JPH05341788A - 音声制御楽音発生装置 - Google Patents

音声制御楽音発生装置

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JPH05341788A
JPH05341788A JP4171837A JP17183792A JPH05341788A JP H05341788 A JPH05341788 A JP H05341788A JP 4171837 A JP4171837 A JP 4171837A JP 17183792 A JP17183792 A JP 17183792A JP H05341788 A JPH05341788 A JP H05341788A
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JP
Japan
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digital
signal
processing
chord
musical tone
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Application number
JP4171837A
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English (en)
Inventor
Tetsukazu Nakae
哲一 仲江
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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Publication date
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】和音を簡単な操作で発生させ、この和音を構成
する各楽音毎に人間の声のニュアンスを明瞭に付加する
ことのできる簡単な構成の音声制御楽音発生装置を提供
することを目的としている。 【構成】A/D変換された声信号及び和音の楽音信号を
ワークRAMに取り込み(ステップS1〜S3)、取り
込んだ声信号に対してFIRハイパスフィルタリング処
理及びIIRローパスフィルタリング処理を施す(ステ
ップS4〜S6)。このローパスフィルタリング処理の
出力に対して伝達関数を変えてさらにローパスフィルタ
リング処理を施す(ステップS5〜S9)。その後和音
を構成する各楽音信号に対して同様にハイパスフィルタ
リング処理およびローパスフィルタリング処理を行ない
(ステップS10〜S13)、その各楽音の処理結果を
累算して、放音する(ステップS14、S15)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、和音の各構成音に対し
て独立に音声のニュアンスを付与できる音声制御楽音発
生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子楽器の普及に伴い、演奏者が自分の
演奏意志をより簡単かつ効果的に楽音に反映させること
のできる電子楽器が求められている。
【0003】そのような電子楽器の一形態として、演奏
者が発声動作により得られる音声信号により楽音信号に
変調をかけることのできる電子楽器が提案されている
(例えば、特開平3−107200号)。
【0004】この従来の電子楽器は、演奏者が鍵盤等で
弾いた演奏情報としての楽音信号の倍音成分に人間の声
のニュアンスを付加している。また、従来の電子楽器
は、鍵盤等で和音が弾かれたときには、入力楽音信号と
しての和音の各構成音を一旦アナログ信号として混合し
て一つの楽音信号とし、この一つの楽音信号に音声信号
で変調をかけることにより人間の声のニュアンスを付加
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の電子楽器にあっては、鍵盤等で弾いた単音の
楽音信号の倍音成分に人間の声のニュアンスを付加する
構成となっており、また、鍵盤等で和音が弾かれたとき
には、和音の入力楽音信号を、一旦アナログ信号として
一つの楽音信号に混合した後、音声信号で変調をかける
構成となっていたため、和音に人間の声のニュアンスを
付加しようとする場合、鍵盤で和音を弾くことは初心者
に扱い難く、また和音を適切に変調することができない
という問題があった。
【0006】すなわち、実際に発生する楽音信号は、単
独の楽音信号だけでなく、複数の楽音が和音として入力
する場合が多いが、こうした和音の演奏は、鍵盤等の演
奏では、初心者では難しく、楽音信号に変調をかける電
子楽器の扱いが難しいという問題があった。また、従来
の電子楽器にあっては、和音の各構成音を一旦アナログ
信号として混合して一つの楽音信号とし、この一つの楽
音信号に音声信号で変調をかけていたため、和音の各構
成音を適切に変調することができず、各構成音が独立し
て聞こえにくく、和音を音声で変調しているように認識
することができないという問題があった。
【0007】そこで、本発明は、簡単な操作で和音を発
生させることができ、所望の和音の各構成音に対して独
立に音声のニュアンスを付与することのできる簡単な構
成の音声制御楽音発生装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数種の和音
データを記憶する和音データ記憶手段と、前記和音デー
タ記憶手段に記憶された和音データのいずれか一つを選
択する選択手段と、前記選択手段で選択された和音デー
タに基づいた複数種のディジタル楽音信号を生成する和
