注入装置としての機能
を失なうことになる。

また、裏込材注入管路８が長くなると、油圧シ
リンダ９としてストロークL₁の長い油圧シリン
ダを使用しなければならなくなり、注入装置全体
が長尺なものとなつてしまう。さらにストローク
の長い油圧シリンダの場合、その芯出しにも時間
がかかる。

また、前記の従来技術は、前記スプールを、裏
込材供給口の前方まで引き込んでいるか、また、
スプールを裏込材注入口を開くと共に洗浄水供給
口を開いた位置までつき出しているかを明確に知
ることができないため、裏込材の注入および洗浄
作業を効率よくかつ確実に行ない得ないことがあ
つた。

本発明は、前記の如き従来技術の問題点を改善
し、摺動操作手段としてストロークの短い油圧シ
リンダを採用することができ、しかも裏込材の注
入および裏込材注入管路内の洗浄を確実に行なう
ことができるシールド掘進機の裏込材注入装置を
提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的は、シールド本体を形成するスキンプ
レートの外周壁に保護管を設け、その保護管の後
端壁部に裏込材注入口を設け、かつ保護管内に裏
込材注入管路および摺動操作手段を設置し、前記
裏込材注入管路に裏込材供給口および洗浄水供給
口を設ける一方、前記裏込材注入口の開閉を行う
スプールを裏込材注入管路内に摺動可能に挿入
し、そのスプールを前記摺動操作手段に連結し、
前記スプールの摺動により裏込材注入口と裏込材
供給口との連通、裏込材供給口と洗浄水供給口と
の連通の切替えを行うようにして成るシールド掘
進機の裏込材注入装置において、シールド本体推
進用スプレツダの摺動範囲内にあるスキンプレー
トのテール部にメンテナンス用点検口を設け、そ
の点検口より後端側に前記裏込材注入管路および
前記摺動操作手段を設け、裏込材供給口に接続す
る裏込材供給管および洗浄水供給口に接続する洗
浄水供給管、摺動操作手段への作動流体給排管を
前記スプレツダの摺動範囲外にあるスキンプレー
トに設けた開口より引き出し、かつ、前記スプー
ルのつき出し位置と引き込み位置を検出する手段
を設けたことにより、達成される。

〔作用〕

メンテナンス用の点検口をスプレツダの摺動範
囲内にあるスキンプレートに設け、その点検口よ
り後端側に摺動操作手段としての油圧シリンダお
よび裏込材注入管路を設置したので、前記裏込材
注入管路の長さが短くなる。これにより裏込材注
入管路に残存する裏込材の量も少なくなるので、
洗浄時間を短縮できる。また、裏込材注入管路が
短くなつたことにより裏込材注入口寄りの部分で
の洗浄水の流れが弱まるといつたことがなくな
る、つまり洗浄効果が向上するので、裏込材の掃
除不完全による管路壁面での固結といつた問題が
解消される。また、裏込材注入管路が短くなるこ
とによりストロークの短い油圧シリンダを採用で
き、装置全体を短くできる。

また、本発明は、スプールのつき出し位置と引
き込み位置とを検出する手段を設けたので、裏込
材注入時には裏込材供給口から裏込材注入口を経
て裏込材をテールボイドに確実に注入することが
でき、かつ、洗浄時には裏込材注入口を閉じると
共に洗浄水供給口と裏込材供給口とを連通させて
管路内を確実にかつ効果的な洗浄を行なうことが
できる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を第１図ないし第３図
により説明する。第１図は本発明による裏込材注
入装置の断面図、第２図は第１図の−断面
図、第３図は第２図の−断面図を示してい
る。図において、２はスキンプレート、３はセグ
メント、４はテールシール、５は保護管、１２は
スプレツダを示している。保護管５の後端壁部に
は裏込材注入口２１が設けられている。スプレツ
ダ１２の摺動範囲Ｓ内にあるスキンプレート２に
はメンテナンス用の点検口２２が設けられ、その
点検口２２後方の保護管５内には油圧シリンダ２
３および裏込材注入管路２４が直列状態で設けら
れている。前記裏込材注入管路２４内には裏込材
注入口２１を開閉するスプール２５が摺動可能に
挿入され、そのスプール２５は油圧シリンダ２３
のロツド２３ａに連結されている。また、裏込材
注入管路２４には裏込材供給口２６および洗浄水
供給口２７が設けられている。裏込材供給口２６
には配管２８の一端が接続され、その配管２８の
他端には裏込材供給ホース２９が接続されてい
る。洗浄水供給口２７には配管３０の一端が接続
され、その配管３０の他端には洗浄水供給ホース
３１が接続されている。また、油圧シリンダ２３
のヘツド側ポートおよびロツド側ポートにはそれ
ぞれ配管３２，３３の一端が接続され、その配管
３２，３３の他端には油圧給排ホース３４，３５
がそれぞれ接続されている。前記の各配管と各ホ
ースとは点検口２２部分で接続されている。ま
た、裏込材供給ホース２９、洗浄水供給ホース３
１および油圧給排ホース３４，３５は点検口２２
より前方のスキンプレート２に設けた開口３６よ
り引き出されている。

また、油圧シリンダ２３のピストン２３ｂの反
ロツド側にはシリンダ外へ突き出る検知棒３７が
取付けられ、その近傍には検知棒３７の先端部と
の接触によりロツド２３ａの引つこみ位置を検知
する第１検知器３８およびロツド２３ａのつき出
し位置を検知する第２検知器３９が設置されてい
る。尚、第１図４０は点検口２２を塞ぐカバー、
４１は点検口２２とカバー４０との間に介在され
るパツキンである。