音信号生成手段と、外部発生動作に基づいてディジタル
声信号を生成する声信号生成手段と、以下の各処理を時
分割のディジタル信号処理により所定の処理間隔で順次
実行するディジタル信号処理手段と、このディジタル信
号処理手段から出力されるディジタル出力楽音信号に基
づいて放音を指示する放音手段と、を備えたことを特徴
としている。
【0009】すなわち、ディジタル信号処理手段では、
まず、前記ディジタル楽音信号を複数の異なる周波数帯
域内に帯域制限された各楽音信号に分割する第1のディ
ジタルフィルタリング処理が実行され、これとともに、
前記ディジタル声信号を複数の異なる周波数帯域内に帯
域制限された各声信号に分割する第2のディジタルフィ
ルタリング処理が実行される。次に、該第2のディジタ
ルフィルタリング処理により得られる帯域制限された各
声信号から各エンベロープ信号を抽出するエンベロープ
抽出処理が実行され、そして、前記第1のフィルタリン
グ処理により得られる帯域制限された各楽音信号を、前
記エンベロープ抽出処理により得られる各エンベロープ
信号で変調する変調処理と、該変調処理で得られた各変
調信号を累算して、ディジタル出力楽音信号として出力
する累算処理が実行される。
【0010】
【作用】複数種の和音データを和音データ記憶手段に記
憶し、この記憶された和音データのいずれか一つを選択
手段により選択して、和音信号生成手段により和音を構
成する複数種のディジタル楽音信号を生成する。
【0011】したがって、和音を簡単な操作で発生させ
ることができる。
【0012】一方、演奏者等による外部発声動作に基づ
いてディジタル声信号を声信号生成手段により生成す
る。
【0013】そして、前記和音信号生成手段の生成した
和音のディジタル楽音信号は、第1のディジタルフィル
タリング処理により、複数の異なる周波数帯域内に帯域
制限された各楽音信号に分割され、前記声信号生成手段
の生成したディジタル声信号、第2のディジタルフィル
タリング処理により、複数の異なる周波数帯域内に帯域
制限された各声信号に分割される。
【0014】次に、前記第2のディジタルフィルタリン
グ処理により得られる帯域制限された各声信号から、エ
ンベロープ抽出処理により、各エンベロープ信号を抽出
し、このエンベロープ抽出処理により得られる各エンベ
ロープ信号で、前記第1のフィルタリング処理により得
られる帯域制限された各楽音信号を、変調処理により、
変調する。
【0015】この変調処理で得られた各変調信号を、累
算処理により、累算して、ディジタル出力楽音信号とし
て出力する。
【0016】この累算処理により出力されるディジタル
出力楽音信号により放音手段により、楽音信号の放音を
指示する。
【0017】これにより、簡単な操作で、所望の和音の
各構成音に対して独立に音声のニュアンスを付与するこ
とのできる音声制御楽音発生装置を、簡単な構成で、提
供することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の音声制御楽音発生装置を実施
例に基づいて具体的に説明する。図1〜図17は、本発
明の音声制御楽音発生装置の一実施例を示す図であり、
本実施例は、電子楽器に適用したものである。
【0019】図1は、電子楽器1の全体回路ブロック図
であり、電子楽器1は、CPU(Central Processing U
nit)2、音色ROM(Read Only Memory)3、ワークR
AM(Random Access Memory)4、和音入力スイッチ
5、和音データROM6、マイクロフォン7、アンプ
8、LINE IN端子9、ローパスフィルタ10、A
/D変換回路11、DSP(Digital Signal Processo
r:ディジタル信号処理プロセッサ)12、ワークRA
M13、フィルタ係数ROM14、楽音発生回路15、
D/A変換回路16、アンプ17及びスピーカ18等を
備えている。
【0020】上記CPU2、音色ROM3、ワークRA
M4、和音入力スイッチ5、和音データROM6、DS
P12及び楽音発生回路15は、バス19により接続さ
れており、DSP12と楽音発生回路15及びDSP1
2とD/A変換回路16とは、それぞれバス20及びバ
ス21により接続されている。
【0021】音色ROM3には、楽音を発生するのに必
要な各種音色データが記憶されており、和音データRO
M6には、和音を発生するのに必要な各種和音データが
複数種記憶されている。したがって、和音データROM
6は、複数種の和音データを記憶する和音データ記憶手
段として機能する。
【0022】和音入力スイッチ5は、各和音の設定を行
なうスイッチであり、CPU2は、和音入力スイッチ5
の走査を行なって、和音入力スイッチ5の操作に対応し
た和音データを和音データROM6から読み出す。した
がって、和音入力スイッチ5は、和音データ記憶手段で
ある和音データROM6に記憶された和音データのいず
れか一つを選択する選択手段として機能する。
【0023】CPU2は、ワークRAM4をワークメモ
リとして使用して、内部ROMに記憶されているプログ
ラムに従って電子楽器1の各部を制御し、電子楽器1と
しての処理、特に、音声制御楽音発生処理を行なう。例
えば、CPU2は、和音入力スイッチ5で設定された和
音情報に基づいて和音で構成される演奏情報をバス19
を介して楽音発生回路15に転送し、楽音発生回路15
は、この演奏情報に基づいて和音で構成されるディジタ
ル楽音信号x(n)の生成処理を行なう。この演奏情報とし
ては、例えば、ノートオン/オフ、ベロシティ、音色設
定データ及び和音データ等である。したがって、楽音発
生回路15は、上記選択手段としての和音入力スイッチ
5により和音データROM6から選択された和音データ
に基づいて対応する和音のディジタル楽音信号x(n)を生
成する和音信号生成手段として機能する。
【0024】マイクロフォン7は、演奏者が発音した音
声をアナログ声信号に変換して、アンプ8に出力し、ア
ンプ8は、このアナログ声信号を増幅してローパスフィ
ルタ10に出力する。このアナログ声信号は、マイクロ
フォン7からだけでなく、LINE IN端子9から入
力されるようにしてもよい。
【0025】ローパスフィルタ10は、入力されるアナ
ログ声信号にフィルタ処理を施して、A/D変換回路1
1に出力し、A/D変換回路11は、ディジタル声信号
p(n)に変換してDSP12に出力する。
【0026】したがって、マイクロフォン7、アンプ
8、ローパスフィルタ10、A/D変換回路11及びL
INE IN端子9は、全体として演奏者による発声動
作に基づいてディジタル声信号p(n)を生成する声信号生
成手段として機能する。
【0027】DSP12は、フィルタ係数ROM14に
記憶されているフィルタ係数及びCPU2から転送され
てくるプログラムに従って、ワークRAM13をワーク
メモリとして使用して、楽音発生回路15から入力され
るディジタル楽音信号x(n)にA/D変換回路11から入
力されるディジタル声信号p(n)に基づいてディジタルフ
ィルタリング処理を施すことにより、ディジタル楽音信
号x(n)に振幅変調処理を施し、ディジタル出力楽音信号
z(n)をA/D変換回路16に出力する。
【0028】D/A変換回路16は、DSP12から入
力されるディジタル出力楽音信号z(n)をアナログ信号に
変換して、アンプ17に出力し、アンプ17でアナログ
出力楽音信号を増幅して、スピーカ18から放音する。
したがって、D/A変換回路16、アンプ17及びスピ
ーカ18は、全体としてDSP12から出力されるディ
ジタル出力楽音信号z(n)をアナログ出力楽音信号に変換
して放音する放音手段として機能する。
【0029】すなわち、電子楽器1は、演奏者が、和音
入力スイッチ5でスイッチ操作を行ない、また、音色設
定や各種楽音効果設定等のスイッチ操作を行なうと、設
定操作により得られた演奏情報がバス19を介してCP
U2に入力される。CPU2は、内部R0Mに記憶され
たプログラムを実行し、ワークRAM4を一時的なワー
クメモリとして使用しながら、演奏情報の処理を行な
う。このようにして処理された演奏情報は、バス19を
介して楽音発生回路15に送られ、楽音発生回路15
は、上述の演奏情報に従ってディジタル楽音信号x(n)の
生成処理を行なう。次に、楽音発声回路15において生
成されたディジタル楽音信号x(n)は、楽音信号専用のバ
ス20を介してDSP12に入力される。
【0030】一方、マイクロフォン7に向って演奏者等
が発声すると、アンプ8を介して得られるアナログ声信
号がローパスフィルタ10からA/D変換回路11に入
力され、ディジタル声信号p(n)に変換された後、DSP
12に入力される。
【0031】DSP12は、後述するディジタルフィル
タリング演算のための各種係数を記憶したフィルタ係数
ROM14、楽音発生回路15から入力するディジタル
楽音信号x(n)及びA/D変換回路11から入力するディ
ジタル声信号p(n)を記憶し、或いは、ディジタルフィル
タリング演算のためのデータを記憶するワークRAM1
3を使用して、後述する振幅変調処理を実行する。
【0032】DSP12での振幅変調処理により得られ
たディジタル出力楽音信号z(n)は、専用のバス21を介
してD/A変換回路16に送られ、ここでアナログ出力
楽音信号に変換され、アンプ17で増幅された後、スピ
ーカー18から放音される。図2は、図1のDSP12
の構成図である。
【0033】まず、インタフェース121は、楽音発生
回路15に接続されるバス20、CPU2に接続される
バス19及びD/A変換回路16に接続されるバス21
を収容し、各バス19〜21と内部の回路とを接続す
る。
【0034】オペレーションROM122は、DSP1
2全体の動作を制御するマイクロプログラムを格納した
ROMであり、アドレスカウンタ123からの指定アド
レスに基づいて対応するプログラム命令が読み出され
る。図1のCPU2は、オペレーションROM122か
ら如何なるプログラム命令を読み出して後述する変調処
理を実行するかを、アドレスカウンタ123に値をセッ
トすることにより指示する。オペレーションROM12
2の出力は、デコーダ124にも与えられており、DS
P12内の各回路に各種制御信号を出力し、所望の動作
を行なわせる。
【0035】また、DSP12の内部バスには、図1の
フィルタ係数ROM14及びワークRAM13が接続さ
れており、オペレーションROM122のプログラム命
令に従って適宜フィルタ係数データやディジタル楽音信
号x(n)、ディジタル声信号p(n)等がDSP12に対して
供給されたり、或いはワークRAM13に対して入出力
されたりする。
【0036】DSP12は、更に、乗算器125、加減
算器126を、演算処理のために有しており、それぞれ
2入力1出力の形式で内部バスに接続されている。レジ
スタ群127は、演算途中のデータを記憶する複数のレ
ジスタからなり、乗算器125又は加減算器126の各
入出力端子に内部バスを介して接続されている。
【0037】また、DSP12は、加減算器126から
の演算結果(比較結果等)に従ってジャッジ処理をする
ため、フラグレジスタ128を介して、アドレスカウン
タ123へジャッジ結果を示すフラグ信号が送出され
る。このフラグレジスタ128の出力に応じてアドレス
カウンタ123のアドレス値が適宜変更され、オペレー
ションROM122からはアドレスジャンプされたプロ