この注入装置において、裏込材の注入時には、
油圧シリンダ２３のロツド２３ａの引つこみによ
りスプール２５を実線の位置へ移動させて裏込材
供給口２６と裏込材注入口２１とを連通させ、裏
込材供給ホース２９から供給される裏込材を裏込
材注入管路２４へ送り込み、裏込材注入口２１よ
りテールボイドに注入する。また、裏込材注入が
終了し、管路内を洗浄する時には、油圧シリンダ
２３のロツド２３ａのつき出しによりスプール２
５を図示の仮想線位置へ移動させて裏込材注入口
２１を閉塞すると同時に裏込材供給口２６と洗浄
水供給口２７とを連通させ、洗浄水供給ホース３
１より供給される洗浄水を裏込材注入管路２４、
裏込材供給ホース２９へ流して管路内に残存する
裏込材を押し流す。また、点検口２２を介しての
メンテナンスはセグメント３を組立てる以前に行
う。

本発明においては、メンテナンス用の点検口２
２がスプレツダ１２の摺動範囲Ｓ内にあるスキン
プレート２のテール部に設けられ、その点検口２
２より後端側に油圧シリンダ２３および裏込材注
入管路２４が設けられているので、前記裏込材注
入管路２４の長さが図示の寸法L₂で示したよう
に短くなる。これにより裏込材注入管路２４に残
存する裏込材の量も少なくなるので、洗浄時間を
短縮できる。また、裏込材注入管路２４が短くな
つたことにより裏込材注入口２１寄りの部分での
洗浄水の流れが弱まることがなくなる、つまり洗
浄効果が向上するので、裏込材の掃除不完全によ
る管路壁面での固結といつた問題が解消される。
その結果、スプール２５の摺動が常にスムーズに
行われることになり、注入装置としての機能を長
期間にわたつて発揮できる。

また、従来の装置ではスプール１０の実ストロ
ーク量、すなわち油圧シリンダ９の実ストローク
量を検出できないので、裏込材注入口７の開閉状
態を検知するためには、前記油圧シリンダ９と連
動する模擬シリンダや流量計といつた付属機器が
必要となる。これに対して本発明においては、油
圧シリンダ２３のロツド２３ａの引つこみ位置を
第１検知器３８により、かつロツド２３ａのつき
出し位置を第２検知器３９によりそれぞれ検知で
きる、つまり実ストローク量を検知できるので、
模擬シリンダや流量計のような付属機器を必要と
することなく裏込材注入口２１の開閉状態および
洗浄水供給口と裏込材供給口との連通状態を確実
に検出して、裏込材の注入および管路内の洗浄を
確実に行なうことができる。

さらに、従来の装置では全体の長さが長いの
で、シールド本体が前後に屈曲する中折シールド
の場合には、前部スキンプレートと後部スキンプ
レートとにまたがつてしまい実施不可能となる。
これに対して本実施例においては、裏込材注入管
路２４が短くなることにより図示のようにストロ
ークの短いL₂油圧シリンダを採用でき、装置全
体の長さを短くできるので、中折シールドにも実
施可能となる。すなわち、第１図に示したように
スキンプレート２が分割部２Ａで屈曲自在となつ
ている場合、保護管５を含む注入装置全体を後部
スキンプレート２の外周壁に設置できる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、裏込材注入管路の長さを短く
できるので、洗浄時間の短縮化を図れると共に、
洗浄効果を高められる。またスプールの摺動操作
手段としてストロークの短い油圧シリンダを採用
でき、かつ、裏込材の注入および管路内の洗浄を
確実に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の一実施例を示
し、第１図は本発明による裏込材注入装置の断面
図、第２図は第１図の−断面図、第３図は第
２図の−断面図、第４図はシールド掘進機の
一例を示す断面側面図、第５図は第４図の−
断面図、第６図は従来の裏込材注入装置の断面
図、第７図は第６図の−断面図、第８図は第
７図の−断面図である。 １……シールド掘進機、２……スキンプレー
ト、３……セグメント、５……保護管、６……テ
ールボイド、１２……スプレツダ、２１……裏込
材注入口、２２……メンテナンス用の点検口、２
３……油圧シリンダ、２３ａ……ロツド、２３ｂ
……ピストン、２４……裏込材注入管路、２５…
…スプール、２６……裏込材供給口、２７……洗
浄水供給口、２９……裏込材供給ホース、３１…
…洗浄水供給ホース、３４，３５……油圧給排ホ
ース、３６……開口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シールド本体を形成するスキンプレートの外
   周壁に保護管を設け、その保護管の後端壁部に裏
   込材注入口を設け、かつ保護管内に裏込材注入管
   路および摺動操作手段を設置し、前記裏込材注入
   管路に裏込材供給口および洗浄水供給口を設ける
   一方、前記裏込材注入口の開閉を行うスプールを
   裏込材注入管路内に摺動可能に挿入し、そのスプ
   ールを前記摺動操作手段に連結し、前記スプール
   の摺動により裏込材注入口と裏込材供給口との連
   通、裏込材供給口と洗浄水供給口との連通の切替
   えを行うようにして成るシールド掘進機の裏込材
   注入装置において、シールド本体推進用スプレツ
   ダの摺動範囲内にあるスキンプレートのテール部
   にメンテナンス用点検口を設け、その点検口より
   後端側に前記裏込材注入管路および前記摺動操作
   手段を設け、裏込材供給口に接続する裏込材供給
   管および洗浄水供給口に接続する洗浄水供給管、
   摺動操作手段への作動流体給排管を前記スプレツ
   ダの摺動範囲外にあるスキンプレートに設けた開
   口より引き出し、かつ、前記スプールのつき出し
   位置と引き込み位置を検出する手段を設けたこと
   を特徴とするシールド掘進機の裏込材注入装置。