グラム命令が読み出されることになる。
【0038】次に、DSP12で実現される機能をブロ
ック化した図を図3に示す。
【0039】DSP12上のソフトウェアの時分割処理
により実現される帯域別変換部311、・・・、31
i=j、・・・、31N が、各サンプリング周期毎に動作
し、各サンプリングの最後で各変換部からの出力がDS
P12上のソフトウェア処理により実現される累算部3
6で累算され、ディジタル出力楽音信号z(n)として図1
のD/A変換回路16に出力される。
【0040】各帯域別変換部31t(1≦t≦N)は、更にバ
ンドパスフィルタ部(BPF部)32、33、エンベロ
ープ抽出部34及び乗算部35から構成される。
【0041】BPF部32、33は、それぞれ後述する
ように、各帯域共通のソフトウェア処理によるハイパス
フィルタと各帯域別のソフトウェア処理によるローパス
フィルタの組み合わせで実現される。
【0042】また、エンベロープ抽出部34は、後述す
るように、カットオフ周波数の低いソフトウェア処理に
よるローパスフィルタで実現される。乗算部35は、累
算部36と合せて、後述するように、積和演算処理によ
り実現される。
【0043】次に、図3のBPF部32、33及びエン
ベロープ抽出部34の部分の詳細な原理構成について説
明する。図1の楽音発生回路15及びA/D変換回路1
1からそれぞれ入力される各サンプリングタイミングn
毎のディジタル楽音信号x(n)とディジタル声信号p(n)
は、DSP12の時分割処理によって、N個のBPF部
32とBPF部33でフィルタリング処理が実行され
る。各帯域別変換部31t におけるBPF部32とBP
F部33は、それぞれ同じ伝達関数を有し、その伝達関
数をHt(z)とする。本実施例では、このBPF部は、各
帯域共通のハイパスフィルタ部と各帯域別のローパスフ
ィルタ部のカスケード接続により実現される。ハイパス
フィルタ部の伝達関数をH1(z)、ローパスフィルタ部の
伝達関数をH2t(z)とすると、伝達関数Ht(z)は、図4
に示すように、H1(z)とH2t(z)の積で表される特性と
なる。
【0044】そして、図3に示すBPF部32の場合、
ディジタル楽音信号x(n)は、伝達関数H1(z)のハイパス
フィルタ部でフィルタリングされた後、伝達関数H
2t(z) のローパスフィルタ部でフィルタリングされ、帯
域制限されたディジタル楽音信号Yi(n)(但し、i=
t)として出力される。また、入力されるディジタル楽
音信号x(n)が和音の場合、和音を構成する各楽音A〜D
毎に上記処理が行なわれ、各構成楽音A〜D毎に帯域制
限されたディジタル楽音信号YAi(n)〜YDi(n)として出力
される。
【0045】また、図3に示すBPF部33の場合に
は、ディジタル声信号p(n)は、伝達関数H1(z)のハイパ
スフィルタ部でフィルタリングされた後、伝達関数H2t
(z) のローパスフィルタ部でフィルタリングされ、帯域
制限されたディジタル声信号Qj(n) (但し、i=t)と
して出力される。更に、このディジタル声信号Qj(n)
は、図3のエンベロープ抽出部34での処理にかけられ
るが、この部分は、図4に示すように、伝達関数H
Et(z) を有するカットオフ周波数の低いローパスフィル
タ部によって実現される。このようなローパスフィルタ
部により、ディジタル声信号Qj(n) からエンベロープ信
号Rj(n) が得られる。
【0046】上述の伝達関数H1(z)のハイパスフィルタ
部、伝達関数H2t(z)およびHEt(z)の各ローパスフィル
タ部の特性について、以下に詳細に説明する。
【0047】図5は、図4のハイパスフィルタH1(z)を
ハードウエアのイメージで示した構成図である。これは
2次のFIRディジタルフィルタであって、伝達関数
は、 H1(z)=(1/4)(1-2z-1+z-2) である。
【0048】図5において、40、41は遅延素子、4
2、43、44は乗算器、45、46は加算器を示して
いる。DSP12(図1又は図2)においては、図5の
構成のハイパスフィルタと等価なフィルタ演算処理が、
BPF部32、BPF部33の各場合に以下の離散演算
処理を行なうことにより実現される。
【0049】すなわち、BPF部32(図3)の場合
は、 S(n)=(1/4)(x(n)-2x(n-1)+x(n-2))・・・・・・(1) BPF部33(図3)の場合は、 S(n)=(1/4)(p(n)-2p(n-1)+p(n-2))・・・・・・(2) なる離散演算処理により実現される。なお、この場合、
フィルタ係数は2の倍数となっているため、係数と信号
の乗算は、単なるビットシフト処理で実現できる。
【0050】このハイパスフィルタの周波数特性は、
【数1】 となり、Ω=0(0Hz)で最小、Ω=π(fs/2Hz)
で最大となる特性を有する。但し、fsは、ディジタル
楽音信号x(n)及びディジタル声信号p(n)のサンプリング
周波数(共通)である。図6にその特性を示す。
【0051】図7は、図4のローパスフィルタH2t(z)
をハードウェアのイメージで示した構成図である。
【0052】これは、2次のIIRディジタルフィルタ
であって、伝達関数は、 H2t(z)=CY/(1-2rcosθZ-1+r2z-2) である。後述するように、図3の各帯域別変換部31t
の添え字tに依存してθとCYとが変化し、rがレゾナン
スの強さ(ピークの程度)を示すパラメータとなる。
【0053】図7において、50、51は遅延素子、5
2、53、54は乗算器、55、56は加算器を示して
いる。DSP12(図1又は図2)においては、図7の
構成のローパスフィルタと等価なフィルタ演算処理が、 Wt(n)=CY・S(n)+2rcosθWt(n-1)−r2Wt(n-2)・・・・・・・・(3) なる離散演算処理により実現される。
【数2】 ここで、伝達関数の極は、
【外1】 に存在し、z=0に二重の零点がある。この極と零点の
配置と、0<θ<π/2としたときの極ベクトルと零点
ベクトルとの関係を図8に示す。
【0054】図8から理解される通り、Ω=0からΩ=
πに向けて単位円に沿ってΩが動くにつれベクトルv2
の長さは、はじめ減少し、次に増加する。なお、最小の
ベクトルv2 の長さは、極(rej )の近くである。
【0055】ここで、周波数Ωにおける周波数応答の大
きさは、零点ベクトルv1 と極ベクトルv2 の長さの比
であり、周波数応答の位相は、実軸と零点ベクトルv1
のなす角度から極ベクトルv2のなす角を引いた値とな
ることが知られており、振幅特性のみを図示すると図9
に示すようになる。
【0056】すなわち、周波数応答の大きさ(振幅特
性)は、極ベクトルv2 の大きさの逆数に比例し、θに
近いΩで最大となることがわかる。そして、rの大きさ
に従ってこのピークの鋭さが決まり、rを1に近づけて
ゆくと急なピーク(レゾナンス特性)を有するフィルタ
が実現できる。以上の説明から明らかなように、図3の
各帯域別変換部31t 毎にθの値を決定すれば(θ=2
πft/fs)、 図10に示されるように、各帯域の中心周
波数ftでピークを持つレゾナンス付きのローパスディジ
タルフィルタを実現できる。
【0057】ここで、rは隣の帯域に影響しないような
大きさに、CYは各帯域で同等のレベルの出力Wt(n) が得
られるような大きさに、経験的に若しくは数学的に求め
ることが可能である。例えば、各帯域の中心周波数f
tと、Δf 離れた隣の帯域の中心周波数ft+Δf (すな
わち、ft+1)との周波数応答の大きさの比をm:1とす
れば、
【数3】 というrについての4次方程式を解き、0<r<1のも
のを選ぶことにより、各係数-2rcosθ、r2を求めること
ができる。
【0058】数値計算の結果、例えばサンプリング周波
数fs=5kHz、f=440Hzで、m=4とすると、-2rcosθ=1.977
3、r2=0.9851、CY=36.7 となる。
【0059】その他の帯域についても同様である。
【0060】以上に示されるような伝達関数H1(z)を有
するハイパスフィルタと、伝達関数H2t(z) を有するロ
ーパスフィルタとが、図4に示されるようにカスケード
接続されることにより、各伝達関数の積として表される
全体の伝達関数によって、図11に示されるように、t
=1〜t=N の各帯域毎に、中心周波数f1〜fN、隣接帯域
間の周波数差Δfを有する疑似的なバンドパスフィルタ
が実現できる。次に、図12は、図3のエンベロープ抽
出部47に対応する図4のローパスフィルタHEt(z) を
ハードウェアのイメージで示した構成図である。これ
は、先に説明したローパスフィルタH2t(z) と同じ形の
2次のIIRディジタルフィルタであって、伝達関数
は、 HEt(z)=CE/(1-1.8z-1+0.81z-2) である。これは、先のローパスフィルタH2t(z) の伝達
関数において、r=0.9、θ=0としたものである。
【0061】図12において、60は、図4のローパス
フィルタH2t(z) の出力Wt(n) である図3のBPF部3
3の出力Qj(n) を絶対値化する絶対値回路であり、その
出力|Qj(n)| がディジタルフィルタリングされる。そ
して、61、62は、遅延素子、63、64、65は、
乗算器、66、67は、加算器を示している。DSP1
2(図1又は図2)においては、図12の構成のローパ
スフィルタと等価なフィルタ演算処理が、 Rj(n)=CE|Qj(n)|+1.8Rj(n-1)−0.81Rj(n-2)・・・・・・・(4) なる離散演算処理により実現される。
【0062】このローパスフィルタの周波数特性は、前
述の説明より明らかなように、θ=0でピークを有するレ
ゾナンス付きのローパスフィルタで、図13に示される
ような特性(振幅特性)を有する。この場合のカットオ
フ周波数は、最低帯域のローパスフィルタH2t(z) のカ
ットオフ周波数よりも更に低い周波数に設定される。こ
こで、係数CEは、各帯域毎のレベルを一様にする係数
で、経験的に適宜求め得る。
【0063】図14は、上述した原理に基づいて得られ
るエンベロープ信号Rj(n) を、入力|Qj(n)|と対比さ
せて模式的に示した図である。図12の絶対値回路60
に相当する演算により、負の波高値(図14の破線)が
全て正の波高値に変換された上でローパスフィルタリン
グ処理が実行されるため、結局、この帯域制限されたデ
ィジタル声信号|Qj(n)| の直流成分を求めるような動
作を、図3のエンベロープ抽出部34が実行することに
なる。
【0064】したがって、DSP12は、ディジタル楽
音信号x(n)を複数の異なる周波数対域内に帯域制限され
た各楽音信号に分割する第1のディジタルフィルタリン
グ処理と、ディジタル声信号p(n)を複数の異なる周波数
対域内に帯域制限された各声信号に分割する第2のディ
ジタルフィルタリング処理と、該第2のディジタルフィ
ルタリング処理により得られる帯域制限された各声信号
から各エンベロープ信号を抽出するエンベロープ抽出処
理と、第1のフィルタリング処理により得られる帯域制
限された各楽音信号を、前記エンベロープ抽出処理によ
り得られる各エンベロープ信号で変調する変調処理と、
該変調処理で得られた各変調信号を累算して、ディジタ
ル出力楽音信号として出力する累算処理と、を時分割の
ディジタル信号処理により所定の処理間隔で順次実行す
るディジタル信号処理手段として機能する。
【0065】次に、作用を説明する。
【0066】電子楽器1は、和音入力スイッチ5で選択
された和音データROM6の和音データに基づいて楽音
発生回路15により和音構成されたディジタル楽音信号
x(n)を生成し、DSP12に入力する。また、演奏者が
発音動作した音声をマイクロフォン7で電気信号に変換
し、アンプ8、ローパスフィルタ10及びA/D変換回
路11を介してディジタル声信号p(n)としてDSP12
に入力する。
【0067】DSP12でディジタル楽音信号x(n)をデ
ィジタル声信号p(n)に基づいて振幅変調し、和音の各構
成音に対して独立に音声のニュアンスを付与して、ディ
ジタル出力楽音信号z(n)としてD/A変換回路16に出
力する。このディジタル出力楽音信号z(n)をD/A変換
回路16でアナログ出力楽音信号に変換し、アンプ17
を介してスピーカ18から放音する。
【0068】以下、このDSP12における処理、特
に、和音に対する上記図3〜図14で示したフィルタ処
理を図1又は図2のDSP12でソフトウェア処理とし
て実行する場合の動作を説明する。
【0069】図15は、DSP12において、オペレー
ションROM122(図2参照)に記憶されたマイクロ
プログラムに従って実行されるハイパスフィルタ処理及
びエンベロープ抽出のためのローパスフィルタ処理、各
楽音に対するフィルタリング処理及びディジタル出力楽
音信号z(n)の出力処理、すなわちDSPボコーダ処理の
動作フローチャートである。これにより、ディジタル楽
音信号x(n)、ディジタル声信号p(n)が、共通の各サンプ
リング周期毎に、図3の各帯域毎の帯域別変換部31t
(t=1〜N)でのBPF部32、33、エンベロープ抽出
部34及び乗算部35に相当する処理、並びに累算部3
6に相当する処理が、時分割処理として実行されること
によって、各サンプリング周期毎にディジタル出力楽音
信号z(n)が得られ、図1のD/A変換器16に出力され
る。
【0070】図15において、まず、図1又は図2のワ
ークRAM13等の内容がイニシャライズされる(ステ
ップS1)。 次に、図1のA/D変換器11からサン
プリング周波数fsに対応する周期で発生されるA/D変
換終了信号を待ち(ステップS2)、各サンプリングタ
イミング毎に、A/D変換されたディジタル声信号p(n)
をインタフェース121(図2参照)から取り込み、ワ
ークRAM13へ順次格納してゆく。このとき同時に、
楽音発生回路15(図2参照)から入力されるディジタ
ル楽音信号x(n)をインタフェース121から取り込み、
ワークRAM13へ順次格納してゆく(ステップS
3)。なお、ワークRAM13は、現在のサンプルと、
過去2サンプル分をそれぞれ記憶することができる。
【0071】次に、図15のステップS4〜S9の処理
は、図3の帯域別変換部311〜31N の各BPF部3
3及びエンベロープ抽出部34の処理に相当する。
【0072】すなわち、まず、ワークRAM13から図
2のレジスタ群127内のレジスタp(n)、p(n-1)、p(n-
2)に、現在のディジタル声信号p(n)と過去2サンプル分
のディジタル声信号p(n)が読み出され、図3のBPF部
33に対応する処理の一部である図4の伝達関数H1(z)
で示されるハイパスフィルタリング処理が実行される
(図15のステップS4)。
【0073】この処理は、前述の(2)式で表される演
算処理であり、図2の乗算器125及び加減算器126
を使用して実行される。このときに、(2)式の演算に
使用される各フィルタ係数は、フィルタ係数ROM14
(図1又は図2参照)から読み出されて演算に使用され
る。この結果得られた出力は、レジスタ群127内のレ
ジスタS(n)に格納される。このハイパスフィルタリング
処理は、各帯域で共通な処理であるため、1回のみの実
行でよい。
【0074】次に、図3のBPF部33に対応する処理
の残りである図4の伝達関数H2t(z)=H2j(z)で示され
るローパスフィルタリング処理と、同じくエンベロープ
抽出部34に対応する処理である図4の伝達関数H
Et(z)=HEj(z)で示されるローパスフィルタリング処理
が続けて実行される。
【0075】これらの処理は、図3の帯域別変換部31
1〜31Nに対応して、N帯域分の時分割処理として繰り
返される。そのために、図2のレジスタ群127内に、
N帯域の時分割処理を行なうための繰り返し制御用のレ
ジスタjが設けられ、ステップS5で値「1」に初期設
定されて、ステップS6及びステップS7の1帯域分の
ローパスフィルタリング処理が終了する毎に、ステップ
S8でレジスタjの内容が「N」に達したか否かが判別
される。達していなければ、ステップS9においてレジ
スタjの内容がインクリメントされ、ステップS6が繰
り返される。
【0076】この処理は、図2の加減算器126とフラ
グレジスタ128によって実行され、アドレスカウンタ
123は、ステップS6及びステップS7に対応するプ
ログラム命令をオペレーションROM122から繰り返
し読み出させる。
【0077】まず、前述のハイパスフィルタ処理の出力
であるレジスタS(n)の内容に対して、図4の伝達関数H
2t(z)=H2j(z)で示されるローパスフィルタリング処理
が実行される(図15のステップS6)。この処理は、
前述の(3)式でWt=Qj として表される演算処理であり
(図4参照)、図2の乗算器125及び加減算器126
を使用して実行される。(3)式の演算処理に使用され
る各フィルタ係数は、フィルタ係数ROM14から読み
出されて演算に使用される。
【0078】また、レジスタ群127内には、過去2サ
ンプル分の自分自身のフィルタ出力を格納するレジスタ
Qj(n-1) 及びQj(n-2) が設けられており、これらの内容
も上記演算に使用される。この結果得られた出力は、レ
ジスタ群127内のレジスタQj(n) に格納される。な
お、各レジスタQj(n) 、Qj(n-1) 及びQj(n-2) は、添え
字jを変化させてN帯域分設けられている。
【0079】次に、上述のローパスフィルタリング処理
の出力であるレジスタQj(n) の内容に対して、図4の伝
達関数HEt(z)=HEj(z)で示されるローパスフィルタリ
ング処理(検出フィルタリング処理)が実行される(図
15のステップS7)。
【0080】この処理は、前述の(4)式で表される演
算処理であり、図2の乗算器125及び加減算器126
を使用して実行される。この場合も、(4)式の演算処
理に使用される各フィルタ係数は、フィルタ係数ROM
14から読み出される。また、レジスタ群127内に
は、過去2サンプル分の自分自身のフィルタ出力を格納
するレジスタRj(n-1)とRj(n-2)が設けられており、これ
らの内容も上記演算に使用される。この結果得られた出
力は、レジスタ群127内のレジスタRj(n) に格納され
る。なお、各レジスタRj(n)、Rj(n-1)及びRj(n-2) は、
添え字jを変化させてN帯域分設けられている。
【0081】以上、図15のステップS5〜ステップS
9の処理により、図3のN帯域分の帯域別変換部311
〜31NのBPF部33及びエンベロープ抽出部34に
相当する処理が実行される。
【0082】続いて、ステップS10〜ステップS13
において、和音を構成する各楽音A〜Dのディジタル楽
音信号x(n)に対するフィルタリング処理を行ない、この
フィルタリング処理により、図16に示すように、図3
のN帯域分の帯域別変換部311〜31NのBPF部32
に相当する処理が和音を構成する各楽音A〜Dのディジ
タル楽音信号x(n)に対して実行される。
【0083】すなわち、図16に和音を構成する1つの
楽音Aについて示すように、まず、ワークRAM13か
ら図2のレジスタ群127内のレジスタx(n)、x(n-1)、
x(n-2)に、現在と過去2サンプル分のディジタル楽音信
号x(n)が読み出され、図3のBPF部32に対応する処
理の一部である図4の伝達関数H1(z)で示されるFIR
ハイパスフィルタリング処理が実行される(ステップP
1)。
【0084】この処理は、前述の(1)式で表される演
算処理であり、図2の乗算器125及び加減算器126
を使用して実行される。このとき、(1)式の演算に使
用される各フィルタ係数は、フィルタ係数ROM14か
ら読み出される。この結果得られる出力は、レジスタ群
127内の楽音A用のレジスタSA(n) に格納される。こ
のFIRハイパスフィルタリング処理は、各帯域で共通
な処理であるため、1回のみの実行でよい。
【0085】次に、図3のBPF部32に対応する処理
の残りである図4の伝達関数H2t(z)=H2i(z)で示され
るローパスフィルタリング処理が実行される。
【0086】この処理は、図3の帯域別変換部 311
31N に対応して、N帯域分の時分割処理として繰り返
される。そのために、図2のレジスタ群127内に、N
帯域の時分割処理を行なうための繰り返し制御用のレジ
スタiが設けられ、ステップP2で値「1」に初期設定
される。その後、ステップP3の1帯域分のIIRロー
パスフィルタリング処理が終了する毎に、ステップP4
でレジスタiの内容が「N」に達したか否かが判別さ
れ、達していなければ、ステップP5においてレジスタ
iの内容がインクリメントされて、ステップP3が繰り
返される。この場合も、前述のレジスタjの場合と同様
に図2の各回路が動作する。
【0087】ステップP3の処理は、前述の図15のス
テップS6の処理とほぼ同様である。すなわち、FIR
ハイパスフィルタリング処理の出力であるレジスタS
A(n) の内容に対して、前述の(3)式でWt=YAiとして
表される演算処理が実行される(図4参照)。このと
き、レジスタ群127内には、過去2サンプル分の自分
自身のフィルタ出力を格納するレジスタYAi(n-1)及びY
Ai(n-2)が設けられており、これらの内容も上記演算に
使用される。この結果得られた出力は、レジスタ群12
7内のレジスタYAi(n) に格納される。なお、各レジス
タYAi(n)、YAi(n-1)及びYAi(n-2) は、添え字iを変化
させてN帯域分設けられているとともに、和音を構成す
る各楽音A〜D毎に設けられている。
【0088】以上、図16のステップP1〜ステップP
5の処理により、図3のエンベロープ抽出部34及びB
PF32の出力に対応するレジスタRj(n)及びYAi(n)の
内容が確定する。これらの内容を使用して、図3のN帯
域分の帯域別変換部311〜31Nの各乗算部35の処理
に対応する以下の処理が実行される。
【0089】すなわち、図16のステップP6におい
て、レジスタi=jの内容を1〜Nまで変化させなが
ら、Rj(n)×YAi(n) の乗算が実行される。これは、図2
の乗算器125を使用して行なわれ、その乗算結果をレ
ジスタZA(n)に格納する。
【0090】以上、図16のステップP1〜ステップP
6の処理により、和音を構成する楽音Aに対して図3の
N帯域分の帯域別変換部311〜31NのBPF部32に
相当する処理が実行される。
【0091】この楽音フィルタリング処理を、図15に
示すステップS10〜ステップS13で、各和音を構成
する各楽音A〜Dに対して行なう。
【0092】和音を構成する各楽音A〜Dのディジタル
楽音信号x(n)に対して楽音フィルタリング処理が行われ
ると、その結果得られた各和音の乗算結果ZA(n)〜ZD(n)
が累算(Z(n)=ZA(n)+ZB(n)+ZC(n)+ZD(n))される。
これは、図2の加減算器126を使用して行なわれる。
上述のようにして得られる累算結果は、図2のレジスタ
群127内のレジスタz(n) に格納される(ステップS
14)。
【0093】レジスタz(n) に格納された累算結果は、
この後に続く図15のステップS15において、サンプ
リング間隔で図2のインタフェース121から図1のD
/A変換器16に出力される。
【0094】以上説明したように、和音を構成する各楽
音信号及び人間の声信号を複数帯域に分割する図3のB
PF部32、33の処理、帯域制限された声信号からエ
ンベロープを抽出する図3のエンベロープ抽出部34の
処理、エンベロープ信号で帯域制限された和音の各楽音
信号に振幅変調をかける図3の乗算部35の処理、和音
を構成する各楽音信号毎の各帯域の変調出力を累算し
て、出力楽音信号を得る図3の累算部36の処理が、ソ
フトウェアの時分割処理によるディジタル声信号として
実現される。これにより、和音の各楽音信号の倍音成分
に独立に人間の声のニュアンスを付加して、放音すると
いう音声制御楽音発生処理を、1チップのDSPを使用
して、簡単かつ安定して行なうことができる。
【0095】なお、DSPの処理に余裕があれば、バン
ドパスフィルタの演算処理を、上述の実施例のようにハ
イパスフィルタとローパスフィルタの組合わせの演算処
理としてではなく、バンドパスフィルタの伝達関数を直
接設計した結果に基づいて構成した演算処理によって実
現してもよい。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、所望の和音を簡単な操
作で発生させることができるとともに、この和音にソフ
トウェアの時分割処理に基づくディジタルフィルタリン
グ処理を施すことにより、所望の和音の構成音に対し
て、独立に音声のニュアンスを付与することのできる音
声制御楽音発生装置を、簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音声制御楽音発生装置の一実施例を適
用した電子楽器の全体回路ブロック図。
【図2】図1のDSPの構成図。
【図3】DSPの機能ブロック図。
【図4】BPF部とエンベロープ抽出部のフィルタ構成
図。
【図5】ハイパスフィルタH1(z)の構成図。
【図6】ハイパスフィルタH1(z)の特性図。
【図7】ローパスフィルタH2t(z)の構成図。
【図8】ローパスフィルタH2t(z)の極と零点及び極ベ
クトルと零ベクトルの関係図。
【図9】ローパスフィルタH2t(z)の振幅特性図。
【図10】ローパスフィルタH2t(z)の特性図。
【図11】バンドパスフィルタH1(z)・H2t(z)の特性
図。
【図12】ローパスフィルタHEj(z)の構成図。
【図13】ローパスフィルタHEj(z)の特性図。
【図14】|Qj(n)|とRj(n)の関係図。
【図15】DSPボコーダ処理の動作フローチャート。
【図16】図15の楽音Aフィルタリング処理を示すフ
ローチャート。
【符号の説明】
1 電子楽器 2 CPU 3 音色ROM 4 ワークRAM 5 和音入力スイッチ 6 和音データROM 7 マイクロフォン 8 アンプ 9 LINE IN端子 10 ローパスフィルタ 11 A/D変換回路 12 DSP 13 ワークRAM 14 フィルタ係数ROM 15 楽音発生回路 16 D/A変換回路 17 アンプ 18 スピーカ 121 インタフェース 122 オペレーションROM 123 アドレスカウンタ 124 デコーダ 125 乗算器 126 加減算器 127 レジスタ群 128 フラグレジスタ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数種の和音データを記憶する和音デー
    タ記憶手段と、 前記和音データ記憶手段に記憶された和音データのいず
    れか一つを選択する選択手段と、 前記選択手段で選択された和音データに基づいた複数種
    のディジタル楽音信号を生成する和音信号生成手段と、 外部発声動作に基づいてディジタル声信号を生成する声
    信号生成手段と、 前記ディジタル楽音信号を複数の異なる周波数帯域内に
    帯域制限された各楽音信号に分割する第1のディジタル
    フィルタリング処理と、前記ディジタル声信号を複数の
    異なる周波数帯域内に帯域制限された各声信号に分割す
    る第2のディジタルフィルタリング処理と、該第2のデ
    ィジタルフィルタリング処理により得られる帯域制限さ
    れた各声信号から各エンベロープ信号を抽出するエンベ
    ロープ抽出処理と、前記第1のフィルタリング処理によ
    り得られる帯域制限された各楽音信号を、前記エンベロ
    ープ抽出処理により得られる各エンベロープ信号で変調
    する変調処理と、該変調処理で得られた各変調信号を累
    算して、ディジタル出力楽音信号として出力する累算処
    理と、を時分割のディジタル信号処理により所定の処理
    間隔で順次実行するディジタル信号処理手段と、 前記ディジタル信号処理手段から出力されるディジタル
    出力楽音信号に基づいて放音を指示する放音手段と、 を備えたことを特徴とする音声制御楽音発生装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008180620A (ja) * 2007-01-25 2008-08-07 Ono Sokki Co Ltd 信号変換装置
JP2009122612A (ja) * 2007-11-19 2009-06-04 Yamaha Corp ハーモニー音生成装置及びプログラム

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